管理実務
家賃滞納で契約解除できる条件は?催告・信頼関係・明渡しを整理【賃貸管理士】【2026年度試験対応】
賃貸不動産経営管理士の家賃滞納を、催告・解除・明渡しの順で解説。3か月で自動解除とはいえない理由、保証会社の解除条項、鍵交換など自力救済の問題を整理します。
要点 6件・基本問題 7問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
- 法令基準日
- 2026-04-01
- 最終確認日
- 2026-08-15
- 確認
- chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
家賃を滞納したという事実だけで、直ちに退去や鍵交換ができるわけではありません。支払状況を確認し、催告等の解除要件と、賃貸借の信頼関係が破壊されたかを検討します。契約解除と明渡しの実現は別の段階であり、「3か月で自動的に解除」とは覚えません。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-08
家賃滞納は「回収・解除・明渡し」に分ける

支払状況、催告と信頼関係、解除要件を確認し、明渡しは適法な手続で進める。滞納だけで鍵を交換しない。
図を大きく見る未払家賃を請求すること、賃貸借を終了させること、建物の占有を返してもらうことは別の問題です。未払額があるというだけで、直ちに管理業者が室内の荷物を処分できる関係にはありません。
最初に契約上の支払日、入金記録、充当の内容を照合し、いつの賃料がいくら未払かを整理します。保証会社が関係する場合も、賃借人の履行状況と保証の実行を区別して読みます。
| 段階 | 判断すること | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 家賃請求 | 未払の発生・金額・支払状況 | 請求できることと解除できることは別 |
| 契約解除 | 催告等の要件・信頼関係 | 滞納月数だけで自動判断しない |
| 明渡し | 任意の返還か法的手続か | 解除しても無断入室・鍵交換はしない |
催告と信頼関係|3か月を絶対基準にしない
民法541条は相当期間を定めた履行の催告をした上で、期間内に履行がないときの解除を定めています。ただし、期間経過時の不履行が契約や取引通念に照らして軽微であるときは解除できません。542条には催告を要しない場合が別に定められています。
継続的な賃貸借では、信頼関係の破壊も問題になります。滞納の程度、滞納に至る事情、従来の支払状況、通知後の対応などを総合して判断します。3か月という数字だけで結論を出したり、1回の支払遅れなら何があっても解除できないと断定したりしません。
保証会社が無条件で解除できる特約に注意
最高裁令和4年12月12日判決で扱われた契約には、滞納額が3か月分以上になった場合に、家賃保証業者が何らの限定なく無催告解除できる条項等がありました。消費者庁の公表資料では、こうした条項が消費者契約法10条に該当するとした判断が確認できます。
ここから「保証会社が関係する解除はすべて無効」と広げるのではなく、誰が、どの要件で、どの権限を行使する条項なのかを読むことが大切です。借主が署名した契約書に書いてある、という理由だけで内容の検討を終えません。
明渡しと鍵交換|出題例で混同を解く
Q. 解除通知を出した後なら、留守中に鍵を交換してよいですか。A. 解除の有効性とは別に、占有の排除には適法な手続が必要です。滞納や連絡不通だけを理由に、管理側が自由に退去を実現できると理解しないでください。
令和7年度問6では、賃料不払による解除の要件、意思表示の到達、保証会社に関する条項などが問われています。損害賠償の帰責事由と解除の要件を同じものとしない点も確認できます。現行民法の解除は、債務者の帰責事由を一般的な要件とはしていません。
根拠:e-Gov:民法541条・542条など消費者庁:フォーシーズ訴訟の上告審判決賃貸不動産経営管理士協議会:過去の試験問題
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問6
賃料不払による解除の要件と家賃保証業者の条項を読み分ける
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- e-Gov:民法541条・542条など確認日:2026-09-08
- 国土交通省:家賃の滞納に関するQ&A確認日:2026-09-08
- 消費者庁:フォーシーズ訴訟の上告審判決確認日:2026-09-08
- 賃貸不動産経営管理士協議会:過去の試験問題確認日:2026-09-08
- 賃貸不動産経営管理士協議会:令和8年度試験実施要領確認日:2026-09-08

督促は本人へ常識的な時間帯に行い、記録を残します。玄関への貼り紙、勤務先への連絡、深夜訪問や威迫は避けなければなりません。
滞納督促の実務と留意点
督促は正当な権利行使であっても、方法・時間帯・場所において社会通念上相当な範囲を超えれば違法となる。深夜早朝の電話や訪問、勤務先や近隣への滞納の告知、玄関ドアへの貼り紙、大声での要求などはプライバシーや名誉の侵害として損害賠償責任を生じ得る。督促は本人に対し節度をもって行い、応じない場合は内容証明郵便による催告を経て法的手続へ移行する。家賃債務保証会社が行う場合も同様である。
覚え方督促は本人に・常識的な時間に・静かに
混同注意・比較表
賃料滞納で解除できるか(信頼関係の破壊)
