本試験問題(2022年実施)
令和4年度行政書士試験の過去問50問
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- 50問
- 収録数
- 60問・300点満点(択一式・多肢選択式・記述式)
- 本試験
未収録の問題:問1・58〜60は、試験実施機関が著作権の関係で公表していないため収録していません。
問2基礎法学
解答 0/50・正解 0
法律用語に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。 ア 「法律要件」とは、法律効果を生じさせる原因となる客観的な事実のことであり、意思表示などの主観的な要素は、これには含まれない。 イ 「法律効果」とは、法律上の権利義務関係の変動(発生、変更または消滅)のことをいう。 ウ 「構成要件」とは、犯罪行為を特徴付ける定型的な外形的事実のことであり、故意などの主観的な要素は、これには含まれない。 エ 「立法事実」とは、法律を制定する場合において、当該立法の合理性を根拠付ける社会的、経済的、政治的または科学的事実のことをいう。 オ 「要件事実」とは、法律要件に該当する具体的な事実のことをいう。
令和4年度の全50問|問題文・正解・解説
収録している50問を、正解と解説つきで通して読めます。上の演習で 間違えた問題を見直すときや、特定の論点がどう問われたかを確かめたいときに使ってください。 正解番号は行政書士試験研究センターの公表資料に基づきます。
問2
基礎法学法律用語に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。 ア 「法律要件」とは、法律効果を生じさせる原因となる客観的な事実のことであり、意思表示などの主観的な要素は、これには含まれない。 イ 「法律効果」とは、法律上の権利義務関係の変動(発生、変更または消滅)のことをいう。 ウ 「構成要件」とは、犯罪行為を特徴付ける定型的な外形的事実のことであり、故意などの主観的な要素は、これには含まれない。 エ 「立法事実」とは、法律を制定する場合において、当該立法の合理性を根拠付ける社会的、経済的、政治的または科学的事実のことをいう。 オ 「要件事実」とは、法律要件に該当する具体的な事実のことをいう。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・オ
正解:1
解説
正解は肢1です。アについて、法律要件とは法律効果を発生させる原因となる事実の総体をいい、意思表示のような主観的要素も含まれるため妥当ではありません。ウについて、刑法上の構成要件には故意や目的といった主観的要素も含まれると解されており、外形的事実に限られるとする点で妥当ではありません。イの法律効果、エの立法事実、オの要件事実についての説明は、いずれも妥当です。立法事実は法令の合憲性審査において立法目的と手段の合理性を基礎づける事実として重視されます。
問3
憲法表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。 公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。(最一小判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁)
- 1XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。
- 2Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。
- 3作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。
- 4新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。
- 5A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。
正解:5
解説
正解は肢5です。引用された最判平成元年12月21日は、公共の利害に関する事項についての論評による名誉侵害について、その目的が専ら公益を図るものであり、前提事実が主要な点で真実であると証明されたときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱しない限り違法性を欠くとした、いわゆる公正な論評の法理を示したものです。したがって公立小学校の教員の職務上の行動を市民が批判したビラが問題となった肢5の事例が、この基準の想定する場面に当たります。肢1は不退去、肢2は事実の摘示による名誉毀損(月刊ペン事件型)であって論評による名誉侵害ではなく、肢3はプライバシー侵害と出版差止め(「石に泳ぐ魚」事件型、最判平成14年9月24日)、肢4は取材活動と教唆に関する事案であり、いずれも当てはまりません。
問4
憲法薬局を営むXは、インターネットを介した医薬品の通信販売を始めたが、法律は一定の種類の医薬品の販売については、薬剤師が対面で情報の提供および薬学的知見に基づく指導を行うことを求めている。そこでXは、この法律の規定が違憲であり、この種の医薬品についてもネットで販売する権利が自らにあることを主張して出訴した。この問題に関する最高裁判所の判決の趣旨として、妥当なものはどれか。
- 1憲法22条1項が保障するのは職業選択の自由のみであるが、職業活動の内容や態様に関する自由もまた、この規定の精神に照らして十分尊重に値する。後者に対する制約は、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであることを要する。
- 2規制の合憲性を判断する際に問題となる種々の考慮要素を比較考量するのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、規制措置の内容や必要性・合理性については、立法府の判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り、裁判所はこれを尊重する。
- 3本件規制は、専らインターネットを介して販売を行う事業者にとっては職業選択の自由そのものに対する制限を意味するため、許可制の場合と同様にその必要性・合理性が厳格に審査されなければならない。
- 4本件規制は、国民の生命および健康に対する危険の防止という消極目的ないし警察目的のための規制措置であり、この場合は積極目的の場合と異なり、基本的人権への制約がより小さい他の手段では立法目的を達成できないことを要する。
- 5本件規制は、積極的な社会経済政策の一環として、社会経済の調和的発展を目的に設けられたものであり、この種の規制措置については、裁判所は立法府の政策的、技術的な裁量を尊重することを原則とする。
正解:2
解説
正解は肢2です。要指導医薬品の対面販売規制の合憲性が争われた最判令和3年3月18日は、職業活動の内容や態様に対する規制が公共の福祉に適合するかどうかは、規制の目的・必要性・内容と制限される職業の自由の性質・内容および制限の程度とを比較考量して決すべきものであり、その判断は第一次的に立法府の裁量に委ねられるという枠組みを前提としました。肢1は憲法22条1項が職業活動の自由そのものも保障するとした最大判昭和50年4月30日の理解に反し、肢3は本件が販売方法の規制にとどまる点、肢4と肢5は消極目的・積極目的の二分論による点で、判決の趣旨と異なります。なお最判平成25年1月11日は、一般用医薬品の郵便等販売を一律に禁止した省令の規定が薬事法の委任の範囲を逸脱するとしたもので、本問の題材とは別の判例です。
問5
憲法適正手続に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有物を没収することは許されないが、貨物の密輸出で有罪となった被告人が、そうした手続的保障がないままに第三者の所有物が没収されたことを理由に、手続の違憲性を主張することはできない。
- 2憲法は被疑者に対して弁護人に依頼する権利を保障するが、被疑者が弁護人と接見する機会の保障は捜査権の行使との間で合理的な調整に服さざるを得ないので、憲法は接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。
- 3審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることはできない。
- 4不利益供述の強要の禁止に関する憲法の保障は、純然たる刑事手続においてばかりだけでなく、それ以外にも、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶ。
- 5不正な方法で課税を免れた行為について、これを犯罪として刑罰を科すだけでなく、追徴税(加算税)を併科することは、刑罰と追徴税の目的の違いを考慮したとしても、実質的な二重処罰にあたり許されない。
正解:4
解説
正解は肢4です。川崎民商事件(最大判昭和47年11月22日)は、憲法38条1項の不利益供述の強要禁止の保障が、純然たる刑事手続だけでなく、実質上刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続にも等しく及ぶとしました。肢1は第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日)が被告人による違憲主張を認めた点、肢2は接見交通の機会の実質的保障を認めた最大判平成11年3月24日、肢3は高田事件(最大判昭和47年12月20日)、肢5は追徴税の併科を二重処罰としなかった最大判昭和33年4月30日に、それぞれ反するため妥当ではありません。
問6
憲法内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- 1内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。
- 2内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。
- 3参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。
- 4内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
- 5新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。
正解:4
解説
正解は肢4です。憲法70条は内閣総理大臣が欠けたときの内閣の総辞職を定め、71条は総辞職後もあらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うとしています。肢1は73条3号ただし書が事前または時宜によっては事後の国会の承認を必要としているため誤り、肢2は憲法が法律に代わる政令を認めていないため誤り、肢3は54条2項ただし書が緊急集会を内閣の求めによるとし参議院議員の要求を要件としていないため誤り、肢5は87条の予備費があらかじめ国会の議決を経て設けられるものであるため誤りです。
問7
憲法裁判の公開に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1裁判は、公開法廷における対審および判決によらなければならないので、カメラ取材を裁判所の許可の下に置き、開廷中のカメラ取材を制限することは、原則として許されない。
- 2裁判所が過料を科する場合は、それが純然たる訴訟事件である刑事制裁を科す作用と同質であることに鑑み、公開法廷における対審および判決によらなければならない。
- 3証人尋問の際に、傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても、審理が公開されていることに変わりはないから、裁判の公開に関する憲法の規定には違反しない。
- 4傍聴人は法廷で裁判を見聞できるので、傍聴人が法廷でメモを取る行為は、権利として保障されている。
- 5裁判官の懲戒の裁判は行政処分の性質を有するが、裁判官の身分に関わる手続であるから、裁判の公開の原則が適用され、審問は公開されなければならない。
正解:3
解説
