2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

条件の違いを、比較して覚える。

60件の比較表で、主語・時点・母数・例外を整理します。必要な表を保存して復習できます。

最重要・比較表

単純承認・限定承認・相続放棄の違い

最初に見るのは債務をどこまで引き継ぐかです。3か月以内に何もしなければ単純承認になるため、限定承認と放棄は期間内の申述が前提になります。

承継する範囲

最重要
単純承認
被相続人の権利義務をすべて承継する(920条
限定承認
債務の弁済責任などを相続財産の限度でのみ負う留保をつけて、権利義務を承継する(922条
相続放棄
被相続人の権利義務は一切承継しない(939条

判断ポイント

限定承認は「承継はするが責任だけ限定する」制度で、承継しない放棄とは別物です。

プラス300万円・マイナス700万円で相続人の固有財産が100万円のとき

単純承認
100万円に300万円と700万円の負債が加わり、相続人の財産は300万円のマイナスになる
限定承認
700万円の弁済は被相続人の300万円からのみ行われ、相続人の財産は100万円のまま残る
相続放棄
資産も負債も相続しないため、相続人の財産は100万円のまま変わらない

判断ポイント

限定承認と放棄は手元に残る額が同じでも、プラスが多いときは限定承認の方が有利になります。

家庭裁判所の手続と期間

単純承認
手続は不要。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に何もしなければ単純承認とみなされる
限定承認
知った時から3か月以内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述する。共同相続では相続人全員で行う(923条924条
相続放棄
知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する。各相続人が単独でできる

判断ポイント

起算点は相続開始の時ではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。

3か月以内に動いたかをまず確認する。動かなければ単純承認、動くなら家庭裁判所への申述が要る

法令確認:民法920条民法922条・924条民法939条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

審査請求と取消訴訟の違い

最初に見るのは、判断するのが行政庁か裁判所かです。ここが決まると、不当まで争えるか、いつまでに申し立てるか、結論が裁決か判決かがすべて決まります。

判断する者

審査請求(行政不服審査法)
審査庁が審査し、裁決を出す。原則は処分庁等の最上級行政庁で、上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条
取消訴訟(行政事件訴訟法)
裁判所が審理し、判決を出す。第一審は地方裁判所が管轄する

判断ポイント

行政の中の見直しか、司法の判断かという違いがすべての出発点です。

審査の対象

審査請求(行政不服審査法)
違法な処分だけでなく、不当な処分も審査の対象にできる
取消訴訟(行政事件訴訟法)
裁判所による審査なので、争えるのは処分が違法かどうかに限られる

判断ポイント

不当まで見られるのは行政庁が審査するからだ、と理由で覚えます。

いつまでにするか

最重要
審査請求(行政不服審査法)
処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年18条
取消訴訟(行政事件訴訟法)
処分を知った日から6か月、処分の日から1年14条

判断ポイント

3か月6か月の入れ替えが最頻出です。どちらも正当な理由があれば例外があります。

審理中の執行停止

審査請求(行政不服審査法)
処分庁または上級行政庁である審査庁なら、申立てがなくても職権で執行停止できる
取消訴訟(行政事件訴訟法)
申立てが必要で、裁判所が職権で執行停止をすることはできない

判断ポイント

審査庁は職権でできるから裁判所もできる、と誤らせる肢が典型です。

取り消すと公益に著しい障害が出るとき

審査請求(行政不服審査法)
事情裁決になる。主文で処分が違法または不当であることを宣言して棄却する(45条3項)
取消訴訟(行政事件訴訟法)
事情判決になる。主文で処分が違法であることを宣言して棄却する(31条1項)

判断ポイント

どちらも結論は棄却です。宣言の対象に不当が入るのは事情裁決だけです。

国民の主張が通ったときにできること

審査請求(行政不服審査法)
審査庁が上級行政庁なら、処分を取り消したうえで処分庁に許可処分をすべき旨を命じられる
取消訴訟(行政事件訴訟法)
判決は処分を取り消すだけで、やり直しは拘束力により処分庁が改めて行う(33条2項)

判断ポイント

裁判所は処分をやり直させる命令まではせず、拘束力で行政庁に義務づけます。

最重要・比較表

行政上の強制執行の4類型

まず、履行されていない義務が他人でも代われる義務かを確かめます。ここで代執行を使えるかが決まり、使えないときに残りの3類型と個別法の有無を検討します。

どんな義務の不履行に使うか

代執行
代替的作為義務、つまり他人でも代わりに行うことができる義務の不履行
強制徴収
租税など、行政上の金銭給付義務が履行されない場合
直接強制
義務者が義務を履行しない場合一般。代替的作為義務に限られない
執行罰
義務者が期限内に義務を履行しない場合。将来の履行を促すために使う

判断ポイント

代執行だけは対象が代替的作為義務に限られ、ここで使える場面が絞られます。

とられる方法

最重要
代執行
行政庁自らが義務者のなすべき履行を行い、または他人に行わせ、その費用を義務者から徴収する
強制徴収
行政庁が強制手段によって、その義務が履行されたのと同じ状態を実現する
直接強制
義務者の身体や財産に直接実力を加え、義務の履行があったのと同様の状態を実現する
執行罰
過料を科す旨を予告して心理的強制を加え、なお履行しないときは過料を強制的に徴収する

判断ポイント

執行罰は将来の履行を促す手段で、過去の義務違反への制裁ではありません。

根拠となる法律

代執行
行政代執行法。強制執行の方法について一般法があるのは代執行だけである
強制徴収
国税徴収法など、個別の法律による。方法についての一般法はない
直接強制
成田新法など、個別の法律による。方法についての一般法はない
執行罰
砂防法など、個別の法律による。方法についての一般法はない

判断ポイント

一般法があるのは代執行だけ、と押さえると根拠法の肢に強くなります。

義務の不履行を前提とするか

代執行
不履行が前提
強制徴収
不履行が前提
直接強制
不履行が前提
執行罰
不履行が前提

判断ポイント

4類型はいずれも義務の不履行が前提です。義務を前提とせず実力を加える即時強制とはここで分かれます。

順序:他人が代われる義務か(代執行)→ 金銭か(強制徴収)→ 身体財産への直接の実力か(直接強制)→ 過料の予告で履行を促すか(執行罰)

法令確認:行政代執行法(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

行政刑罰と秩序罰の違い

まず、科されるのが刑罰か過料かを確かめます。ここで適用される手続法が分かれ、過料の場合はさらに根拠が法律か条例かで科す主体まで変わります。

科されるもの

行政刑罰
行政上の義務違反に対し、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料・没収といった刑罰が科される
秩序罰
手続を怠るなど刑罰を科すほどではない比較的軽微な義務違反に対し、刑罰ではない過料が科される

判断ポイント

刑罰か過料かという入口で、この先の扱いがすべて変わります。

刑法総則の適用

行政刑罰
適用あり
秩序罰
適用なし

判断ポイント

秩序罰は刑罰ではないので、刑法総則の枠の外にあります。

刑事訴訟法の適用

行政刑罰
適用あり
秩序罰
適用なし

判断ポイント

秩序罰を裁判所が科すときの手続は、刑事訴訟法ではなく非訟事件手続法によります。

誰が科すか

最重要
行政刑罰
刑罰なので、原則として刑事訴訟法の手続によって科される
秩序罰
法律に基づき法律違反者に科す場合は裁判所が科し、条例に基づき条例違反者に科す場合は地方公共団体の長が行政行為の形式で科す

判断ポイント

秩序罰は必ず裁判所が科すとする肢が定番の誤りです。条例違反の過料は知事や市町村長が科します。

法律の根拠

行政刑罰
根拠が必要
秩序罰
根拠が必要

判断ポイント

どちらも法律の根拠が要る点は共通で、差が出るのは手続と主体です。

順序:刑罰か過料か → 刑法総則と刑事訴訟法が及ぶか → 過料なら根拠が法律か条例かで科す主体が変わる

法令確認:地方自治法(条例違反の過料)(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

審査基準・標準処理期間・処分基準・行政指導指針の義務と努力

設定と公表を分けて、それぞれが法的義務か努力義務かを確かめます。先にその基準がどの場面で使うものかを押さえておくと、四つの組合せが混ざりません。

使われる場面

審査基準
申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するための基準
標準処理期間
申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間の目安
処分基準
不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準
行政指導指針
同一の行政目的で複数の者に行政指導をするとき、共通して内容となるべき事項を定めたもの

判断ポイント

申請を拒否する処分は申請に対する処分なので、そこで使うのは処分基準ではなく審査基準です。

定めること

最重要
審査基準
定めなければならない法的義務(5条1項)
標準処理期間
定めるよう努める努力義務にとどまる(6条
処分基準
定めるよう努める努力義務にとどまる(12条1項)
行政指導指針
定めなければならない法的義務である(36条

判断ポイント

審査基準の設定を努力に落とす肢と、処分基準の設定を義務に上げる肢が両方向から出ます。

公にする・公表すること

審査基準
公にしておくことは法的義務。行政上特別の支障があるときは除かれる(5条3項)
標準処理期間
定めたときは公にしておくことが法的義務(6条
処分基準
公にしておくことも努力義務にとどまる(12条1項)
行政指導指針
公表することは法的義務。行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい(36条

判断ポイント

標準処理期間だけが、設定は努力・公表は義務という食い違った組合せになります。

同じ組合せの制度

審査基準
設定も公表も義務という点で、行政指導指針と同じ組合せになる
標準処理期間
設定は努力・公表は義務。行政不服審査法16条の標準審理期間も同じ組合せである
処分基準
設定も公表も努力という組合せは、この処分基準だけである
行政指導指針
設定も公表も義務という点で、審査基準と同じ組合せになる

判断ポイント

処分基準だけが両方とも努力だと覚えると、残りは義務が絡む組合せに整理できます。

覚え方:審査基準と行政指導指針は義務・義務、処分基準は努力・努力、標準処理期間だけ設定は努力で公表は義務

法令確認:行政手続法5条・6条・12条・36条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

表見代理の3類型の要件と効果

最初に本人のどこに落ち度があったかを見ます。表示だけしたのか、別の代理権を与えていたのか、かつて与えていたのかで条文が変わり、相手方に求める要件は3つとも同じです。

本人の帰責性

代理権授与表示(109条1項)
代理権を与えていないのに、与えた旨の表示をした
代理権の逸脱(110条)
基本となる代理権を与えている。その権限の範囲では代理権がある
代理権消滅後(112条1項)
かつては代理関係にあった。以前は与えていたが現在は権限がない

判断ポイント

本人がまったくの無関係なら表見代理は成立せず、非難されるべき点があることが前提です。

代理人が行った行為

代理権授与表示(109条1項)
表示した代理権の範囲内の行為をした
代理権の逸脱(110条)
与えられた代理権の範囲を超える行為をした
代理権消滅後(112条1項)
消滅した代理権の範囲内の行為をした

判断ポイント

110条は基本代理権があることが前提で、勧誘をさせただけでは基本権限の付与と評価されません。

相手方に必要な要件

代理権授与表示(109条1項)
善意無過失。代理権があると信ずべき正当な理由があること
代理権の逸脱(110条)
善意無過失。代理権があると信ずべき正当な理由があること
代理権消滅後(112条1項)
善意無過失。代理権があると信ずべき正当な理由があること

判断ポイント

3類型に共通で、相手方が善意無過失でなければ本人に責任を負わせることはできません。

効果

最重要
代理権授与表示(109条1項)
有効となる
代理権の逸脱(110条)
有効となる
代理権消滅後(112条1項)
有効となる

判断ポイント

表見代理が成立する場合でも、相手方は無権代理人の責任(117条)を選んで追及できます。

最重要・比較表

審査請求・再調査の請求・再審査請求の比較

まず、法律に特別の定めがあるかを確かめます。定めがなければ選べるのは審査請求だけで、定めがあるときに相手方と対象、そして期間の数字が変わってきます。

できる場合

最重要
審査請求
行政庁の処分や不作為について、法律の特別の定めがなくても一般にできる
再調査の請求
処分庁以外の行政庁に審査請求ができる処分について、法律に再調査の請求ができる旨の定めがあり、まだ審査請求をしていないとき
再審査請求
法律に再審査請求ができる旨の定めがあるとき

判断ポイント

再調査の請求と再審査請求は、個別の法律に定めがあってはじめて使える例外的な手続です。

申し立てる相手方

審査請求
法律に特別の定めがあればその行政庁。定めがなければ、処分庁等に上級行政庁がないとき等は処分庁等、それ以外は処分庁等の最上級行政庁(4条
再調査の請求
処分をした処分庁自身に対してする。上級行政庁に出すものではない
再審査請求
法律が再審査請求先として定める行政庁に対してする

判断ポイント

処分庁自身に出すのが再調査の請求で、審査請求が処分庁になるのは上級行政庁がない場合です。

対象

審査請求
行政庁の処分と、申請に対する不作為の両方が対象になる
再調査の請求
処分のみが対象で、不作為は対象にならない
再審査請求
審査請求に対する裁決(原裁決)が対象になる

判断ポイント

不作為について再調査の請求を認める肢は、ここで切れます。再審査請求は、条文上は原裁決だけでなく処分そのものも対象にできます(6条2項)。

知った日からの期間

審査請求
処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月。不作為には期間の制限がない
再調査の請求
処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月
再審査請求
原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月

判断ポイント

1か月に短くなるのは、すでに審査請求という慎重な手続を経た再審査請求です。

処分・裁決の日からの期間

審査請求
処分があった日の翌日から起算して1年。正当な理由があるときは除かれる
再調査の請求
処分があった日の翌日から起算して1年。正当な理由があるときは除かれる
再審査請求
原裁決があった日の翌日から起算して1年。正当な理由があるときは除かれる

判断ポイント

客観的期間はいずれも1年でそろうため、覚え違いが出るのは知った日からの期間だけです。

最重要・比較表

出生届・死亡届・転出届・転入届の期限

最初に確認するのは起算点です。死亡届だけが「知った日」から数え、転出届だけが引っ越す前の届出なので日数の制限という形をとりません。

届出の期間

出生届
14日以内。国外で出生があったときは3か月以内(戸籍法49条1項)
死亡届
7日以内。国外で死亡があったときは3か月以内(戸籍法86条1項)
転出届
日数の制限はなく、転出する前にあらかじめ届け出る(住民基本台帳法24条
転入届
転入した日から14日以内(住民基本台帳法22条1項)

