行政法
行政書士の処分性|通知も対象になる?法的効果で判断する手順【2026年度試験対応】
取消訴訟の処分性を、権利義務への直接の法的効果から解説。輸入禁制品該当通知の出題、原告適格との違い、名称だけで判断しない読み方を整理します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

記事内容を表す生成イメージ。
2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
処分性とは、その行政の行為が取消訴訟などの対象となる処分に当たるかという問題です。「通知」「勧告」という名前だけでは決まりません。根拠となる法律の仕組みを読み、その行為によって本人の権利義務や法的地位にどのような効果が生じるかを確かめます。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12
処分性は「違法か」の前に確認する

通知や勧告などの名称だけで決めず、権利義務への直接の法的効果を確認する。
図を大きく見る行政事件訴訟法3条2項は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟を定めています。行政機関の行動なら何でも取消訴訟の対象となる、という規定ではありません。
判例の基本的な判断枠組みは、国や公共団体が公権力の主体として行い、国民の権利義務を直接形成したり、その範囲を確定したりすることが法的に認められる行為か、というものです。裁判所公表の平成23年7月20日判決も、最高裁昭和39年10月29日判決を参照してこの枠組みを示しています。
| 論点 | 確認すること |
|---|---|
| 処分性 | 争う行為が処分に当たるか |
| 原告適格 | その人が取消しを求められるか |
| 本案 | 対象の処分が違法か |
輸入禁制品該当通知は、名前が通知でも処分性が問題になる
令和7年度問17では、税関長の輸入禁制品に該当する旨の通知が出題されています。この通知によって適法に輸入することができなくなるという法的な効果に着目し、処分性を肯定する判例の理解が問われています。単に書類の表題に「通知」とあることが決め手ではありません。
逆に、通知という名称の全ての連絡が処分になるわけでもありません。例えば手続の案内や事実を知らせる連絡を読んだときは、その連絡自体が法的地位を変えるものか、別の決定を知らせているだけかを分けてください。個々の制度・判例の条件を省いて、通知は○又は×と丸暗記しないことが大切です。
根拠法令・効果・後続手続の順で読む
初めて見る事例は、①誰がどの権限で行ったか、②その行為で権利義務がどう変わるか、③後続の手続との関係は何か、の順で整理します。不利益が大きいという事実だけでなく、法律上どのような影響があるかが必要です。
平成23年7月20日判決では、特許出願で発明者を変更する手続補正の受理は、補正を受領する行為にとどまり、直接の権利義務の形成・確定がないとして処分性を否定しました。輸入禁制品該当通知と結論が異なるのは、名前の差ではなく、対象の行為と法制度の差です。
| 順番 | メモする内容 |
|---|---|
| 1 権限 | 行政機関と根拠法令 |
| 2 効果 | 権利義務・法的地位への影響 |
| 3 制度 | 後続手続や救済との関係 |
| 4 比較 | 同じ条件の判例か |
根拠:裁判所:平成23年7月20日判決(平成22年〔行ウ〕第459号)処分性の判断枠組み行政書士試験研究センター:公式問題原本
処分性が認められても、直ちに勝訴ではない
対象が処分であることと、訴えた人に法律上の利益があることは別です。原告適格は9条、取消訴訟の出訴期間は14条など、他の訴訟要件も確認します。訴えが適法であっても、処分が違法と判断されるかは本案の問題です。
処分性が否定されたときも、およそ裁判上の救済がなくなると決めつけません。法律関係に応じて当事者訴訟など別の訴訟類型を検討する余地があります。ただし、どの類型でも無条件に使えるわけではありません。まず対象と求める結果を明確にします。
根拠:行政事件訴訟法
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問17
輸入禁制品該当通知など、処分性の肯否と法的効果
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- 行政事件訴訟法確認日:2026-09-12
- 裁判所:平成23年7月20日判決(平成22年〔行ウ〕第459号)処分性の判断枠組み確認日:2026-09-12
- 行政書士試験研究センター:公式問題原本確認日:2026-09-12
- 行政書士試験研究センター:令和8年度試験案内確認日:2026-09-12
処分性の判断基準
