資格・キャリア2026年版
宅建士の年収は?公的統計の最新値と資格手当の読み方【2026年版】
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2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。
宅建士の年収は、近い範囲の公的統計で見ると、住宅・不動産営業の平均で660.7万円、不動産業,物品賃貸業の平均給与で512.5万円です。ただし、どちらも宅建士だけを測った数字ではありません。このページは、2026年11月2日時点で確認できる公的統計だけを使い、それぞれが何を測ったかを分けたうえで、資格手当を含めて自分の年収を見積もる手順を示します。
- 公開日
- 2026年8月4日
- 更新日
- 2026年11月2日
- 読了目安
- 約20分
- 法令基準日
- 2026年4月1日

先に結論
宅建士だけを抽出した公的な年収統計はありません。近い範囲を測った数字は2つで、厚生労働省job tagが示す「住宅・不動産営業」の平均年収660.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)と、国税庁の民間給与実態統計調査が示す「不動産業,物品賃貸業」の平均給与512.5万円(令和7年分)です。前者は営業職、後者は事務職なども含む業種全体の数字で、直接は比べられません。資格手当の金額には公的統計がなく、支給の条件(試験合格か、資格登録・宅建士証の交付か)も会社ごとに違うため、求人票と給与規程で確認します。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 宅建士単独の公的年収統計は存在しない
- 職業単位660.7万円と業種単位512.5万円は測っている人が違う
- 在職者の平均と採用時の求人賃金は別の物差しである
- 資格手当は公的統計がなく、合格・登録・宅建士証のどれが条件かを求人票で確かめる
- 求人票の固定部分から自分の見込み年収を組み立てる
01結論:宅建士だけの年収統計は存在しない
先に結論を書きます。国が公表している統計の中に、宅地建物取引士だけを抜き出した平均年収はありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも、宅地建物取引士という職業ページはありません。行政書士や不動産鑑定士には専用の職業ページがあるのに、宅建士にはないのです。
これは統計の不備ではなく、宅建士という資格の性質によるものです。宅建(宅地建物取引士)は、不動産の売買や賃貸の取引で重要事項の説明などを行うための国家資格で、試験に合格し、都道府県の資格登録を受け、宅建士証の交付を受けて宅建士になります。資格そのものに給料が付くのではなく、給料は勤務先の給与体系で決まります。持っている人は売買仲介の営業も、賃貸管理も、金融機関の融資担当も、事業会社の総務もしています。職業として1つに束ねられないため、職業別統計に現れません。
したがって、使えるのは近い範囲を測った統計を2つ、役割を分けて読むことになります。1つは職業を単位にした「住宅・不動産営業」の660.7万円、もう1つは業種を単位にした「不動産業,物品賃貸業」の512.5万円です。この2つは測っている対象が違い、金額は148万円ほど離れます。
この差を「どちらが正しいか」で考えると行き詰まります。どちらも正しく、対象が違うだけです。自分がどちらに近い働き方をするのかで、参照する数字を選んでください。
02なぜ「宅建士の年収」が統計に出てこないのか
国土交通省の調査によれば、令和7年度末時点で宅地建物取引士の総登録者数は1,243,738人です。令和7年度だけで34,714人が新たに登録しました。120万人を超える登録者がいながら、この人たちの年収を横断して測った統計はありません。
理由は、登録している人が全員その資格を使って働いているわけではないからです。宅建士として登録していても、宅建業とは無関係の仕事をしている人が相当数含まれます。就職や転職のために取得し、実際には使っていない人も珍しくありません。
また、宅建業に従事していても、資格が収入に直結する度合いは職種によって違います。売買仲介の営業なら成約が収入に直結しますが、管理部門なら資格の有無で成果が変わるわけではありません。同じ資格を持っていても、収入の決まり方が別物です。
この構造を理解しておくと、ネット上の「宅建士の平均年収は◯◯万円」という数字の意味も見えてきます。出所を示していないものは、宅建士以外を測った統計を言い換えているか、そのサイトが独自に集めた求人情報の平均です。後者は母集団が公開されていないため、検証できません。
03job tagの「住宅・不動産営業」660.7万円
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、職業ごとに賃金や求人の状況を示しています。宅建士に最も近い職業ページは「住宅・不動産営業」で、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに平均年収660.7万円と表示されています。
同じページには、平均年齢42.4歳、労働時間163時間という数値もあります。ハローワークの求人統計では、求人賃金(月額)が30.4万円(令和7年度、前年度より0.9万円増)、有効求人倍率が2.72(令和7年度)です。年収660.7万円と求人賃金月額30.4万円は一見矛盾しますが、前者は現に働いている人の実績、後者はこれから採用する人に提示している金額なので、性質が違います。
