行政法
裁決の種類・効力と教示
事情裁決は棄却なのに主文で違法・不当を宣言するという、結論と形式のねじれを覚えているかが要点です。教示では、書面主義が及ぶのは処分の相手方への教示だけで、利害関係人の求めに応じる教示は口頭でもよい点が狙われます。
要点 8件・基本問題 8問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
行政書士試験での出題
出題ランク A対応する一問一答 12問
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事情裁決
事情裁決の要件は①審査請求に係る処分が違法又は不当であること②当該処分を取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合であること③審査請求人の受ける損害の程度、その賠償又は防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、当該処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認められることである(45条3項)。この場合、審査庁は裁決の主文で当該処分が違法又は不当であることを宣言したうえで審査請求を棄却する。
覚え方結論は棄却。ただし主文で違法・不当を宣言する
最重要・比較表
審査請求と取消訴訟の違い
最初に見るのは、判断するのが行政庁か裁判所かです。ここが決まると、不当まで争えるか、いつまでに申し立てるか、結論が裁決か判決かがすべて決まります。
| 事由 | 審査請求(行政不服審査法) | 取消訴訟(行政事件訴訟法) | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 判断する者 | 審査庁が審査し、裁決を出す。原則は処分庁等の最上級行政庁で、上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条) | 裁判所が審理し、判決を出す。第一審は地方裁判所が管轄する | 行政の中の見直しか、司法の判断かという違いがすべての出発点です。 |
| 審査の対象 | 違法な処分だけでなく、不当な処分も審査の対象にできる | 裁判所による審査なので、争えるのは処分が違法かどうかに限られる | 不当まで見られるのは行政庁が審査するからだ、と理由で覚えます。 |
| いつまでにするか最重要 | 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(18条) | 処分を知った日から6か月、処分の日から1年(14条) | 3か月と6か月の入れ替えが最頻出です。どちらも正当な理由があれば例外があります。 |
| 審理中の執行停止 | 処分庁または上級行政庁である審査庁なら、申立てがなくても職権で執行停止できる | 申立てが必要で、裁判所が職権で執行停止をすることはできない | 審査庁は職権でできるから裁判所もできる、と誤らせる肢が典型です。 |
| 取り消すと公益に著しい障害が出るとき | 事情裁決になる。主文で処分が違法または不当であることを宣言して棄却する(45条3項) | 事情判決になる。主文で処分が違法であることを宣言して棄却する(31条1項) | どちらも結論は棄却です。宣言の対象に不当が入るのは事情裁決だけです。 |
| 国民の主張が通ったときにできること | 審査庁が上級行政庁なら、処分を取り消したうえで処分庁に許可処分をすべき旨を命じられる | 判決は処分を取り消すだけで、やり直しは拘束力により処分庁が改めて行う(33条2項) | 裁判所は処分をやり直させる命令まではせず、拘束力で行政庁に義務づけます。 |
判断する者
- 審査請求(行政不服審査法)
- 審査庁が審査し、裁決を出す。原則は処分庁等の最上級行政庁で、上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条)
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 裁判所が審理し、判決を出す。第一審は地方裁判所が管轄する
判断ポイント
行政の中の見直しか、司法の判断かという違いがすべての出発点です。
審査の対象
- 審査請求(行政不服審査法)
- 違法な処分だけでなく、不当な処分も審査の対象にできる
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 裁判所による審査なので、争えるのは処分が違法かどうかに限られる
判断ポイント
不当まで見られるのは行政庁が審査するからだ、と理由で覚えます。
いつまでにするか
最重要- 審査請求(行政不服審査法)
- 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(18条)
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 処分を知った日から6か月、処分の日から1年(14条)
判断ポイント
3か月と6か月の入れ替えが最頻出です。どちらも正当な理由があれば例外があります。
審理中の執行停止
- 審査請求(行政不服審査法)
- 処分庁または上級行政庁である審査庁なら、申立てがなくても職権で執行停止できる
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 申立てが必要で、裁判所が職権で執行停止をすることはできない
判断ポイント
審査庁は職権でできるから裁判所もできる、と誤らせる肢が典型です。
