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実務・開業2026年版

行政書士法改正と自動車|ディーラー・車検代行の書類作成はどこから違反か【2026年版】

2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

2026年1月1日に施行された改正行政書士法は、行政書士でない者の業務の制限(19条1項)に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言を加えました。自動車の販売や車検では、登録申請書や車庫証明申請書を店が用意する場面が多く、「手数料の名前を変えれば大丈夫か」「無料にすればよいか」という問いが出ます。この記事では、条文、総務省の改正法要綱、日本行政書士会連合会の会長談話、国土交通省が掲載する「行政書士法違反となる事例等」で、違反になりうる線を確かめます。個別の店や会社の扱いを判断する記事ではありません。

公開日
2026年11月8日
更新日
2026年11月8日
読了目安
約14分
法令基準日
2026年4月1日
情報確認日
2026年11月8日
行政書士法改正と自動車販売の記事カバー

先に結論

行政書士でも行政書士法人でもない販売店が、顧客の依頼で登録申請書や車庫証明申請書を作り、その対価を受け取れば、名目が「登録代行手数料」「納車費用」でも19条1項の違反になりえます。国土交通省掲載の資料は、販売に付随する行為とは認めず、人件費を含む手数料は書類作成の報酬にあたるとしています。一方、顧客本人か行政書士が書類を作り、店は提出だけを代行する場合や、施行規則20条が定めるワンストップサービス(OSS)の電子申請は扱いが違います。違反すると行為者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、改正後は会社にも100万円以下の罰金が科されえます。

この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 改正19条1項:名目を問わず、報酬を得て他人の書類を業として作れば制限の対象
  • 自動車販売に付随する行為とは認められない(国土交通省掲載の資料)
  • 人件費を含む代行手数料は報酬。印紙・証紙代などの実費だけなら報酬ではない
  • OSSの一部手続は施行規則20条の例外。中古車の移転登録はこの例外に入っていない

01結論:書類を作る対価が含まれれば、名目を問わず違反になりうる

改正後の19条1項は、行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として1条の3の業務を行うことができないと定めています。1条の3の業務とは、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作ることです。自動車の登録申請書や車庫証明申請書は、運輸支局や警察署に出す書類なので、ここに入ります。

販売店やディーラーで問題になるのは、店の担当者が顧客の書類を作り、その分を何らかの名目で受け取る形です。国土交通省掲載の資料は、登録の手数料に書類作成の対価が含まれていれば、その割合や名目にかかわらず報酬にあたるとしています。「書類作成費」と書かずに「代行手数料」と書けば外れる、というものではありません。

ただし、どの代行も違反になるわけではありません。顧客本人が書類を作り、店は窓口への提出や車両の搬送だけを引き受ける場合、行政書士に作成を頼む場合、法令が定める電子申請の例外に当たる場合は、扱いが分かれます。この記事は、その分かれ目を条文と公的資料で順に確かめます。

02改正の5つの柱:自動車に関わるのは業務の制限と両罰規定

改正法(令和7年法律第65号)は2025年6月13日に公布され、2026年1月1日に施行されました。衆議院総務委員長が提出した議員立法で、参議院では6月6日に全会一致で可決されています。総務省が公表した改正法要綱は、改正点を5つに分けています。

このうち自動車の販売や車検に直接関わるのは、4の業務の制限規定の趣旨の明確化と、5の両罰規定の整備です。使命・職責・特定行政書士の範囲の拡大は行政書士自身に向けた改正で、販売店の書類作成の扱いを変えるものではありません。試験対策として改正全体を整理したい人は、法改正の記事を先に読んでください。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

改正行政書士法の5つの柱(総務省の改正法要綱)
改正点条文中身自動車販売との関係
使命1条行政手続の円滑な実施と国民の権利利益の実現直接はない
職責1条の2品位の保持、デジタル社会への対応の努力義務直接はない
特定行政書士の範囲1条の4第1項2号「作成した」から「作成することができる」書類へ拡大直接はない
業務の制限19条1項「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」を追加代行手数料の扱いに関わる
両罰規定23条の3業務の制限違反などで法人も罰する会社の責任に関わる

この節・表の確認資料: 総務省「行政書士法の一部を改正する法律要綱」(確認日 2026年11月8日)/総務省「行政書士制度」(確認日 2026年11月8日)/日本行政書士会連合会「会長年頭談話」(2026年1月1日)(確認日 2026年11月8日)