判断ポイント

同じ市町村内での引越しにあたる転居届も、転居した日から14日以内です(23条)。

期間の起算点

最重要
出生届
出生の日から数える。届出人が事実を知った日ではない
死亡届
届出義務者が死亡の事実を知った日から数える(戸籍法86条1項)
転出届
転出前の届出なので起算点はなく、転出の予定年月日を届け出る
転入届
現に転入した日から数える。転出の予定年月日ではない

判断ポイント

死亡届の起算点を「死亡の日」と読むと7日の数え方がずれます。

届出先

出生届
本籍地または届出人の所在地のほか、出生地でも届け出られる(戸籍法25条1項、51条1項)
死亡届
本籍地または届出人の所在地のほか、死亡地でも届け出られる(戸籍法25条1項、88条1項)
転出届
転出前に住んでいる市町村の市町村長に届け出る(住民基本台帳法24条
転入届
転入した先の市町村の市町村長に届け出る(住民基本台帳法22条1項)

判断ポイント

戸籍の届出は出生地・死亡地でもでき、住民異動は転出前と転入先で届出先が分かれます。

届け出る者と届出事項

出生届
嫡出子は父または母、非嫡出子は母が届け出る(戸籍法52条1項・2項)
死亡届
同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人(戸籍法87条1項)
転出届
転出する者が、氏名・転出先・転出の予定年月日を届け出る(住民基本台帳法24条
転入届
転入した者が、氏名・住所・転入した年月日・従前の住所等を届け出る(住民基本台帳法22条1項)

判断ポイント

戸籍の届出は義務者が順位付きで法定されている点が、住民異動の届出と違います。

届け出なかった場合

出生届
正当な理由がなく期間内に届出をしない者は5万円以下の過料(戸籍法137条
死亡届
正当な理由がなく期間内に届出をしない者は5万円以下の過料(戸籍法137条
転出届
正当な理由がなく届出をしない者は5万円以下の過料(住民基本台帳法52条2項)
転入届
正当な理由がなく届出をしない者は5万円以下の過料(住民基本台帳法52条2項)

判断ポイント

どちらの法律でも刑罰ではなく過料で、過料の裁判は簡易裁判所が行います。

覚え方:出生14日・死亡7日・転入14日はいずれも事後、転出だけが事前

法令確認:戸籍法住民基本台帳法(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

個人情報取扱事業者と行政機関等の義務の違い

最初に見るのは利用目的を変えられる幅です。民間は「関連性」で足りるのに対し、行政機関等には「相当の関連性」が求められ、より狭く縛られます。

利用目的の特定

個人情報取扱事業者(民間)
個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなければならない(17条1項)
行政機関等
法令の定める所掌事務または業務の遂行に必要な場合に限り保有でき、そのうえで利用目的をできる限り特定する(61条1項)

判断ポイント

行政機関等には、特定の前に「そもそも保有できるか」という枠が先にかかります。

利用目的の変更の範囲

最重要
個人情報取扱事業者(民間)
変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて変更してはならない(17条2項)
行政機関等
変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて変更してはならない(61条3項)

判断ポイント

「相当の」が付くのは行政機関等の側です。入れ替えて誤りとする問題が出ます。

正確性の確保

個人情報取扱事業者(民間)
利用目的の達成に必要な範囲内で正確かつ最新の内容に保ち、必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める(22条
行政機関等
利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去または現在の事実と合致するよう努める(65条

判断ポイント

どちらも努力義務です。義務と言い切る記述に注意します。

安全管理措置

個人情報取扱事業者(民間)
取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のため、必要かつ適切な措置を講じなければならない(23条
行政機関等
保有個人情報の漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のため、必要かつ適切な措置を講じなければならない(66条1項)

判断ポイント

正確性の確保と違い、こちらは双方とも努力義務ではなく義務です。

目的外の利用・提供

個人情報取扱事業者(民間)
あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱ってはならず(18条1項)、第三者提供も原則として本人の同意が必要(27条1項)
行政機関等
原則として、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、または提供してはならない(69条1項)

判断ポイント

民間は「本人の同意があるか」、行政機関等は「利用目的の範囲内か」が判断の軸になります。

混同注意・比較表

事業譲渡と吸収合併の手続の違い

最初に、譲り渡す側の会社が消えるかどうかを見ます。会社ごと1つになる合併では債権者の異議手続が必要で、事業だけを渡す譲渡では不要です。

権利義務の移り方

事業譲渡
包括的には移転せず、個別に権利移転の手続をとる必要がある
吸収合併
消滅会社の権利義務関係が、存続会社に包括的に承継される

判断ポイント

個別移転か包括承継かが、両者を分ける出発点です。

譲り渡す側の会社

事業譲渡
事業を譲渡しても会社は消滅せず、そのまま存続する
吸収合併
消滅会社は解散し、消滅する

判断ポイント

「事業譲渡をすると譲渡会社が消える」とする肢が誤りの定番です。

対象になる範囲

事業譲渡
事業の全部だけでなく、一部の譲渡もできる
吸収合併
複数の会社が1つの会社になるもので、新設合併と吸収合併の2種類がある

判断ポイント

一部だけ切り出したいときに使えるのが事業譲渡です。

株主総会の特別決議

最重要
事業譲渡
全部の譲渡は譲渡会社・譲受会社の双方で必要。重要な一部の譲渡は譲渡会社だけ必要(309条2項11号)
吸収合併
消滅会社・存続会社のそれぞれで、効力発生の前までに必要

判断ポイント

重要でない一部の譲渡は、どちらの会社でも決議が不要になります。

反対株主の株式買取請求権

事業譲渡
反対株主に認められる(469条1項)
吸収合併
消滅会社・存続会社のそれぞれで、反対株主に認められる

判断ポイント

買取請求権はどちらにもあります。差がつくのは次の債権者異議手続です。

債権者異議手続

事業譲渡
手続は不要
吸収合併
両社で債権者に異議を述べる機会が与えられ、異議が出れば弁済等をする

判断ポイント

債務が包括的に移る合併だけ、債権者を保護する手続が用意されています。

判断の順序:会社が消えるか → 権利義務は包括承継か個別移転か → 債権者異議手続が要るか

法令確認:会社法309条2項11号・469条1項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

内閣が総辞職しなければならない三つの場面

まず総辞職を避ける道があるかを見ます。衆議院の不信任のときだけ解散という選択肢があり、残る二つは総辞職するほかありません。

きっかけ

最重要
衆議院の不信任(69条)
衆議院で内閣不信任の決議案が可決され、または信任の決議案が否決されたこと
内閣総理大臣が欠けたとき
内閣総理大臣が欠けたこと。内閣は首長を失うため、内閣そのものが総辞職する
総選挙後の国会召集
衆議院議員総選挙の後に、初めて国会の召集があったこと(解散による総選挙なら特別会、任期満了による総選挙なら臨時会または常会)

判断ポイント

内閣不信任の決議ができるのは衆議院だけで、参議院にこの制度はありません。

総辞職を避ける道

衆議院の不信任(69条)
10日以内に衆議院を解散させれば、総辞職をしなくてよい(69条
内閣総理大臣が欠けたとき
解散という選択肢はない
総選挙後の国会召集
解散という選択肢はない

判断ポイント

根拠条文とその後の流れ

衆議院の不信任(69条)
69条。解散した場合は解散の日から40日以内に総選挙、その選挙の日から30日以内に特別会が召集される
内閣総理大臣が欠けたとき
70条。総辞職しても、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで内閣は引き続き職務を行う(71条
総選挙後の国会召集
70条。総辞職しても、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで内閣は引き続き職務を行う(71条

判断ポイント

解散を選んでも、総選挙後の特別会の召集でけっきょく総辞職になります。

判断の順序:衆議院の不信任か → 10日以内に解散するか → 解散しなければ総辞職。ほかの二つに選択肢はない

法令確認:日本国憲法69条・70条・71条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

検閲にあたるか(税関検査・出版差止め・教科書検定)

検閲にあたれば例外なく禁止されるので、まず誰がいつ何を審査したのかを確かめます。ここに挙げた三つはいずれも検閲にあたりませんが、あたらないとされた理由がそれぞれ違います。

何を審査するのか

税関検査
輸入される書籍や図画が輸入禁制品にあたるかどうかを、税関が輸入の際に検査する
裁判所による出版差止め
名誉を侵害する記事を載せた雑誌の発売を、裁判所が仮処分によって発売前に差し止める
教科書検定
教科書として使えるかを発行前に審査する。不合格でも一般図書としての発行は妨げられない

判断ポイント

検閲にあたるか

最重要
税関検査
検閲にあたらない
裁判所による出版差止め
検閲にあたらない
教科書検定
検閲にあたらない

判断ポイント

三つとも結論は同じなので、覚えるべきはあたらないとされた理由のほうです。

そう判断した理由

税関検査
輸入が禁止される表現物は一般に国外で発表済みであり、事前に発表そのものを一切禁止するものではない
裁判所による出版差止め
差止めを行うのは司法権である裁判所であり、行政権が主体となって行うという性質を有しない
教科書検定
発表の禁止を目的とするものではなく、発表前に審査して発表を禁止するという性質を有しない

判断ポイント

事前抑制としての扱い

税関検査
発表そのものを事前に禁止するわけではないので、発表前の抑制としての問題は生じない
裁判所による出版差止め
公権力による事前抑制の一形態で原則として許されず、内容が真実でなく専ら公益目的でないことが明白で、重大で著しく回復困難な損害のおそれがある場合に限り許される
教科書検定
一般図書としての発行を制限するものではないので、事前抑制にも該当しない

判断ポイント

検閲にあたらなくても、事前抑制として厳しい要件がかかる場合があります。

判断の順序:行政権が主体か → 発表前の網羅的な審査か → 発表の禁止が目的か。ひとつでも欠ければ検閲ではない

法令確認:日本国憲法21条2項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

共有物について1人でできること・できないこと

最初にその行為が使用・保存・管理・変更のどれにあたるかを見分けます。ここが決まれば、単独でできるのか、持分の過半数が要るのか、全員の同意が要るのかが決まります。

あてはまる行為の例

使用行為
共有者の1人が共有物を自ら使用する
保存行為
共有物の妨害排除請求、保存登記
管理行為
民法252条4項の期間内で共有物を第三者に賃貸する
変更行為
共有物そのものを第三者に売却する

判断ポイント

自分の持分だけを譲渡するのは各共有者が自由にできますが、共有物全体の売却は変更行為です。賃貸は期間によって管理行為か変更行為かが分かれます。

行使の要件

最重要
使用行為
各共有者が単独でできる(249条1項)。持分に応じた使用に限られる
保存行為
各共有者が単独でできる(252条5項)
管理行為
252条4項の期間内の賃貸は持分価格の過半数。山林10年・その他の土地5年・建物3年・動産6か月を超える賃貸等は原則として変更行為
変更行為
共有者全員の同意が必要(251条1項)

判断ポイント

保存は単独、管理は持分価格の過半数、変更は原則全員同意です。賃貸を一律に管理行為とせず、252条4項の期間を確認します。

3人が持分平等で共有し、そのうち1人が動くとき

使用行為
単独で可
保存行為
単独で可
管理行為
他の2人のどちらか一方の賛成が必要
変更行為
他の2人の両方の賛成が必要

判断ポイント

頭数の多数決ではなく持分の価格の過半数で決めるため、持分が不均等なら結論も変わります。

間違えやすい点

使用行為
共有物の使用には善良な管理者の注意が必要(249条3項)
保存行為
妨害排除は単独でできるが、損害賠償は自己の持分の割合に相当する額に限られる
管理行為
人数ではなく持分価格で数え、賃貸は252条4項の期間内かも確認する
変更行為
形状または効用の著しい変更を伴わないものは251条1項の変更から除かれる

判断ポイント

保存行為でも損害賠償だけは自分の持分の割合分しか請求できない点が落とし穴です。

判断の順序:どの行為にあたるか → 単独でよいか、持分の過半数か、全員の同意か

法令確認:民法249条民法251条1項民法252条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

商法と民法でルールが変わる場面

まず当事者が商人かどうか、その行為が商行為かどうかを確認します。商人間の商行為なら商法が先に適用され、代理・寄託・留置権の結論が民法と変わります。

適用される順序

最重要
民法(一般の人のルール)
商事について商法にも商慣習にも定めがないときに、はじめて民法が適用される(商法1条2項)
商法(商売をしている人のルール)
商人の営業・商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがある場合を除き商法による(1条1項)

判断ポイント

商法→商慣習→民法の順です。「まず民法、次に商慣習」と入れ替えた肢が定番の誤りです。

本人のためにすることを示さなかった代理行為

民法(一般の人のルール)
相手方が善意無過失のときは、代理人自身のためにした意思表示とみなされる(民法100条
商法(商売をしている人のルール)
示さなくても本人に対して効力を生じる。相手方が知らなかったときは代理人に履行を請求することもできる(504条

判断ポイント

商法では相手方に選択の余地を残す形で、本人への効果帰属が原則になります。

本人が死亡したときの代理権

民法(一般の人のルール)
本人が死亡すると代理権は消滅する(民法111条1項1号)
商法(商売をしている人のルール)
商行為の委任による代理権は、本人が死亡しても消滅しない(506条

判断ポイント

商取引は継続的に行われるため、本人の死亡で取引を止めない扱いになっています。

無報酬で物を預かった者の注意義務

民法(一般の人のルール)
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって保管すれば足りる(民法659条
商法(商売をしている人のルール)
営業の範囲内で寄託を受けた商人は、無報酬であっても善良な管理者の注意をもって保管する(595条

判断ポイント

「無報酬だから注意義務が軽い」は民法の話で、商人にはあてはまりません。

留置権の目的物と牽連性

民法(一般の人のルール)
債務者所有の物かどうかを問わないが、債権と物との直接的・個別的な関係が必要
商法(商売をしている人のルール)
債務者所有の物に限られるが、債権と物との関係は一般的・抽象的なもので足りる(521条

判断ポイント

商法は「目的物の範囲は狭く、牽連性はゆるく」と逆方向に振れています。

質権の流質契約

民法(一般の人のルール)
禁止される
商法(商売をしている人のルール)
商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権では有効になる(515条