取り消すと公益に著しい障害が出るとき
- 審査請求(行政不服審査法)
- 事情裁決になる。主文で処分が違法または不当であることを宣言して棄却する(45条3項)
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 事情判決になる。主文で処分が違法であることを宣言して棄却する(31条1項)
判断ポイント
どちらも結論は棄却です。宣言の対象に不当が入るのは事情裁決だけです。
国民の主張が通ったときにできること
- 審査請求(行政不服審査法)
- 審査庁が上級行政庁なら、処分を取り消したうえで処分庁に許可処分をすべき旨を命じられる
- 取消訴訟(行政事件訴訟法)
- 判決は処分を取り消すだけで、やり直しは拘束力により処分庁が改めて行う(33条2項)
判断ポイント
裁判所は処分をやり直させる命令まではせず、拘束力で行政庁に義務づけます。
混同注意・比較表
必要的教示と請求による教示の違い
最初に見るのは、処分の相手方への教示か、利害関係人から求められた教示かです。ここが決まると、書面でしなければならないかどうかが決まります。
| 事由 | 必要的教示(82条1項) | 請求による教示(82条2項) | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 誰に対して教示するか | 処分の相手方に対して、行政庁の側から教示する | 処分の相手方以外の利害関係人に対して教示する | 相手方かそれ以外かで、行政庁が自分から動くかどうかが変わります。 |
| 教示義務が生じるきっかけ | 審査請求できる処分を書面でするときに、当然に義務が生じる | 利害関係人から教示を求められて初めて義務が生じる | 求めがなければ動かなくてよいのが2項の教示です。 |
| 教示する内容 | 審査請求できる旨、審査請求の宛先となる行政庁、審査請求できる期間の3つ | 審査請求できる処分かどうか、審査請求をすべき行政庁、審査請求できる期間 | 執行停止の申立てができる旨は、どちらの教示事項にも含まれません。 |
| 方式最重要 | 必ず書面でしなければならない。処分を口頭でする場合は教示義務がない | 方式の定めがなく口頭でもよいが、書面による教示を求められたときは書面でする(82条3項) | 1項の書面主義を2項にも及ぼす肢が典型の誤りです。 |
誰に対して教示するか
- 必要的教示(82条1項)
- 処分の相手方に対して、行政庁の側から教示する
- 請求による教示(82条2項)
- 処分の相手方以外の利害関係人に対して教示する
判断ポイント
相手方かそれ以外かで、行政庁が自分から動くかどうかが変わります。
教示義務が生じるきっかけ
- 必要的教示(82条1項)
- 審査請求できる処分を書面でするときに、当然に義務が生じる
- 請求による教示(82条2項)
- 利害関係人から教示を求められて初めて義務が生じる
判断ポイント
求めがなければ動かなくてよいのが2項の教示です。
教示する内容
- 必要的教示(82条1項)
- 審査請求できる旨、審査請求の宛先となる行政庁、審査請求できる期間の3つ
- 請求による教示(82条2項)
- 審査請求できる処分かどうか、審査請求をすべき行政庁、審査請求できる期間
判断ポイント
執行停止の申立てができる旨は、どちらの教示事項にも含まれません。
方式
最重要- 必要的教示(82条1項)
- 必ず書面でしなければならない。処分を口頭でする場合は教示義務がない
- 請求による教示(82条2項)
- 方式の定めがなく口頭でもよいが、書面による教示を求められたときは書面でする(82条3項)
判断ポイント
1項の書面主義を2項にも及ぼす肢が典型の誤りです。
混同注意・比較表
審査請求・再調査の請求・再審査請求の違い
最初に確かめるのは、その処分について法律に特別の定めがあるかどうかです。定めがなければ選べるのは審査請求だけで、相手方も期間もそこから決まります。
| 事由 | 審査請求 | 再調査の請求 | 再審査請求 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 使える場面 | 処分や不作為であれば原則として使える。7条1項が列挙する適用除外に当たらない限り対象になる | 処分庁以外の行政庁に審査請求でき、かつ個別の法律に再調査の請求ができる定めがあるときだけ | 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合だけ(6条1項) | 審査請求だけが一般概括主義で、他の2つは個別法の定めが出発点になります。 |
| 対象 | 処分と不作為の両方 | 処分のみ。不作為は対象外 | 審査請求に対する裁決(原裁決)に不服がある場合に、その裁決を対象として行う | 不作為について再調査の請求はできない点がそのまま出題されます。再審査請求は、条文上は原裁決だけでなく処分そのものも対象にできます(6条2項)。 |
| 誰に対して行うか | 原則として処分庁等の最上級行政庁に対して行う。上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条) | 処分をした処分庁自身に対して行う(5条1項) | 法律が指定する行政庁(再審査庁)に対して行う。行政不服審査会に対して行うのではない | 再調査は必ず処分庁本人。審査請求も、上級行政庁がなければ結果として処分庁が審査庁になります。 |