0319条1項を4つの要素で読む

19条1項の制限は、4つの要素がそろったときに働きます。他人の依頼を受けること、報酬を得ること、業として行うこと、1条の3の書類を作ることです。改正で加わったのは、2つ目の報酬について「いかなる名目によるかを問わず」と言い切った部分です。

ただし書もあります。他の法律に別段の定めがある場合と、定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、制限が及びません。2項は、総務大臣がこの省令を定めるときは、手続を所管する大臣の意見を聴くとしています。自動車の電子申請の一部は、このただし書の省令で定められています。

4つの要素のどれかが欠ければ、19条1項の違反にはなりません。自分の車の書類を自分で作るのは「他人の依頼」がなく、書類を窓口に運ぶだけなら「書類の作成」がありません。逆に、名目を工夫しても4つがそろえば、制限の対象です。

04「趣旨の明確化」とは:改正前から違反だった行為を言葉で示した

日行連の会長談話は、改正の背景として、コロナ禍で行政書士等でない者が給付金等の代理申請を行い、多額の報酬を受け取る事例が見られたことを挙げています。そのうえで、「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」など名目にかかわらず、対価を受け取って官公署への提出書類等を業として作る行為は19条違反であると明確にしたと説明しています。

注意したいのは、談話がこれを現行法の解釈でも変わらず、改正法の施行前に行われた場合も違反になるとしている点です。2026年1月1日から新しく禁止されたのではなく、もともと禁止されていた行為を、名目で逃れられないことがわかる文言にした、という位置づけです。

自動車の販売では、「書類は無料で作り、代行手数料だけをもらう」という説明がされることがあります。改正の文言は、まさにこの「名目」の付け替えを想定しています。

05罰則と両罰規定:行為者に加えて会社にも罰金

19条1項に違反した者は、21条の2により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。23条の3は、法人の代表者や従業者が、その法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人にも各本条の罰金刑を科すと定めています。

改正前の23条の3には19条1項違反が入っていませんでした。日行連の会長談話は、改正で19条1項違反が両罰規定に加わり、違反行為者が所属する法人にも100万円以下の罰金が科されることになったと説明しています。販売店の従業員が店の業務として書類を作った場合、従業員だけでなく会社も対象になりうる点に注意が必要です。

名称の使用制限(19条の2)に違反して「行政書士」やこれと紛らわしい名称を使った場合も、22条の4で100万円以下の罰金で、これも両罰規定の対象です。

06自動車の手続で出てくる書類と、本来の申請者

車を買うと、登録(新規登録・移転登録など)と車庫証明が必要になります。国土交通省掲載の資料は、道路運送車両法の自動車登録申請は自動車の所有者が、保管場所法の車庫証明申請は自動車の保有者が、自ら行うものだと整理しています。車検(継続検査)も、申請書を運輸支局などに出す手続です。

これらの申請書は、どれも官公署に提出する書類です。1条の3は、書面に代えて作る電磁的記録も含むとしているので、紙の申請書だけでなく、オンラインで送る申請データも対象に入ります。

申請者が誰かを区別します。申請者は顧客(所有者・保有者)で、販売店は申請者ではありません。店が書類を作れば、他人である顧客の書類を作ることになります。手続そのものの流れや必要書類は、名義変更と車庫証明の記事にまとめています。

07「販売に付随する行為」としては認められない

19条1項について、行政書士でない者が正当業務の遂行上真に必要な範囲内で付随して行う場合は、従来どおり禁止されないという解釈があります。そこで、自動車の販売に伴う登録申請書や車庫証明申請書の作成は、販売に付随する行為として許されるのではないか、という質問が出ます。

国土交通省掲載の資料は、この質問に、登録申請は所有者が、車庫証明申請は保有者が自ら行うものであるから、販売会社による登録申請書と車庫証明申請書の作成は「正当業務の遂行上真に必要な範囲内において付随して行う場合」に当たらないと答えています。

車を売ることと、顧客の申請書を作ることは別の行為として扱われる、ということです。「車を売ったついでだから」という理由で、19条1項の外に出ることはできません。

08登録代行手数料の3つの事例:どこで報酬になるか

国土交通省掲載の資料は、販売会社が販売員に登録申請書と車庫証明申請書を作らせ、法定費用を除いた手数料を受け取る場合を3つに分けて答えています。基本の考え方は、一連の作業の報酬に書類作成の報酬が含まれていれば、1条の3第1項の報酬にあたり、19条1項に違反するというものです。