正解は肢3です。最判平成17年4月14日は、証人尋問における遮へい措置やビデオリンク方式が採られても、審理が公開されていることに変わりはないとして、憲法82条1項・37条1項に違反しないとしました。肢1は法廷でのカメラ取材を裁判所の許可に係らしめることを認めた最大決昭和33年2月17日、肢2は過料の裁判が公開の対審・判決を要しないとした最大決昭和41年12月27日、肢4はメモを取る行為が権利として保障されるものではないとしたレペタ事件(最大判平成元年3月8日)、肢5は裁判官の分限裁判に公開の原則が及ばないとした最大決平成10年12月1日に反するため妥当ではありません。
問8
行政法公法上の権利の一身専属性に関する次の文章の空欄A〜Cに当てはまる文章の組合せとして、妥当なものはどれか。 最高裁判所昭和42年5月24日判決(いわゆる朝日訴訟判決)においては、生活保護を受給する地位は、一身専属のものであって相続の対象とはなりえず、その結果、原告の死亡と同時に当該訴訟は終了して、同人の相続人らが当該訴訟を承継し得る余地はないとされた。そして、この判決は、その前提として、A。 その後も公法上の権利の一身専属性が問題となる事例が散見されたが、労働者等のじん肺に係る労災保険給付を請求する権利については最高裁判所平成29年4月6日判決が、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく認定の申請がされた健康管理手当の受給権については最高裁判所平成29年12月18日判決が、それぞれ判断をしており、B。 なお、この健康管理手当の受給権の一身専属性について、最高裁判所平成29年12月18日判決では、受給権の性質がC。空欄A 【ア】生活保護法の規定に基づき、要保護者等が国から生活保護を受けるのは、法的利益であって、保護受給権とも称すべきものであるとしている 【イ】生活保護法の規定に基づき、要保護者等が国から生活保護を受けるのは、国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益であるとしている空欄B 【ウ】両判決ともに、権利の一身専属性を認めて、相続人による訴訟承継を認めなかった 【エ】両判決ともに、権利の一身専属性を認めず、相続人による訴訟承継を認めた空欄C 【オ】社会保障的性質を有することが、一身専属性が認められない根拠の一つになるとの考え方が示されている 【カ】国家補償的性質を有することが、一身専属性が認められない根拠の一つになるとの考え方が示されている
- 1A=ア B=ウ C=オ
- 2A=ア B=エ C=カ
- 3A=イ B=ウ C=オ
- 4A=イ B=ウ C=カ
- 5A=イ B=エ C=カ
正解:2
解説
正解は肢2です。朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)は、傍論において、生活保護法の規定に基づき要保護者等が国から生活保護を受けるのは法的利益であって保護受給権とも称すべきものであるとしました(A=ア)。じん肺に係る労災保険給付を請求する権利についての最判平成29年4月6日、健康管理手当の受給権についての最判平成29年12月18日は、いずれも一身専属性を否定して相続人による訴訟承継を認めています(B=エ)。後者は当該受給権が国家補償的性質を有することを、一身専属性が認められない根拠の一つとして挙げています(C=カ)。
問9
行政法行政契約に関する次のア〜オの記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】行政手続法は、行政契約につき定義規定を置いており、国は、それに該当する行政契約の締結及び履行にあたっては、行政契約に関して同法の定める手続に従わなければならない。 【イ】地方公共団体が必要な物品を売買契約により調達する場合、当該契約は民法上の契約であり、専ら民法が適用されるため、地方自治法には契約の締結に関して特別な手続は規定されていない。 【ウ】水道事業者たる地方公共団体は、給水契約の申込みが、適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、水道法の定める「正当の理由」があるものとして、給水契約を拒むことができる。 【エ】公害防止協定など、地方公共団体が締結する規制行政にかかる契約は、法律に根拠のない権利制限として法律による行政の原理に抵触するため、法的拘束力を有しない。 【オ】法令上、随意契約によることができない契約を地方公共団体が随意契約で行った場合であっても、当該契約の効力を無効としなければ法令の規定の趣旨を没却する結果となる特別の事情が存在しない限り、当該契約は私法上有効なものとされる。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。ウは、給水契約の申込みが適正かつ合理的な供給計画によっては対応できないものである場合に水道法15条1項の「正当の理由」があるとした最判平成11年1月21日のとおりです。オは、随意契約の制限に違反した契約も、無効としなければ法令の趣旨を没却する特別の事情がない限り私法上有効とした最判昭和62年5月19日のとおりです。アは行政手続法に行政契約の定義規定も手続規定もないため、イは地方自治法234条が一般競争入札を原則とする契約締結の手続を定めているため、エは公害防止協定の法的拘束力を認めた最判平成21年7月10日に反するため、いずれも妥当ではありません。
問10
行政法行政調査に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1警察官職務執行法には、警察官は、職務質問に付随して所持品検査を行うことができると規定されており、この場合には、挙動が異常であることに加えて、所持品を確認する緊急の必要性を要するとされている。
- 2交通の取締を目的として、警察官が自動車の検問を行う場合には、任意の手段により、走行の外観上不審な車両に限ってこれを停止させることができる。
- 3行政手続法においては、行政調査を行う場合、調査の適正な遂行に支障を及ぼすと認められない限り、調査の日時、場所、目的等の項目を事前に通知しなければならないとされている。
- 4国税通則法には、同法による質問検査権が犯罪捜査のために認められたものと解してはならないと定められていることから、当該調査において取得した資料をその後に犯則事件の証拠として利用することは認められない。
- 5行政調査の実効性を確保するため、調査に応じなかった者に刑罰を科す場合、調査自体の根拠規定とは別に、刑罰を科すことにつき法律に明文の根拠規定を要する。
正解:5
解説
正解は肢5です。行政調査に応じない者に刑罰を科すには、罪刑法定主義(憲法31条)の要請から、調査権限の根拠規定とは別に罰則についての明文の根拠規定が必要です。肢1は警察官職務執行法に所持品検査の明文規定がなく判例(最判昭和53年6月20日)が職務質問に付随する行為として許容したにとどまるため誤り、肢2は不審な車両に限らず短時分の停止を求めうるとした最決昭和55年9月22日に反し、肢3は行政手続法に行政調査の事前通知の規定がないため誤り、肢4は質問検査で得た資料を犯則事件の証拠として利用できるとした最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)に反するため誤りです。
問11
行政法申請に対する処分について定める行政手続法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努め、これを定めたときは、行政手続法所定の方法により公にしておかなければならない。
- 2行政庁は、法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請について、それを理由として申請を拒否することはできず、申請者に対し速やかにその補正を求めなければならない。
- 3行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示すよう努めなければならない。
- 4行政庁は、定められた標準処理期間を経過してもなお申請に対し諾否の応答ができないときは、申請者に対し、当該申請に係る審査の進行状況および処分の時期の見込みを書面で通知しなければならない。
- 5行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利益を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、当該申請者以外の者および申請者本人の意見を聴く機会を設けなければならない。
正解:1
解説
正解は肢1です。行政手続法6条は、標準処理期間を定めるよう努めるとしたうえで、これを定めたときは事務所への備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならないと定めています。肢2は7条が補正を求めるか許認可等を拒否するかの選択を認めているため誤り、肢3は8条1項が理由の提示を義務づけるのが拒否処分の場合であるため誤り、肢4は9条1項が求めに応じて審査の進行状況等を示す努力義務を定めるにとどまるため誤り、肢5は10条が申請者以外の者の意見を聴く機会を設ける努力義務を定めるにとどまるため誤りです。
問12
行政法行政手続法(以下、本問において「法」という。)が定める不利益処分の手続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1申請拒否処分は、申請により求められた許認可等を拒否するものとして、法の定義上、不利益処分に該当するので、それを行うにあたっては、申請者に対して意見陳述の機会を与えなければならない。
- 2行政庁は、不利益処分がされないことにより権利を害されるおそれがある第三者がいると認めるときは、必要に応じ、その意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
- 3弁明の機会の付与は、処分を行うため意見陳述を要する場合で、聴聞によるべきものとして法が列挙している場合のいずれにも該当しないときに行われ、弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書の提出により行われる。
- 4法が定める「聴聞」の節の規定に基づく処分またはその不作為に不服がある場合は、それについて行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。
- 5聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰するが、聴聞を主宰することができない者について、法はその定めを政令に委任している。
正解:3
解説
正解は肢3です。行政手続法13条1項2号は、同項1号が列挙する聴聞によるべき場合のいずれにも該当しないときに弁明の機会の付与によることとし、29条1項は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き弁明書を提出して弁明を行うとしています。肢1は2条4号ロが申請拒否処分を不利益処分から除いているため誤り、肢2は同法にそのような規定が置かれていないため誤り、肢4は27条が聴聞の節の規定に基づく処分等について審査請求を認めていないため誤り、肢5は19条2項が主宰することができない者を法律自身で列挙しているため誤りです。
問13
行政法行政手続法(以下、本問において「法」という。)が定める届出に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1届出は、法の定めによれば、「行政庁に対し一定の事項の通知をする行為」であるが、「申請に該当するものを除く」という限定が付されている。
- 2届出は、法の定めによれば、「行政庁に対し一定の事項の通知をする行為」であるが、「事前になされるものに限る」という限定が付されている。
- 3届出は、法の定めによれば、「法令により直接に当該通知が義務付けられているもの」であるが、「自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを除く」という限定が付されている。