最判昭和39年10月29日(東京都ごみ焼却場事件)は、行政庁の処分とは公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうとし、ごみ焼却場の設置計画の都議会への提出は内部行為、工事契約の締結は私法上の行為にすぎないとして処分性を否定した。以後の判例はこの定式を出発点に、法の仕組み全体から個別に判断している。
覚え方公権力性・直接性・法効果の三つを順に当てはめる
01処分性の重要暗記項目
処分性の判断基準
最判昭和39年10月29日(東京都ごみ焼却場事件)は、行政庁の処分とは公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうとし、ごみ焼却場の設置計画の都議会への提出は内部行為、工事契約の締結は私法上の行為にすぎないとして処分性を否定した。以後の判例はこの定式を出発点に、法の仕組み全体から個別に判断している。
覚え方公権力性・直接性・法効果の三つを順に当てはめる
ひっかけ注意生活への事実上の影響の大きさで処分性が決まると誤らせる肢。基準はあくまで法律上直接に権利義務を形成・確定するかどうかである。
行政計画の処分性
最大判平成20年9月10日は、土地区画整理事業の事業計画の決定により施行地区内の宅地所有者等が建築行為等の制限を伴う法的地位に立たされ、換地処分を待って争わせるのでは実効的な権利救済にならないとして、事業計画の決定に処分性を認め、いわゆる青写真判決(最大判昭和41年2月23日)を変更した。これに対し用途地域の指定は、不特定多数への一般的抽象的な効果にとどまるとして処分性が否定されている(最判昭和57年4月22日)。
覚え方区画整理の事業計画は処分、用途地域の指定は非処分
ひっかけ注意判例変更の方向を逆に覚えていると誤る。かつては処分性否定、平成20年大法廷判決で肯定に変わった。用途地域指定との区別も狙われる。
処分の意義
最判昭和39年10月29日(東京都ごみ焼却場事件)は、行政庁の処分とは公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと定義した。そのうえで、ごみ焼却場の設置行為は都が私人と対等の立場で行った私法上の行為にすぎないとして処分性を否定した。「直接」「法律上認められている」の二つが定式の要である。
覚え方公権力の主体・直接・法律上認められている、の三語で覚える
ひっかけ注意定式の「直接」「法律上認められている」を落とし、事実上の不利益があれば処分に当たるとする肢が狙われる。
処分性が認められた判例
最判平成24年2月3日は、土壌汚染対策法3条2項の通知を受けた土地所有者等が土壌汚染状況調査を実施して結果を報告すべき義務を負い、報告をしないときは命令や罰則の対象となることから、通知は直接に法的地位に変動を及ぼす行為であり処分性を有するとした。同じく最判平成15年9月4日は労災就学援護費の支給・不支給の決定に、最判平成16年4月26日は食品衛生法違反通知に処分性を認めている。
覚え方通知でも、義務や罰則につながるなら処分
ひっかけ注意「通知」「勧告」「公表」といった名称から形式的に処分性を否定させる誘導が典型。義務や罰則につながるかどうかで判断する。
行政指導の処分性
最判平成17年7月15日は、医療法30条の7の病院開設中止勧告が行政指導であることを認めつつ、勧告に従わないまま病院を開設すると相当程度の確実さをもって健康保険法上の保険医療機関の指定を受けられなくなり、実際上病院開設を断念せざるを得ないことになるとして、実効的な権利救済の見地から処分性を肯定した。後続手続との連結によって不利益が確実に生ずる仕組みでは、行政指導であっても処分性が認められる。
覚え方指導でも、後続の不利益が確実なら処分性あり
ひっかけ注意「行政指導には法的拘束力がないから一律に処分性が否定される」と機械的に判断させる肢が出る。仕組み全体を見る必要がある。
行政指導に関する判例
最判昭和60年7月16日(品川マンション事件)は、建築主が任意に指導に従っている間は確認処分の留保も直ちに違法とはならないが、不協力の意思を真摯かつ明確に表明した後は特段の事情がない限り留保は違法となり国家賠償責任を生じ得るとした。最判平成5年2月18日(武蔵野市教育施設負担金事件)は、水道の給水契約の拒否等の制裁を背景に負担金の納付を事実上強制した点で行政指導の限界を超え違法とした。最判平成17年7月15日は病院開設中止勧告に処分性を認めている。
覚え方真摯かつ明確な不協力の表明が、適法と違法の分岐点
ひっかけ注意「行政指導が継続している間は常に確認処分を留保できる」とする肢。また「寄付金の要請はそれ自体が違法」とする肢も誤りで、違法となるのは任意性を損なう強制にわたる場合である。
事業計画決定の処分性
最大判平成20年9月10日(浜松市土地区画整理事業事件)は、土地区画整理事業の事業計画決定により施行地区内の宅地所有者等は建築行為等の制限を伴う法的地位に立たされること、換地処分等を待って争わせるのでは事情判決により実効的な権利救済が得られないおそれがあることを理由に、事業計画決定の処分性を認め、いわゆる青写真判決(最大判昭和41年2月23日)を変更した。
