本試験問題(2020年実施)
令和2年度行政書士試験の過去問49問
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- 49問
- 収録数
- 60問・300点満点(択一式・多肢選択式・記述式)
- 本試験
未収録の問題:問1・5・58〜60は、試験実施機関が著作権の関係で公表していないため収録していません。
問2基礎法学
解答 0/49・正解 0
簡易裁判所に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】簡易裁判所は、禁固刑および懲役刑を科すことができず、これらを科す必要を認めたときは、事件を地方裁判所へ移送しなければならない。 【イ】簡易裁判所における一部の民事事件の訴訟代理業務は、法務大臣の認定を受けた司法書士および行政書士にも認められている。 【ウ】簡易裁判所で行う民事訴訟では、訴えは口頭でも提起することができる。 【エ】少額訴訟による審理および裁判には、同一人が同一の簡易裁判所において同一の年に一定の回数を超えて求めることができないとする制限がある。 【オ】簡易裁判所判事は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。
令和2年度の全49問|問題文・正解・解説
収録している49問を、正解と解説つきで通して読めます。上の演習で 間違えた問題を見直すときや、特定の論点がどう問われたかを確かめたいときに使ってください。 正解番号は行政書士試験研究センターの公表資料に基づきます。
問2
基礎法学簡易裁判所に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】簡易裁判所は、禁固刑および懲役刑を科すことができず、これらを科す必要を認めたときは、事件を地方裁判所へ移送しなければならない。 【イ】簡易裁判所における一部の民事事件の訴訟代理業務は、法務大臣の認定を受けた司法書士および行政書士にも認められている。 【ウ】簡易裁判所で行う民事訴訟では、訴えは口頭でも提起することができる。 【エ】少額訴訟による審理および裁判には、同一人が同一の簡易裁判所において同一の年に一定の回数を超えて求めることができないとする制限がある。 【オ】簡易裁判所判事は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。簡易裁判所の民事訴訟は口頭でも提起でき、少額訴訟には同一人が同一の簡易裁判所へ利用できる回数の上限があるため、ウ・エが正しい組合せです。認定司法書士には一定の簡裁代理権がありますが、行政書士には認められていません。アは、裁判所法33条2項ただし書により簡易裁判所が住居侵入罪・常習賭博罪・窃盗罪等の一定の罪について3年以下の拘禁刑を科すことができるため誤りです。オは、支払督促を発するのは簡易裁判所の裁判所書記官であり(民事訴訟法382条)、簡易裁判所判事ではないため誤りです。
問3
憲法次の文章の空欄ア〜オに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 未決勾留は、刑事訴訟法の規定に基づき、逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として、被疑者又は被告人のアを監獄内に限定するものであつて、右の勾留により拘禁された者は、その限度でイ的行動の自由を制限されるのみならず、前記逃亡又は罪証隠滅の防止の目的のために必要かつウ的な範囲において、それ以外の行為の自由をも制限されることを免れない・・・。また、監獄は、多数の被拘禁者を外部からエして収容する施設であり、右施設内でこれらの者を集団として管理するにあたつては、内部における規律及び秩序を維持し、その正常な状態を保持する必要があるから、・・・この面からその者のイ的自由及びその他の行為の自由に一定の制限が加えられることは、やむをえないところというべきである・・・被拘禁者の新聞紙、図書等の閲読の自由を制限する場合・・・具体的事情のもとにおいて、その閲読を許すことにより監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当のオ性があると認められることが必要であり、かつ、・・・制限の程度は、右の障害発生の防止のために必要かつウ的な範囲にとどまるべきものと解するのが相当である。(最大判昭和58年6月22日民集第37巻5号793頁)
- 1ア=居住 イ=身体 ウ=合理 エ=隔離 オ=蓋然
- 2ア=活動 イ=身体 ウ=蓋然 エ=遮断 オ=合理
- 3ア=居住 イ=日常 ウ=合理 エ=遮断 オ=蓋然
- 4ア=活動 イ=日常 ウ=蓋然 エ=隔離 オ=合理
- 5ア=居住 イ=身体 ウ=合理 エ=遮断 オ=蓋然
正解:1
解説
正解は肢1です。よど号新聞記事抹消事件の判旨は、未決勾留が居住を監獄内に限定し、身体的行動の自由等を必要かつ合理的な範囲で制限すると述べます。監獄は外部から隔離する施設であり、閲読制限には秩序を害する相当の蓋然性が必要です。
問4
憲法表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
- 2表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
- 3表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
- 4表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
- 5表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。
正解:5
解説
正解は肢5です。表現規制の法文に不明確・過度に広汎な部分があっても、判例は合理的な限定解釈によって適用範囲を明確にし、合憲と判断する余地を認めています。限定解釈が一切許されないと断定する肢5が妥当ではありません。
問6
憲法衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
- 2内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。
- 3最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
- 4衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
- 5天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。
正解:5
解説
正解は肢5です。天皇の国事行為を形式的・儀礼的なものと理解する限り、憲法7条の解散行為について内閣が助言と承認を行うことだけから、内閣に実質的な解散決定権が当然に導かれるわけではありません。肢5はその論理関係を正確に示しています。
問7
憲法憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判所判決*について、次のア〜オの記述のうち、法廷意見の見解として、正しいものをすべて挙げた組合せはどれか。 【ア】第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。 【イ】かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。 【ウ】被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。 【エ】被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。 【オ】刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。(注) * 最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・オ
- 4ア・イ・ウ
- 5ア・エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。第三者所有物没収事件は、第三者にも告知・弁解・防御の機会が必要であり、これを欠く没収は適正手続に反するとしました。被告人も附加刑を受け、占有剥奪や第三者からの賠償請求の危険を負うため、違憲を主張できます。よってア・イ・ウが正しい記述です。