判断ポイント

商人は自分の利害を自分で計算できるため、法が後見的に介入しないという理由づけです。

混同注意・比較表

法人の支出と目的の範囲(会社と強制加入団体)

まず脱退の自由がある団体かを確かめます。強制加入団体では、構成員の考えが割れる支出かどうかで、目的の範囲内といえるかの結論が変わります。

団体の性質

株式会社
加入も脱退も自由な法人で、自然人と同様に政治的行為の自由を有する
税理士会
加入が法律で義務付けられた強制加入団体。税理士として働くには登録が必要
司法書士会
税理士会と同じく、加入が法律で義務付けられた強制加入団体

判断ポイント

問題になった支出

株式会社
政党など政治団体への政治資金の寄付。会社が政治献金をできるかが争われた
税理士会
税理士法の改正運動に関して政治献金をするため、会員から特別会費を徴収する総会決議
司法書士会
阪神・淡路大震災で被災した兵庫県司法書士会への復興支援拠出金の寄付

判断ポイント

目的の範囲内か

最重要
株式会社
範囲内の行為
税理士会
範囲外の行為
司法書士会
範囲内の行為

判断ポイント

同じ強制加入団体でも、政治献金か相互扶助かで結論が反転します。

判例

株式会社
八幡製鉄事件(最大判昭和45年6月24日)。政治資金の寄付も政治的行為の自由の一環とした
税理士会
南九州税理士会政治献金事件(最判平成8年3月19日)。特別会費を徴収する総会決議を無効とした
司法書士会
群馬司法書士会事件(最判平成14年4月25日)。復興支援拠出金を目的の範囲内とした

判断ポイント

分かれ目

株式会社
政治活動の自由の保障は株式会社にも及ぶので、政治献金を行うことができる
税理士会
政治色のある献金は、構成員個人の政治思想に基づいて判断すべきという要請が強く働く
司法書士会
政治献金ではなく司法書士会どうしの支援であるため、強制加入団体でも範囲内とされた

判断ポイント

判断の順序:脱退できる団体か → その支出は政治色のあるものか → 目的の範囲内といえるか

法令確認:日本国憲法21条1項(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

国会の権能と議院の権能

まず衆参が一緒に行うことなのか、各議院が単独で行えることなのかを見ます。裁判やルールづくりのように、似た名前で所属が分かれるものが狙われます。

誰が行うか

国会の権能
衆議院と参議院が共同して行うことができるもの
議院の権能
衆議院と参議院がそれぞれ独立して行うことができるもの

判断ポイント

裁判に関するもの

最重要
国会の権能
弾劾裁判所の設置(64条)。裁判官を罷免すべきかを判断する機関で、衆参各7人の計14人で構成する
議院の権能
議員の資格争訟の裁判(55条)。議席を失わせるには出席議員の3分の2以上の議決が必要

判断ポイント

資格争訟は裁判という名前でも裁判所ではなく議院の権能です。

ルールをつくるもの

国会の権能
法律の制定(59条)と、憲法改正の発議(96条
議院の権能
議院規則の制定(58条2項)。各議院が自分の議事のルールを定める

判断ポイント

人に関するもの

国会の権能
内閣総理大臣の指名(67条)。国会議員の中から国会の議決で指名する
議院の権能
議長その他の役員の選任(58条1項)と、議員の懲罰(58条2項)

判断ポイント

そのほか

国会の権能
条約の承認(61条)と、予算の議決などの財政監督(86条等)
議院の権能
国政調査権(62条)、国務大臣の出席要求(63条)、会期前に逮捕された議員の釈放要求(50条)、秘密会の開催(57条1項)

判断ポイント

覚え方:国全体に効くものは国会、議院の中のことは議院。裁判とルールづくりは両方にあるので条文で押さえる

法令確認:日本国憲法55条・58条・62条・64条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

行政行為の4つの効力の使い分け

名称を覚えるだけでは肢が切れません。まず「誰を、いつから縛る効力か」を確かめると、国民を縛る効力と、私人の主張を封じる効力と、行政庁自身を縛る効力に分かれます。

どんな効力か

公定力
瑕疵ある行政行為でも、権限のある行政機関または裁判所が取り消すまでは一応有効として扱われる
不可争力
一定期間が経過すると、相手方や利害関係人など私人の側からは効力を争えなくなる
不可変更力
行政庁が行った行政行為を、行政庁が自ら変更することができなくなる
執行力(自力執行力)
義務を履行しない者に対し、裁判所の力を借りずに自力で内容を強制的に実現できる

判断ポイント

同じ「効力」でも、有効に扱う話・争えなくなる話・変えられなくなる話と中身が違います。

縛られるのは誰か

最重要
公定力
国民の側。取り消されるまでは違法な処分でも有効なものとして扱われる
不可争力
私人の側。期間が過ぎても処分庁が職権で取り消すことは可能
不可変更力
行政庁の側。審査請求の裁決をした審査庁は、いったん下した裁決を自ら変更できない
執行力(自力執行力)
国民の側。義務の内容が行政庁の手で強制的に実現される

判断ポイント

不可争力は私人だけを封じる効力で、行政庁の職権取消しまでは封じません。

どの行為に生じるか

公定力
瑕疵ある行政行為一般。ただし重大かつ明白な瑕疵で無効な行為には公定力がない
不可争力
行政行為一般。無効な行為には生じず、期間の制限なくいつでも無効を主張できる
不可変更力
審査請求の裁決など一部の行政行為に認められるもので、行政行為一般に認められるものではない
執行力(自力執行力)
義務を課す行政行為について問題になる。自力執行には別に法律の根拠が必要

判断ポイント

無効な行政行為には公定力も不可争力も生じない、という線引きが出発点です。

落としやすい注意点

公定力
国家賠償請求訴訟や刑事訴訟で違法を主張するのに、あらかじめ取消判決を得ておく必要はない
不可争力
私人が争えなくなるだけで、期間経過後も行政庁が職権で取り消すことはできる
不可変更力
裁決にも公定力と不可争力は働く。取り消されるまで有効で、期間が過ぎれば争えなくなる
執行力(自力執行力)
強制執行を自力で行うことを認めるだけで、法律の根拠なしに強制執行できる意味ではない

判断ポイント

公定力は取消しの話であって、金銭賠償を求める国家賠償には及びません。

並べ方:国民を縛る公定力と執行力、私人の主張を封じる不可争力、行政庁自身を縛る不可変更力

法令確認:行政事件訴訟法(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

取消判決の効力(形成力・第三者効・拘束力・既判力)の違い

最初に見るのは、その効力が認容判決だけのものか、棄却判決にも生じるものかです。ここを分けておくと、誰に及ぶかとやり直し義務の有無も整理できます。

効力の内容

形成力
取消判決により処分の効力が失われ、最初からなかったことになる
第三者効
処分を取り消す判決の形成力が、訴訟の当事者以外の第三者に対しても及ぶ
拘束力
取消判決が処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する
既判力
判決が確定すると、同一の事項について確定判決と矛盾する主張・判断を後の訴訟でできなくなる

判断ポイント

3つは処分の運命に関する効力、既判力だけが後の訴訟に関する効力です。

どの判決で生じるか

最重要
形成力
請求を認める認容判決(取消判決)のときの効力である
第三者効
処分または裁決を取り消す判決だけに生じ、棄却判決には生じない
拘束力
取消判決のときの効力で、棄却判決には生じない
既判力
認容判決にも棄却判決にも認められる効力である

判断ポイント

棄却判決にも拘束力や第三者効があるとする肢が正面から問われます。

どこまで及ぶか

形成力
処分の効力そのものに及び、処分庁の職権取消しを待たずに効力が失われる
第三者効
原告・被告以外の第三者にも判決の効力が及ぶ
拘束力
処分をした行政庁だけでなく、その他の関係行政庁にも及ぶ
既判力
後の訴訟に及び、同じ事項を蒸し返すことができなくなる

判断ポイント

拘束力が処分庁だけに及ぶとする主体のすり替えに注意します。

実務上どうなるか

形成力
処分は当初からなかった扱いになるため、改めて取消しの手続をとる必要がない
第三者効
処分が取り消されたことを前提に、第三者の法律関係も処理される
拘束力
申請を却下・棄却した処分が取り消されたら、処分庁は判決の趣旨に従い改めて処分をする(33条2項)
既判力
同じ争点をもう一度訴訟で持ち出しても、判断は覆らない

判断ポイント

やり直し義務まで課すのは拘束力だけで、形成力は処分を消すだけです。

覚え方:形成力・第三者効・拘束力は取消判決だけ、既判力は棄却判決にも生じる

法令確認:行政事件訴訟法32条・33条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

消滅時効の期間と起算点

最初に何の権利かを確認します。債権は主観的起算点と客観的起算点の二本立てで早い方の満了により完成し、不法行為では3年と20年に数字が変わります。

知った時からの期間

一般の債権(166条1項)
権利を行使できることを知った時から5年
不法行為による損害賠償請求権(724条)
損害および加害者を知った時から3年
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
規定なし

判断ポイント

主観的起算点は「知った時」であり、権利が発生した時ではない点に注意します。

行使できる時からの期間

一般の債権(166条1項)
権利を行使することができる時から10年
不法行為による損害賠償請求権(724条)
不法行為の時から20年
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
権利を行使することができる時から20年

判断ポイント

所有権そのものは消滅時効にかからず、所有権に基づく物権的請求権も同様です。

人の生命または身体の侵害の場合

最重要
一般の債権(166条1項)
行使できる時からの期間が10年ではなく20年になる(167条
不法行為による損害賠償請求権(724条)
知った時からの期間が3年ではなく5年になる(724条の2
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
規定なし

判断ポイント

どちらの構成でも「知った時から5年・起算点から20年」にそろうよう調整されています。

二つの期間の関係

一般の債権(166条1項)
両方を併用し、いずれかが満了した時に時効が完成する
不法行為による損害賠償請求権(724条)
いずれかが満了した時に時効が完成する
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
行使できる時からの20年という一本だけ

判断ポイント

後から知っても客観的期間の満了で完成するため、遅い方まで待てるわけではありません。

覚え方:主観的起算点と客観的起算点をセットで確認し、早く満了する方で完成すると考える

法令確認:民法166条民法167条民法724条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

相続欠格と廃除の違い

最初に確かめるのは家庭裁判所の手続が要るかどうかです。欠格は当然に効力が生じ、廃除は被相続人の請求と審判があってはじめて効力が生じます。

対象になる人

相続欠格(891条)
遺言書を偽造・隠匿するなど相続に関して悪い行為をしたすべての推定相続人
推定相続人の廃除(892条)
被相続人に虐待や重大な侮辱を加えたときなどの、遺留分を有する推定相続人

判断ポイント

廃除は遺留分を持つ推定相続人が対象なので、遺留分のない兄弟姉妹は廃除できません。

効力の発生

最重要
相続欠格(891条)
何らの手続も要らず、法律上当然に相続権を失わせる
推定相続人の廃除(892条)
被相続人の請求により、家庭裁判所の審判で相続権を失わせる

判断ポイント

欠格に家庭裁判所の手続が必要と書かれていたら誤りです。ここが最頻出の分かれ目です。

他の人の相続との関係

相続欠格(891条)
その被相続人以外の者との関係では相続能力は否定されず、他の人の相続人にはなれる
推定相続人の廃除(892条)
廃除された者も、その被相続人以外の者との関係では相続能力を否定されない

判断ポイント

どちらも一身専属的で、父の相続権を失っても母を相続することはできます。

資格を回復する制度

相続欠格(891条)
回復の制度はない
推定相続人の廃除(892条)
被相続人は、家庭裁判所に廃除の取消しを請求することができる

判断ポイント

被相続人の意思で始まる廃除だからこそ、被相続人の意思で取り消せます。

代襲相続の原因になるか

相続欠格(891条)
なる。欠格で相続権を失った子の直系卑属が代わりに相続する(887条2項)
推定相続人の廃除(892条)
なる。廃除で相続権を失った場合も代襲相続が生じる(887条2項)

判断ポイント

代襲原因は死亡・欠格・廃除の3つで、相続放棄は代襲原因になりません。

手続が要るかで見分ける。どちらも代襲原因になり、代襲原因にならないのは相続放棄だけ

法令確認:民法891条民法892条民法887条2項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

即時取得された動産を元の所有者が取り戻せる場面

最初にその動産がどう手を離れたかを見ます。だまし取られたのか、盗まれたか落としたのかで、元の所有者が取り戻せるかどうかと、そのための条件が変わります。

買主の即時取得

だまし取られた動産・貸していた動産
192条の要件を満たせば成立し、元の所有者は所有権を失う
盗まれた動産・落とした動産
192条の要件を満たせば成立するが、回復請求という例外がある
盗品等を競売や公の市場で善意で買った場合
192条の要件を満たせば成立し、代価の弁償なしには取り戻されない

判断ポイント

占有改定では即時取得できず、現実の引渡し・簡易の引渡し・指図による占有移転なら成立します。

元の所有者の回復請求

最重要
だまし取られた動産・貸していた動産
できない
盗まれた動産・落とした動産
できる
盗品等を競売や公の市場で善意で買った場合
占有者が支払った代価を弁償しなければできない(194条

判断ポイント

回復請求が認められるのは盗品と遺失物だけで、詐取や貸借の場合には認められません。

請求できる期間と起算点

だまし取られた動産・貸していた動産
回復請求そのものが認められないため期間の定めもない
盗まれた動産・落とした動産
盗難または遺失の時から2年193条
盗品等を競売や公の市場で善意で買った場合
盗難または遺失の時から2年193条

判断ポイント

起算点は占有者が買った時ではなく盗難・遺失の時で、ここを入れ替える出題が定番です。

判断の順序:即時取得の要件を満たすか → 盗品・遺失物か → 2年以内か → 代価の弁償が要るか

法令確認:民法192条民法193条民法194条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

制限行為能力者の保護者がもつ4つの権限

最初に保護者に同意権があるかを見ます。成年後見人だけ同意権がないため、同意を得てした行為でもなお取り消せます。保佐人と補助人は審判で権限が足される点も押さえます。

