資格・キャリア2026年度試験対応
宅建士の年収は?公的統計2つを分けて読む【2026年版】
「宅建士の年収は◯◯万円」という数字は、検索するといくらでも出てきます。ただ、その多くは出所が書かれていないか、書かれていても宅建士を測った統計ではありません。このページは、2026年8月4日時点で確認できる公的統計だけを使い、それぞれが何を測った数字なのかを分けたうえで、自分の場合の見積もりに使える形へ落とし込むための案内です。
- 公開日
- 2026年8月4日
- 更新日
- 2026年8月4日
- 読了目安
- 約16分
- 法令基準日
- 2026年4月1日

宅建士だけを抽出した公的な年収統計は存在しません。参照できるのは、厚生労働省job tagが「住宅・不動産営業」について示す660.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)と、国税庁の民間給与実態統計調査が「不動産業,物品賃貸業」について示す平均給与495.5万円(令和6年分)です。前者は職業単位、後者は業種単位で、測っている対象が違うため直接は比べられません。自分の年収を見積もるときは、この2つを上限と下限の目安に置き、求人票の基本給・歩合・資格手当を個別に確認してください。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 宅建士単独の公的年収統計が存在しないという事実
- 職業単位の統計と業種単位の統計が示す数字の違い
- 資格手当に公的統計がなく求人票で確認するしかない理由
- 求人票から自分の見込み年収を組み立てる手順
01結論:宅建士だけの年収統計は存在しない
先に結論を書きます。国が公表している統計の中に、宅地建物取引士だけを抜き出した平均年収はありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも、宅地建物取引士という職業ページはありません。行政書士や不動産鑑定士には専用の職業ページがあるのに、宅建士にはないのです。
これは統計の不備ではなく、宅建士という資格の性質によるものです。宅建士は職業名ではなく、業務のために必要な資格です。持っている人は不動産売買の営業もしていれば、賃貸管理も、金融機関の融資担当も、事業会社の総務もしています。職業として1つに束ねられないため、職業別統計に現れません。
したがって、使えるのは近い範囲を測った統計を2つ、役割を分けて読むことになります。1つは職業を単位にした「住宅・不動産営業」、もう1つは業種を単位にした「不動産業,物品賃貸業」です。この2つは測っている対象が違い、金額も165万円ほど離れます。
この差を「どちらが正しいか」で考えると行き詰まります。どちらも正しく、対象が違うだけです。自分がどちらに近い働き方をするのかで、参照する数字を選んでください。
02なぜ「宅建士の年収」が統計に出てこないのか
国土交通省の調査によれば、令和6年度末時点で宅地建物取引士の総登録者数は1,211,760人です。120万人を超える資格保有者がいながら、この人たちの年収を横断して測った統計はありません。
理由は、登録している人が全員その資格を使って働いているわけではないからです。宅建士として登録していても、宅建業とは無関係の仕事をしている人が相当数含まれます。就職や転職のために取得し、実際には使っていない人も珍しくありません。
また、宅建業に従事していても、資格が収入に直結する度合いは職種によって違います。売買仲介の営業なら成約が収入に直結しますが、管理部門なら資格の有無で成果が変わるわけではありません。同じ資格を持っていても、収入の決まり方が別物です。
この構造を理解しておくと、ネット上の「宅建士の平均年収は◯◯万円」という数字の意味も見えてきます。出所を示していないものは、宅建士以外を測った統計を言い換えているか、そのサイトが独自に集めた求人情報の平均です。後者は母集団が公開されていないため、検証できません。
03job tagの「住宅・不動産営業」660.7万円
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、職業ごとに賃金や求人の状況を示しています。宅建士に最も近い職業ページは「住宅・不動産営業」で、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに平均年収660.7万円と表示されています。
同じページには、平均年齢42.4歳、月間労働時間163時間という数値もあります。求人賃金は月額29.5万円(令和6年度)です。年収660.7万円と求人賃金月額29.5万円は一見矛盾しますが、前者は現に働いている人の実績、後者はこれから採用する人に提示している金額なので、性質が違います。
このページは、宅建士資格について「業務に従事する者5名に1名以上の割合で専任の宅地建物取引士を事務所に設置する必要がある」と説明し、資格取得は仕事を進めるうえで有利だと記しています。つまり、この職業と宅建士は関係が深いものの、同じではありません。