問8
行政法次の文章は、食中毒事故の原因食材を厚生大臣(当時)が公表したこと(以下「本件公表」という。)について、その国家賠償責任が問われた訴訟の判決文である。この判決の内容に明らかに反しているものはどれか。 食中毒事故が起こった場合、その発生原因を特定して公表することに関して、直接これを定めた法律の規定が存在しないのは原告の指摘するとおりである。しかし、行政機関が私人に関する事実を公表したとしても、それは直接その私人の権利を制限しあるいはその私人に義務を課すものではないから、行政行為には当たらず、いわゆる非権力的事実行為に該当し、その直接の根拠となる法律上の規定が存在しないからといって、それだけで直ちに違法の問題が生じることはないというべきである。もちろん、その所管する事務とまったくかけ離れた事項について公表した場合には、それだけで違法の問題が生じることも考えられるが、本件各報告の公表はそのような場合ではない。すなわち、厚生省は、公衆衛生行政・食品衛生行政を担い、その所管する食品衛生法は、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を目的としている(法1条)のであるから、本件集団下痢症の原因を究明する本件各報告の作成・公表は、厚生省及び厚生大臣の所管する事務の範囲内に含まれることは明らかである。このように、厚生大臣がその所管する事務の範囲内において行い、かつ、国民の権利を制限し、義務を課すことを目的としてなされたものではなく、またそのような効果も存しない本件各報告の公表について、これを許容する法律上の直接の根拠がないからといって、それだけで直ちに法治主義違反の違法の問題が生じるとはいえない。(大阪地裁平成14年3月15日判決・判例時報1783号97頁)
- 1法律の留保に関するさまざまな説のうち、いわゆる「侵害留保説」が前提とされている。
- 2行政庁がその所掌事務からまったく逸脱した事項について公表を行った場合、当該公表は違法性を帯びることがありうるとの立場がとられている。
- 3義務違反に対する制裁を目的としない情報提供型の「公表」は、非権力的事実行為に当たるとの立場がとられている。
- 4集団下痢症の原因を究明する本件各報告の公表には、食品衛生法の直接の根拠が存在しないとの立場がとられている。
- 5本件公表は、国民の権利を制限し、義務を課すことを直接の目的とするものではないが、現実には特定の国民に重大な不利益をもたらす事実上の効果を有するものであることから、法律上の直接の根拠が必要であるとの立場がとられている。
正解:5
解説
正解は肢5です。判決は、本件公表を権利制限や義務賦課を目的としない非権力的事実行為と捉え、所管事務の範囲内である以上、法律上の直接の根拠がないだけでは違法にならないとしました。直接の根拠が必要だとする肢5は判旨に反します。
問9
行政法行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
- 2行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。
- 3課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。
- 4相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
- 5旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。
正解:1
解説
正解は肢1です。行政処分が当然無効となるには原則として瑕疵が重大かつ明白であることを要し、明白性は処分の外形上、客観的に誤認を一見して把握できるかで判断されます。到達前の発信で効力が生じるとする考えや、撤回に常に別の明文根拠を要するとする考えは判例に沿いません。
問10
行政法普通地方公共団体が締結する契約に関する次の記述のうち、地方自治法の定めに照らし、妥当なものはどれか。
- 1売買、賃借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのほか、条例で定める方法によっても締結することができる。
- 2売買、賃借、請負その他の契約を、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結することができるのは、政令が定める場合に該当するときに限られる。
- 3一般競争入札により契約を締結する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高または最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとされており、この点についての例外は認められていない。
- 4随意契約の手続に関し必要な事項は、当該普通地方公共団体が条例でこれを定める。
- 5契約を締結する場合に議会の議決を要するのは、種類および金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものを締結するときであって、かつ指名競争入札による場合に限られる。
正解:2
解説
正解は肢2です。地方公共団体の契約は一般競争入札が原則であり、指名競争入札、随意契約またはせり売りを選べるのは地方自治法施行令が定める場合に限られます。契約方法を条例で自由に追加することはできず、落札者決定にも例外があります。
問11
行政法行政手続法の用語に関する次の記述のうち、同法の定義に照らし、正しいものはどれか。
- 1「不利益処分」とは、申請により求められた許認可等を拒否する処分など、申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分のほか、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、またはその権利を制限する処分をいう。
- 2「行政機関」には、国の一定の機関およびその職員が含まれるが、地方公共団体の機関はこれに含まれない。
- 3「処分基準」とは、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。
- 4「申請」とは、法令に基づき、申請者本人または申請者以外の第三者に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
- 5「届出」とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為であって、当該行政庁にそれに対する諾否の応答が義務づけられているものをいう。
正解:3
解説
正解は肢3です。行政手続法上の処分基準は、不利益処分をするか、するとしてどのような内容にするかを法令に従って判断するための基準です。申請拒否は不利益処分の定義から除かれ、申請には本人以外への利益付与を求める行為は含まれません。
問12
行政法行政手続法の規定する聴聞と弁明の機会の付与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は代理人を選任することができる。
- 2聴聞は許認可等の取消しの場合に行われる手続であり、弁明の機会の付与は許認可等の拒否処分の場合に行われる手続である。
- 3聴聞が口頭で行われるのに対し、弁明の機会の付与の手続は、書面で行われるのが原則であるが、当事者から求めがあったときは、口頭により弁明する機会を与えなければならない。
- 4聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当該処分について利害関係を有する者がこれに参加することは、認められていない。
- 5聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は処分の原因に関するすべての文書を閲覧する権利を有する。
正解:1
解説
正解は肢1です。聴聞では行政手続法16条、弁明の機会の付与では31条の準用する16条により、当事者は代理人を選任できます。申請拒否は不利益処分ではなく、弁明は書面が原則でも申立てだけで当然に口頭化する制度ではありません。
問13
