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建物・設備

長期修繕計画とは?周期・費用・見直しの考え方【賃貸管理士】【2026年度試験対応】

賃貸住宅の長期修繕計画で整理する項目と、点検・修繕・資金計画の関係を解説。分譲マンション向けガイドラインの数字を一律適用しない考え方も確認します。

要点 8件・基本問題 8・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

法令基準日
2026-04-01
最終確認日
2026-08-15
確認
chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15
維持保全と長期修繕計画の解説記事カバー(写真調イメージ)

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

長期修繕計画は、将来のどの時期に、どの部分を、どの方法で修繕し、どれだけ費用がかかるかを見通す計画です。作成時の予定を固定するものではなく、点検結果や工事費の変化を踏まえて見直します。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-08

工事項目・時期・費用・資金を結び付ける

現状把握:劣化・仕様・修繕履歴を調べる:築年数だけで決めない。工事計画:部位・時期・方法を整理:周期は参考値として検討。資金計画:費用と資金準備を対応させる:工事費一覧だけで終えない。見直し:点検・診断や費用変動を反映:一度作れば完成ではない

現状把握:劣化・仕様・修繕履歴を調べる:築年数だけで決めない。工事計画:部位・時期・方法を整理:周期は参考値として検討。資金計画:費用と資金準備を対応させる:工事費一覧だけで終えない。見直し:点検・診断や費用変動を反映:一度作れば完成ではない

図を大きく見る

外壁、防水、給排水設備などは同じ時期に一斉に劣化するとは限りません。建物や設備の状態、過去の修繕記録をもとに、工事項目ごとに時期と費用を整理します。点検記録があれば、計画を見直す根拠も残せます。

工事費の一覧だけでなく、その時期に資金を用意できるかが重要です。賃貸住宅では家賃収入や他の支出と合わせ、突発的な修繕も考慮した資金計画を立てます。満室が続く前提だけに依存した計画は、空室が増えた場合に再検討が必要です。

工事項目・時期・費用・資金を結び付ける
項目基本ルール注意点
現状把握劣化・仕様・修繕履歴を調べる築年数だけで決めない
工事計画部位・時期・方法を整理周期は参考値として検討
資金計画費用と資金準備を対応させる工事費一覧だけで終えない
見直し点検・診断や費用変動を反映一度作れば完成ではない

根拠:国土交通省:マンション管理・長期修繕計画作成ガイドライン試験実施団体:過去の試験問題

修繕周期は「その年に必ず交換」ではない

ガイドラインにある周期は計画づくりの参考であり、すべての設備が同じ年数で同じ状態になるわけではありません。材質、使用状況、環境、点検結果などによって必要な対応を検討します。

一方、長期修繕計画に載っていないことを理由に、必要な点検や危険箇所への対応を先送りするのも適切ではありません。法定点検、日常の維持管理、計画的な修繕はそれぞれの目的と時期を確認します。

根拠:国土交通省:マンション管理・長期修繕計画作成ガイドライン試験実施団体:過去の試験問題

分譲マンションの目安を賃貸住宅の一律義務にしない

国土交通省の長期修繕計画ガイドラインは、主にマンションの管理組合などの計画づくりに向けた資料です。計画期間を30年以上とし、大規模修繕工事2回を含めるなどの考え方が示されています。

この目安を「すべての一棟賃貸住宅に法律で30年計画が義務付けられている」と読み替えるのは誤りです。資料の対象と、法令上の義務か参考の指針かを分け、建物ごとの計画へ応用します。

根拠:国土交通省:マンション管理・長期修繕計画作成ガイドライン

計画と実績の差を次の判断に使う

修繕が終わったら、実施時期、工事内容、金額、残された課題を記録します。予定との差を説明できれば、次の工事や予算の見直しにもつながります。計画書と報告書を別々に放置しないことが実務上のポイントです。

令和6年度問49では、長期修繕計画の作成が資産価値の維持に関わる事務として扱われています。単なる表の作成ではなく、専門家として根拠を持ち、将来の維持管理を支える業務として理解してください。

