行政法
取消訴訟の判決の効力と事情判決
既判力は認容・棄却を問わず生じ、第三者効と拘束力は取消判決にだけ生じる——この三つの守備範囲の違いが正面から問われます。事情判決は棄却なのに主文で違法を宣言する点も、結論を認容と取り違えて落とします。
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行政書士試験での出題
出題ランク A対応する一問一答 10問
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取消判決の第三者効
32条1項は、処分又は裁決を取り消す判決は第三者に対しても効力を有すると定める(対世効)。同条2項はこれを執行停止の決定およびこれを取り消す決定に準用する。第三者効があるため、権利を害される第三者には訴訟参加(22条)と第三者の再審の訴え(34条)が用意されている。請求棄却判決には第三者効はなく、第三者効が生じるのは取消判決の場合に限られる。
覚え方勝ったときだけ第三者に及ぶ。負けた判決には及ばない
最重要・比較表
取消判決の効力(形成力・第三者効・拘束力・既判力)の違い
最初に見るのは、その効力が認容判決だけのものか、棄却判決にも生じるものかです。ここを分けておくと、誰に及ぶかとやり直し義務の有無も整理できます。
| 事由 | 形成力 | 第三者効 | 拘束力 | 既判力 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 効力の内容 | 取消判決により処分の効力が失われ、最初からなかったことになる | 処分を取り消す判決の形成力が、訴訟の当事者以外の第三者に対しても及ぶ | 取消判決が処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する | 判決が確定すると、同一の事項について確定判決と矛盾する主張・判断を後の訴訟でできなくなる | 3つは処分の運命に関する効力、既判力だけが後の訴訟に関する効力です。 |
| どの判決で生じるか最重要 | 請求を認める認容判決(取消判決)のときの効力である | 処分または裁決を取り消す判決だけに生じ、棄却判決には生じない | 取消判決のときの効力で、棄却判決には生じない | 認容判決にも棄却判決にも認められる効力である | 棄却判決にも拘束力や第三者効があるとする肢が正面から問われます。 |
| どこまで及ぶか | 処分の効力そのものに及び、処分庁の職権取消しを待たずに効力が失われる | 原告・被告以外の第三者にも判決の効力が及ぶ | 処分をした行政庁だけでなく、その他の関係行政庁にも及ぶ | 後の訴訟に及び、同じ事項を蒸し返すことができなくなる | 拘束力が処分庁だけに及ぶとする主体のすり替えに注意します。 |
| 実務上どうなるか | 処分は当初からなかった扱いになるため、改めて取消しの手続をとる必要がない | 処分が取り消されたことを前提に、第三者の法律関係も処理される | 申請を却下・棄却した処分が取り消されたら、処分庁は判決の趣旨に従い改めて処分をする(33条2項) | 同じ争点をもう一度訴訟で持ち出しても、判断は覆らない | やり直し義務まで課すのは拘束力だけで、形成力は処分を消すだけです。 |
効力の内容
- 形成力
- 取消判決により処分の効力が失われ、最初からなかったことになる
- 第三者効
- 処分を取り消す判決の形成力が、訴訟の当事者以外の第三者に対しても及ぶ
- 拘束力
- 取消判決が処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する
- 既判力
- 判決が確定すると、同一の事項について確定判決と矛盾する主張・判断を後の訴訟でできなくなる
判断ポイント
3つは処分の運命に関する効力、既判力だけが後の訴訟に関する効力です。
どの判決で生じるか
最重要- 形成力
- 請求を認める認容判決(取消判決)のときの効力である
- 第三者効
- 処分または裁決を取り消す判決だけに生じ、棄却判決には生じない
- 拘束力
- 取消判決のときの効力で、棄却判決には生じない
- 既判力
- 認容判決にも棄却判決にも認められる効力である
判断ポイント
棄却判決にも拘束力や第三者効があるとする肢が正面から問われます。
どこまで及ぶか
- 形成力
- 処分の効力そのものに及び、処分庁の職権取消しを待たずに効力が失われる
- 第三者効
- 原告・被告以外の第三者にも判決の効力が及ぶ
- 拘束力
- 処分をした行政庁だけでなく、その他の関係行政庁にも及ぶ
- 既判力
- 後の訴訟に及び、同じ事項を蒸し返すことができなくなる
判断ポイント
拘束力が処分庁だけに及ぶとする主体のすり替えに注意します。
実務上どうなるか
- 形成力
- 処分は当初からなかった扱いになるため、改めて取消しの手続をとる必要がない
- 第三者効
- 処分が取り消されたことを前提に、第三者の法律関係も処理される
- 拘束力
- 申請を却下・棄却した処分が取り消されたら、処分庁は判決の趣旨に従い改めて処分をする(33条2項)
- 既判力
- 同じ争点をもう一度訴訟で持ち出しても、判断は覆らない
判断ポイント
やり直し義務まで課すのは拘束力だけで、形成力は処分を消すだけです。
01取消訴訟の判決の効力と事情判決の重要暗記項目
取消判決の第三者効
32条1項は、処分又は裁決を取り消す判決は第三者に対しても効力を有すると定める(対世効)。同条2項はこれを執行停止の決定およびこれを取り消す決定に準用する。第三者効があるため、権利を害される第三者には訴訟参加(22条)と第三者の再審の訴え(34条)が用意されている。請求棄却判決には第三者効はなく、第三者効が生じるのは取消判決の場合に限られる。
覚え方勝ったときだけ第三者に及ぶ。負けた判決には及ばない
ひっかけ注意棄却判決にも第三者効があるとする肢。第三者効は取消判決だけの効力である。執行停止決定にも準用される点は見落としやすい。
取消判決の拘束力