最初に見るのは滞納の理由と続き方です。うっかりの一時的な遅れか、支払う姿勢を欠いた累積かで、解除できるかも催告が要るかも変わります。
| 事由 | 信頼関係の破壊とならない場合 | 信頼関係の破壊となり得る場合 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 滞納の原因 | 引落口座への入金忘れ、家族等の病気等による一時的な資金不足、借主の落ち度による入金遅延 | 収入の低下による滞納の累積、長引く慢性的な賃料滞納 | 一度きりの遅れか、慢性化しているかが最初の分岐点です。 |
| 支払う姿勢があるか | 借主の失業・倒産による滞納の累積も、支払えない事情によるものとしてこちらに分類される | 不良入居者による不払、夜逃げや無断転貸による不払は、支払う姿勢を欠くものとされる | 失業や倒産は「払えない」、夜逃げや無断転貸は「払わない」と区別します。 |
| 催告の要否最重要 | 催告をしたうえでなければ解除できない。1か月でも滞納すれば無催告で解除できる旨の特約があっても同じ | 信頼関係が破壊されたと明らかに認められる場合等、無催告解除でも不合理でないときは催告なしの解除も認められる | 無催告解除の特約があっても、それだけでは催告を省けません。 |
| 催告のやり方 | 催告は口頭でもできるが、その事実を証拠として残す意味から書面で行うことが望ましい | 状況が改善されない場合や契約解除を求めることが目的の場合は、配達証明付きの内容証明郵便で催告するのが一般的 | 解除まで見据えるなら、配達証明付きの内容証明郵便で証拠を固めます。 |
滞納の原因
- 信頼関係の破壊とならない場合
- 引落口座への入金忘れ、家族等の病気等による一時的な資金不足、借主の落ち度による入金遅延
- 信頼関係の破壊となり得る場合
- 収入の低下による滞納の累積、長引く慢性的な賃料滞納
判断ポイント
一度きりの遅れか、慢性化しているかが最初の分岐点です。
支払う姿勢があるか
- 信頼関係の破壊とならない場合
- 借主の失業・倒産による滞納の累積も、支払えない事情によるものとしてこちらに分類される
- 信頼関係の破壊となり得る場合
- 不良入居者による不払、夜逃げや無断転貸による不払は、支払う姿勢を欠くものとされる
判断ポイント
失業や倒産は「払えない」、夜逃げや無断転貸は「払わない」と区別します。
催告の要否
最重要- 信頼関係の破壊とならない場合
- 催告をしたうえでなければ解除できない。1か月でも滞納すれば無催告で解除できる旨の特約があっても同じ
- 信頼関係の破壊となり得る場合
- 信頼関係が破壊されたと明らかに認められる場合等、無催告解除でも不合理でないときは催告なしの解除も認められる
判断ポイント
無催告解除の特約があっても、それだけでは催告を省けません。
催告のやり方
- 信頼関係の破壊とならない場合
- 催告は口頭でもできるが、その事実を証拠として残す意味から書面で行うことが望ましい
- 信頼関係の破壊となり得る場合
- 状況が改善されない場合や契約解除を求めることが目的の場合は、配達証明付きの内容証明郵便で催告するのが一般的
判断ポイント
解除まで見据えるなら、配達証明付きの内容証明郵便で証拠を固めます。
01賃料の受領と滞納督促の重要暗記項目
滞納督促の実務と留意点
督促は正当な権利行使であっても、方法・時間帯・場所において社会通念上相当な範囲を超えれば違法となる。深夜早朝の電話や訪問、勤務先や近隣への滞納の告知、玄関ドアへの貼り紙、大声での要求などはプライバシーや名誉の侵害として損害賠償責任を生じ得る。督促は本人に対し節度をもって行い、応じない場合は内容証明郵便による催告を経て法的手続へ移行する。家賃債務保証会社が行う場合も同様である。
覚え方督促は本人に・常識的な時間に・静かに
ひっかけ注意貼り紙・勤務先連絡・深夜の訪問は典型的な違法行為である。保証会社が行う場合も同じ規律が及ぶ。
賃料の供託
供託できるのは、①弁済の提供をしたが債権者が受領を拒んだとき、②債権者が弁済を受領することができないとき、③弁済者が過失なく債権者を確知することができないとき(賃貸人が死亡し相続人が不明な場合等)の3類型である(民法494条)。賃料額に争いがある、修繕がされないといった理由だけでは供託できない。供託額は債務の本旨に従った全額でなければならず、一部供託は原則として無効である。
覚え方供託は受領拒絶・受領不能・債権者不確知の三つだけ
ひっかけ注意賃料増額の争いがあるだけで供託できるとする誤りが定番。増額請求中は相当と認める額を支払うのであって供託ではない。
賃料債権の消滅時効
民法166条1項により、債権は①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、②権利を行使することができる時から10年のいずれか早い方の経過で時効消滅する。賃料は支払期日を通常認識しているため実質5年で完成する。旧169条の定期給付債権の短期消滅時効は2020年施行の改正で廃止された。催告には6か月の完成猶予の効力しかなく、裁判上の請求や債務の承認があれば時効は更新される。
覚え方賃料の時効は知ってから五年、催告の効き目は六か月だけ
ひっかけ注意改正前の短期消滅時効や不法行為の3年と混同させる出題が狙われる。催告を繰り返しても完成猶予は延長されない。
賃料の収納と口座振替
口座振替は入金の確実性と事務効率に優れるが、残高不足等による振替不能が生じる。振替結果データを速やかに確認して未収者を特定し、当月中に連絡するのが滞納長期化を防ぐ要点である。督促は日時・方法・相手方・応答内容を記録し、支払約束を得たときは書面やメールで確認する。連帯保証人や家賃債務保証会社への通知も契約で定めた期限内に行う。受領した家賃等は分別管理の対象となる。
