行政法
行政書士の不利益処分の理由提示|時期・例外と処分基準の違い【2026年度試験対応】
不利益処分の理由をいつ、どの方式で示すかを行政手続法14条で整理します。差し迫った必要による事後提示と、その後の提示が困難な場合、申請拒否の例外、処分基準の努力義務を比較します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
不利益処分の理由は、原則として処分と同時に名あて人へ示します。理由を示さず処分すべき差し迫った必要があるときは事後提示が認められますが、所在不明など提示が困難な事情を除き、処分後相当の期間内に示す必要があります。処分を書面でするときは理由も書面です。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-25
許可の取消しと申請拒否では適用条文が違う
行政手続法上の不利益処分は、特定の者に直接義務を課し、又はその権利を制限する処分です。許可の取消しや営業停止が典型ですが、申請により求められた許認可等を拒否する処分は、この定義から除外されています。申請拒否の理由は8条、不利益処分の理由は14条で確認します。
例えば、既に得た営業許可を取り消す場合は14条、営業許可の申請を拒否する場合は8条が出発点です。どちらも原則は処分と同時の理由提示ですが、例外の条件は異なります。2026年度試験に向けて、2026年4月1日時点の行政手続法を基準に整理します。
| 区分 | 原則 | 同時提示の例外 |
|---|---|---|
| 申請拒否・8条 | 申請者へ処分と同時に理由提示 | 法令の要件又は公表された審査基準が数量的指標等の客観的指標で明確に定められ、申請内容から不適合が明らかな場合は、申請者の求めに応じて提示 |
| 不利益処分・14条 | 名あて人へ処分と同時に理由提示 | 理由を示さず処分すべき差し迫った必要がある場合 |
差し迫った必要の後も、相当期間内の提示が原則
14条1項ただし書が認めるのは、理由を示さず処分しなければならない差し迫った必要がある場合です。通常の事務処理が忙しい、理由を書くと時間がかかるという説明だけで、この例外に当たると決めることはできません。例外を使った後は、同条2項の事後提示を確認します。
事後提示は処分後相当の期間内に行います。ただし、名あて人の所在が判明しなくなった場合など、処分後に理由を示すことが困難な事情があるときは例外です。「緊急なら理由は永久に不要」も「どんな事情でも後から必ず提示」も正確ではありません。理由を示せる状態かどうかを最後まで確認します。
書面の要否と意見陳述手続の要否を切り分ける
不利益処分を書面でする場合には、同時に示す理由も、14条2項により後から示す理由も書面で示します。14条3項は理由の方式を処分の方式と結び付けた規定であり、あらゆる処分の理由を一律に書面で示すという規定ではありません。
また、聴聞・弁明の機会を付与するかは13条、理由を提示するかは14条の問題です。例えば、13条2項が定める金銭納付命令等で意見陳述手続が不要になる場合でも、そのことだけで14条の理由提示まで不要になるわけではありません。手続の一つが省略できることを、全手続の免除へ広げないようにします。
処分基準の設定・公表と具体化を比較する

法律上の例外あり。要件と例外は本文でも確認できます。
図を大きく見る処分基準は、不利益処分をするか、どのような不利益処分にするかを判断するための基準です。12条1項による設定と公表はいずれも努力義務ですが、定める場合には、処分の性質に照らしてできる限り具体化することが同条2項で義務付けられます。「努力義務だから抽象的な内容でよい」とはなりません。
許認可等の審査基準は5条で設定が義務付けられ、公表も行政上特別の支障がある場合を除いて義務です。例えば違反の程度ごとの処分を判断する基準は処分基準、許可申請を認める条件を判断する基準は審査基準です。名称だけでなく、申請を審査する基準か、不利益処分を選ぶ基準かを見ます。
| 項目 | 審査基準・5条 | 処分基準・12条 |
|---|---|---|
| 設定 | 義務 | 努力義務 |
| 公表 | 原則として義務。行政上特別の支障による例外あり | 努力義務 |
| 定めるときの具体化 | できる限り具体的にする義務 | できる限り具体的にする義務 |
令和3年度問12で理由提示の例外を確認する
令和3年度問12の公式正解は3で、差し迫った必要がある場合の同時提示の例外と、困難な場合を除いた事後提示が問われています。理由提示の時期を読む際は、14条1項だけで結論を出さず、2項まで続けて確認するのがポイントです。
同問には、申請拒否、非開示決定、旅券発給拒否などの理由をめぐる記述もあります。処分名を見て適用条文や判例の対象を確認し、単に根拠規定が示されたかだけで理由提示の十分性を決めないようにします。本記事の確認問題では、条文で確認できる時期・方式・基準の義務を定着させます。
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和3年度 問12
理由提示の時期と例外が問われた。差し迫った必要があっても、困難な事情を除き処分後相当期間内に理由を示す。
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- 行政手続法2条・5条・8条・12条〜14条確認日:2026-09-25
- 令和3年度行政書士試験・公式問題確認日:2026-09-25
- 令和3年度行政書士試験・公式正解確認日:2026-09-25
- 令和8年度行政書士試験案内(法令基準日)確認日:2026-09-25
不利益処分の理由の提示