覚え方青写真から法的地位へ。平成20年大法廷で否定から肯定に変わった
ひっかけ注意「事業計画はいわゆる青写真にすぎず処分性がない」とする変更前の結論を答えさせる肢。判例変更の方向を逆に覚えていると誤る。
病院開設中止勧告の処分性
最判平成17年7月15日は、医療法30条の7に基づく病院開設中止勧告について、形式上は行政指導として定められていても、これに従わないと相当程度の確実さをもって健康保険法上の保険医療機関の指定を受けられなくなり、実際上病院の開設を断念せざるを得ないことになるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。名称や形式ではなく、後続の法的仕組みが生む不利益の確実性で判断している。
覚え方勧告に従わなければ保険医療機関になれない、だから処分
ひっかけ注意「行政指導だから処分性はない」と形式だけで結論づける肢。判例は後続の不利益と結合した法的仕組みに着目している。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- ひっかけ行政指導だから処分性がないと形式で切る肢。病院開設中止勧告のように後続手続と結び付けば処分性が認められる
- ひっかけ事業計画決定の処分性を否定する肢。昭和41年の青写真判決は平成20年大法廷判決で変更され、現在は肯定される
- ひっかけ認可や通知という名称から当然に処分性を認める肢。鉄道建設公団への工事実施計画認可は機関相互間の行為として否定されている
押さえる判例
処分とは公権力の主体たる国等の行為のうち、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう
事業計画決定により施行地区内の宅地所有者等が建築制限を伴う法的地位に立たされるとして処分性を肯定し、青写真判決を変更した
労災就学援護費の支給が法の規定に基づく労働福祉事業として行われ、支給要領(労働省労働基準局長の通達)がその制度の仕組みに組み込まれていることから、支給・不支給の決定は法を根拠とする優越的地位に基づく判断であり処分性を有するとした
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1公権力の主体としての行為かを見る。私法上の契約や機関相互間の行為なら処分性は否定される
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2直接に国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定するかを見る。事実上の影響の大きさでは足りない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3名称にかかわらず、後続の法的仕組みと結び付いて不利益が確実に生じるかを検討する。実効的な権利救済の必要も考慮する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政事件訴訟法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
処分性の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 20/24(編集部の目安)
処分性の判断基準
最高裁は、地方公共団体が計画したごみ焼却場の設置行為について、住民の日常生活に重大な影響を及ぼす以上、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。
処分性の○×一問一答12問|問題と解説
この論点で収録している12問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
処分性の判断基準重要度S最高裁は、地方公共団体が計画したごみ焼却場の設置行為について、住民の日常生活に重大な影響を及ぼす以上、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判昭和39年10月29日は、都の内部的手続行為にとどまり直接国民の権利義務を形成しないとして処分性を否定した。
問2
行政計画の処分性重要度S最高裁は、市町村が施行する土地区画整理事業の事業計画の決定について、従前の判例を変更し、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最大判平成20年9月10日は、いわゆる青写真判決を変更し、事業計画決定の処分性を肯定した。
問3
行政指導の処分性重要度S最高裁は、医療法に基づく病院開設中止の勧告について、行政指導としての性格を有するものであっても、これに従わないと相当程度の確実さで保険医療機関の指定を受けられなくなる以上、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判平成17年7月15日は、勧告に従わない場合の指定拒否という後続の不利益を根拠に処分性を認めた。
