管理実務
原状回復の費用負担|クロスの6年・修繕範囲・通常損耗を整理【賃管試験】【2026年度試験対応】
原状回復費用を貸主・借主の負担に分ける手順を解説。クロス6年の考え方、畳表やフローリングの例外、壁一面と部屋全体の違いを、比較表と学習用の計算例で確認できます。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
- 法令基準日
- 2026-04-01
- 最終確認日
- 2026-08-15
- 確認
- chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
原状回復費用は、まず損傷の原因で貸主・借主の負担を分け、借主負担となる部分について補修範囲と経過年数を確認します。通常損耗・経年変化は原則として借主の原状回復義務に含まれません。クロスは6年で残存価値1円を想定しますが、すべての部材や施工費が6年で無料になるわけではありません。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-11
まず損傷の原因で、貸主・借主の負担を分ける
民法621条は、通常の使用による損耗と経年変化を借主の原状回復義務から除き、借主の責めに帰することができない損傷も借主負担とはしていません。国土交通省のガイドラインは、この費用負担を具体的な部位や使い方に当てはめるときの一般的な基準です。
同じ壁の汚れでも、テレビの背面の電気ヤケと、喫煙によって付着したヤニでは原因が異なります。「退去時に汚れていた」という結果だけで負担を決めず、使い方、発生原因、入居前からの状態を確認しましょう。以下は特段の有効な特約がない場合の一般的な整理です。
| 事例 | 基本の負担 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 家具の設置跡・床のへこみ | 貸主 | 通常の生活で生じる損耗 |
| 日照によるクロスの変色・電気ヤケ | 貸主 | 経年変化・通常の使用 |
| 引越し作業による引っかき傷 | 借主 | 借主側の過失等で生じた損傷 |
| 喫煙のヤニ・臭い、ペットによる傷・臭い | 借主 | 通常の使用を超える損耗として判断 |
| 鍵の紛失に伴う交換 | 借主 | 紛失が原因。単なる入居者交替時の交換とは区別 |
借主負担でも、請求された工事の全額とは限らない

原状回復費用は原因、補修範囲、経過年数の順に判断し、6年で全費用が無料になるとは限らない
図を大きく見る借主に原因があると分かった後も、請求額の全額を直ちに負担すると結論づけません。①借主負担の損傷か、②どの範囲を補修するか、③経過年数でどれだけ調整するか、の順で見ます。
例えば、借主が一面の壁の一部を汚した事例で、貸主が次の募集に合わせて部屋全体を張り替えたとします。工事をした面積と、借主が負担すべき面積は同じとは限りません。単なる色合わせや物件の価値を高めるための更新まで、当然に転嫁できるわけではありません。
クロスは6年。経過年数を考慮しない部材もある
壁クロスは、6年で残存価値1円となる直線を想定して負担割合を考えます。原則として材料・設備の経過年数を見るため、入居した日が新品への交換日と同じとは限りません。交換時期が分からない場合の入居年数による代替は、ガイドラインの考え方を別に確認します。
畳表と畳床は別物です。またフローリングは、部分補修か床全体の張替えかで扱いが違います。「室内のものは全部6年」とまとめず、部材名と工事内容の組合せで覚えます。
| 部材・工事 | 経過年数の扱い |
|---|---|
| 壁クロス | 6年で残存価値1円を想定 |
| 畳床・カーペット・クッションフロア | 6年で残存価値1円を想定 |
| 畳表・襖紙・障子紙 | 消耗品に近く、経過年数を考慮しない |
| フローリングの部分補修 | 経過年数を考慮しない |
| 床全体の毀損によるフローリング全体の張替え | 建物の耐用年数で残存価値1円を想定 |
クロス3年の学習例:残る価値と対象範囲を分ける
新品へ張り替えた時点から3年経過したクロスを、借主の過失で汚損したとします。6年の直線で単純化すると、価値の残りはおよそ50%です。ただし先に、借主負担の対象となる補修範囲を決める必要があります。
独自の学習例として、その範囲のクロスの価値回復分を4万円と仮定すれば、4万円×約50%で約2万円と考えます。残存価値1円を省略した概算で、施工費や下地補修費を含む現実の請求書のすべてに一律50%を掛ける計算ではありません。
耐用年数を過ぎても、借主が故意・過失で壊した場合に原状回復の義務が全くなくなるとは限りません。施工費等を負担することがあり、「入居6年以上なら費用はすべて0円」という結論は避けます。
壁一面と居室全体では、負担を広げる理由が違う
補修は損傷した部分を基本とし、最低限可能な施工単位も考慮します。壁クロスは㎡単位が望ましいものの、損傷した箇所を含む一面分までの張替え費用を借主負担とすることもやむを得ないとされています。
一方、部屋全体のクロスに喫煙による変色や臭いが付着している場合には、居室全体のクリーニングや張替えが借主負担となることが妥当とされます。一か所の汚れを色合わせのために全面更新する場合とは、損耗が及んだ範囲が違います。
ガイドラインは一律の請求額を強制する法律ではありません。個別の精算では、有効な契約条件、写真、入居時の状態、損傷と補修の対応、見積内訳を確認します。
よくある疑問:特約とクリーニング費用はどう考える?
