借地借家法・民法
建物賃貸借の存続期間|1年未満と50年上限を整理|賃貸不動産経営管理士【2026年度試験対応】
賃貸不動産経営管理士の建物賃貸借の存続期間を解説。普通借家の1年未満、定期借家の短期契約、民法の50年上限、更新と終了通知を比較表と具体例で区別します。
要点 1件・基本問題 2問・解説の確認問題 5問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
- 法令基準日
- 2026-04-01
- 最終確認日
- 2026-08-15
- 確認
- chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15

学習内容を表す生成イメージです。
2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
普通建物賃貸借で1年未満の期間を定めると、期間の定めがない契約とみなされます。定期建物賃貸借は必要な方式と事前説明を満たせば1年未満でも有効です。また、借地借家法が適用される建物賃貸借には、民法604条の50年という上限は適用されません。まず普通借家か定期借家かを見分けてから、期間の数字を読みます。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12
1年未満の契約はどうなる?普通借家と定期借家を比較

条件と例外は本文の比較表でも確認できます。
図を大きく見る「6か月で契約した」という情報だけでは、6か月後に終了するかは決まりません。普通借家では借地借家法29条1項、定期借家では38条1項の特則を使います。契約期間が短いことと、契約そのものが無効であることを区別してください。
普通借家を6か月とした場合、契約自体を無効にするのではなく、期間の定めがない建物賃貸借として扱います。契約書に書いた6か月が経過しただけでは、当然には終了しません。
ちょうど1年は「1年未満」に入りません。普通借家でも1年の期間を有効に定められます。ただし、期間を定められることと、貸主がその満了だけで明渡しを求められることは別です。
| 契約の種類 | 6か月と定めた場合 | 1年と定めた場合 |
|---|---|---|
| 普通借家 | 期間の定めがない契約とみなす | 期間の定めは有効。更新の規律を確認 |
| 定期借家 | 方式・事前説明等を満たせば有効 | 期間の定めは有効。終了通知が必要 |
民法の50年上限は、建物賃貸借にも適用される?
民法604条は賃貸借の期間を原則50年以内とし、それより長い約束をした場合は50年に短縮します。しかし、借地借家法29条2項は、この民法604条を建物賃貸借に適用しないと定めています。
例えば、借地借家法が適用される建物賃貸借で60年の期間を合意しても、民法604条だけを理由に50年へ短縮されるわけではありません。普通借家か定期借家かにかかわらず、この上限の特則を確認します。
土地や動産の賃貸借にも無条件で同じ結論を広げてはいけません。建物所有目的の土地の賃貸借には借地権の規律があるため、まず借りている物が建物なのか土地なのかを特定します。
定期借家なら短期でも有効。ただし名称だけでは足りない
定期建物賃貸借では、期間を定め、書面または電磁的記録で更新がない旨を定める契約をします。さらに、貸主は契約前に、更新がなく期間満了で終了することを所定の書面交付と説明によって伝えます。書面交付に代わる電磁的方法には借主の承諾等が必要です。
事前説明を欠けば、更新がないという定めが無効になります。単に契約書へ「定期借家」と記載したり、短い期間を記載したりしただけでは、普通借家の規律を外せません。契約書と事前説明の役割を分けて判断します。
また、期間が短いだけで「一時使用目的」ともいえません。一時使用のためであることが明らかな建物賃貸借は借地借家法40条の別の問題です。普通借家・定期借家の比較を、一時使用へそのまま当てはめないでください。
1年以上の定期借家は、満了前の終了通知も確認
期間が1年以上の定期借家では、貸主は満了の1年前から6か月前までに、満了で終了する旨を借主へ通知する必要があります。通知がなければ、その終了を借主へ対抗できません。契約前の事前説明と、満了前の終了通知は別の手続です。
通知期間を過ぎた後に通知した場合は、その通知から6か月が経過すれば、通知が遅れたことによる制約がなくなります。ただし、契約の満了前に期間を短縮して終了させられるという意味ではありません。
1年未満の定期借家には、38条6項のこの通知制度は適用されません。ちょうど1年の契約は適用対象です。「1年未満」と「1年以上」の境界を、普通借家の期間の取扱いとセットで確認しましょう。
| 場面 | 確認する期間・要件 |
