行政法
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)
審査基準は設定も公表も義務、標準処理期間は設定が努力義務で公表が義務、処分基準は設定も公表も努力義務——この三段構えを言えるかで決まります。申請の到達で審査義務が生じ、受理拒否や返戻が許されない点も頻出です。
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行政書士試験での出題
出題ランク S対応する一問一答 11問
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審査基準
審査基準について行政庁が負う義務は三つとも法的義務である。①行政庁は審査基準を定めなければならない(5条1項)②許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとしなければならない(同2項)③行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならない(同3項)。「公にする」とは求めがあればいつでも何人にも示せる状態にしておくことをいい、積極的な周知までは求められない。
覚え方審査基準は全部が義務、処分基準は設定と公表が努力(具体化だけは義務)、標準処理期間はその中間
最重要・比較表
審査基準・標準処理期間・処分基準・行政指導指針の義務と努力
設定と公表を分けて、それぞれが法的義務か努力義務かを確かめます。先にその基準がどの場面で使うものかを押さえておくと、四つの組合せが混ざりません。
| 事由 | 審査基準 | 標準処理期間 | 処分基準 | 行政指導指針 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 使われる場面 | 申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するための基準 | 申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間の目安 | 不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準 | 同一の行政目的で複数の者に行政指導をするとき、共通して内容となるべき事項を定めたもの | 申請を拒否する処分は申請に対する処分なので、そこで使うのは処分基準ではなく審査基準です。 |
| 定めること最重要 | 定めなければならない法的義務(5条1項) | 定めるよう努める努力義務にとどまる(6条) | 定めるよう努める努力義務にとどまる(12条1項) | 定めなければならない法的義務である(36条) | 審査基準の設定を努力に落とす肢と、処分基準の設定を義務に上げる肢が両方向から出ます。 |
| 公にする・公表すること | 公にしておくことは法的義務。行政上特別の支障があるときは除かれる(5条3項) | 定めたときは公にしておくことが法的義務(6条) | 公にしておくことも努力義務にとどまる(12条1項) | 公表することは法的義務。行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい(36条) | 標準処理期間だけが、設定は努力・公表は義務という食い違った組合せになります。 |
| 同じ組合せの制度 | 設定も公表も義務という点で、行政指導指針と同じ組合せになる | 設定は努力・公表は義務。行政不服審査法16条の標準審理期間も同じ組合せである | 設定も公表も努力という組合せは、この処分基準だけである | 設定も公表も義務という点で、審査基準と同じ組合せになる | 処分基準だけが両方とも努力だと覚えると、残りは義務が絡む組合せに整理できます。 |
使われる場面
- 審査基準
- 申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するための基準
- 標準処理期間
- 申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間の目安
- 処分基準
- 不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準
- 行政指導指針
- 同一の行政目的で複数の者に行政指導をするとき、共通して内容となるべき事項を定めたもの
判断ポイント
申請を拒否する処分は申請に対する処分なので、そこで使うのは処分基準ではなく審査基準です。
定めること
最重要- 審査基準
- 定めなければならない法的義務(5条1項)
- 標準処理期間
- 定めるよう努める努力義務にとどまる(6条)
- 処分基準
- 定めるよう努める努力義務にとどまる(12条1項)
- 行政指導指針
- 定めなければならない法的義務である(36条)
判断ポイント
審査基準の設定を努力に落とす肢と、処分基準の設定を義務に上げる肢が両方向から出ます。
公にする・公表すること
- 審査基準
- 公にしておくことは法的義務。行政上特別の支障があるときは除かれる(5条3項)
- 標準処理期間
- 定めたときは公にしておくことが法的義務(6条)
- 処分基準
- 公にしておくことも努力義務にとどまる(12条1項)
- 行政指導指針
- 公表することは法的義務。行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい(36条)
判断ポイント
標準処理期間だけが、設定は努力・公表は義務という食い違った組合せになります。
同じ組合せの制度
- 審査基準
- 設定も公表も義務という点で、行政指導指針と同じ組合せになる
- 標準処理期間
- 設定は努力・公表は義務。行政不服審査法16条の標準審理期間も同じ組合せである
- 処分基準
- 設定も公表も努力という組合せは、この処分基準だけである
- 行政指導指針
- 設定も公表も義務という点で、審査基準と同じ組合せになる
判断ポイント
処分基準だけが両方とも努力だと覚えると、残りは義務が絡む組合せに整理できます。
01申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)の重要暗記項目
審査基準
審査基準について行政庁が負う義務は三つとも法的義務である。①行政庁は審査基準を定めなければならない(5条1項)②許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとしなければならない(同2項)③行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならない(同3項)。「公にする」とは求めがあればいつでも何人にも示せる状態にしておくことをいい、積極的な周知までは求められない。
覚え方審査基準は全部が義務、処分基準は設定と公表が努力(具体化だけは義務)、標準処理期間はその中間
ひっかけ注意審査基準の設定を努力義務に格下げする肢と、処分基準の設定を法的義務に格上げする肢が両方向から出る。例外を落として「いかなる場合も公にする」とする肢も出る。
