行政法
条例制定権と直接請求・住民訴訟
条例の罰則の上限(2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・5万円以下の過料)と、規則には過料5万円しか置けないことが数字の核です。直接請求の署名要件と請求先、住民監査請求と事務の監査請求の混同が主な失点源です。
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行政書士試験での出題
出題ランク A対応する一問一答 15問
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直接請求
条例の制定改廃請求と事務の監査請求は選挙権を有する者の50分の1以上の連署により、前者は長に、後者は監査委員に対して行う。議会の解散請求、議員・長の解職請求は、選挙権者総数が40万人以下なら3分の1以上の連署により選挙管理委員会に対して行い、選挙人の投票で過半数の同意があれば効力を生ずる。40万人超80万人以下は40万人の3分の1と超過部分の6分の1を合算し、80万人超はさらに80万人超過部分の8分の1を合算する。地方税の賦課徴収等に関する条例は制定改廃請求の対象外である。
覚え方軽い請求は50分の1、重い請求は人口別の段階式
01条例制定権と直接請求・住民訴訟の重要暗記項目
直接請求
条例の制定改廃請求と事務の監査請求は選挙権を有する者の50分の1以上の連署により、前者は長に、後者は監査委員に対して行う。議会の解散請求、議員・長の解職請求は、選挙権者総数が40万人以下なら3分の1以上の連署により選挙管理委員会に対して行い、選挙人の投票で過半数の同意があれば効力を生ずる。40万人超80万人以下は40万人の3分の1と超過部分の6分の1を合算し、80万人超はさらに80万人超過部分の8分の1を合算する。地方税の賦課徴収等に関する条例は制定改廃請求の対象外である。
覚え方軽い請求は50分の1、重い請求は人口別の段階式
ひっかけ注意必要署名数や請求先を入れ替える肢が定番。税に関する条例が制定改廃請求の対象外である点、主要公務員の解職請求だけは長に対して行い議会の議決で決まる点も狙われる。
住民監査請求と住民訴訟
住民監査請求(242条)の対象は違法・不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担および公金の賦課徴収・財産の管理を怠る事実であり、財務会計上の行為に限られる。請求権者は住民であれば足り、署名要件はなく法人でもよい。行為のあった日から1年の期間制限がある。監査委員は請求があった日から60日以内に監査と勧告を行う。住民訴訟は監査請求をした住民が、通知等があった日から30日以内に提起する(242条の2)。
覚え方住民監査請求は一人でできて署名不要。60日で監査、30日で出訴
ひっかけ注意事務の監査請求(75条)と取り違えて50分の1の連署を要求する肢が最頻出。住民監査請求に署名要件はなく、対象は財務会計上の行為に限られる。
条例の罰則
14条3項は、条例に定め得る罰則の上限を2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収の刑又は5万円以下の過料とする。長の規則に定め得るのは5万円以下の過料に限られ、刑罰は定められない(15条2項)。条例への罰則の委任について最大判昭和37年5月30日は、条例が住民の代表機関である議会の議決を経て制定される自治立法であることから、法律の授権が相当程度に具体的であり限定されていれば足りるとした。
覚え方条例は拘禁刑2年・罰金100万円・過料5万円。規則は過料5万円だけ
ひっかけ注意罰金と過料の数字を入れ替える肢や、拘禁刑の上限を3年・5年とする肢。規則にも罰金を定められるとする肢も誤りである。
上乗せ条例と横出し条例
最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)は、条例が国の法令に違反するかどうかは両者の対象事項と規定文言を対比するだけでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較して矛盾抵触があるかどうかで決すべきとした。法令に規定のない事項について条例で規制しても、法令が全国一律に規制しない趣旨であれば違反せず(横出し条例)、法令と同一目的で規制する場合でも、法令が地方の実情に応じた別段の規制を容認する趣旨であれば違反しない(上乗せ条例)。
覚え方文言の対比ではなく趣旨・目的・内容・効果の比較で決める
ひっかけ注意「法令が規制していない事項について条例で規制することは常に許されない」とする肢。法令の趣旨が全国一律規制でなければ許される。
自治事務と法定受託事務
自治事務とは地方公共団体が処理する事務のうち法定受託事務以外のものをいう(2条8項)。法定受託事務は、国(又は都道府県)が本来果たすべき役割に係るものであって国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいい、第一号(国から都道府県・市町村へ)と第二号(都道府県から市町村へ)がある(2条9項)。平成11年改正で機関委任事務が廃止され、いずれの事務にも条例制定権が及び、議会の検査・監査委員の監査の対象となる。
覚え方法定受託事務も地方の事務。だから条例も議会の関与も及ぶ
ひっかけ注意「法定受託事務は国の事務であるから条例を制定できない」とする肢。機関委任事務が廃止された結果、いずれも地方公共団体の事務である。
条例制定権
14条1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて2条2項の事務に関し条例を制定することができると定める。同条2項は、義務を課し又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか条例によらなければならないと定める(侵害留保の条例版)。したがって長の規則で新たに住民に義務を課すことは原則としてできない。条例は議会の議決により成立し、議長から送付を受けた長が20日以内に公布する(16条2項)。
覚え方義務を課し権利を制限するのは条例で。規則ではできない
