行政法
行政手続法の適用範囲と適用除外
行政手続法が扱うのは申請に対する処分・不利益処分・行政指導・届出・命令等の5類型だけで、行政計画や行政調査は入りません。地方公共団体への適用では、処分と届出にだけ付く「条例・規則が根拠のものに限る」という限定を落として失点します。
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行政書士試験での出題
出題ランク S対応する一問一答 11問
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地方公共団体に対する適用関係
3条3項により第2章から第6章までが適用除外となるのは①地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)②地方公共団体の機関がする行政指導③地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)④地方公共団体の機関が命令等を定める行為の4つである。「条例・規則根拠」という限定が付くのは処分と届出だけで、行政指導と命令等を定める行為は根拠を問わず全部が除外される。
覚え方処分と届出だけ条例・規則しばり。指導と命令等は丸ごと除外
最重要・比較表
地方公共団体の機関がする手続と行政手続法の適用
適用の有無は「何の手続か」と「根拠がどこにあるか」の二段で決まります。まず手続の種類を確かめ、そのうえで根拠規定が法律にあるか条例にあるかを見ます。
| 事由 | 根拠が法律・命令 | 根拠が条例・規則 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 処分最重要 | 適用される | 適用されない | 条例を根拠に処分するなら手続の定めも条例(行政手続条例)でよい、という発想です。 |
| 行政指導 | 適用されない | 適用されない | 行政指導は根拠を問わず一律に除外され、法律に根拠があれば適用されるとする肢は誤りです。 |
| 届出 | 適用される | 適用されない | 処分と届出だけが、根拠のありかによって結論が分かれます。 |
| 命令等を定める行為 | 適用されない | 適用されない | 命令等制定も根拠を問わず一律に除外されます。 |
処分
最重要- 根拠が法律・命令
- 適用される
- 根拠が条例・規則
- 適用されない
判断ポイント
条例を根拠に処分するなら手続の定めも条例(行政手続条例)でよい、という発想です。
行政指導
- 根拠が法律・命令
- 適用されない
- 根拠が条例・規則
- 適用されない
判断ポイント
行政指導は根拠を問わず一律に除外され、法律に根拠があれば適用されるとする肢は誤りです。
届出
- 根拠が法律・命令
- 適用される
- 根拠が条例・規則
- 適用されない
判断ポイント
処分と届出だけが、根拠のありかによって結論が分かれます。
命令等を定める行為
- 根拠が法律・命令
- 適用されない
- 根拠が条例・規則
- 適用されない
判断ポイント
命令等制定も根拠を問わず一律に除外されます。
01行政手続法の適用範囲と適用除外の重要暗記項目
地方公共団体に対する適用関係
3条3項により第2章から第6章までが適用除外となるのは①地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)②地方公共団体の機関がする行政指導③地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)④地方公共団体の機関が命令等を定める行為の4つである。「条例・規則根拠」という限定が付くのは処分と届出だけで、行政指導と命令等を定める行為は根拠を問わず全部が除外される。
覚え方処分と届出だけ条例・規則しばり。指導と命令等は丸ごと除外
ひっかけ注意「地方公共団体がする処分には行政手続法が一切適用されない」とする肢。生活保護の廃止決定のように法律を根拠とする処分には適用がある。
不利益処分の定義
不利益処分とは、行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として直接にこれに義務を課し又はその権利を制限する処分をいう(2条4号)。ただし①事実上の行為②申請により求められた許認可等を拒否する処分③名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分④許認可等の効力を失わせる処分であって、その基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由とするもの、は除かれる。申請拒否処分には第2章が適用され、8条の理由の提示で処理される。
覚え方申請拒否は不利益処分ではない。だから聴聞も弁明も登場しない
ひっかけ注意「営業許可の申請を拒否するには聴聞を経なければならない」とする肢。拒否処分は申請に対する処分であり、要求されるのは理由の提示である。
行政事件訴訟の類型
行政事件訴訟は抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の4類型である(2条)。抗告訴訟は行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(3条1項)、当事者訴訟は公法上の法律関係に関する訴訟(4条)で、いずれも自己の法律上の利益を守る主観訴訟である。民衆訴訟・機関訴訟は自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する客観訴訟であり、法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できる(42条)。
覚え方抗告・当事者は主観訴訟、民衆・機関は客観訴訟
