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特定行政書士とは|できること・法定研修・2026年改正の範囲【2026年版】

2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

特定行政書士は、行政書士のうち、日本行政書士会連合会の法定研修を修了した人です。許認可の申請が不許可になったときなどに、依頼者に代わって審査請求などの不服申立てをすることができます。この記事では、行政書士法の条文と、日本行政書士会連合会の公表資料で、できることと研修の中身を確かめます。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
読了目安
約12分
法令基準日
2026年4月1日
情報確認日
2026年11月6日
特定行政書士とはの記事カバー

先に結論

特定行政書士は、行政書士が作成することができる官公署提出書類に係る許認可等について、審査請求、再調査の請求、再審査請求などの不服申立ての手続を代理し、その書類を作成できる行政書士です(行政書士法1条の4第1項2号・2項)。なるには、行政書士として登録したうえで、日本行政書士会連合会の特定行政書士法定研修を修了します。令和8年度の研修は、講義18時間と10月18日の考査で、受講料は8万円(テキスト代込み)です。

この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 根拠は行政書士法1条の4第1項2号と同条2項(改正前は1条の3)
  • 2026年1月1日の改正で、対象が「作成した」書類から「作成することができる」書類に係る許認可等へ広がった
  • 法定研修は登録済みの行政書士が受ける。講義18時間・考査30問・受講料8万円(令和8年度)
  • 修了すると日行連が行政書士名簿に付記する(法7条の3)。人数は約6千人(2025年12月1日時点)

01結論:特定行政書士は、不服申立ての代理ができる行政書士

特定行政書士は、許認可等の処分に不服があるときに、依頼者に代わって行政庁へ不服申立てをすることができる行政書士です。根拠は行政書士法1条の4第1項2号と、同条2項です。

普通の行政書士も、許認可の申請書を作り、提出の手続を代理できます。ただし、不許可などの処分が出た後の審査請求を代理することはできません。申請から不服申立てまでを一貫して扱えるのが、特定行政書士です。

特定行政書士になるには、行政書士として登録したうえで、日本行政書士会連合会(日行連)が実施する特定行政書士法定研修を修了します。研修は講義と考査でできていて、考査で基準に達すると修了です。修了すると、日行連が行政書士名簿に特定行政書士である旨を付記します。

行政書士として登録、法定研修に申し込む、講義18時間を受講し考査で基準に到達、日行連が行政書士名簿に特定行政書士と付記する
図解研修を受けられるのは、申込み時点で行政書士名簿に登録されている行政書士です。日程は令和8年度のものです。拡大して見る ↗

02根拠条文:行政書士法1条の4第1項2号と同条2項

1条の4第1項は、行政書士が1条の3の書類作成のほかに、他人の依頼を受け報酬を得て行える事務を4つ挙げています。その2号が、行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、その手続について官公署に提出する書類を作成することです。

同条2項は、この2号の業務は、日行連がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士に限り行うことができると定めています。この行政書士を、条文は「特定行政書士」と呼んでいます。

1項の柱書には、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項は除くというただし書があります。特定行政書士であっても、他の法律で制限された事項の不服申立ては扱えません。

03条番号の変更:改正前は1条の3、2026年から1条の4

2026年1月1日に施行された行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)で、1条の2に職責の規定が置かれ、業務の規定の条番号が1つずつ後ろにずれました。改正前に1条の2だった書類作成の業務は1条の3に、1条の3だった代理・相談の業務は1条の4になっています。

特定行政書士の根拠は、改正前は1条の3第1項2号と同条2項でした。名簿への付記を定める7条の3も、改正後は「第一条の四第二項に規定する研修」と書かれています。

2025年以前に出た本や記事は、改正前の条番号で書かれていることがあります。条番号で調べるときは、e-Govの現行の条文で確かめます。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

