商法・会社法
株式会社の設立・株式と株主総会
定款の絶対的記載事項5つに発行可能株式総数を紛れ込ませる肢が定番です。特別決議の定足数は定款でも3分の1未満に下げられない点、譲渡制限違反の株式譲渡が当事者間では有効という相対的無効説も要点になります。
要点 8件・基本問題 8問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
行政書士試験での出題
出題ランク A対応する一問一答 19問
収録している過去問には、この論点に直接あたる問題はありません。 下の確認問題で押さえてください。
株主総会の決議要件
普通決議は議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で成立し(309条1項)、定足数は定款で完全に排除できる。特別決議は定足数を定款で3分の1未満に下げることができず、出席株主の議決権の3分の2以上を要する(同2項)。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更等は、株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上による特殊決議である(同3項)。
覚え方普通は過半数、特別は三分の一の定足数と三分の二、特殊は頭数まで数える
混同注意・比較表
事業譲渡と吸収合併の手続の違い
最初に、譲り渡す側の会社が消えるかどうかを見ます。会社ごと1つになる合併では債権者の異議手続が必要で、事業だけを渡す譲渡では不要です。
| 事由 | 事業譲渡 | 吸収合併 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 権利義務の移り方 | 包括的には移転せず、個別に権利移転の手続をとる必要がある | 消滅会社の権利義務関係が、存続会社に包括的に承継される | 個別移転か包括承継かが、両者を分ける出発点です。 |
| 譲り渡す側の会社 | 事業を譲渡しても会社は消滅せず、そのまま存続する | 消滅会社は解散し、消滅する | 「事業譲渡をすると譲渡会社が消える」とする肢が誤りの定番です。 |
| 対象になる範囲 | 事業の全部だけでなく、一部の譲渡もできる | 複数の会社が1つの会社になるもので、新設合併と吸収合併の2種類がある | 一部だけ切り出したいときに使えるのが事業譲渡です。 |
| 株主総会の特別決議最重要 | 全部の譲渡は譲渡会社・譲受会社の双方で必要。重要な一部の譲渡は譲渡会社だけ必要(309条2項11号) | 消滅会社・存続会社のそれぞれで、効力発生の前までに必要 | 重要でない一部の譲渡は、どちらの会社でも決議が不要になります。 |
| 反対株主の株式買取請求権 | 反対株主に認められる(469条1項) | 消滅会社・存続会社のそれぞれで、反対株主に認められる | 買取請求権はどちらにもあります。差がつくのは次の債権者異議手続です。 |
| 債権者異議手続 | 手続は不要 | 両社で債権者に異議を述べる機会が与えられ、異議が出れば弁済等をする | 債務が包括的に移る合併だけ、債権者を保護する手続が用意されています。 |
権利義務の移り方
- 事業譲渡
- 包括的には移転せず、個別に権利移転の手続をとる必要がある
- 吸収合併
- 消滅会社の権利義務関係が、存続会社に包括的に承継される
判断ポイント
個別移転か包括承継かが、両者を分ける出発点です。
譲り渡す側の会社
- 事業譲渡
- 事業を譲渡しても会社は消滅せず、そのまま存続する
- 吸収合併
- 消滅会社は解散し、消滅する
判断ポイント
「事業譲渡をすると譲渡会社が消える」とする肢が誤りの定番です。
対象になる範囲
- 事業譲渡
- 事業の全部だけでなく、一部の譲渡もできる
- 吸収合併
- 複数の会社が1つの会社になるもので、新設合併と吸収合併の2種類がある
判断ポイント
一部だけ切り出したいときに使えるのが事業譲渡です。
株主総会の特別決議
最重要- 事業譲渡
- 全部の譲渡は譲渡会社・譲受会社の双方で必要。重要な一部の譲渡は譲渡会社だけ必要(309条2項11号)
- 吸収合併
- 消滅会社・存続会社のそれぞれで、効力発生の前までに必要
判断ポイント
重要でない一部の譲渡は、どちらの会社でも決議が不要になります。
反対株主の株式買取請求権
- 事業譲渡
- 反対株主に認められる(469条1項)
- 吸収合併
- 消滅会社・存続会社のそれぞれで、反対株主に認められる
判断ポイント
買取請求権はどちらにもあります。差がつくのは次の債権者異議手続です。
債権者異議手続
- 事業譲渡
- 手続は不要
- 吸収合併
- 両社で債権者に異議を述べる機会が与えられ、異議が出れば弁済等をする
判断ポイント
債務が包括的に移る合併だけ、債権者を保護する手続が用意されています。
最重要・比較表
発起設立と募集設立の手続の違い
最初に、発起人以外からも出資を募るかどうかを確認します。募るなら創立総会の開催が必要になり、払込取扱機関の保管証明義務も生じます。
| 事由 | 発起設立 | 募集設立 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 誰が出資するか | 発起人だけが設立時発行株式の全部を引き受けて出資する | 発起人が一部を引き受けたうえで、残りについて発起人以外の引受人を募集する | どちらの方法でも、各発起人は最低1株以上を引き受けなければなりません(25条2項)。 |
| 創立総会の開催最重要 | 開催は不要 | 開催が必要(65条1項) | 創立総会は募集設立だけの手続です。「発起設立でも必要」とする肢が定番の誤りです。 |
