実務・開業2026年版
行政書士補助者とは|できる仕事・届出・補助者証と守秘義務【2026年版】
2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。
行政書士の事務所では、行政書士本人のほかに「補助者」が働いていることがあります。補助者は、行政書士の指揮命令を受けて事務を補助する人で、行政書士会への届出や補助者証の制度があります。この記事では、行政書士法と施行規則の条文、日本行政書士会連合会が示す補助者規則(準則)で、補助者の位置づけとできること・できないことを確かめます。
- 公開日
- 2026年11月6日
- 更新日
- 2026年11月6日
- 読了目安
- 約13分
- 法令基準日
- 2026年4月1日
- 情報確認日
- 2026年11月6日

先に結論
行政書士補助者は、行政書士の指揮命令を受けて、その事務を補助する人です。行政書士は補助者を置くことができ、置いたときは遅滞なく住所と氏名を行政書士会に届け出ます(施行規則5条)。行政書士会は補助者証を交付します。補助者は業務で知った秘密を漏らしてはならず(法19条の3)、行政書士は業務を補助者任せにしてはいけません。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 補助者は行政書士の指揮命令を受けて事務を補助する人
- 置いたときは行政書士会に届け出る(施行規則5条)
- 業務中は補助者証を携帯する(日行連の準則)
- 守秘義務は法19条の3。退職後も続く
01結論:補助者は行政書士の指揮命令の下で事務を補助する
行政書士法施行規則5条は、行政書士はその事務に関して補助者を置くことができると定めています。補助者を置いたときや異動があったときは、遅滞なくその人の住所と氏名を行政書士会に届け出なければならず、補助者を置かなくなったときも同じです。
日本行政書士会連合会が示す「行政書士会補助者規則(準則)」は、補助者を、会員の指揮命令を受けて事務を補助する者と定めています。補助者は自分の判断で依頼を受けて業務をする立場ではなく、行政書士の監督の下で働く立場です。

準則は、各都道府県の行政書士会が規則を作るときのひな形です。実際の手続や期限は、補助者を置く行政書士が所属する会の規則で確かめます。
02施行規則5条:置くことができ、届け出る
施行規則5条1項は「行政書士は、その事務に関して補助者を置くことができる」と定めています。補助者を置くかどうかは行政書士の判断で、置かなければならない決まりはありません。
同条2項は、補助者を置いたとき、異動があったとき、置かなくなったときに、遅滞なく住所と氏名を行政書士会に届け出ることを求めています。行政書士会が補助者を把握できるようにするための届出です。
施行規則で補助者について定めているのはこの5条です。補助者証や届出の具体的な期限は、法令ではなく、行政書士会の規則で定められています。
03日行連の準則が定めること
日本行政書士会連合会の補助者規則(準則)は、2019年11月13日に改定されたものが公開されています。主な内容を表にまとめました。
準則の条文は、行政書士法の条番号を改正前の番号で引用している箇所があります。法令の条番号は、e-Govの現行の条文で確かめます。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 2条 | 補助者は会員の指揮命令を受けて事務を補助する者 |
| 4条 | 18歳未満、法の欠格事由に当たる人などは補助者になれない |
| 5条 | 会員は指揮命令と監督をし、補助者任せにしてはならない |
| 6条 | 補助者への対価は会員の報酬の中から払う |
| 7条 | 補助者を置いたら15日以内に設置届を出す |
| 8条 | 会は補助者証を交付。業務中は携帯し補助者章を着ける |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法」(確認日 2026年11月6日)/e-Gov法令検索「行政書士法施行規則」(確認日 2026年11月6日)/日本行政書士会連合会「行政書士会補助者規則(準則)」(確認日 2026年11月6日)/日本行政書士会連合会「行政書士となるには」(確認日 2026年11月6日)
04補助者任せにしてはいけない
準則5条は、会員は自分の責任で指揮命令と監督をしなければならず、業務に関し補助者任せにするなどの行為をしてはならないと定めています。補助者が行うのは、行政書士の業務の補助です。