- 4法令に定められた届出書の記載事項に不備があるか否かにかかわらず、届出が法令によりその提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされる。
- 5届出書に法令上必要とされる書類が添付されていない場合、事後に補正が求められることにはなるものの、当該届出が法令によりその提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務自体は履行されたものとされる。
正解:1
解説
正解は肢1です。行政手続法2条7号は、届出を「行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)」であって法令により直接に当該通知が義務付けられているものと定義しています。肢2は事前になされるものに限る旨の限定がないため誤り、肢3は同号が「自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む」としているため誤り、肢4と肢5は37条が形式上の要件に適合している場合に到達時に手続上の義務が履行されたものとする趣旨であるため誤りです。
問14
行政法行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に審査請求をすることができる場合には、行政不服審査法の定める例外を除き、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。
- 2行政不服審査法に基づく審査請求を審理した審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
- 3法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料する者は、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該処分をすることを求めることができる。
- 4法令に違反する行為の是正を求める行政指導の相手方は、当該行政指導が違法なものであると思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該行政指導の中止を求めることができる。
- 5地方公共団体の機関がする処分であってその根拠となる規定が条例に置かれているものにも行政不服審査法が適用されるため、そのような処分についての審査請求がされた行政庁は、原則として総務省に置かれた行政不服審査会に諮問をしなければならない。
正解:2
解説
正解は肢2です。行政不服審査法42条は、審理員は審理手続を終結したときは遅滞なく審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し、速やかにこれを事件記録とともに審査庁に提出しなければならないと定めます。肢1は5条1項が再調査の請求を法律に定めがある場合に限っているため誤り、肢3は処分等の求めが行政手続法36条の3の制度であるため誤り、肢4は行政指導の中止等の求めが行政手続法36条の2の制度であるため誤り、肢5は行政不服審査法81条1項が地方公共団体自身に不服審査機関を置くとしているため誤りです。
問15
行政法審理員に関する行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1審理員は、審査請求がされた行政庁が、審査請求の対象とされた処分の処分庁または不作為庁に所属する職員から指名する。
- 2審理員は、職権により、物件の所持人に対し物件の提出を求めた上で、提出された当該物件を留め置くことができる。
- 3審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、必要な場所についての検証をすることはできない。
- 4審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することはできない。
- 5審理員は、数個の審査請求に係る審理手続を併合することはできるが、ひとたび併合された審査請求に係る審理手続を分離することはできない。
正解:2
解説
正解は肢2です。行政不服審査法33条は、審理員が申立てによりまたは職権で書類その他の物件の所持人に対しその提出を求めることができるとし、提出された物件を留め置くことができると定めています。肢1は9条1項が審査庁に所属する職員から指名するとし、同条2項が処分に関与した者を除いているため誤り、肢3は35条1項、肢4は36条がいずれも職権による検証・質問を認めているため誤り、肢5は39条が併合された数個の審査請求に係る審理手続の分離も認めているため誤りです。
問16
行政法行政不服審査法が定める教示に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1処分庁が審査請求をすることができる処分をなす場合においては、それを書面でするか、口頭でするかにかかわらず、当該処分につき不服申立てをすることができる旨その他所定の事項を書面で教示をしなければならない。
- 2処分庁が審査請求をすることができる処分をなす場合において、処分の相手方に対し、当該処分の執行停止の申立てをすることができる旨を教示する必要はない。
- 3処分庁は、利害関係人から、当該処分が審査請求をすることができる処分であるかどうかにつき書面による教示を求められたときは、書面で教示をしなければならない。
- 4処分をなすに際し、処分庁が行政不服審査法において必要とされる教示をしなかった場合、当該処分に不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。
- 5審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をなす場合には、裁決書に、再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁および再審査請求期間を記載してこれらを教示しなければならない。
正解:1
解説
正解は肢1です。行政不服審査法82条1項はただし書で、処分を口頭でする場合には書面による教示を要しないと定めており、書面でするか口頭でするかにかかわらず教示義務があるとする肢1は妥当ではありません。肢2は執行停止の申立てができる旨の教示が法定されていない点、肢3は82条2項・3項、肢4は83条1項、肢5は50条3項の定めどおりで、いずれも妥当です。教示を怠った場合には処分庁に不服申立書を提出することができます。
問17
行政法行政事件訴訟法の定めに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟である抗告訴訟として適法に提起できる訴訟は、行政事件訴訟法に列挙されているものに限られる。
- 2不作為の違法確認の訴えに対し、請求を認容する判決が確定した場合、当該訴えに係る申請を審査する行政庁は、当該申請により求められた処分をしなければならない。
- 3不作為の違法確認の訴えは、処分または裁決についての申請をした者に限り提起することができるが、この申請が法令に基づくものであることは求められていない。
- 4「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しない行為については、民事保全法に規定する仮処分をする余地がある。
- 5当事者訴訟については、具体的な出訴期間が行政事件訴訟法において定められているが、正当な理由があるときは、その期間を経過した後であっても、これを提起することができる。
正解:4
解説
正解は肢4です。行政事件訴訟法44条は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」について民事保全法上の仮処分を排除しているにとどまり、これに該当しない行為については仮処分の余地があります。肢1は法定されていない無名抗告訴訟の余地があるため誤り、肢2は不作為の違法確認の認容判決が何らかの処分をすべき義務を生じさせるにとどまるため誤り、肢3は3条5項が「法令に基づく申請」を要件としているため誤り、肢5は同法が当事者訴訟一般の出訴期間を定めておらず40条1項が法令に定めがある場合を前提としているため誤りです。
問18
行政法抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1都市計画法に基づいて、公共施設の管理者である行政機関等が行う開発行為への同意は、これが不同意であった場合には、開発行為を行おうとする者は後続の開発許可申請を行うことができなくなるため、開発を行おうとする者の権利ないし法的地位に影響を及ぼすものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
- 2都市計画区域内において用途地域を指定する決定は、地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課すものではあるが、その効果は、新たにそのような制約を課する法令が制定された場合と同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なものにすぎず、当該地域内の個人の具体的な権利を侵害するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しない。
- 3市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定により、事業施行地区内の宅地所有者等は、所有権等に対する規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるため、当該計画の決定は、その法的地位に直接的な影響を及ぼし、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
- 4地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は、同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しない。
- 5特定の保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童およびその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができ、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
正解:1
解説
正解は肢1です。最判平成7年3月23日は、都市計画法32条に基づく公共施設管理者の同意が得られなくても、開発行為を行うことが事実上不可能となるにすぎず、私人の権利ないし法的地位が侵害されるわけではないとして、不同意の処分性を否定しました。肢2は用途地域指定に関する最判昭和57年4月22日(第一小法廷)、肢3は土地区画整理事業計画の決定に関する最大判平成20年9月10日、肢4は水道料金改定条例に関する最判平成18年7月14日、肢5は保育所廃止条例に関する最判平成21年11月26日のとおりで、いずれも妥当です。
問19
行政法行政事件訴訟法が定める処分無効確認訴訟(以下「無効確認訴訟」という。)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1無効確認訴訟は、処分が無効であることを主張して提起する訴訟であるから、当該処分に無効原因となる瑕疵が存在しない場合、当該訴えは不適法なものとして却下される。
- 2無効確認訴訟には、取消訴訟の原告適格を定める規定が準用されておらず、原告適格に関する制約はない。
- 3無効確認訴訟は、処分の取消訴訟につき審査請求の前置が要件とされている場合においても、審査請求に対する裁決を経ずにこれを提起することができる。
- 4無効確認訴訟においては、訴訟の対象となる処分は当初から無効であるのが前提であるから、当該処分の執行停止を申し立てることはできない。
- 5無効確認訴訟は、処分が無効であることを前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができる場合にも、提起することができる。
正解:3
解説