| 設立時取締役の選任 | 発起人が、その議決権の過半数で選任する(38条1項) | 創立総会の決議によって選任する(88条1項) | 設立時取締役の仕事は設立過程の調査で、設立手続の執行は発起人の仕事です。 |
| 出資を履行しない者の扱い | 発起人に失権予告付きの催告をし、それでも履行しないときに失権する(36条) | 発起人には失権予告付催告が必要だが、発起人以外の引受人は期日までに履行しないと当然に失権する(63条3項) | 催告が要るのは発起人だけ。募集に応じた引受人は催告なしで当然失権します。 |
| 払込取扱機関の保管証明義務 | 証明義務なし | 証明義務あり(64条1項) | 払込みを銀行等の払込取扱場所で行う点は共通で、証明義務の有無だけが違います。 |
| 発起人の引受担保責任 | なし。予定額に届かなくても発起人が差額を負担する義務はない | なし。かつては存在したが法改正で廃止されている | どちらの方法でも引受担保責任は生じません。改正前の知識を使わせる肢に注意します。 |
誰が出資するか
- 発起設立
- 発起人だけが設立時発行株式の全部を引き受けて出資する
- 募集設立
- 発起人が一部を引き受けたうえで、残りについて発起人以外の引受人を募集する
判断ポイント
どちらの方法でも、各発起人は最低1株以上を引き受けなければなりません(25条2項)。
創立総会の開催
最重要- 発起設立
- 開催は不要
- 募集設立
- 開催が必要(65条1項)
判断ポイント
創立総会は募集設立だけの手続です。「発起設立でも必要」とする肢が定番の誤りです。
設立時取締役の選任
- 発起設立
- 発起人が、その議決権の過半数で選任する(38条1項)
- 募集設立
- 創立総会の決議によって選任する(88条1項)
判断ポイント
設立時取締役の仕事は設立過程の調査で、設立手続の執行は発起人の仕事です。
出資を履行しない者の扱い
- 発起設立
- 発起人に失権予告付きの催告をし、それでも履行しないときに失権する(36条)
- 募集設立
- 発起人には失権予告付催告が必要だが、発起人以外の引受人は期日までに履行しないと当然に失権する(63条3項)
判断ポイント
催告が要るのは発起人だけ。募集に応じた引受人は催告なしで当然失権します。
払込取扱機関の保管証明義務
- 発起設立
- 証明義務なし
- 募集設立
- 証明義務あり(64条1項)
判断ポイント
払込みを銀行等の払込取扱場所で行う点は共通で、証明義務の有無だけが違います。
発起人の引受担保責任
- 発起設立
- なし。予定額に届かなくても発起人が差額を負担する義務はない
- 募集設立
- なし。かつては存在したが法改正で廃止されている
判断ポイント
どちらの方法でも引受担保責任は生じません。改正前の知識を使わせる肢に注意します。
最重要・比較表
取締役・監査役・会計参与・会計監査人の選任と任期
最初に、4つとも選任は株主総会決議だと押さえます。差がつくのは解任の決議要件と任期の年数、そして設置が義務か任意かの3点です。
| 事由 | 取締役 | 監査役 | 会計参与 | 会計監査人 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 役割 | 会社の業務を執行する(348条1項) | 取締役の職務の執行を監査する(381条1項) | 取締役と共同して計算書類等を作成する(374条1項) | 計算書類等を監査する(396条1項) | 会計参与は「作る側」、会計監査人は「チェックする側」という違いです。 |
| 選任 | 株主総会の決議で選任する(329条1項) | 株主総会の決議で選任する。取締役が選任議案を出すには監査役(複数のときは過半数)の同意が必要(343条1項) | 株主総会の決議で選任する(329条1項) | 株主総会の決議で選任する(329条1項) | 4つとも選任は株主総会決議です。違いが出るのは解任のほうです。 |
| 解任最重要 | 株主総会の決議で解任できる(339条1項) | 株主総会の特別決議が必要(339条1項、309条2項7号) | 株主総会の決議で解任できる(339条1項) | 株主総会の決議で解任できる(339条1項) | 特別決議が要るのは監査役の解任だけ。監査する立場を守るための加重です。 |
| 任期 | 2年(選任後2年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで) | 4年。4つの中で最も長く、取締役の2倍になる | 2年。取締役と同じ年数になる | 1年。4つの中で最も短い | 2年・4年・2年・1年の並びで覚えます。非公開会社では取締役・監査役に加えて会計参与も10年まで伸長できますが(332条2項・336条2項・334条1項)、会計監査人は伸長できません。監査等委員会設置会社では監査等委員である取締役が2年、それ以外の取締役は1年です(332条3項・4項)。 |
| 設置 | すべての株式会社に必ず置かなければならない | 公開会社では設置が必要。ただし監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では置けない(327条4項) | 会社の規模や機関設計にかかわらず、定款で任意に設置できる(326条2項) | 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社・大会社では設置が義務(327条5項、328条) | 大会社は資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社です。会計参与と入れ替えた肢に注意します。 |