通常の清掃が行われている場合の、次の入居者を確保するためのハウスクリーニングは、ガイドライン上は貸主負担が基本です。ただし通常の清掃を怠った汚れや、特約がある場合は同じ条件ではありません。
特約が書いてあればすべて有効になるわけではありません。必要性・合理性、借主が通常の義務を超える負担を認識していること、負担する意思を表示していることなどを確認し、法令や裁判例を踏まえて個別に判断します。
敷金が預けてあることと、差し引ける原状回復費用の範囲は別の問題です。「敷金以内なら何を引いてもよい」とせず、まずこのページの負担区分を確認し、その後に「敷金」の精算を学びます。
根拠:e-Gov|民法621条(原状回復義務)国土交通省|原状回復ガイドライン第1章・別表1、2国土交通省|原状回復ガイドラインQ&A
過去問では部材・原因・経過年数を読み分ける
令和7年度問32・33では、原状回復ガイドラインや原状回復の考え方が扱われています。同じ「壁」でも原因が違えば結論が変わり、同じ「床」でも畳表と畳床では年数の扱いが異なります。
退去の手順を知りたい場合は退去立会いの解説へ、契約中の故障なら「修繕義務・必要費と有益費」へ進んでください。このページでは費用負担の判定に絞り、最後の独自問題で原因・範囲・年数の3段階を確認します。
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問32
損耗の原因や部位ごとに貸主・借主の負担を読み分ける。
公式の公表資料を確認する - 令和7年度 問33
原状回復の範囲と契約・経過年数の条件を確認する。
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- e-Gov|民法621条(原状回復義務)確認日:2026-09-11
- 国土交通省|原状回復ガイドライン第1章・別表1、2確認日:2026-09-11
- 国土交通省|原状回復ガイドラインQ&A確認日:2026-09-11
- 賃貸不動産経営管理士協議会|令和7年度試験問題確認日:2026-09-11
- 賃貸不動産経営管理士協議会|2026年度試験実施要領確認日:2026-09-11

借主負担を計算するときは経過年数を考慮します。代表例はクロス等6年、流し台5年、衛生設備15年です。
原状回復ガイドライン(経過年数)
経過年数の考慮は、経年変化・通常損耗分を賃借人に二重に負担させないための調整である。壁クロス・カーペット・クッションフロア・畳床・冷房用暖房用機器は6年、流し台は5年、便器・洗面台等の給排水衛生設備は15年で残存価値1円となる直線を想定する。畳表・襖紙・障子紙は消耗品的性格が強いため経過年数を考慮せず、フローリングの部分補修も考慮しない。残存価値はゼロではなく1円である。
覚え方クロス・カーペットは六年、流し台五年、便器十五年、畳表と襖紙は年数考慮なし
混同注意・比較表
アセットマネジメントとプロパティマネジメントの違い
最初に見るのは、投資を決める側か現場を回す側かです。ここが決まると、誰から委託を受けるのか、誰に報告するのかも自動的に決まります。
| 事由 | アセットマネジメント | プロパティマネジメント | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 担当する業務 | 資金運用の計画・決定・実施およびその実施の管理を行う業務 | 現実の賃貸物件の管理・運営を行う業務で、担当者をプロパティマネージャーという | 資金を運用する側と、物件を運営する側という役割の違いです。 |
| 誰から委託を受けるか最重要 | 投資家等から委託を受けて、資産運用の一連の業務を行う | アセットマネージャーから選任・委託を受け、その指示の下で管理運営を行う | 上下関係を逆にする出題が定番です。指示を出すのはアセット側です。 |
| 具体的な仕事 | 総合的な計画を策定し、投資を決定・実行し、現実の管理運営を指示して、最後は売却により投下資金を回収する | 借主管理・建物管理・会計処理などを行い、その状況をアセットマネジメント会社へ報告する | 報告を受けるのがアセット側、報告を上げるのがプロパティ側です。 |
| 何を目指すか | 投資家等の資金を運用し、売却による投下資金の回収まで含めた運用の成果を出すこと | 現実の管理運営でキャッシュフローを安定させ、不動産投資の採算性を確保すること | 採算性の確保という言葉が出てきたらプロパティ側の話です。 |