|---|---|
| 定期借家・契約前 | 更新がなく満了で終了することの事前説明 |
| 定期借家・期間1年以上 | 満了1年前〜6か月前に終了を通知 |
| 普通借家・期間あり | 更新拒絶の通知は満了1年前〜6か月前。貸主には正当事由も必要 |
期間の定めがない借家は、貸主と借主で終了時期が違う
普通借家が期間の定めのない契約になった場合、法定の解約申入れの期間は貸主側と借主側で異なります。貸主からは借地借家法27条により6か月ですが、28条の正当事由も必要です。6か月待てば理由を問わず終了できるわけではありません。
借主側は、特約を別にすれば民法617条によって建物の賃貸借の解約申入れから3か月で終了します。実際の問題文に1か月前予告などの特約がある場合は、その条件を読んで判断します。貸主の6か月を借主へ機械的に当てはめないことが要点です。
期間を定めた普通借家が法定更新された場合も、原則として期間の定めがない契約になります。「元の契約が2年なので、法定更新も自動で2年」とは整理しません。合意更新と法定更新の区別が必要です。
過去問では「短期契約」と「必要な方式」を別々に判断する
令和7年度問4には、定期建物賃貸借の期間が1年未満でも有効かという判断が含まれています。同じ問題の中に事前説明や電磁的記録も出てくるため、期間の要件と契約の方式を混ぜないことが大切です。
まず下の独自確認問題で、6か月・1年・60年をそれぞれ判断してください。答えが定まったら、このページの演習から更新・終了の問題へ進むと、期間の暗記を終了時期の判断に結び付けられます。
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問4
定期建物賃貸借の1年未満の期間と、事前説明・契約方式を別の要件として判定する出題例。
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- 借地借家法26〜29条・38条・40条確認日:2026-09-12
- 民法604条・617条確認日:2026-09-12
- 2026年度賃貸不動産経営管理士試験の実施概要確認日:2026-09-12
- 令和7年度試験問題・問4確認日:2026-09-12
建物賃貸借の存続期間
借地借家法29条1項により、期間を1年未満とする建物賃貸借は期間の定めがない賃貸借とみなされる(無効ではない)。同条2項が民法604条の適用を除外するため上限はなく、50年を超える期間も定められる。ただし定期建物賃貸借には29条1項が適用されず、6か月など1年未満の期間もそのまま有効となる。一時使用目的の建物賃貸借にも同様に適用がない。
覚え方普通借家は一年未満なら期間なし、上限なし、定期は一年未満もそのまま
最重要・比較表
期間の定めがある契約とない契約で終わらせ方が違う
最初に期間の定めがあるかどうかを確認します。あるなら更新拒絶の通知、ないなら解約の申入れになり、必要な予告期間も貸主と借主で変わります。
| 事由 | 契約期間の定めがある場合 | 契約期間の定めがない場合 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 終わらせる方法 | 貸主または借主が相手方に更新拒絶をすれば、期間の満了時に終了する | 貸主・借主のどちらからも、いつでも解約を申し入れることができる | 期間があるかどうかで、そもそも使う手続の名前が変わります。 |
| 貸主から終わらせる場合最重要 | 期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知をする。正当事由も必要になる | 解約申入れの日から6か月の経過で終了する。正当事由が必要で、書面で行う必要はない | 貸主側はどちらの場合も正当事由が要り、正当事由は6か月間持続していなければなりません。 |
| 借主から終わらせる場合 | 同じ期間に更新拒絶の通知をすればよく、借主側には正当事由は不要 | 解約申入れの日から3か月の経過で終了する。正当事由は不要 | 6か月と3か月を取り違える出題が定番です。長い方が貸主と覚えます。 |
| 何もしなかった場合 | 自動的に更新され、更新後は期間の定めのない契約になる。借主の使用継続に貸主が遅滞なく異議を述べないときも同じ | 解約の申入れをしない限り契約は続き、期間満了による終了は起こらない | 正当事由のある更新拒絶をしていても、使用継続に異議を述べなければ更新されます。 |
| 期間中の中途解約 | 中途解約を認める特約がなければ、貸主・借主のどちらからもできない | そもそも期間がないため、いつでも解約を申し入れることができる | 特約があっても、貸主からの解約には正当事由が必要な点は変わりません。 |
終わらせる方法