このページは、宅建士資格について「業務に従事する者5名に1名以上の割合で専任の宅地建物取引士を事務所に設置する必要がある」と説明し、資格取得は仕事を進めるうえで有利だと記しています。入職に学歴や資格は特に必要とされないとも書かれています。つまり、この職業と宅建士は関係が深いものの、同じではありません。
重要なのは、660.7万円が「営業職として成果を出している人を含む実績値」だという点です。歩合の比重が大きい職種では、平均値は上位の人に引き上げられます。中央値ではないため、半数がこの金額に届いているとは限りません。
04国税庁の「不動産業,物品賃貸業」512.5万円
もう1つの参照先が、国税庁の民間給与実態統計調査です。令和8年9月に公表された令和7年分の業種別平均給与では、不動産業,物品賃貸業が5,125千円、つまり512.5万円と示されています。対前年伸び率は3.4パーセントで、前年の令和6年分は495.5万円でした。平均賞与は683千円で、こちらは前年より3.0パーセント減っています。
この調査は、1年を通じて勤務した給与所得者を対象にしています。営業職も事務職も管理職も、その業種で給与を受け取っている人が全員入ります。したがって、job tagの数字より対象が広く、金額は低く出ます。
また「物品賃貸業」が同じ区分に含まれている点にも注意してください。不動産業だけを取り出した数字ではありません。統計の区分は行政上の分類であって、私たちが知りたい範囲と一致するとは限らないという典型例です。
それでも、この数字には他の業種と同じ物差しで測られているという強みがあります。業種間の位置関係を知りたいときは、こちらが適しています。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 統計 | 単位 | 金額 | 含まれる人 |
|---|---|---|---|
| job tag「住宅・不動産営業」(令和7年賃金構造基本統計調査) | 職業 | 660.7万円 | 住宅・不動産の営業として働く人 |
| 民間給与実態統計調査「不動産業,物品賃貸業」(令和7年分) | 業種 | 512.5万円 | その業種で1年勤務した給与所得者全員 |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
05148万円の差はどこから来るのか
同じ不動産に関わる数字が148万円も離れるのは、測っている集団が違うからです。差の理由は3つに分けられます。なお、令和6年分の495.5万円と比べた場合の差は165万円でした。年ごとに業種側の数字が動くため、差の大きさそのものに意味を持たせないでください。

1つ目は職種構成です。job tagの数字は営業職に絞られていますが、国税庁の数字には事務職、管理部門、パート・アルバイトを含む幅広い職種が入ります。営業以外の職種は歩合がない分、平均を下げる方向に働きます。
2つ目は調査の設計です。賃金構造基本統計調査は事業所を通じて賃金を調べる調査で、民間給与実態統計調査は事業所から得た標本値をもとに全体を推計するサンプル調査です。集計の方法も対象の定義も異なります。
3つ目は業種区分の広さです。国税庁の数字には物品賃貸業が含まれます。不動産業だけを抜き出した数字ではないため、その分だけ性格がぼやけます。
したがって、この2つを足して2で割ることに意味はありません。自分が営業職として働くなら660.7万円の側を、それ以外の職種なら512.5万円の側を、それぞれ「その集団の平均」として参照するのが正しい使い方です。
06全体平均と並べて位置を確かめる
数字の位置を掴むには、全体平均と並べるのが早道です。令和7年分の民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円でした。5年連続の増加で、過去最高です。
この487万円に対して、不動産業,物品賃貸業の512.5万円は少し上に位置します。業種平均の486.6万円と比べると26万円ほど上で、14の業種区分の中では7番目です。業種として突出して高いわけではありません。
業種別で最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の854.4万円、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の275.8万円です。この幅の中で、不動産業は真ん中あたりに位置します。
この位置関係は、資格を取る動機を考えるうえで現実的な材料になります。宅建を取れば業種平均が跳ね上がるという話ではありません。同じ業種の中で、資格が必要な業務に就けるかどうかが分かれ目になります。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 業種区分 | 平均給与 | 平均賞与 |
|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 854.4万円 | 163.8万円 |
| 金融業,保険業 | 725.6万円 | 173.1万円 |
