本試験問題(2021年実施)
令和3年度行政書士試験の過去問49問
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- 49問
- 収録数
- 60問・300点満点(択一式・多肢選択式・記述式)
- 本試験
未収録の問題:問1・7・58〜60は、試験実施機関が著作権の関係で公表していないため収録していません。
問2基礎法学
解答 0/49・正解 0
法令の効力に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
令和3年度の全49問|問題文・正解・解説
収録している49問を、正解と解説つきで通して読めます。上の演習で 間違えた問題を見直すときや、特定の論点がどう問われたかを確かめたいときに使ってください。 正解番号は行政書士試験研究センターの公表資料に基づきます。
問2
基礎法学法令の効力に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。
- 2法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。
- 3日本国の法令は、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および航空機内であっても、その効力を有しない。
- 4一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、後法である一般法が優先して適用され、当該特別法は効力を失う。
- 5法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。
正解:5
解説
正解は肢5です。法律自身が有効期間を定める限時法は、原則として期間満了により当然に失効します。法律は公布日に施行することもでき、施行期日を別に定めることも必須ではありません。また、日本船舶・航空機には国外でも日本法が及ぶ場合があります。
問3
憲法インフルエンザウイルス感染症まん延防止のため、政府の行政指導により集団的な予防接種が実施されたところ、それに伴う重篤な副反応により死亡したXの遺族が、国を相手取り損害賠償もしくは損失補償を請求する訴訟を提起した(予防接種と副反応の因果関係は確認済み)場合に、これまで裁判例や学説において主張された憲法解釈論の例として、妥当でないものはどれか。
- 1予防接種に伴う特別な犠牲については、財産権の特別犠牲に比べて不利に扱う理由はなく、後者の法理を類推適用すべきである。
- 2予防接種自体は、結果として違法だったとしても無過失である場合には、いわゆる谷間の問題であり、立法による解決が必要である。
- 3予防接種に伴い、公共の利益のために、生命・身体に対する特別な犠牲を被った者は、人格的自律権の一環として、損失補償を請求できる。
- 4予防接種による違法な結果について、過失を認定することは原理的に不可能なため、損害賠償を請求する余地はないというべきである。
- 5財産権の侵害に対して損失補償が出され得る以上、予防接種がひき起こした生命・身体への侵害についても同様に扱うのは当然である。
正解:4
解説
正解は肢4です。本問は妥当でない見解を問うています。予防接種による重篤な副反応について、判例・学説では因果関係などの事実から過失を推認する構成や、生命・身体への特別の犠牲を補償する構成が論じられてきました。過失認定が原理的に不可能で損害賠償の余地がない、と断定する肢4は妥当ではありません。
問4
憲法捜査とプライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1個人の容ぼうや姿態は公道上などで誰もが容易に確認できるものであるから、個人の私生活上の自由の一つとして、警察官によって本人の承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めることはできない。
- 2憲法は、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。
- 3電話傍受は、通信の秘密や個人のプライバシーを侵害するが、必要性や緊急性が認められれば、電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される。
- 4速度違反車両の自動撮影を行う装置により運転者本人の容ぼうを写真撮影することは憲法上許容されるが、運転者の近くにいるため除外できないことを理由としてであっても、同乗者の容ぼうまで撮影することは許されない。
- 5GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものであるが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。
正解:2
解説
正解は肢2です。最高裁はGPS捜査事件で、憲法35条が住居・書類・所持品だけでなく、これらに準ずる私的領域へ侵入されない権利も保障すると示しました。GPS端末を秘かに装着し継続的に位置情報を把握する捜査は、単なる公道上の目視とは異なり、この私的領域を侵害します。
問5
憲法地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性に関連して、最高裁判所判決で考慮要素とされたものの例として、妥当でないものはどれか。 (注) * 憲法89条公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
- 1国または地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地として提供する行為は、一般に、当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として、憲法89条*との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。
- 2一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても、同時に歴史的、文化財的な保護の対象となったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場としての意義を有するなど、文化的・社会的な価値に着目して国公有地に設置されている場合もあり得る。
- 3日本では、多くの国民に宗教意識の雑居性が認められ、国民の宗教的関心が必ずしも高いとはいえない一方、神社神道には、祭祀儀礼に専念し、他の宗教にみられる積極的な布教・伝道などの対外活動をほとんど行わないという特色がみられる。
- 4明治初期以来、一定の社寺領を国等に上知(上地)させ、官有地に編入し、または寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって、国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じており、これが解消されないまま残存している例もある。
- 5当該神社を管理する氏子集団が、宗教的行事等を行うことを主たる目的とする宗教団体であり、寄附等を集めて当該神社の祭事を行っている場合、憲法89条*の「宗教上の組織若しくは団体」に該当するものと解される。
正解:3
解説
正解は肢3です。本問は最高裁が考慮要素として示していないものを問うています。判決は施設の宗教性、土地提供の経緯、氏子集団の性格、歴史的・文化的・社会的価値などを総合考慮しましたが、国民一般の宗教意識の雑居性や神社神道が布教をほとんど行わないとの一般論は、本件判断の考慮要素として挙げていません。
問6
憲法次の文章の空欄ア・イに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、ア、かつ、イを意味すると解されている。
- 1ア=内閣の法案提出権を否定し(国会中心立法の原則) イ=議員立法の活性化を求めること(国会単独立法の原則)
- 2ア=国権の最高機関は国会であり(国会中心立法の原則) イ=内閣の独立命令は禁止されること(国会単独立法の原則)
- 3ア=法律は国会の議決のみで成立し(国会単独立法の原則) イ=天皇による公布を要しないこと(国会中心立法の原則)
- 4ア=国会が立法権を独占し(国会中心立法の原則) イ=法律は国会の議決のみで成立すること(国会単独立法の原則)
- 5ア=国権の最高機関は国会であり(国会中心立法の原則) イ=立法権の委任は禁止されること(国会単独立法の原則)
正解:4
解説
正解は肢4です。憲法41条の「唯一の立法機関」は、憲法上の例外を除き、国会が立法権を独占する国会中心立法の原則と、法律が国会の議決だけで成立する国会単独立法の原則を意味します。内閣の法案提出権や合理的な範囲の委任立法まで否定する趣旨ではありません。
問8
行政法法の一般原則に関わる最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、当該施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されないから、当該施策の変更は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それにより損害を被る者との関係においては、違法となる。
- 2租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用がなされることはなく、租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。
- 3法の一般原則として権利濫用の禁止が行政上の法律関係において例外的に適用されることがあるとしても、その適用は慎重であるべきであるから、町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。