事例①は、書類作成を無料と明示し、添付書類の収集や提出の人件費・交通費を「登録代行手数料」として受け取る形です。資料は、実費に人件費等を含むなら、実質的に申請書の作成の報酬が含まれると認定され、違反するとしています。事例②は、書類作成の割合がごく小さく、代行全体の対価として受け取る形で、書類作成部分の割合の多寡を問わず違反するとしています。

事例③は、申請書の作成を顧客自身が行い、販売会社は添付書類の収集と提出だけを代行して手数料を受け取る形です。資料は、販売会社が申請書も添付書類の収集に関する書類も作っていないなら、1条の3第1項の報酬に該当しないとしています。分かれ目は手数料の名前ではありません。店が書類を作っているかどうかです。

販売店が書類作成を含めて代行する場合と、提出だけを代行する場合の比較図。書類作成を含む代行は、作るのが販売店、手数料は人件費込み、報酬にあたり、19条1項の違反になりうる。提出だけの代行は、作るのが顧客本人、手数料は提出の対価、報酬に該当せず、19条の問題は出ない(事例③)
図解国土交通省掲載の「行政書士法違反となる事例等」の事例①〜③をもとにした比較です。拡大して見る ↗

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登録代行手数料の3つの事例(国土交通省掲載の資料)
事例店がすること手数料の中身資料の結論
①書類作成も添付書類の収集・提出も作成は無料と明示、人件費・交通費を手数料に人件費を含むなら報酬にあたり違反
②書類作成も添付書類の収集・提出も代行全体の対価(作成の割合はごく小さい)割合の多寡を問わず違反
③添付書類の収集と提出だけ(作成は顧客)手続代行の対価報酬に該当しない

この節・表の確認資料: 国土交通省掲載資料「行政書士法違反となる事例等」(確認日 2026年11月8日)

09実費と報酬の線引き:印紙・証紙代は実費、人件費は報酬

国土交通省掲載の資料は、報酬とは役務に対する対価であるとし、印紙・証紙代、用紙代等を補う実費弁償は、その範囲にとどまる限り書類作成の報酬に当たらないとしています。一方、人件費等を含むものは書類作成の報酬に当たるとしています。

書類作成の報酬と認定できる場合は、その名目や額の多寡は問わない、とも書かれています。少額だから、または「事務手数料」と書いてあるから問題ない、という読み方はできません。

車両の受取りや搬送も含む一連の作業の手数料については、受け取った側の意思だけでなく、依頼者との契約内容、作業全体に占める書類作成の重要性、手数料の額などを総合的に見て個別に判断するとされています。手数料の内訳を説明できる資料を店が持っているかどうかが、判断の材料になります。

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受け取るお金の性質(国土交通省掲載の資料の考え方)
お金の中身書類作成の報酬か注意点
印紙代・証紙代実費の範囲なら報酬ではない立て替えた額を超えないこと
用紙代など実費の範囲なら報酬ではない実費を補う範囲にとどめる
人件費を含む代行手数料報酬にあたる名目や額の多寡は問わない
搬送なども含む一括の手数料契約・重要性・額で個別に判断書類作成を含むかが焦点

この節・表の確認資料: 国土交通省掲載資料「行政書士法違反となる事例等」(確認日 2026年11月8日)

10OSSの例外:施行規則20条が定める手続と団体

19条1項ただし書を受けて、行政書士法施行規則20条は、定型的かつ容易に行える手続と、それを行える者を定めています。対象は自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)などの電子申請の一部で、作成できる者として定められているのは個々の店ではなく、業界の団体です。

総務省の資料によると、継続検査の電子申請は2017年4月1日施行の省令改正で、軽自動車の新規検査の電子申請は2024年7月1日施行の省令改正で加わりました。いずれも、OSSの対象手続が広がったことに合わせた改正です。

表の手続に入っていないものは、この例外の外です。たとえば、中古車の名義変更(移転登録)は施行規則20条に挙がっていません。保管場所の申請も、新車の新規登録と同時に行う場合の入力部分に限られています。例外に当たるかどうかは、手続の種類、車両の条件、電子申請かどうかを条文で確認してください。