| 請求できる期間最重要 | 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(18条) | 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(54条) | 原裁決を知った日の翌日から1か月、原裁決の日の翌日から1年(62条) | 再審査請求だけ主観的期間が1か月です。3か月と書き換える改変が狙われます。 |
| 出される結論の名称 | 審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却・認容がある | 処分庁が出す調査結果は決定と呼ばれる | 再審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却のほか原裁決を取り消す裁決がある(64条・65条) | 決定という名前が出てくるのは再調査の請求だけです。 |
| 先に選んだときの扱い | 審査請求を選んだ場合、同じ処分について再調査の請求をすることはできない | 再調査の請求をしたときは、その決定を受けた後でなければ審査請求できない(5条2項) | 審査請求の裁決を受けた後に、さらに争うための二段階目の手続である | 審査請求と再調査は選択、再審査は審査請求の後という順序関係です。 |
使える場面
- 審査請求
- 処分や不作為であれば原則として使える。7条1項が列挙する適用除外に当たらない限り対象になる
- 再調査の請求
- 処分庁以外の行政庁に審査請求でき、かつ個別の法律に再調査の請求ができる定めがあるときだけ
- 再審査請求
- 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合だけ(6条1項)
判断ポイント
審査請求だけが一般概括主義で、他の2つは個別法の定めが出発点になります。
対象
- 審査請求
- 処分と不作為の両方
- 再調査の請求
- 処分のみ。不作為は対象外
- 再審査請求
- 審査請求に対する裁決(原裁決)に不服がある場合に、その裁決を対象として行う
判断ポイント
不作為について再調査の請求はできない点がそのまま出題されます。再審査請求は、条文上は原裁決だけでなく処分そのものも対象にできます(6条2項)。
誰に対して行うか
- 審査請求
- 原則として処分庁等の最上級行政庁に対して行う。上級行政庁がないとき等は処分庁等自身が審査庁になる(4条)
- 再調査の請求
- 処分をした処分庁自身に対して行う(5条1項)
- 再審査請求
- 法律が指定する行政庁(再審査庁)に対して行う。行政不服審査会に対して行うのではない
判断ポイント
再調査は必ず処分庁本人。審査請求も、上級行政庁がなければ結果として処分庁が審査庁になります。
請求できる期間
最重要- 審査請求
- 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(18条)
- 再調査の請求
- 処分を知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年(54条)
- 再審査請求
- 原裁決を知った日の翌日から1か月、原裁決の日の翌日から1年(62条)
判断ポイント
再審査請求だけ主観的期間が1か月です。3か月と書き換える改変が狙われます。
出される結論の名称
- 審査請求
- 審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却・認容がある
- 再調査の請求
- 処分庁が出す調査結果は決定と呼ばれる
- 再審査請求
- 再審査庁が出す結論は裁決。却下・棄却のほか原裁決を取り消す裁決がある(64条・65条)
判断ポイント
決定という名前が出てくるのは再調査の請求だけです。
先に選んだときの扱い
- 審査請求
- 審査請求を選んだ場合、同じ処分について再調査の請求をすることはできない
- 再調査の請求
- 再調査の請求をしたときは、その決定を受けた後でなければ審査請求できない(5条2項)
- 再審査請求
- 審査請求の裁決を受けた後に、さらに争うための二段階目の手続である
判断ポイント
審査請求と再調査は選択、再審査は審査請求の後という順序関係です。
混同注意・比較表
審査庁の立場で変わること(執行停止と認容裁決)
最初に確かめるのは、審査庁が処分庁とどういう関係にあるかです。処分庁を監督できる立場かどうかで、執行停止でとれる措置も認容裁決の中身も変わります。
| 事由 | 処分庁自身が審査庁 | 処分庁の上級行政庁が審査庁 | そのいずれでもない審査庁 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 申立てがなくても執行停止できるか | 職権でもできる | 職権でもできる | 申立てがないとできない | 処分庁への監督権があるかどうかが、職権での執行停止を認める根拠です。 |
| 処分庁の意見聴取 | 意見聴取は不要 | 意見聴取は不要 | 意見聴取が必要 | 第三者の立場で審査する審査庁だけ、処分庁の言い分を聞く手続が要ります。 |
| その他の措置 | とれる。免職処分を停職処分に変えるなど、処分の内容に踏み込む措置ができる | とれる。処分を別の軽い処分に変えるなど積極的な措置ができる | とれない。効力の停止・執行の停止・手続の続行の停止に限られる | 25条2項と3項で措置の範囲が違います。積極的措置は2項の審査庁だけです。 |
