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管理実務

原状回復ガイドラインの原則

通常損耗・経年変化は賃貸人負担という出発点から、例外を順に確認します。

要点 8件・確認問題 8読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

最重要ポイント

原状回復義務(民法621条)

賃借人が原状回復義務を負うのは、賃借物を受け取った後に生じた損傷のうち、通常の使用及び収益によって生じた損耗(通常損耗)並びに経年変化を除いた部分である。さらに、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは義務を負わない(621条ただし書)。地震によるガラスの破損や網入りガラスの熱割れは賃貸人の負担となる。「借りた時の状態に完全に戻す義務」ではない点が最重要である。

覚え方原状回復は通常損耗・経年変化を除いた傷だけ

01原状回復ガイドラインの原則の重要暗記項目

01
重要度 S / 過去6年 6

原状回復義務(民法621条)

賃借人が原状回復義務を負うのは、賃借物を受け取った後に生じた損傷のうち、通常の使用及び収益によって生じた損耗(通常損耗)並びに経年変化を除いた部分である。さらに、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは義務を負わない(621条ただし書)。地震によるガラスの破損や網入りガラスの熱割れは賃貸人の負担となる。「借りた時の状態に完全に戻す義務」ではない点が最重要である。

覚え方原状回復は通常損耗・経年変化を除いた傷だけ

ひっかけ注意「借りた時の状態に完全に戻す義務」と誤解させる出題が定番。帰責事由のない損傷も対象外である。

02
重要度 S / 過去6年 5

通常損耗補修特約

621条は任意規定なので通常損耗を賃借人負担とする特約自体は可能だが、最高裁平成17年12月16日判決は、賃借人が負担する通常損耗の範囲が賃貸借契約書に具体的に明記されているか、少なくとも口頭で明確に説明され賃借人が明確に認識して合意したことを要求する。国土交通省ガイドラインも、特約の必要性と合理的理由、賃借人の認識、義務負担の意思表示の3要件を挙げる。消費者契約法10条により無効となる余地もある。

覚え方通常損耗特約は何を・どこまで・いくらを明記して合意が要る

ひっかけ注意「通常損耗特約は常に無効」も「契約書に一行書けば有効」もどちらも誤り。具体性と賃借人の認識が鍵である。

03
重要度 S / 過去6年 5

原状回復ガイドライン(経過年数)

経過年数の考慮は、経年変化・通常損耗分を賃借人に二重に負担させないための調整である。壁クロス・カーペット・クッションフロア・畳床・冷房用暖房用機器は6年、流し台は5年、便器・洗面台等の給排水衛生設備は15年で残存価値1円となる直線を想定する。畳表・襖紙・障子紙は消耗品的性格が強いため経過年数を考慮せず、フローリングの部分補修も考慮しない。残存価値はゼロではなく1円である。

覚え方クロス・カーペットは六年、流し台五年、便器十五年、畳表と襖紙は年数考慮なし

ひっかけ注意「すべての部位で経過年数を考慮する」は誤り。畳表・襖紙・フローリングの部分補修は考慮しない。

04
重要度 A / 過去6年 4

善管注意義務違反と原状回復

経過年数を超えて残存価値がほとんどない設備等であっても、賃借人が用法違反や故意・過失により毀損した場合には、その補修工事に伴う施工費用(労務費等)について賃借人が負担することがある。入居年数が長く価値がほぼゼロのクロスに落書きをした場合、材料費は請求できなくても除去・張替えの作業費は負担の対象となる。経過年数の考え方は負担割合の算定方法であり、善管注意義務を免除するものではない。

覚え方価値ゼロでも壊せば工事代は払う、善管注意義務は消えない

ひっかけ注意「6年住めば何をしても負担なし」とする誤りが定番。故意過失による毀損は経過年数の問題とは別である。

05
重要度 S / 過去6年 5

原状回復の負担区分(具体例)

賃貸人負担の例は、家具設置による床やカーペットのへこみ、テレビ・冷蔵庫の背面の電気ヤケ、壁に貼ったポスターの跡、日照など自然現象によるクロスや畳の変色、破損のない網戸の張替え、通常清掃がされている場合のハウスクリーニング、破損・紛失のない場合の鍵の取替えである。賃借人負担の例は、引越作業でつけた引っかき傷、タバコのヤニや臭い、ペットによる傷や臭い、結露を放置して拡大させたカビやシミ、鍵の紛失による取替えである。

覚え方へこみ・電気ヤケ・ポスター跡は貸主、ヤニ・ペット・結露放置・鍵紛失は借主

ひっかけ注意具体例の振り分けを入れ替える出題が頻出。結露の発生自体は貸主負担、放置して拡大させたカビは借主負担という区別も罠。

06
重要度 S / 過去6年 6

賃貸借の媒介報酬の上限

宅地又は建物の貸借の媒介で依頼者双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃1か月分の1.1倍(消費税課税事業者の場合)が上限である。計算のもとになる借賃には消費税を含めない。この上限は貸主・借主の負担割合をどう定めても超えられない。貸借の代理でも、代理の依頼者から受ける額と相手方から受ける額の合計が借賃1か月分の1.1倍を超えてはならない。

覚え方貸借の報酬は双方合わせて一か月と税、代理でも合計の天井は同じ

ひっかけ注意「一方から1か月分ずつ、合計2か月分」は誤り。上限は合計額にかかる点が狙われる。

07
重要度 A / 過去6年 3

権利金がある場合の報酬の特例

返還されず権利設定の対価として支払われる権利金の授受があるときは、その額を売買代金とみなして売買の報酬計算式を適用できる。ただし対象は居住用建物以外の宅地・建物の賃貸借に限られ、店舗や事務所では使えるが、居住用建物では借賃1か月分の枠が上限のままである。敷金など返還される金銭は権利金に当たらず、この特例の対象にならない。売買換算した額と借賃基準の額のいずれか高い方を採用できる。

覚え方権利金の特例は店舗・事務所なら使えて住まいには使えない、返る金は権利金でない

ひっかけ注意「居住用でも権利金があれば売買換算できる」は誤り。返還される敷金を権利金に含める誤りも狙われる。

08
重要度 A / 過去6年 3

賃貸借の重要事項説明と37条書面

宅地建物取引業者が建物の貸借を媒介・代理するときは、契約が成立するまでに宅地建物取引士をして重要事項説明書(35条書面)を交付して説明させ、契約成立後遅滞なく37条書面を交付しなければならない。いずれも宅地建物取引士の記名が必要で、37条書面は交付のみで説明までは要しない。貸借特有の説明事項として、台所・浴室等の設備の整備状況、契約期間及び更新に関する事項、敷金等の精算に関する事項、管理の委託先などがある。

覚え方三十五条は締結前に説明、三十七条は締結後に交付

ひっかけ注意37条書面にも説明義務があるとする誤り、貸借では重要事項説明が不要とする誤りが狙われる。

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02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    誰に・何に適用されるか

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    原則と例外を分ける条件

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    期限・手続・効果の組み合わせ

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

内容の基準日
2026年4月1日
復習方法
要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

原状回復ガイドラインの原則の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

管理実務重要度 S頻出度 22/24(編集部の目安)

原状回復の定義とガイドライン

原状回復とは賃借人が借りた当時の状態に建物を戻すことをいい、経年変化や通常の使用による損耗も賃借人が復旧しなければならない。

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