- 契約期間の定めがある場合
- 貸主または借主が相手方に更新拒絶をすれば、期間の満了時に終了する
- 契約期間の定めがない場合
- 貸主・借主のどちらからも、いつでも解約を申し入れることができる
判断ポイント
期間があるかどうかで、そもそも使う手続の名前が変わります。
貸主から終わらせる場合
最重要- 契約期間の定めがある場合
- 期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知をする。正当事由も必要になる
- 契約期間の定めがない場合
- 解約申入れの日から6か月の経過で終了する。正当事由が必要で、書面で行う必要はない
判断ポイント
貸主側はどちらの場合も正当事由が要り、正当事由は6か月間持続していなければなりません。
借主から終わらせる場合
- 契約期間の定めがある場合
- 同じ期間に更新拒絶の通知をすればよく、借主側には正当事由は不要
- 契約期間の定めがない場合
- 解約申入れの日から3か月の経過で終了する。正当事由は不要
判断ポイント
6か月と3か月を取り違える出題が定番です。長い方が貸主と覚えます。
何もしなかった場合
- 契約期間の定めがある場合
- 自動的に更新され、更新後は期間の定めのない契約になる。借主の使用継続に貸主が遅滞なく異議を述べないときも同じ
- 契約期間の定めがない場合
- 解約の申入れをしない限り契約は続き、期間満了による終了は起こらない
判断ポイント
正当事由のある更新拒絶をしていても、使用継続に異議を述べなければ更新されます。
期間中の中途解約
- 契約期間の定めがある場合
- 中途解約を認める特約がなければ、貸主・借主のどちらからもできない
- 契約期間の定めがない場合
- そもそも期間がないため、いつでも解約を申し入れることができる
判断ポイント
特約があっても、貸主からの解約には正当事由が必要な点は変わりません。
01建物賃貸借の存続期間の重要暗記項目
建物賃貸借の存続期間
借地借家法29条1項により、期間を1年未満とする建物賃貸借は期間の定めがない賃貸借とみなされる(無効ではない)。同条2項が民法604条の適用を除外するため上限はなく、50年を超える期間も定められる。ただし定期建物賃貸借には29条1項が適用されず、6か月など1年未満の期間もそのまま有効となる。一時使用目的の建物賃貸借にも同様に適用がない。
覚え方普通借家は一年未満なら期間なし、上限なし、定期は一年未満もそのまま
ひっかけ注意1年未満の定めを「無効」とする誤りが狙われる。民法604条の50年上限を建物賃貸借に当てはめる誤りも定番。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1民法上の賃貸借期間の上限と、建物賃貸借に働く借地借家法の特則を分ける
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2建物賃貸借で1年未満の期間を定めた場合は、期間の定めがない賃貸借とみなされる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3期間の定めの有無で、更新・解約申入れ・終了時期の規律が変わる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 内容の基準日
- 2026-04-01
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
建物賃貸借の存続期間の○×一問一答
1/2問解答 0・正解 0
借地借家法・民法重要度 A
建物賃貸借の存続期間
建物の賃貸借において期間を6か月と定めた場合、その契約は期間の定めがない建物賃貸借とみなされる。
建物賃貸借の存続期間の○×一問一答2問|問題と解説
この論点で収録している2問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
建物賃貸借の存続期間重要度A建物の賃貸借において期間を6か月と定めた場合、その契約は期間の定めがない建物賃貸借とみなされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。1年未満の期間を定めた普通建物賃貸借は、期間の定めがないものとみなされる。
問2
建物賃貸借の存続期間重要度B建物の賃貸借の存続期間は、民法の規定により50年を超えて定めることができない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。借地借家法29条2項が民法604条の適用を除外するため、50年を超える期間も有効である。
建物賃貸借の存続期間の問題を続けて解く
この論点に対応する2問を絞り込んで出題します。