借地借家法・民法
個人根保証とは?極度額・元本確定・法人保証との違い【賃貸管理士】【2026年度試験対応】
賃貸借の個人根保証について、極度額がない場合、書面の要件、死亡時の元本確定、法人保証との違いを具体例で整理します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
- 法令基準日
- 2026-04-01
- 最終確認日
- 2026-08-15
- 確認
- chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
賃貸借で将来生じる不特定の債務を個人が保証する契約は、個人根保証に当たり得ます。個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じず、その定めにも書面等の方式が必要です。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-08
個人が保証する「不特定の債務」が対象

個人根保証:極度額が必要:保証人が個人かを確認。法人による根保証:個人根保証の極度額規定の対象外:保証契約の方式等は別途確認。元本確定:保証の対象となる元本を区切る:それまでの責任が消えるわけではない
図を大きく見る毎月の賃料、契約終了時の負担など、継続する賃貸借から将来生じる債務をまとめて保証する場面では、根保証の規律を確認します。既に確定した一つの債務だけを保証する場合と区別します。
個人根保証の「個人」は借主ではなく保証人を指します。借主が個人であっても、保証人が会社なら同じ極度額の義務が当然に適用されるわけではありません。
| 項目 | 基本ルール | 注意点 |
|---|---|---|
| 個人根保証 | 極度額が必要 | 保証人が個人かを確認 |
| 法人による根保証 | 個人根保証の極度額規定の対象外 | 保証契約の方式等は別途確認 |
| 元本確定 | 保証の対象となる元本を区切る | それまでの責任が消えるわけではない |
極度額は責任の上限|家賃の元本だけではない
極度額は、保証する元本だけでなく、利息、違約金、損害賠償などを含めた責任の上限です。月額賃料だけを見て、保証人が無制限に負担する契約と考えてはいけません。
例えば極度額120万円の契約で、保証範囲に含まれる債務等の合計が150万円になった場合、保証人の責任は極度額を限度として検討します。借主本人の債務が同じ上限で消える制度ではありません。
口頭での合意だけでは足りない
保証契約には書面等の方式が必要です。個人根保証の極度額の定めについても同じ方式が求められ、契約書に上限がないまま口頭だけで数字を合意したことをもって有効と判断しないでください。
電磁的記録による契約も法の定めにより書面とみなされます。紙か電子かよりも、契約内容と極度額が法定の方式で定められているかを確認することが大切です。
死亡による元本確定は責任の消滅ではない
主たる債務者または保証人が死亡すると、個人根保証の主たる債務の元本は確定します。これは以後の元本が際限なく保証範囲へ加わるのを区切る仕組みで、それまでの保証責任が全て消える意味ではありません。
令和7年度問30では会社が保証人となる事例が使われました。連帯保証という言葉だけに注目せず、個人か法人か、保証する債務の範囲、極度額、元本確定を順に確認してください。
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問30
保証人が個人か法人かによる規律の違いを確認する
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- e-Gov:民法446条・465条の2・465条の4確認日:2026-09-08
- 試験実施団体:過去の試験問題確認日:2026-09-08

個人根保証は極度額を書面等で定めなければ効力がありません。保証人への強制執行、保証人の破産、当事者の死亡などで元本が確定します。
個人根保証と極度額
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、極度額を定めなければ効力を生じない(465条の2)。極度額は「賃料の12か月分」のように書面上一義的に明らかな形で定める必要があり、極度額の定めも書面又は電磁的記録によらなければ効力を生じない。保証人は元本・利息・違約金・損害賠償のすべてについて極度額を限度に責任を負う。極度額を欠けば保証契約全体が無効となる。