| 会社法上の役員にあたるか | 役員にあたる | 役員にあたる | 役員にあたる | 役員ではない | 会計監査人だけが「役員」に含まれません(329条1項)。 |
役割
- 取締役
- 会社の業務を執行する(348条1項)
- 監査役
- 取締役の職務の執行を監査する(381条1項)
- 会計参与
- 取締役と共同して計算書類等を作成する(374条1項)
- 会計監査人
- 計算書類等を監査する(396条1項)
判断ポイント
会計参与は「作る側」、会計監査人は「チェックする側」という違いです。
選任
- 取締役
- 株主総会の決議で選任する(329条1項)
- 監査役
- 株主総会の決議で選任する。取締役が選任議案を出すには監査役(複数のときは過半数)の同意が必要(343条1項)
- 会計参与
- 株主総会の決議で選任する(329条1項)
- 会計監査人
- 株主総会の決議で選任する(329条1項)
判断ポイント
4つとも選任は株主総会決議です。違いが出るのは解任のほうです。
解任
最重要- 取締役
- 株主総会の決議で解任できる(339条1項)
- 監査役
- 株主総会の特別決議が必要(339条1項、309条2項7号)
- 会計参与
- 株主総会の決議で解任できる(339条1項)
- 会計監査人
- 株主総会の決議で解任できる(339条1項)
判断ポイント
特別決議が要るのは監査役の解任だけ。監査する立場を守るための加重です。
任期
- 取締役
- 2年(選任後2年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)
- 監査役
- 4年。4つの中で最も長く、取締役の2倍になる
- 会計参与
- 2年。取締役と同じ年数になる
- 会計監査人
- 1年。4つの中で最も短い
判断ポイント
2年・4年・2年・1年の並びで覚えます。非公開会社では取締役・監査役に加えて会計参与も10年まで伸長できますが(332条2項・336条2項・334条1項)、会計監査人は伸長できません。監査等委員会設置会社では監査等委員である取締役が2年、それ以外の取締役は1年です(332条3項・4項)。
設置
- 取締役
- すべての株式会社に必ず置かなければならない
- 監査役
- 公開会社では設置が必要。ただし監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では置けない(327条4項)
- 会計参与
- 会社の規模や機関設計にかかわらず、定款で任意に設置できる(326条2項)
- 会計監査人
- 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社・大会社では設置が義務(327条5項、328条)
判断ポイント
大会社は資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社です。会計参与と入れ替えた肢に注意します。
会社法上の役員にあたるか
- 取締役
- 役員にあたる
- 監査役
- 役員にあたる
- 会計参与
- 役員にあたる
- 会計監査人
- 役員ではない
判断ポイント
会計監査人だけが「役員」に含まれません(329条1項)。
01株式会社の設立・株式と株主総会の重要暗記項目
株主総会の決議要件
普通決議は議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で成立し(309条1項)、定足数は定款で完全に排除できる。特別決議は定足数を定款で3分の1未満に下げることができず、出席株主の議決権の3分の2以上を要する(同2項)。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更等は、株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上による特殊決議である(同3項)。
覚え方普通は過半数、特別は三分の一の定足数と三分の二、特殊は頭数まで数える
ひっかけ注意特別決議の定足数も定款で完全に排除できるとする誤りが狙われる。3分の1未満に下げることはできない。
株主総会の決議の瑕疵
決議取消しの訴え(831条1項)の取消事由は、招集手続または決議方法の法令・定款違反もしくは著しい不公正、決議内容の定款違反、特別の利害関係を有する者の議決権行使による著しく不当な決議の3つで、提訴期間は決議の日から3箇月である。違反する事実が重大でなく決議に影響を及ぼさないときは裁量棄却が認められる(同2項)。決議内容の法令違反は無効確認の訴え、決議の不存在は不存在確認の訴えによる(830条)。
覚え方手続の瑕疵は三箇月以内の取消し、内容の法令違反は無効
ひっかけ注意決議内容が法令に違反する場合も取消事由とする誤りが定番。内容の法令違反は無効事由であり期間制限がない。
定款の絶対的記載事項
株式会社の定款の絶対的記載事項は、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称および住所の5つである(会社法27条)。発行可能株式総数は絶対的記載事項ではなく、株式会社の成立の時までに発起人全員の同意によって定款を変更して定めればよい(37条1項)。設立時の定款(原始定款)は公証人の認証を受けなければ効力を生じない(30条1項)。持分会社の定款には認証が不要である。
覚え方目的・商号・本店・出資額・発起人の五つ。発行可能株式総数は後でよい
ひっかけ注意発行可能株式総数を絶対的記載事項に含める誤りが定番。成立の時までに定めればよい。