標準処理期間
6条は「申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間…を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは…公にしておかなければならない」と規定する。設定するかどうかは努力義務、設定した以上その公表は法的義務である。法令により申請の提出先とされている機関が行政庁と異なるときは、その機関に到達してから行政庁に到達するまでに通常要すべき期間も併せて定める。期間を経過しただけで処分が当然に違法となるわけではない。
覚え方決めるかどうかは努力、決めたら公にするのは義務
ひっかけ注意努力義務と法的義務を入れ替える肢。標準処理期間を徒過しただけで直ちに処分が違法になるとする肢も誤りである。
申請拒否処分の理由の提示
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、処分と同時にその理由を示さなければならない(8条1項本文)。例外は、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められており、かつ当該申請がこれに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときに限られ、この場合も申請者の求めがあれば理由を示さなければならない。処分を書面でするときは理由も書面による(同2項)。
覚え方基準が数字で明確、不適合も申請書から明らか。この二つが揃って初めて省略できる
ひっかけ注意例外の要件を「審査基準が公にされているとき」だけに緩める肢。客観的指標による明確性と不適合の明白性という二重の要件が必要である。
届出
届出とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務づけられているものをいう(2条7号)。37条により、届出書の記載事項に不備がないこと等の形式上の要件に適合している届出が、法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされる。受理・不受理という行政実務上の取扱いは否定されており、窓口で受け取られなくても効果は左右されない。
覚え方届出は到達で完了。行政手続法に受理という概念はない
ひっかけ注意「窓口で受け取ってもらえなければ届出をしたことにならない」とする実務感覚に引きずらせる肢。逆に、形式上の要件に適合しない届出は到達しても義務を履行したことにならない。
標準審理期間
審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁および関係処分庁の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならない(16条)。設定は努力義務、公表は法的義務であり、行政手続法6条の標準処理期間と同じ組合せである。審理員となるべき者の名簿(17条)も同じ構造である。
覚え方定めるのは努力、定めたら公にするのは義務
ひっかけ注意設定義務と公表義務を取り違える肢。行政手続法5条の審査基準(設定も公表も義務)と混同させる肢も出る。
申請に対する審査・応答
7条は「申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず」と到達主義を採用し、従来の「受理」概念を排除した。形式上の要件に適合しない申請については、速やかに相当の期間を定めて補正を求めるか、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。窓口での受取拒否、返戻、預かり扱いといった処理はいずれも許されない。補正を求めるか直ちに拒否するかは行政庁が選択できる。
覚え方届いたら審査開始。返すのも預かるのも禁止で、補正か拒否かの二択
ひっかけ注意「まず補正を求めなければならず、直ちに拒否することはできない」とする肢。二者択一であり、どちらを選ぶかは行政庁が決められる。
情報の提供
9条1項は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならないと定める。9条2項は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載および添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならないと定める。いずれも努力義務にとどまる。2項の相手方には申請前の段階にある「申請をしようとする者」も含まれる点が1項との違いである。
覚え方1項は申請後の進み具合、2項は申請前から使える情報提供
ひっかけ注意努力義務を法的義務に格上げする肢に加え、9条2項の相手方を既に申請した者に限定する肢も出る。申請前の者も対象である。
公聴会の開催等
10条は、申請に対する処分であって申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならないと定める。あくまで努力義務であり、意見聴取の方法も公聴会に限られない。不利益処分にはこれに対応する規定がなく、第三者の手続参加を一般的に保障したものでもない。
覚え方必要に応じ・その他の適当な方法により・努めなければ、という三重の緩さ
ひっかけ注意「必ず公聴会を開催しなければならない」と義務化する肢と、意見聴取の方法を公聴会に限定する肢。他の適当な方法でもよい。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 審査基準 設定は義務・公表は義務
- 標準処理期間 設定は努力義務・公表は義務
- 処分基準 設定も公表も努力義務
- ひっかけ形式不備の申請にはまず補正を求めなければならず直ちに拒否できないとする肢。補正と拒否は行政庁が選択できる
- ひっかけ申請拒否の理由提示の例外を「審査基準が公にされているとき」に緩める肢。数量的指標による明確性と不適合の明白性という二重の要件が要る
- ひっかけ公聴会の開催を義務とする肢。10条は必要に応じ公聴会その他の適当な方法で意見を聴く努力義務にとどまる
押さえる判例
多数の申請を並行審査する場合は内部的にせよ具体的な審査基準を設定して公正に適用すべきで、主張と証拠提出の機会を欠く判定に基づく却下処分は違法
公聴会審理に不備があっても、申請者が主張立証を尽くしても認定判断を左右する資料を提出し得たとは認め難いとして、処分を違法とはしなかった
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1審査基準・標準処理期間・処分基準のどれかを特定し、設定と公表それぞれが義務か努力義務かを当てはめる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2申請が到達しているかを見る。到達すれば遅滞なく審査を開始する義務が生じ、受取拒否・返戻・預かり扱いはできない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3形式不備なら、相当の期間を定めて補正を求めるか拒否処分をするかを行政庁が選べる。拒否するなら理由の提示が要る