覚え方個人の根保証は極度額なければ全部無効、書面で一義的に
混同注意・比較表
普通保証と連帯保証の違い
最初に、その保証が連帯かどうかを確認します。連帯かどうかで、貸主が誰から先に取り立てられるか、保証人1人あたりの負担額が変わります。
| 事由 | 普通保証 | 連帯保証 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 催告の抗弁権 | まず主債務者である借主に催促するよう、債権者に請求できる | 主張できない | 抗弁権があるかどうかは、支払を後回しにできるかどうかの違いです。 |
| 検索の抗弁権 | まず借主の財産から強制執行するよう、債権者に請求できる | 主張できず、借主に資力があっても連帯保証人が支払を求められる | 連帯保証人は借主の資力を理由に支払を拒めません。 |
| 貸主が先に請求できる相手最重要 | 補充性があるため、借主が支払えなかったときに初めて保証人が支払う | 補充性がないため、借主より先に連帯保証人へ請求することもできる | 賃貸借の保証人はほとんどが連帯保証で、いきなり請求されるのが原則です。 |
| 保証人が複数いる場合 | 分別の利益があり、保証人の数で分割した部分についてだけ責任を負う | 分別の利益がなく、各連帯保証人にそれぞれ全額を請求できる | 頭割りになるかどうかが、保証人が2人いるときの結論を分けます。 |
| 個人が根保証する場合 | 極度額を書面または電磁的記録で定めなければ、保証契約は効力を生じない | 賃貸借の連帯保証人も個人なら同じで、極度額の定めがなければ無効になる | 極度額が要るのは保証人が個人のときで、家賃債務保証会社などの法人には不要です。 |
催告の抗弁権
- 普通保証
- まず主債務者である借主に催促するよう、債権者に請求できる
- 連帯保証
- 主張できない
判断ポイント
抗弁権があるかどうかは、支払を後回しにできるかどうかの違いです。
検索の抗弁権
- 普通保証
- まず借主の財産から強制執行するよう、債権者に請求できる
- 連帯保証
- 主張できず、借主に資力があっても連帯保証人が支払を求められる
判断ポイント
連帯保証人は借主の資力を理由に支払を拒めません。
貸主が先に請求できる相手
最重要- 普通保証
- 補充性があるため、借主が支払えなかったときに初めて保証人が支払う
- 連帯保証
- 補充性がないため、借主より先に連帯保証人へ請求することもできる
判断ポイント
賃貸借の保証人はほとんどが連帯保証で、いきなり請求されるのが原則です。
保証人が複数いる場合
- 普通保証
- 分別の利益があり、保証人の数で分割した部分についてだけ責任を負う
- 連帯保証
- 分別の利益がなく、各連帯保証人にそれぞれ全額を請求できる
判断ポイント
頭割りになるかどうかが、保証人が2人いるときの結論を分けます。
個人が根保証する場合
- 普通保証
- 極度額を書面または電磁的記録で定めなければ、保証契約は効力を生じない
- 連帯保証
- 賃貸借の連帯保証人も個人なら同じで、極度額の定めがなければ無効になる
判断ポイント
極度額が要るのは保証人が個人のときで、家賃債務保証会社などの法人には不要です。
01保証・個人根保証|試験の判断カードの重要暗記項目
個人根保証と極度額
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、極度額を定めなければ効力を生じない(465条の2)。極度額は「賃料の12か月分」のように書面上一義的に明らかな形で定める必要があり、極度額の定めも書面又は電磁的記録によらなければ効力を生じない。保証人は元本・利息・違約金・損害賠償のすべてについて極度額を限度に責任を負う。極度額を欠けば保証契約全体が無効となる。
覚え方個人の根保証は極度額なければ全部無効、書面で一義的に
ひっかけ注意極度額を定めなかった場合に「制限のない保証として有効」とする誤りが定番。無効になるのは保証契約全体である。
法人保証と更新後の債務
465条の2は「保証人が法人でないもの」を個人根保証契約と定義するため、家賃債務保証会社等の法人が保証人となる場合には極度額の定めは不要である。また個人が保証人の場合であっても、賃貸借契約が更新された後に生じる債務については、反対の趣旨をうかがわせる特段の事情がない限り保証の責任が及ぶ(最判平9.11.13)。更新のたびに保証人の同意を取り直さなければ責任が及ばないというわけではない。
覚え方極度額が要るのは人の保証だけ、保証会社(法人)は不要