| 申請の却下処分を取り消す認容裁決の中身最重要 | 却下処分を取り消したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(46条2項) | 却下処分を取り消したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる | 却下処分を取り消すだけで、許可処分をすることも命じることもできない | 取り消した先に何ができるかは、審査庁が処分をする権限を持つかで決まります。 |
| 不作為の審査請求を認容するときの中身 | 不作為の違法を宣言したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(49条3項) | 不作為の違法を宣言したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる | 不作為が違法であることを宣言するにとどまる | 処分の場合と同じ3パターンで整理すると、条文を引かずに答えを出せます。 |
| 処分を別のものに変更する裁決 | できる(46条1項)。ただし審査請求人に不利益な変更はできない(48条) | できる(46条1項)。ただし不利益な方向への変更は禁止される(48条) | できない。処分を別のものに変更する裁決は下されない | 変更できる審査庁でも、元の処分より重くする方向の変更は禁止されます。 |
申立てがなくても執行停止できるか
- 処分庁自身が審査庁
- 職権でもできる
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- 職権でもできる
- そのいずれでもない審査庁
- 申立てがないとできない
判断ポイント
処分庁への監督権があるかどうかが、職権での執行停止を認める根拠です。
処分庁の意見聴取
- 処分庁自身が審査庁
- 意見聴取は不要
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- 意見聴取は不要
- そのいずれでもない審査庁
- 意見聴取が必要
判断ポイント
第三者の立場で審査する審査庁だけ、処分庁の言い分を聞く手続が要ります。
その他の措置
- 処分庁自身が審査庁
- とれる。免職処分を停職処分に変えるなど、処分の内容に踏み込む措置ができる
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- とれる。処分を別の軽い処分に変えるなど積極的な措置ができる
- そのいずれでもない審査庁
- とれない。効力の停止・執行の停止・手続の続行の停止に限られる
判断ポイント
25条2項と3項で措置の範囲が違います。積極的措置は2項の審査庁だけです。
申請の却下処分を取り消す認容裁決の中身
最重要- 処分庁自身が審査庁
- 却下処分を取り消したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(46条2項)
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- 却下処分を取り消したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる
- そのいずれでもない審査庁
- 却下処分を取り消すだけで、許可処分をすることも命じることもできない
判断ポイント
取り消した先に何ができるかは、審査庁が処分をする権限を持つかで決まります。
不作為の審査請求を認容するときの中身
- 処分庁自身が審査庁
- 不作為の違法を宣言したうえで、審査庁が自ら許可処分をする(49条3項)
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- 不作為の違法を宣言したうえで、処分庁に許可処分をすべき旨を命じる
- そのいずれでもない審査庁
- 不作為が違法であることを宣言するにとどまる
判断ポイント
処分の場合と同じ3パターンで整理すると、条文を引かずに答えを出せます。
処分を別のものに変更する裁決
- 処分庁自身が審査庁
- できる(46条1項)。ただし審査請求人に不利益な変更はできない(48条)
- 処分庁の上級行政庁が審査庁
- できる(46条1項)。ただし不利益な方向への変更は禁止される(48条)
- そのいずれでもない審査庁
- できない。処分を別のものに変更する裁決は下されない
判断ポイント
変更できる審査庁でも、元の処分より重くする方向の変更は禁止されます。
最重要・比較表
却下裁決・棄却裁決・事情裁決・認容裁決の違い
最初に見るのは、審査請求が形式として適法かどうかです。適法なら中身の審理に入り、理由があるかどうか、取り消すと公益を害しないかで結論が分かれます。
| 事由 | 却下裁決 | 棄却裁決 | 事情裁決 | 認容裁決 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| どんなときに出るか | 審査請求が法定の期間経過後にされたなど、形式として不適法な場合(45条1項) | 審理の結果、審査請求に理由がないと判断された場合(45条2項) | 処分は違法または不当だが、取り消すと公の利益に著しい障害を生じる場合(45条3項) | 審理の結果、審査請求に理由があると判断された場合(46条1項) | 却下だけが門前払いで、残りの3つは中身を審理したうえでの結論です。 |
| 処分はどうなるか | 中身を審理していないので、処分はそのまま残る | 処分に違法・不当がないとされ、処分はそのまま維持される | 処分が違法または不当と認められたのに、取り消されずに残る | 処分が取り消され、その効力は当初から生じていなかったことになる(形成力) | 事情裁決だけが、違法と認めながら処分を残すというねじれた結論です。 |