特定行政書士に関わる条番号の新旧
内容改正前(2025年12月31日まで)改正後(2026年1月1日から)
書類作成の業務1条の21条の3
不服申立ての代理と書類作成1条の3第1項2号1条の4第1項2号
特定行政書士の定義(研修の修了)1条の3第2項1条の4第2項
名簿への付記7条の3(1条の3第2項を引用)7条の3(1条の4第2項を引用)

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法」(現行)(確認日 2026年11月6日)/e-Gov法令検索「行政書士法」(2025年10月1日施行版・改正前)(確認日 2026年11月6日)

042026年改正で広がった点:「作成した」から「作成することができる」へ

改正前の1条の3第1項2号は、対象を「行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等」としていました。行政書士が実際に作った申請書に係る許認可等に限られ、本人が自分で申請して不許可になった案件などは対象外でした。

改正後の1条の4第1項2号は、これを「行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等」に改めました。誰が申請書を作ったかを問わず、行政書士が作成できる種類の書類に係る許認可等であれば、特定行政書士が不服申立てを代理できます。

日行連は2026年1月1日の会長挨拶で、改正の柱の一つとして、特定行政書士の業務範囲が行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等に関するものに拡大されたことを挙げています。変わったのは対象の許認可等の範囲で、特定行政書士になる要件(研修の修了)は変わっていません。

05特定行政書士でなければできないこと

1条の4第1項2号の業務は、2つの行為でできています。1つは、審査請求、再調査の請求、再審査請求などの不服申立ての手続を代理することです。もう1つは、その手続について官公署に提出する書類、たとえば審査請求書を作成することです。

条文は、代理と書類作成を同じ2号にまとめ、同条2項で特定行政書士に限っています。日行連も、特定行政書士ができることとして、不服申立ての代理と、その手続の書類の作成を並べて説明しています。

対象は「行政庁に対する」不服申立てです。条文は裁判所での訴訟を挙げていません。処分の取消しを裁判所に求める訴えは、1条の4第1項2号の範囲に入りません。

06普通の行政書士でもできること

許認可の申請書など、官公署に提出する書類の作成は、1条の3の業務です。作った書類を官公署に提出する手続の代理と、許認可等に関して行われる聴聞や弁明の機会の付与の手続などで官公署に対してする行為の代理は、1条の4第1項1号の業務です。どちらも研修の修了は要りません。

聴聞と弁明の機会の付与は、営業停止などの不利益処分が出る前に、言い分を述べる手続です。処分の前の手続は普通の行政書士でも代理でき、処分の後の不服申立ては特定行政書士に限られます。ここが2つを分ける線です。

契約その他に関する書類を代理人として作ること(3号)と、作成できる書類について相談に応じること(4号)も、普通の行政書士の業務です。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

行政書士と特定行政書士の業務の違い(行政書士法1条の3・1条の4)
業務条文普通の行政書士特定行政書士
官公署提出書類・権利義務・事実証明の書類の作成1条の3できるできる
提出手続の代理、聴聞・弁明の手続の代理1条の4第1項1号できるできる
審査請求などの不服申立ての代理と書類作成1条の4第1項2号できないできる
契約書などの代理人としての作成1条の4第1項3号できるできる
作成できる書類についての相談1条の4第1項4号できるできる

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法」(現行)(確認日 2026年11月6日)

07使う場面:不許可・不利益処分・不作為

日行連は、特定行政書士が役に立つ場面を3つに分けて示しています。1つ目は不許可で、要件を満たすと考えて開発許可や廃棄物処理業の許可を申請したのに、不許可とされた場合です。

2つ目は不利益処分で、飲食店の営業停止処分や、建設業の許可業者が無許可営業と判断されて受けた監督処分に不服がある場合です。3つ目は不作為で、農地転用や風俗営業の許可申請をしたのに、いつまでも結果が出ない場合です。

どの例も、行政書士が作成できる申請書に係る許認可等です。日行連は、他の法律で制限されているものは業務として行えないと注記しています。

08審査請求には期限がある:原則3か月

行政不服審査法18条1項は、処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときはできないと定めています。再調査の請求をした場合は、その決定を知った日の翌日から1か月です。

