基礎法学
法源・法の解釈と裁判制度
法令の抵触は上位法優先・特別法優先・後法優先の順で処理し、後法が常に前法を破るわけではありません。商法1条2項の適用順序、簡裁が第一審の民事事件の上告審が高裁である点も繰り返し狙われます。
要点 8件・確認問題 8問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
公法と私法・実体法と手続法
実体法は権利義務の発生・変更・消滅の要件と効果を定める法で、憲法・民法・商法・刑法などがこれにあたる。手続法はその実現の手続を定める法で、民事訴訟法・刑事訴訟法・行政事件訴訟法・行政不服審査法などがこれにあたる。公法は国家と私人の関係を規律する法、私法は私人相互の関係を規律する法である。また自然法は人間の理性に基づき時代や場所を超えて妥当するとされる法、実定法は人為的に定立された法をいう。分類はいずれも相対的である。
覚え方中身を決めるのが実体法、実現の道筋が手続法
01法源・法の解釈と裁判制度の重要暗記項目
公法と私法・実体法と手続法
実体法は権利義務の発生・変更・消滅の要件と効果を定める法で、憲法・民法・商法・刑法などがこれにあたる。手続法はその実現の手続を定める法で、民事訴訟法・刑事訴訟法・行政事件訴訟法・行政不服審査法などがこれにあたる。公法は国家と私人の関係を規律する法、私法は私人相互の関係を規律する法である。また自然法は人間の理性に基づき時代や場所を超えて妥当するとされる法、実定法は人為的に定立された法をいう。分類はいずれも相対的である。
覚え方中身を決めるのが実体法、実現の道筋が手続法
ひっかけ注意行政不服審査法を実体法に分類する誤りが狙われる。権利実現の手続を定める手続法である。
一般法と特別法
一般法は広く一般的に適用される法、特別法は特定の人・場所・事項に限って適用される法であり、特別法は一般法に優先する。民法に対する商法や借地借家法、行政手続法に対する国税通則法などがその例である。この関係は相対的で、同じ法律が別の法律との関係では一般法になることもある。また強行法規は公の秩序に関する規定で当事者の合意によって排除できず、任意法規は公の秩序に関しない規定で当事者の意思が優先する(民法91条)。物権法や親族法には強行法規が多い。
覚え方特別は一般に勝つ。強行法規は合意で外せない
ひっかけ注意一般法と特別法の関係を固定的に捉える誤りが狙われる。関係は相対的で、比較する相手によって入れ替わる。
法源と成文法主義
法源とは裁判の基準となる法の存在形式をいう。成文法(制定法)には憲法、法律、命令(政令・内閣府令・省令)、規則、条例、条約がある。不文法には慣習法、判例法、条理がある。英米法系が判例法主義を採るのに対し、日本は大陸法系の成文法主義を採る。わが国では判例に法的な先例拘束性を認める明文はないが、判例を変更するには大法廷によらなければならないため(裁判所法10条3号)、事実上の拘束力を持つ。条理は民事裁判における最後の判断基準となる。
覚え方日本は成文法主義。判例に法的拘束力はないが事実上は強い
ひっかけ注意日本でも判例に法的な先例拘束性があるとする誤りが狙われる。明文はなく、事実上の拘束力にとどまる。
慣習法の効力
法の適用に関する通則法3条は、公の秩序または善良の風俗に反しない慣習のうち、法令の規定により認められたものまたは法令に規定されていない事項に関するものに、法律と同一の効力を認める。商事については商法1条2項が、商法に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは民法の定めるところによるとしており、商慣習が民法の規定に優先する。これに対し民法92条の事実たる慣習は、任意規定と異なる慣習について当事者の意思を推定する仕組みであり、慣習法とは区別される。
覚え方商事は商法→商慣習→民法の順。民法より商慣習が先
ひっかけ注意商法に規定がない事項について民法が商慣習に優先するとする誤りが定番。商法1条2項は商慣習を先に置く。
法の効力の優劣
法令相互の抵触は、上位法優先、特別法優先、後法優先の順に処理する。まず形式的効力の上下を見て上位の法令を優先させ、同順位であれば特別法が一般法に優先し、同順位かつ一般法・特別法の関係がなければ後法が前法に優先する。特別法優先の原則は後法優先の原則に先立つため、後から制定された一般法があっても、先行する特別法は当然には効力を失わない。上位法に反する下位の法令は無効となり、法律に反する命令や条例も効力を持たない。
覚え方上位が先、次に特別、最後に新しい方
ひっかけ注意後から制定された一般法が先行する特別法を当然に排除するとする誤りが狙われる。特別法優先が先に働く。
憲法の最高法規性と条約
憲法98条1項は憲法が国の最高法規であるとし、その条規に反する法律・命令・詔勅および国務に関するその他の行為の全部または一部の効力を否定する。同項に条約が列挙されていないことを根拠に条約優位説も主張されたが、通説および実務は憲法優位説を採る。同条2項は日本国が締結した条約および確立された国際法規を誠実に遵守すべきことを定める。条約は公布により特段の立法措置なく国内法としての効力を持ち、法律には優位すると解されている。
覚え方憲法>条約>法律。通説は憲法優位説
ひっかけ注意98条1項に条約が挙げられていないことから条約が憲法に優位するとする誤りが狙われる。通説は憲法優位説である。
法律不遡及の原則
法律不遡及の原則とは、法令はその施行前に生じた事実に遡って適用されないという原則である。刑罰については憲法39条前段が実行の時に適法であった行為の刑事責任を問うことを禁じ、遡及処罰は絶対に許されない。これに対し民事法規では、既得権や信頼の保護と立法目的とを比較衡量したうえで遡及適用が認められることがあり、法律に明文の遡及規定を置くこともできる。手続法については、原則として新法が係属中の事件にも適用される。
覚え方刑罰の遡及は絶対禁止、民事は比較衡量で例外あり
ひっかけ注意民事法規にも遡及適用が一切許されないとする誤りが狙われる。憲法上禁止されるのは遡及処罰である。
法令の形式と上下関係
国の法令は憲法、法律、政令、内閣府令・省令の順に形式的効力を有する。政令は内閣が制定し、法律の委任がなければ義務を課し権利を制限する規定や罰則を設けることができない(憲法73条6号ただし書)。府令・省令は各大臣が制定する。条例は地方公共団体が法律の範囲内で制定する自主法であり(憲法94条)、法律の委任により2年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金等の罰則を定めることができる(地方自治法14条3項)。規則には議院規則、最高裁判所規則、地方公共団体の長の規則がある。
覚え方憲法・法律・政令・府省令。政令の罰則には法律の委任が要る
ひっかけ注意政令が法律の委任なしに罰則を定められるとする誤りが狙われる。憲法73条6号ただし書が委任を要求している。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1抵触する法令の形式的効力の上下をまず見る。同順位なら特別法優先、一般法と特別法の関係になければ後法優先の順で処理する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2解釈の方法を仕分ける。拡張解釈は文言の枠内の調整、類推解釈は規定のない事項への準用で、刑罰法規では被告人に不利益な類推が禁じられる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3裁判制度なら審級を確認する。簡易裁判所が第一審の民事事件は、地方裁判所が控訴審・高等裁判所が上告審となる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 法の適用に関する通則法
- 内容の基準日
- 2026年4月1日
- 復習方法
- 要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
法源・法の解釈と裁判制度の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
基礎法学重要度 A頻出度 8/24(編集部の目安)
簡易裁判所の管轄と少額訴訟
簡易裁判所は訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求について第一審の裁判権を有し、そのうち100万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
全784問から、分野・重要度で解く
行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。