ひっかけ注意国家賠償請求訴訟を行政事件訴訟の一類型として挙げる肢。国家賠償請求は民事訴訟であり、この4類型には含まれない。
地方公共団体の長の処分と審査庁
都道府県知事や市町村長には上級行政庁が存在しないため、その処分に対する審査請求は当該長自身が審査庁として受ける(4条1号)。この場合、長は審理員を指名し、裁決に際しては条例により設置された第三者機関(81条1項2項の機関)に諮問する。議会は審査庁にも諮問先にもならない。総務大臣や都道府県知事が審査庁になるのは、法定受託事務に係る処分など個別法に定めがある場合に限られる。
覚え方長の処分は長自身が審査庁。チェックは審理員と第三者機関で
ひっかけ注意「上級行政庁がなければ審査請求できない」あるいは「議会が審査する」とする肢。処分庁である長自身が審査庁となる。
行政手続法の目的と対象
行政手続法が定めるのは①申請に対する処分②不利益処分③行政指導④届出⑤命令等を定める手続の5類型である。行政計画の策定、行政契約の締結、行政調査、行政上の強制執行、不服申立ての審理は対象に含まれない。目的は、これらの手続に関する共通事項を定めて行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することにある(1条1項)。透明性とは行政上の意思決定の内容および過程が国民にとって明らかであることをいう。
覚え方処分・指導・届出・命令等の5類型だけ。計画と契約と強制執行は入らない
ひっかけ注意対象類型に「行政計画の策定」「行政契約の締結」「不服申立ての審理」を紛れ込ませる肢。不服申立ての手続は行政不服審査法の領域である。
適用除外の範囲
除外の射程は条文ごとに異なる。3条1項の適用除外(国会の両院の議決によってされる処分、裁判の執行としてされる処分、刑事事件に関する法令に基づき検察官等がする処分など)の効果は「次章から第四章の二までの規定は、適用しない」であり、第2章から第4章の2までが外れる。これに対し4条1項の国の機関等に対する処分等は「この法律の規定は、適用しない」として法律全体が外れる。どの章まで及ぶかで正誤が決まる。
覚え方3条1項は章単位で外れ、4条1項は法律まるごと外れる
ひっかけ注意除外される章の範囲をすり替える肢。「4条1項では第2章と第3章だけが除外される」とする逆パターンも出題される。
国の機関等に対する適用除外
4条1項は、国の機関・地方公共団体・その機関等が「固有の資格」において当該処分の名あて人となる処分、これらに対する行政指導、これらが固有の資格でする届出について、法律全体の適用を除外する。固有の資格とは一般私人が立ち得ないような立場をいい、市が一般私人と同じ立場で建築確認や飲食店営業許可を受ける場合には行政手続法の適用がある。行政不服審査法7条2項も同じ「固有の資格」概念を用いており、判断基準は共通である。
覚え方私人と同じ立場なら適用あり、行政主体としての立場なら適用なし
ひっかけ注意「国や地方公共団体が名あて人となる処分にはおよそ行政手続法が適用されない」とする肢。固有の資格という限定を落とさせる狙いである。
適用除外
7条1項の適用除外には、国会の両院・一院・議会の議決によってされる処分、裁判所の裁判により又は裁判の執行としてされる処分、検査官会議で決すべきものとされている処分、刑事事件に関する法令に基づき検察官等がする処分、学校において教育の目的を達成するために学生等に対してされる処分、刑務所等において収容の目的を達成するためにされる処分、外国人の出入国・帰化に関する処分、学識技能に関する試験・検定の結果についての処分などがある。
覚え方議会・裁判・刑事・学校・収容・出入国・試験、が代表的な除外
ひっかけ注意適用除外は7条1項の限定列挙であるのに「専門的判断を要する処分は一般に除外される」と一般化させる肢が狙われる。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 行政手続法の対象 5類型
- 3条1項 第2章から第4章の2までが不適用
- 4条1項 法律全体が不適用
- ひっかけ地方公共団体がする処分には行政手続法が一切適用されないとする肢。生活保護の廃止決定のように法律を根拠とする処分には適用がある
- ひっかけ行政指導にも「条例・規則が根拠のものに限る」という限定が付くとする肢。限定が付くのは処分と届出だけ
- ひっかけ国や地方公共団体が名あて人ならおよそ適用除外とする肢。除外されるのは固有の資格で名あて人となる場合に限られる
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1問われている行為が5類型のどれかを確定する。行政計画・行政契約・行政調査・強制執行・不服申立ての手続は最初から対象外
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2主体が地方公共団体の機関なら3条3項を見る。処分と届出は根拠が条例・規則のときだけ除外、行政指導と命令等は全部除外
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3相手方が国の機関等なら4条1項を見る。固有の資格で名あて人となる場合だけ、法律全体が適用除外になる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政手続法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
行政手続法の適用範囲と適用除外の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 21/24(編集部の目安)
地方公共団体に対する適用関係
地方公共団体の機関がする処分についてはそのすべてが行政手続法の適用から外れるわけではなく、その根拠となる規定が法律に置かれているものについては、申請に対する処分及び不利益処分に関する行政手続法第2章及び第3章の規定が適用される。