根拠:国土交通省:マンション管理・長期修繕計画作成ガイドライン試験実施団体:過去の試験問題

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 長期修繕計画では、工事時期と費用だけでなく資金の準備も確認する。

    根拠:資料1

  2. 2 ガイドラインの周期に達した設備は、状態に関係なく全て同じ工事を行う。

    根拠:資料1

  3. 3 分譲マンション向けの計画目安は、資料の対象を確認して活用する。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

外壁のひび割れ

外壁のひび割れは、乾燥収縮や温度変化による幅0.3mm程度以下の微細なヘアークラックと、構造的な変形や不同沈下による幅の大きい構造クラックに分けられる。ヘアークラックでも雨水や二酸化炭素の侵入口となって中性化や鉄筋腐食を早めるため、シール材やフィラーによる補修を行う。幅が大きい、深い、規則性のある斜めのひび割れなどは構造上の原因を疑い、専門家による調査が必要となる。

覚え方髪の毛幅でも水は入る、太く斜めなら構造を疑う

01維持保全と長期修繕計画の重要暗記項目

01
重要度 A

外壁のひび割れ

外壁のひび割れは、乾燥収縮や温度変化による幅0.3mm程度以下の微細なヘアークラックと、構造的な変形や不同沈下による幅の大きい構造クラックに分けられる。ヘアークラックでも雨水や二酸化炭素の侵入口となって中性化や鉄筋腐食を早めるため、シール材やフィラーによる補修を行う。幅が大きい、深い、規則性のある斜めのひび割れなどは構造上の原因を疑い、専門家による調査が必要となる。

覚え方髪の毛幅でも水は入る、太く斜めなら構造を疑う

ひっかけ注意「ヘアークラックだから放置してよい」とする誤りが狙われる。逆に幅の大きいひび割れを表層劣化と扱うのも誤り。

02
重要度 A

外壁タイルの調査と打診

特定建築物の定期調査では、タイル・石貼り・モルタル等の外壁について目視により確認し、異常が認められた場合に打診等で確認する。さらに、竣工・外壁改修・前回の全面打診等から10年を超え、かつその後3年以内に落下防止措置等が講じられていないものについては、その最初の調査時に、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面打診等を行う必要がある。

覚え方タイルは十年で全面打診、浮きは音でわかる

ひっかけ注意「毎年全面打診が必要」とする誤りが狙われる。原則は目視・部分打診で、10年経過の要件を満たす場合に全面打診となる。

03
重要度 A

屋上防水と排水

屋上防水には、ルーフィングとアスファルトを積層するアスファルト防水(防水層が厚く信頼性が高い)、塩化ビニル樹脂系やゴム系のシートを敷くシート防水(軽量で工期が短い)、液状の樹脂を塗り重ねる塗膜防水(複雑な形状に対応しやすい)がある。いずれも紫外線・温度変化・下地の動きで劣化するため定期点検が欠かせず、特に排水系統は落ち葉や土砂の詰まりで雨水が滞留し防水層の劣化や漏水を招くため清掃が重要である。

覚え方防水は三工法、どれでも詰まったドレンが敵

ひっかけ注意「防水層が健全なら点検は不要」とする誤りが狙われる。防水層の寿命より先に排水不良で漏水が起きることが多い。

04
重要度 A

長期修繕計画

長期修繕計画は、建物・設備の部位ごとに修繕周期と概算費用を見込み、修繕資金の準備と支出の平準化を図るための計画である。実際の劣化の進み方、修繕の実施状況、資材・労務費の変動によって前提が変わるため、定期的に、また大規模修繕工事の実施前後に建物診断を行って見直すことが必要となる。賃貸住宅では計画の策定自体は法律上の義務ではないが、管理業者には計画修繕の必要性と資金計画を助言する役割がある。