保護される本人

親権者・未成年後見人
18歳未満の未成年者(4条)。親権者がいないときは未成年後見人が保護者になる
成年後見人
事理を弁識する能力を欠く常況で後見開始の審判を受けた者(7条
保佐人
事理を弁識する能力が著しく不十分で保佐開始の審判を受けた者(11条
補助人
事理を弁識する能力が不十分で補助開始の審判を受けた者(15条1項)

判断ポイント

判断能力がどれだけ残っているかで類型が決まり、残っているほど本人が単独でできる範囲が広がります。

同意権

最重要
親権者・未成年後見人
あり
成年後見人
なし
保佐人
あり
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

成年後見人に同意権はないので、後見人の同意を得てした行為でもなお取り消すことができます。

代理権

親権者・未成年後見人
あり
成年後見人
あり
保佐人
原則なし。代理権付与の審判で付与される(876条の4
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

保佐人と補助人は当然には代理権をもたず、代理権付与の審判があってはじめて代理できます。

取消権・追認権

親権者・未成年後見人
どちらもあり
成年後見人
どちらもあり
保佐人
どちらもあり
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

取り消せるのは本人と保護者の双方であり、契約の相手方には取消権が認められていません。

本人が単独でできる行為

親権者・未成年後見人
単に権利を得または義務を免れる行為、処分を許された財産の処分、許された営業に関する行為(5条1項・3項、6条1項)
成年後見人
日用品の購入その他日常生活に関する行為。これは勝手に行っても取り消せない(9条
保佐人
13条1項に挙げられた重要な財産上の行為以外は単独でできる
補助人
13条1項の行為のうち審判で定められた特定の行為以外は単独でできる

判断ポイント

後見は原則単独では不可で例外的に可、保佐と補助は原則単独で可で例外的に不可と、発想が逆になります。

最重要・比較表

行政書士(個人)と行政書士法人の違い

最初に見るのは事務所の数です。複数の事務所を禁じられているのは個人だけで、そこから懲戒処分の3つ目の内容まで枝分かれしていきます。

事務所

行政書士(個人)
業務を行うための事務所を設けなければならず、2以上設けてはならない(8条1項・2項)。使用人である行政書士等は事務所を設けられない(同3項)
行政書士法人
定款に主たる事務所および従たる事務所の所在地を記載する(13条の8第3項)

判断ポイント

複数事務所の禁止は個人に対する規制です。法人にも及ぶとする記述が誤りになります。

成立の仕方

行政書士(個人)
行政書士となる資格を有する者が行政書士名簿に登録を受けて行政書士となる(6条1項)
行政書士法人
社員となる行政書士が定款を定め(13条の8第1項)、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによって成立する(13条の9

判断ポイント

法人は主たる事務所の所在地での設立登記によって成立し(13条の9)、社員となれるのは行政書士だけです(13条の5第1項)。

懲戒処分の種類

最重要
行政書士(個人)
戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3つ(14条
行政書士法人
戒告、2年以内の業務の全部または一部の停止、解散の3つ(14条の2第1項)

判断ポイント

個人に解散はなく、法人に業務の禁止はありません。3つ目だけが入れ替わります。

懲戒を行う者

行政書士(個人)
都道府県知事が、当該行政書士に対して懲戒処分をする(14条
行政書士法人
主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事が処分をする(14条の2第1項)

判断ポイント

懲戒権者は連合会でも総務大臣でもなく都道府県知事です。

立入検査

行政書士(個人)
都道府県知事は日没から日出までの時間を除き、事務所に立ち入り帳簿と関係書類を検査させることができる(13条の22第1項)
行政書士法人
法人の事務所も同じ規定の対象で、日没から日出までの時間を除いて検査させることができる(13条の22第1項)

判断ポイント

夜間に立入検査ができるとする記述は誤りです。個人と法人で扱いは変わりません。

混同注意・比較表

登録の拒否・取消し・抹消の使い分け

最初に確認するのは「誰が行うか」です。3つとも日本行政書士会連合会が行い都道府県知事は出てきません。次に義務か裁量かを見ます。

処分を行う者

登録の拒否
日本行政書士会連合会が登録を拒否する(6条の2第2項)
登録の取消し
日本行政書士会連合会が登録を取り消す(6条の5第1項)
登録の抹消
日本行政書士会連合会が登録を抹消する(7条1項・2項)

判断ポイント

行政書士名簿は連合会に備えられ、登録に関する処分もすべて連合会が行います。

主な事由

登録の拒否
行政書士となる資格がないとき、心身の故障で業務を行えないとき、信用や品位を害するおそれがあるなど適格性を欠くとき(6条の2第2項)
登録の取消し
偽りその他不正の手段により登録を受けたことが判明したとき(6条の5第1項)
登録の抹消
欠格事由への該当、廃業の届出、死亡、登録取消処分(7条1項)。2年以上業務を行わないとき等は7条2項による

判断ポイント

不正な手段で登録を受けた場合は取消し、資格や業務の実態が失われた場合は抹消と整理します。

義務か裁量か

最重要
登録の拒否
事由に当たると認めたときは登録を拒否しなければならない(6条の2第2項)
登録の取消し
判明したときは登録を取り消さなければならない(6条の5第1項)
登録の抹消
7条1項の事由は抹消しなければならず、7条2項の事由は抹消することができる

判断ポイント

抹消だけが義務と裁量に分かれます。この2つを入れ替えて誤りとする問題が定番です。

不服があるとき

登録の拒否
総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の3第1項)
登録の取消し
同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の5第3項)
登録の抹消
7条2項の裁量的な抹消であれば、同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(7条3項)。7条1項の必要的な抹消は準用の対象外

判断ポイント

相手方を都道府県知事とする記述は誤りです。登録まわりの不服申立ては総務大臣です。

混同注意・比較表

行政書士と特定行政書士でできる業務の違い

最初に見るのは「不服申立ての代理かどうか」です。特定行政書士に限られるのはそこだけで、書類の作成も提出手続の代理も一般の行政書士が行えます。

作成できる書類

一般の行政書士
官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の3類型を作成できる(1条の3第1項)
特定行政書士
作成できる書類は一般の行政書士と同じ3類型で、特定行政書士になっても作成できる書類は増えない

判断ポイント

特定行政書士は作成できる書類が広がる資格ではありません。差は代理の場面に出ます。

提出手続の代理と相談

一般の行政書士
官公署に提出する手続を代理でき(1条の4第1項1号)、書類の作成について相談に応ずることもできる(同項4号)
特定行政書士
同じく提出手続の代理も相談もできる。これらは特定行政書士に限定された業務ではない

判断ポイント

1条の4の業務がすべて特定行政書士に限られる、という言い回しが誤りの定番です。

許認可等の不服申立ての代理

最重要
一般の行政書士
代理できない
特定行政書士
行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等に関する審査請求等の手続を代理できる(1条の4第1項2号・2項)

判断ポイント

差がつくのはこの1行だけです。対象は自分が作成できる官公署提出書類に係る許認可等に限られます。

必要な手続

一般の行政書士
行政書士名簿への登録を受ければ足り、それ以上の研修は求められない
特定行政書士
日本行政書士会連合会が実施する所定の研修課程を修了した行政書士が特定行政書士となる(1条の4第2項)

判断ポイント

特定行政書士は試験ではなく研修の修了で得られる立場である点が問われます。

判断の順序:不服申立ての代理か → 該当すれば特定行政書士のみ、それ以外は一般の行政書士も行える

法令確認:行政書士法1条の3・1条の4(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

聴聞と弁明の機会の付与の違い

まず、その不利益処分が許認可の取消しなど打撃の大きいものかを確かめます。ここで聴聞か弁明かが決まり、使える手続の中身まで一気に変わります。

とられる場面

最重要
聴聞
許認可等を取り消す処分、名あて人の資格や地位を直接はく奪する処分、法人の役員の解任を命ずる処分など。これら以外でも行政庁が相当と認めるときは聴聞になる
弁明の機会の付与
聴聞の手続がとられる場合以外の不利益処分。営業停止の処分をしようとするときが例

判断ポイント

営業停止は資格のはく奪ではないので、原則として弁明で足ります。

審理の方式

聴聞
口頭審理を原則とする正式の手続で、期日に出頭して意見を述べる
弁明の機会の付与
書面審理を原則とする略式の手続。行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書の提出による

判断ポイント

口頭でするかどうかを選べるのは行政庁で、当事者が選べるわけではありません。

参加人・補佐人

聴聞
利害関係人は主宰者の許可を得て参加でき、当事者は主宰者の許可を得て補佐人とともに出頭できる
弁明の機会の付与
参加人の規定も補佐人の規定も準用されていない

判断ポイント

参加の求めも許可も主宰者の権限で、行政庁の権限ではありません。

代理人

聴聞
選任できる
弁明の機会の付与
選任できる

判断ポイント

弁明に準用されているのは、公示送達(15条3項)と代理人(16条)だけです。

文書等の閲覧請求

聴聞
聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求められる
弁明の機会の付与
閲覧請求はできない

判断ポイント

閲覧できる期間の終わりは聴聞の期日ではなく、聴聞が終結する時までです。

通知の際の教示

聴聞
期日に出頭して意見を述べ証拠書類等を提出できること、資料の閲覧を求められることを教示する
弁明の機会の付与
教示の規定はない

判断ポイント

弁明の通知事項は、処分の内容と根拠、原因事実、弁明書の提出先と提出期限の三つだけです。

順序:資格や許認可をはく奪する処分か → 聴聞なら口頭審理・参加人・閲覧・教示がそろう → 弁明では代理人と公示送達だけが準用される

法令確認:行政手続法13条・29条から31条まで(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

行政機関等への開示請求・訂正請求・利用停止請求

最初に確認するのは開示を受けたかどうかです。訂正と利用停止は開示を受けた後90日以内でなければ請求できず、開示請求だけが入口になります。

請求できる場面

開示請求
何人も、行政機関の長等に対し、自己を本人とする保有個人情報の開示を請求できる(76条1項)
訂正請求
何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときに請求できる(90条1項)
利用停止請求
何人も、利用目的の達成に必要な範囲を超えて保有されていると思料するときに請求できる(98条1項1号)

判断ポイント

いずれも「自己を本人とする」保有個人情報に限られ、他人の情報は請求できません。

請求できる内容

開示請求
当該保有個人情報の開示。法定代理人や任意代理人も本人に代わって請求できる(76条2項)
訂正請求
当該保有個人情報の内容の訂正、追加または削除(90条1項)
利用停止請求
当該保有個人情報の利用の停止または消去(98条1項)

判断ポイント

訂正の対象は内容が事実でないことです。主観的な評価は訂正を求められません。

開示を受けていることが前提か

最重要
開示請求
開示を受けていることは要件ではなく、この請求が本人関与の入口になる
訂正請求
開示を受けた日から90日以内にしなければならない(90条3項)
利用停止請求
開示を受けた日から90日以内にしなければならない(98条3項)

判断ポイント

訂正と利用停止には開示前置主義がとられており、順序を逆にはできません。

不服があるとき

開示請求
開示決定等や請求に係る不作為について審査請求ができ、原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問される(105条1項)
訂正請求
訂正決定等や請求に係る不作為について審査請求ができ、同じく審査会に諮問される(105条1項)
利用停止請求
利用停止決定等や請求に係る不作為について審査請求ができ、同じく審査会に諮問される(105条1項)

判断ポイント

諮問先は個人情報保護委員会ではなく情報公開・個人情報保護審査会です。

最重要・比較表

衆議院の優越(法律案・予算・条約・首相指名)

まず何についての議決かを確かめます。衆議院の優越が認められるのはこの四つだけで、両院協議会が任意か必要か、参議院が動かないときの日数がそれぞれ違います。

衆議院の先議権

法律案の議決
先議権はない
予算の議決
先に衆議院に提出しなければならない(60条1項)
条約の承認
先議権はない
内閣総理大臣の指名
先議権はない

判断ポイント

四つのうち先に衆議院へ出すことが決まっているのは予算だけです。

両院協議会の開催

最重要
法律案の議決
任意的。衆議院が求めることはできるが、開かなくてもよい(59条3項)
予算の議決
必要的。両院で異なった議決になったときは必ず開かれる
条約の承認
必要的。両院で異なった議決になったときは必ず開かれる
内閣総理大臣の指名
必要的。両院で異なった議決になったときは必ず開かれる

判断ポイント

任意なのは法律案だけ。任意と必要を入れ替える肢が定番です。

参議院が議決しないとき

法律案の議決
60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院が否決したものとみなすことができる
予算の議決
30日以内に議決しないときは、衆議院の議決がそのまま国会の議決となる
条約の承認
30日以内に議決しないときは、衆議院の議決がそのまま国会の議決となる
内閣総理大臣の指名
10日以内に議決しないときは、衆議院の議決がそのまま国会の議決となる

判断ポイント

60日は否決とみなす制度、30日10日は衆議院の議決が国会の議決になる制度です。

衆議院の再可決

法律案の議決
あり。出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば法律となる
予算の議決
再可決の制度はない
条約の承認
再可決の制度はない
内閣総理大臣の指名
再可決の制度はない

判断ポイント

判断の順序:何の議決か → 両院協議会は任意か必要か → 参議院が動かないときの日数 → 再可決があるのは法律案だけ

法令確認:日本国憲法59条・60条・61条・67条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

催告に返事がないときの効果

最初に「誰に催告したか」を確かめます。単独で追認できる人に催告して返事がなければ追認、そうでない本人に催告したときは類型ごとに取消しか効果なしに分かれます。

行為能力者となった後に本人へ催告した

未成年者
追認とみなす
成年被後見人
追認とみなす
被保佐人
追認とみなす
被補助人
追認とみなす

判断ポイント

行為能力者になった本人は単独で追認できる立場なので、無言なら追認したものとして扱われます。

制限行為能力者のまま保護者へ催告した

未成年者
追認とみなす
成年被後見人
追認とみなす
被保佐人
追認とみなす
被補助人
追認とみなす

判断ポイント

保護者は単独で追認できるため、返事がなければ契約は確定的に有効になります。

制限行為能力者のまま本人へ催告した

最重要
未成年者
効果が生じない
成年被後見人
効果が生じない
被保佐人
取り消したものとみなす。保佐人の追認を得よという催告に期間内の通知がないとき
被補助人
取り消したものとみなす。補助人の追認を得よという催告に期間内の通知がないとき