33条1項の拘束力は、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁に対し、判決の趣旨に反する行為を禁じる消極的効力と、必要な措置をとることを義務づける積極的効力をもつ。申請を却下・棄却した処分が取り消されたときは、処分庁は判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない(同2項)。申請に基づいてした処分が手続の違法を理由に取り消された場合も同様である(同3項)。拘束力は執行停止の決定にも準用される(同4項)。
覚え方やってはいけない(消極)とやり直せ(積極)の二面
ひっかけ注意拘束力が処分庁のみに及ぶとする主体のすり替えが典型。手続の違法で取り消された場合、適法な手続を踏んで同じ内容の処分をすることは拘束力に反しない点も狙われる。
執行不停止の原則
審査請求は処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(25条1項)。行政事件訴訟法25条1項も同じ執行不停止の原則を採る。もっとも行政不服審査法では審査庁が自ら執行停止を判断でき、裁判所の決定を要しない点で簡易である。執行停止の内容は処分の効力の停止、処分の執行の停止、手続の続行の停止その他の措置であり、審査庁の立場により職権の可否ととれる措置の範囲が異なる。
覚え方申し立てても処分は止まらない。止めるには別途の判断が要る
ひっかけ注意「審査請求をすれば当然に処分の効力が停止する」とする肢。停止には審査庁による別個の判断が必要である。
事情判決
事情判決(31条1項)は、処分が違法であるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その賠償又は防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分の取消しが公共の福祉に適合しないと認めるときに請求を棄却する制度である。棄却判決であるが、主文において処分が違法であることを宣言しなければならない。訴訟費用は被告の負担となり、原告は別途損害賠償を請求できる。
覚え方違法と言いながら請求は棄却。宣言は主文に置く
ひっかけ注意「請求は認容されるが処分の効力は維持される」とする効果の取り違えが典型。結論は棄却である。違法宣言を理由中でするとする肢も誤りである。
不作為の違法確認の訴えの原告適格
37条は、不作為の違法確認の訴えは処分又は裁決についての申請をした者に限り提起することができると定める。ここでいう申請は法令に基づくものであることを要するが、その申請が適法であったかどうかは本案の問題であり、現に申請をしていれば原告適格は認められる。出訴期間の定めはなく不作為が続く限り提起できるが、行政庁が何らかの処分をすれば訴えの利益は失われる。
覚え方申請さえしていれば原告適格あり。応答が来たら訴えの利益は消える
ひっかけ注意申請が不適法であれば原告適格も否定されるとする肢。また処分がされた後も違法確認を続けられるとする肢も誤りである。
非申請型義務付け訴訟の認容要件
非申請型義務付け訴訟の本案勝訴(認容)要件は、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められること、又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超えもしくはその濫用となると認められることである(37条の2第5項)。訴訟要件である重大な損害等が認められても、この本案要件を満たさなければ請求は棄却される。原告は処分の名宛人ではなく第三者であることが多い。
覚え方根拠法令から明らか、または裁量の逸脱濫用。このどちらかが要る
ひっかけ注意原告適格を処分の名宛人に絞る主体のすり替え。また認容要件を「重大な損害があれば足りる」とする肢も誤りで、訴訟要件と本案要件は別である。
第三者の訴訟参加
22条の第三者の訴訟参加は、取消判決の第三者効(32条)により権利を害されるおそれのある第三者を手続に関与させる制度である。裁判所は当事者もしくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって参加させることができ、決定をするにはあらかじめ当事者および第三者の意見を聴かなければならない。参加した第三者には民事訴訟法40条1項から3項まで(必要的共同訴訟の規律)が準用され、補助参加人より強い地位に立つ。
覚え方第三者参加は必要的共同訴訟人に準じる地位
ひっかけ注意「第三者の申立てがなければ参加させられない」とする肢。職権でも可能である。参加人が補助参加人と同じ地位にとどまるとする肢も誤りである。
既判力と拘束力の違い
既判力は認容判決・棄却判決を問わず確定判決に生じ、当事者と裁判所を後訴において拘束する(7条を介して民事訴訟法の規律による)。これに対し拘束力(33条)は取消判決にのみ生じ、関係行政庁に対して積極的なやり直し義務まで課す点で既判力と異なる。第三者効(32条)も取消判決にのみ生じる。三つの効力について、生じる判決の種類と及ぶ相手方を区別して整理する。
覚え方既判力は勝敗を問わず、拘束力と第三者効は勝ったときだけ
ひっかけ注意棄却判決にも拘束力や第三者効が生じるとする肢。三つの効力が生じる範囲の違いが正面から問われる。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 第三者の再審の訴え 判決を知った日から30日・確定から1年
- ひっかけ棄却判決にも第三者効や拘束力が生じるとする肢。いずれも取消判決だけに生じる効力
- ひっかけ事情判決を「請求は認容されるが処分の効力は維持される」と説明する肢。結論は棄却である
- ひっかけ手続の違法で取り消された後、適法な手続で同じ内容の処分をすることが拘束力に反するとする肢。反しない