ひっかけ注意すべての保証に極度額が必要とする誤りが狙われる。更新後の債務にも保証が及ぶ点も併せて出題される。
個人根保証の元本確定
個人根保証の元本確定事由は、①債権者が保証人の財産について強制執行又は担保権の実行を申し立て、その手続の開始があったとき、②保証人が破産手続開始の決定を受けたとき、③主たる債務者又は保証人が死亡したときの3つである(465条の4第1項)。賃借人が死亡すると元本が確定し、その後に発生する賃料は保証の対象外となる。主たる債務者(賃借人)の破産は元本確定事由ではない点に注意する。
覚え方元本確定は保証人への強制執行・保証人の破産・どちらかの死亡
ひっかけ注意賃借人が死亡しても以後の賃料まで保証人が負担するとする誤りが狙われる。賃借人の破産は確定事由ではない。
家賃債務保証会社の利用
家賃債務保証は、保証会社が賃借人の賃料債務等を保証し、滞納時に賃貸人へ代位弁済したうえで賃借人に求償する仕組みである。賃貸人にとって回収の確実性が高まるが、代位弁済がされても賃借人の滞納の事実が消えるわけではなく、契約解除の検討は別途必要となる。国土交通省は家賃債務保証業者登録制度を設けているが、登録は任意であり、無登録での営業自体が禁じられているわけではない。
覚え方保証会社は立て替えて、あとで取り立てる。登録制度は任意
ひっかけ注意「代位弁済があれば滞納がなかったことになる」は誤り。登録制度を許可制と誤らせる出題にも注意する。
家賃債務保証業者登録制度
家賃債務保証業者登録制度は、平成29年に国土交通省の告示により創設された任意の登録制度で、登録を受けなくても家賃債務保証業を営むことはできる。登録の有効期間は5年で、更新を受けなければ効力を失う。登録業者には、財産的基礎を有すること、暴力的な言動を用いた取立ての禁止、契約締結前の重要事項の説明、業務・財務に関する帳簿の備付け、国土交通大臣への事業報告などの基準の遵守が求められる。
覚え方家賃保証の登録は任意で五年、管理業の登録は義務で五年
ひっかけ注意賃貸住宅管理業の登録(一定規模以上は義務)と混同させる出題が狙われる。義務なのは管理業の側だけである。
保証委託契約と賃貸借契約の関係
保証委託契約は賃借人と保証会社との間の契約であり、賃貸借契約とは別個の契約である。保証会社が賃貸人に対して負うのは連帯保証債務であるから、賃貸人は賃借人と保証会社のいずれに対しても賃料全額を請求でき、催告の抗弁・検索の抗弁を対抗されることもない。保証会社が代位弁済しても賃借人が滞納したという事実自体は消えず、滞納が繰り返されれば信頼関係の破壊として解除原因になり得る。
覚え方保証がついても、借主への請求権は消えない
ひっかけ注意「保証会社がついているから借主に請求できない」は誤り。代位弁済によって滞納の事実が帳消しになるわけでもない。
保証人への情報提供義務
委託を受けた保証人から請求があったときは、債権者である賃貸人は、主たる債務の元本・利息・違約金・損害賠償等についての不履行の有無、これらの残額、弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない(458条の2)。委託を受けていない保証人は対象外である。また主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、個人保証人に対し2か月以内に通知しなければならない(458条の3)。
覚え方委託ありの保証人が聞けば貸主は答える義務、期限の利益喪失は二か月以内に通知
ひっかけ注意「請求がなくても定期的に通知する義務がある」とする誤り、委託を受けていない保証人にも及ぶとする誤りが狙われる。
保証会社への代位弁済と求償
保証会社が賃貸人に代位弁済すると賃貸人に対する賃料債務は消滅する一方、賃借人は保証委託契約に基づく求償債務を保証会社に対して負う。求償債務は賃貸借契約とは別個の債務であるから、解除や明渡しによって賃貸借が終了しても存続し、保証会社は退去後も請求できる。もっともその取立ては、深夜の訪問や貼り紙など私生活の平穏を害する方法によることが許されない点は督促一般と同じである。
覚え方退去しても保証会社への借りは残る