重要なのは、660.7万円が「営業職として成果を出している人を含む実績値」だという点です。歩合の比重が大きい職種では、平均値は上位の人に引き上げられます。中央値ではないため、半数がこの金額に届いているとは限りません。
04国税庁の「不動産業,物品賃貸業」495.5万円
もう1つの参照先が、国税庁の民間給与実態統計調査です。令和6年分の業種別平均給与では、不動産業,物品賃貸業が4,955千円、つまり495.5万円と示されています。対前年伸び率は5.7パーセント、平均賞与は704千円で伸び率11.7パーセントです。
この調査は、1年を通じて勤務した給与所得者を対象にしています。営業職も事務職も管理職も、その業種で給与を受け取っている人が全員入ります。したがって、job tagの数字より対象が広く、金額は低く出ます。
また「物品賃貸業」が同じ区分に含まれている点にも注意してください。不動産業だけを取り出した数字ではありません。統計の区分は行政上の分類であって、私たちが知りたい範囲と一致するとは限らないという典型例です。
それでも、この数字には他の業種と同じ物差しで測られているという強みがあります。業種間の位置関係を知りたいときは、こちらが適しています。
| 統計 | 単位 | 金額 | 含まれる人 |
|---|---|---|---|
| job tag「住宅・不動産営業」(令和7年賃金構造基本統計調査) | 職業 | 660.7万円 | 住宅・不動産の営業として働く人 |
| 民間給与実態統計調査「不動産業,物品賃貸業」(令和6年分) | 業種 | 495.5万円 | その業種で1年勤務した給与所得者全員 |
05165万円の差はどこから来るのか
同じ不動産に関わる数字が165万円も離れるのは、測っている集団が違うからです。差の理由は3つに分けられます。

1つ目は職種構成です。job tagの数字は営業職に絞られていますが、国税庁の数字には事務職、管理部門、パート・アルバイトを含む幅広い職種が入ります。営業以外の職種は歩合がない分、平均を下げる方向に働きます。
2つ目は調査の設計です。賃金構造基本統計調査は事業所を通じて賃金を調べる調査で、民間給与実態統計調査は税務の資料をもとにした標本調査です。集計の方法も対象の定義も異なります。
3つ目は業種区分の広さです。国税庁の数字には物品賃貸業が含まれます。不動産業だけを抜き出した数字ではないため、その分だけ性格がぼやけます。
したがって、この2つを足して2で割ることに意味はありません。自分が営業職として働くなら660.7万円の側を、それ以外の職種なら495.5万円の側を、それぞれ「その集団の平均」として参照するのが正しい使い方です。
06全体平均と並べて位置を確かめる
数字の位置を掴むには、全体平均と並べるのが早道です。令和6年分の民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円でした。4年連続の増加で、過去最高です。
この478万円に対して、不動産業,物品賃貸業の495.5万円は少し上に位置します。業種平均の477.5万円と比べてもほぼ同じか、わずかに上です。つまり業種として突出して高いわけではありません。
業種別で最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の832.4万円、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の279.3万円です。この幅の中で、不動産業は中位より少し上に位置します。
この位置関係は、資格を取る動機を考えるうえで現実的な材料になります。宅建を取れば業種平均が跳ね上がるという話ではありません。同じ業種の中で、資格が必要な業務に就けるかどうかが分かれ目になります。
| 業種区分 | 平均給与 | 平均賞与 |
|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 832.4万円 | 173.2万円 |
| 金融業,保険業 | 702.3万円 | 166.4万円 |
| 情報通信業 | 659.5万円 | 122.6万円 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 495.5万円 | 70.4万円 |
| (業種平均) | 477.5万円 | 74.6万円 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 279.3万円 | 18.3万円 |
07資格手当には公的統計がない
「宅建を取ると資格手当が付く」という話はよく聞きます。実際に支給している会社は多くありますが、その金額を横断して調べた公的統計はありません。したがって、平均額として示せる数字はありません。
ネット上には「月1万円から3万円が相場」といった記述が見られます。これらは各サイトが求人情報などから独自に集計したもので、母集団が公開されていないため検証できません。目安として頭に置くのは構いませんが、根拠のある数字として扱うべきではありません。
確実なのは、自分が応募する会社の求人票と就業規則を見ることです。資格手当は法律で義務づけられた制度ではないため、支給の有無も金額も会社ごとに決まります。同じ業界でも、支給しない会社は普通にあります。