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1判決が認容か棄却かをまず確定する。棄却判決には第三者効も拘束力も生じない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2認容なら効力を分けて当てはめる。第三者効は権利を害される第三者に及び、拘束力は処分庁と関係行政庁にやり直し義務を課す
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3取り消すと公の利益に著しい障害を生じるなら事情判決を検討する。結論は棄却で、主文で処分の違法を宣言する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政事件訴訟法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
取消訴訟の判決の効力と事情判決の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 20/24(編集部の目安)
取消判決の拘束力
処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁のほか、その他の関係行政庁をも拘束する。
取消訴訟の判決の効力と事情判決の○×一問一答10問|問題と解説
この論点で収録している10問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
取消判決の拘束力重要度S処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁のほか、その他の関係行政庁をも拘束する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。33条1項が、取消判決の拘束力が処分庁だけでなく関係行政庁にも及ぶことを定めている。
問2
取消判決の第三者効重要度S処分または裁決を取り消す判決は、当事者間においてのみ効力を有し、訴訟に関与しなかった第三者に対しては効力を及ぼさない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。32条1項により、取消判決は第三者に対しても効力を有する(対世効)。
問3
執行不停止の原則重要度A審査請求がされても、それだけでは処分の効力、処分の執行又は手続の続行は妨げられない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。25条1項は執行不停止を原則とする。処分の進行を止めるには別途執行停止の措置が必要である。
問4
事情判決重要度A処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において取消しが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は請求を棄却することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。31条1項前段の事情判決であり、原告の損害の程度等一切の事情を考慮したうえで判断される。
問5
非申請型義務付け訴訟の認容要件重要度A法令に基づく申請を前提としない義務付けの訴えは、当該処分の相手方となるべき者に限り提起することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。37条の2第3項は原告適格を法律上の利益を有する者に限るとしており、相手方に限定していない。
問6
不作為の違法確認の訴えの原告適格重要度A不作為の違法確認の訴えは、処分または裁決についての申請をした者に限り提起することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。37条が原告適格を申請をした者に限定しており、申請していない第三者は提起できない。
問7
既判力と拘束力の違い重要度A取消請求を棄却する判決が確定した場合、原告は後の訴訟において当該処分が違法であると主張することができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。棄却判決の既判力により処分が適法であるとの判断が確定し、後訴での違法主張は遮断される。
問8
第三者の訴訟参加重要度A裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者もしくはその第三者の申立てによりまたは職権で、決定をもってその第三者を訴訟に参加させることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。22条1項が第三者の訴訟参加を定め、職権による参加決定も認めている。
問9
第三者の再審の訴え重要度B取消判決により権利を害された第三者は、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加できなかった場合、確定判決があったことを知った日から6か月以内に再審の訴えを提起することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。34条2項により、再審の訴えは確定判決を知った日から30日以内に提起しなければならない。
問10
二項道路一括指定の処分性重要度C建築基準法によるいわゆる二項道路の指定が告示による一括指定の方法でされた場合、それは一般的基準を示すにとどまり個別の土地について具体的に指定するものではないから、抗告訴訟の対象となる処分にはあたらない、というのが判例の立場である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判平成14年1月17日は、一括指定であっても個々の道路につき具体的な私権制限が生ずるとして、処分性を認めた。
取消訴訟の判決の効力と事情判決の問題を続けて解く
この論点に対応する10問を絞り込んで出題します。