ひっかけ注意「長の規則によっても住民に義務を課すことができる」とする肢。14条2項により原則として条例によることを要する。
再議と不信任
一般的拒否権としての再議は、議決の日(条例の制定改廃・予算は送付を受けた日)から10日以内に理由を示して行い、条例・予算に関するものは出席議員の3分の2以上の同意がなければ再議決できない(176条1項3項)。議決が権限を超え又は法令・会議規則に違反すると認めるときは必ず再議に付さなければならない(同4項)。不信任の議決には議員数の3分の2以上の出席とその4分の3以上の同意を要し(178条3項)、解散後の二度目の不信任は3分の2以上の出席とその過半数で足りる。
覚え方一度目は4分の3、解散して二度目は過半数
ひっかけ注意二度目の不信任の議決要件を一度目と同じ4分の3とする肢。二度目は議員数の3分の2以上の出席とその過半数である。再可決の要件を過半数とする肢も誤りである。
規則
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいてその権限に属する事務に関し規則を制定することができ(15条1項)、規則違反者に対して5万円以下の過料を科する旨の規定を設けられる(同2項)。刑罰を定めることはできない。住民に義務を課し権利を制限する事項は原則として条例事項であり(14条2項)、条例と規則が抵触する場合には条例が優先する。委員会も法令等に違反しない限りにおいて規則その他の規程を定めることができる(138条の4第2項)。
覚え方規則に置けるのは過料5万円だけ。刑罰は置けない
ひっかけ注意「規則には一切の制裁を定められない」とする肢と「規則にも罰金を定められる」とする肢の双方が出る。過料5万円のみが正しい。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 条例の罰則 2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・5万円以下の過料
- 規則の罰則 5万円以下の過料のみ
- 直接請求 条例の制定改廃と事務の監査は50分の1・解散と解職は40万人以下なら3分の1、40万人超は6分の1・8分の1を用いる段階式
- 住民訴訟 監査結果の通知から30日以内
- ひっかけ法定受託事務は国の事務だから条例を制定できないとする肢。機関委任事務は廃止され、法定受託事務にも条例制定権が及ぶ
- ひっかけ住民監査請求に50分の1の連署が必要とする肢。署名要件があるのは事務の監査請求で、住民監査請求は住民が単独でできる
- ひっかけ法令に規定のない事項を条例で規制することは常に許されないとする肢。法令が全国一律の規制を趣旨としなければ許される
押さえる判例
条例が法令に違反するかは、両者の対象事項と規定文言の対比だけでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較して矛盾抵触があるかで判断する
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1住民に義務を課し権利を制限するなら条例事項かを確認する。長の規則で新たに義務を課すことは原則としてできない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2直接請求は署名要件と請求先で仕分ける。条例の制定改廃と事務の監査は50分の1。議会の解散と解職は、選挙権者総数が40万人以下なら3分の1、40万人超80万人以下は40万人の3分の1と超過部分の6分の1、80万人超はさらに超過部分の8分の1を合算する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3財務会計上の行為なら住民監査請求を先に経る。監査結果の通知があった日から30日以内に住民訴訟を提起する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 地方自治法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
条例制定権と直接請求・住民訴訟の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 16/24(編集部の目安)
直接請求
条例の制定又は改廃の請求は、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもってその代表者から普通地方公共団体の長に対してするものとされ、地方税の賦課徴収に関する条例はその対象から除かれている。
条例制定権と直接請求・住民訴訟の○×一問一答15問|問題と解説
この論点で収録している15問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
直接請求重要度S条例の制定又は改廃の請求は、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもってその代表者から普通地方公共団体の長に対してするものとされ、地方税の賦課徴収に関する条例はその対象から除かれている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。74条1項は請求先を長とし、地方税の賦課徴収並びに分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例を対象から除いている。
問2
上乗せ条例と横出し条例重要度S最高裁判所は、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決しなければならないとしている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)は、法令との抵触の有無を実質的な趣旨・目的の比較により判断するとした。
問3
直接請求重要度S選挙権を有する者の総数が40万人以下の普通地方公共団体では、議会の解散の請求は、その総数の3分の1以上の者の連署をもって代表者から選挙管理委員会に対してするものとされ、選挙人の投票において過半数の同意があったときに議会は解散する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。選挙権者総数が40万人以下の場合、76条により3分の1以上の連署で選挙管理委員会に請求し、選挙人の投票で過半数の同意があれば解散する。