- 4地方自治法により、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利につきその時効消滅については援用を要しないとされているのは、当該権利の性質上、法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが地方公共団体の事務処理上の便宜および住民の平等的取扱の理念に資するものであり、当該権利について時効援用の制度を適用する必要がないと判断されたことによるものと解されるから、普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は、極めて限定されるものというべきである。
- 5国家公務員の雇傭関係は、私人間の関係とは異なる特別の法律関係において結ばれるものであり、国には、公務の管理にあたって公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮する義務が認められるとしても、それは一般的かつ抽象的なものにとどまるものであって、国家公務員の公務上の死亡について、国は、法律に規定された補償等の支給を行うことで足り、それ以上に、上記の配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うことはない。
正解:4
解説
正解は肢4です。地方公共団体の金銭債権について時効の援用を不要とする趣旨は、適正・画一的な事務処理と住民の平等取扱いにあります。そのため、公共団体が消滅時効を主張することが信義則に反して許されない場面は極めて限定される、というのが判例です。信義則や権利濫用の法理が行政関係で一切排除されるわけではありません。
問9
行政法行政裁量に関する次のア〜オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】教科書検定の審査、判断は、申請図書について、内容が学問的に正確であるか、中立・公正であるか、教科の目標等を達成する上で適切であるか、児童、生徒の心身の発達段階に適応しているか、などの観点から行われる学術的、教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣(当時)の合理的な裁量に委ねられる。 【イ】国家公務員に対する懲戒処分において、処分要件にかかる処分対象者の行為に関する事実は、平素から庁内の事情に通暁し、配下職員の指揮監督の衝にあたる者が最もよく把握しうるところであるから、懲戒処分の司法審査にあたり、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される。 【ウ】公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定は、水俣病の罹患の有無という現在または過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。 【エ】生活保護法に基づく保護基準が前提とする「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものであるから、保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。 【オ】学校施設の目的外使用を許可するか否かについては、原則として、管理者の裁量に委ねられており、学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについては、集会の自由の保障の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。
- 1ア・ウ
- 2ア・オ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5エ・オ
正解:1
解説
正解は肢1、ア・ウです。教科書検定は学術的・教育的な専門技術判断を伴うため、文部大臣の合理的裁量に委ねられます。他方、水俣病認定は罹患の有無という客観的事実の確認で、行政庁の裁量事項ではありません。裁判所は懲戒権者の事実認定に拘束されず、学校施設の目的外使用も支障がないだけで当然に許可義務が生じるわけではありません。
問10
行政法行政立法についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1国家公務員の退職共済年金受給に伴う退職一時金の利子相当額の返還について定める国家公務員共済組合法の規定において、その利子の利率を政令で定めるよう委任をしていることは、直接に国民の権利義務に変更を生じさせる利子の利率の決定という、本来法律で定めるべき事項を政令に委任するものであり、当該委任は憲法41条に反し許されない。
- 2監獄法(当時)の委任を受けて定められた同法施行規則(省令)において、原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないと定めていることは、事物を弁別する能力のない幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効である。
- 3薬事法(当時)の委任を受けて、同法施行規則(省令)において一部の医薬品について郵便等販売をしてはならないと定めることについて、当該施行規則の規定が法律の委任の範囲を逸脱したものではないというためには、もっぱら法律中の根拠規定それ自体から、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が明確に読み取れることを要するものというべきであり、その判断において立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断をすることは許されない。
- 4児童扶養手当法の委任を受けて定められた同法施行令(政令)の規定において、支給対象となる婚姻外懐胎児童について「(父から認知された児童を除く。)」という括弧書きが設けられていることについては、憲法に違反するものでもなく、父の不存在を指標として児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を画することはそれなりに合理的なものともいえるから、それを設けたことは、政令制定者の裁量の範囲内に属するものであり、違憲、違法ではない。
- 5銃砲刀剣類所持等取締法が、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止した上で、美術品として価値のある刀剣類の所持を認めるための登録の方法や鑑定基準等を定めることを銃砲刀剣類登録規則(省令)に委任している場合に、当該登録規則において登録の対象を日本刀に限定したことについては、法律によらないで美術品の所有の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該登録規則の規定は無効である。
正解:2
解説
正解は肢2です。監獄法施行規則が原則として被勾留者と幼年者との接見を禁じた規定について、最高裁は、法律によらず接見の自由を著しく制限しており委任の範囲を超えるとして無効としました。委任命令は、法律の文言・趣旨・関連規定などから読み取れる授権の範囲内でなければなりません。
問11
行政法行政手続法が定める意見公募手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示して、広く一般の意見を求めなければならない。
- 2命令等制定機関は、定めようとする命令等が、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等であったとしても、自らが意見公募手続を実施しなければならない。
- 3命令等制定機関は、命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするときでも、意見公募手続を実施しなければならない。
- 4命令等制定機関は、意見公募手続の実施後に命令等を定めるときには所定の事項を公示する必要があるが、意見公募手続の実施後に命令等を定めないこととした場合には、その旨につき特段の公示を行う必要はない。
- 5命令等制定機関は、所定の事由に該当することを理由として意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名及び趣旨について公示しなければならないが、意見公募手続を実施しなかった理由については公示する必要はない。
正解:1
解説
正解は肢1です。命令等制定機関は、命令等の案と関連資料を事前に公示し、広く一般から意見を求めるのが原則です。実質的に同一の命令等で既に他機関が手続を実施した場合や、根拠法令の削除に伴い当然に廃止する場合などには例外があり、命令等を定めないことにした場合もその旨の公示が必要です。
問12
行政法理由の提示に関する次の記述のうち、行政手続法の規定または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するものと認められる者から請求があったときは、当該処分の理由を示さなければならない。
- 2行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないことを理由とするときは、申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない。
- 3行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。
- 4公文書の非開示決定に付記すべき理由については、当該公文書の内容を秘匿する必要があるため、非開示の根拠規定を示すだけで足りる。
- 5旅券法に基づく一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由については、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかに関し、その申請者が事前に了知しうる事情の下であれば、単に発給拒否の根拠規定を示すだけで足りる。
正解:3
解説
正解は肢3です。不利益処分の理由は処分と同時に示すのが原則ですが、理由を示さず処分すべき差し迫った必要がある場合は例外が認められます。その場合も、後に理由を示すことが困難な場合を除き、処分後の相当期間内に提示しなければなりません。形式要件違反による申請拒否でも理由提示は必要です。