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行政書士法施行規則20条が定める手続と者
手続車両の条件定められた者
新規登録・新規検査の電子申請と、同時に行う保管場所の申請(入力部分)未登録で型式指定を受けた自動車日本自動車販売協会連合会
軽自動車の新規検査の電子申請車両番号の指定を受けたことがなく型式指定を受けた検査対象軽自動車日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会
継続検査の電子申請(登録自動車)自動車検査員が保安基準適合を証明したもの日本自動車販売協会連合会、日本自動車整備振興会連合会
継続検査の電子申請(検査対象軽自動車)自動車検査員が保安基準適合を証明したもの上の2団体と全国軽自動車協会連合会

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法施行規則」20条(確認日 2026年11月8日)/総務省「行政書士法施行規則の一部を改正する省令について」(平成29年)(確認日 2026年11月8日)/総務省「行政書士法施行規則の一部を改正する省令について」(令和6年)(確認日 2026年11月8日)

11業態ごとに確かめる点:ディーラー・中古車販売・車検代行

販売や整備の業態によって、扱う手続と例外の当てはまり方が違います。下の表は、条文と公的資料から、どの場面で確かめが必要になるかを並べたものです。表の「確かめる点」に当てはまるからといって、直ちに違反と決まるわけではありません。

共通するのは、誰が書類を作っているか、受け取るお金に作成の対価が含まれているか、施行規則20条の例外に当たるか、の3点です。迷う場合は、所管する運輸支局や警察署、都道府県の行政書士会に確認する必要があります。

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業態ごとの主な手続と確かめる点
業態よく扱う手続施行規則20条の例外確かめる点
新車ディーラー新規登録、車庫証明新車のOSS申請の一部が対象OSSの範囲外の紙の申請書を誰が作るか
中古車販売店・買取店移転登録、車庫証明対象外名義変更の書類作成の対価を受け取っていないか
車検代行・整備工場継続検査自動車検査員が証明した車の電子申請が対象電子申請以外の申請書の作成と手数料の中身
自動車の任意の会員組織事故の証明願・保険の請求書対象外会費が書類作成の対価になっていないか

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法施行規則」20条(確認日 2026年11月8日)/国土交通省掲載資料「行政書士法違反となる事例等」(確認日 2026年11月8日)

12店が適法に進める3つの道:行政書士・本人作成・例外の範囲

販売店が登録や車庫証明を引き受けるとき、条文と資料から読み取れる道は3つです。1つ目は、書類作成を行政書士や行政書士法人に頼む道です。顧客から受け取る書類作成費は、行政書士の報酬として扱いを分け、見積書でも区別します。

2つ目は、顧客本人が申請書を作り、店は添付書類の収集や窓口への提出だけを代行する道です。国土交通省掲載の資料の事例③にあたります。この場合でも、店の担当者が実際には書類を書いていれば事例③にはなりません。3つ目は、施行規則20条の電子申請の例外の範囲で手続を進める道です。

販売店が登録や車庫証明を引き受けるときの確認の流れ。1 誰が作るか(申請書の作成者)、2 お金の中身(人件費を含むか)、3 例外の範囲(施行規則20条)、4 作成を任せる(行政書士か本人)、5 見積書に示す(費目を分ける)
図解条文と国土交通省掲載の資料から組んだ確認の順番です。個別の判断は所管の窓口や行政書士会で確かめます。拡大して見る ↗

社内に行政書士の資格を持つ従業員がいる場合はどうか、という質問もあります。1条の5は、行政書士が他の行政書士や行政書士法人の使用人として業務に従事することを妨げないと定めていますが、一般の会社に雇われる場合のことは書いていません。この形を取るなら、所属する行政書士会に確認してください。

13車を買う人が見積書で確かめること

購入する側が違反の責任を負う規定ではありませんが、見積書の費目は確かめておく価値があります。法定費用(印紙代・証紙代や税)と、代行の手数料が分かれているかを見ます。手数料に書類作成が含まれるなら、誰が作るのか、行政書士に依頼しているのかを販売店に聞いてください。

登録や車庫証明は、所有者・保有者が自分で申請できる手続です。自分で手続すれば、代行の手数料はかかりません。その代わり、平日に運輸支局や警察署へ行く時間と、書類をそろえる手間がかかります。

行政書士に直接頼む選択もあります。行政書士の報酬は事務所ごとに決めて掲示するものなので、見積もりを取って比べます。車庫証明の手順と報酬の統計は別の記事にまとめています。

14従業員と会社の責任:両罰規定で会社も対象になる

23条の3は、従業者が法人の業務に関して違反行為をしたときに、法人にも罰金刑を科す規定です。販売店の担当者が店の業務として顧客の申請書を作り、店が手数料を受け取っていた場合、担当者と会社の両方が問題になりえます。