判断ポイント

未成年者と成年被後見人は催告を受け取る力がなく、被保佐人と被補助人は取消し扱いになります。

定めるべき期間

未成年者
1か月以上の期間を定めて催告する(20条
成年被後見人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条
被保佐人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条
被補助人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条

判断ポイント

期間は類型を問わず1か月以上で、無権代理の催告が「相当の期間」であるのと書き分けられています。

覚え方:単独で追認できる人に催告すれば追認、単独で追認できない本人に催告すれば取消しか効果なし

法令確認:民法20条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

発起設立と募集設立の手続の違い

最初に、発起人以外からも出資を募るかどうかを確認します。募るなら創立総会の開催が必要になり、払込取扱機関の保管証明義務も生じます。

誰が出資するか

発起設立
発起人だけが設立時発行株式の全部を引き受けて出資する
募集設立
発起人が一部を引き受けたうえで、残りについて発起人以外の引受人を募集する

判断ポイント

どちらの方法でも、各発起人は最低1株以上を引き受けなければなりません(25条2項)。

創立総会の開催

最重要
発起設立
開催は不要
募集設立
開催が必要(65条1項)

判断ポイント

創立総会は募集設立だけの手続です。「発起設立でも必要」とする肢が定番の誤りです。

設立時取締役の選任

発起設立
発起人が、その議決権の過半数で選任する(38条1項)
募集設立
創立総会の決議によって選任する(88条1項)

判断ポイント

設立時取締役の仕事は設立過程の調査で、設立手続の執行は発起人の仕事です。

出資を履行しない者の扱い

発起設立
発起人に失権予告付きの催告をし、それでも履行しないときに失権する(36条
募集設立
発起人には失権予告付催告が必要だが、発起人以外の引受人は期日までに履行しないと当然に失権する(63条3項)

判断ポイント

催告が要るのは発起人だけ。募集に応じた引受人は催告なしで当然失権します。

払込取扱機関の保管証明義務

発起設立
証明義務なし
募集設立
証明義務あり(64条1項)

判断ポイント

払込みを銀行等の払込取扱場所で行う点は共通で、証明義務の有無だけが違います。

発起人の引受担保責任

発起設立
なし。予定額に届かなくても発起人が差額を負担する義務はない
募集設立
なし。かつては存在したが法改正で廃止されている

判断ポイント

どちらの方法でも引受担保責任は生じません。改正前の知識を使わせる肢に注意します。

最重要・比較表

意思表示の無効・取消しと第三者の保護

最初に効果が無効か取消しかを確認し、次に保護される第三者の主観を見ます。善意で足りるのか無過失まで要るのか、強迫だけ保護規定がないことが結論を分けます。

意思表示の効果

虚偽表示(94条)
無効となる
錯誤(95条)
取り消せる
詐欺(96条)
取り消せる
強迫(96条)
取り消せる

判断ポイント

取消しは瑕疵ある意思表示をした本人や代理人・承継人しかできず、無効にはその制限がありません。

第三者を保護する規定

虚偽表示(94条)
94条2項が、無効を善意の第三者に対抗できないと定める
錯誤(95条)
95条4項が、取消しを善意でかつ過失がない第三者に対抗できないと定める
詐欺(96条)
96条3項が、取消しを善意でかつ過失がない第三者に対抗できないと定める
強迫(96条)
規定なし

判断ポイント

96条3項は詐欺だけを対象にしており、強迫には第三者を保護する規定が置かれていません。

保護される第三者の主観

虚偽表示(94条)
善意であればよく、過失の有無も登記を備えているかも問わない
錯誤(95条)
善意でかつ過失がないことが必要
詐欺(96条)
善意でかつ過失がないことが必要。登記名義を移してあるかは関係ない
強迫(96条)
保護規定がないため、善意か悪意か、過失があるかを問わない

判断ポイント

虚偽表示だけが善意で足り、錯誤と詐欺は無過失まで要求される点が答えを分けます。

善意無過失の第三者に無効・取消しを対抗できるか

最重要
虚偽表示(94条)
できない
錯誤(95条)
できない
詐欺(96条)
できない
強迫(96条)
できる

判断ポイント

強迫された表意者には落ち度がないため、善意無過失の第三者よりも厚く保護されます。

混同注意・比較表

賃貸借と使用貸借の違い

最初に見るのは対価があるかどうかです。無償の使用貸借は借主の死亡で終わり、通常の必要費も借主が負担するなど、費用と終了の扱いが変わります。

対価

賃貸借契約
相手方に物の使用・収益をさせ、賃料の支払を受ける有償の契約(601条
使用貸借契約
受け取った物を無償で使用・収益させ、終了時に返還を受ける契約(593条

判断ポイント

賃料があるかどうかが出発点で、ここから費用負担や終了のルールが枝分かれします。

存続期間と終わり方

賃貸借契約
存続期間は最長50年で、これより長い期間を定めても50年になる(604条1項)
使用貸借契約
期間を定めればその満了で終了し、期間も使用収益の目的も定めなければ貸主はいつでも解除できる(598条2項)

判断ポイント

使用貸借には上限期間の規定がなく、目的も期間も決めていなければ貸主の一存で終わらせられます。

通常の必要費

賃貸借契約
賃貸人の負担。賃借人が支出したときは直ちに償還を請求できる(608条1項)
使用貸借契約
借主が自分で負担する。貸主に償還を請求できない(595条1項)

判断ポイント

「直ちに償還請求できる」のは賃貸借の必要費だけで、使用貸借では借主の持ち出しになります。

有益費

賃貸借契約
賃貸借の終了の時に、価格の増加が現存する限り償還される(608条2項本文)
使用貸借契約
通常の必要費以外の費用として、貸主に償還を請求できる(595条2項)

判断ポイント

有益費はどちらも終了時の精算で、必要費のように直ちに請求できるわけではありません。

借主が死亡したとき

最重要
賃貸借契約
賃借人が死亡しても賃貸借契約の効力は失われない
使用貸借契約
借主の死亡によって使用貸借は終了する(597条3項)

判断ポイント

無償で借りている以上、借主個人への信頼が前提なので死亡で終わると考えると覚えやすいです。

最重要・比較表

司法審査の対象になるもの・ならないもの

法律上の争訟にあたっても審査されないことがあります。まず誰の判断に委ねられた事柄かを見て、次にその判断が一般社会に影響するかを確かめます。

法律の制定の議事手続

司法審査の対象
審査されない
そうなる理由と判例
両院の自主性を尊重すべき自律権の問題であり、有効無効を判断すべきでない(警察法改正無効事件)

判断ポイント

衆議院の解散

司法審査の対象
審査されない
そうなる理由と判例
直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、法律的な判断が可能でも対象から除外される(苫米地事件)

判断ポイント

法律上の争訟にあたらないから審査しない、という理由づけではありません。

大学の単位の不認定

司法審査の対象
審査されない
そうなる理由と判例
一般市民法秩序と直接の関係を有しない大学内部の問題にとどまる(富山大学単位不認定事件)

判断ポイント

大学の専攻科修了の不認定

司法審査の対象
審査される
そうなる理由と判例
専攻科の修了を認定しないことは、実質的に一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否するに等しく、一般市民法秩序と直接の関係をもつ(富山大学専攻科修了認定事件)

判断ポイント

地方議会議員の出席停止

最重要
司法審査の対象
審査される
そうなる理由と判例
議員としての中核的な活動ができなくなるため、裁判所は常にその適否を判断できる(最大判令和2年11月25日

判断ポイント

令和2年の判例変更で除名と同じ扱いになりました。国会議員の除名は自律権の問題として今も対象外です。

行政や立法の裁量に任された行為

司法審査の対象
原則として対象外
そうなる理由と判例
裁量権の逸脱または濫用があった場合に限って審査される(朝日訴訟・堀木訴訟)

判断ポイント

判断の順序:どの類型か(自律権・統治行為・部分社会・裁量)→ 一般社会に影響するか → 裁量の逸脱濫用がないか

法令確認:日本国憲法76条1項地方自治法135条1項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

地方公共団体の機関がする手続と行政手続法の適用

適用の有無は「何の手続か」と「根拠がどこにあるか」の二段で決まります。まず手続の種類を確かめ、そのうえで根拠規定が法律にあるか条例にあるかを見ます。

処分

最重要
根拠が法律・命令
適用される
根拠が条例・規則
適用されない

判断ポイント

条例を根拠に処分するなら手続の定めも条例(行政手続条例)でよい、という発想です。

行政指導

根拠が法律・命令
適用されない
根拠が条例・規則
適用されない

判断ポイント

行政指導は根拠を問わず一律に除外され、法律に根拠があれば適用されるとする肢は誤りです。

届出

根拠が法律・命令
適用される
根拠が条例・規則
適用されない

判断ポイント

処分と届出だけが、根拠のありかによって結論が分かれます。

命令等を定める行為

根拠が法律・命令
適用されない
根拠が条例・規則
適用されない

判断ポイント

命令等制定も根拠を問わず一律に除外されます。

根拠のありかで分かれるのは処分と届出だけ。行政指導と命令等制定は根拠を問わず一律に除外される

法令確認:行政手続法3条3項(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

支配人と表見支配人の権限の違い

最初に、その人が支配人として選任された者か、支配人らしい名称を付けられただけの者かを見ます。この区別で、裁判上の行為ができるかどうかが分かれます。

どういう者か

支配人
商人に雇われ、その営業に関する行為をする権限を与えられた商業使用人(21条1項)
表見支配人
支配人ではないが、営業所の営業の主任者であるかのような名称を付けられた使用人(24条

判断ポイント

どちらも商人に雇われている使用人で、支配人自身が商人になるわけではありません。

代理権の範囲

支配人
商人に代わって、その営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をすることができる(21条1項)
表見支配人
当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされる(24条本文)

判断ポイント

表見支配人は「権限があるものとみなされる」だけで、支配人にみなされるわけではありません。

裁判上の行為

最重要
支配人
できる
表見支配人
含まれない

判断ポイント

擬制されるのは裁判外の行為の代理権だけ。ここが最も出題される分かれ目です。

相手方が悪意のとき

支配人
代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できないが、悪意の第三者には対抗できる(21条3項)
表見支配人
相手方が悪意であるときは、表見支配人の規定は適用されない(24条ただし書)

判断ポイント

支配人は「制限を対抗できるか」、表見支配人は「制度自体が使えるか」で悪意が効いてきます。

地位の生じ方

支配人
商人が支配人として選任し、選任したときはその登記をしなければならない(22条前段)
表見支配人
支配人らしい名称を付けたことにより、法律上その権限があるものとみなされるにとどまる

判断ポイント

選任と登記があるのが支配人、名称だけなのが表見支配人という入口の違いです。

判断の順序:支配人として選任されているか → 裁判上の行為か裁判外の行為か → 相手方は悪意か

法令確認:商法21条・22条・24条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

非申請型義務付け訴訟と申請型義務付け訴訟の違い

最初に確かめるのは、法令に基づく申請をしているかどうかです。申請していれば申請型になり、重大な損害も補充性も不要になる代わりに併合提起が必要です。

使う場面

非申請型(直接型)義務付け訴訟
申請を前提とせず、出すべき処分が出されないとき。違反建築物への是正命令を周辺住民が求める場合など
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請をしたのに何も返答がない場合や、申請を拒否する処分がされた場合

判断ポイント

自分が申請したかどうかで、そもそもどちらの類型かが決まります。

提起できる人

非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られる(37条の2第3項)
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請または審査請求をした者に限られる(37条の3第2項)

判断ポイント

非申請型は処分の名宛人ではない第三者が原告になることが多い類型です。

重大な損害の要件

最重要
非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあることが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
重大な損害は不要

判断ポイント

非申請型の要件をそのまま申請型に当てはめる混同が最頻出です。

補充性の要件

非申請型(直接型)義務付け訴訟
その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
補充性の要件はない

判断ポイント

重大な損害だけ挙げて補充性を落とす肢が典型の誤りです。

他の訴えとの併合

非申請型(直接型)義務付け訴訟
義務付け訴訟だけを単独で提起できる。併合提起の要求は非申請型には及ばない
申請型義務付け訴訟
不作為型なら不作為の違法確認の訴え、拒否処分型なら取消訴訟等を併合提起しなければならない

判断ポイント

併合が必要なのは申請型だけ。条文は「しなければならない」です。

判断の順序:申請をしたか → 申請型なら何を併合するか、非申請型なら重大な損害と補充性を示せるか

法令確認:行政事件訴訟法37条の2・37条の3(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

契約内容不適合のときに買主ができる3つの請求

最初に確かめるのは催告が要るかどうかです。追完請求だけは催告なしででき、代金減額と解除は相当の期間を定めた催告が原則になります。

請求できる内容

履行の追完請求
目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求できる(562条1項本文)
代金減額請求
不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる(563条1項)
契約の解除
債務不履行として415条の損害賠償を請求でき、541条542条により契約を解除できる(564条

判断ポイント

564条があるため、損害賠償と解除は追完請求や代金減額請求ができる場合でも重ねて使えます。

催告が必要か

最重要
履行の追完請求
催告は不要。修補・代替物・不足分のうち買主が方法を選んで請求する(562条1項本文)
代金減額請求
相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときにできる(563条1項)
契約の解除
相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときにできる(541条本文)

判断ポイント

催告なしでよいのは追完請求だけです。減額と解除は「まず催告」が出発点になります。

催告なしでできる場合

履行の追完請求
催告の規定なし
代金減額請求
追完が不能なとき、売主が追完を拒絶する意思を明確に表示したとき、定期行為で時期を経過したときなど(563条2項)
契約の解除
債務の全部の履行が不能なとき、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときなど(542条1項)

判断ポイント

催告しても意味がない場面という発想は、563条2項と542条1項でほぼ共通しています。

買主に帰責事由があるとき

履行の追完請求
請求できない
代金減額請求
請求できない
契約の解除
解除できない

判断ポイント

不適合や不履行が買主(債権者)の責めに帰すべき事由によるときは、いずれの手段も使えません(562条2項・563条3項・543条)。

混同注意・比較表

必要的教示と請求による教示の違い

最初に見るのは、処分の相手方への教示か、利害関係人から求められた教示かです。ここが決まると、書面でしなければならないかどうかが決まります。

誰に対して教示するか

必要的教示(82条1項)
処分の相手方に対して、行政庁の側から教示する
請求による教示(82条2項)
処分の相手方以外の利害関係人に対して教示する

判断ポイント

相手方かそれ以外かで、行政庁が自分から動くかどうかが変わります。

教示義務が生じるきっかけ

必要的教示(82条1項)
審査請求できる処分を書面でするときに、当然に義務が生じる
請求による教示(82条2項)
利害関係人から教示を求められて初めて義務が生じる