行政書士法19条1項は、行政書士でない者が、他人の依頼を受けて報酬を得て、業として行政書士の業務を行うことを禁じています。補助者が、行政書士の監督を離れて自分で依頼を受け、報酬を得て書類を作る働き方は、この規定に触れるおそれがあります。
会員が業務停止の処分を受けている間は、補助者にも事務をさせてはならないと準則に定められています。補助者の仕事は、行政書士の業務が成り立っていることが前提です。
05補助者が担う仕事の例
補助者は、行政書士の指示を受けて、書類の下書き、必要書類の収集、官公署への書類の持参、依頼者との連絡などを補助します。どこまでを任せるかは、行政書士が業務ごとに判断し、監督します。
官公署に書類を提出する場面でも、補助者は行政書士の補助として動きます。準則は、業務中は補助者証を携帯し、補助者章を着けることを定めています。
依頼者への説明や、書類の内容の最終的な確認は、行政書士が責任を持って行う部分です。補助者は、行政書士の判断を補う立場で働きます。
06補助者証と補助者章
準則8条は、行政書士会が会員から補助者設置届を受け取ったときに、会員に補助者証を交付すると定めています。補助者証の有効期間は、初回が2年、更新後が5年です。
補助者は、業務を行うときは補助者証を携帯し、補助者章を着けることとされています。補助者証は、その人が行政書士の補助者として届け出られていることを示すものです。
補助者をやめたときは、施行規則5条により、行政書士が行政書士会に届け出ます。補助者証の扱いなど手続の細かい点は、所属する会の規則で確かめます。
07守秘義務は法19条の3
行政書士法19条の3は、行政書士の使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、その業務の補助に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。補助者もこの従業者に当たります。
この義務は、従業者でなくなった後も続きます。依頼者の家族関係や財産、在留資格など、行政書士の業務で扱う情報は、退職した後も外に出してはいけません。
行政書士本人の守秘義務とは別に、従業者にも条文で義務が課されていることを、補助者として働く前に理解しておきます。
08補助者になれない人
準則4条は、補助者になれない人として、18歳未満の人、行政書士法の欠格事由に当たる人、懲戒解雇されてから3年を経過しない人などを挙げています。
準則の不適格事由の中に、行政書士の資格を持っていることを求める定めはありません。行政書士試験に合格していない人でも、不適格事由に当たらなければ補助者になれる仕組みです。
ただし、実際に補助者として雇うかどうかは、行政書士の判断です。資格や経験を求める事務所もあります。
09補助者の給与
準則6条は、補助者への対価は会員の報酬の中から払うと定めています。補助者は、依頼者から直接報酬を受け取る立場ではありません。
補助者の給与や雇用の形について、公的な統計は見当たりません。雇用の条件は、事務所ごとに求人票と労働条件の書面で確かめます。
雇用の形は、正社員、パート、アルバイトなど事務所によってさまざまです。勤務の日数と時間、担う業務の範囲を、雇用契約の書面で確かめておきます。
10開業前の経験として働く
行政書士試験に合格した人が、開業の前に補助者として事務所で働き、実務を学ぶ道があります。依頼者とのやり取りや、官公署での手続の流れを、行政書士の下で経験できます。
日本行政書士会連合会の案内によると、行政書士として業務を行うには、事務所を設ける都道府県の行政書士会を通じて登録し、その会に入会する必要があります。補助者として働いている間は、行政書士として業務を行うことはできません。
補助者の経験は、開業した後の業務の進め方や、自分が補助者を置くときの監督の仕方にも役立ちます。
11補助者の求人の探し方
補助者の求人は、行政書士事務所の求人として出ていることがあります。仕事の内容に、書類の作成の補助や官公署への提出が含まれるか、補助者証の手続をしてもらえるかを確かめます。
事務所によって扱う業務は大きく違います。建設業許可、在留資格、相続など、自分が学びたい分野を扱う事務所を選ぶと、経験が開業の準備につながります。
求人に応募するときは、補助者として届け出てもらえるかどうかも面接で確かめます。届け出られた補助者として働くことで、補助者証を持って業務に関わることができます。
12行政書士試験を目指しながら
補助者として働きながら行政書士試験を目指す人もいます。実務で触れる行政手続法や民法の考え方は、試験の範囲とも重なります。
合トレの一問一答で、行政書士法や行政手続法の論点を確かめておくと、仕事で扱う書類の意味も分かりやすくなります。
13補助者と、ほかの事務員の違い