担当する業務
- アセットマネジメント
- 資金運用の計画・決定・実施およびその実施の管理を行う業務
- プロパティマネジメント
- 現実の賃貸物件の管理・運営を行う業務で、担当者をプロパティマネージャーという
判断ポイント
資金を運用する側と、物件を運営する側という役割の違いです。
誰から委託を受けるか
最重要- アセットマネジメント
- 投資家等から委託を受けて、資産運用の一連の業務を行う
- プロパティマネジメント
- アセットマネージャーから選任・委託を受け、その指示の下で管理運営を行う
判断ポイント
上下関係を逆にする出題が定番です。指示を出すのはアセット側です。
具体的な仕事
- アセットマネジメント
- 総合的な計画を策定し、投資を決定・実行し、現実の管理運営を指示して、最後は売却により投下資金を回収する
- プロパティマネジメント
- 借主管理・建物管理・会計処理などを行い、その状況をアセットマネジメント会社へ報告する
判断ポイント
報告を受けるのがアセット側、報告を上げるのがプロパティ側です。
何を目指すか
- アセットマネジメント
- 投資家等の資金を運用し、売却による投下資金の回収まで含めた運用の成果を出すこと
- プロパティマネジメント
- 現実の管理運営でキャッシュフローを安定させ、不動産投資の採算性を確保すること
判断ポイント
採算性の確保という言葉が出てきたらプロパティ側の話です。
最重要・比較表
原状回復の費用を貸主と借主のどちらが負担するか
最初に見るのは損耗の原因です。時の経過や普通に住んだことで生じたものか、借主の使い方や手入れ不足で生じたものかで、費用を負担する側が入れ替わります。
| 事由 | 貸主が負担するもの | 借主が負担するもの | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 判断の出発点 | 経年変化と通常損耗。次の入居者を確保する目的で行う設備の交換やクロスの色合わせなど、建物の価値を増大させるリフォームも貸主負担 | 借主の故意・過失、善管注意義務違反、通常損耗を超えるもの。通常損耗の範囲でも、その後の手入れが悪く損耗が発生・拡大したものを含む | 経年変化・通常損耗の分は賃料に織り込まれているので、退去時に重ねて請求できません。 |
| 床(畳・フローリング・カーペット等) | 畳の裏返し、ワックスがけ、家具の設置による床のへこみや設置跡、日照などによる畳の変色 | 借主の過失によるシミやカビ、冷蔵庫下のサビ跡、不注意で雨を吹き込ませたフローリングの色落ち | 家具を置いてできたへこみは通常の使用の範囲で、貸主負担になります。 |
| 壁・天井(クロス等)最重要 | 冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ、壁のポスター等の跡、下地ボードの張替えが不要な画鋲穴、日照等によるクロスの変色 | 台所の油汚れ、結露を放置したことによるカビやシミ、タバコ等のヤニや臭い、下地ボードの張替えが必要な穴(画鋲穴・釘穴等) | 結露そのものは建物側の問題でも、放置して壁を傷めれば借主負担に変わります。 |
| 建具(襖・柱・ガラス等) | 入居者確保のための網戸の張替え、地震等で破損したガラス、網入りガラスの亀裂 | ペットによる柱等のキズや臭い、落書きなど故意による毀損 | 網入りガラスの熱割れや地震による破損は借主の責任ではないので貸主負担です。 |
| 設備・クリーニング | 専門業者による全体のハウスクリーニング、エアコンの内部洗浄、台所やトイレの消毒、新規入居者確保のための浴槽・風呂釜の取替え | コンロや換気扇の油汚れ、風呂等の水アカやカビ、不適切な手入れによる設備の毀損、通常の清掃を実施していない場合の清掃費用相当分 | 通常清掃がされていれば、次の入居者のためのクリーニングは貸主の負担です。 |
| 鍵の交換 | 新しい借主が入居する際の交換費用は貸主負担が原則。ピッキング対応キーへの交換は、交換を申し出た側が負担する | 借主が鍵を紛失した場合は借主負担で、シリンダーの交換費用相当分を全額負担する | 入替え時の鍵交換は防犯という物件管理上の問題なので、原則は貸主が負担します。 |
判断の出発点
- 貸主が負担するもの
- 経年変化と通常損耗。次の入居者を確保する目的で行う設備の交換やクロスの色合わせなど、建物の価値を増大させるリフォームも貸主負担
- 借主が負担するもの