問13
行政法行政指導についての行政手続法の規定に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとされているが、その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られる。 【イ】行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。 【ウ】行政指導をすることを求める申出が、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対して適法になされたものであったとしても、当該行政機関は、当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。 【エ】地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が法律に置かれているものであれば、行政指導について定める行政手続法の規定は適用される。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:3
解説
正解は肢3、イ・ウです。許認可権限を行使し得る旨を示して行政指導をするときは、その根拠条項、要件、理由等を示し、口頭指導でも求めがあれば原則として書面を交付します。行政指導を求める申出に対して行政機関に諾否の応答義務はありません。不利益取扱い禁止は法律根拠の指導だけに限られず、地方公共団体の機関への適用範囲も肢エの説明とは異なります。
問14
行政法行政不服審査法が定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。
- 2審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。
- 3審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
- 4再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。
- 5審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。
正解:3
解説
正解は肢3です。審理員は、必要があると認めるとき、執行停止をすべき旨の意見書を審査庁へ提出でき、審査庁は速やかに執行停止の可否を決定します。本案に理由がないとみえる場合は義務的執行停止の例外となり、事情変更があれば停止を取り消すこともできます。再調査の請求でも執行停止の申立ては可能です。
問15
行政法再調査の請求について定める行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合に審査請求を行ったときは、法律に再調査の請求ができる旨の規定がある場合でも、審査請求人は、当該処分について再調査の請求を行うことができない。
- 2行政庁の処分につき処分庁に対して再調査の請求を行ったときでも、法律に審査請求ができる旨の規定がある場合には、再調査の請求人は、当該再調査の請求と並行して、審査請求もすることができる。
- 3法令に基づく処分についての申請に対して、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁が何らの処分をもしない場合、申請者は当該不作為につき再調査の請求を行うことができる。
- 4再調査の請求については、審理員による審理または行政不服審査会等への諮問は必要ないが、処分庁は決定を行った後に、行政不服審査会等への報告を行う必要がある。
- 5再調査の請求においては、請求人または参加人が口頭で意見を述べる機会を与えられるのは、処分庁がこれを必要と認めた場合に限られる。
正解:1
解説
正解は肢1です。法律上、再調査の請求ができる処分であっても、先に審査請求をした後で同じ処分について再調査を請求することはできません。先に再調査を請求した場合も、原則としてその決定を経る前の審査請求はできません。不作為は再調査請求の対象ではなく、口頭意見陳述は申立てがあれば機会を与えるのが原則です。
問16
行政法行政不服審査法が定める審査請求に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】処分の取消しを求める審査請求は、所定の審査請求期間を経過したときは、正当な理由があるときを除き、することができないが、審査請求期間を経過した後についても処分の無効の確認を求める審査請求ができる旨が規定されている。 【イ】審査請求は、他の法律または条例にこれを口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出してしなければならない。 【ウ】処分についての審査請求に理由があり、当該処分を変更する裁決をすることができる場合であっても、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。 【エ】審査請求に対する裁決の裁決書に記載する主文が、審理員意見書または行政不服審査会等の答申書と異なる内容である場合であっても、異なることとなった理由を示すことまでは求められていない。 【オ】処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとるよう求める申立ては、当該処分についての審査請求をした者でなければすることができない。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:2
解説
正解は肢2、誤っているものはア・エです。行政不服審査法は、期間経過後に「処分の無効確認を求める審査請求」ができるという別制度を規定していません。また、裁決の主文が審理員意見書や行政不服審査会等の答申と異なるときは、その理由を裁決書に記載する必要があります。不利益変更禁止や執行停止の申立人に関する記述は正しいものです。
問17
行政法次に掲げる行政事件訴訟法の条文の空欄ア〜オに当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。第25条第2項 処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずるアを避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)第36条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分によりイを受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とするウに関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。第37条の2第1項 第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことによりエを生ずるおそれがあり、かつ、そのオを避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
- 1ア=重大な損害 イ=重大な損害 ウ=私法上の法律関係 エ=損害 オ=拡大
- 2ア=償うことのできない損害 イ=重大な損害 ウ=現在の法律関係 エ=重大な損害 オ=損害
- 3ア=重大な損害 イ=損害 ウ=現在の法律関係 エ=重大な損害 オ=損害
- 4ア=償うことのできない損害 イ=損害 ウ=私法上の法律関係 エ=損害 オ=拡大
- 5ア=重大な損害 イ=償うことのできない損害 ウ=公法上の法律関係 エ=重大な損害 オ=拡大
正解:3
解説
正解は肢3です。取消訴訟の執行停止は「重大な損害」を避ける緊急の必要、無効等確認訴訟は後続処分により「損害」を受けるおそれがあり「現在の法律関係」に関する訴えで目的を達せないこと、非申請型義務付け訴訟は「重大な損害」のおそれと、その「損害」を避ける他の適当な方法がないことを要件とします。
問18
行政法行政事件訴訟法が定める処分取消訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1処分をした行政庁が国または公共団体に所属する場合における処分取消訴訟は、当該処分をした行政庁を被告として提起しなければならない。
- 2処分取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所または処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
- 3処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合における処分取消訴訟は、法務大臣を被告として提起しなければならない。
- 4裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、決定をもって、当該第三者を訴訟に参加させることができるが、この決定は、当該第三者の申立てがない場合であっても、職権で行うことができる。
- 5処分取消訴訟は、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においては、特段の定めがない限り、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければこれを提起することができない。
正解:4
解説
正解は肢4です。取消訴訟の結果によって権利を害される第三者がいるとき、裁判所は申立てまたは職権で、その第三者を訴訟参加させることができます。処分庁が国・公共団体に所属するときの被告は当該国・公共団体であり、審査請求前置も法律に特別の定めがある場合に限られます。
問19
行政法取消訴訟の原告適格に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。 (注) * 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律