覚え方滞納対応は早く・記録して・保証にも連絡
ひっかけ注意「翌月にまとめて請求すればよい」は滞納を長期化させる。初動の遅れが致命的となる。
弁済供託
弁済の提供をしたのに債権者が受領を拒んだとき、債権者が受領することができないとき、又は弁済者が過失なく債権者を確知することができないときは、弁済者は供託所に供託して債務を免れる(民法494条)。賃料増額の争いで賃貸人が従前額の受領を拒む場合などに用いられる。なお増額の裁判が確定するまで賃借人は相当と認める額を支払えば足り、不足額には年1割の利息を付して支払う。
覚え方受け取ってくれなければ供託、増額争いは相当額を払って年一割
ひっかけ注意「受領を拒まれたまま支払わなければ滞納になる」は誤り。供託により債務を免れる。
遅延損害金の上限
消費者契約法9条1項2号は、消費者が支払期日までに金銭を支払わない場合の損害賠償額の予定・違約金を定める条項について、支払期日の翌日からの日数に応じ年14.6パーセントの割合を乗じた額を超える部分を無効とする。年30パーセントの特約でも年14.6パーセントの限度では効力を持ち、特約全体が無効になるのではない。同項1号により、解除に伴う違約金も平均的な損害の額を超える部分は無効となる。
覚え方遅延損害金の天井は年一四・六、超えた分だけが無効
ひっかけ注意「合意があれば利率は自由」も「上限を超えると特約全体が無効」も誤り。無効となるのは超過部分に限られる。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1契約上の支払日、支払方法、遅延損害金の定めを確認する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2一部入金では当事者による充当指定と民法の法定充当を区別する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3督促記録、金銭請求、契約解除、明渡請求を別の判断段階として管理する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 内容の基準日
- 2026-04-01
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
賃料の受領と滞納督促の○×一問一答
1/7問解答 0・正解 0
管理実務重要度 S
滞納督促の実務と留意点
賃料を滞納している入居者に対しては、深夜に電話をかけたり勤務先へ連絡したりして支払を促すことも、正当な権利行使として許される。
賃料の受領と滞納督促の○×一問一答7問|問題と解説
この論点で収録している7問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
滞納督促の実務と留意点重要度S賃料を滞納している入居者に対しては、深夜に電話をかけたり勤務先へ連絡したりして支払を促すことも、正当な権利行使として許される。
答え:×(誤り)
解説
誤り。私生活の平穏や名誉を害する督促は違法となり、不法行為責任を問われる。
問2
賃料の収納と口座振替重要度B賃料の回収に口座振替を利用している場合、振替不能が生じたときは、翌月の振替日に2か月分をまとめて請求すれば足りる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。振替不能を把握したら当月中に督促し、滞納の長期化を防ぐ必要がある。
問3
賃料債権の消滅時効重要度B賃料債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。債権の消滅時効は主観的起算点から5年、客観的起算点から10年である。
問4
遅延損害金の上限重要度B賃料の支払が遅れた場合の遅延損害金を年30パーセントとする特約は、賃借人が個人の消費者であっても、当事者が合意している以上その全部が有効である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。消費者契約では、遅延損害金のうち年14.6パーセントを超える部分は無効となる。
問5
弁済供託重要度B賃貸人が賃料の受領を拒んでいる場合、賃借人は賃料を供託することにより債務を免れることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。受領拒絶等の場合、賃借人は弁済供託により債務を消滅させることができる。
問6
賃料の供託重要度B賃貸人が賃料の受領を拒んでいる場合、賃借人は弁済の提供をしたうえで賃料を供託することにより、賃料債務を免れることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。民法494条1項1号の受領拒絶を理由とする弁済供託であり、供託により債務は消滅する。
問7
賃料債権の消滅時効重要度B賃料債権は、賃貸人が権利を行使することができることを知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
答え:×(誤り)
解説
誤り。改正民法により、賃料債権の消滅時効は権利を行使できることを知った時から5年(客観的起算点からは10年)である。
賃料の受領と滞納督促の問題を続けて解く
この論点に対応する7問を絞り込んで出題します。