行政法行政手続法の定める申請の取扱いに関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】申請がそれをすることができる期間内にされたものではない場合、当該申請は当然に不適法なものであるから、行政庁は、これに対して諾否の応答を行わず、その理由を示し、速やかに当該申請にかかる書類を申請者に返戻しなければならない。 【イ】許認可等を求める申請に必要な書類が添付されていない場合、行政庁は、速やかに、相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。 【ウ】行政庁は、申請により求められた許認可等のうち行政手続法に列挙されたものについて、これを拒否する処分を行おうとするときは、予めその旨を申請者に対し通知し、当該申請者に弁明書の提出による意見陳述の機会を与えなければならない。 【エ】行政庁が申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導を行うことは、申請者がそれに従う意思がない旨を表明したにもかかわらずこれを継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない。 【オ】行政庁が、申請の処理につき標準処理期間を設定し、これを公表した場合において、当該標準処理期間を経過してもなお申請に対し何らの処分がなされないときは、当該申請に対して拒否処分がなされたものとみなされる。
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:3
解説
正解は肢3です。必要書類を欠く申請について、行政庁は速やかに補正を求めるか拒否しなければならず、申請者の権利行使を妨げない範囲の行政指導が直ちに違法になるわけではありません。したがってイ・エが正しく、標準処理期間の経過によるみなし拒否制度はありません。
問14
行政法行政不服審査法に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査請求人の地位を承継することができるが、その場合は、審査庁の許可を得ることが必要である。 【イ】処分についての審査請求に関する審査請求期間については、処分があったことを知った日から起算するものと、処分があった日から起算するものの2つが定められているが、いずれについても、その初日が算入される。 【ウ】法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされないときは、当該行政庁の不作為について、当該処分をすることを求める審査請求をすることができる。 【エ】一定の利害関係人は、審理員の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができるが、参加人は、審査請求人と同様に、口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えられ、証拠書類または証拠物を提出することができる。 【オ】多数人が共同して行った審査請求においては、法定数以内の総代を共同審査請求人により互選することが認められているが、その場合においても、共同審査請求人各自が、総代を通じることなく単独で当該審査請求に関する一切の行為を行うことができる。
- 1ア・エ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4イ・オ
- 5ウ・エ
正解:1
解説
正解は肢1です。処分に係る権利の譲受人が審査請求人の地位を承継するには審査庁の許可が必要です。また、利害関係人は審理員の許可を得て参加し、口頭意見陳述や証拠提出ができます。よってア・エが正しく、総代選任後の共同審査請求人は原則として総代を通じて行為します。
問15
行政法再審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。
- 2審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
- 3再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。
- 4再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。
- 5再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。
正解:2
解説
正解は肢2です。再審査請求では原裁決に違法があっても、原処分自体が違法でも不当でもなければ請求を棄却します。再審査請求は法律に定めがある場合に限られ、原則として原裁決を知った日の翌日から1か月以内に行います。
問16
行政法不作為についての審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。 【イ】不作為についての審査請求について理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。 【ウ】不作為についての審査請求について理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法または不当である旨を宣言する。 【エ】不作為についての審査請求について理由がある場合、不作為庁の上級行政庁ではない審査庁は、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を勧告しなければならない。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:3
解説
正解は肢3です。不作為についての審査請求に理由がなければ棄却し、理由があれば不作為が違法または不当である旨を宣言します。申請から相当期間が経過していない請求は不適法として却下され、上級行政庁でない審査庁が処分を勧告するという制度ではありません。
問17
行政法狭義の訴えの利益に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。 【イ】土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。 【ウ】建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。 【エ】都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:4
解説
正解は肢4です。土地改良事業が完了して原状回復が社会通念上不可能でも、取消判決による法的効果が残るため訴えの利益は失われません。市街化調整区域の開発許可も、工事完了後なお建築制限等が残るため利益が認められます。よってイ・エが正しい組合せです。
問18
行政法行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
- 2処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 3不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 4義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 5差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
正解:2
解説
正解は肢2です。審査請求をした者の取消訴訟の出訴期間は、行政事件訴訟法14条3項により裁決を知った日から6か月、裁決の日から1年を基準にし、正当な理由があれば例外となります。処分を知った日をそのまま起算点にするわけではありません。
問19
行政法行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。
- 2行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。
- 3義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。
- 4処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。
- 5義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。
正解:3
解説
正解は肢3です。義務付け訴訟には取消判決の拘束力に関する行政事件訴訟法33条が準用されますが、第三者効を定める32条は準用されません。義務付け訴訟には申請型と非申請型があり、それぞれ別の訴訟要件が定められています。