事務所で働く人のうち、行政書士会に補助者として届け出た人が補助者です。電話の受付や経理だけを担う事務員を、補助者として届け出るかどうかは、担う仕事の内容と所属する会の規則で決まります。
守秘義務を定める法19条の3は、補助者に限らず「使用人その他の従業者」を対象にしています。補助者として届け出ていない事務員も、業務の補助で知った秘密を漏らしてはいけません。
14補助者がしてはいけないこと
補助者は、自分の名前で依頼を受けたり、依頼者から直接報酬を受け取ったりする立場ではありません。準則6条は、補助者への対価は会員の報酬の中から払うと定めています。
行政書士法19条の2は、行政書士でない者が行政書士やこれに紛らわしい名称を使うことを禁じています。補助者が名刺や書類で「行政書士」と名乗ることはできません。
補助者が書類を作る場合も、行政書士の指示と確認の下で作ります。依頼者に説明するときも、最終的な判断は行政書士が行うことを伝えます。
15事務所が補助者を置くときの流れ
事務所が補助者を置くときは、採用した後、準則では15日以内に行政書士会に補助者設置届を出し、会から補助者証の交付を受けます。施行規則5条は、遅滞なく住所と氏名を届け出ることを求めています。
補助者が辞めたときや、住所・氏名が変わったときも届出が必要です。補助者を雇う行政書士は、届出の期限を所属する会の規則で確かめ、手続を忘れないようにします。
16補助者証の有効期間
準則8条では、補助者証の有効期間は初回が2年、更新した後は5年です。有効期間が切れる前に、更新の手続が必要です。
補助者として長く働く人は、補助者証の有効期間を控えておき、更新の時期を事務所と確かめておきます。
17法の欠格事由とは
準則4条は、行政書士法の欠格事由のうち2条の2の2号から7号に当たる人を、補助者になれない人としています。欠格事由は、行政書士として登録できない人の条件と重なる内容です。
欠格事由の中身は、別の記事でまとめています。補助者として働く前に、自分が当たらないかを確かめておきます。
18依頼者の情報の扱い
行政書士の業務では、戸籍、住民票、在留カード、会社の決算書など、依頼者の個人情報や事業の情報を多く扱います。補助者は、こうした書類を扱う場面が多い立場です。
書類を持ち出すときの扱いや、電子データの保存の方法は、事務所の決まりに従います。守秘義務は辞めた後も続くので、私物の端末に依頼者の情報を残さないようにします。
19所属する会の規則を確かめる
日本行政書士会連合会の準則は、各都道府県の行政書士会が補助者規則を作るときのひな形です。届出の期限、補助者証の有効期間、補助者章の扱いなどは、会ごとの規則で細部が違うことがあります。
補助者として働く人は、勤め先の行政書士が所属する会の規則を確かめます。事務所を移るときも、移った先の会の規則で手続が変わることがあります。
20補助者として働き始めるとき
働き始める前に、補助者として届け出てもらえるか、補助者証が交付されるまでの間にどの仕事をするかを、事務所と確かめておきます。
事務所が扱う業務の流れと、行政書士がどの段階で確認するかを最初に聞いておくと、補助者として任される範囲がはっきりします。分からないことは自分で判断せず、行政書士に確かめる習慣を付けます。
21補助者から行政書士へ
補助者として働いた経験は、行政書士試験に合格して登録した後、自分で事務所を開くときに生きます。依頼の受け方、見積もりの出し方、官公署の窓口でのやり取りを、実際の業務の中で見ているからです。
一方で、補助者の期間が行政書士の登録の要件になるわけではありません。行政書士になるには、試験の合格など法律が定める資格と、行政書士会を通じた登録が必要です。
よくある質問
行政書士補助者とは何ですか。
行政書士の指揮命令を受けて、その事務を補助する人です。行政書士は補助者を置くことができ、置いたときは行政書士会に届け出ます。
補助者になるのに資格は要りますか。
日本行政書士会連合会の準則の不適格事由に、行政書士の資格を求める定めはありません。18歳未満や欠格事由に当たる人などはなれません。
補助者は一人で依頼を受けて書類を作れますか。
できません。行政書士でない者が報酬を得て業として行政書士の業務を行うことは、法19条で禁じられています。補助者は行政書士の監督の下で補助します。
補助者証とは何ですか。
行政書士会が、補助者の設置の届出を受けて交付する証です。準則では、業務中は携帯し、補助者章を着けることとされています。
補助者にも守秘義務はありますか。
あります。行政書士法19条の3が、使用人その他の従業者に守秘義務を定めていて、辞めた後も続きます。
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