14条1項本文は不利益処分と同時の理由提示を義務づけ、ただし書は当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認める。ただしこの例外による場合でも、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に理由を示さなければならない(同2項)。原則として提示時期が後ろにずれるが、事後の提示が困難な事情がある場合の例外も確認する。不利益処分を書面でするときは理由も書面による(同3項)。
覚え方差し迫った必要なら原則は事後提示、所在不明など困難な事情は例外
最重要・比較表
審査基準・標準処理期間・処分基準・行政指導指針の義務と努力
設定と公表を分けて、それぞれが法的義務か努力義務かを確かめます。先にその基準がどの場面で使うものかを押さえておくと、四つの組合せが混ざりません。
| 事由 | 審査基準 | 標準処理期間 | 処分基準 | 行政指導指針 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 使われる場面 | 申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するための基準 | 申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間の目安 | 不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準 | 同一の行政目的で複数の者に行政指導をするとき、共通して内容となるべき事項を定めたもの | 申請を拒否する処分は申請に対する処分なので、そこで使うのは処分基準ではなく審査基準です。 |
| 定めること最重要 | 定めなければならない法的義務(5条1項) | 定めるよう努める努力義務にとどまる(6条) | 定めるよう努める努力義務にとどまる(12条1項) | 定めなければならない法的義務である(36条) | 審査基準の設定を努力に落とす肢と、処分基準の設定を義務に上げる肢が両方向から出ます。 |
| 公にする・公表すること | 公にしておくことは法的義務。行政上特別の支障があるときは除かれる(5条3項) | 定めたときは公にしておくことが法的義務(6条) | 公にしておくことも努力義務にとどまる(12条1項) | 公表することは法的義務。行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい(36条) | 標準処理期間だけが、設定は努力・公表は義務という食い違った組合せになります。 |
| 同じ組合せの制度 | 設定も公表も義務という点で、行政指導指針と同じ組合せになる | 設定は努力・公表は義務。行政不服審査法16条の標準審理期間も同じ組合せである | 設定も公表も努力という組合せは、この処分基準だけである | 設定も公表も義務という点で、審査基準と同じ組合せになる | 処分基準だけが両方とも努力だと覚えると、残りは義務が絡む組合せに整理できます。 |
使われる場面
- 審査基準
- 申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するための基準
- 標準処理期間
- 申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間の目安
- 処分基準
- 不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準
- 行政指導指針
- 同一の行政目的で複数の者に行政指導をするとき、共通して内容となるべき事項を定めたもの
判断ポイント
申請を拒否する処分は申請に対する処分なので、そこで使うのは処分基準ではなく審査基準です。
定めること
最重要- 審査基準
- 定めなければならない法的義務(5条1項)
- 標準処理期間
- 定めるよう努める努力義務にとどまる(6条)
- 処分基準
- 定めるよう努める努力義務にとどまる(12条1項)
- 行政指導指針
- 定めなければならない法的義務である(36条)
判断ポイント
審査基準の設定を努力に落とす肢と、処分基準の設定を義務に上げる肢が両方向から出ます。
公にする・公表すること
- 審査基準
- 公にしておくことは法的義務。行政上特別の支障があるときは除かれる(5条3項)
- 標準処理期間
- 定めたときは公にしておくことが法的義務(6条)
- 処分基準
- 公にしておくことも努力義務にとどまる(12条1項)
- 行政指導指針
- 公表することは法的義務。行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい(36条)
判断ポイント
標準処理期間だけが、設定は努力・公表は義務という食い違った組合せになります。
同じ組合せの制度
- 審査基準
- 設定も公表も義務という点で、行政指導指針と同じ組合せになる
- 標準処理期間
- 設定は努力・公表は義務。行政不服審査法16条の標準審理期間も同じ組合せである
- 処分基準
- 設定も公表も努力という組合せは、この処分基準だけである
- 行政指導指針
- 設定も公表も義務という点で、審査基準と同じ組合せになる
判断ポイント
処分基準だけが両方とも努力だと覚えると、残りは義務が絡む組合せに整理できます。
01不利益処分の理由の提示と処分基準の重要暗記項目
不利益処分の理由の提示
14条1項本文は不利益処分と同時の理由提示を義務づけ、ただし書は当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認める。ただしこの例外による場合でも、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に理由を示さなければならない(同2項)。原則として提示時期が後ろにずれるが、事後の提示が困難な事情がある場合の例外も確認する。不利益処分を書面でするときは理由も書面による(同3項)。