問4
住民監査請求と住民訴訟重要度S住民監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば単独ですることができるが、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、これをすることができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。242条1項により住民は単独で請求でき、同条2項が1年の期間制限と正当な理由による例外を定める。
問5
住民監査請求と住民訴訟重要度S住民訴訟は住民監査請求を経ることなく提起することができ、違法な財務会計上の行為に係る当該職員に対する損害賠償請求は、当該普通地方公共団体に代わって住民が直接その職員を被告として請求する形で行われる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。住民訴訟には監査請求前置主義が採られ、4号請求は執行機関等に対し損害賠償請求をすることを求める形をとる。
問6
直接請求重要度A事務の監査請求は、選挙権を有する者の総数の3分の1以上の者の連署をもってその代表者から普通地方公共団体の長に対してするものとされ、請求を受けた長は監査委員に監査を行わせなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。事務の監査請求は50分の1以上の連署により、代表者から監査委員に対して直接行うものである(75条1項)。
問7
条例の罰則重要度S普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し3年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は10万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。14条3項の上限は2年以下の拘禁刑及び5万円以下の過料であり、罰金の上限が100万円である点のみ正しい。
問8
自治事務と法定受託事務重要度A法定受託事務は国が本来果たすべき役割に係る事務であるが、地方公共団体が処理する事務である以上、法令に違反しない限りにおいて、これに関して条例を制定することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。法定受託事務も地方公共団体の事務であるから、14条1項により条例制定権が及ぶ。
問9
直接請求重要度A選挙権を有する者の総数が40万人以下の普通地方公共団体では、副知事又は副市町村長の解職の請求は、その総数の3分の1以上の者の連署をもって選挙管理委員会に対してするものとされ、選挙人の投票において過半数の同意があったときにその職を失う。
答え:×(誤り)
解説
誤り。副知事等の解職請求は長に対して行い、議会に付議されて所定の多数の同意があったときに失職する(86条・87条)。
問10
再議と不信任重要度A議会において長の不信任の議決をしたときは、長は、議長からその旨の通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができ、この期間内に解散しないときは、その期間が経過した日においてその職を失う。
答え:○(正しい)
解説
正しい。178条1項・2項の定めであり、10日以内に解散しなければ長は当然に失職する。
問11
条例制定権重要度A普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいてその処理する事務に関し条例を制定することができ、住民に義務を課し又はその権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。14条1項が条例制定権の範囲を、同条2項が侵害留保の考え方を地方自治の場面で明文化している。
問12
再議と不信任重要度A普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、長は10日以内に理由を示してこれを再議に付することができ、再議に付された議決が条例の制定に関するものであるときは、出席議員の過半数の同意があれば当該議決は確定する。
答え:×(誤り)
解説
誤り。条例の制定改廃又は予算に関する議決を再議に付した場合、確定には出席議員の3分の2以上の同意を要する(176条3項)。
問13
規則重要度A普通地方公共団体の長が制定する規則は議会の議決を経ないで定められるものであるから、条例で定めるべき事項について規則を制定することはできず、規則に違反した者に対して過料を科する旨を定めることもできない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。15条2項により、規則にも規則違反者に対し5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
問14
議会の権限重要度B普通地方公共団体の議会は、条例の制定改廃、予算の決定、決算の認定などを議決しなければならないほか、条例で定めることにより、法律に列挙されていない事件についても議会の議決すべきものとすることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。96条1項が必要的議決事件を列挙し、同条2項が条例による議決事件の追加を認めている。
問15
国の関与重要度B普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ国又は都道府県の関与を受けることはなく、関与は、その目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。245条の2が関与の法定主義を、245条の3第1項が必要最小限度の原則と自主性・自立性への配慮を定める。
条例制定権と直接請求・住民訴訟の問題を続けて解く
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