| 裁決の主文最重要 | 審査請求を却下する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない | 審査請求を棄却する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない | 棄却するにあたり、主文で処分が違法または不当であることを宣言しなければならない | 処分を取り消す旨を記載する。審査庁が処分庁自身か上級行政庁なら処分の変更もできる | 違法の宣言を理由中で示せば足りるとする肢は誤りです。主文に書きます。 |
| 審査請求人から見た結果 | 中身を見てもらえないまま終わる門前払いになる | 国民の負けで、求めた取消しは認められない | 内容は国民の勝ちだが、結果は棄却なので国民の負けになる | 国民の勝ちで、求めたとおりに処分が取り消される | 事情裁決を認容裁決の一種と位置づける肢が定番の誤りです。 |
どんなときに出るか
- 却下裁決
- 審査請求が法定の期間経過後にされたなど、形式として不適法な場合(45条1項)
- 棄却裁決
- 審理の結果、審査請求に理由がないと判断された場合(45条2項)
- 事情裁決
- 処分は違法または不当だが、取り消すと公の利益に著しい障害を生じる場合(45条3項)
- 認容裁決
- 審理の結果、審査請求に理由があると判断された場合(46条1項)
判断ポイント
却下だけが門前払いで、残りの3つは中身を審理したうえでの結論です。
処分はどうなるか
- 却下裁決
- 中身を審理していないので、処分はそのまま残る
- 棄却裁決
- 処分に違法・不当がないとされ、処分はそのまま維持される
- 事情裁決
- 処分が違法または不当と認められたのに、取り消されずに残る
- 認容裁決
- 処分が取り消され、その効力は当初から生じていなかったことになる(形成力)
判断ポイント
事情裁決だけが、違法と認めながら処分を残すというねじれた結論です。
裁決の主文
最重要- 却下裁決
- 審査請求を却下する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない
- 棄却裁決
- 審査請求を棄却する旨を記載する。違法・不当の宣言は入らない
- 事情裁決
- 棄却するにあたり、主文で処分が違法または不当であることを宣言しなければならない
- 認容裁決
- 処分を取り消す旨を記載する。審査庁が処分庁自身か上級行政庁なら処分の変更もできる
判断ポイント
違法の宣言を理由中で示せば足りるとする肢は誤りです。主文に書きます。
審査請求人から見た結果
- 却下裁決
- 中身を見てもらえないまま終わる門前払いになる
- 棄却裁決
- 国民の負けで、求めた取消しは認められない
- 事情裁決
- 内容は国民の勝ちだが、結果は棄却なので国民の負けになる
- 認容裁決
- 国民の勝ちで、求めたとおりに処分が取り消される
判断ポイント
事情裁決を認容裁決の一種と位置づける肢が定番の誤りです。
01裁決の種類・効力と教示の重要暗記項目
事情裁決
事情裁決の要件は①審査請求に係る処分が違法又は不当であること②当該処分を取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合であること③審査請求人の受ける損害の程度、その賠償又は防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、当該処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認められることである(45条3項)。この場合、審査庁は裁決の主文で当該処分が違法又は不当であることを宣言したうえで審査請求を棄却する。
覚え方結論は棄却。ただし主文で違法・不当を宣言する
ひっかけ注意「認容」と「棄却」の取り違えが定番。違法の宣言を理由中の判断にとどめるとする肢も誤りで、主文に記載しなければならない。
不利益変更の禁止
審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じもしくはこれを変更することはできない(48条)。再調査の請求についても同じ趣旨の規定がある(59条3項)。この原則があるため、審査請求人は不服申立てをすることで元の処分より重い処分を受ける危険を負わずに済む。取消しの方向であれば当然に可能であり、禁止されるのは不利益方向への変更である。
覚え方申し立てたせいで悪くなることはない
ひっかけ注意「審査庁は原処分に拘束されず適正な処分に是正できる」という一般論から不利益変更を認めさせる肢が狙われる。
教示
行政庁は不服申立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し①当該処分につき不服申立てをすることができる旨②不服申立てをすべき行政庁③不服申立てをすることができる期間の三つを書面で教示しなければならない(82条1項本文)。ただし当該処分を口頭でする場合には教示義務がない(同項ただし書)。行政事件訴訟法46条の教示(被告とすべき者・出訴期間・審査請求前置)と内容が異なる点に注意する。
覚え方できる旨・すべき行政庁・期間の三点。口頭の処分なら不要
ひっかけ注意教示事項に「不服申立ての理由の書き方」や「裁決の見込み」を加える肢、口頭でする処分にも教示義務があるとする肢が狙われる。
教示をしなかった場合の不服申立て