覚え方差し迫った必要なら原則は事後提示、所在不明など困難な事情は例外
ひっかけ注意8条1項ただし書(客観的指標による例外)と14条1項ただし書(差し迫った必要)を入れ替える肢。例外事由が条文ごとに異なる。
理由の提示に関する判例
最判平成23年6月7日(一級建築士免許取消事件)は、14条1項本文の趣旨を行政庁の判断の慎重・合理性の担保による恣意の抑制と不服申立ての便宜と解し、示すべき理由の程度は根拠法令の規定内容、処分基準の存否・内容・公表の有無、処分の性質および内容、原因事実の内容等を総合考慮して決すべきとして、処分基準の適用関係を示さなかった本件処分を違法とした。最判昭和60年1月22日(旅券発給拒否事件)は根拠条項の記載だけでは足りないとし、最判昭和47年12月5日は理由付記の不備が裁決では治癒されないとした。
覚え方根拠条項だけでは足りず、公にされた処分基準の当てはめまで書く
ひっかけ注意「根拠法条と原因事実が記載されていれば理由の提示として十分」とする肢。公にされた処分基準があるときはその適用関係の提示まで要求される。
裁決の拘束力
裁決は関係行政庁を拘束する(52条1項)。したがって同一事情の下で同一理由による同一処分を繰り返すことは許されない(反復禁止効)。申請に基づいてした処分が手続の違法・不当を理由に取り消され、又は申請を却下・棄却した処分が取り消されたときは、処分庁は裁決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない(同2項)。公示された処分が取り消されたときは、処分庁はその旨を公示しなければならない(同3項)。
覚え方拘束されるのは関係行政庁。取消しだけでなくやり直しまで義務
ひっかけ注意拘束力が審査請求人にも及ぶとする肢や、取消しの効果は処分の消滅にとどまり再度の処分義務はないとする肢。
処分基準
処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(2条8号ハ)。行政庁は処分基準を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならない(12条1項)から、設定も公表も努力義務である。もっとも定めるに当たっては不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならず(12条2項)、この具体化は法的義務である。
覚え方12条1項は「努めなければならない」、2項は「しなければならない」
ひっかけ注意処分基準の設定・公表を法的義務とする肢。逆に12条2項の具体化まで努力義務とする肢も出るので、項ごとに語尾を区別する。
申請手続に関する判例
最判昭和46年10月28日(個人タクシー事件)は、多数の申請を並行して審査する場合には内部的にせよ具体的な審査基準を設定して公正かつ合理的に適用すべきであり、基準の内容が微妙高度の認定を要するものであるときは申請人に主張と証拠提出の機会を与えなければならず、これを欠く判定に基づく却下処分は違法として取り消されるとした。最判昭和50年5月29日(群馬中央バス事件)は、審理手続に不備があっても、主張立証を尽くしても認定判断を左右する資料を提出し得たとは認め難いとして処分を違法としなかった。
覚え方個人タクシーは処分取消し、群馬中央バスは処分維持
ひっかけ注意「審査基準を公表していなければ免許拒否は違法である」と読ませる肢。判決が求めたのは内部的にせよ基準を設定し公正に適用することである。
処分基準に関する判例
最判平成27年3月3日は、12条1項により定められ公にされた処分基準は行政庁の判断過程の公正と透明性を確保し相手方の権利利益の保護に資するものであるから、先行処分を理由とする加重の定めがある場合に行政庁が処分基準と異なる取扱いをすることは、公正かつ平等な取扱いの要請や基準に対する相手方の信頼保護の観点から、特段の事情がない限り裁量権の逸脱濫用に当たるとした。同判決は加重の期間内は処分期間経過後も訴えの利益が残るとしている。
覚え方公にされた処分基準は行政庁自身を縛る(自己拘束)
ひっかけ注意「処分基準は行政規則にすぎず外部効果がないから法的拘束力を持たない」という一般論だけで押し切らせる肢。公にされていれば自己拘束を生む。
聴聞を経てされる不利益処分の決定
行政庁は不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容および報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌しなければならない(26条)。参酌自体は法的義務であるが、主宰者の意見に法的拘束力はない。行政庁は聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる(25条)。27条が審査請求を制限するのは聴聞の節の規定に基づく処分(参加の不許可、文書閲覧の拒否など)およびその不作為であり、不利益処分そのものは争える。
覚え方参酌は義務だが拘束はされない。争えないのは中間的な処分だけ
ひっかけ注意「聴聞を経てされた不利益処分についても審査請求ができない」と27条の対象を広げる肢。制限されるのは節の規定に基づく中間的処分に対する審査請求である。
弁明書の提出
審理員は指名されると直ちに審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付し(29条1項)、相当の期間を定めて弁明書の提出を求める(同2項)。弁明書には処分の内容および理由(不作為の場合は処分をしていない理由と予定される処分の時期等)を記載する(同3項)。行政手続法上の聴聞調書・報告書や弁明書を保有していれば添付する(同4項)。提出された弁明書は審査請求人および参加人に送付される(同5項)。