判断ポイント

求めがなければ動かなくてよいのが2項の教示です。

教示する内容

必要的教示(82条1項)
審査請求できる旨、審査請求の宛先となる行政庁、審査請求できる期間の3つ
請求による教示(82条2項)
審査請求できる処分かどうか、審査請求をすべき行政庁、審査請求できる期間

判断ポイント

執行停止の申立てができる旨は、どちらの教示事項にも含まれません。

方式

最重要
必要的教示(82条1項)
必ず書面でしなければならない。処分を口頭でする場合は教示義務がない
請求による教示(82条2項)
方式の定めがなく口頭でもよいが、書面による教示を求められたときは書面でする(82条3項)

判断ポイント

1項の書面主義を2項にも及ぼす肢が典型の誤りです。

判断の順序:誰への教示か → 書面が要るか → 何を教示するか

法令確認:行政不服審査法82条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

取締役・監査役・会計参与・会計監査人の選任と任期

最初に、4つとも選任は株主総会決議だと押さえます。差がつくのは解任の決議要件と任期の年数、そして設置が義務か任意かの3点です。

役割

取締役
会社の業務を執行する(348条1項)
監査役
取締役の職務の執行を監査する(381条1項)
会計参与
取締役と共同して計算書類等を作成する(374条1項)
会計監査人
計算書類等を監査する(396条1項)

判断ポイント

会計参与は「作る側」、会計監査人は「チェックする側」という違いです。

選任

取締役
株主総会の決議で選任する(329条1項)
監査役
株主総会の決議で選任する。取締役が選任議案を出すには監査役(複数のときは過半数)の同意が必要(343条1項)
会計参与
株主総会の決議で選任する(329条1項)
会計監査人
株主総会の決議で選任する(329条1項)

判断ポイント

4つとも選任は株主総会決議です。違いが出るのは解任のほうです。

解任

最重要
取締役
株主総会の決議で解任できる(339条1項)
監査役
株主総会の特別決議が必要(339条1項、309条2項7号)
会計参与
株主総会の決議で解任できる(339条1項)
会計監査人
株主総会の決議で解任できる(339条1項)

判断ポイント

特別決議が要るのは監査役の解任だけ。監査する立場を守るための加重です。

任期

取締役
2年(選任後2年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)
監査役
4年。4つの中で最も長く、取締役の2倍になる
会計参与
2年。取締役と同じ年数になる
会計監査人
1年。4つの中で最も短い

判断ポイント

2年4年2年1年の並びで覚えます。非公開会社では取締役・監査役に加えて会計参与も10年まで伸長できますが(332条2項・336条2項・334条1項)、会計監査人は伸長できません。監査等委員会設置会社では監査等委員である取締役が2年、それ以外の取締役は1年です(332条3項・4項)。

設置

取締役
すべての株式会社に必ず置かなければならない
監査役
公開会社では設置が必要。ただし監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では置けない(327条4項)
会計参与
会社の規模や機関設計にかかわらず、定款で任意に設置できる(326条2項)
会計監査人
監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社・大会社では設置が義務(327条5項、328条

判断ポイント

大会社は資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社です。会計参与と入れ替えた肢に注意します。

会社法上の役員にあたるか

取締役
役員にあたる
監査役
役員にあたる
会計参与
役員にあたる
会計監査人
役員ではない

判断ポイント

会計監査人だけが「役員」に含まれません(329条1項)。

最重要・比較表

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

最初に見るのは実方の父母との関係が切れるかどうかです。切れるのは特別養子だけで、そのぶん成立の手続も年齢の要件も厳しく定められています。

成立の方法

普通養子縁組
縁組意思の合致と養子縁組の届出によって成立する
特別養子縁組
養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立する(817条の2第1項)

判断ポイント

届出で成立するか審判で成立するかが、そのまま他の要件の厳しさに直結します。

家庭裁判所の許可

普通養子縁組
未成年者を養子とする場合など、必要となるときがある
特別養子縁組
不要。審判によって成立するため、別に許可を得る必要はない

判断ポイント

特別養子で「許可が必要」と書かれていたら誤りです。審判そのものが成立要件だからです。

養親の要件

普通養子縁組
20歳以上であること。配偶者のある者が未成年者を養子とするときは夫婦共同縁組による
特別養子縁組
原則25歳以上で、夫婦であり共同で縁組をすること。片方が25歳以上なら他方は20歳以上でよい

判断ポイント

普通養子は独身でもなれますが、特別養子は夫婦であることが要件です。

養子の要件

普通養子縁組
年齢の上限はないが、尊属または年長者を養子とすることはできない(793条
特別養子縁組
原則15歳未満であること。実方の父母の同意と6か月以上の試験養育期間も必要

判断ポイント

特別養子は実親子関係を切るため、実方の父母の同意と試験養育という手続が加わります。

実方の父母との関係

最重要
普通養子縁組
終了しない
特別養子縁組
終了する

判断ポイント

効果の最大の違いはここで、届出でした縁組なら実親子関係は切れません。

実親子関係が切れるか → 切れるなら審判・年齢・実父母の同意・試験養育というハードルがそろっているか

法令確認:民法793条民法817条の2(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

許可・特許・認可の違い

条文の見出しが「許可」でも、講学上の分類は別物のことがあります。まず、本来禁止されていることを解除するのか、新しく権利を与えるのか、私人間の契約を完成させるのかを確かめます。

行為の内容

最重要
許可
法令等で一般的に禁止されていることを、特定の場合に解除する行為
特許
特定人のために新しく権利を設定したり、法律上の力や地位を付与する行為
認可
当事者間の法律行為を補充して、その法律効果を完成させる行為

判断ポイント

もともと自由だったことを戻すのが許可、もともとない権利を与えるのが特許です。

分類上の位置づけ

許可
命令的行為。国民が本来有している自由を制限し、またはその制限を解除する行為にあたる
特許
形成的行為。国民が本来有していない権利や地位を与える行為にあたる
認可
形成的行為。私人の法律行為を補充して効果を完成させるものとして分類される

判断ポイント

命令的行為か形成的行為かで、そもそも与えているものが違うと分かります。

具体例

許可
自動車運転免許、飲食店営業許可。いずれも一般的な禁止を特定の場合に解除している
特許
道路の占用許可、外国人の帰化許可、公有水面の埋立免許
認可
農地の権利移転の許可、銀行の合併の認可、河川占用権の譲渡の承認

判断ポイント

特許と認可の例には、条文上「許可」と書かれているものが混じっています。

条文の名称にだまされない例

許可
自動車の運転免許は運転を認めるものなので、特許ではなく許可にあたる
特許
道路の占用許可は本来ない占用の権利を設定するものなので、許可ではなく特許にあたる
認可
農地の権利移転の許可は売買契約を補充して所有権移転を完成させるので、許可ではなく認可にあたる

判断ポイント

法律が「○○の許可」と書いていても、分類は与えている効果で決まります。

判断の順序:もともと禁止されているか → 新しい権利を与えるか → 私人間の契約を完成させるか

法令確認:行政手続法(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

個人情報・個人データ・保有個人データの違い

最初に見るのはデータベースを構成しているかどうかです。構成して初めて個人データになり、事業者に開示等の権限があるものが保有個人データになります。

定義

最重要
個人情報
生存する個人に関する情報で、氏名等の記述により特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるもの(2条1項)
個人データ
個人情報データベース等を構成する個人情報(16条3項)
保有個人データ
事業者が開示、内容の訂正・追加・削除、利用の停止、消去、第三者提供の停止を行う権限を有する個人データ(16条4項)

判断ポイント

範囲は個人情報から個人データ、保有個人データへと段階的に狭くなります。

事業者に課される主な義務

個人情報
利用目的をできる限り特定し(17条1項)、本人の同意なく目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱わない(18条1項)
個人データ
正確かつ最新の内容に保つ努力、安全管理措置、第三者提供の制限が加わる(22条23条27条1項)
保有個人データ
これらに加え、本人からの開示・訂正等・利用停止等の請求に応じる義務を負う(33条35条

判断ポイント

義務は積み上がっていきます。範囲が狭いほど負う義務は重くなると考えます。

本人の開示請求

個人情報
請求の対象外
個人データ
請求の対象外
保有個人データ
開示を請求できる

判断ポイント

開示・訂正等・利用停止等を請求できるのは保有個人データだけです(33条1項)。

範囲から外れるもの

個人情報
法人の名称、死者の氏名、連絡先だけで特定の個人を識別できない情報は個人情報にあたらない
個人データ
個人情報データベース等を構成していない、散在した状態の個人情報は個人データにあたらない
保有個人データ
存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるものは除かれる(16条4項)

判断ポイント

6か月以内に消去するものを除くという規定は2022年4月施行の改正で削除されています。

最重要・比較表

執行停止・仮の義務付け・仮の差止めの違い

最初に確かめるのは、本案としてどの訴訟を起こしているかです。本案が決まると、求められる損害の重さも、本案の見込みを積極要件とするかどうかも決まります。

前提となる本案訴訟

執行停止
取消訴訟の提起が前提。取消訴訟を提起せずに執行停止だけを申し立てることはできない
仮の義務付け
義務付け訴訟の提起が前提。申請型と非申請型のいずれでも申し立てられる
仮の差止め
差止め訴訟の提起が前提。差止め訴訟なしに仮の差止めだけを申し立てることはできない

判断ポイント

どれも仮の救済だけを単独で申し立てることはできません。

損害の要件

最重要
執行停止
処分等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(25条2項)
仮の義務付け
処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
仮の差止め
処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること

判断ポイント

仮の義務付け・仮の差止めのほうが、要求される損害が重い点が急所です。

本案の見込み

執行停止
本案について理由がないとみえるときはできない、という消極的要件になっている
仮の義務付け
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている
仮の差止め
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている

判断ポイント

要件の向きが逆です。執行停止は見込みがなさそうなら不可、仮の救済は見込みが要ります。

認められたときの状態

執行停止
裁判所が処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部を選んで停止する。執行・手続の停止だけでは処分の効力自体は残る
仮の義務付け
判決が出るまでの間、行政庁がとりあえず処分を出した状態が作られる
仮の差止め
判決が出るまでの間、行政庁が処分を出さない状態が保たれる

判断ポイント

執行停止には三つの態様があり、効力停止は他の停止で目的を達せられない場合に限られます。仮の義務付け・差止めとは救済の向きも異なります。

覚え方:執行停止は重大な損害と本案に理由がないとみえないこと、仮の義務付け・仮の差止めは償うことのできない損害と本案に理由があるとみえること

法令確認:行政事件訴訟法25条・37条の5(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

仮名加工情報と匿名加工情報の違い

最初に見るのは元の個人情報に戻せるかどうかです。戻せる仮名加工情報は第三者提供が禁じられ、戻せない匿名加工情報は提供できます。

加工後の識別可能性

仮名加工情報
他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工したもの(2条5項)
匿名加工情報
特定の個人を識別することができないように加工したもの(2条6項)

判断ポイント

仮名加工は「照合しなければ識別できない」という状態にとどまる点が出発点です。

元の個人情報の復元

最重要
仮名加工情報
元の個人情報を復元できる情報を含んだままでよい
匿名加工情報
元の個人情報を復元することができないようにしておく必要がある

判断ポイント

復元できるかどうかが、この2つを分ける決定的な違いです。

第三者への提供

仮名加工情報
提供は禁止される
匿名加工情報
提供できる

判断ポイント

仮名加工情報も第三者に提供できるとする記述が誤りの定番です。

加工の方法

仮名加工情報
氏名や連絡先等の記述の一部を削除・置換えし、個人識別符号を含む場合はその全部を削除・置換えする
匿名加工情報
同じ措置を講じたうえで、当該個人情報を復元できないようにする一手間が加わる

判断ポイント

加工の手順自体は共通で、復元を不可能にする措置の有無で結論が変わります。

最重要・比較表

公開会社と非公開会社で変わるルール

最初に、株式の譲渡に会社の承認が必要かどうかを確認します。譲渡が自由な株式を発行していれば公開会社で、機関設計も役員の任期も厳しい側のルールになります。

どういう会社か

公開会社
株式の譲渡が自由な株式を発行している会社で、資金調達をしたい会社のイメージ
非公開会社
株式の譲渡に会社の承認を必要とする制限をかけている会社で、閉鎖的に経営したい会社のイメージ

判断ポイント

多くの人が関わる公開会社ほど、会社法のルールが厳しく設定されています。

取締役会の設置

最重要
公開会社
必ず設置しなければならない(327条1項)
非公開会社
取締役会設置会社と非設置会社のどちらも選べる

判断ポイント

非公開会社なら取締役1人だけの会社も可能です。

取締役を株主に限る定款の定め

公開会社
定められない
非公開会社
定められる

判断ポイント

この資格制限が禁じられるのは公開会社のときだけです(331条2項)。会社の種類を入れ替えた肢に注意します。

取締役の任期

公開会社
選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(332条1項)
非公開会社
定款に定めることで10年まで伸長できる(332条2項)

判断ポイント

身内だけの会社なら長く任せてよい、という発想で伸長が認められます。

監査役の任期

公開会社
選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(336条1項)
非公開会社
定款に定めることで10年まで伸長できる(336条2項)

判断ポイント

取締役2年・監査役4年が原則で、非公開会社ではどちらも10年まで伸ばせます。

最重要・比較表

消極目的規制と積極目的規制(職業選択の自由)

まず規制が何のために置かれたのかを確かめます。国民の生命や健康を守るための規制か、弱者保護という政策のための規制かで、裁判所の踏み込み方が変わり、結論も変わります。

何のための規制か

消極目的規制
国民の生命・健康に対する危険の防止など、他人の迷惑になることを防ぐための規制
積極目的規制
貧富の差といった問題に対応するため、弱者保護という政策的な観点から置かれる規制