- 1地方鉄道法(当時)による鉄道料金の認可に基づく鉄道料金の改定は、当該鉄道の利用者に直接の影響を及ぼすものであるから、路線の周辺に居住し、特別急行を利用している者には、地方鉄道業者の特別急行料金の改定についての認可処分の取消しを求める原告適格が認められる。
- 2文化財保護法は、文化財の研究者が史跡の保存・活用から受ける利益について、同法の目的とする一般的、抽象的公益のなかに吸収・解消させずに、特に文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしている規定を置いているため、史跡を研究の対象とする学術研究者には、史跡の指定解除処分の取消しを求める原告適格が認められる。
- 3不当景品類及び不当表示防止法は、公益保護を目的とし、個々の消費者の利益の保護を同時に目的とするものであるから、消費者が誤認をする可能性のある商品表示の認定によって不利益を受ける消費者には、当該商品表示の認定の取消しを求める原告適格が認められる。
- 4航空機の騒音の防止は、航空機騒音防止法*の目的であるとともに、航空法の目的でもあるところ、定期航空運送事業免許の審査にあたっては、申請事業計画を騒音障害の有無および程度の点からも評価する必要があるから、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受ける空港周辺の住民には、免許の取消しを求める原告適格が認められる。
- 5都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定は、事業地の周辺に居住する住民の具体的利益を保護するものではないため、これらの住民であって騒音、振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあるものであっても、都市計画事業認可の取消しを求める原告適格は認められない。
正解:4
解説
正解は肢4です。航空法と関連法令は航空機騒音による著しい障害から周辺住民の利益を個別的に保護する趣旨を含むため、社会通念上著しい障害を受ける空港周辺住民には、定期航空運送事業免許の取消しを求める原告適格が認められます。鉄道利用者、史跡研究者、一般消費者の利益については、各判例で原告適格が否定されています。
問20
行政法次の文章は、消防署の職員が出火の残り火の点検を怠ったことに起因して再出火した場合において、それにより損害を被ったと主張する者から提起された国家賠償請求訴訟にかかる最高裁判所の判決の一節である。空欄ア〜オに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条アを規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」にイと解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用をウ合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法がエされ、当該公務員に重大な過失のあることをオものといわなければならない。(最二小判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁)
- 1ア=の特則 イ=含まれる ウ=排除すべき エ=適用 オ=必要とする
- 2ア=が適用されないこと イ=含まれない ウ=認めるべき エ=排除 オ=必要としない
- 3ア=が適用されないこと イ=含まれない ウ=排除すべき エ=適用 オ=必要としない
- 4ア=が適用されないこと イ=含まれる ウ=認めるべき エ=排除 オ=必要とする
- 5ア=の特則 イ=含まれない ウ=排除すべき エ=適用 オ=必要としない
正解:1
解説
正解は肢1です。失火責任法は民法709条の「特則」であり、国家賠償法4条の「民法」に「含まれる」と解されます。公務員の失火による国・公共団体の責任だけ同法を「排除すべき」合理的理由はないため、失火責任法が「適用」され、損害賠償には当該公務員の重大な過失を「必要とする」というのが判旨です。
問21
行政法規制権限の不行使(不作為)を理由とする国家賠償請求に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露したことにつき、一定の時点以降、労働大臣(当時)が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 【イ】鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことにつき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 【ウ】宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法である。 【エ】いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはならない。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:1
解説
正解は肢1、ア・イです。石綿工場で局所排気装置の設置を義務付けなかった省令制定権限の不行使と、鉱山で粉じん発生防止策を講じなかった規制権限の不行使は、一定時点以降、国家賠償法上違法とされました。宅建業免許の更新拒否をしなかったことは当然には違法とならず、水俣病の規制権限不行使を違法でないとする肢エも判例に反します。
問22
行政法地方自治法が定める公の施設に関する次のア〜エの記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。 【イ】普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。 【ウ】普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。 【エ】普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:2
解説
正解は肢2、ア・エです。公の施設の設置・管理事項は、法律または政令に特別の定めがある場合を除き条例で定め、住民だけでなく住民に準ずる地位の者にも不当な差別的取扱いをしてはなりません。施設利用処分への審査請求先は総務大臣ではなく普通地方公共団体の長であり、重要施設の廃止等に総務大臣の承認は必要ありません。
問23
行政法普通地方公共団体に適用される法令等に関する次の記述のうち、憲法および地方自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。
- 2普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。
- 3普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。
- 4条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。
- 5普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。
正解:5
解説
正解は肢5です。普通地方公共団体の議会議員・長の選挙権を有する者は、法定数の連署により、長に条例の制定・改廃を直接請求できます。ただし、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・手数料の徴収に関する事項は対象外です。地方特別法に必要なのは当該自治体住民の投票による同意であり、議会の同意ではありません。
問24
行政法地方自治法が定める普通地方公共団体の長と議会の関係に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 【ア】普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。 【イ】普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。 【ウ】普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。 【エ】普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。 【オ】地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:5
解説
正解は肢5、ウ・オです。議長が議会運営委員会の議決を経て臨時会を請求し、長が法定期間内に招集しないときは議長が招集できます。また、地方議会の自主解散を認める特例法が存在します。不信任後に解散した議会が再度不信任を議決した場合、長は失職し再解散できません。法令違反の議決は必ず再議に付す必要があります。
問25
行政法墓地埋葬法*13条は、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。」と定めているところ、同条の「正当の理由」について、厚生省(当時)の担当者が、従来の通達を変更し、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由として埋葬を拒否することは「正当の理由」によるものとは認められないという通達(以下「本件通達」という。)を発した。本件通達は、当時の制度の下で、主務大臣がその権限に基づき所掌事務について、知事をも含めた関係行政機関に対し、その職務権限の行使を指揮したものであるが、この通達の取消しを求める訴えに関する最高裁判所判決(最三小判昭和43年12月24日民集22巻13号3147頁)の内容として、妥当なものはどれか。 (注) * 墓地、埋葬等に関する法律
- 1通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。
- 2通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。
- 3行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。