問20
行政法国家賠償法に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。 【イ】税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。 【ウ】国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。 【エ】国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:4
解説
正解は肢4です。課税処分が取り消されても、税務職員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていれば直ちに国賠法上違法とはなりません。また、私利目的でも客観的に職務執行の外形を備える行為は「職務を行うについて」に含まれます。よってイ・エが正しい組合せです。
問21
行政法国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。 (注) * 公害健康被害の補償等に関する法律
- 1宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
- 2建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たらない。
- 3公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
- 4裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない。
- 5検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。
正解:5
解説
正解は肢5です。刑事事件で無罪判決が確定しても、それだけで逮捕・勾留や公訴提起が国家賠償法上当然に違法となるわけではありません。起訴時に検察官が収集した証拠等から合理的な嫌疑が認められたかを、各行為時の事情に即して判断します。
問22
行政法住民について定める地方自治法の規定に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。 【イ】住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。 【ウ】住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。 【エ】日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。 【オ】都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。
- 1ア・ウ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5エ・オ
正解:1
解説
正解は肢1です。市町村内に住所を有する者は市町村とこれを包括する都道府県の住民となり、住民は役務を等しく受け、負担を分任します。よってア・ウが正しく、地方選挙への参与には日本国民であること等の要件があります。
問23
行政法地方自治法の定める自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。
- 2都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。
- 3普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
- 4自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。
- 5都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
正解:5
解説
正解は肢5です。都道府県知事は、市町村の自治事務が法令違反または著しく不適正で明らかに公益を害するとき、是正・改善措置を講ずべきことを勧告できます。自治事務に対する関与も法律またはこれに基づく政令の根拠を要し、自由な代執行は認められません。
問24
行政法地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
- 2住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
- 3住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
- 4普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
- 5住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。
正解:5
解説
正解は肢5です。住民訴訟を提起して勝訴した者は、支払った弁護士報酬の範囲内で相当と認められる額を普通地方公共団体へ請求できます。住民訴訟は住民監査請求を前置し、法定された請求類型と期間に従う必要があります。
問25
行政法情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。 (注) * 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
- 1条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。
- 2行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。
- 3条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
- 4条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。
- 5条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。
正解:1
解説
正解は肢1です。公文書非公開決定の取消訴訟では、被告は処分時に付した理由とは異なる非公開事由を訴訟上主張することができます。これは理由の差替えが処分の同一性を失わせず、情報公開制度の理由提示義務だけから主張制限が導かれないためです。
問26
行政法自動車の運転免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。
- 2道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。
- 3運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。
- 4自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。
- 5都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。
正解:1
解説
正解は肢1です。運転免許を与える権限は、道路交通法により都道府県公安委員会という合議制機関に属し、委員長個人の権限ではありません。免許停止・取消しや更新も法令が定める主体と手続に従って行われます。
問27
民法制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
- 1未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。
- 2保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。
- 3家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
- 4被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。
- 5制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。
正解:4
解説
正解は肢4です。被保佐人本人に対し、保佐人の追認を得るよう催告したのに期間内に確答がない場合は、民法20条4項によりその行為を取り消したものとみなされます。追認擬制ではないため、肢4が誤りです。