行政庁が教示をしなかった場合、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる(83条1項)。当該処分が処分庁以外の行政庁に審査請求をすべき処分であるときは、処分庁は速やかに不服申立書を当該行政庁に送付し(同3項)、送付されたときは初めから当該行政庁に審査請求がされたものとみなされる(同4項)。それ以外の場合は、初めから処分庁に審査請求がされたものとみなされる(同5項)。
覚え方教示がなければ、とりあえず処分庁に出せばよい
ひっかけ注意教示がなければ審査請求期間の制限がなくなるとする肢。83条は提出先についての救済であり、期間の制限を外すものではない。
客観的審査請求期間
客観的期間の起算点は「処分があった日の翌日」であり、処分を知っているかどうかを問わない(18条2項)。主観的期間の3か月と客観的期間の1年は併存し、いずれか一方でも経過すれば審査請求はできなくなる。いずれもただし書で正当な理由があるときの例外が認められ、天災による遅れや、誤った教示に従ったために生じた遅れなどが考慮される。
覚え方知らなくても1年で締切。どちらか一方が切れたら終わり
ひっかけ注意主観的期間と客観的期間のどちらか一方さえ満たせばよいと誤らせる肢。いずれかが経過すれば不適法となる。
執行停止の措置の範囲
処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、申立てによるほか職権でも、処分の効力の停止、処分の執行の停止、手続の続行の停止「その他の措置」をとることができる(25条2項)。「その他の措置」とは、たとえば営業停止処分を営業時間の短縮に変更するなど処分の内容に積極的に踏み込む措置をいい、処分庁への監督権を有することが根拠である。これに対し25条3項の審査庁は停止に限定される。
覚え方監督権があるから積極的な措置までとれる
ひっかけ注意執行停止の内容の違いを見落とし、どの審査庁も同じ措置をとれるとする肢。積極的措置がとれるのは2項の審査庁だけである。
事情裁決における違法の宣言
事情裁決は棄却裁決の一種であるが、主文に違法・不当の宣言が置かれるため、後の国家賠償請求等で違法性の判断が援用されやすい。行政事件訴訟法31条1項の事情判決も判決主文で違法を宣言する点は同じだが、行政事件訴訟法では「不当」は宣言の対象とならない。行政不服審査法では審査庁が不当まで審査できるため、不当の宣言も可能である。事情裁決の仕組みは再審査請求にも置かれている(64条4項)。
覚え方行審法の事情裁決は「違法又は不当」、行訴法の事情判決は「違法」だけ
ひっかけ注意宣言を「理由中で示せば足りる」とする肢。また事情裁決を認容裁決の一種と位置づける肢も誤りである。
利害関係人に対する教示
行政庁は、利害関係人から当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか、不服申立てをすべき行政庁、不服申立てをすることができる期間について教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない(82条2項)。この教示には方式の定めがなく口頭でもよいが、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは書面でしなければならない(同3項)。教示を求められるのは処分の相手方以外の利害関係人である。
覚え方1項の相手方への教示は書面、2項の利害関係人への教示は口頭でも可
ひっかけ注意1項の書面主義を2項にも及ぼす肢が典型。逆に1項の教示も口頭で足りるとする肢も誤りである。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 裁決の効力発生 審査請求人への送達時
- 公示送達 掲示を始めた日の翌日から2週間で到達とみなす
- 教示事項 不服申立てができる旨・すべき行政庁・期間 の3つ
- ひっかけ事情裁決を認容裁決の一種とする肢、違法の宣言は理由中で足りるとする肢。結論は棄却で、宣言は主文に置く
- ひっかけ審査庁は適正な処分に是正するため不利益に変更できるとする肢。48条の不利益変更の禁止がある
- ひっかけ82条1項の書面主義を利害関係人への教示にも及ぼす肢。2項の教示は方式自由で、書面を求められたときだけ書面による
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1認容か棄却かを決める。取消しは全審査庁ができるが、変更は上級行政庁でも処分庁でもない審査庁にはできない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2公の利益に著しい障害を生じるなら事情裁決を検討する。結論は棄却だが、主文で違法・不当を宣言する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3教示は、処分の相手方への書面教示(82条1項)と利害関係人の求めによる教示(同2項、方式自由)を分けて当てはめる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政不服審査法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
裁決の種類・効力と教示の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 19/24(編集部の目安)
不利益変更の禁止
審査庁は、処分についての審査請求に理由があると認める場合には、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。