ひっかけ注意「明け渡せば保証会社への支払義務もなくなる」は誤り。賃貸借の終了と求償債務の消滅は連動しない。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1保証契約は書面または電磁的記録がなければ効力を生じない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2個人を根保証人とする賃貸借保証では、極度額を定めなければ契約は無効となる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3元本確定事由と責任上限、情報提供義務は、個人根保証・事業債務等の適用範囲を分けて確認する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 内容の基準日
- 2026-04-01
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
保証・個人根保証|試験の判断カードの○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
借地借家法・民法重要度 S
個人根保証と極度額
個人が賃貸借契約の連帯保証人となる場合、保証契約において極度額を定めなければ、その保証契約は効力を生じない。
保証・個人根保証|試験の判断カードの○×一問一答8問|問題と解説
この論点で収録している8問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
個人根保証と極度額重要度S個人が賃貸借契約の連帯保証人となる場合、保証契約において極度額を定めなければ、その保証契約は効力を生じない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。賃貸借の保証は個人根保証にあたり、極度額の定めがなければ保証契約は無効となる(民法465条の2第2項)。
問2
家賃債務保証会社の利用重要度A家賃債務保証会社が賃借人に代わって賃料を賃貸人に支払った場合、保証会社は賃借人に対して求償することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。保証会社は代位弁済した額について賃借人に求償することができる。
問3
家賃債務保証業者登録制度重要度A家賃債務保証業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならず、登録を受けずに家賃債務保証業を営むことはできない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。家賃債務保証業者登録制度は告示に基づく任意の制度であり、無登録でも営業自体は可能である。
問4
保証委託契約と賃貸借契約の関係重要度A賃借人が家賃債務保証会社と保証委託契約を締結している場合であっても、賃貸人は賃借人に対して直接賃料の支払を請求することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。保証は賃借人の債務を担保するものにすぎず、賃貸人の賃借人に対する請求権は失われない。
問5
法人保証と更新後の債務重要度A家賃債務保証会社などの法人が賃貸借の保証人となる場合にも、極度額を定めなければ保証契約は効力を生じない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。極度額の定めが必要なのは保証人が個人である個人根保証契約に限られ、法人が保証人の場合は不要である。
問6
個人根保証の元本確定重要度A個人根保証契約においては、主たる債務者である賃借人が死亡したときは、主たる債務の元本が確定する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。民法465条の4第1項3号により、主たる債務者又は保証人の死亡は元本確定事由である。
問7
保証会社への代位弁済と求償重要度B家賃債務保証会社が賃貸人に代位弁済をした後、賃借人が保証会社に対して負う求償債務は、賃貸借契約が終了した時点で当然に消滅する。
答え:×(誤り)
解説
誤り。求償債務は保証委託契約に基づく別個の債務であり、賃貸借契約の終了によって消滅しない。
問8
保証人への情報提供義務重要度B賃借人の委託を受けて保証人となった者から請求があったときは、賃貸人は、遅滞なく、賃料等の不履行の有無や残額などに関する情報を提供しなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。民法458条の2の主たる債務の履行状況に関する情報提供義務であり、保証人が個人か法人かを問わない。
保証・個人根保証|試験の判断カードの問題を続けて解く
この論点に対応する8問を絞り込んで出題します。