- 4本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。
- 5取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。
正解:3
解説
正解は肢3です。通達は上級行政機関から下級行政機関・職員への行政組織内部の命令で、原則として国民に対する法規の性質を持ちません。そのため、行政処分が通達に反しても、そのことだけで処分の効力は左右されません。本件通達自体も国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼす処分ではないため、取消訴訟は却下されるべきものであり、棄却ではありません。
問26
行政法公立学校に関する次のア〜エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】公立高等専門学校の校長が、必修科目を履修しない学生を原級留置処分または退学処分にするに際しては、その判断は校長の合理的な教育的裁量に委ねられる。 【イ】公立中学校の校庭が一般に開放され、校庭を利用していた住民が負傷したとしても、当該住民は本来の利用者とはいえないことから、その設置管理者が国家賠償法上の責任を負うことはない。 【ウ】公立小学校を廃止する条例について、当該条例は一般的規範を定めるにすぎないものの、保護者には特定の小学校で教育を受けさせる権利が認められることから、その処分性が肯定される。 【エ】市が設置する中学校の教員が起こした体罰事故について、当該教員の給与を負担する県が賠償金を被害者に支払った場合、県は国家賠償法に基づき、賠償金の全額を市に求償することができる。
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3イ・ウ
- 4イ・エ
- 5ウ・エ
正解:2
解説
正解は肢2、ア・エです。必修科目を履修しない高専学生への原級留置・退学は、校長の合理的な教育的裁量に委ねられます。また、市立中学校教員の体罰事故で給与負担者の県が賠償した場合、県は学校設置者の市へ国家賠償法上の内部求償をできます。一般開放された校庭の利用者も国賠法上保護され得て、小学校廃止条例の処分性は否定されます。
問27
民法意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。これに対して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付され、通知が受領されなかった場合には、意思表示が到達したものと認められることはない。
- 2契約の取消しの意思表示をしようとする者が、相手方の所在を知ることができない場合、公示の方法によって行うことができる。この場合、当該取消しの意思表示は、最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされるが、表意者に相手方の所在を知らないことについて過失があった場合には到達の効力は生じない。
- 3契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。
- 4意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。
- 5意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
正解:2
解説
正解は肢2です。意思表示の相手方の所在を知ることができないときは、公示による意思表示が可能です。最後の官報掲載日またはそれに代わる掲示開始日から2週間を経過すると到達したものとみなされますが、表意者が所在を知らないことに過失があれば効力は生じません。現在の民法では隔地者間の承諾も到達主義です。
問28
民法Aが従来の住所または居所を去って行方不明となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為およびその財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。
- 2Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
- 3Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。
- 4Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
- 5Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。
正解:4
解説
正解は肢4です。本問は誤っているものを問うています。普通失踪では、生死不明が7年間続き家庭裁判所が失踪宣告をすると、7年間の期間が満了した時に死亡したものとみなされます。失踪宣告を受けた時に死亡したとみなすのではありません。失踪宣告は本人が実際に生存する場所での権利能力まで消滅させる制度でもありません。
問29
民法物権的請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1A所有の甲土地上に権原なくB所有の登記済みの乙建物が存在し、Bが乙建物をCに譲渡した後も建物登記をB名義のままとしていた場合において、その登記がBの意思に基づいてされていたときは、Bは、Aに対して乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れない。
- 2D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲渡した場合、Eは、Dに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負わない。
- 3工場抵当法により工場に属する建物とともに抵当権の目的とされた動産が、抵当権者に無断で同建物から搬出された場合には、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は、目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求することができる。
- 4抵当権設定登記後に設定者が抵当不動産を他人に賃貸した場合において、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。
- 5動産売買につき売買代金を担保するために所有権留保がされた場合において、当該動産が第三者の土地上に存在してその土地所有権を侵害しているときは、留保所有権者は、被担保債権の弁済期到来の前後を問わず、所有者として当該動産を撤去する義務を免れない。
正解:5
解説
正解は肢5です。本問は妥当でないものを問うています。所有権留保売買では、被担保債権の弁済期到来前は留保所有権者が目的動産を取り戻して第三者の土地から撤去することができず、当然に撤去義務を負うとはいえません。弁済期の前後を問わず常に撤去義務を負うとする肢5が誤りです。
問30
民法留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 1留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。
- 2留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物について使用・賃貸・担保供与をなすことができず、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を使用した場合、留置権は直ちに消滅する。
- 3建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。
- 4Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していたところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。
- 5Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。FがEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。
正解:3
解説
正解は肢3です。賃貸借の解除後、占有権原がないことを知りながら支出した有益費の償還請求権については、民法295条2項の類推適用により留置権が成立しません(最判昭和46年7月16日)。留置権者の無断使用では債務者が消滅を請求できるのであって直ちに消滅するわけではなく、善管注意義務は自己の財産と同一の注意より重い義務です。
問31
民法AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。この契約に関する次のア〜オのうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。 【ア】残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2か月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。 【イ】残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。 【ウ】残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2か月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。 【エ】Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。 【オ】残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2か月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2か月分の遅延損害金を請求することができる。
