行政法
不利益処分の理由の提示と処分基準
理由をどこまで書けば足りるかを、公にされた処分基準の有無まで含めて判断できるかが分かれ目です。差し迫った必要による例外は義務の免除ではなく先送りにすぎない点、理由付記の不備が裁決で治癒されない点で落とします。
要点 8件・確認問題 8問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
申請手続に関する判例
最判昭和46年10月28日(個人タクシー事件)は、多数の申請を並行して審査する場合には内部的にせよ具体的な審査基準を設定して公正かつ合理的に適用すべきであり、基準の内容が微妙高度の認定を要するものであるときは申請人に主張と証拠提出の機会を与えなければならず、これを欠く判定に基づく却下処分は違法として取り消されるとした。最判昭和50年5月29日(群馬中央バス事件)は、審理手続に不備があっても、主張立証を尽くしても認定判断を左右する資料を提出し得たとは認め難いとして処分を違法としなかった。
覚え方個人タクシーは処分取消し、群馬中央バスは処分維持
01不利益処分の理由の提示と処分基準の重要暗記項目
申請手続に関する判例
最判昭和46年10月28日(個人タクシー事件)は、多数の申請を並行して審査する場合には内部的にせよ具体的な審査基準を設定して公正かつ合理的に適用すべきであり、基準の内容が微妙高度の認定を要するものであるときは申請人に主張と証拠提出の機会を与えなければならず、これを欠く判定に基づく却下処分は違法として取り消されるとした。最判昭和50年5月29日(群馬中央バス事件)は、審理手続に不備があっても、主張立証を尽くしても認定判断を左右する資料を提出し得たとは認め難いとして処分を違法としなかった。
覚え方個人タクシーは処分取消し、群馬中央バスは処分維持
ひっかけ注意「審査基準を公表していなければ免許拒否は違法である」と読ませる肢。判決が求めたのは内部的にせよ基準を設定し公正に適用することである。
処分基準
処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(2条8号ハ)。行政庁は処分基準を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならない(12条1項)から、設定も公表も努力義務である。もっとも定めるに当たっては不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならず(12条2項)、この具体化は法的義務である。
覚え方12条1項は「努めなければならない」、2項は「しなければならない」
ひっかけ注意処分基準の設定・公表を法的義務とする肢。逆に12条2項の具体化まで努力義務とする肢も出るので、項ごとに語尾を区別する。
処分基準に関する判例
最判平成27年3月3日は、12条1項により定められ公にされた処分基準は行政庁の判断過程の公正と透明性を確保し相手方の権利利益の保護に資するものであるから、先行処分を理由とする加重の定めがある場合に行政庁が処分基準と異なる取扱いをすることは、公正かつ平等な取扱いの要請や基準に対する相手方の信頼保護の観点から、特段の事情がない限り裁量権の逸脱濫用に当たるとした。同判決は加重の期間内は処分期間経過後も訴えの利益が残るとしている。
覚え方公にされた処分基準は行政庁自身を縛る(自己拘束)
ひっかけ注意「処分基準は行政規則にすぎず外部効果がないから法的拘束力を持たない」という一般論だけで押し切らせる肢。公にされていれば自己拘束を生む。
不利益処分の理由の提示
14条1項本文は不利益処分と同時の理由提示を義務づけ、ただし書は当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認める。ただしこの例外による場合でも、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に理由を示さなければならない(同2項)。義務が消滅するのではなく時期が後ろにずれるだけである。不利益処分を書面でするときは理由も書面による(同3項)。
覚え方差し迫った必要があっても、免除ではなく先送り
ひっかけ注意8条1項ただし書(客観的指標による例外)と14条1項ただし書(差し迫った必要)を入れ替える肢。例外事由が条文ごとに異なる。
理由の提示に関する判例
最判平成23年6月7日(一級建築士免許取消事件)は、14条1項本文の趣旨を行政庁の判断の慎重・合理性の担保による恣意の抑制と不服申立ての便宜と解し、示すべき理由の程度は根拠法令の規定内容、処分基準の存否・内容・公表の有無、処分の性質および内容、原因事実の内容等を総合考慮して決すべきとして、処分基準の適用関係を示さなかった本件処分を違法とした。最判昭和60年1月22日(旅券発給拒否事件)は根拠条項の記載だけでは足りないとし、最判昭和47年12月5日は理由付記の不備が裁決では治癒されないとした。
覚え方根拠条項だけでは足りず、公にされた処分基準の当てはめまで書く
ひっかけ注意「根拠法条と原因事実が記載されていれば理由の提示として十分」とする肢。公にされた処分基準があるときはその適用関係の提示まで要求される。
聴聞を経てされる不利益処分の決定
行政庁は不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容および報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌しなければならない(26条)。参酌自体は法的義務であるが、主宰者の意見に法的拘束力はない。行政庁は聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる(25条)。27条が審査請求を制限するのは聴聞の節の規定に基づく処分(参加の不許可、文書閲覧の拒否など)およびその不作為であり、不利益処分そのものは争える。
覚え方参酌は義務だが拘束はされない。争えないのは中間的な処分だけ
ひっかけ注意「聴聞を経てされた不利益処分についても審査請求ができない」と27条の対象を広げる肢。制限されるのは節の規定に基づく中間的処分に対する審査請求である。
審査請求書の補正
審査請求書が19条の規定に違反する場合には、審査庁は相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(23条)。審査請求人が期間内に補正しないときは、審査庁は審理手続を経ないで裁決で審査請求を却下できる(24条1項)。審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、審理手続を経ないで却下できる(同2項)。これらの場合は審理員の指名も要しない(9条1項ただし書)。
覚え方補正命令は義務。従わなければ審理を経ずに却下できる
ひっかけ注意24条2項の「補正することができないことが明らかなとき」を、補正可能な形式不備の場合にも及ぼす肢。補正可能なら23条の補正命令が先である。
弁明書の提出
審理員は指名されると直ちに審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付し(29条1項)、相当の期間を定めて弁明書の提出を求める(同2項)。弁明書には処分の内容および理由(不作為の場合は処分をしていない理由と予定される処分の時期等)を記載する(同3項)。行政手続法上の聴聞調書・報告書や弁明書を保有していれば添付する(同4項)。提出された弁明書は審査請求人および参加人に送付される(同5項)。
覚え方弁明書を求めるのは審査庁ではなく審理員
ひっかけ注意弁明書の送付先を審査請求人のみとする肢や、弁明書の提出を審査庁が求めるとする肢。求めるのは審理員であり、送付先は請求人と参加人の双方である。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1処分と同時に理由が示されたかを見る。示されていないなら14条1項ただし書の差し迫った必要に当たるかを検討する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2例外に当たっても義務は消えず、処分後相当の期間内に理由を示す必要がある。免除ではなく先送りと押さえる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3公にされた処分基準があるなら、その適用関係まで示されているかを見る。根拠法条と原因事実だけでは足りない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政手続法
- 内容の基準日
- 2026年4月1日
- 復習方法
- 要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
不利益処分の理由の提示と処分基準の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 24/24(編集部の目安)
不利益処分の理由の提示
行政庁は、不利益処分をする場合には、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるときを除き、その名あて人に対し、当該不利益処分と同時にその理由を示さなければならない。
全784問から、分野・重要度で解く
行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。