会社の側で確認が必要なのは、手順書や料金表に「書類作成」がどう書かれているか、実際に誰が申請書を書いているか、手数料の内訳を顧客に説明できるか、です。料金表で「作成は無料」と書いても、国土交通省掲載の資料の事例①のように人件費を手数料に入れていれば、報酬と認定されうる点に注意が必要です。

総務省は、行政手続の窓口でも無資格者の関与による住民の不利益を防ぐよう、都道府県・市町村に取組を求めています。電子申請フォームへの代理人欄の整備、窓口での注意事項の掲出、申請様式への代理人行政書士の記載例の付記、ホームページでの注意喚起が例として挙げられています。

15よくある4つの誤解

改正の文言は短いので、両極端の読み方が出やすくなります。条文と資料に照らすと、次の4つはどれも正確ではありません。

1つ目と2つ目は名目の付け替えで、改正が想定している場面そのものです。3つ目は逆に広く読みすぎた誤解で、19条1項は他人の書類を報酬を得て業として作ることを制限するもので、本人が自分の書類を作ることや、作成を伴わない提出の代行まで禁じるものではありません。4つ目は、日行連の会長談話が施行前の行為も違反になるとしている点と合いません。

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改正行政書士法と自動車販売でよくある誤解
誤解条文と資料に照らすと
書類作成を無料にして、代行手数料をもらえば問題ない人件費を含む手数料は報酬と認定されうる(事例①)
作成の割合が小さければ問題ない割合の多寡を問わない(事例②)
販売店が関わる手続はすべて違反になる本人作成で提出だけの代行(事例③)や施行規則20条の例外は扱いが違う
2026年1月1日から新しく禁止された趣旨の明確化で、施行前の行為も違反になると日行連は説明

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法」(1条の3・19条・21条の2・22条の4・23条の3)(確認日 2026年11月8日)/日本行政書士会連合会「行政書士法の一部を改正する法律の施行に関する会長談話」(2025年11月1日)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省掲載資料「行政書士法違反となる事例等」(確認日 2026年11月8日)

16受験生は19条・21条の2・23条の3を要件で覚える

行政書士試験では、行政書士法は基礎知識の科目で、業務に密接に関連する法令として問われます。令和8年度試験は2026年4月1日現在の法令が基準なので、2026年1月1日施行の改正後の条文で学ぶ必要があります。19条1項の4つの要素、ただし書の2つの例外、21条の2の法定刑、23条の3の両罰規定を、主語と要件で区別して覚えます。

自動車の事例は、要件の当てはめを練習する素材になります。「誰が」「誰の書類を」「何の対価で」作ったかを問題文から抜き出し、4つの要素がそろうかを確かめる癖をつけます。行政書士法の論点ページで条文の全体を確かめ、問題演習で正誤の理由を言えるか試してください。

よくある質問

ディーラーが車庫証明の申請書を作るのは行政書士法違反ですか。

ディーラーが顧客の依頼で申請書を作り、その対価を名目を問わず受け取っていれば、19条1項の違反になりえます。国土交通省掲載の資料は、販売に付随する行為とは認めていません。顧客本人や行政書士が作り、店が提出だけを代行する場合は扱いが違います。

書類作成を無料にして「登録代行手数料」だけを受け取れば問題ありませんか。

国土交通省掲載の資料は、作成を無料と明示しても、手数料に人件費等を含むなら書類作成の報酬が含まれると認定され、19条1項に違反するとしています。印紙代・証紙代などの実費だけなら報酬に当たりません。

車検代行は改正の影響を受けますか。

継続検査の申請書も官公署に出す書類なので、他人の申請書を報酬を得て業として作れば19条1項の対象になりえます。自動車検査員が保安基準適合を証明した車の電子申請は、施行規則20条で日本自動車販売協会連合会などの団体が作成する場合の例外が定められています。

違反するとどんな罰則がありますか。

21条の2により、違反行為をした者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。改正で19条1項違反が23条の3の両罰規定に加わり、会社などの法人にも100万円以下の罰金が科されえます。

改正前に販売店が書類を作っていたのは合法だったのですか。

日行連の会長談話は、今回の改正は業務の制限規定の趣旨を明確にしたもので、現行法の解釈でも変わらず、施行前に行われた場合も違反になると説明しています。2026年1月1日から新しく禁止されたものではありません。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。