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:3
解説
正解は肢3、妥当でないものはイ・エです。金銭債務の遅延損害金は損害の証明なしに請求でき、不可抗力も抗弁になりませんが、取立ての弁護士費用等を当然に債務不履行損害として上乗せできるわけではありません。また、不確定期限である「母の死亡日」は、債務者が期限到来を知った時または到来後に請求を受けた時から遅滞となるため、知らない期間全部の遅延損害金は請求できません。
問32
民法債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。
- 2債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。
- 3債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。
- 4債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。
- 5債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。
正解:5
解説
正解は肢5です。債権者が債権者代位権を行使しても、債務者自身による権利行使や処分は妨げられず、第三債務者も債務者へ履行できます。債権者は保存行為等を除き自己の債権の期限到来を要し、金銭や動産の引渡請求なら自己への引渡しを求めることもできます。
問33
民法Aが甲建物(以下「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはいくつあるか。 【ア】甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。 【イ】Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。 【ウ】Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。 【エ】Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、その不適合がBの過失によって生じたときであっても、対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求することは妨げられない。 【オ】Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。
- 1一つ
- 2二つ
- 3三つ
- 4四つ
- 5五つ
正解:4
解説
正解は肢4、誤りは4つです。誤りはア・ウ・エ・オで、目的物が双方無責の事情で滅失すれば買主は反対給付を拒め、代金減額は原則として先に追完の催告が必要です。買主の責めに帰すべき不適合では減額できず、種類・品質の不適合は知ってから1年以内に「通知」すれば足り、請求権行使までは不要です。イの追完・減額と損害賠償の関係だけが正しい記述です。
問34
民法不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 1訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
- 2損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌することはできない。
- 3過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足りる。
- 4不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。
- 5不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。
正解:5
解説
正解は肢5です。本問は妥当でないものを問うています。医療過誤の注意義務の基準となる医療水準は、診療当時の臨床医学の実践における水準を基礎にしつつ、医療機関の性格、所在地域の医療環境、専門性などを考慮して判断します。どの医療機関にも一律の同一基準を当てはめるとする肢5は判例に反します。
問35
民法Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。なお、次の各記述はそれぞれが独立した設例であり相互に関連しない。 【ア】Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。 【イ】Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。 【ウ】Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。 【エ】家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。 【オ】遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。
- 1ア・イ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4ウ・エ
- 5ウ・オ
正解:4
解説
正解は肢4、ウ・エです。配偶者居住権の対象建物が相続開始時に被相続人と第三者の共有なら、配偶者は同権利を取得しません。遺産分割審判では、配偶者の生活維持に特に必要がある場合、所有者の不利益も考慮して居住権を取得させられます。相続分を超える遺産取得は登記なく第三者へ対抗できず、配偶者居住権の設定登記は建物所有者に義務があり配偶者単独ではできません。
問36
商法・会社法商人でない個人の行為に関する次のア〜オの記述のうち、商法の規定および判例に照らし、これを営業として行わない場合には商行為とならないものの組合せはどれか。 【ア】利益を得て売却する意思で、時計を買い入れる行為 【イ】利益を得て売却する意思で、買い入れた木材を加工し、製作した机を売却する行為 【ウ】報酬を受ける意思で、結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為 【エ】賃貸して利益を得る意思で、レンタル用のDVDを買い入れる行為 【オ】利益を得て転売する意思で、取得予定の時計を売却する行為
- 1ア・イ
- 2ア・エ
- 3ウ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:3
解説
正解は肢3、ウ・エです。報酬を得てビデオ撮影を引き受ける行為と、賃貸利益を得る目的でDVDを買い入れる行為は、営業として反復継続して行う場合に商行為となります。これに対し、利益を得て転売する目的で動産を買い入れる行為、その加工品を売る行為、取得予定品を先に売る行為は、商法上の絶対的商行為です。
問37
商法・会社法株式会社の設立に係る責任等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、検査役の調査を経た場合および当該発起人または設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除いて、当該株式会社に対して、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
- 2発起人は、その出資に係る金銭の払込みを仮装し、またはその出資に係る金銭以外の財産の給付を仮装した場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払い、または給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部を給付する義務を負う。
- 3発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- 4発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- 5発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社または第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役または設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
正解:4
解説
正解は肢4です。本問は誤っているものを問うています。発起人、設立時取締役または設立時監査役が設立時の職務について第三者に負う損害賠償責任は、悪意または重大な過失がある場合に成立します。単なる過失で足りるとする肢4は要件を緩めすぎています。会社に対する任務懈怠責任や複数責任者の連帯責任に関する他の記述は正しいものです。
問38
商法・会社法株券が発行されない株式会社の株式であって、振替株式ではない株式の質入れに関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1株主が株式に質権を設定する場合には、質権者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録しなければ、質権の効力は生じない。
- 2株主名簿に質権者の氏名または名称および住所等の記載または記録をするには、質権を設定した者は、質権者と共同して株式会社に対してそれを請求しなければならない。
- 3譲渡制限株式に質権を設定するには、当該譲渡制限株式を発行した株式会社の取締役会または株主総会による承認が必要である。
- 4株主名簿に記載または記録された質権者は、債権の弁済期が到来している場合には、当該質権の目的物である株式に対して交付される剰余金の配当(金銭に限る。)を受領し、自己の債権の弁済に充てることができる。
- 5株主名簿に記載または記録された質権者は、株主名簿にしたがって株式会社から株主総会の招集通知を受け、自ら議決権を行使することができる。
正解:4
解説
正解は肢4です。株主名簿に記載・記録された登録株式質権者は、被担保債権の弁済期が到来していれば、株式に対して交付される金銭の剰余金配当を受領し、自己の債権の弁済に充てられます。株券不発行株式の質権設定自体に株主名簿への記載は効力要件ではなく、質入れに譲渡制限会社の承認も不要です。