覚え方長期修繕計画は作って終わりでなく、定期的に作り直す

ひっかけ注意「一度作れば固定」とする誤りのほか、賃貸住宅で策定が法律上の義務であるとする誤りも狙われる。

05
重要度 A

防水工法の種類と特徴

アスファルト防水はルーフィングとアスファルトを積層する工法で、防水層が厚く信頼性が高い反面、重量があり施工時の臭気が問題となる。シート防水は塩化ビニル樹脂系やゴム系のシートを敷く工法で軽量かつ工期が短いが、接合部の処理が品質を左右する。ウレタン塗膜防水は液状材料を塗り重ねるため継ぎ目がなく、複雑な形状や既存防水層の上からの改修に適するが、塗膜厚の管理が施工者の技量に左右される。

覚え方アスファルトは厚く重い、シートは軽く速い、塗膜は継ぎ目なし

ひっかけ注意工法ごとの長所短所の入替えが狙われる。継ぎ目がないのは塗膜防水、接合部が弱点になるのはシート防水である。

06
重要度 B

日常清掃と定期清掃

共用部分の清掃は、入居者の満足度と物件の競争力に直結する。日常清掃はごみ出し・掃き掃除・拭き掃除など頻度の高い作業、定期清掃は機械による床洗浄やワックスがけなど専門的な作業であり、さらに特別清掃として排水管清掃・貯水槽清掃・窓ガラス清掃などを周期的に行う。ごみ集積所は収集日以外の放置ごみやカラス被害への対策が必要で、管理業者は清掃の実施状況を点検し記録を残す。

覚え方日常清掃は頻度、定期清掃は専門性

ひっかけ注意清掃を委託すれば管理業者の責任が終わるとする誤りが狙われる。実施状況の点検と記録まで含めて業務である。

07
重要度 B

鉄部塗装

鋼製の手すり・階段・扉・面格子などの鉄部は、塗膜の劣化により錆が発生し、進行すると断面が減少して強度が低下する。塗替えでは、まずケレン(錆や旧塗膜の除去、素地調整)を行い、錆止め塗料を塗ってから上塗りするのが基本である。屋外の雨掛かり部分は屋内部分より劣化が早く、短い周期での塗替えが必要となる。アルミやステンレスも電食や白錆を生じることがあり、点検の対象から外してはならない。

覚え方ケレンして錆止め、それから上塗り

ひっかけ注意「厚く塗れば長持ちする」とする誤りが狙われる。塗膜の寿命を決めるのは厚さではなく下地処理である。

08
重要度 B

外壁・コンクリートの劣化現象

白華現象(エフロレッセンス)は、コンクリート中の水酸化カルシウム等が水に溶けて表面に染み出し、二酸化炭素と反応して白い炭酸カルシウムとして析出する現象で、ひび割れや目地から水が浸入していることを示す。関連する劣化には、塗膜が粉状になるチョーキング(白亜化)、鉄筋の錆による膨張でかぶりコンクリートが剥落する爆裂、鉄筋腐食による錆汁の流出、モルタルやタイルが下地から離れる浮きがある。

覚え方白い粉は水の通り道のサイン

ひっかけ注意「白華は見た目の問題にすぎない」とする誤りが定番。水の浸入経路が存在することを示す点が重要である。

建物・設備の暗記表をすべて見る →

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    屋根・外壁・給排水・設備等の点検結果と劣化状況を記録する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    修繕周期は建物条件・劣化状態に応じた目安で、全国一律の法定交換周期ではない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    概算費用、資金計画、実施履歴を反映して長期修繕計画を定期的に更新する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

内容の基準日
2026-04-01
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

維持保全と長期修繕計画の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

建物・設備重要度 A

外壁タイルの調査と打診

タイル張り等の外壁については、竣工または外壁改修等から10年を超え、かつその後3年以内に落下防止措置等が講じられていない場合、建築基準法12条の定期調査においてその最初の調査時に全面打診等による調査を行う必要がある。

維持保全と長期修繕計画○×一問一答12問|問題と解説

この論点で収録している12問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    外壁タイルの調査と打診重要度A

    タイル張り等の外壁については、竣工または外壁改修等から10年を超え、かつその後3年以内に落下防止措置等が講じられていない場合、建築基準法12条の定期調査においてその最初の調査時に全面打診等による調査を行う必要がある。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。原則は目視と部分的な打診だが、10年を超えた場合は全面打診等が必要となる。