正解は肢3です。行政事件訴訟法38条3項は無効等確認の訴えについて23条の2、25条から29条まで等を準用するにとどまり、審査請求前置を定める8条を準用していません(8条が準用されるのは38条4項により不作為の違法確認の訴えについてです)。したがって取消訴訟について審査請求前置が要件とされている場合であっても、無効確認訴訟は裁決を経ずに提起することができます。肢1は無効原因がなければ却下ではなく請求棄却となるため誤り、肢2は36条が原告適格を定めているため誤り、肢4は38条3項が25条から29条までを準用しており執行停止を申し立てられるため誤り、肢5は36条が現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合に限るという補充性を要求しているため誤りです。
問20
行政法国家賠償法1条1項に基づく国家賠償責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1検察官が公訴を提起したものの、裁判で無罪が確定した場合、当該公訴提起は、国家賠償法1条1項の適用上、当然に違法の評価を受けることとなる。
- 2指定確認検査機関による建築確認事務は、当該確認に係る建築物について確認権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体の事務であり、当該地方公共団体が、当該事務について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う。
- 3公立学校における教職員の教育活動は、私立学校の教育活動と変わるところはないため、原則として、国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に当たらない。
- 4税務署長のする所得税の更正が所得金額を過大に認定していた場合、当該更正は、国家賠償法1条1項の適用上、当然に違法の評価を受けることとなる。
- 5警察官が交通法規に違反して逃走する車両をパトカーで追跡する職務執行中に、逃走車両の走行によって第三者が負傷した場合、当該追跡行為は、当該第三者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上、当然に違法の評価を受けることとなる。
正解:2
解説
正解は肢2です。最決平成17年6月24日は、指定確認検査機関による建築確認事務が、当該確認に係る建築物について確認権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体の事務であるとして、当該地方公共団体が国家賠償責任を負うとしました。肢1は無罪判決の確定によって公訴提起が当然に違法となるものではないとした最判昭和53年10月20日、肢3は公立学校の教育活動を公権力の行使に当たるとした最判昭和62年2月6日、肢4は更正が過大でも直ちに違法とはならないとした最判平成5年3月11日、肢5はパトカー追跡の違法性を限定した最判昭和61年2月27日に反するため妥当ではありません。
問21
行政法国家賠償法2条1項に基づく国家賠償責任に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解されるが、具体的に道路の設置または管理につきそのような瑕疵があったと判断するにあたっては、当該第三者の被害について、道路管理者において回避可能性があったことが積極的要件とされる。 【イ】営造物の供用が第三者に対する関係において違法な権利侵害ないし法益侵害となり、当該営造物の設置・管理者が賠償義務を負うかどうかを判断するにあたっては、侵害行為の開始とその後の継続の経過および状況、その間に採られた被害の防止に関する措置の有無およびその内容、効果等の事情も含めた諸要素の総合的な考察によりこれを決すべきである。 【ウ】道路等の施設の周辺住民からその供用の差止めが求められた場合に差止請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素は、周辺住民から損害の賠償が求められた場合に賠償請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素とほぼ共通するが、双方の場合の違法性の有無の判断に差異が生じることがあっても不合理とはいえない。 【エ】営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解すべきであるが、国営空港の設置管理は、営造物管理権のみならず、航空行政権の行使としても行われるものであるから、事理の当然として、この法理は、国営空港の設置管理の瑕疵には適用されない。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:3
解説
正解は肢3です。イは、営造物の供用が第三者との関係で違法な侵害となるかを、侵害行為の態様と程度、被害の性質と内容、防止措置の有無と効果などの諸要素の総合的な考察により決すべきとした大阪空港訴訟(最大判昭和56年12月16日)以来の判断枠組みです。ウは国道43号線訴訟(最判平成7年7月7日)が差止請求と損害賠償請求とで違法性の判断に差異が生じても不合理ではないとした点に沿います。アは回避可能性を積極的要件としていない点で、エは大阪空港訴訟が国営空港の設置管理の瑕疵にも同じ法理を及ぼしている点で、いずれも妥当ではありません。
問22
行政法A市議会においては、屋外での受動喫煙を防ぐために、繁華街での路上喫煙を禁止し、違反者に罰金もしくは過料のいずれかを科することを定める条例を制定しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1この条例に基づく過料は、行政上の秩序罰に当たるものであり、非訟事件手続法に基づき裁判所が科する。
- 2条例の効力は属人的なものであるので、A市の住民以外の者については、この条例に基づき処罰することはできない。
- 3この条例で過料を定める場合については、その上限が地方自治法によって制限されている。
- 4地方自治法の定める上限の範囲内であれば、この条例によらず、A市長の定める規則で罰金を定めることもできる。
- 5この条例において罰金を定める場合には、A市長は、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。
正解:3
解説
正解は肢3です。地方自治法14条3項は、条例に定めうる制裁を2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収の刑または5万円以下の過料に限っており、過料には上限があります。なお同項は出題時「2年以下の懲役若しくは禁錮」でしたが、2025年6月1日施行の刑法改正により拘禁刑に一本化されました。肢1は条例違反の過料を長が科す(255条の3)ため誤り、肢2は条例の効力が属地的であるため誤り、肢4は15条2項が規則に定めうる制裁を5万円以下の過料に限っているため誤り、肢5はそのような協議を要しないため誤りです。
問23
行政法住民監査請求および住民訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1住民訴訟は、普通地方公共団体の住民にのみ出訴が認められた客観訴訟であるが、訴訟提起の時点で当該地方公共団体の住民であれば足り、その後他に転出しても当該訴訟が不適法となることはない。
- 2普通地方公共団体における違法な財務会計行為について住民訴訟を提起しようとする者は、当該財務会計行為が行われた時点において当該地方公共団体の住民であったことが必要となる。
- 3普通地方公共団体における違法な財務会計行為について住民訴訟を提起しようとする者は、当該財務会計行為について、その者以外の住民が既に提起した住民監査請求の監査結果が出ている場合は、自ら別個に住民監査請求を行う必要はない。
- 4普通地方公共団体において違法な財務会計行為があると認めるときは、当該財務会計行為と法律上の利害関係のある者は、当該地方公共団体の住民でなくとも住民監査請求をすることができる。
- 5違法に公金の賦課や徴収を怠る事実に関し、住民が住民監査請求をした場合において、それに対する監査委員の監査の結果または勧告に不服があるとき、当該住民は、地方自治法に定められた出訴期間内に住民訴訟を提起することができる。
正解:5
解説
正解は肢5です。違法に公金の賦課・徴収を怠る事実については地方自治法242条2項の1年の期間制限が及ばず住民監査請求ができ、監査の結果または勧告に不服がある住民は、242条の2第2項1号により通知があった日から30日以内に住民訴訟を提起することができます。肢1は訴訟の係属中も当該団体の住民であることを要するため誤り、肢2は財務会計行為の時点で住民であることを要しないため誤り、肢3は住民訴訟を提起する者自身が監査請求を経る必要があるため誤り、肢4は242条1項が請求権者を住民に限っているため誤りです。
問24
行政法都道府県の事務にかかる地方自治法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされている。
- 2都道府県の事務の根拠となる法律が、当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、当該事務は自治事務となるとされている。
- 3都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて総務大臣に対してするものとするとされている。
- 4都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらずに、国の関与を受けることがあるとされている。
- 5都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるとされている。
正解:1
解説
正解は肢1です。地方自治法252条の17の2第1項は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を条例の定めるところにより市町村が処理することとすることができるという、条例による事務処理の特例を定めています。肢2は2条8項が自治事務を法定受託事務以外のものと消極的に定義しているため誤り、肢3は255条の2第1項1号が都道府県知事の法定受託事務に係る処分の審査請求先を当該事務を規定する法律等を所管する各大臣としているため誤り、肢4は245条の2の関与の法定主義に反するため誤り、肢5はそのような規定が置かれていないため誤りです。
問25
行政法次に掲げる国家行政組織法の条文の空欄ア〜オに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。第1条 この法律は、内閣の統轄の下における行政機関でア及びデジタル庁以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。第3条第1項 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。同第2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、イ及び庁とし、その設置及び廃止は、別にウの定めるところによる。同第3項 省は、内閣の統轄の下に第5条第1項の規定により各省大臣のエする行政事務及び同条第2項の規定により当該大臣が掌理する行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、イ及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。第5条第1項 各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務をエする。同第2項 各省大臣は、前項の規定により行政事務をエするほか、それぞれ、そのエする行政事務に係る各省の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務を掌理する。同第3項 各省大臣は、国務大臣のうちから、オが命ずる。(以下略)
- 1ア=自衛隊 イ=委員会 ウ=内閣府令 エ=分担管理 オ=内閣