- 借主の故意・過失、善管注意義務違反、通常損耗を超えるもの。通常損耗の範囲でも、その後の手入れが悪く損耗が発生・拡大したものを含む
判断ポイント
経年変化・通常損耗の分は賃料に織り込まれているので、退去時に重ねて請求できません。
床(畳・フローリング・カーペット等)
- 貸主が負担するもの
- 畳の裏返し、ワックスがけ、家具の設置による床のへこみや設置跡、日照などによる畳の変色
- 借主が負担するもの
- 借主の過失によるシミやカビ、冷蔵庫下のサビ跡、不注意で雨を吹き込ませたフローリングの色落ち
判断ポイント
家具を置いてできたへこみは通常の使用の範囲で、貸主負担になります。
壁・天井(クロス等)
最重要- 貸主が負担するもの
- 冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ、壁のポスター等の跡、下地ボードの張替えが不要な画鋲穴、日照等によるクロスの変色
- 借主が負担するもの
- 台所の油汚れ、結露を放置したことによるカビやシミ、タバコ等のヤニや臭い、下地ボードの張替えが必要な穴(画鋲穴・釘穴等)
判断ポイント
結露そのものは建物側の問題でも、放置して壁を傷めれば借主負担に変わります。
建具(襖・柱・ガラス等)
- 貸主が負担するもの
- 入居者確保のための網戸の張替え、地震等で破損したガラス、網入りガラスの亀裂
- 借主が負担するもの
- ペットによる柱等のキズや臭い、落書きなど故意による毀損
判断ポイント
網入りガラスの熱割れや地震による破損は借主の責任ではないので貸主負担です。
設備・クリーニング
- 貸主が負担するもの
- 専門業者による全体のハウスクリーニング、エアコンの内部洗浄、台所やトイレの消毒、新規入居者確保のための浴槽・風呂釜の取替え
- 借主が負担するもの
- コンロや換気扇の油汚れ、風呂等の水アカやカビ、不適切な手入れによる設備の毀損、通常の清掃を実施していない場合の清掃費用相当分
判断ポイント
通常清掃がされていれば、次の入居者のためのクリーニングは貸主の負担です。
鍵の交換
- 貸主が負担するもの
- 新しい借主が入居する際の交換費用は貸主負担が原則。ピッキング対応キーへの交換は、交換を申し出た側が負担する
- 借主が負担するもの
- 借主が鍵を紛失した場合は借主負担で、シリンダーの交換費用相当分を全額負担する
判断ポイント
入替え時の鍵交換は防犯という物件管理上の問題なので、原則は貸主が負担します。
混同注意・比較表
原状回復で経過年数を考慮する部位・考慮しない部位
最初に確認するのは部位です。同じ借主負担でも、耐用年数に応じて負担割合が下がる部位と、年数に関係なく費用の全額を負担する部位に分かれます。
| 事由 | 経過年数を考慮する | 経過年数を考慮しない | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 床(畳・カーペット等)最重要 | 畳床、カーペット、クッションフロアは耐用年数6年として負担割合を算定する | 畳表は消耗品と同じ扱いで経過年数を考慮せず、毀損させれば費用の全額が借主負担となる | 畳「表」と畳「床」で扱いが真逆になるところが、いちばん狙われます。 |
| 壁クロス・フローリング | 壁クロスは耐用年数6年として算定する。フローリングも全体を張り替えた場合は当該建物の耐用年数で算定する | フローリングの部分補修は考慮しない。年数が経っていても借主の負担は減らない | フローリングは、部分補修か全体張替えかで経過年数の扱いが切り替わります。 |
| 建具(襖・柱等) | 襖・障子等の建具部分や柱は、例外的に考慮する場合に当該建物の耐用年数で負担割合を算定する | 襖紙・障子紙は消耗品と同じ扱いで考慮しない。襖の建具部分や柱も原則は考慮しない | 紙の部分は消耗品、木の部分は原則考慮なし、と分けて覚えると混ざりません。 |
| 設備機器・鍵・クリーニング | 設備機器は各耐用年数で算定する。ユニットバス・浴槽・建物に固着した下駄箱は建物と同じ耐用年数になる | 鍵の紛失によるシリンダー交換費用と、通常清掃を怠った場合のクリーニング費用は全額借主負担となる | 鍵とクリーニングは、住んだ年数が長くても負担額が減りません。 |
床(畳・カーペット等)
最重要- 経過年数を考慮する
- 畳床、カーペット、クッションフロアは耐用年数6年として負担割合を算定する
- 経過年数を考慮しない