  2. 2

    長期修繕計画重要度A

    賃貸住宅の長期修繕計画は、いったん策定すれば、建物の劣化状況や工事費の変動にかかわらず、計画期間が満了するまで見直す必要はない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。長期修繕計画は定期的に見直し、実際の劣化状況や工事費の変動を反映させる必要がある。

  3. 3

    外壁のひび割れ重要度A

    幅0.3mm程度以下のヘアークラックは表面的なひび割れにすぎず、雨水の浸入経路とはならないため、補修する必要はない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。微細なひび割れでも雨水や二酸化炭素の浸入口となり、中性化や鉄筋腐食を早めるため補修が必要である。

  4. 4

    屋上防水と排水重要度A

    陸屋根の屋上防水では、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水などが用いられるが、いずれの工法であっても、ルーフドレン(排水口)に落ち葉や土砂が詰まると雨水が滞留し、漏水の原因となる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。防水層の健全性にかかわらず、排水不良による滞留水は漏水を招くため清掃が欠かせない。

  5. 5

    防水工法の種類と特徴重要度A

    ウレタン塗膜防水は、液状の材料を塗り重ねて継ぎ目のない防水層をつくる工法であり、複雑な形状の下地にも施工しやすい。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。液状材料を塗り重ねるため継ぎ目がなく、入隅や設備基礎の多い下地にも対応できる。

  6. 6

    外壁仕上げの種類重要度B

    窯業系サイディングは工場で生産されたパネルを張って仕上げるため継ぎ目がなく、モルタル塗り仕上げに比べてひび割れが生じやすい。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。サイディングにはパネル間の目地があり継ぎ目が生じる。ひび割れが生じやすいのはモルタルの側である。

  7. 7

    設備の更新時期と長期修繕計画重要度B

    給湯器やエアコンなどの設備は、税法上の法定耐用年数を経過したことのみをもって直ちに交換すべきものではなく、点検結果や故障の状況を踏まえて更新時期を判断し、長期修繕計画に反映させる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。法定耐用年数は税務上の償却期間であり、物理的な寿命や交換時期と一致するものではない。

  8. 8

    外壁・コンクリートの劣化現象重要度B

    コンクリートやタイル目地の表面に白い粉状・つらら状の物質が析出する白華現象(エフロレッセンス)は、美観上の問題にとどまり、水の浸入を示すものではない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。白華現象は内部に水が浸入していることを示すサインであり、漏水経路の補修が必要となる。

  9. 9

    シーリング材の劣化重要度B

    外壁の目地やサッシまわりに用いられるシーリング材は、紫外線や温度変化の影響を受けにくく、外壁塗装の塗替え周期を大きく超えて性能を保持することができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。シーリング材は紫外線や温度変化により硬化・ひび割れ・剥離を生じ、外壁の中でも劣化が早い部位である。

  10. 10

    鉄部塗装重要度B

    鉄部の塗替えでは、既存の塗膜や錆を除去するケレンを行わずに新しい塗料を上塗りする方が、塗膜が厚くなり防錆効果が高まる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。下地の錆や旧塗膜を残したまま上塗りしても付着せず、内部で錆が進行して早期に剥離する。

  11. 11

    勾配屋根と化粧スレート重要度B

    勾配屋根に用いられる化粧スレートは、経年により表面の塗膜が劣化しても下地の防水シートが雨水の浸入を防ぐため、屋根の塗替えを行う必要はない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。塗膜の劣化は素地の吸水とひび割れを招き、下地の防水シートも経年で劣化するため塗替えが必要である。

  12. 12

    中長期修繕計画と資本的支出重要度B

    プロパティマネジメント会社の業務は日常的な修繕の手配までであり、資本的支出を伴う中長期の修繕計画を立案して委託者に提案することは業務に含まれない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。中長期的な視点から資本的支出を含む修繕計画を立案・提案することも重要な業務である。

次の学習

維持保全と長期修繕計画の問題を続けて解く

この論点に対応する12問を絞り込んで出題します。

○×一問一答