同条2項は、処分があった日の翌日から1年を経過したときも審査請求はできないとしています。どちらも、正当な理由があるときは例外です。

不許可の通知を受けてから特定行政書士を探す場合、この期限の中で事実を整理し、審査請求書を作ることになります。審査請求は代理人によってすることができ(同法12条)、代理人は取下げを除いて審査請求に関する一切の行為をすることができます。

09法定研修の中身:登録済みの行政書士が受ける18時間の講義

令和8年度の特定行政書士法定研修の募集要項によると、受講資格は、申込み時点で行政書士名簿に登録されている行政書士です。試験に合格しただけで登録していない人は申し込めません。

講義は、日行連中央研修所の研修サイトでビデオ・オン・デマンドで受けます。科目は10で、合計18時間(約1時間×18コマ)です。全講義を100%受講した人だけが考査を受けられます。

テキストは、法定研修テキストと、サブテキストの「行政法」(弘文堂、令和8年度から第7版)、「行政書士のための要件事実の基礎」(日本評論社)です。受講期間の前に、申込み時に指定した送付先へ送られます。

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令和8年度 特定行政書士法定研修の講義科目(合計18時間・約1時間×18コマ)
区分科目
行政法の基礎行政法総論
行政手続行政手続制度概説/行政手続法の論点
行政不服審査行政不服審査制度概説/行政不服審査法の論点
行政事件訴訟行政事件訴訟法の概説/行政事件訴訟法の論点
事実の扱い要件事実・事実認定論
倫理とまとめ特定行政書士の倫理/総まとめ

この節・表の確認資料: 日本行政書士会連合会「令和8年度 特定行政書士法定研修 募集要項」(月刊日本行政 No.640)(確認日 2026年11月6日)/日本行政書士会連合会「中央研修所」(確認日 2026年11月6日)

10考査:30問のマークシート、到達基準点は例年およそ6割

令和8年度の考査日は、2026年10月18日(日)の14時から16時までと定められ、所属する都道府県行政書士会が指定する会場で全国一斉に開かれる仕組みです。考査会場は9月上旬に会員サイト「連con」で発表され、受験票は考査の約1週間前にメールで届きます。

問題は講義科目の理解度を測るもので、マークシートによる30問の択一式です。出題範囲は法定研修テキストとサブテキストの内容で、2026年4月1日現在で施行されている法令が基準です。

募集要項は、到達基準点は例年およそ6割程度としています。修了者の受験番号は会員サイトに11月中(予定)に載り、結果通知は12月上旬(予定)に受験者の事務所へ郵送されます。

11受講料と日程:8万円、申込みは4月から6月

令和8年度の受講料は8万円で、テキスト代を含みます。一度払った受講料は返されません。

申込みは、会員サイト「連con」からのWEB申込みで、期間は2026年4月1日(水)9時から6月19日(金)17時まででした。申込みの後、受講料の入金方法を書いたメールが届き、クレジット決済やコンビニ決済などで払います。

考査で基準に届かなかった人には、初回受講年度を含む3年間に限り、受講料を減らした再受講・再受験の制度があります。区分によって4万円または無料です。4年目以降は再受講の対象外で、8万円の新規受講になります。

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令和8年度 特定行政書士法定研修の日程(日行連の募集要項)
段階時期内容
申込み4月1日〜6月19日連conからWEB申込み、受講料を決済
資料の発送7月17日(予定)テキスト・サブテキストが届く
講義8月3日〜9月15日研修サイトでビデオ講義を受講
考査10月18日 14時〜16時所属会が指定する会場で30問
結果11月中・12月上旬(予定)会員サイトに掲載、事務所へ郵送

この節・表の確認資料: 日本行政書士会連合会「令和8年度 特定行政書士法定研修 募集要項」(月刊日本行政 No.640)(確認日 2026年11月6日)

12修了後の付記:日行連が行政書士名簿に書き加える

行政書士法7条の3第1項は、行政書士が研修の課程を修了したときは、日行連が遅滞なく、その行政書士の登録に特定行政書士である旨を付記しなければならないと定めています。同条2項により、付記をしたときは本人に書面で通知されます。