覚え方弁明書を求めるのは審査庁ではなく審理員
ひっかけ注意弁明書の送付先を審査請求人のみとする肢や、弁明書の提出を審査庁が求めるとする肢。求めるのは審理員であり、送付先は請求人と参加人の双方である。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 処分基準 設定・公表とも努力義務
- 12条2項 処分基準の具体化は法的義務
- ひっかけ根拠法条と原因事実が記載されていれば理由提示として十分とする肢。公にされた処分基準があれば、その適用関係の提示まで要る
- ひっかけ理由付記の不備は審査請求の裁決で具体的根拠が明らかにされれば治癒されるとする肢。判例は事後の追完を認めない
- ひっかけ理由は常に書面で示さなければならないとする肢。書面が要るのは処分を書面でするときで、口頭の処分なら理由も口頭で足りる
押さえる判例
提示すべき理由の程度は根拠法令の内容、処分基準の存否・内容・公表の有無、処分の性質等を総合考慮して決すべきで、処分基準の適用関係を示さなかった本件は違法
根拠条項の記載だけでは、いかなる事実にいかなる法規を適用して拒否したのかを記載自体から了知できず、理由付記として不十分
公にされた処分基準に加重の定めがある場合、特段の事情がない限りこれと異なる取扱いをすることは裁量権の逸脱濫用に当たる
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1処分と同時に理由が示されたかを見る。示されていないなら14条1項ただし書の差し迫った必要に当たるかを検討する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2差し迫った必要で同時提示を省略した場合は、所在不明など処分後の提示が困難な事情を除き、相当の期間内に理由を示す(14条2項)
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3公にされた処分基準があるなら、その適用関係まで示されているかを見る。根拠法条と原因事実だけでは足りない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政手続法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
不利益処分の理由の提示と処分基準の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 24/24(編集部の目安)
不利益処分の理由の提示
行政庁は、不利益処分をする場合には、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるときを除き、その名あて人に対し、当該不利益処分と同時にその理由を示さなければならない。
不利益処分の理由の提示と処分基準の○×一問一答16問|問題と解説
この論点で収録している16問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
不利益処分の理由の提示重要度S行政庁は、不利益処分をする場合には、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるときを除き、その名あて人に対し、当該不利益処分と同時にその理由を示さなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。14条1項は同時の理由提示を原則とし、差し迫った必要がある場合のみを例外としている。
問2
理由の提示に関する判例重要度S最高裁判所は、一級建築士に対する免許取消処分について、処分基準が定められ公にされている場合には、いかなる理由に基づきどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを名あて人が処分書の記載自体から了知し得るものであることを要すると判示した。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判平成23年6月7日は、根拠法条と原因事実の記載だけでは足りないとして処分を取り消した。
問3
処分基準重要度A行政庁は、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定め、かつ、これを公にしておかなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。12条1項は処分基準の設定も公表も「努めなければならない」とする努力義務である。
問4
聴聞を経てされる不利益処分の決定重要度A行政庁は、聴聞を経て不利益処分の決定をするときは、主宰者が作成した聴聞調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見に拘束され、その意見と異なる内容の決定をすることができない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。26条は調書の内容及び主宰者の意見を「十分に参酌して」決定すべきものとしており、拘束力までは認めていない。
問5
裁決の拘束力重要度S裁決は関係行政庁を拘束し、申請を却下した処分が裁決で取り消されたときは、処分庁は裁決の趣旨に従い、改めて当該申請に対する処分をしなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。52条1項が拘束力を、同条2項が申請に対する処分のやり直し義務を定める。
問6