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政手続法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 22/24(編集部の目安)
審査基準
申請に対する処分の手続について、行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を、許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとして定めるよう努めなければならない。
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)の○×一問一答11問|問題と解説
この論点で収録している11問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
審査基準重要度S申請に対する処分の手続について、行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を、許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとして定めるよう努めなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。審査基準の設定は「定めるものとする」とされた法的義務であり、努力義務ではない(5条1項)。
問2
標準処理期間重要度A申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間について、行政庁はこれを定めることを法律上義務づけられており、他方で、定めた標準処理期間を公にするかどうかは行政庁の努力義務にとどまる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。6条は定めることを努力義務とし、定めたときの公表を法的義務としており、記述は義務のレベルが逆である。
問3
届出重要度A届出が届出書の記載事項に不備がないことその他の法令に定められた形式上の要件に適合している場合には、当該届出が法令により提出先とされている機関の事務所に到達したときに、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。37条は届出について到達主義を採り、行政庁の受理という観念を排除している。
問4
申請に対する審査・応答重要度B行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、申請書の記載事項に不備があることを理由としてその受取りを拒み、又は申請書を返戻することは許されない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。7条は到達によって審査開始義務が生じるとしており、いわゆる受理・不受理という取扱いを否定している。
問5
審査基準重要度B行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により、審査基準を公にしておかなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。5条3項は、行政上特別の支障があるときを例外としつつ、審査基準を公にすることを義務づけている。
問6
申請拒否処分の理由の提示重要度A行政庁は、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標により明確に定められている場合であって、申請がこれらに適合しないことが申請書の記載から明らかであるときは、申請拒否処分の理由を申請者の求めがあったときに示せば足りる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。8条1項ただし書は、基準が客観的指標で明確なうえ不適合が申請内容から明らかな場合の例外を定めている。
問7
標準審理期間重要度A審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めなければならず、これを定めないことは違法となる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。16条は標準審理期間を「定めるよう努める」努力義務とする。もっとも、定めたときはこれを公にしておく義務がある。
問8
公聴会の開催等重要度B行政庁は、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされている処分を行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。10条は公聴会等による第三者の意見聴取を努力義務として定めている。
問9
届出重要度B法令上の形式的な要件に適合した届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達した場合であっても、当該機関がこれを受理して初めて、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとみなされる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。37条は事務所への到達をもって義務の履行とするものであり、受理という行為を要件としていない。
問10
情報の提供重要度B申請に対する審査が長期にわたっている場合において、行政庁は、申請者から求めがあったときは、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しについて、遅滞なくこれを示さなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。9条1項は「示すよう努めなければならない」と定める努力義務であり、法的義務ではない。
問11
複数の行政庁が関与する処分重要度C行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって、自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させてはならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。11条1項は、関連申請が審査中であることを理由とする殊更の遅延を禁止している。
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)の問題を続けて解く
この論点に対応する11問を絞り込んで出題します。