- 畳表は消耗品と同じ扱いで経過年数を考慮せず、毀損させれば費用の全額が借主負担となる
判断ポイント
畳「表」と畳「床」で扱いが真逆になるところが、いちばん狙われます。
壁クロス・フローリング
- 経過年数を考慮する
- 壁クロスは耐用年数6年として算定する。フローリングも全体を張り替えた場合は当該建物の耐用年数で算定する
- 経過年数を考慮しない
- フローリングの部分補修は考慮しない。年数が経っていても借主の負担は減らない
判断ポイント
フローリングは、部分補修か全体張替えかで経過年数の扱いが切り替わります。
建具(襖・柱等)
- 経過年数を考慮する
- 襖・障子等の建具部分や柱は、例外的に考慮する場合に当該建物の耐用年数で負担割合を算定する
- 経過年数を考慮しない
- 襖紙・障子紙は消耗品と同じ扱いで考慮しない。襖の建具部分や柱も原則は考慮しない
判断ポイント
紙の部分は消耗品、木の部分は原則考慮なし、と分けて覚えると混ざりません。
設備機器・鍵・クリーニング
- 経過年数を考慮する
- 設備機器は各耐用年数で算定する。ユニットバス・浴槽・建物に固着した下駄箱は建物と同じ耐用年数になる
- 経過年数を考慮しない
- 鍵の紛失によるシリンダー交換費用と、通常清掃を怠った場合のクリーニング費用は全額借主負担となる
判断ポイント
鍵とクリーニングは、住んだ年数が長くても負担額が減りません。
01原状回復の費用負担区分の重要暗記項目
原状回復ガイドライン(経過年数)
経過年数の考慮は、経年変化・通常損耗分を賃借人に二重に負担させないための調整である。壁クロス・カーペット・クッションフロア・畳床・冷房用暖房用機器は6年、流し台は5年、便器・洗面台等の給排水衛生設備は15年で残存価値1円となる直線を想定する。畳表・襖紙・障子紙は消耗品的性格が強いため経過年数を考慮せず、フローリングの部分補修も考慮しない。残存価値はゼロではなく1円である。
覚え方クロス・カーペットは六年、流し台五年、便器十五年、畳表と襖紙は年数考慮なし
ひっかけ注意「すべての部位で経過年数を考慮する」は誤り。畳表・襖紙・フローリングの部分補修は考慮しない。
原状回復の負担区分(具体例)
賃貸人負担の例は、家具設置による床やカーペットのへこみ、テレビ・冷蔵庫の背面の電気ヤケ、壁に貼ったポスターの跡、日照など自然現象によるクロスや畳の変色、破損のない網戸の張替え、通常清掃がされている場合のハウスクリーニング、破損・紛失のない場合の鍵の取替えである。賃借人負担の例は、引越作業でつけた引っかき傷、タバコのヤニや臭い、ペットによる傷や臭い、結露を放置して拡大させたカビやシミ、鍵の紛失による取替えである。
覚え方へこみ・電気ヤケ・ポスター跡は貸主、ヤニ・ペット・結露放置・鍵紛失は借主
ひっかけ注意具体例の振り分けを入れ替える出題が頻出。結露の発生自体は貸主負担、放置して拡大させたカビは借主負担という区別も罠。
原状回復の負担区分(貸主負担)
ガイドラインが賃貸人負担とする例には、家具の設置による床のへこみ・設置跡、テレビや冷蔵庫の背面の電気ヤケ、日照など自然現象によるクロスや畳の変色、フローリングのワックスがけ、網入りガラスの熱割れ、地震による破損、下地ボードの張替えを要しない程度の画鋲・ピンの穴、通常清掃がされている場合に次の入居者を確保するために行うハウスクリーニングがある。これらは賃料に織り込まれた経年変化・通常損耗である。
覚え方置いた跡・焼けた壁・日焼け・ワックスは貸主
ひっかけ注意電気ヤケや家具の設置跡を借主負担とする誤り。通常の使用の範囲を狭く読ませる出題に注意する。
原状回復の負担区分(借主負担)
賃借人負担となるのは、引越作業でつけた引っかき傷、日常清掃を怠ったことによる台所の油汚れやすす、風呂・トイレの水垢やカビ、不注意で雨を吹き込ませたフローリングの色落ち、下地ボードの張替えが必要な程度の釘・ネジ穴、鍵の紛失による取替えなどである。結露自体は建物の構造に起因することが多いが、賃借人が発生を通知せず拭き取り等の手入れも怠って壁面を腐食・カビさせた場合は善管注意義務違反として賃借人負担となる。
覚え方借主負担は、知らせず・拭かず・掃除せずで広がった損耗
ひっかけ注意「結露は構造の問題だから常に貸主負担」は誤り。通知と手入れを怠ったかどうかが分岐点である。
経過年数と残存価値