問39
商法・会社法社外取締役および社外監査役の設置に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】監査役設置会社(公開会社であるものに限る。)が社外監査役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外監査役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。 【イ】監査役会設置会社においては、3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。 【ウ】監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものにおいては、3人以上の取締役を置き、その過半数は、社外取締役でなければならない。 【エ】監査等委員会設置会社においては、3人以上の監査等委員である取締役を置き、その過半数は、社外取締役でなければならない。 【オ】指名委員会等設置会社においては、指名委員会、監査委員会または報酬委員会の各委員会は、3人以上の取締役である委員で組織し、各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・オ
正解:1
解説
正解は肢1、誤っているものはア・ウです。社外役員を置くことが相当でない理由の説明制度は社外取締役に関するものでしたが、令和元年改正会社法(当該部分は令和3年3月1日施行)により旧327条の2は削除され、現在は一定の会社に社外取締役の設置自体が義務付けられています(現行327条の2)。社外監査役について肢アのような説明義務を定めた規定はそもそも存在しません。また、一定の上場会社で必要なのは社外取締役の設置であり、取締役3人以上かつ過半数を社外取締役とする義務ではありません。監査役会、監査等委員会、指名委員会等の人数・社外要件は各肢のとおりです。
問40
商法・会社法剰余金の株主への配当に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。 【ア】株式会社は、剰余金の配当をする場合には、資本金の額の4分の1に達するまで、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を、資本準備金または利益準備金として計上しなければならない。 【イ】株式会社は、金銭以外の財産により剰余金の配当を行うことができるが、当該株式会社の株式等、当該株式会社の子会社の株式等および当該株式会社の親会社の株式等を配当財産とすることはできない。 【ウ】株式会社は、純資産額が300万円を下回る場合には、剰余金の配当を行うことができない。 【エ】株式会社が剰余金の配当を行う場合には、中間配当を行うときを除いて、その都度、株主総会の決議を要し、定款の定めによって剰余金の配当に関する事項の決定を取締役会の権限とすることはできない。 【オ】株式会社が最終事業年度において当期純利益を計上した場合には、当該純利益の額を超えない範囲内で、分配可能額を超えて剰余金の配当を行うことができる。
- 1ア・ウ
- 2ア・エ
- 3イ・エ
- 4イ・オ
- 5ウ・オ
正解:1
解説
正解は肢1、ア・ウです。剰余金配当では、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、原則として配当により減少する剰余金の10分の1を準備金に計上します。また、純資産額が300万円を下回る会社は配当できません。一定の会社では定款により取締役会へ配当決定を委ねられ、分配可能額を超える配当は当期利益があっても許されません。
問47
基礎知識以下の各年に開催された近代オリンピック大会と政治に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1ベルリン大会(1936年)は、ナチス・ドイツが政権を取る前に、不戦条約と国際協調のもとで実施された。
- 2ロンドン大会(1948年)は、第2次世界大戦後の初めての大会で、平和の祭典であるため日本やドイツも参加した。
- 3東京大会(1964年)には、日本とソ連・中華人民共和国との間では第2次世界大戦に関する講和条約が結ばれていなかったので、ソ連と中華人民共和国は参加しなかった。
- 4モスクワ大会(1980年)は、ソ連によるアフガニスタン侵攻に反発した米国が参加をボイコットし、日本なども不参加となった。
- 5サラエボ(冬季)大会(1984年)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争終結の和平を記念して、国際連合停戦監視団のもとに開催された。
正解:4
解説
正解は肢4です。1980年モスクワ大会では、ソ連のアフガニスタン侵攻に反発した米国がボイコットを主導し、日本なども不参加となりました。1948年ロンドン大会に日本とドイツは招待されず、1964年東京大会にはソ連が参加しています。1984年サラエボ冬季大会はボスニア紛争より前の開催です。肢1は、ナチスが1936年ベルリン大会より前の1933年に政権を掌握しており、同大会はナチス政権下で開催されたものであるため誤りです。
問48
基礎知識日本における新型コロナウイルス感染症対策と政治に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 12020年3月には、緊急に対処する必要があるとして、新型コロナウイルス感染症対策に特化した新規の法律が制定された。
- 22020年4月には、雇用の維持と事業の継続、生活に困っている世帯や個人への支援などを盛り込んだ、緊急経済対策が決定された。
- 32020年4月には、法令に基づき、緊急事態宣言が発出され、自宅から外出するためには、都道府県知事による外出許可が必要とされた。
- 42020年12月末には、首相・大臣・首長およびその同居親族へのワクチンの優先接種が終了し、翌年1月末には医療従事者・高齢者に対するワクチン接種が完了した。
- 52021年2月には、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、まん延防止等重点措置が導入されたが、同措置に関する命令や過料の制度化は見送られた。
正解:2
解説
正解は肢2です。政府は2020年4月、雇用維持、事業継続、生活困窮世帯・個人への支援などを含む緊急経済対策を決定しました。2020年3月は新法ではなく既存の新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正して対応し、緊急事態宣言も外出許可制ではありません。2021年改正では重点措置に命令・過料の仕組みも設けられました。
問49
基礎知識以下の公的役職の任命に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】内閣法制局長官は、両議院の同意を得て内閣が任命する。 【イ】日本銀行総裁は、両議院の同意を得て内閣が任命する。 【ウ】検事総長は、最高裁判所の推薦に基づき内閣総理大臣が任命する。 【エ】NHK(日本放送協会)経営委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。 【オ】日本学術会議会員は、同会議の推薦に基づき内閣総理大臣が任命する。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5エ・オ
正解:2
解説
正解は肢2、誤っているものはア・ウです。内閣法制局長官の任命に両議院の同意は不要です。また、検事総長は内閣が任命し天皇が認証する認証官で、最高裁判所の推薦に基づき内閣総理大臣が任命するものではありません。日本銀行総裁、NHK経営委員、日本学術会議会員に関する記述は出題当時の制度に沿っています。
問50
基礎知識いわゆる「ふるさと納税」に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。 【ア】ふるさと納税とは、居住する自治体に住民税を納めずに、自分が納付したい自治体を選んで、その自治体に住民税を納めることができる制度である。 【イ】ふるさと納税は、個人が納付する個人住民税および固定資産税を対象としている。 【ウ】ふるさと納税により税収が減少した自治体について、地方交付税の交付団体には減収分の一部が地方交付税制度によって補填される。 【エ】納付を受けた市町村は、納付者に返礼品を贈ることが認められており、全国の9割以上の市町村では、返礼品を提供している。 【オ】高額な返礼品を用意する自治体や、地場産品とは無関係な返礼品を贈る自治体が出たことから、国は、ふるさと納税の対象自治体を指定する仕組みを導入した。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・エ
- 4ウ・オ
- 5エ・オ
正解:1
解説
正解は肢1、誤っているものはア・イです。ふるさと納税は、選んだ自治体へ住民税を直接納め替える制度ではなく、自治体への寄附について一定限度まで所得税・個人住民税の控除を受ける制度です。固定資産税は控除対象ではありません。過度な返礼品を抑えるため、国が対象自治体を指定する仕組みも導入されています。
問51
基礎知識国際収支に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 1海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上される。
- 2発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。
- 3海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
- 4海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
- 5日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算される。