| 情報通信業 | 681.9万円 | 124.3万円 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 512.5万円 | 68.3万円 |
| (業種平均) | 486.6万円 | 74.9万円 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 275.8万円 | 16.8万円 |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
07年収の現実は「在職者の平均」と「採用時の提示額」を分けて見る
宅建士の年収の現実を知りたいときは、在職者の平均と、採用時に提示される賃金を分けて見ます。job tagの660.7万円は、現に住宅・不動産営業として働く人(平均年齢42.4歳)の年収です。一方、同じページのハローワーク求人統計では、求人賃金(月額)は30.4万円(令和7年度)でした。
求人賃金の月額を単純に12倍すると約365万円です。これは賞与や歩合給を含まない募集時の提示額からの計算で、在職者の年収と同じ物差しではありません。応募の段階で目にする数字はこちらに近く、660.7万円は経験を積み、成果を上げた人も含めた平均だという位置関係をつかむために使います。
有効求人倍率2.72は、求職者1人に対して2.72件の求人があるという意味です。人手が足りない職業であることは読み取れますが、倍率が高いことは給与が高いことを意味しません。job tagも、給与は各企業の規定によるとし、基本給のほかに売上に応じた歩合給が付く場合もあると説明しています。
歩合の比重が大きい職種では、平均値は高い成績の人に引き上げられます。自分の見込みは平均ではなく、応募先の求人票の固定部分から組み立てるのが現実的です。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 項目 | 値 | 何を測った数字か |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 660.7万円 | 在職者の年収(令和7年賃金構造基本統計調査) |
| 年齢 | 42.4歳 | 在職者の平均年齢(同上) |
| 賃金(1時間当たり) | 3,183円 | 一般労働者。残業代・賞与を含む(同上) |
| 求人賃金(月額) | 30.4万円 | ハローワーク求人の募集賃金(令和7年度) |
| 有効求人倍率 | 2.72 | 求職者1人あたりの求人数(令和7年度) |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
08収入を動かす要素を分けて考える
同じ宅建士でも収入が大きく違うのは、いくつかの要素が重なるためです。要素を分けておくと、求人を見るときに何を確認すればよいかがはっきりします。
最も大きいのは報酬の構成です。基本給が中心の会社と、歩合の比重が大きい会社では、同じ年収でも安定性がまったく違います。歩合中心の会社では、成果が出た年と出なかった年の差が数百万円になることもあります。
次に、取り扱う物件の種類です。売買は1件あたりの報酬が大きく、賃貸は件数で積み上げます。管理業務は継続的な収入になりますが、1件あたりの単価は低くなります。どれが有利かではなく、収入の出方が違うということです。
地域も影響します。取引価格が高い地域ほど、同じ件数でも報酬総額は大きくなります。ただし、その分だけ競争も家賃も高くなるため、手取りの実感が比例するとは限りません。
そして経験年数です。job tagが示す平均年齢42.4歳という数字は、この職業が経験の蓄積で成り立っていることを示しています。資格を取った直後の年収を、この平均と比べるのは適切ではありません。
09働き方によって数字の読み方が変わる
宅建士の資格が活きる場面は、大きく4つに分かれます。それぞれで参照すべき統計も、収入の決まり方も違います。
売買仲介は、job tagの「住宅・不動産営業」に最も近い働き方です。660.7万円という数字を参照する意味があるのはこの層で、歩合の比重が高く、上下の幅も大きくなります。
賃貸仲介と賃貸管理は、件数と管理戸数で収入が決まります。売買ほどの上振れは起きにくい一方、繁忙期と閑散期の差はあっても年間では読みやすくなります。
デベロッパーや金融機関では、宅建士は業務に必要な資格の1つという位置づけになります。この場合、収入はその会社の給与体系で決まり、宅建の有無が直接動かす部分は限られます。
事業会社の総務や不動産管理部門でも、自社物件の取引に関わる場面で資格が必要になります。ここでも収入は会社の給与体系に従います。
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| 働き方 | 収入の中心 | 参照しやすい統計 |
|---|---|---|
| 売買仲介 | 基本給+成約の歩合 | job tag「住宅・不動産営業」 |
| 賃貸仲介・賃貸管理 | 基本給+件数・管理戸数 | 国税庁「不動産業,物品賃貸業」 |
| デベロッパー・金融機関 | 会社の給与体系 | その企業の公表情報 |
| 事業会社の管理部門 | 会社の給与体系 | その企業の公表情報 |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
10資格手当には公的統計がない