変態設立事項と検査役の調査
変態設立事項は、現物出資、財産引受け、発起人が受ける報酬その他の特別の利益、株式会社が負担する設立に関する費用の4つで、定款に記載または記録しなければ効力を生じない(会社法28条)。現物出資・財産引受けについては原則として裁判所の選任する検査役の調査を要するが、定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合、市場価格のある有価証券で定款価額が市場価格以下の場合、弁護士・公認会計士・税理士等の証明(不動産は不動産鑑定士の鑑定評価も必要)を受けた場合は不要である(33条10項)。
覚え方危険な四事項は定款へ。五百万円以下・市場価格・専門家証明なら検査役不要
ひっかけ注意検査役の調査が不要となる金額を「500万円以上」とする誤りが狙われる。正しくは500万円を超えない場合である。
株式譲渡自由の原則
株主はその有する株式を譲渡することができるのが原則である(会社法127条)。定款による譲渡制限に反してされた譲渡について、最判昭和48年6月15日は、会社に対する関係では効力を生じないが譲渡の当事者間では有効であるとした(相対的無効説)。したがって譲受人は会社に対して名義書換を請求できず、会社は譲渡人を株主として扱えば足りるが、譲渡人は譲受人に対して株主の地位を移転する義務を負う。権利株の譲渡や株券発行前の譲渡も会社に対抗できない(35条・128条2項)。
覚え方承認なしの譲渡も当事者間では有効、会社には主張できない
ひっかけ注意譲渡制限に反する譲渡が当事者間でも無効とする誤りが定番。判例は相対的無効説を採る。
取締役の報酬
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益は、定款に定めがないときは株主総会の決議によって定める(会社法361条1項)。お手盛りを防止する趣旨であり、総額の上限を株主総会で決めて各取締役への配分を取締役会に委ねることも許される。退職慰労金も報酬等に含まれる。最判平成4年12月18日は、報酬額が具体的に定まると会社と取締役間の契約内容となり、取締役の同意がない限り株主総会の決議によっても一方的に減額・不支給とすることはできないとした。
覚え方総額を総会で決めれば配分は取締役会に任せられる。決まった額は本人の同意なく下げられない
ひっかけ注意株主総会決議があれば既に確定した報酬を一方的に減額できるとする誤りが狙われる。判例はこれを認めない。
発起設立と募集設立
発起設立は発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法、募集設立は発起人が一部を引き受けたうえで残りについて引受人を募集する方法である(会社法25条1項)。いずれの方法でも各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない(同2項)。募集設立では設立時株主による創立総会の招集が必要である(65条1項)。払込みは発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所でしなければならず(34条2項・63条1項)、募集設立では払込金保管証明が必要となる(64条)。
覚え方発起人が全部引き受ければ発起設立、募れば募集設立で創立総会
ひっかけ注意発起設立では発起人が1株も引き受けなくてよいとする誤りが狙われる。各発起人は1株以上を引き受ける。
株主総会の権限
取締役会を設置しない株式会社の株主総会は、会社法に規定する事項および株式会社の組織・運営・管理その他一切の事項について決議できる万能の意思決定機関である(295条1項)。これに対し取締役会設置会社の株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り決議できる(同2項)。法律により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役や取締役会その他の機関が決定できる旨の定款の定めは効力を有しない(同3項)。取締役会設置会社では招集の際に定めた目的事項以外は決議できない(309条5項)。
覚え方取締役会がなければ万能、あれば法定事項と定款事項に限定
ひっかけ注意取締役会設置会社でも株主総会が一切の事項を決議できるとする誤りが狙われる。権限は限定されている。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 変態設立事項の検査役調査 総額500万円以下なら不要
- 招集通知 2週間前(公開会社でない会社は1週間前。ただし書面・電子投票を定めたときは2週間前、非公開かつ取締役会非設置なら定款で1週間より短くできる)
- 決議取消しの訴え 決議の日から3か月
- ひっかけ発行可能株式総数を定款の絶対的記載事項に含める肢。会社成立の時までに定めればよく、発起設立では発起人全員の同意(37条1項)、募集設立では創立総会の決議(98条)による
- ひっかけ譲渡制限に反する株式譲渡が当事者間でも無効とする肢。会社に対する関係で効力を生じないだけである
- ひっかけ特別決議の定足数を定款で完全に排除できるとする肢。3分の1未満には下げられない
押さえる判例
定款による譲渡制限に反する譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間では有効である