問28
民法占有改定等に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。 【ア】即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。 【イ】留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。 【ウ】先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。 【エ】質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。 【オ】動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。先取特権の第三取得者への引渡しには占有改定も含まれるためウは妥当でなく、動産譲渡担保の対抗要件となる引渡しには占有改定も含まれるためオも妥当ではありません。即時取得と質権設定では占有改定だけでは足りない点との区別が重要です。
問29
民法根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1被担保債権の範囲は、確定した元本および元本確定後の利息その他の定期金の2年分である。
- 2元本確定前においては、被担保債権の範囲を変更することができるが、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得た上で、その旨の登記をしなければ、変更がなかったものとみなされる。
- 3元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。
- 4元本確定前に根抵当権者から被担保債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使することができないが、元本確定前に被担保債務の免責的債務引受があった場合には、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができる。
- 5根抵当権設定者は、元本確定後においては、根抵当権の極度額の一切の減額を請求することはできない。
正解:3
解説
正解は肢3です。元本確定期日は当事者の合意だけで変更でき、変更後の期日は変更した日から5年以内でなければなりません(民法398条の6第3項)。そして変更前の期日より前に変更の登記をしなかったときは、変更前の期日に元本が確定します(同条4項)。
問30
民法A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権は、A・B間に特約がない場合には、Bに帰属する。
- 2A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。
- 3A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。
- 4A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権の行使は、AおよびBの両者に対する意思表示によってしなければならない。
- 5A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、Bに移転する。
正解:3
解説
正解は肢3です。選択権者であるAの過失によって甲建物の給付が不能となった場合、選択債権の目的は残る乙建物に特定されます。選択権は原則として債務者に属しますが、特約で債権者その他の者に帰属させることもできます。
問31
民法Aは、Bに対して金銭債務(以下、「甲債務」という。)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下、「本件債務引受」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。
- 2本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。
- 3本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。
- 4本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。
- 5本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。
正解:5
解説
正解は肢5です。免責的債務引受によって引受人Cが債務者Aに対する求償権を当然に取得するわけではなく、両者間の原因関係に従います。免責的債務引受ではAは債務を免れ、併存的債務引受ではAとCが債務を負います。
問32
民法同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。
- 2家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
- 3家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
- 4請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。
- 5売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。
正解:5
解説
正解は肢5です。双務契約の一方が履行を提供しても、その提供が継続されない限り相手方の同時履行の抗弁権は消滅しません。売主が一度だけ履行を提供したという事情だけで、買主が代金支払を拒めなくなるわけではありません。
問33
民法A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。
- 2乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。
- 3Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。
- 4本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。
- 5本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。
正解:2
解説
正解は肢2です。借地借家法10条1項の対抗力が生じるのは借地上の建物の登記名義が借地権者自身である場合に限られ、同居の妻など他人名義の登記では足りません(最大判昭和41年4月27日)。したがって乙建物が妻D名義であればBはCに賃借権を対抗できず、肢2が妥当ではありません。
問34
民法医療契約に基づく医師の患者に対する義務に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は、医療機関の特性等によって異なるべきではなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる。
- 2医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。
- 3医師は、治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法については、その実施状況や当該患者の状況にかかわらず、説明義務を負うものではない。
- 4医師は、医療水準にかなう検査および治療措置を自ら実施できない場合において、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない。
- 5精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する薬の副作用については、その薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる。
正解:2
解説
正解は肢2です。医療水準は医師の注意義務を判断する基準であり、平均的医師が現に行う医療慣行と常に一致するわけではありません。医療慣行に従っただけでは注意義務を尽くしたと直ちにはいえず、当時の臨床医学の実践水準に照らして判断されます。
問35