「宅建を取ると資格手当が付く」という話はよく聞きます。しかし、宅建の資格手当の金額や、支給している会社の割合を横断して調べた公的統計はありません。賃金構造基本統計調査も民間給与実態統計調査も、手当を資格別には集計していないため、平均額や相場として示せる数字はありません。
ネット上で見かける手当の金額は、各サイトが求人情報などから独自に集めたもので、母集団が公開されていないため検証できません。このページでは金額の目安を示しません。
資格手当は法律で義務づけられた制度ではないため、支給の有無も金額も条件も、会社が給与規程で決めます。同じ業界でも支給しない会社はあり、手当という項目を設けずに資格保有を前提とした基本給にしている会社もあります。確かめる先は、応募先の求人票と、入社後に適用される就業規則・賃金規程です。
求人票で確かめることは3つです。手当の支給が始まる条件、手当と基本給の関係、そして専任の宅建士として置かれる前提かどうかです。次の2つの節で、それぞれの読み方を説明します。
11資格手当の条件は「合格」か「宅建士証の交付」かを確かめる
宅建業法では、宅地建物取引士とは宅地建物取引士証の交付を受けた者をいいます(第2条第4号)。試験に合格した人は、資格登録を受け(第18条)、宅建士証の交付を受けて(第22条の2)、はじめて法律上の宅建士になります。重要事項の説明は宅建士が行い、説明のときには宅建士証を相手に示さなければなりません(第35条)。
このため、求人票や給与規程の「宅建手当」「資格手当(宅地建物取引士)」が、試験合格の時点で付くのか、資格登録と宅建士証の交付を受けてから付くのかは、会社によって分かれ得ます。宅建士としての業務を前提にした手当なら、合格しただけでは対象にならないことがあります。実務経験が2年に満たない人は、登録実務講習の修了などで登録の要件を満たしてから資格登録へ進むため、支給開始までの期間も含めて確認してください。
宅建士証の有効期間は5年で(第22条の2第3項)、更新するときは法定講習を受けます。手当の条件が宅建士証を持っていることなら、更新を忘れて証が失効した間の支給がどう扱われるかも確かめておきます。登録や証の交付にかかる費用を会社が負担するかどうかは、手当とは別の項目として確認します。
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| 段階 | 法律上の位置 | 手当で確認すること |
|---|---|---|
| 試験合格 | 合格者(まだ宅建士ではない) | 合格だけで支給対象になるか |
| 資格登録 | 登録を受けた者(第18条) | 登録完了が条件か、登録費用の負担 |
| 宅建士証の交付 | 宅地建物取引士(第2条第4号) | 交付後に支給が始まるか |
| 専任の宅建士への就任 | 事務所の設置義務を満たす人(第31条の3) | 専任であることへの手当が別にあるか |
| 宅建士証の更新 | 有効期間5年(第22条の2第3項) | 失効していた間の支給の扱い |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
12求人票では資格手当が基本給の内か外かを見分ける
ハローワークの求人票では、基本給(a)、定額的に支払われる手当(b)、固定残業代(c)の合計が、毎月決まって支払われる金額として示されます。資格手当が毎月決まった額で支払われるなら(b)に当たり、基本給とは分けて読めます。手当の欄に名前と金額がなく、「有資格者優遇」とだけ書かれている場合、基本給に織り込んでいるのか、手当を出さないのかは求人票からは判断できません。
手当が基本給の外にあるかどうかは、残業代の計算にも関わります。割増賃金の計算の基礎に入れない賃金は、家族手当・通勤手当(労働基準法第37条第5項)と、労働基準法施行規則第21条が定める別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金です。毎月定額の資格手当はこれらに当たらないため、残業代を計算する基礎に入ります。
専任の宅建士として置かれるかどうかも分けて確認します。宅建業者は事務所ごとに、業務に従事する者の5分の1以上の割合で成年者である専任の宅建士を置かなければならず(宅建業法第31条の3、施行規則第15条の5の3)、欠けたときは2週間以内に必要な措置を執らなければなりません。専任として事務所に置かれる役割は、資格を持っているだけの状態より責任が重くなります。手当が資格を持っていることに払われるのか、専任への就任に払われるのかを確かめてください。
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| 求人票の書き方 | 読み取れること | 確認すること |
|---|---|---|
| 手当欄に「資格手当(宅建)」と金額 | 定額的に支払われる手当(b)で、基本給と別 | 合格・登録・宅建士証のどれで支給が始まるか |
| 「有資格者優遇」とだけ書かれている | 基本給に織り込んでいるか、手当がないかは不明 | 資格の有無による基本給の差と手当の有無 |
| 「専任の宅建士」を募集 | 事務所の設置義務を満たす役割 | 専任への手当の有無と、資格手当との関係 |
| 「資格取得支援あり」 | 受験費用や講座代の支援 | 登録・宅建士証の費用まで対象か |