行政手続法の適用範囲と適用除外の○×一問一答11問|問題と解説
この論点で収録している11問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
地方公共団体に対する適用関係重要度S地方公共団体の機関がする処分についてはそのすべてが行政手続法の適用から外れるわけではなく、その根拠となる規定が法律に置かれているものについては、申請に対する処分及び不利益処分に関する行政手続法第2章及び第3章の規定が適用される。
答え:○(正しい)
解説
正しい。3条3項の適用除外は、根拠規定が条例又は規則に置かれている処分に限られる(3条3項)。
問2
地方公共団体に対する適用関係重要度S地方公共団体の機関がする行政指導については、当該地方公共団体の事務が自治事務であるか法定受託事務であるかにかかわらず、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限って、行政手続法第4章の規定の適用が除外される。
答え:×(誤り)
解説
誤り。行政指導については根拠規定の所在を問わず、地方公共団体の機関がするものはすべて適用除外である(3条3項)。
問3
行政事件訴訟の類型重要度A行政事件訴訟法が定める行政事件訴訟は、抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の四類型であり、このうち抗告訴訟と当事者訴訟が主観訴訟に位置づけられる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。2条が四類型を列挙し、自己の法律上の利益を争う抗告訴訟・当事者訴訟が主観訴訟、民衆訴訟・機関訴訟が客観訴訟とされる。
問4
不利益処分の定義重要度A営業の許可を求める申請を拒否する処分は、申請者が求めた利益を得られなくする点で権利を制限するものであるから、行政手続法上の不利益処分に当たり、行政庁は聴聞又は弁明の機会の付与の手続を執らなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分の定義から明文で除外されている(2条4号ロ)。
問5
国の機関等に対する適用除外重要度B国の機関又は地方公共団体に対する処分であって、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものについては、行政手続法のすべての規定の適用が除外される。
答え:○(正しい)
解説
正しい。4条1項は「固有の資格」において名あて人となる場合について法律全体の適用を除外している。
問6
地方公共団体の長の処分と審査庁重要度A地方公共団体の長がした処分について審査請求をする場合、当該長には上級行政庁が存在しないため、審査請求は当該地方公共団体の議会に対してするものとされている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。上級行政庁がない場合は処分庁等自身が審査庁となる(4条1号)。議会が審査庁となる仕組みは置かれていない。
問7
適用除外の範囲重要度B刑事事件に関する法令に基づいて検察官がする処分のように行政手続法3条1項各号に掲げられた処分については、届出及び意見公募手続に関する規定を含め、同法のすべての規定が適用されないこととなる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。3条1項が適用を除外するのは第2章から第4章の2までであり、第5章の届出と第6章の意見公募手続には及ばない。
問8
労災就学援護費の処分性重要度C労働基準監督署長がする労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法律の規定ではなく通達に基づいて行われるものであるから、抗告訴訟の対象となる処分にはあたらない、というのが判例の立場である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成15年9月4日は、労災就学援護費の支給が法の予定する労働福祉事業として行われることを理由に、支給決定の処分性を認めた。
問9
地方公共団体の種類重要度B地方公共団体は普通地方公共団体と特別地方公共団体とに分けられ、このうち普通地方公共団体は都道府県及び市町村をいい、特別地方公共団体は特別区及び地方公共団体の組合の二種類とされている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区の三種類である(1条の3第3項)。
問10
行政手続法の目的と対象重要度B行政手続法は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し共通する事項を定めることにより、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする法律である。
答え:○(正しい)
解説
正しい。1条1項が掲げる直接の目的は公正の確保と透明性の向上であり、国民の権利利益の保護はその先にある究極目的である。
問11
行政手続法と他の法律との関係重要度C処分、行政指導及び届出に関する手続についてこの法律に規定する事項につき他の法律に特別の定めがある場合には、一般法である行政手続法の規定が当該他の法律に優先して適用される。
答え:×(誤り)
解説
誤り。他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる(1条2項)。行政手続法は一般法であり、特別法に道を譲る。
行政手続法の適用範囲と適用除外の問題を続けて解く
この論点に対応する11問を絞り込んで出題します。