正解:3
解説
正解は肢3です。本問は誤っているものを問うています。海外留学中の子どもへの生活費の仕送りは、対価を伴わない第二次所得収支の支払であり、自国の経常収支にはマイナスとして計上されます。海外旅行の宿泊料もサービス収支の支払でマイナス、海外投資から得る配当・利子は第一次所得収支の受取でプラスです。
問52
基礎知識エネルギー需給動向やエネルギー政策に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。 【ア】2010年代後半の日本では、一次エネルギーの7割以上を化石エネルギーに依存しており、再生可能エネルギーは3割にも満たない。 【イ】2010年代後半以降、日本では、原油ならびに天然ガスいずれもの大半を、中東から輸入している。 【ウ】パリ協定に基づき、2050年までに温室効果ガスの80%排出削減を通じて「脱炭素社会」の実現を目指す長期戦略を日本政府はとりまとめた。 【エ】現在、世界最大のエネルギー消費国は米国であり、中国がそれに続いている。 【オ】2020年前半には、新型コロナウイルス感染症拡大による先行き不安により、原油価格が高騰した。
- 1ア・イ
- 2ア・ウ
- 3イ・オ
- 4ウ・エ
- 5エ・オ
正解:2
解説
正解は肢2、ア・ウです。2010年代後半の日本は一次エネルギーの7割超を化石エネルギーに依存し、再生可能エネルギーは3割未満でした。また、出題当時の政府長期戦略は2050年までに温室効果ガス80%削減を通じた脱炭素社会を掲げていました。天然ガスの大半が中東産という説明、中国ではなく米国が最大消費国という説明、2020年前半に原油価格が高騰したという説明は誤りです。なお、出題当時の長期戦略は2050年80%削減を掲げていましたが、2021年10月22日の改定により現在の目標は2050年カーボンニュートラルであり、地球温暖化対策推進法2条の2も2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念として明記しています。
問53
基礎知識先住民族に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。 (注) * アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律
- 12019年制定のいわゆるアイヌ新法*で、アイヌが先住民族として明記された。
- 22020年開設の国立アイヌ民族博物館は、日本で初めてのアイヌ文化の展示や調査研究などに特化した国立博物館である。
- 32007年の国際連合総会で「先住民族の権利に関する宣言」が採択され、2014年には「先住民族世界会議」が開催された。
- 4カナダでは、過去における先住民族に対する同化政策の一環として寄宿学校に強制入学させたことについて、首相が2008年に公式に謝罪した。
- 5マオリはオーストラリアの先住民族であり、アボリジニはニュージーランドの先住民族である。
正解:5
解説
正解は肢5です。本問は妥当でないものを問うています。マオリはニュージーランドの先住民族で、アボリジナル・ピープルズはオーストラリアの先住民を指すため、両者を逆にした肢5が誤りです。アイヌ新法、国立アイヌ民族博物館、国連宣言、カナダの寄宿学校政策への公式謝罪に関する記述は正しいものです。
問54
基礎知識ジェンダーやセクシュアリティに関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを英語で表記したときの頭文字による語で、性的少数者を意味する。
- 2日本の女子大学の中には、出生時の性別が男性で自身を女性と認識する学生の入学を認める大学もある。
- 3米国では、連邦最高裁判所が「同性婚は合衆国憲法の下の権利であり、州は同性婚を認めなければならない」との判断を下した。
- 4日本では、同性婚の制度が立法化されておらず、同性カップルの関係を条例に基づいて証明する「パートナーシップ制度」を導入している自治体もない。
- 5台湾では、アジアで初めて同性婚の制度が立法化された。
正解:4
解説
正解は肢4です。本問は妥当でないものを問うています。日本で法律上の同性婚制度が設けられていない点は出題当時そのとおりですが、同性カップルの関係を証明するパートナーシップ制度は既に複数の自治体で導入されていました。「導入自治体もない」とする後半が誤りです。台湾は2019年にアジアで初めて同性婚を法制化しました。
問55
基礎知識次の文章の空欄Ⅰ〜Ⅴには、それぞれあとのア〜コのいずれかの語句が入る。その組合せとして妥当なものはどれか。 「顔認識(facial recognition)システム」とは、撮影された画像の中から人間の顔を検出し、その顔の性別や年齢、Ⅰなどを識別するシステムのことをいう。 「顔認証(facial identification)システム」とは、検出した顔データを事前に登録しているデータと照合することによりⅡを行うものをいう。 日本の場合、こうしたⅢの利用については、Ⅳの規制を受ける場合もある。たとえば、監視カメラによって、本人の同意を得ることなく撮影された顔情報を犯罪歴と照合したり、照合する目的で撮影したりすると、Ⅳにおける要配慮個人情報に該当する問題となりうる。 既に米国のいくつかの州では、Ⅴ保護の観点から生体特定要素に「顔の形状」が含まれるとして、顔データの収集について事前の同意を必要とし第三者への生体データの販売に制限を設けるようになっている。欧州でも、欧州委員会から公共空間で取得した顔認識を含むⅢを利用した捜査を禁止する方針が明らかにされた。【ア】表情【イ】大きさ【ウ】前歴確認【エ】本人確認【オ】生体情報【カ】特定個人情報【キ】個人情報保護法【ク】刑事訴訟法【ケ】匿名性【コ】プライバシー
- 1Ⅰ=ア Ⅱ=ウ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=ケ
- 2Ⅰ=ア Ⅱ=ウ Ⅲ=カ Ⅳ=ク Ⅴ=ケ
- 3Ⅰ=ア Ⅱ=エ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=コ
- 4Ⅰ=イ Ⅱ=エ Ⅲ=カ Ⅳ=ク Ⅴ=コ
- 5Ⅰ=イ Ⅱ=エ Ⅲ=オ Ⅳ=キ Ⅴ=コ
正解:3
解説
正解は肢3です。空欄はⅠ「表情」、Ⅱ「本人確認」、Ⅲ「生体情報」、Ⅳ「個人情報保護法」、Ⅴ「プライバシー」となります。顔認識は画像から顔の属性等を識別し、顔認証は登録データとの照合によって本人確認を行うものです。顔データは利用目的や照合対象によって個人情報・要配慮個人情報の問題となり、プライバシー保護も重要になります。
問56
基礎知識国土交通省自動車局による自動運転ガイドラインに定められた車両の自動運転化の水準(レベル)に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 1レベル1は、縦方向か横方向か、いずれかの車両運動制御に限定された機能についてシステムが運転支援を行い、安全運転については運転者が主体となる。
- 2レベル2は、縦方向・横方向、両方の方向の車両運動制御について自動運転機能を有するが、安全運転については運転者が主体となる。
- 3レベル3は、全ての方向の車両運動制御について自動運転機能を有し、人の介入を排除し、安全運転についてもシステム側が完全に主体となる。
- 4レベル4は、限られた領域で無人自動運転を実施し、システム側が安全運転主体となる。
- 5レベル5は、自動運転に関わるシステムが全ての運転タスクを実施し、システム側が安全運転主体となる。
正解:3
解説
正解は肢3です。本問は妥当でないものを問うています。レベル3は限定された条件下でシステムが運転を担いますが、作動継続が困難になってシステムが介入を要求した場合、運転者が適切に応答する必要があります。人の介入を完全に排除する段階ではありません。レベル4は限定領域でシステム主体、レベル5は全領域でシステム主体です。
問57
基礎知識国の行政機関の個人情報保護制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1行政機関の長は、保有個人情報の利用停止請求があった場合には、当該利用停止請求者の求めに応じ、すべての事案において一時的に利用の停止を決定し、その上で利用停止の必要性、相当性について行政機関内において検討し、その必要がないと認められるときには、利用停止を解除する必要がある。
- 2行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができ、かつ、不開示情報に該当する箇所に関係する関係機関の同意が得られたときは、開示可能な部分について開示しなければならない。
- 3行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合には、個人の権利利益を保護するための特別の必要性の有無を考慮しても、開示請求者に対して開示することは一切認められない。
- 4行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に開示請求者以外のものに関する情報が含まれているときは、開示決定等をするにあたって、当該第三者に関する情報の内容等を当該情報に係る第三者に対して通知するとともに、聴聞の機会を付与しなければならない。
- 5行政機関の長は、保有個人情報の開示について、当該保有個人情報が電磁的記録に記録されているときは、その種別、情報化の進展状況等を勘案して行政機関が定める方法により行う。
正解:5
解説
正解は肢5です。出題当時の行政機関個人情報保護法では、電磁的記録の開示は、その記録の種別、情報化の進展状況等を勘案して行政機関が定める方法で行うとされていました。部分開示に第三者機関の同意は要らず、裁量的開示も可能で、第三者への手続も常に聴聞を必要とするものではありません。現在は個人情報保護法へ制度が統合されている点に注意が必要です。肢1は、利用停止請求があってもまず一時的に利用を停止するという仕組みは存在せず、行政機関の長等は請求に理由があると認めるときに限り必要な限度で利用停止をしなければならないとされている(現行個人情報保護法100条、出題当時の行政機関個人情報保護法38条)ため誤りです。