| 年俸制・モデル年収だけ | 手当の内訳が分からない | 固定部分・手当・歩合の内訳 |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
資格手当や基本給の条件を求人ごとに確かめるのが手間なら、担当者に条件を伝えて求人を絞ってもらう方法もあります。
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13需要を作っているのは設置義務
宅建士の需要が安定している理由は、法律に根拠があります。宅地建物取引業者は、事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。これは努力目標ではなく義務です。
国土交通省の調査では、令和7年度末(令和8年3月末)の宅地建物取引業者数は133,727業者でした。前年度より1,436業者(1.1パーセント)増え、12年連続の増加です。事業所が増えれば、設置義務を満たすための宅建士も必要になります。
ただし、これは「資格を持っていれば高い給与が保証される」という意味ではありません。設置義務が作るのは資格保有者への需要であって、給与水準そのものではないからです。総登録者数が1,243,738人と多いことも、この点では冷静に見ておく必要があります。
収入への影響が出やすいのは、専任の宅建士として指名される立場になったときです。事務所の要件を満たす人材として位置づけられれば、待遇の交渉材料になります。求人を見るときは、専任として置かれる前提かどうかを確認してください。
14求人票から自分の見込みを組み立てる
統計はあくまで集団の話です。自分の年収を見積もるには、応募する会社の条件を分解するしかありません。確認する順番を決めておくと、比較が早くなります。
まず、記載されている年収が「モデル年収」なのか「基本給の12倍」なのかを見ます。モデル年収は成果を出した場合の例であることが多く、全員が届く金額ではありません。
次に、歩合の割合と条件を見ます。何を達成すると、いくら支払われるのか。この条件が明記されていない求人は、面接で必ず確認してください。
そのうえで、固定部分だけで生活が成り立つかを計算します。基本給と定額の手当を足した額が毎月の下限で、歩合が出なかった年に何が残るかが、その求人の実質的な下限です。統計の平均値より、この下限のほうが判断材料として重要になります。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 項目 | 確認すること | 確認しないと起きること |
|---|---|---|
| 年収の表記 | モデル年収か固定給ベースか | 上振れの例を平均と誤認する |
| 歩合の条件 | 支給の基準と割合 | 成果と報酬の関係が読めない |
| 資格手当 | 有無・支給条件・基本給との関係 | 資格の効果を過大に見積もる |
| 専任の宅建士 | 就任を前提とするか | 責任と待遇が釣り合わない |
| 固定部分 | 歩合ゼロでの年収 | 不調な年の見通しが立たない |
この節・表の確認資料: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について(確認日 2026年11月2日)/国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)(確認日 2026年11月2日)/国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(確認日 2026年11月2日)/厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)(確認日 2026年11月2日)/不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)(確認日 2026年11月2日)
15資格を使うには費用と手続がかかる
年収を考えるときに抜けやすいのが、資格を使える状態にするまでの費用です。試験に合格しただけでは宅建士として業務を行えません。資格登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。
資格登録には原則として2年以上の実務経験が必要で、経験がない場合は登録実務講習を修了して要件を満たします。この講習にも費用がかかります。さらに、登録手数料と宅建士証の交付手数料が必要です。
宅建士証には5年の有効期間があり、更新のたびに法定講習を受けます。つまり、資格を維持するための費用も継続的に発生します。
これらの費用を会社が負担するかどうかは、会社によって違います。求人票で資格取得支援を掲げていても、対象が受験費用だけで登録費用は自己負担という場合があります。年収の比較をするときは、この負担の有無も並べて見てください。
16年収情報を見分ける3つの確認
宅建士の年収を扱うページは非常に多く、その多くが出所を示していません。判断を誤らないために、次の3点を確認してください。
1つ目は、統計名と年が書かれているかです。「賃金構造基本統計調査の令和7年」「民間給与実態統計調査の令和7年分」のように、調査名と年が特定できるものだけを根拠として扱います。古い年の数字のまま更新されていないページもあるため、年の確認は欠かせません。
2つ目は、その統計が何を測っているかです。宅建士を測った統計は存在しないため、「宅建士の平均年収」と断定しているページは、別の対象を測った数字を言い換えています。言い換え自体が悪いのではなく、言い換えたことを書いていない点が問題です。