- 2ア=防衛省 イ=独立行政法人 ウ=政令 エ=所轄 オ=天皇
- 3ア=内閣府 イ=内部部局 ウ=政令 エ=所掌 オ=内閣
- 4ア=自衛隊 イ=内部部局 ウ=法律 エ=統轄 オ=天皇
- 5ア=内閣府 イ=委員会 ウ=法律 エ=分担管理 オ=内閣総理大臣
正解:5
解説
正解は肢5です。国家行政組織法1条は内閣府(ア)及びデジタル庁以外の行政機関を対象とし、3条2項は国の行政機関を省・委員会(イ)・庁とし、その設置及び廃止を別に法律(ウ)で定めるとしています。5条1項は各省の長である各省大臣が主任の大臣として行政事務を分担管理(エ)するとし、同条3項は各省大臣を国務大臣のうちから内閣総理大臣(オ)が命ずるとしています。したがってこの組合せである肢5が正解です。内閣府とデジタル庁が対象から除かれているのは、それぞれ内閣府設置法とデジタル庁設置法に別途定めが置かれているためです。
問26
行政法国籍と住民としての地位に関する次の記述のうち、法令に照らし、妥当なものはどれか。
- 1事務監査請求をする権利は、日本国籍を有しない住民にも認められている。
- 2住民監査請求をする権利は、日本国籍を有する住民にのみ認められている。
- 3公の施設の利用関係については、日本国籍を有しない住民についても、不当な差別的な取り扱いをしてはならない。
- 4日本国籍を有しない住民のうち、一定の期間、同一地方公共団体の区域内に居住したものは、当該地方公共団体の長や議会の議員の選挙権を有する。
- 5日本国籍を有しない住民は、住民基本台帳法に基づく住民登録をすることができない。
正解:3
解説
正解は肢3です。地方自治法244条3項は、普通地方公共団体が住民の公の施設の利用について不当な差別的取扱いをしてはならないと定めており、ここでの住民は10条1項により区域内に住所を有する者を指し、国籍を問いません。肢1は75条1項が事務監査請求を選挙権を有する者に限っているため誤り、肢2は242条1項が住民監査請求を住民に認め国籍を問わないため誤り、肢4は外国人に地方選挙権が認められていないため誤り、肢5は住民基本台帳法30条の45により外国人住民についても住民票が作成されるため誤りです。
問27
民法虚偽表示の無効を対抗できない善意の第三者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bは当該土地上に建物を建築し、これを善意のCに賃貸した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。
- 2AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bが当該土地を悪意のCに譲渡し、さらにCが善意のDに譲渡した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をDに対抗できない。
- 3AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bは善意の債権者Cのために当該土地に抵当権を設定した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。
- 4AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bの債権者である善意のCが、当該土地に対して差押えを行った。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。
- 5AはBと通謀してAのCに対する指名債権をBに仮装譲渡したところ、Bは当該債権を善意のDに譲渡した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をDに対抗できない。
正解:1
解説
正解は肢1です。最判昭和57年6月8日は、土地の仮装譲受人が当該土地上に建てた建物の賃借人は、土地についての虚偽表示に基づく法律関係につき新たな利害関係を有するものではないとして、民法94条2項の「第三者」に当たらないとしました。肢2は善意の転得者を保護した最判昭和45年7月24日、肢3は仮装譲受人から抵当権の設定を受けた者、肢4は仮装譲受人の債権者として差押えをした者、肢5は仮装譲渡された債権の譲受人が、それぞれ94条2項の第三者に当たるとする点で、いずれも妥当です。
問28
民法占有権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1Aが所有する動産甲(以下「甲」という。)の保管をAから委ねられ占有しているBが、甲を自己の物と称してCに売却した場合、甲に対するCの即時取得の成立要件について、占有開始におけるCの平穏、公然、善意および無過失は推定される。
- 2Aが所有する乙土地(以下「乙」という。)をBが20年以上にわたって占有し、所有権の取得時効の成否が問われる場合、Aが、Bによる乙の占有が他主占有権原に基づくものであることを証明しない限り、Bについての他主占有事情が証明されても、Bの所有の意思が認められる。
- 3Aが所有する丙土地(以下「丙」という。)を無権利者であるBがCに売却し、Cが所有権を取得したものと信じて丙の占有を開始した場合、Aから本権の訴えがないときは、Cは、丙を耕作することによって得た収穫物を取得することができる。
- 4Aが所有する動産丁(以下「丁」という。)を保管することをBに寄託し、これに基づいてBが丁を占有していたところ、丁をCに盗取された場合、Bは、占有回収の訴えにより、Cに対して丁の返還を請求することができる。
- 5Aが所有する動産戊(以下「戊」という。)を保管することをBに寄託し、これをBに引き渡した後、Aは戊をCに譲渡した場合、Aが、Bに対して以後Cの所有物として戊を占有するよう指示し、Cが、これを承諾したときは、戊についてAからCへの引渡しが認められる。
正解:2
解説
正解は肢2です。最判昭和58年3月24日は、占有者が他人の物であることを知りながら占有していたなどの他主占有事情が証明されれば、他主占有権原の証明がなくても所有の意思が否定されるとしました。肢1は民法186条1項の推定に加え188条により無過失も推定されるとした最判昭和41年6月9日、肢3は189条1項の善意占有者による果実の取得、肢4は200条1項が受寄者にも占有回収の訴えを認めている点、肢5は184条の指図による占有移転のとおりで、いずれも妥当です。
問29
民法機械部品の製造販売を行うAは、材料供給者Bと継続的取引関係を結ぶにあたり、A所有の甲土地に、極度額5,000万円、被担保債権の範囲を「BのAに対する材料供給にかかる継続的取引関係から生じる債権」とする第1順位の根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)をBのために設定してその旨の登記をした。その後、AはCから事業資金の融資を受け、その債務の担保として甲土地に第2順位の普通抵当権をCのために設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、明らかに誤っているものはどれか。
- 1本件根抵当権について元本確定期日が定められていない場合、Aは、根抵当権の設定から3年が経過したときに元本確定を請求することができ、Bは、いつでも元本確定を請求することができる。
- 2本件根抵当権について元本確定前に被担保債権の範囲を変更する場合、Cの承諾は不要であるが、その変更について元本確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。
- 3本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができる。
- 4本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Bは、当該確定した元本に係る最後の2年分の利息、損害金については、極度額を超えても、本件根抵当権を行使して優先弁済を受けることができる。
- 5本件根抵当権について元本が確定する前に、BがAに対して有する材料供給にかかる債権の一部をDに譲渡した場合、当該債権譲渡の対抗要件を具備していても、Dは、当該譲渡された債権について根抵当権を行使することはできない。
正解:4
解説
正解は肢4です。民法398条の3第1項は、根抵当権者が確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について「極度額を限度として」根抵当権を行使できるとしており、普通抵当権の375条のような最後の2年分という枠組みは採られず、極度額を超えて優先弁済を受けることはできません。肢1は398条の19第1項・2項、肢2は398条の4第2項・3項、肢3は398条の21第1項、肢5は398条の7第1項の定めどおりで、いずれも正しい記述です。
問30
民法Aは、BにCから贈与を受けた動産甲を売却する旨の契約(以下「本件契約」という。)をBと締結したが、引渡し期日が過ぎても動産甲の引渡しは行われていない。この場合についての次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1本件契約に「Cが亡くなった後に引き渡す」旨が定められていた場合、Cの死亡後にBから履行請求があったとしても、Aが実際にCの死亡を知るまではAの履行遅滞の責任は生じない。
- 2動産甲が、契約締結前に生じた自然災害により滅失していたために引渡しが不能である場合、本件契約は、その成立の時に不能であるから、Aは、Bに履行の不能によって生じた損害を賠償する責任を負わない。
- 3動産甲の引渡しについて、Aが履行補助者であるDを用いた場合、Dの過失により甲が滅失し引渡しができないときには、Aに当然に債務不履行責任が認められる。
- 4動産甲が本件契約締結後引渡しまでの間にA・B双方の責めに帰すことができない事由によって滅失したときは、Aの引渡し債務は不能により消滅するが、Bの代金債務は消滅しないから、Bは、Aからの代金支払請求に応じなければならない。
- 5Aが本件契約に基づき動産甲をBのもとに持参して引き渡そうとしたが、Bがその受領を拒んだ場合、その後にA・B双方の責めに帰すことができない事由によって甲が滅失したときは、Bは、本件契約の解除をすることも、Aからの代金支払請求を拒絶することもできない。
正解:5
解説
正解は肢5です。受領遅滞後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失した場合、民法413条の2第2項によりその不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされ、543条により解除は認められず、536条2項により代金の支払を拒むこともできません。肢1は412条2項が請求を受けた時と期限の到来を知った時のいずれか早い時としているため誤り、肢2は412条の2第2項が原始的不能でも賠償請求を妨げないとするため誤り、肢3は415条1項ただし書により帰責事由を要するため誤り、肢4は536条1項により反対給付を拒めるため誤りです。
問31
民法債務不履行を理由とする契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1債務者が債務の全部について履行を拒絶する意思を明確に示したとしても、債権者は、相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がない場合でなければ、契約を解除することができない。
- 2特定物の売買契約において、契約締結後に目的物が不可抗力によって滅失した場合、買主は、履行不能を理由として契約を解除することができない。
- 3建物賃貸借契約において、賃借人の用法違反が著しい背信行為にあたり、契約関係の継続が困難となるに至った場合であっても、賃貸人は相当の期間を定めて賃借人に利用態様を改めるよう催告をし、その期間が経過しても賃借人が態度を改めようとしない場合でなければ、賃貸人は、当該契約を解除することができない。
- 4売買契約に基づいて目的物が引き渡された後に契約が解除された場合、買主が売主に対して負うべき原状回復義務には、目的物の返還に加えて、それまでに生じた目的物に関する使用利益の返還も含まれるが、当該契約が他人物売買であったときは、買主は売主に対して使用利益の返還義務を負わない。