裁決の種類・効力と教示の○×一問一答12問|問題と解説
この論点で収録している12問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
不利益変更の禁止重要度S審査庁は、処分についての審査請求に理由があると認める場合には、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。48条は不利益変更を禁止する。審査請求をしたことでかえって不利になる結果は認められない。
問2
事情裁決重要度S審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合、審査庁は、裁決で当該審査請求を認容したうえで処分の効力を維持することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。事情裁決では審査請求は棄却される。ただし裁決の主文で処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない(45条3項)。
問3
教示重要度S行政庁は、審査請求をすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し、審査請求をすることができる旨並びに審査請求をすべき行政庁及び審査請求をすることができる期間を書面で教示しなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。82条1項本文の教示義務であり、当該処分を口頭でする場合には教示義務は及ばない(同項ただし書)。
問4
教示をしなかった場合の不服申立て重要度S行政庁が教示をしなかった場合、当該処分について不服がある者は処分庁に不服申立書を提出することができ、当該処分が処分庁に審査請求をすべきものであるときは、初めから当該処分庁に審査請求がされたものとみなされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。83条1項・5項による。処分庁以外の行政庁に審査請求をすべき処分であるときは、処分庁が送付し、初めからその行政庁に審査請求がされたものとみなされる(同条3項・4項)。
問5
客観的審査請求期間重要度A処分についての審査請求は、正当な理由があるときを除き、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。18条2項の客観的期間であり、処分を知らなかった場合であっても1年の経過により審査請求ができなくなる。
問6
執行停止の措置の範囲重要度A処分庁の上級行政庁でも処分庁でもない審査庁がとることができる執行停止の措置は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止に限られる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。25条3項ただし書は、これら以外の「その他の措置」をとることを認めていない。
問7
事情裁決における違法の宣言重要度A事情裁決をする場合、審査庁は、裁決の主文において当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。45条3項後段は主文での宣言を義務づけている。理由中の判断で示すだけでは足りない。
問8
利害関係人に対する教示重要度A行政庁は、利害関係人から当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうかにつき教示を求められたときは、常に書面で教示しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。82条2項の教示は方式を問わない。書面によるのは、教示を求めた者が書面による教示を求めたときである(同条3項)。
問9
裁決の効力発生重要度A処分についての審査請求に対する裁決は、審査庁が裁決書を作成して記名押印した時に、その効力を生ずる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。51条1項により、裁決は審査請求人に送達された時にその効力を生ずる。
問10
効力停止の補充性重要度B処分の効力の停止は、処分の執行の停止や手続の続行の停止など他の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。25条6項は効力停止の補充性を定める。効力の停止は最も強力な措置であるため、他の措置で足りるときは認められない。
問11
専決処分重要度A議会が議決すべき事件を議決しないときに長がした専決処分について、長は次の会議においてこれを議会に報告して承認を求めなければならず、条例の制定に関する専決処分について承認を求める議案が否決されたときは、当該専決処分は遡ってその効力を失う。
答え:×(誤り)
解説
誤り。承認が得られなくても専決処分の効力には影響せず、長は必要と認める措置を講じて議会に報告する(179条4項)。
問12
再審査請求の相手方重要度A再審査請求は、審査請求の裁決に不服がある者が、当該裁決をした審査庁の上級行政庁に対してするものとされている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。6条2項により、再審査請求は法律に定められた行政庁に対してする。審査庁の上級行政庁が当然に再審査庁となるわけではない。
裁決の種類・効力と教示の問題を続けて解く
この論点に対応する12問を絞り込んで出題します。