ガイドラインは、賃借人が負担すべき費用について、施工単位あたりの費用に経過年数に応じた残存価値の割合を乗じて算定する。壁クロス、カーペット、クッションフロア、畳床、冷房用・暖房用機器は6年、流し台は5年、便器・洗面台等の給排水衛生設備やユニットバスは15年で残存価値1円となる直線を想定する。入居年数が長いほど賃借人の負担割合は小さくなる。残存価値はゼロではなく1円である。
覚え方クロス・クッションフロア・エアコンは六年、流し台五年、衛生設備十五年
ひっかけ注意残存価値は1円でありゼロではない。耐用年数の年数を入れ替える出題が多い。
鍵交換の費用負担
原状回復ガイドラインは、鍵の取替えについて、破損や鍵の紛失がない場合は物件管理上の問題であるとして賃貸人負担とするのが妥当としている。借主が鍵を紛失・破損した場合はシリンダー交換費用を含めて借主負担となる。実務では特約で借主負担とする例もあるが、その場合も特約の必要性・合理性、借主の認識、義務負担の意思表示という有効要件を満たす必要がある。
覚え方鍵替えは、なくしたら借主、ふつうは貸主
ひっかけ注意「入替え時の鍵交換は常に入居者負担」は誤り。ガイドライン上の原則は貸主負担である。
喫煙・ペットによる損耗
ガイドラインは、喫煙等によりクロス等がヤニで変色し、又は臭いが付着した場合、通常の使用による汚損を超えると判断されることが多く、賃借人負担でクリーニング又は張替えを行うとする。ペット飼育による柱・クロスの傷や臭いも同様に賃借人負担である。一方、エアコンの内部洗浄は喫煙等による臭いが付着していない限り賃貸人負担とされる。ヤニによる張替えも経過年数を考慮して負担割合を算定する。
覚え方タバコとペットは借主、エアコン内部洗浄は原則貸主
ひっかけ注意エアコン内部洗浄を一律借主負担とする誤り。臭いの付着の有無で結論が分かれる。
経過年数を考慮しないもの
畳表・襖紙・障子紙は消耗品としての性格が強く価値の減少が大きいことから経過年数を考慮せず、賃借人の故意・過失等による毀損であれば費用の全額を負担する。フローリングも部分補修の場合は経過年数を考慮しない(全体を張り替える場合は建物の耐用年数で考える)。これに対し畳床・カーペット・クッションフロアは6年で残存価値1円となる直線で考える。畳「表」と畳「床」の扱いの違いを押さえる。
覚え方畳表・ふすま紙・障子紙は年数関係なし、畳床は六年
ひっかけ注意畳「表」と畳「床」の扱いの違いが定番の引っかけ。フローリングの部分補修も年数を考慮しない。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1損耗の発生原因から賃貸人負担・賃借人負担を判定する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2賃借人負担でも経過年数による残存価値を考慮する項目と、考慮しない項目を分ける
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3補修は損傷部分を基本単位とし、色合わせ等で広げる場合の負担範囲を確認する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 内容の基準日
- 2026-04-01
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
原状回復の費用負担区分の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
管理実務重要度 S
経過年数と残存価値
原状回復ガイドラインでは、壁クロスは6年で残存価値が1円となるような直線を想定し、経過年数に応じて賃借人の負担割合を算定する。
原状回復の費用負担区分の○×一問一答13問|問題と解説
この論点で収録している13問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
経過年数と残存価値重要度S原状回復ガイドラインでは、壁クロスは6年で残存価値が1円となるような直線を想定し、経過年数に応じて賃借人の負担割合を算定する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。クロスは耐用年数6年、残存価値1円の直線で経過年数を考慮する。
問2
原状回復の負担区分(貸主負担)重要度S家具の設置による床のへこみや設置跡、テレビ・冷蔵庫の背面の壁に生じた電気ヤケによる黒ずみは、いずれも賃貸人の負担とされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。いずれも通常の使用により生じる損耗であり、賃貸人負担とされる。