また、資格手当が基本給に含まれる形になっている会社もあります。この場合、手当という項目は見当たらなくても、資格保有を前提に給与水準が設定されていることになります。求人票の記載だけで判断せず、面接で確認するのが確実です。
08収入を動かす要素を分けて考える
同じ宅建士でも収入が大きく違うのは、いくつかの要素が重なるためです。要素を分けておくと、求人を見るときに何を確認すればよいかがはっきりします。
最も大きいのは報酬の構成です。基本給が中心の会社と、歩合の比重が大きい会社では、同じ年収でも安定性がまったく違います。歩合中心の会社では、成果が出た年と出なかった年の差が数百万円になることもあります。
次に、取り扱う物件の種類です。売買は1件あたりの報酬が大きく、賃貸は件数で積み上げます。管理業務は継続的な収入になりますが、1件あたりの単価は低くなります。どれが有利かではなく、収入の出方が違うということです。
地域も影響します。取引価格が高い地域ほど、同じ件数でも報酬総額は大きくなります。ただし、その分だけ競争も家賃も高くなるため、手取りの実感が比例するとは限りません。
そして経験年数です。job tagが示す平均年齢42.4歳という数字は、この職業が経験の蓄積で成り立っていることを示しています。資格を取った直後の年収を、この平均と比べるのは適切ではありません。
09働き方によって数字の読み方が変わる
宅建士の資格が活きる場面は、大きく4つに分かれます。それぞれで参照すべき統計も、収入の決まり方も違います。
売買仲介は、job tagの「住宅・不動産営業」に最も近い働き方です。660.7万円という数字を参照する意味があるのはこの層で、歩合の比重が高く、上下の幅も大きくなります。
賃貸仲介と賃貸管理は、件数と管理戸数で収入が決まります。売買ほどの上振れは起きにくい一方、繁忙期と閑散期の差はあっても年間では読みやすくなります。
デベロッパーや金融機関では、宅建士は業務に必要な資格の1つという位置づけになります。この場合、収入はその会社の給与体系で決まり、宅建の有無が直接動かす部分は限られます。
事業会社の総務や不動産管理部門でも、自社物件の取引に関わる場面で資格が必要になります。ここでも収入は会社の給与体系に従います。
| 働き方 | 収入の中心 | 参照しやすい統計 |
|---|---|---|
| 売買仲介 | 基本給+成約の歩合 | job tag「住宅・不動産営業」 |
| 賃貸仲介・賃貸管理 | 基本給+件数・管理戸数 | 国税庁「不動産業,物品賃貸業」 |
| デベロッパー・金融機関 | 会社の給与体系 | その企業の公表情報 |
| 事業会社の管理部門 | 会社の給与体系 | その企業の公表情報 |
10需要を作っているのは設置義務
宅建士の需要が安定している理由は、法律に根拠があります。宅地建物取引業者は、事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。これは努力目標ではなく義務です。
国土交通省の調査では、令和6年度末の宅地建物取引業者数は132,291業者でした。前年度より1,708業者(1.3パーセント)増え、11年連続の増加です。事業所が増えれば、設置義務を満たすための宅建士も必要になります。
ただし、これは「資格を持っていれば高い給与が保証される」という意味ではありません。設置義務が作るのは資格保有者への需要であって、給与水準そのものではないからです。総登録者数が1,211,760人と多いことも、この点では冷静に見ておく必要があります。
収入への影響が出やすいのは、専任の宅建士として指名される立場になったときです。事務所の要件を満たす人材として位置づけられれば、待遇の交渉材料になります。求人を見るときは、専任として登録する前提かどうかを確認してください。
11求人票から自分の見込みを組み立てる
統計はあくまで集団の話です。自分の年収を見積もるには、応募する会社の条件を分解するしかありません。確認する順番を決めておくと、比較が早くなります。
まず、記載されている年収が「モデル年収」なのか「基本給の12倍」なのかを見ます。モデル年収は成果を出した場合の例であることが多く、全員が届く金額ではありません。
次に、歩合の割合と条件を見ます。何を達成すると、いくら支払われるのか。この条件が明記されていない求人は、面接で必ず確認してください。
そのうえで、固定部分だけで生活が成り立つかを計算します。歩合が出なかった年に何が残るかが、その求人の実質的な下限です。統計の平均値より、この下限のほうが判断材料として重要になります。
| 項目 | 確認すること | 確認しないと起きること |
|---|---|---|
| 年収の表記 | モデル年収か固定給ベースか | 上振れの例を平均と誤認する |
| 歩合の条件 | 支給の基準と割合 | 成果と報酬の関係が読めない |
| 資格手当 | 有無・金額・基本給への内包 | 資格の効果を過大に見積もる |
| 専任の宅建士 | 就任を前提とするか | 責任と待遇が釣り合わない |
| 固定部分 | 歩合ゼロでの年収 | 不調な年の見通しが立たない |