本人が別に付記の申請をする仕組みではありません。募集要項は、修了者は付記手続の完了後、所属する都道府県行政書士会を経由して、特定行政書士である旨の証票が交付されるとしています。

日行連によると、特定行政書士証票は金色を基調としています。普通の行政書士証票は銀色です。特定行政書士徽章(バッジ)もあり、行政書士徽章より直径が2mm大きく、厚さが1mm厚くなっています。

13特定行政書士の人数:約6千人(2025年12月1日時点)

日行連の会長は、2026年1月1日の挨拶で、2025年12月1日時点の行政書士は全国に約5万4千人、そのうち特定行政書士は約6千人と述べています。行政書士の1割強です。

同じ挨拶によると、特定行政書士がいる市区町村は869で、市区町村カバー率は49.9%、人口カバー率は90.0%です。行政書士全体では1,539市区町村にいて、市区町村カバー率は88.4%です。

特定行政書士の制度は、2014年12月27日に施行された改正行政書士法で作られました。日行連はこのほか、事前学習用のプレ研修と、特定行政書士になった人向けのブラッシュアップ研修を設けています。

14行政書士法人は、特定行政書士の社員がいるときに限る

行政書士法13条の6は、行政書士法人の業務の範囲を定めています。法人は1条の3と1条の4第1項(2号を除く)の業務を行えますが、2号の不服申立ての業務は「特定業務」とされています。

特定業務は、社員のうちにその業務を行うことができる行政書士がいる法人に限り行えます。つまり、特定行政書士の社員がいない行政書士法人は、審査請求などの代理を業務にできません。

法人の社員になる行政書士にとって、特定行政書士であるかどうかは、法人が定款に書いて行える業務の範囲に直接関わります。

15受験生が押さえること:試験は条文、研修は登録の後

令和8年度の行政書士試験は、2026年4月1日現在で施行されている法令が基準です。2026年1月1日施行の改正は範囲に入るので、1条の4の各号と2項、「作成することができる」への変更は条文の言葉どおりに覚えます。

特定行政書士になるのは、合格して登録した後の話です。研修の受講資格は登録済みの行政書士なので、合格の翌年に受けるとしても、まず登録と行政書士会への入会を済ませる必要があります。

行政不服審査法と行政事件訴訟法は、行政書士試験の行政法の範囲でもあります。試験の勉強で読んだ不服申立ての仕組みが、特定行政書士の研修の土台になります。

よくある質問

特定行政書士とは何ですか。

日本行政書士会連合会の特定行政書士法定研修を修了した行政書士です。行政書士が作成することができる官公署提出書類に係る許認可等について、審査請求などの不服申立ての手続を代理し、その書類を作成できます(行政書士法1条の4第1項2号・2項)。

特定行政書士と普通の行政書士は何が違いますか。

違いは不服申立ての代理と、その手続の書類作成ができるかどうかです。申請書の作成、提出手続の代理、聴聞・弁明の手続の代理、相談は、普通の行政書士もできます。

2026年の法改正で何が変わりましたか。

対象の許認可等が、行政書士が「作成した」書類に係るものから、行政書士が「作成することができる」書類に係るものに広がりました。条番号も1条の3から1条の4に変わりました。施行は2026年1月1日です。

試験に合格しただけで特定行政書士の研修を受けられますか。

受けられません。令和8年度の募集要項では、受講資格は申込み時点で行政書士名簿に登録されている行政書士です。

法定研修の時間と受講料はどのくらいですか。

令和8年度は、ビデオ講義が10科目・合計18時間、考査が2時間(30問)です。受講料はテキスト代込みで8万円です。

特定行政書士は裁判所での訴訟を代理できますか。

条文が定めるのは行政庁に対する不服申立ての手続の代理と書類作成で、裁判所での訴訟は挙げられていません。

確認した公的情報

この記事の参照元

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