民法特別養子制度に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。 【イ】特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。 【ウ】すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。 【エ】特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。 【オ】特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。
- 1ア・ウ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。特別養子の養親は原則として夫婦で、一方が25歳以上なら他方は20歳以上で足ります。成立すると実父母・その血族との親族関係は原則終了するため、イ・エが正しい組合せです。特別養子縁組は届出だけでなく家庭裁判所の審判で成立します。ウは、民法817条の5第3項により養子となる者が15歳に達している場合にはその者の同意を要するため誤りです。オは、民法817条の10第1項が特別養子縁組の離縁について、養親による虐待等があること(1号)と実父母が相当の監護をすることができること(2号)の両方を満たすことを求めているため、選択的な要件のように述べる点で誤りです。
問36
商法・会社法運送品が高価品である場合における運送人の責任に関する特則について述べた次のア〜オの記述のうち、商法の規定および判例に照らし、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】商法にいう「高価品」とは、単に高価な物品を意味するのではなく、運送人が荷送人から収受する運送賃に照らして、著しく高価なものをいう。 【イ】運送品が高価品であるときは、荷送人が運送を委託するにあたりその種類および価額を通知した場合を除き、運送人は運送品に関する損害賠償責任を負わない。 【ウ】荷送人が種類および価額の通知をしないときであっても、運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたときは、運送人は免責されない。 【エ】運送人の故意によって高価品に損害が生じた場合には運送人は免責されないが、運送人の重大な過失によって高価品に損害が生じたときは免責される。 【オ】高価品について運送人が免責されるときは、運送人の不法行為による損害賠償責任も同様に免除される。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:2
解説
正解は肢2です。高価品とは容積または重量の割に著しく高価な物品をいい(最判昭和45年4月21日)、運送賃との対比で決まるものではないため、基準を運送賃に求めるアは誤りです。また、運送人に故意または重大な過失がある場合は高価品の通知がなくても免責されないためエも誤りです。よってア・エの組合せとなります。
問37
商法・会社法株式会社の設立等に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。 【イ】株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。 【ウ】現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。 【エ】株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。 【オ】発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・オ
正解:1
解説
正解は肢1です。各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける必要があり、専門家の証明等がある現物出資財産は一定の場合に検査役調査を省略できます。よってア・ウが正しく、払込金保管証明が必要なのは募集設立です。
問38
商法・会社法株式会社が自己の発行する株式を取得する場合に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。
- 2株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定めることができる。
- 3株式会社が他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができる。
- 4取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
- 5株式会社が、株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができる。
正解:5
解説
正解は肢5です。株式会社が株主との合意により自己株式を有償取得する場合、株主へ交付する金銭等は効力発生日の分配可能額を超えられません。財源規制に反して超過交付できるとする肢5が誤りです。
問39
商法・会社法株主総会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。
- 2株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。
- 3株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。
- 4株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。
- 5株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。
正解:4
解説
正解は肢4です。株主総会で延期または続行が決議された場合、会社法317条により改めて招集手続を行う必要はなく、新たな基準日を必ず定める必要もありません。当初の総会と同一性を保ったまま継続されます。
問40
商法・会社法公開会社であり、かつ大会社に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1譲渡制限株式を発行することができない。
- 2発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えることはできない。
- 3株主総会の招集通知は書面で行わなければならない。
- 4会計監査人を選任しなければならない。
- 5取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。
正解:1
解説
正解は肢1です。公開会社とは発行する全部の株式に譲渡制限を設けていない会社であり、一部の種類株式に譲渡制限を付けることはできます。したがって譲渡制限株式を一切発行できないとする肢1が誤りです。
問47
基礎知識普通選挙に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1アメリカでは、女性参政権に反対した南軍が南北戦争で敗れたため、19世紀末には男女普通選挙が実現した。
- 2ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていなかったが、ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現した。
- 3日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。
- 4スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があり、現在まで女子普通選挙は行われていない。
- 5イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。
正解:3
解説
正解は肢3です。日本では1925年の普通選挙法で男子普通選挙が実現し、女性参政権を含む男女普通選挙は第二次世界大戦後の選挙法改正で実現しました。欧米諸国についても女性参政権の実現時期は各肢の記述より遅い場合があります。肢2は、帝政ドイツでもすでに25歳以上の男子による普通・直接・秘密選挙で帝国議会議員が選出されていたため、前段が誤りです。肢4は、スイスでも1971年の国民投票により連邦レベルの女性参政権が承認されているため誤りです。
問48