- 5売買契約において、買主が代金の一部の支払を遅滞した場合、売主が相当の期間を定めてその支払の催告をし、その期間内に買主が代金を完済しなかったとしても、その時点における代金額の不足が軽微であるときは、売主の売買契約の解除が制限されることがある。
正解:5
解説
正解は肢5です。民法541条ただし書は、催告期間を経過した時における不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できないとしており、代金の不足が軽微であれば解除が制限されることがあります。肢1は542条1項2号が全部の履行拒絶の明示について無催告解除を認めるため誤り、肢2は542条1項1号により履行不能の場合に解除できるため誤り、肢3は信頼関係が破壊された場合の無催告解除を認めた最判昭和27年4月25日等に反するため誤り、肢4は他人物売買でも買主が使用利益の返還義務を負うとした最判昭和51年2月13日に反するため誤りです。
問32
民法Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。この場合についての次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1甲建物についてのAのBに対する賃貸人たる地位は、Bの承諾を要しないで、AとCとの合意により、Cに移転させることができる。
- 2甲建物の譲渡によるCへの賃貸人たる地位の移転は、甲建物についてAからCへの所有権移転登記をしなければ、Bに対抗することができない。
- 3AとCが甲建物の賃貸人たる地位をAに留保する旨の合意および甲建物をCがAに賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位はCに移転しない。
- 4賃貸人たる地位がCに移転した場合、Bは、Cの承諾を得なければ、甲建物の賃借権を譲り渡すことはできないが、甲建物を転貸するときは、Cの承諾を要しない。
- 5賃貸人たる地位がCに移転した場合、敷金の返還に係る債務はCに承継され、Cが、Bに対し、その債務を負う。
正解:4
解説
正解は肢4です。民法612条1項は、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権の譲渡も賃借物の転貸もできないと定めており、転貸に承諾を要しないとする肢4は誤りです。肢1は605条の3の合意による賃貸人たる地位の移転、肢2は605条の2第3項が所有権移転登記を対抗要件としている点、肢3は605条の2第2項の賃貸人たる地位の留保、肢5は605条の2第4項が敷金の返還に係る債務の承継を定めている点で、いずれも正しい記述です。
問33
民法法定利率に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがなかったときは、利息の利率は借主が金銭を受け取った日の法定利率による。
- 2利息付金銭消費貸借契約において、当初適用された法定利率が変動したときは、当該消費貸借の利息に適用される法定利率も一緒に変動する。
- 3利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがあったが遅延損害の額の定めがなかった場合に、当該利息の約定利率が法定利率より低かったときは、遅延損害の額は法定利率によって定める。
- 4不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定める。
- 5将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
正解:2
解説
正解は肢2です。民法404条1項は、利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときの利率を「その利息が生じた最初の時点における法定利率による」と定めており、いったん適用された法定利率はその後の変動によって変わりません。肢1は同項のとおり、肢3は419条1項ただし書の反対解釈により約定利率が法定利率を下回るときは法定利率による点、肢4は不法行為時から遅滞に陥るとした最判昭和37年9月4日と419条1項、肢5は417条の2第1項の中間利息控除の定めどおりで、いずれも妥当です。
問34
民法不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1未成年者が他人に損害を加えた場合、道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力があるときは、当該未成年者は、損害賠償の責任を負う。
- 2精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、過失によって一時的にその状態を招いたとしても、損害賠償の責任を負わない。
- 3野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。
- 4路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。
- 5路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。
正解:5
解説
正解は肢5です。民法720条1項は、他人の不法行為に対しやむを得ず加害行為をした者は損害賠償の責任を負わないとしつつ、ただし書で被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げないとしています。肢1は712条の責任能力が法的責任を弁識する能力を指し道徳上の是非善悪の判断能力では足りないため誤り、肢2は713条ただし書が故意または過失により一時的にその状態を招いた者に責任を負わせるため誤り、肢3は、720条1項の正当防衛が「他人の不法行為」に対する加害行為であることを要するところ、野生の熊の襲撃は他人の不法行為ではなく、熊は「他人の物」でもないため、正当防衛も同条2項の緊急避難も成立せず誤りです。肢4は、720条2項の緊急避難が他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合に限られるところ、暴漢から逃れるために第三者の窓を割る行為はこれに当たらないため誤りです。
問35
民法相続に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1系譜、祭具及び墳墓の所有権は、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときを除き、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
- 2相続人は、相続開始の時から、一身専属的な性質を有するものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するが、不法行為による慰謝料請求権は、被害者自身の精神的損害を填補するためのものであるから相続財産には含まれない。
- 3相続財産中の預金債権は、分割債権であるから、相続開始時に共同相続人に対してその相続分に応じて当然に帰属し、遺産分割の対象とはならない。
- 4相続開始後、遺産分割前に共同相続人の1人が、相続財産に属する財産を処分した場合、当該財産は遺産分割の対象となる相続財産ではなくなるため、残余の相続財産について遺産分割を行い、共同相続人間の不公平が生じたときには、別途訴訟等により回復する必要がある。
- 5共同相続人は、相続の開始後3か月を経過した場合、いつでもその協議で遺産の全部または一部の分割をすることができる。
正解:1
解説
正解は肢1です。民法897条1項は、系譜・祭具及び墳墓の所有権について、被相続人の指定があるときはその者が、指定がないときは慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定めています。肢2は慰謝料請求権の相続を認めた最大判昭和42年11月1日、肢3は預貯金債権が遺産分割の対象となるとした最大決平成28年12月19日に反し、肢4は906条の2が共同相続人全員の同意により処分された財産を遺産とみなせるとする点、肢5は907条1項がいつでも分割できるとする点に反するため誤りです。なお相続開始から10年経過後の分割については904条の3が新設されました。
問36
商法・会社法営業譲渡に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。
- 1甲が営業とともにその商号を乙に譲渡する場合には、乙が商号の登記をしなければその効力は生じない。
- 2乙が甲の商号を引き続き使用する場合には、乙は、甲の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。ただし、営業譲渡後、遅滞なく、乙が第三者である丙に対して、甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知をした場合には、乙は、丙に対して弁済責任を負わない。
- 3乙が甲の商号を引き続き使用する場合に、甲の営業によって生じた債権について、債務者である丙が乙に対して行った弁済は、丙の過失の有無を問わず、丙が善意であるときに、その効力を有する。
- 4乙が甲の商号を引き続き使用しない場合において、乙が甲の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、甲の弁済責任が消滅するため、甲の債権者である丙は、乙に対して弁済の請求をしなければならない。
- 5甲および乙が、乙に承継されない債務の債権者(残存債権者)である丙を害することを知りながら、無償で営業を譲渡した場合には、丙は、乙に対して、甲から承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
正解:5
解説
正解は肢5です。商法18条の2第1項は、残存債権者を害することを知って営業を譲渡した場合、残存債権者は譲受人に対し承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できると定めています。肢1は15条2項が商号譲渡の登記を効力要件ではなく対抗要件としているため誤り、肢2は17条2項が譲受人及び譲渡人の双方からの通知を要求しているため誤り、肢3は17条4項が弁済者の善意かつ無重過失を要件としているため誤り、肢4は18条2項により譲渡人の責任も広告があった日後2年間は存続するため誤りです。
問37
商法・会社法株式会社の設立における発行可能株式総数の定め等に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】発起設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 【イ】発起設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、発起人は、株式会社の成立の時までに、その過半数の同意によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。 【ウ】募集設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 【エ】募集設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。 【オ】設立時発行株式の総数は、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・オ
- 5エ・オ
正解:3
解説
正解は肢3です。イについて、会社法37条2項は発行可能株式総数についての定款の変更を発起人「全員の同意」によるとしており、過半数の同意とする点で誤りです。ウについて、募集設立において発行可能株式総数を定款で定めていない場合の定めの設定は、98条により創立総会の決議によるとされており、発起人全員の同意とする点で誤りです。アは37条1項、エは96条、オは37条3項の定めどおりで、いずれも正しい記述です。