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1設立方法を分ける。募集設立では創立総会が要り、現物出資等の価額不足について発起人の過失免責が認められない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2定款の記載事項を仕分ける。絶対的記載事項は目的・商号・本店の所在地・出資される財産の価額または最低額・発起人の氏名等の5つ
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3総会の決議は定足数と賛成数を分ける。特別決議の定足数は議決権の過半数が原則で、定款で引き下げても3分の1以上が必要。賛成は出席した株主の議決権の3分の2以上(定款で引上げ可)。普通決議は定款で定足数を排除できる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 会社法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
株式会社の設立・株式と株主総会の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
商法・会社法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)
株主総会の決議要件
定款の変更や事業の全部の譲渡などの特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行われる。
株式会社の設立・株式と株主総会の○×一問一答19問|問題と解説
この論点で収録している19問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
株主総会の決議要件重要度S定款の変更や事業の全部の譲渡などの特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行われる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。309条2項は定足数を議決権の過半数、決議要件を出席株主の議決権の3分の2以上としている。
問2
株主総会の決議の瑕疵重要度S株主総会の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主等は決議の日から6か月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。決議取消しの訴えの提訴期間は決議の日から3か月以内である(831条1項)。
問3
定款の絶対的記載事項重要度S株式会社の定款には、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所のほか、発行可能株式総数を記載しなければ、定款としての効力を生じない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。発行可能株式総数は27条の絶対的記載事項ではなく、会社の成立の時までに定款を変更して定めれば足りる(37条1項)。
問4
株式譲渡自由の原則重要度S定款で株式の譲渡について会社の承認を要する旨を定めている場合において、承認を得ずにされた株式の譲渡は、会社との関係だけでなく譲渡の当事者間においても無効である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判昭和48年6月15日は、承認のない譲渡も譲渡当事者間では有効であり、会社との関係で効力を生じないにとどまるとした。
問5
変態設立事項と検査役の調査重要度S現物出資や財産引受けなどの変態設立事項は定款に記載しなければ効力を生じないが、現物出資財産等について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、裁判所に検査役の選任を申し立てる必要はない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。33条10項1号により、現物出資財産等の定款価額の総額が500万円以下のときは検査役の調査が不要となる。
問6
取締役の報酬重要度S取締役の報酬額が定款又は株主総会の決議によって具体的に定められた場合であっても、会社は株主総会の決議によってこれを無報酬に変更することができ、当該取締役の同意がなくてもその効力を生ずる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成4年12月18日は、報酬額が具体的に定まった後は取締役の同意なく一方的に減額できないとした。
問7
株主総会の権限重要度A取締役会を設置しない株式会社の株主総会は会社に関する一切の事項について決議をすることができるが、取締役会設置会社の株主総会は、法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。295条1項が万能機関としての株主総会を定め、同条2項が取締役会設置会社について権限を限定している。
問8
取締役の選任と解任重要度A取締役はいつでも株主総会の決議によって解任することができるが、解任について正当な理由がない場合には、解任された取締役は会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。339条1項が理由を問わない解任を認め、同条2項が正当な理由のない解任について損害賠償請求権を与えている。
問9