基礎知識「フランス人権宣言」に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1個人の権利としての人権を否定して、フランスの第三身分の階級的な権利を宣言したものである。
- 2人権の不知、忘却または蔑視が、公共の不幸と政府の腐敗の原因に他ならない、とされている。
- 3人は生まれながらに不平等ではあるが、教育をすることによって人としての権利を得る、とされている。
- 4あらゆる主権の源泉は、神や国王あるいは国民ではなく、本質的に領土に由来する、とされている。
- 5権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は公の武力を持ってはならない、とされている。
正解:2
解説
正解は肢2です。1789年のフランス人権宣言前文は、人権の不知・忘却・蔑視が公共の不幸と政府の腐敗の唯一の原因であるとの認識を示しています。また人は自由かつ権利において平等に生まれ、主権の源泉は国民に存すると宣言しています。肢5は、フランス人権宣言16条が「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもつものではない」と定めるところ、結論部分を「公の武力を持ってはならない」に差し替えている点で誤りです。
問49
基礎知識日本のバブル経済とその崩壊に関する次の文章の空欄Ⅰ〜Ⅴに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 1985年のプラザ合意の後にⅠが急速に進むと、Ⅱに依存した日本経済は大きな打撃を受けた。Ⅰの影響を回避するために、多くの工場が海外に移され、産業の空洞化に対する懸念が生じた。 G7諸国の合意によって、為替相場が安定を取り戻した1987年半ばから景気は好転し、日本経済は1990年代初頭まで、平成景気と呼ばれる好景気を持続させた。 Ⅲの下で調達された資金は、新製品開発や合理化のための投資に充てられる一方で、株式や土地の購入にも向けられ、株価や地価が経済の実態をはるかに超えて上昇した。こうした資産効果を通じて消費熱があおられ、高級品が飛ぶように売れるとともに、さらなる投資を誘発することとなった。 その後、日本銀行がⅣに転じ、またⅤが導入された。そして、株価や地価は低落し始め、バブル経済は崩壊、平成不況に突入することとなった。
- 1Ⅰ=円安 Ⅱ=外需 Ⅲ=低金利政策 Ⅳ=金融引締め Ⅴ=売上税
- 2Ⅰ=円安 Ⅱ=輸入 Ⅲ=財政政策 Ⅳ=金融緩和 Ⅴ=売上税
- 3Ⅰ=円高 Ⅱ=輸出 Ⅲ=低金利政策 Ⅳ=金融引締め Ⅴ=地価税
- 4Ⅰ=円高 Ⅱ=外需 Ⅲ=財政政策 Ⅳ=金融緩和 Ⅴ=売上税
- 5Ⅰ=円高 Ⅱ=輸入 Ⅲ=高金利政策 Ⅳ=金融引締め Ⅴ=地価税
正解:3
解説
正解は肢3です。プラザ合意後の円高は輸出依存の日本経済を圧迫し、その対応として低金利政策が続きました。余剰資金が株式・土地へ向かって資産価格が上昇した後、金融引締めと地価税の導入等を背景にバブルが崩壊しました。
問50
基礎知識日本の国債制度とその運用に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】東京オリンピックの1964年の開催に向けたインフラ整備にかかる財源調達を目的として、1950年代末から建設国債の発行が始まった。 【イ】いわゆる第二次臨時行政調査会の増税なき財政再建の方針のもと、落ち込んだ税収を補填する目的で、1980年代に、初めて特例国債が発行された。 【ウ】1990年代初頭のバブル期には、税収が大幅に増大したことから、国債発行が行われなかった年がある。 【エ】東日本大震災からの復旧・復興事業に必要な財源を調達する目的で、2011年度から、復興債が発行された。 【オ】増大する社会保障給付費等を賄う必要があることから、2014年度の消費税率の引上げ後も、毎年度の新規国債発行額は30兆円を超えている。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:5
解説
正解は肢5です。東日本大震災の復旧・復興財源として2011年度から復興債が発行され、2014年度の消費税率引上げ後も新規国債発行額は毎年度30兆円を超えていました。したがってエ・オが妥当です。建設国債の本格発行は1960年代、特例国債の初発行は1975年度です。
問51
基礎知識日本の子ども・子育て政策に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】児童手当とは、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とし、家庭等における生活の安定に寄与するために、12歳までの子ども本人に毎月一定額の給付を行う制度である。 【イ】児童扶養手当とは、母子世帯・父子世帯を問わず、ひとり親家庭などにおける生活の安定と自立の促進に寄与し、子どもの福祉の増進を図ることを目的として給付を行う制度である。 【ウ】就学援助とは、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、市町村が学用品費や学校給食費などの必要な援助を与える制度であり、生活保護世帯以外も対象となるが、支援の基準や対象は市町村により異なっている。 【エ】小学生以下の子どもが病気やけがにより医療機関を受診した場合、医療費の自己負担分は国費によって賄われることとされ、保護者の所得水準に関係なく、すべての子どもが無償で医療を受けることができる。 【オ】幼稚園、保育所、認定こども園の利用料を国費で賄う制度が創設され、0歳から小学校就学前の子どもは、保護者の所得水準に関係なくサービスを無償で利用できることとされた。
- 1ア・エ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・オ
正解:3
解説
正解は肢3です。児童扶養手当は母子・父子を問わずひとり親家庭等の生活安定と自立、児童福祉の増進を目的とし、就学援助は市町村が学用品費等を保護者へ援助する制度です。よってイ・ウが妥当で、医療費や幼児教育が全年齢・全世帯で一律無償という制度ではありません。アは、児童手当の受給者が児童本人ではなく児童を監護する父母等である点、および支給対象が出題当時は中学校修了前までであった点で誤りです。なお2026年4月1日時点の現行法では、支給対象が高校生年代まで拡大され、所得制限は撤廃されています。
問52
基礎知識新しい消費の形態に関する次のア〜エの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】定額の代金を支払うことで、一定の期間内に映画やドラマなどを制限なく視聴できるサービスは、ギグエコノミーの一つの形態である。 【イ】シェアリングエコノミーと呼ばれる、服や車など個人の資産を相互利用する消費形態が広がりつつある。 【ウ】戸建住宅やマンションの部屋を旅行者等に提供する宿泊サービスを民泊と呼び、ホテルや旅館よりも安く泊まることや、現地の生活体験をすることを目的に利用する人々もいる。 【エ】詰替え用のシャンプーや洗剤などの購入は、自然環境を破壊しないことに配慮したサブスクリプションの一つである。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:3
解説
正解は肢3です。個人の遊休資産を他者と共同利用するシェアリングエコノミーと、住宅等を旅行者へ提供する民泊についてのイ・ウが妥当です。定額動画配信はサブスクリプションであり、詰替え商品の購入はそれ自体サブスクリプションではありません。
問53
基礎知識現在の日本における地域再生、地域活性化などの政策や事業に関する次のア〜オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。 【ア】まち・ひと・しごと創生基本方針は、地方への新しい人の流れをつくるとともに、地方に仕事をつくり、人々が安心して働けるようにすることなどを目的としている。 【イ】高齢化、過疎化が進む中山間地域や離島の一部では、アート(芸術)のイベントの開催など、アートを活用した地域再生の取組みが行われている。 【ウ】地域おこし協力隊は、ドーナツ化や高齢化が進む大都市の都心部に地方の若者を呼び込み、衰退している町内会の活性化や都市・地方の交流を図ることを目的としている。 【エ】シャッター街の増加など中心市街地の商店街の衰退が進むなかで、商店街の一部では空き店舗を活用して新たな起業の拠点とする取組みが行われている。 【オ】エリアマネジメントは、複数の市町村を束ねた圏域において、中心都市の自治体が主体となって、民間の力を借りずに地域活性化を図ることを目的としている。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:4