判断ポイント

規制がなぜ置かれたのかを、条文と立法の経緯から読み取るのが最初の作業です。

合憲かどうかの見方

最重要
消極目的規制
目的を達成するために必要かつ合理的な規制といえるかを、裁判所が実質的に検討する
積極目的規制
立法府の判断を尊重し、規制が著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲とする

判断ポイント

積極目的では裁判所が一歩引くため、違憲となる場面がぐっと狭くなります。

代表的な判例

消極目的規制
薬局距離制限事件(最大判昭和50年4月30日)。薬局開設の許可基準に距離制限を設けた事案
積極目的規制
小売市場事件(最大判昭和47年11月22日)。中小企業保護のため小売市場に許可制と距離制限を設けた事案

判断ポイント

結論

消極目的規制
22条1項に違反する
積極目的規制
22条1項に違反しない

判断ポイント

どちらも距離制限ですが、目的の性質によって変わるのは審査の枠組みです。消極目的なら厳格に、積極目的なら明白の原則で審査するというだけで、目的の類型から結論が自動的に決まるわけではありません。

判断の順序:規制の目的は生命・健康の保護か政策か → どの見方で審査するか → 結論

法令確認:日本国憲法22条1項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

職権による取消しと撤回の違い

条文に「取消し」と書いてあっても、理由が後から起きた事情なら撤回です。まず、瑕疵が最初からあったのか、あとから生じた事情なのかを確かめてから効果を考えます。

効力を失わせる理由

取消し
行政行為が行われた時点で存在していた瑕疵(原始的瑕疵)を理由とする
撤回
行為の時点では瑕疵がなく、あとから生じた事情(後発的事情)を理由とする

判断ポイント

分類を決めるのは条文の言葉ではなく、瑕疵がいつからあったかです。

効力が失われる範囲

最重要
取消し
遡及効。さかのぼって最初から効力がなかったことになる
撤回
将来効。今後に向かって効力がないことになり、過去の効力は残る

判断ポイント

撤回の効果が処分時にさかのぼるとする肢は、ここで切れます。

法律の根拠

取消し
根拠は不要
撤回
根拠は不要

判断ポイント

撤回にだけ明文の根拠が要ると誤らせる肢が出ますが、紙面はどちらも不要としています。

行政手続法上の聴聞

取消し
許認可等を取り消す不利益処分にあたるなら聴聞が必要(行政手続法13条1項1号イ)。相手方に不利益を課さない職権取消しには意見陳述手続は不要
撤回
許認可等を取り消す不利益処分にあたるため聴聞が必要(行政手続法13条1項1号イ)

判断ポイント

13条1項が要求する意見陳述の機会は、撤回にあたる場合にも及びます。

具体例

取消し
懲戒処分を受ける理由もないのにされた懲戒処分を取り消すこと
撤回
道路交通法違反を理由に運転免許を取り消すこと。砂利採取業者が採取計画に従わないことを理由とする認可の取消しも撤回にあたる

判断ポイント

砂利採取法のように条文が「取り消す」と書いていても、分類上は撤回です。

見分けの順序:瑕疵はいつからあったか → さかのぼるか将来だけか → 条文の言葉ではなく理由で決める

法令確認:行政手続法(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

審査請求・再調査の請求・再審査請求の違い

最初に確かめるのは、その処分について法律に特別の定めがあるかどうかです。定めがなければ選べるのは審査請求だけで、相手方も期間もそこから決まります。

使える場面

審査請求
処分や不作為であれば原則として使える。7条1項が列挙する適用除外に当たらない限り対象になる
再調査の請求
処分庁以外の行政庁に審査請求でき、かつ個別の法律に再調査の請求ができる定めがあるときだけ
再審査請求
法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合だけ(6条1項)

判断ポイント

審査請求だけが一般概括主義で、他の2つは個別法の定めが出発点になります。

対象

審査請求
処分と不作為の両方
再調査の請求
処分のみ。不作為は対象外
再審査請求
審査請求に対する裁決(原裁決)に不服がある場合に、その裁決を対象として行う

判断ポイント

不作為について再調査の請求はできない点がそのまま出題されます。再審査請求は、条文上は原裁決だけでなく処分そのものも対象にできます(6条2項)。

誰に対して行うか

審査請求
原則として処分庁等の最上級行政庁に対して行う。上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条
再調査の請求
処分をした処分庁自身に対して行う(5条1項)
再審査請求
法律が指定する行政庁(再審査庁)に対して行う。行政不服審査会に対して行うのではない

判断ポイント

再調査は必ず処分庁本人。審査請求も、上級行政庁がなければ結果として処分庁が審査庁になります。

請求できる期間

最重要
審査請求
処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年18条
再調査の請求
処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年54条
再審査請求
原裁決を知った日の翌日から1か月、原裁決の日の翌日から1年62条

判断ポイント

再審査請求だけ主観的期間が1か月です。3か月と書き換える改変が狙われます。

出される結論の名称

審査請求
審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却・認容がある
再調査の請求
処分庁が出す調査結果は決定と呼ばれる
再審査請求
再審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却のほか原裁決を取り消す裁決がある(64条65条

判断ポイント

決定という名前が出てくるのは再調査の請求だけです。

先に選んだときの扱い

審査請求
審査請求を選んだ場合、同じ処分について再調査の請求をすることはできない
再調査の請求
再調査の請求をしたときは、その決定を受けた後でなければ審査請求できない(5条2項)
再審査請求
審査請求の裁決を受けた後に、さらに争うための二段階目の手続である

判断ポイント

審査請求と再調査は選択、再審査は審査請求の後という順序関係です。

混同注意・比較表

審査庁の立場で変わること(執行停止と認容裁決)

最初に確かめるのは、審査庁が処分庁とどういう関係にあるかです。処分庁を監督できる立場かどうかで、執行停止でとれる措置も認容裁決の中身も変わります。

申立てがなくても執行停止できるか

処分庁自身が審査庁
職権でもできる
処分庁の上級行政庁が審査庁
職権でもできる
そのいずれでもない審査庁
申立てがないとできない

判断ポイント

処分庁への監督権があるかどうかが、職権での執行停止を認める根拠です。

処分庁の意見聴取

処分庁自身が審査庁
意見聴取は不要
処分庁の上級行政庁が審査庁
意見聴取は不要
そのいずれでもない審査庁
意見聴取が必要

判断ポイント

第三者の立場で審査する審査庁だけ、処分庁の言い分を聞く手続が要ります。

その他の措置

処分庁自身が審査庁
とれる。免職処分を停職処分に変えるなど、処分の内容に踏み込む措置ができる
処分庁の上級行政庁が審査庁
とれる。処分を別の軽い処分に変えるなど積極的な措置ができる
そのいずれでもない審査庁
とれない。効力の停止・執行の停止・手続の続行の停止に限られる

判断ポイント

25条2項と3項で措置の範囲が違います。積極的措置は2項の審査庁だけです。

申請の却下処分を取り消す認容裁決の中身

最重要
処分庁自身が審査庁
却下処分を取り消したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(46条2項)
処分庁の上級行政庁が審査庁
却下処分を取り消したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる
そのいずれでもない審査庁
却下処分を取り消すだけで、許可処分をすることも命じることもできない

判断ポイント

取り消した先に何ができるかは、審査庁が処分をする権限を持つかで決まります。

不作為の審査請求を認容するときの中身

処分庁自身が審査庁
不作為の違法を宣言したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(49条3項)
処分庁の上級行政庁が審査庁
不作為の違法を宣言したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる
そのいずれでもない審査庁
不作為が違法であることを宣言するにとどまる

判断ポイント

処分の場合と同じ3パターンで整理すると、条文を引かずに答えを出せます。

処分を別のものに変更する裁決

処分庁自身が審査庁
できる(46条1項)。ただし審査請求人に不利益な変更はできない(48条
処分庁の上級行政庁が審査庁
できる(46条1項)。ただし不利益な方向への変更は禁止される(48条
そのいずれでもない審査庁
できない。処分を別のものに変更する裁決は下されない

判断ポイント

変更できる審査庁でも、元の処分より重くする方向の変更は禁止されます。

混同注意・比較表

政教分離に違反しない行為と違反する行為

国家と宗教の完全な分離までは求められていないので、かかわり合いが相当とされる限度を超えたかを見ます。似た場面で結論が反転するため、必ず対にして覚えます。

判断の物差し

政教分離に違反しない
目的がもっぱら世俗的で、効果も特定の宗教を援助・助長したり他の宗教を圧迫したりしない場合
政教分離に違反する
行為の目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教への援助・助長・促進または圧迫・干渉になる場合

判断ポイント

禁じられるのは、かかわり合いが相当とされる限度を超えるものだけです。

儀式・祭祀への公金支出

最重要
政教分離に違反しない
市が体育館の建設にあたり神式の地鎮祭を行い、公金を支出したこと(津地鎮祭事件)
政教分離に違反する
県が靖国神社等に対し玉串料その他の名目で、公金により金品を支出したこと(愛媛玉串料訴訟)

判断ポイント

同じ公金支出でも、その行為が宗教的意義を失っているかどうかで分かれます。

公有地の無償での提供

政教分離に違反しない
小学校の工事に伴い、遺族会所有の忠魂碑の移転先敷地を市が無償で貸し付けたこと(箕面忠魂碑訴訟)
政教分離に違反する
市が町内会に対し、市有地を神社施設の敷地として無償で利用させていたこと(砂川空知太神社訴訟)

判断ポイント

そのほかの便宜・関与

政教分離に違反しない
殉職自衛官の護国神社への合祀申請に自衛隊職員が協力したこと(殉職自衛官合祀拒否訴訟)
政教分離に違反する
市が公園内に設置された孔子廟について、土地使用料の全額を免除していたこと(孔子廟訴訟)

判断ポイント

覚え方:世俗的な儀礼や慰霊への関与は違反せず、宗教施設への金銭や土地の便宜は違反する

法令確認:日本国憲法20条3項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

特殊な不法行為で免責されるか

最初に確かめるのは、注意を尽くしたと証明できれば責任を免れるかどうかです。工作物の所有者だけは免責事由がなく、過失がなくても責任を負います。

責任を負う場面

監督者責任(714条)
直接の加害者が責任無能力者で責任を負わない場合に、その者を監督する法定の義務を負う者が負う(714条1項本文)
使用者責任(715条)
被用者が事業の執行について他人に加えた損害について、人を雇っている使用者が負う(715条1項本文)
工作物の占有者(717条)
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があったときに、まず占有者が負う(717条1項本文)
工作物の所有者(717条)
占有者が免責されるときに、代わって所有者が負う(717条1項ただし書)

判断ポイント

工作物責任は占有者と所有者を自由に選べるのではなく、占有者が先で所有者は後という順序があります。

免責されるか

最重要
監督者責任(714条)
免責される
使用者責任(715条)
免責される
工作物の占有者(717条)
免責される
工作物の所有者(717条)
免責されない

判断ポイント

無過失責任なのは工作物の所有者だけです。監督者・使用者・占有者はいずれも中間責任です。

免責事由

監督者責任(714条)
監督義務を怠らなかったとき、または義務を怠らなくても損害が生ずべきであったとき
使用者責任(715条)
被用者の選任・監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったとき
工作物の占有者(717条)
損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとき(717条1項ただし書)
工作物の所有者(717条)
免責事由はなく、過失がなくても責任を免れない無過失責任

判断ポイント

免責の証明責任は責任を負う側にあるので、証明できなければそのまま賠償責任が残ります。

他の責任者との関係

監督者責任(714条)
直接の加害者は責任無能力者なので、加害者本人は損害賠償責任を負わない
使用者責任(715条)
被用者本人も709条の責任を負い、使用者が賠償したときは信義則上相当と認められる限度で求償できる
工作物の占有者(717条)
損害の原因について他に責任を負う者があるときは、その者に求償できる(717条3項)
工作物の所有者(717条)
所有者も同じく、他に責任を負う者があるときはその者に求償できる(717条3項)

判断ポイント

使用者責任では被害者は被用者本人にも請求でき、使用者の求償は全額ではなく制限されます。

まず誰が負うかを決め、次に注意を尽くしたと証明できるかを見る。所有者だけは証明しても逃げられない

法令確認:民法714条民法715条民法717条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

国家賠償法1条と2条の違い

最初に見るのは、損害の原因が人の行為か物の状態かです。公務員の行為なら1条で故意・過失が要件になり、営造物の欠陥なら2条で無過失責任になります。

責任の原因

1条(公務員の不法行為)
公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて他人に損害を加えたこと
2条(営造物の設置・管理の瑕疵)
道路・河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があり、損害が生じたこと

判断ポイント

人の行為が原因か、物の状態が原因かで適用条文が分かれます。

故意・過失の要否

最重要
1条(公務員の不法行為)
故意または過失があることが要件になる(過失責任)
2条(営造物の設置・管理の瑕疵)
過失がなくても責任を免れない(無過失責任)

判断ポイント

設置管理者に過失がなければ2条の責任は生じないとする肢は誤りです。

要件の中身

1条(公務員の不法行為)
公権力の行使、公務員の行為、職務を行うについて、故意または過失、違法な損害の5つ
2条(営造物の設置・管理の瑕疵)
公の営造物に関するものであること、設置・管理の瑕疵に基づく損害が発生していることの2つ

判断ポイント

2条は要件が少ない代わりに、瑕疵の有無が争点になります。

誰が責任を負うか

1条(公務員の不法行為)
国または公共団体が責任を負い、加害公務員個人に直接損害賠償を請求することはできない。選任・監督者と費用負担者が異なるときは費用負担者も責任を負う(3条1項)
2条(営造物の設置・管理の瑕疵)
営造物を設置・管理する国または公共団体が責任を負う。設置・管理者と費用負担者が異なるときは費用負担者も責任を負う(3条1項)

判断ポイント

1条では公務員個人に請求できません。故意・重過失は求償の要件です(1条2項)。

対象になる具体例

1条(公務員の不法行為)
行政指導、公立学校での教師の教育活動、裁判官がした裁判、立法行為などが公権力の行使にあたる
2条(営造物の設置・管理の瑕疵)
物理的な欠陥だけでなく機能的瑕疵も含まれ、利用者以外の周辺住民への損害も対象になる