問38
商法・会社法特別支配株主の株式売渡請求に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の他の株主(当該対象会社を除く。)の全員に対し、その有する当該対象会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。
- 2株式売渡請求をしようとする特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社に対し、株式売渡請求をする旨および対価として交付する金銭の額や売渡株式を取得する日等の一定の事項について通知し、当該対象会社の株主総会の承認を受けなければならない。
- 3株式売渡請求をした特別支配株主は、株式売渡請求において定めた取得日に、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の株主が有する売渡株式の全部を取得する。
- 4売渡株主は、株式売渡請求が法令に違反する場合であって、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、特別支配株主に対し、売渡株式の全部の取得をやめることを請求することができる。
- 5株式売渡請求において定めた取得日において公開会社の売渡株主であった者は、当該取得日から6か月以内に、訴えをもってのみ当該株式売渡請求に係る売渡株式の全部の取得の無効を主張することができる。
正解:2
解説
正解は肢2です。会社法179条の3第1項は、特別支配株主が株式売渡請求をしようとするときは対象会社に通知してその承認を受けなければならないとし、同条3項は取締役会設置会社ではその決定を取締役会の決議によるとしています。株主総会の承認を要するとする肢2は誤りです。肢1は179条1項、肢3は179条の9第1項、肢4は179条の7第1項の差止請求、肢5は846条の2第1項が公開会社について取得日から6か月以内の売渡株式等の取得の無効の訴えを定めている点で、いずれも正しい記述です。
問39
商法・会社法公開会社における株主総会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款に別段の定めはなく、かつ、株主総会の目的である事項の全部または一部について議決権を有しない株主はいないものとする。
- 1総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
- 2総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
- 3株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。
- 4総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、取締役に対し、検査役を選任すべきことを請求することができる。
- 5取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
正解:4
解説
正解は肢4です。会社法306条1項は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるための検査役の選任を「裁判所」に申し立てるものとしており、取締役に請求するとする肢4は誤りです。肢1は297条1項、肢2は303条2項、肢3は304条ただし書、肢5は314条の定めどおりで、いずれも正しい記述です。なお公開会社である取締役会設置会社では、306条2項により6か月前からの継続保有が検査役選任の申立ての要件に加わります。
問40
商法・会社法会計参与に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】公開会社である大会社は、会計参与を置いてはならない。 【イ】公開会社ではない大会社は、会計監査人に代えて、会計参与を置くことができる。 【ウ】会計参与は、株主総会の決議によって選任する。 【エ】会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならない。 【オ】会計参与は、すべての取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。ウは会社法329条1項が役員すなわち取締役・会計参与・監査役を株主総会の決議によって選任するとしているとおり、エは333条1項が会計参与の資格を公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人に限っているとおりで、いずれも正しい記述です。アは326条2項によりどの会社も定款の定めによって会計参与を置けるため、イは328条2項が公開会社でない大会社にも会計監査人の設置を義務づけているため、オは376条1項が出席義務を計算書類等の承認をする取締役会に限っているため、いずれも誤りです。
問47
基礎知識ロシア・旧ソ連の外交・軍事に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 11853年にロシアはオスマン朝トルコとウクライナ戦争を起こし、イギリス・フランスがトルコ側に参戦して、ウィーン体制に基づくヨーロッパの平和は崩壊した。
- 2第一次世界大戦の末期の1917年に、ロシアでいわゆる名誉革命が生じ、革命政権は「平和に関する布告」を出し、社会主義インターナショナルの原則による和平を求めた。
- 3独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ソ連は1939年にポーランドに侵攻して東半分を占領し、さらにフィンランドとバルト三国とスウェーデンも占領した。
- 41962年にキューバにソ連のミサイル基地が建設されていることが分かり、アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった。
- 51980年代前半は新冷戦が進行したが、ソ連の最高指導者ゴルバチョフは新思考外交を展開し、1989年の米ソ両首脳のマルタ会談において、東西冷戦の終結が宣言された。
正解:5
解説
正解は肢5です。ゴルバチョフの新思考外交のもと、1989年12月の米ソ首脳によるマルタ会談で東西冷戦の終結が宣言されました。肢1は1853年に始まったのがクリミア戦争であるため誤り、肢2は1917年にロシアで生じたのが二月革命と十月革命であり名誉革命は17世紀イギリスの出来事であるため誤り、肢3はソ連がスウェーデンを占領しておらず日ソ中立条約の締結が1941年である点でも誤り、肢4はキューバ危機においてアメリカが空爆ではなく海上封鎖を行い戦争には至らなかったため誤りです。
問48
基礎知識ヨーロッパの国際組織に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】1960年にイギリスが中心となって設立されたヨーロッパの経済統合を目指す国際機関を欧州経済共同体(EEC)という。 【イ】国際連合の下部組織としてヨーロッパの一部の国際連合加盟国が参加して形成された国際機関を欧州連合(EU)という。 【ウ】ヨーロッパにおける人権保障、民主主義、法の支配の実現を目的とした国際機関を欧州評議会(Council of Europe)という。 【エ】ヨーロッパがヨーロッパ外部からの攻撃に対して防衛するためアメリカとヨーロッパ各国が結んだ西欧条約に基づいて設立された集団防衛システムを西欧同盟(WEU)という。 【オ】欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国が欧州連合(EU)に加盟せずにヨーロッパの市場に参入することができるよう作られた仕組みを欧州経済領域(EEA)という。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・オ
正解:5
解説
正解は肢5です。ウの欧州評議会は1949年に設立され、人権保障・民主主義・法の支配の実現を目的として欧州人権条約と欧州人権裁判所を擁する国際機関です。オの欧州経済領域(EEA)は、EFTA加盟国がEUに加盟することなく域内市場に参加できるようにする枠組みです。アはEECではなくEFTAの説明であるため、イはEUが国際連合の下部組織ではないため、エは西欧同盟がブリュッセル条約に基づく欧州諸国の機構でありアメリカを含まないため、いずれも妥当ではありません。
問49
基礎知識軍備縮小(軍縮)に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。 【ア】コスタリカは軍隊を持たないことを憲法に明記し、フィリピンは非核政策を憲法に明記している。 【イ】対人地雷禁止条約*では、対人地雷の使用や開発が全面的に禁止されている。 【ウ】核拡散防止条約(NPT)では、すべての国の核兵器保有が禁止されているが、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国は批准していない。 【エ】佐藤栄作は、生物・化学兵器禁止に尽力したことが評価され、2004年にノーベル平和賞を受賞した。 【オ】中距離核戦力(INF)全廃条約は、アメリカとソ連との間に結ばれた条約で、2019年に失効した。(注) * 対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4ウ・エ
- 5エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。ウについて、核拡散防止条約はアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の5か国を核兵器国と位置づけてその保有を前提としており、これらの国はいずれも同条約の締約国であるため妥当ではありません。エについて、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞したのは1974年であり、その理由も非核三原則の提唱等であって生物・化学兵器禁止への尽力ではないため妥当ではありません。アのコスタリカ憲法とフィリピン憲法、イの対人地雷禁止条約、オのINF全廃条約の失効は、いずれも妥当です。
問50
基礎知識郵便局に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。 【ア】郵便局は全国で2万か所以上あり、その数は全国のコンビニエンスストアの店舗数より多い。 【イ】郵便局は郵便葉書などの信書の送達を全国一般で行っているが、一般信書便事業について許可を受けた民間事業者はいない。 【ウ】郵便局では、農産物や地元特産品などの販売を行うことは、認められていない。 【エ】郵便局では、簡易保険のほか、民間他社の保険も取り扱っている。 【オ】郵便局内にあるゆうちょ銀行の現金自動預払機(ATM)では、硬貨による預金の預入れ・引出しの際に手数料を徴収している。
- 1ア・ウ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・エ
正解:1
解説
正解は肢1です。アについて、郵便局は全国に2万4千局程度あるのに対しコンビニエンスストアは5万店を超えており、郵便局の方が多いとする点で妥当ではありません。ウについて、郵便局では地域の農産物や特産品の販売が行われており、これが認められていないとする点で妥当ではありません。イの一般信書便事業は参入要件が厳しく許可を受けた民間事業者がいない点、エの他社商品の取扱い、オのゆうちょ銀行のATMにおける硬貨取扱料金の徴収は、いずれも妥当です。
問51
基礎知識次の文章の空欄ア〜カに当てはまる国名の組合せとして、正しいものはどれか。「国内総生産(GDP)」は、国の経済規模を表す指標である。GDPは一国内で一定期間に生産された付加価値の合計であり、その国の経済力を表す。それに対し、その国の人々の生活水準を知るためには、GDPの値を人口で割った「1人当たりGDP」が用いられる。 2022年4月段階での国際通貨基金(IMF)の推計資料によれば、世界のなかでGDPの水準が高い上位6か国をあげると、ア、イ、ウ、エ、オ、カの順となる。ところが、これら6か国を「1人当たりGDP」の高い順に並びかえると、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、インドの順となる。