12資格を使うには費用と手続がかかる
年収を考えるときに抜けやすいのが、資格を使える状態にするまでの費用です。試験に合格しただけでは宅建士として業務を行えません。資格登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。
資格登録には原則として2年以上の実務経験が必要で、経験がない場合は登録実務講習を修了して要件を満たします。この講習にも費用がかかります。さらに、登録手数料と宅建士証の交付手数料が必要です。
宅建士証には有効期間があり、更新のたびに法定講習を受けます。つまり、資格を維持するための費用も継続的に発生します。
これらの費用を会社が負担するかどうかは、会社によって違います。求人票で資格取得支援を掲げていても、対象が受験費用だけで登録費用は自己負担という場合があります。年収の比較をするときは、この負担の有無も並べて見てください。
13年収情報を見分ける3つの確認
宅建士の年収を扱うページは非常に多く、その多くが出所を示していません。判断を誤らないために、次の3点を確認してください。
1つ目は、統計名と年が書かれているかです。「賃金構造基本統計調査の令和7年」「民間給与実態統計調査の令和6年分」のように、調査名と年が特定できるものだけを根拠として扱います。
2つ目は、その統計が何を測っているかです。宅建士を測った統計は存在しないため、「宅建士の平均年収」と断定しているページは、別の対象を測った数字を言い換えています。言い換え自体が悪いのではなく、言い換えたことを書いていない点が問題です。
3つ目は、平均値か中央値かです。歩合の影響が大きい職種では、平均値は上位に引き上げられます。半数の人がその金額に届いているとは限りません。
14今日できること
年収を知りたい動機が「宅建を取る価値があるか」であれば、統計の平均値を眺めるより、行きたい会社の求人票を3件並べるほうが早く答えが出ます。固定部分と歩合条件を比べれば、資格がその会社でどう扱われているかが見えます。
すでに学習中であれば、いま確認すべきは年収より試験日程です。令和8年度の試験は10月18日で、合格発表は11月25日です。合格してから登録実務講習を探すより、必要な手続と費用を先に把握しておくほうが、就職や転職の動きを早められます。
そして、資格を取ること自体は収入を保証しません。設置義務が作るのは資格保有者への需要であり、待遇はその先の交渉と実務で決まります。統計は自分の位置を確かめる物差しとして使い、判断は個別の条件で下してください。
よくある質問
宅建士の平均年収はいくらですか。
宅建士だけを抽出した公的な年収統計は存在しません。近い範囲を測ったものとして、厚生労働省job tagが「住宅・不動産営業」について660.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)、国税庁の民間給与実態統計調査が「不動産業,物品賃貸業」について495.5万円(令和6年分)を示しています。前者は営業職に絞った職業単位、後者は業種で働く給与所得者全体という違いがあります。
宅建を取ると給料は上がりますか。
会社によります。資格手当を支給する会社は多くありますが、支給は法律上の義務ではなく、金額を横断して調べた公的統計もありません。また、基本給に資格保有を織り込んでいて手当という項目がない会社もあります。上がるかどうかは、応募先の求人票と就業規則で個別に確認するしかありません。
資格手当の相場はいくらですか。
公的統計がないため、相場として示せる根拠のある数字はありません。ネット上で見かける「月1万円から3万円」といった記述は、各サイトが独自に集めた求人情報の集計で、母集団が公開されていないため検証できません。目安として頭に置くのは構いませんが、確定した数字として扱わず、応募先に直接確認してください。
なぜ660.7万円と495.5万円で差があるのですか。
測っている集団が違うためです。660.7万円は住宅・不動産営業という職業に絞った数字で、歩合の比重が大きい営業職が中心です。495.5万円は不動産業,物品賃貸業という業種で1年勤務した給与所得者全員が対象で、事務職や管理部門も含みます。さらに調査の設計も業種区分の広さも違うため、足して2で割るような使い方はできません。
未経験から宅建士として働く場合、いくらを見込めばよいですか。
統計の平均値ではなく、応募先の固定部分で見積もってください。job tagが示す平均年齢は42.4歳で、この数字は経験の蓄積を含んだ実績です。取得直後の年収と比べる対象にはなりません。求人票の歩合がゼロだった場合に残る金額を計算し、それを自分の下限として判断するのが現実的です。
宅建士の需要は今後も続きますか。
宅地建物取引業者は事務所ごとに業務従事者5人に1人以上の専任の宅建士を置く義務があり、この義務がある限り資格保有者への需要は続きます。国土交通省の調査では令和6年度末の業者数は132,291業者で11年連続の増加です。ただし総登録者数も1,211,760人と多く、資格を持つだけで待遇が保証されるわけではありません。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。