解説
正解は肢4です。地域おこし協力隊は都市地域から過疎地域等へ人材を受け入れる制度であり、大都市都心部へ地方の若者を呼ぶ制度ではありません。エリアマネジメントは地域の住民・事業者等が主体的にまちづくりを行う取組で、自治体だけが民間の力を借りずに行うものでもありません。
問54
基礎知識日本の人口動態に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】死因の中で、近年最も多いのは心疾患で、次に悪性新生物(腫瘍)、脳血管疾患、老衰、肺炎が続く。 【イ】婚姻については平均初婚年齢が上昇してきたが、ここ10年では男女共30歳前後で変わらない。 【ウ】戦後、ベビーブーム期を二度経験しているが、ベビーブーム期に生まれた世代はいずれも次のベビーブーム期をもたらした。 【エ】出生数と死亡数の差である自然増減数を見ると、ここ10年では自然減の程度が拡大している。 【オ】出産した母の年齢層別統計を見ると、ここ30年間は一貫して20代が最多を占めている。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:3
解説
正解は肢3です。出題当時、平均初婚年齢は男女とも30歳前後で推移し、出生数から死亡数を引いた自然増減は自然減の幅が拡大していたため、イ・エが妥当です。最多死因は悪性新生物であり、出産年齢の最多層も一貫して20代だったわけではありません。ウは、第1次ベビーブーム(1947〜49年)の世代が第2次ベビーブーム(1971〜74年)をもたらした一方、その世代からは第3次ベビーブームが起こっていないため、いずれの世代も次のベビーブーム期をもたらしたとはいえず誤りです。
問55
基礎知識インターネット通信で用いられる略称に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】BCCとは、Backup Code for Clientの略称。インターネット通信を利用する場合に利用者のデータのバックアップをおこなう機能。 【イ】SMTPとは、Simple Mail Transfer Protocolの略称。電子メールを送信するための通信プロトコル。 【ウ】SSLとは、Social Service Lineの略称。インターネット上でSNSを安全に利用するための専用線。 【エ】HTTPとは、Hypertext Transfer Protocolの略称。Web上でホストサーバーとクライアント間で情報を送受信することを可能にする通信プロトコル。 【オ】URLとは、User Referencing Locationの略称。インターネット上の情報発信ユーザーの位置を特定する符号。
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:3
解説
正解は肢3です。SMTPはSimple Mail Transfer Protocolで電子メール送信に使う通信規約、HTTPはHypertext Transfer ProtocolでWeb上の情報送受信に使う通信規約です。よってイ・エが妥当です。BCCはBlind Carbon Copy(他の受信者に宛先を知られずに同報送信する機能)、SSLはSecure Sockets Layer(通信経路を暗号化するプロトコル。現在は後継のTLSが主流)、URLはUniform Resource Locator(インターネット上の情報資源の所在を示す記述形式)であり、示された展開はいずれも誤りです。
問56
基礎知識行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (注) * 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
- 1行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報が他の行政機関から提供されたものであるときは、いったん開示請求を却下しなければならない。
- 2行政機関の長は、開示することにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報は、開示する必要はない。
- 3行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報については、必ず当該保有個人情報の存否を明らかにしたうえで、開示または非開示を決定しなければならない。
- 4行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に個人識別符号が含まれていない場合には、当該開示請求につき情報公開法*にもとづく開示請求をするように教示しなければならない。
- 5行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に法令の規定上開示することができない情報が含まれている場合には、請求を却下する前に、開示請求者に対して当該請求を取り下げるように通知しなければならない。
正解:2
解説
正解は肢2です。出題時の行政機関個人情報保護法は、開示により公共の安全と秩序の維持へ支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることに相当の理由がある情報を不開示情報としていました。現在は個人情報保護法へ統合されていますが、同趣旨の不開示規定があります。肢3は、開示請求に係る保有個人情報の存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは、存否を明らかにしないで請求を拒否できる(存否応答拒否。現行個人情報保護法81条、出題当時の行政機関個人情報保護法にも同旨の規定)ため誤りです。
問57
基礎知識個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの安全管理を図る措置をとった上で、個人データの取扱いについて、その一部を委託することは可能であるが、全部を委託することは禁止されている。
- 2個人情報取扱事業者は、公衆衛生の向上のため特に必要がある場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得ることが困難でない場合でも、個人データを当該本人から取得することができ、当該情報の第三者提供にあたっても、あらためて、当該本人の同意を得る必要はない。
- 3個人情報取扱事業者は、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データの提供を受ける者が生じる場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得なければならない。
- 4個人情報取扱事業者は、地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合でも、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得た場合に限り、個人データを当該地方公共団体に提供することができる。
- 5個人情報取扱事業者は、個人情報の取得にあたって通知し、又は公表した利用目的を変更した場合は、変更した利用目的について、個人情報によって識別される特定の個人である本人に通知し、又は公表しなければならない。
正解:5
解説
正解は肢5です。個人情報取扱事業者が利用目的を変更したときは、変更後の利用目的を本人へ通知し、または公表しなければなりません。肢1は、27条5項1号が個人データの取扱いの「全部又は一部」の委託に伴う提供を第三者提供に当たらないものとしており、全部の委託も禁止されていないため誤りです。公衆衛生の向上・児童の健全育成の例外(27条1項3号)は本人の同意を得ることが困難であるときという要件ですが、国の機関等の法令事務への協力の例外(同項4号)の要件は本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときであり、肢4は本人の同意を得た場合に限るとする点で誤りです。