- 1ア=アメリカ イ=日本 ウ=中国 エ=インド オ=イギリス カ=ドイツ
- 2ア=中国 イ=アメリカ ウ=日本 エ=イギリス オ=インド カ=ドイツ
- 3ア=アメリカ イ=中国 ウ=日本 エ=ドイツ オ=インド カ=イギリス
- 4ア=中国 イ=アメリカ ウ=インド エ=イギリス オ=ドイツ カ=日本
- 5ア=アメリカ イ=中国 ウ=インド エ=日本 オ=ドイツ カ=イギリス
正解:3
解説
正解は肢3です。2022年4月時点のIMFの推計では、名目GDPの上位6か国はアメリカ、中国、日本、ドイツ、インド、イギリスの順であり、これを1人当たりGDPの高い順に並べ替えるとアメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、インドの順となります。したがってア=アメリカ、イ=中国、ウ=日本、エ=ドイツ、オ=インド、カ=イギリスの組合せである肢3が正解です。なおその後の推計では2023年にドイツが日本を上回るなど、順位は入れ替わっています。
問52
基礎知識日本の森林・林業に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】日本の森林率は中国の森林率より高い。 【イ】日本の森林には、国が所有する国有林と、それ以外の民有林があるが、国有林面積は森林面積全体の半分以上を占めている。 【ウ】日本では、21世紀に入ってから、環境破壊に伴って木材価格の上昇が続き、2020年代に入ってもさらに急上昇している。 【エ】荒廃する森林の保全のための財源確保に向けて、新たに森林環境税が国税として導入されることが決まった。 【オ】日本は木材の多くを輸入に依存しており、木材自給率は年々低下する傾向にある。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:2
解説
正解は肢2です。アについて、日本の森林率は約68%で世界有数の高さであり、約23%の中国を大きく上回ります。エについて、森林環境税は国税として創設され、2024年度から個人住民税に年額1000円を上乗せする形で課税が始まっています。イは国有林が森林面積の約3割にとどまるため、ウは木材価格が長期的に低迷し2021年のいわゆるウッドショックで一時的に高騰した経緯と異なるため、オは木材自給率が2000年代初頭を底に上昇傾向にあるため、いずれも妥当ではありません。
問53
基礎知識アメリカ合衆国における平等と差別に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1黒人差別に抗議する公民権運動において中心的な役割を担ったキング牧師は、1963年に20万人以上の支持者による「ワシントン大行進」を指導した。
- 22017年に、ヒラリー・クリントンは、女性として初めてアメリカ合衆国大統領に就任した。
- 32020年にミネアポリスで黒人男性が警察官によって殺害された後、人種差別に対する抗議運動が各地に広がった。
- 4人種差別に基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪とする反リンチ法が、2022年に成立した。
- 52022年に、ケタンジ・ブラウン・ジャクソンは、黒人女性として初めて連邦最高裁判所判事に就任した。
正解:2
解説
正解は肢2です。2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンは民主党の候補者に指名されたものの共和党のドナルド・トランプに敗れており、女性として初めてアメリカ合衆国大統領に就任した事実はありません。肢1は1963年のワシントン大行進、肢3は2020年5月のミネアポリスでの事件を契機とする抗議運動の広がり、肢4は2022年の反リンチ法の成立、肢5は2022年のケタンジ・ブラウン・ジャクソンの連邦最高裁判所判事就任で、いずれも妥当です。
問54
基礎知識次の文章の空欄ア〜オに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 地球環境問題を解決するためには、国際的な協力体制が不可欠である。1971年には特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関して、アが採択された。1972年に国連人間環境会議がスウェーデンのストックホルムで開催され、国際的に環境問題に取り組むためのイが決定された。しかし、石油危機後の世界経済の落ち込みにより、環境対策より経済政策が各国で優先され、解決に向けた歩みは進まなかった。 それでも、1992年にブラジルのリオデジャネイロで国連環境開発会議(地球サミット)が開催され、「持続可能な開発」をスローガンに掲げたリオ宣言が採択された。同時に、環境保全に向けての行動計画であるアジェンダ21、地球温暖化対策に関するウや、生物多様性条約なども採択された。その後、1997年の第3回ウ締約国会議(COP3)でエが採択され、さらに、2015年の第21回ウ締約国会議(COP21)でオが採択されるなど、取組が続けられている。
- 1ア=国連環境計画 イ=パリ協定 ウ=京都議定書 エ=ラムサール条約 オ=気候変動枠組条約
- 2ア=国連環境計画 イ=京都議定書 ウ=パリ協定 エ=気候変動枠組条約 オ=ラムサール条約
- 3ア=ラムサール条約 イ=パリ協定 ウ=国連環境計画 エ=京都議定書 オ=気候変動枠組条約
- 4ア=ラムサール条約 イ=国連環境計画 ウ=気候変動枠組条約 エ=京都議定書 オ=パリ協定
- 5ア=京都議定書 イ=気候変動枠組条約 ウ=ラムサール条約 エ=国連環境計画 オ=パリ協定
正解:4
解説
正解は肢4です。1971年に採択された、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約がラムサール条約(ア)、1972年の国連人間環境会議を受けて設置が決定されたのが国連環境計画すなわちUNEP(イ)です。1992年の地球サミットで採択された地球温暖化対策の枠組みが気候変動枠組条約(ウ)で、その第3回締約国会議で採択されたのが京都議定書(エ)、第21回締約国会議で採択されたのがパリ協定(オ)です。したがってこの組合せである肢4が正解です。
問55
基礎知識次の文章の空欄Ⅰ〜Ⅴには、それぞれあとのア〜コのいずれかの語句が入る。その組合せとして妥当なものはどれか。 人工知能(AI)という言葉は定義が難しく、定まった見解はない。しかしながら、人間が従来担ってきた知的生産作業を代替する機能を有するコンピュータを指していると考えたい。例えば、ⅠやⅡ、翻訳や文章生成、さまざまなゲームのプレイ、各種の予測作業においてAIが利用されていることはよく知られている。すでに、社会生活のさまざまな場面でAI技術の応用が見られており、Ⅰ技術を用いた例として文字起こしサービスが、Ⅱ技術を用いた例として生体認証がある。 AIの発展の第一の背景として、コンピュータが予測を行うために利用するⅢが収集できるようになってきたことが挙げられる。第二に、コンピュータの高速処理を可能にする中央処理装置(CPU)の開発がある。第三に、新しいテクノロジーであるⅣの登場がある。従来の学習機能とは異なって、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて、その中からルールや相関関係などの特徴を発見する技術である。これは人間と同じⅤをコンピュータが行うことに特徴がある。さらに、このⅣが優れているのは、コンピュータ自身が何度もデータを読み解く作業を継続して学習を続け、進化できる点にある。【ア】音声認識【イ】声紋鑑定【ウ】画像認識【エ】DNA鑑定【オ】ビッグデータ【カ】デバイス【キ】ディープラーニング【ク】スマートラーニング【ケ】帰納的推論【コ】演繹的推論
- 1Ⅰ=ア Ⅱ=ウ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=ケ
- 2Ⅰ=ア Ⅱ=ウ Ⅲ=カ Ⅳ=ク Ⅴ=ケ
- 3Ⅰ=ア Ⅱ=エ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=コ
- 4Ⅰ=イ Ⅱ=ウ Ⅲ=カ Ⅳ=ク Ⅴ=コ
- 5Ⅰ=イ Ⅱ=エ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=ケ
正解:1
解説
正解は肢1です。文字起こしサービスに用いられるのは音声認識(Ⅰ=ア)、生体認証に用いられるのは画像認識(Ⅱ=ウ)です。AIの発展の背景として挙げられる大量のデータはビッグデータ(Ⅲ=オ)、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて特徴を発見する新しい技術はディープラーニング(Ⅳ=キ)であり、個々の事例から一般的な規則性を導く点で人間の帰納的推論(Ⅴ=ケ)に相当します。したがってこの組合せである肢1が正解です。
問56
基礎知識情報通信に関する用語を説明した次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】自らに関する情報が利用される際に、ユーザ本人の許可を事前に得ておくシステム上の手続を「オプトイン」という。 【イ】インターネット上で情報発信したりサービスを提供したりするための基盤を提供する事業者を「プラットフォーム事業者」という。 【ウ】情報技術を用いて業務の電子化を進めるために政治体制を専制主義化することを「デジタルトランスフォーメーション」という。 【エ】テレビ電話を使って離れた話者を繋ぐ情報システムのことを「テレワーク」という。 【オ】ユーザが自身の好みのウェブページをブラウザに登録することを「ベース・レジストリ」という。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:1
解説
正解は肢1です。アのオプトインは、個人情報の利用等についてあらかじめ本人の同意を得ておく方式をいい、事後に拒否の機会を与えるオプトアウトと対になる概念です。イのプラットフォーム事業者は、検索・SNS・電子商取引などインターネット上のサービス基盤を提供する事業者を指します。ウはデジタルトランスフォーメーションがデジタル技術による事業やサービスの変革を意味するため、エはテレワークが情報通信技術を用いた場所にとらわれない働き方を指すため、オはベース・レジストリが公的機関の基礎的なデータベースを指すため、いずれも妥当ではありません。
問57
基礎知識個人情報保護制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは異なり、国の制度がすべての地方公共団体に先行して整備された。
- 2個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならない。
- 3個人番号カードは、個人情報保護法に基づいて、各都道府県が交付している。
- 4個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができる。
- 5個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどる。
正解:5
解説
正解は肢5です。個人情報保護法132条3号は、個人情報保護委員会の所掌事務として認定個人情報保護団体に関することを掲げています(出題時は129条3号でしたが、地方公共団体等に関する規定の追加に伴い条番号が繰り下がりました)。肢1は多くの地方公共団体が国に先行して個人情報保護条例を制定していたため誤り、肢2は地方公共団体に個人情報保護条例の制定義務はなく、また委員会が行政機関の長等に対して行えるのは指導・助言(157条)と勧告(158条)までで是正命令を発する権限がないため誤り、肢4は委員会が地方公共団体等に対して自ら監視権限を行使する仕組みであるため誤り、肢3は個人番号カードの根拠法が番号利用法であり、その交付を行うのは市町村長である(同法17条1項。カードの作成・発行は地方公共団体情報システム機構が行う)ため誤りです。