弁明書の提出重要度A審理員は、審査庁から指名されたときは、相当の期間を定めて処分庁等に対し弁明書の提出を求めるものとされ、提出された弁明書は審査請求人及び参加人に送付される。
答え:○(正しい)
解説
正しい。29条2項が弁明書の提出要求を、同条5項が審査請求人および参加人への送付を定める。
問7
申請手続に関する判例重要度A最高裁判所は、個人タクシー事業の免許について、行政庁は内部的にせよ具体的な審査基準を設定してこれを公正かつ合理的に適用すべきであり、基準の内容が微妙高度の認定を要するときは申請人に主張と証拠提出の機会を与えなければならないと判示した。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和46年10月28日(個人タクシー事件)は、聴聞規定を欠く当時の法律の下でも公正な手続を要求した。
問8
聴聞を経てされる不利益処分の決定重要度B聴聞の手続における参加の許可の拒否や文書等の閲覧の拒否のように、聴聞に関する行政手続法第3章第2節の規定に基づく処分又はその不作為については、行政不服審査法による審査請求をすることができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。27条は聴聞の節の規定に基づく処分等について審査請求を制限している。
問9
不利益処分の理由の提示重要度A行政庁が、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるとして理由を示さずに不利益処分をしたときは、処分後においても改めてその理由を名あて人に示す必要はない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。差し迫った必要で同時に理由を示さなかった場合でも、所在不明など処分後に理由を示すことが困難な事情を除き、処分後相当の期間内に提示する必要がある(14条2項)。
問10
処分基準に関する判例重要度A最高裁判所は、行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準は行政庁の内部的な基準にすぎないから、行政庁がこれと異なる取扱いをしたとしても、そのことから裁量権の範囲の逸脱又は濫用の問題が生じることはないと判示した。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成27年3月3日は、特段の事情がない限り処分基準と異なる取扱いは裁量権の逸脱濫用に当たるとした。
問11
不利益処分の理由の提示重要度A行政庁が不利益処分を書面でする場合であっても、行政手続法が示すことを義務づけているその処分の理由については、処分書に記載することを要せず、名あて人に対して口頭で告げることによって示せば足りる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。不利益処分を書面でするときは、理由も書面により示さなければならない(14条3項)。8条2項も同じ構造である。
問12
審査請求書の補正重要度A審査請求書が法定の記載事項を欠くなど19条の規定に違反する場合、審査庁は、補正を命ずることなく直ちに当該審査請求を却下することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。23条により審査庁は相当の期間を定めて補正を命じなければならない。補正がされないときに初めて却下できる(24条1項)。
問13
理由の提示に関する判例重要度B最高裁判所は、一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかを申請者が記載自体から了知し得るものでなければならず、単に根拠条項を掲げるだけでは理由付記として不十分であるとしている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和60年1月22日は、旅券法13条1項の号数を示すだけの記載を理由付記として不十分とした。
問14
理由の提示に関する判例重要度B最高裁判所は、青色申告に対する更正処分の理由付記に不備がある場合であっても、その後の審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたときは、当初の理由付記の瑕疵は治癒されるとしている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判昭和47年12月5日は、後の審査裁決で根拠が明らかにされても理由付記の不備は治癒されないとした。
問15
釈明処分の特則重要度B裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、被告である国もしくは公共団体に所属する行政庁以外の行政庁に対しても、処分の理由を明らかにする資料の提出を命ずることができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。23条の2第1項2号により、被告側以外の行政庁に対してできるのは資料の送付の嘱託であって提出の命令ではない。
問16
申請手続に関する判例重要度C最高裁判所は、運輸審議会の公聴会審理の手続に不備があったとしても、申請者が主張立証を尽くしたとしても審議会の認定判断を左右するに足る意見及び資料を追加提出し得たとは認め難いときは、その不備は免許処分を違法とするものではないとしている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和50年5月29日(群馬中央バス事件)は、手続の瑕疵が結論に影響しない場合に処分の違法を否定した。
不利益処分の理由の提示と処分基準の問題を続けて解く
この論点に対応する16問を絞り込んで出題します。