発起設立と募集設立重要度A株式会社の設立には発起設立と募集設立があり、発起設立では発起人が設立時発行株式の全部を引き受けるが、募集設立では発起人が設立時発行株式を引き受けることを要しない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。25条2項により、各発起人は設立の方法を問わず設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
問10
株主総会の招集手続重要度A株主総会を招集するには取締役は株主総会の日の2週間前までに株主に対して通知を発しなければならず、公開会社でない株式会社であってもこの期間を短縮することはできない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。公開会社でない株式会社では原則1週間前でよく、取締役会非設置会社では定款でさらに短縮できる(299条1項)。
問11
株主総会の議決権重要度A株主は株主総会において1株につき1個の議決権を有するのが原則であり、単元株式数を定めた場合は1単元につき1個となるが、株式会社が有する自己株式についても株式である以上1個の議決権が認められる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。308条2項により、株式会社はその有する自己株式について議決権を有しない。
問12
役員等の会社に対する責任重要度A役員等が任務を怠ったことにより会社に生じた損害を賠償する責任は総株主の同意がなければ免除することができないが、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、株主総会の特別決議によって一部を免除することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。424条が全部免除に総株主の同意を求め、425条1項が最低責任限度額を超える部分の一部免除を認めている。
問13
剰余金の配当と分配可能額重要度A株式会社が剰余金の配当をするには原則として株主総会の決議を要するが、取締役会設置会社は定款の定めにより、一事業年度の途中において回数の制限なく取締役会の決議で金銭の中間配当をすることができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。454条5項の中間配当は一事業年度の途中において一回に限られ、配当財産も金銭に限定されている。
問14
株主平等原則重要度A株式会社は株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならないが、公開会社でない株式会社は、剰余金の配当や議決権について株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。109条1項が株主平等原則を定め、同条2項は公開会社でない株式会社に属人的定めを認めている。
問15
譲渡制限株式の承認手続重要度A譲渡制限株式の株主から譲渡等承認請求を受けた会社が、その請求の日から2週間以内に承認をするか否かの決定の内容を通知しなかったときは、会社は承認をする旨の決定をしたものとみなされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。145条1号により、2週間以内に139条2項の通知をしないときは承認をしたものとみなされる。
問16
自己株式の取得重要度A株式会社が株主との合意により自己株式を有償で取得する場合、特定の株主から取得するときであっても、他の株主は自己をその特定の株主に加えることを議案とするよう請求する権利を有しない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。160条3項により、他の株主は自己をも特定の株主に加えることを議案とするよう請求できる(売主追加請求権)。
問17
株主提案権重要度A公開会社である取締役会設置会社において株主が一定の事項を株主総会の目的とすることを請求するには、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6か月前から引き続き有していることを要する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。303条2項は、公開会社である取締役会設置会社の議題提案権に1%又は300個以上かつ6か月の継続保有要件を課している。公開会社でない会社には6か月の保有期間要件がない。
問18
組織再編の基本重要度A吸収合併に反対する株主は消滅会社に対して自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができ、この請求は効力発生日から20日以内にしなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。785条5項により、株式買取請求は効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間にしなければならない。
問19
持分会社の特徴重要度B合名会社の社員は全員が無限責任社員であり、持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、他の社員全員の承諾がなければその持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。576条2項が合名会社の無限責任社員を定め、585条1項が持分の譲渡に他の社員全員の承諾を求めている。
株式会社の設立・株式と株主総会の問題を続けて解く
この論点に対応する19問を絞り込んで出題します。