問4
処分性が認められた判例重要度S最高裁は、労働者災害補償保険法に基づく労災就学援護費の支給に関する労働基準監督署長の決定について、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判平成15年9月4日は、法の規定に基づく優越的地位での判断であり受給権の有無を確定するとして処分性を認めた。
問5
行政指導に関する判例重要度A最高裁判所は、建築主が行政指導にはもはや協力できない旨の意思を真摯かつ明確に表明した場合には、その不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情がない限り、行政指導を理由に建築確認処分を留保することは違法であると判示した。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和60年7月16日(品川マンション事件)の判示であり、行政手続法33条の基礎となった。
問6
処分の意義重要度S審査請求や抗告訴訟の対象となる行政庁の処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう、というのが判例の立場である。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和39年10月29日(東京都ごみ焼却場事件)が示した処分性の定式であり、現在も判断の出発点とされている。
問7
行政指導に関する判例重要度B最高裁判所は、行政指導として教育施設の充実に充てるための寄付金の納付を求めること自体は任意性を損なわない限り違法とはいえないが、水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景に事実上寄付金の納付を強制した場合には違法となるとしている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判平成5年2月18日(武蔵野市教育施設負担金事件)は、任意性を失わせた行政指導を違法として国家賠償を認めた。
問8
事業計画決定の処分性重要度A土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたる、というのが判例の立場である。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最大判平成20年9月10日は、事業計画をいわゆる青写真とみた従来の判例を変更し、処分性を認めた。
問9
行政指導に関する判例重要度C最高裁判所は、医療法に基づく病院開設中止の勧告は行政指導として定められたものであるから、これに従わない場合に相当程度の確実さをもって保険医療機関の指定を受けられなくなるとしても、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないと判示した。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成17年7月15日は、勧告に従わない場合の実際上の効果を重視して処分性を肯定した。
問10
病院開設中止勧告の処分性重要度A医療法に基づく病院開設中止の勧告は行政指導として定められたものであるから、これに従わない場合に保険医療機関の指定を受けられなくなる結果が生ずるとしても、抗告訴訟の対象となる処分にはあたらない、というのが判例の立場である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成17年7月15日は、勧告に従わないと相当程度の確実さで保険医療機関の指定を受けられなくなることを理由に、処分性を肯定した。
問11
処分性が認められた判例重要度A最高裁は、土壌汚染対策法に基づく有害物質使用特定施設の使用廃止に係る都道府県知事の通知について、土地所有者に調査報告義務を生じさせるものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとした。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成24年2月3日は、通知により土壌汚染状況調査と報告の義務が生じるとして処分性を認めた。
問12
機関相互間の行為の処分性重要度C国の機関相互間の行為であって、国民に対する関係で直接その権利義務を形成するものではない上級行政機関の認可は、抗告訴訟の対象となる処分にはあたらない、というのが判例の立場である。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和53年12月8日(成田新幹線事件)は、運輸大臣の工事実施計画の認可を上級行政機関の監督手段にすぎないとして処分性を否定した。
処分性の問題を続けて解く
この論点に対応する12問を絞り込んで出題します。