3つ目は、平均値か中央値かです。歩合の影響が大きい職種では、平均値は上位に引き上げられます。半数の人がその金額に届いているとは限りません。
17今日できること
年収を知りたい動機が「宅建を取る価値があるか」であれば、統計の平均値を眺めるより、行きたい会社の求人票を3件並べるほうが早く答えが出ます。固定部分、資格手当の支給条件、歩合条件を比べれば、資格がその会社でどう扱われているかが見えます。
令和8年度の宅建試験は10月18日に終わり、合格発表は11月25日(水)9時30分です。合格した人は、実務経験が2年に満たなければ登録実務講習などで登録の要件を満たし、続いて資格登録と宅建士証の交付へ進みます。資格手当が宅建士証の交付を条件にしている会社へ入る予定なら、この手続を早めに済ませるほど支給開始も早まります。
そして、資格を取ること自体は収入を保証しません。設置義務が作るのは資格保有者への需要であり、待遇はその先の交渉と実務で決まります。統計は自分の位置を確かめる物差しとして使い、判断は個別の条件で下してください。
よくある質問
宅建士の平均年収はいくらですか。
宅建士だけを抽出した公的な年収統計は存在しません。近い範囲を測ったものとして、厚生労働省job tagが「住宅・不動産営業」について660.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)、国税庁の民間給与実態統計調査が「不動産業,物品賃貸業」について512.5万円(令和7年分)を示しています。前者は営業職に絞った職業単位、後者は業種で働く給与所得者全体という違いがあります。
宅建を取ると給料は上がりますか。
会社によります。資格手当を支給する会社はありますが、支給は法律上の義務ではなく、金額を横断して調べた公的統計もありません。手当の条件が試験合格ではなく資格登録や宅建士証の交付になっている場合もあり、基本給に資格保有を織り込んで手当という項目がない会社もあります。上がるかどうかは、応募先の求人票と給与規程で個別に確認するしかありません。
宅建の資格手当はいくらですか。
公的統計がないため、相場として示せる根拠のある数字はありません。ネット上の金額は各サイトが独自に集めた求人情報の集計で、母集団が公開されていないため検証できません。ハローワークの求人票なら、毎月定額の手当は基本給とは別の「定額的に支払われる手当」として書かれるので、応募先の金額と支給条件をそこで確認してください。
宅建士の年収の現実はどうですか。
job tagでは、住宅・不動産営業の在職者の平均年収が660.7万円(平均年齢42.4歳)である一方、ハローワークの求人賃金は月額30.4万円(令和7年度)です。前者は経験を積んだ人や成果を上げた人を含む平均、後者は採用時の提示額で、物差しが違います。資格を取った直後の見込みは、応募先の固定給と手当から組み立てるのが現実的です。
なぜ660.7万円と512.5万円で差があるのですか。
測っている集団が違うためです。660.7万円は住宅・不動産営業という職業に絞った数字で、歩合の比重が大きい営業職が中心です。512.5万円は不動産業,物品賃貸業という業種で1年勤務した給与所得者全員が対象で、事務職や管理部門も含みます。さらに調査の設計も業種区分の広さも違うため、足して2で割るような使い方はできません。
宅建士の需要は今後も続きますか。
宅地建物取引業者は事務所ごとに業務従事者5人に1人以上の専任の宅建士を置く義務があり、この義務がある限り資格保有者への需要は続きます。国土交通省の調査では令和7年度末の業者数は133,727業者で12年連続の増加です。ただし総登録者数も1,243,738人と多く、資格を持つだけで待遇が保証されるわけではありません。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)住宅・不動産営業確認日 2026年11月2日別画面で開く
- 国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査結果について確認日 2026年11月2日別画面で開く
- 国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について(前年との比較)確認日 2026年11月2日別画面で開く
- 国土交通省 令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について確認日 2026年11月2日別画面で開く
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」確認日 2026年11月2日別画面で開く
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」確認日 2026年11月2日別画面で開く
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」確認日 2026年11月2日別画面で開く
- 厚生労働省・東京労働局・ハローワーク「会社選びのポイント」(求人票の見方)確認日 2026年11月2日別画面で開く
- 不動産適正取引推進機構「宅建試験」(令和8年度の合格発表日)確認日 2026年11月2日別画面で開く