問3
原状回復の負担区分(借主負担)重要度S賃借人が結露を放置したことにより拡大したカビやシミの除去費用は、結露が建物の構造に起因する以上、常に賃貸人の負担となる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。結露を通知せず手入れも怠って拡大させた場合は、善管注意義務違反として賃借人負担となる。
問4
原状回復ガイドライン(経過年数)重要度S国土交通省の原状回復ガイドラインでは、賃借人負担となる壁クロスの補修費用について経過年数を考慮し、入居後6年で残存価値が1円となるように負担割合を算定する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。壁クロスは耐用年数6年として、6年で残存価値1円となる直線を想定して負担割合を按分する。
問5
原状回復の負担区分(具体例)重要度S原状回復ガイドラインでは、家具の設置により生じた床のへこみや、テレビ・冷蔵庫の背面の壁に生じた電気ヤケは、賃借人の負担とされている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。いずれも通常の使用により生じるものとして賃貸人負担とされている。
問6
喫煙・ペットによる損耗重要度A賃借人の喫煙により居室全体のクロスにヤニによる変色や臭いが付着した場合、通常の使用による損耗を超えるものとして賃借人負担となることが多い。
答え:○(正しい)
解説
正しい。喫煙によるヤニの変色・臭いは通常損耗を超えるものとして賃借人負担とされる。
問7
経過年数を考慮しないもの重要度A畳表や襖紙、障子紙については、消耗品としての性格が強いことから、経過年数を考慮せずに賃借人の負担を算定する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。畳表・襖紙・障子紙は消耗品として経過年数を考慮しない。
問8
鍵交換の費用負担重要度A入居者の入替えに伴う鍵の交換費用は、原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、前の入居者の負担とすることが妥当とされている。
答え:×(誤り)
解説
誤り。ガイドラインは、鍵の紛失・破損がない限り、入替えに伴う交換費用は貸主負担が妥当とする。
問9
耐用年数経過後の負担重要度A入居から8年が経過した後に賃借人が故意にクロスを破損した場合、クロスの耐用年数を超えているため、賃借人は一切費用を負担しない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。耐用年数経過後でも、故意による毀損であれば施工費用の一部を負担することがある。
問10
原状回復の施工単位重要度A賃借人の過失により壁クロスの一部が汚損した場合、汚損箇所を含む一面分の張替え費用までを賃借人の負担とすることは、施工上の単位として妥当と考えられている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。クロスは毀損箇所を含む一面分までを賃借人負担とするのが妥当とされる。
問11
ハウスクリーニング特約重要度Aハウスクリーニング費用を賃借人負担とする特約は、契約書に負担する範囲と金額が明示され、賃借人がこれを認識して合意していれば有効となり得る。
答え:○(正しい)
解説
正しい。範囲と金額が明示され、賃借人が認識して合意していれば有効となり得る。
問12
賃貸住宅標準契約書の修繕費用負担区分重要度A賃貸住宅標準契約書では、電球や蛍光灯の取替え、ヒューズの取替えなど費用が軽微な修繕について、賃借人が自らの費用で行うものと定められている。
答え:○(正しい)
解説
正しい。標準契約書は別表で修繕の分担を示し、費用が軽微な修繕は賃借人が自ら行うものとしている。
問13
経年劣化による設備の交換費用重要度B賃貸人が設備として貸している給湯器が経年により故障した場合、賃借人が日常的に使用してきた以上、その交換費用は賃借人の負担となる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。通常の使用による経年劣化での故障は賃貸人の修繕義務の範囲であり、交換費用は賃貸人が負担する。
原状回復の費用負担区分の問題を続けて解く
この論点に対応する13問を絞り込んで出題します。