判断ポイント

1条の公権力の行使は非権力的作用まで含む広い意味で使われます。

判断の順序:原因は人の行為か物の状態か → 1条なら故意・過失を、2条なら通常の安全性を欠いていたかを見る

法令確認:国家賠償法1条・2条・3条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

国家賠償と損失補償の違い

最初に確かめるのは、その行政活動が違法か適法かです。違法なら国家賠償、適法な活動で財産権に特別の犠牲が生じたなら損失補償という順で切り分けます。

対象となる行政活動

最重要
国家賠償
違法な行政活動から生じた損害を賠償する制度である
損失補償
適法な行政活動によって生じた損失を填補する制度である

判断ポイント

違法か適法かが最初の分かれ道です。ここを外すと制度ごと間違えます。

対象となる権利・利益

国家賠償
財産権のほか、生命・身体への侵害も賠償の対象になる
損失補償
財産権に対して特別の犠牲を加えたことが補償の対象になる

判断ポイント

損失補償は財産権が対象で、生命・身体の被害は国家賠償の領域です。

一般法があるか

国家賠償
国家賠償法という一般法があり、1条2条に責任の要件が定められている
損失補償
一般法はなく、憲法29条3項と土地収用法などの個別の法律による

判断ポイント

損失補償に国家賠償法にあたる一般法はない、というのが定番の出題点です。

誰が支払うか

国家賠償
国または公共団体が賠償の責任を負い、加害公務員個人は責任を負わない
損失補償
土地の収用では、起業者が損失を補償しなければならない(土地収用法68条

判断ポイント

収用の補償は都道府県ではなく起業者が支払う点が狙われます。

請求するときの前提

国家賠償
処分の違法を理由に請求するのに、あらかじめ取消判決や無効確認の判決を得ておく必要はない
損失補償
個別法に補償規定がなくても、直接憲法29条3項を根拠に補償を請求する余地がある

判断ポイント

補償規定を欠く法令が直ちに違憲無効になるわけではない、という判例と対で覚えます。

最重要・比較表

法定相続分と遺留分の割合

最初に血族側の相続人が誰かを確かめます。子・直系尊属・兄弟姉妹の順で配偶者の取り分が増え、遺留分の割合と有無もここで変わります。

配偶者の法定相続分

最重要
配偶者と子
2分の1。残りの2分の1を子が取得する
配偶者と直系尊属
3分の2。残りの3分の1を直系尊属が取得する
配偶者と兄弟姉妹
4分の3。残りの4分の1を兄弟姉妹が取得する
直系尊属のみ
配偶者はいない

判断ポイント

配偶者は常に相続人となり、血族側の順位が下がるほど取り分が増えます。

血族側が複数いるとき

配偶者と子
子が3人いるときは、子の相続分2分の1を3等分したものが各自の相続分になる
配偶者と直系尊属
親が2人いるときは、直系尊属の相続分3分の1を2等分したものが各自の相続分になる
配偶者と兄弟姉妹
兄弟姉妹が複数いるときも、兄弟姉妹の相続分4分の1を人数で分ける
直系尊属のみ
配偶者も子もいないため、直系尊属だけが相続人となる

判断ポイント

嫡出子と嫡出でない子、実子と養子でも相続分は等しく、頭数で割るのが原則です。

遺留分の割合(相続人全体の総額)

配偶者と子
遺留分を算定するための財産の価額の2分の1(1042条1項)
配偶者と直系尊属
配偶者がいるため、直系尊属が相続人でも2分の1になる
配偶者と兄弟姉妹
遺留分を算定するための財産の価額の2分の1(1042条1項)
直系尊属のみ
直系尊属のみが相続人のときだけ3分の1になる(1042条1項)

判断ポイント

3分の1になるのは直系尊属だけが相続人のときに限られ、配偶者が加われば2分の1です。各人の遺留分は、この総額に自分の法定相続分を掛けて出します(配偶者と子なら各4分の1)。ただし兄弟姉妹に遺留分はないため、相続人が配偶者と兄弟姉妹のときは配偶者の遺留分がそのまま2分の1になります。

遺留分を持つ人

配偶者と子
配偶者と子の双方に遺留分が認められる
配偶者と直系尊属
配偶者と直系尊属の双方に遺留分が認められる
配偶者と兄弟姉妹
配偶者だけが持ち、兄弟姉妹には遺留分が認められない
直系尊属のみ
配偶者も子もいないため、直系尊属だけが遺留分権利者となる

判断ポイント

兄弟姉妹に遺留分がないため、全財産を配偶者に残す遺言があれば兄弟姉妹は何も取得できません。

血族側が誰かで配偶者の相続分が決まる。遺留分は直系尊属のみのときだけ3分の1で、兄弟姉妹にはない

法令確認:民法900条民法1042条1項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

法定地上権が成立する場面としない場面

最初に抵当権を設定した当時に建物があったかを確認します。更地なら後から建てても成立せず、建物を建て直した場合は抵当権の付き方によって結論が分かれます。

抵当権を設定した当時の状態

更地に抵当権を設定した後に建物を建てた
土地の上に建物がない更地だった
一番抵当権のときは更地、二番抵当権のときは建物あり
一番抵当権のときは更地で、二番抵当権のときは建物があった
建物のある土地に抵当権。建物を取り壊して再築
土地の上に建物があり、後に取り壊して建て直した
土地と建物に共同抵当。建物を取り壊して再築
土地と建物の両方に抵当権があり、後に建物を建て直した

判断ポイント

388条の要件は、抵当権設定当時に建物が存在し、土地と建物が同一人の所有であることです。

法定地上権の成否

最重要
更地に抵当権を設定した後に建物を建てた
成立しない
一番抵当権のときは更地、二番抵当権のときは建物あり
成立しない
建物のある土地に抵当権。建物を取り壊して再築
成立する
土地と建物に共同抵当。建物を取り壊して再築
成立しない

判断ポイント

抵当権設定当時に建物が存在することは必要条件であって十分条件ではありません。土地だけに抵当権を設定した後の再築なら成立しますが(大判昭和10年8月10日)、土地と建物に共同抵当を設定した後の取壊し・再築では、特段の事情がない限り成立しません(最判平成9年2月14日)。

そう扱う理由と判例

更地に抵当権を設定した後に建物を建てた
抵当権者は建物がない前提で土地を評価しているため(最判昭和36年2月10日
一番抵当権のときは更地、二番抵当権のときは建物あり
成否は一番抵当権設定時を基準に判断し、一番抵当権者の不利益を防ぐため(最判昭和47年11月2日
建物のある土地に抵当権。建物を取り壊して再築
最初に抵当権を設定した時点で土地の上に建物が存在していたため(大判昭和10年8月10日
土地と建物に共同抵当。建物を取り壊して再築
抵当権者は土地と建物の全体の担保価値を把握していたため(最判平成9年2月14日

判断ポイント

抵当権者がその土地をいくらと見積もって貸したか、という視点で考えると結論を思い出せます。

判断の順序:抵当権設定当時に建物があったか → 土地と建物の所有者が同一か → 競売で別人になったか

法令確認:民法388条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

原賃貸借が終わったとき転借人はどうなるか

最初に確かめるのは原賃貸借の終わり方です。債務不履行による解除は転借人に対抗でき、合意解除は対抗できないという分かれ方をします。

解除を転借人に対抗できるか

最重要
賃借人の債務不履行による解除
対抗できる
賃貸人と賃借人の合意解除
対抗できない
解除権があるときの合意解除
対抗できる

判断ポイント

承諾を得た転貸でも、賃借人の債務不履行が原因なら転借人は保護されません。

転借人の立場

賃借人の債務不履行による解除
賃貸人から明渡しを請求され、転貸借はその請求の時に終了する
賃貸人と賃借人の合意解除
転貸借の期間中は建物を明け渡す必要がなく、出ていかなくてよい
解除権があるときの合意解除
合意解除であっても賃貸人が解除を対抗でき、転借人は明け渡すことになる

判断ポイント

対抗できるかどうかは、転借人が住み続けられるかという結論に直結します。

解除に必要なもの

賃借人の債務不履行による解除
賃借人の債務不履行があれば足り、転借人に催告をする必要はない
賃貸人と賃借人の合意解除
賃貸人と賃借人の合意だけで解除できるが、その効果を転借人には主張できない(613条3項本文)
解除権があるときの合意解除
解除の当時に賃貸人が債務不履行による解除権を有していたこと(613条3項ただし書)

判断ポイント

合意解除でも解除権を持っていたなら実質は債務不履行解除と同じなので、対抗を認めてよいという発想です。

まず解除の原因を見る → 合意解除なら、その時点で賃貸人が債務不履行による解除権を持っていたかを確認する

法令確認:民法613条3項(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

却下裁決・棄却裁決・事情裁決・認容裁決の違い

最初に見るのは、審査請求が形式として適法かどうかです。適法なら中身の審理に入り、理由があるかどうか、取り消すと公益を害しないかで結論が分かれます。

どんなときに出るか

却下裁決
審査請求が法定の期間経過後にされたなど、形式として不適法な場合(45条1項)
棄却裁決
審理の結果、審査請求に理由がないと判断された場合(45条2項)
事情裁決
処分は違法または不当だが、取り消すと公の利益に著しい障害を生じる場合(45条3項)
認容裁決
審理の結果、審査請求に理由があると判断された場合(46条1項)

判断ポイント

却下だけが門前払いで、残りの3つは中身を審理したうえでの結論です。

処分はどうなるか

却下裁決
中身を審理していないので、処分はそのまま残る
棄却裁決
処分に違法・不当がないとされ、処分はそのまま維持される
事情裁決
処分が違法または不当と認められたのに、取り消されずに残る
認容裁決
処分が取り消され、その効力は当初から生じていなかったことになる(形成力)

判断ポイント

事情裁決だけが、違法と認めながら処分を残すというねじれた結論です。

裁決の主文

最重要
却下裁決
審査請求を却下する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない
棄却裁決
審査請求を棄却する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない
事情裁決
棄却するにあたり、主文で処分が違法または不当であることを宣言しなければならない
認容裁決
処分を取り消す旨を記載する。審査庁が処分庁自身か上級行政庁なら処分の変更もできる

判断ポイント

違法の宣言を理由中で示せば足りるとする肢は誤りです。主文に書きます。

審査請求人から見た結果

却下裁決
中身を見てもらえないまま終わる門前払いになる
棄却裁決
国民の負けで、求めた取消しは認められない
事情裁決
内容は国民の勝ちだが、結果は棄却なので国民の負けになる
認容裁決
国民の勝ちで、求めたとおりに処分が取り消される

判断ポイント

事情裁決を認容裁決の一種と位置づける肢が定番の誤りです。

判断の順序:形式が適法か → 審査請求に理由があるか → 取り消すと公益を著しく害しないか

法令確認:行政不服審査法45条・46条・48条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

無権代理と相続で結論が入れ替わる4つの場面

最初に「誰が誰を相続したか」を確かめます。相続の向き、先に追認拒絶があったか、単独相続か共同相続かで、追認拒絶できるかどうかが入れ替わります。

追認拒絶できるか

最重要
無権代理人が本人を単独相続
できない
本人の追認拒絶後に無権代理人が単独相続
本人がした追認拒絶の効果を無権代理人が主張できる
無権代理人が本人を共同相続
他の共同相続人が1人でも拒絶すれば有効にならない
本人が無権代理人を単独相続
できる

判断ポイント

自ら売っておいて相続後に拒むのは不合理ですが、もともと拒める立場だった本人は拒めます。

無権代理行為の効力

無権代理人が本人を単独相続
有効となる
本人の追認拒絶後に無権代理人が単独相続
有効にならない
無権代理人が本人を共同相続
共同相続人全員が追認したときにだけ有効になる
本人が無権代理人を単独相続
有効にならない

判断ポイント

追認は共同相続人全員で行う必要があり、無権代理人の相続分に相当する部分だけ有効になることもありません。

相手方は目的物を受け取れるか

無権代理人が本人を単独相続
受け取れる。相続した無権代理人は目的物を渡さなければならない
本人の追認拒絶後に無権代理人が単独相続
受け取れない。無権代理人は目的物を渡さなくてよい
無権代理人が本人を共同相続
他の共同相続人が全員追認したときだけ受け取れる
本人が無権代理人を単独相続
受け取れない。ただし相続人は117条の責任を承継する

判断ポイント

本人が無権代理人を相続した場合、追認は拒めても無権代理人としての履行・賠償責任は免れません。

根拠となる判例

無権代理人が本人を単独相続
最判昭和40年6月18日
本人の追認拒絶後に無権代理人が単独相続
最判平成10年7月17日
無権代理人が本人を共同相続
最判平成5年1月21日
本人が無権代理人を単独相続
最判昭和37年4月20日

判断ポイント

いずれも判例で結論が決まっている場面なので、事案の形と結論をセットで覚えます。

判断の順序:相続の向きはどちらか → 先に追認拒絶があったか → 単独相続か共同相続か

法令確認:民法113条民法117条(確認日 2026-08-05)

混同注意・比較表

請負と委任の違い

最初に見るのは報酬が何に対して支払われるかです。請負は仕事の完成、委任は事務の履行が基準で、途中で終わったときの計算も解除の要件も変わります。

契約の目的

請負契約
一方が仕事を完成することを約し、相手方がその結果に対して報酬を支払う契約(632条
委任契約
一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約(643条

判断ポイント

完成という結果が求められるのが請負、事務の処理そのものが目的なのが委任です。

報酬の支払時期

請負契約
仕事の完成後、目的物の引渡しと同時に支払われる(633条本文)
委任契約
特約がなければ請求できず、委任事務を履行した後でなければ請求できない(648条1項・2項)

判断ポイント

委任は特約がなければ無報酬が原則で、報酬があっても後払いです。

途中で終わったときの報酬

請負契約
注文者の責めに帰することができない事由で完成できなくなったときなどは、可分な部分について注文者が受ける利益の割合に応じて請求できる(634条
委任契約
委任者の責めに帰することができない事由で履行できなくなったときや中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて請求できる(648条3項)

判断ポイント

どちらも割合的な報酬が認められますが、請負は「注文者が受ける利益」、委任は「履行の割合」が基準です。

任意解除

最重要
請負契約
注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して解除できる(641条
委任契約
各当事者がいつでも解除でき、相手方に不利な時期の解除などは損害を賠償する(651条

判断ポイント

請負の任意解除は注文者側だけで、しかも完成後は使えません。委任は双方がいつでも解除できます。