行政法
国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)
「公権力の行使」は権力的作用に限らず行政指導や公立学校の教育活動も含み、「職務を行うについて」は外形で判断します。公務員個人には請求できないこと、故意・重過失は求償の要件にすぎないことの取り違えが定番です。
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行政計画
行政計画には法律の根拠なしに策定されるものも多く、事情の変更により変更されることが当然に予定されている。最判昭和56年1月27日(宜野座村工場誘致事件)は、施策の変更が不可避であっても、勧告等により個別的具体的な信頼を与え、その信頼に基づいて多額の資本を投下するなど活動に入った者に対し、代償的措置を講じないまま施策を変更することは、信頼関係を不当に破壊するものとして違法となり損害賠償責任を生じ得るとした。
覚え方計画の変更は原則自由。ただし個別の信頼を与えたら代償措置が要る
01国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)の重要暗記項目
行政計画
行政計画には法律の根拠なしに策定されるものも多く、事情の変更により変更されることが当然に予定されている。最判昭和56年1月27日(宜野座村工場誘致事件)は、施策の変更が不可避であっても、勧告等により個別的具体的な信頼を与え、その信頼に基づいて多額の資本を投下するなど活動に入った者に対し、代償的措置を講じないまま施策を変更することは、信頼関係を不当に破壊するものとして違法となり損害賠償責任を生じ得るとした。
覚え方計画の変更は原則自由。ただし個別の信頼を与えたら代償措置が要る
ひっかけ注意「計画の変更は行政の自由であるから損害賠償の対象とならない」とする肢。個別的・具体的な信頼を与えた場合には例外的に責任が生じる。
国家賠償法1条の要件
1条1項の要件は①国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が②その職務を行うについて③故意又は過失によって④違法に⑤他人に損害を加えたことである。「公権力の行使」の意義について判例・通説は非権力的作用も含む広義説を採り、行政指導、公立学校の教育活動、警察官の職務行為が含まれる一方、私経済作用は民法715条、営造物の設置管理の瑕疵は2条の領域となる。国会議員の立法行為や裁判官の裁判にも1条の適用自体はある。
覚え方広義説。私経済作用だけが1条の外に出る
ひっかけ注意「公権力の行使とは権力的作用に限られる」という狭義説の内容を判例の立場として示す肢。行政指導も対象に含まれる。
職務を行うについて
1条1項の「その職務を行うについて」は、被害者から見て客観的に職務執行の外形を備えているかどうかで判断される(外形標準説。最判昭和31年11月30日)。公務員の主観的な意図は問われず、非番の警察官が制服を着用して職務執行を装い強盗殺人をした事案でも、外形上職務行為に当たるとして国の責任が認められた。外形を信頼した被害者を保護する趣旨に基づく解釈である。
覚え方外から見て職務らしければ職務。中の動機は問わない
ひっかけ注意「公務員が自己の利益を図る目的で行った行為は職務行為に当たらない」とする肢。主観ではなく外形で判断する。
公務員個人の責任と求償権
判例は、国家賠償法1条は国又は公共団体が公務員に代位して責任を負う趣旨であるとして、加害公務員個人の被害者に対する直接の賠償責任を否定する(最判昭和30年4月19日)。公務員が個人として責任を問われるのは、賠償をした国又は公共団体からの求償の場面に限られ、その要件は故意又は重大な過失である(1条2項)。これに対し2条2項の求償には要件の限定がなく、他に損害の原因について責めに任ずべき者があるときに求償できる。
覚え方被害者は公務員個人に請求できない。故意・重過失は求償の要件
ひっかけ注意「故意又は重大な過失があるときは公務員個人にも請求できる」とする肢。故意・重過失は求償の要件であって被害者の請求権の要件ではない。1条2項と2条2項の求償要件を入れ替える肢も最頻出である。
国家賠償法上の違法
職務行為基準説は、公務員が職務上通常尽くすべき注意義務に違反したかどうかを国家賠償法上の違法の基準とする考え方である。したがって処分が取消訴訟で取り消されたとしても、直ちに国家賠償法上違法となるわけではない。判例は課税処分(最判平成5年3月11日)のほか、検察官の公訴提起(最判昭和53年10月20日)、裁判官の裁判、警察官の職務行為についてもこの枠組みを用いており、取消訴訟における違法性と国家賠償法上の違法性は必ずしも一致しない。
覚え方取り消されても、通常尽くすべき注意を尽くしていれば違法ではない
ひっかけ注意「取消判決が確定した処分は国家賠償法上も当然に違法となる」とする肢。両者の違法概念は必ずしも一致しない。
立法不作為と国家賠償
最判昭和60年11月21日(在宅投票制度廃止事件)は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて立法するというような例外的な場合でない限り、国会議員の立法行為は国家賠償法1条1項の適用上違法とならないとした。最大判平成17年9月14日(在外邦人選挙権訴訟)はこの基準を改め、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するための立法措置をとることが必要不可欠でありそれが明白であるのに、正当な理由なく長期にわたって怠った場合には違法となるとした。
覚え方昭和60年は極めて厳格、平成17年で違法となる場面が具体化された
ひっかけ注意昭和60年判決の厳格な基準のみを現在の判例として示す肢。平成17年判決により違法となる場合が示され、実際に賠償が認容されている。
裁判官の職務行為
最判昭和57年3月12日は、裁判官がした争訟の裁判に国家賠償法1条1項の違法があるというためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情が必要であるとした。裁判の独立と上訴・再審という是正制度の存在を根拠とする極めて限定的な基準であり、上級審で取り消されたというだけでは違法とならない。
覚え方裁判官の裁判は「権限の趣旨に明らかに背く特別の事情」が必要
ひっかけ注意「再審により判決が取り消されれば当然に国家賠償請求が認められる」とする肢。裁判の取消しと国家賠償法上の違法は別問題である。
規制権限の不行使
判例は、規制権限の不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法となるのは、権限を定めた法令の趣旨・目的や権限の性質等に照らし、具体的事情の下においてその不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときであるとする。筑豊じん肺訴訟(最判平成16年4月27日)は鉱山保安法上の省令改正権限の不行使を、関西水俣病訴訟(最判平成16年10月15日)は水質二法に基づく規制権限の不行使を違法として国の責任を認めた。
覚え方権限を使わないことが「著しく合理性を欠く」なら違法
ひっかけ注意「規制権限の行使は行政庁の裁量に委ねられているから不行使が違法となることはない」とする肢。裁量の消極的濫用として違法となり得る。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1加害行為が公権力の行使に当たるかを見る。私経済作用なら民法715条、営造物の瑕疵なら2条の問題になる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2外形標準説で「職務を行うについて」を判定する。公務員の主観的意図は問わない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3違法性は職務行為基準説で判定する。取消訴訟で取り消されたことが直ちに国賠法上の違法を意味するわけではない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 国家賠償法
- 内容の基準日
- 2026年4月1日
- 復習方法
- 要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)
公務員個人の責任と求償権
国又は公共団体が国家賠償法1条1項に基づいて損害を賠償した場合において、当該公務員に軽過失があったにとどまるときであっても、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を行使することができる。
全784問から、分野・重要度で解く
行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。