基礎知識
行政書士法を整理|業務範囲・登録・懲戒と2026年改正【2026年度試験対応】
行政書士法の業務範囲、特定行政書士、登録と懲戒の担当機関を比較。2026年施行改正、不服申立て業務の条件、登録申請から3か月の扱いを具体例と独自の○×3問で解説します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
行政書士法は、書類作成などの業務、資格を得た後の登録、業務上の義務と懲戒を定める法律です。登録は日本行政書士会連合会、個人の行政書士への懲戒は都道府県知事が行います。特定行政書士に限られるのは、対象となる許認可等についての不服申立て代理とその手続書類の作成です。2026年度試験の基準日である4月1日には、同年1月1日施行の改正が適用されています。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-25
行政書士の業務範囲|書類作成と代理等を区別する
行政書士法1条の3は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成する業務を定めています。紙だけでなく、書類の作成に代わる電磁的記録も含まれます。ただし、他の法律で業務が制限されている場合には、この一般的な書類作成の規定だけを根拠に扱うことはできません。
1条の4は、提出手続や意見陳述手続の代理、不服申立ての代理等、契約書類の代理人としての作成、書類作成の相談を定めます。例えば許可申請書を作ることと、不許可処分に対する審査請求を代理することは、同じ依頼者の案件でも業務の根拠と要件が異なります。まず行為の内容を確定し、次に担当できる行政書士と他法令による制限を確認します。
特定行政書士の要件と2026年改正|自分が作成した申請書だけではない
特定行政書士は、日本行政書士会連合会の会則で定める研修課程を修了した行政書士です。1条の4第1項2号の業務、すなわち行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等についての不服申立て代理と、その手続で官公署に提出する書類の作成を行えます。すべての行政上の争いを無制限に扱える資格ではありません。
2026年1月1日施行の改正後は、対象が「行政書士が作成することができる」書類に係る許認可等となりました。依頼者が自分で申請書を作った場合でも、その書類が行政書士の作成可能な範囲にあり、その他の条件を満たせば特定行政書士の業務の対象になり得ます。反対に、一般の行政書士が「代理はせず、不服申立ての書類だけを作る」として同号の限定を外すことはできません。
| 業務 | 条文 | 特定行政書士に限られるか |
|---|---|---|
| 提出手続・聴聞等の意見陳述手続の代理 | 1項1号 | 限られない。ただし他法令の制限等を確認 |
| 対象許認可等の不服申立て代理と当該手続書類の作成 | 1項2号・2項 | 研修を修了した特定行政書士に限る |
| 契約その他の書類を代理人として作成 | 1項3号 | 限られない。ただし作成可能な書類の範囲内 |
| 作成可能な書類の作成相談 | 1項4号 | 限られない。ただし他法令の制限等を確認 |
登録と審査請求|3か月の経過だけで自動的に拒否されるわけではない

資格だけで開業できない。要件と例外は本文でも確認できます。
図を大きく見る行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには、日本行政書士会連合会に備える行政書士名簿への登録が必要です。登録を拒否する処分に不服がある場合の審査請求先は総務大臣であり、懲戒を行う都道府県知事と入れ替えないようにします。
登録申請の日から3か月を経過しても何の処分もされない場合、申請者は登録を拒否されたものとして総務大臣に審査請求できます。この場合、連合会が拒否したとみなされる日は、3か月が経過した日ではなく審査請求があった日です。例えば4か月間処分がなく、申請者がその後に審査請求したなら、その請求日に拒否処分があったものとして扱われます。
懲戒の種類と担当機関|登録・審査請求・処分を一組で覚える
個人の行政書士に対して都道府県知事が行う懲戒は、戒告、2年以内の業務停止、業務禁止の3種類です。法律等や都道府県知事の処分への違反、行政書士にふさわしくない重大な非行がある場合に問題になります。業務禁止の懲戒を受けた場合は欠格事由に当たり、連合会による登録抹消にもつながります。
処分名だけで聴聞の要否を判断しない点にも注意します。行政書士法14条の3第3項は、業務停止処分についても行政手続法の通常の区分にかかわらず聴聞を要求します。法人については個人の業務禁止と区別して解散等の処分類型があり、解散を総務大臣が行うとする読み方は誤りです。
| 手続・権限 | 担当 | 根拠 |
|---|---|---|
| 行政書士名簿への登録 | 日本行政書士会連合会 | 6条 |
| 登録拒否に対する審査請求 | 総務大臣 | 6条の3 |
| 個人の行政書士への懲戒 | 都道府県知事 | 14条 |
| 行政書士法人の解散処分 | 主たる事務所所在地を管轄する都道府県知事 | 14条の2第1項 |
令和7年度問53の出題例|法人の処分と登録抹消を確認する
令和7年度問53は、個人と法人への懲戒、処分をする機関、業務禁止後の登録抹消を扱います。公式正解は5で、誤りの組合せはウ・エです。法人の解散を総務大臣の権限とする記述と、業務禁止後に連合会が登録を抹消できないとする記述を、14条の2と7条に戻って確認できます。
この出題は2025年度のものです。2026年度の学習では、出題時の業務条文の番号や改正前の特定行政書士の対象をそのまま現在の説明に移さず、2026年1月1日施行版を使います。以下の独自問題では、業務の条件、手続の相手方、みなし拒否の発生時点を変えて理解を確かめます。
根拠:行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題・問53行政書士試験研究センター 令和7年度公式正解e-Gov 行政書士法(2026年1月1日施行版・1条の3、1条の4、6条~7条、14条~14条の3)行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問53
個人・法人の懲戒をする機関と、業務禁止を受けた行政書士の登録抹消を区別する。
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- e-Gov 行政書士法(2026年1月1日施行版・1条の3、1条の4、6条~7条、14条~14条の3)確認日:2026-09-25
- 行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題・問53確認日:2026-09-25
- 行政書士試験研究センター 令和7年度公式正解確認日:2026-09-25
- 行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内確認日:2026-09-25
行政書士の業務の範囲
1条の3第1項の書類作成業務の柱は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の3つである。作成に代えて電磁的記録を作成する場合の当該電磁的記録も含まれる。「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」という3要件を欠く行為は同条の業務にあたらない。自己の書類を作成することや、無報酬で1回限り作成することは業務にあたらない。他の法律で制限されている書類は作成できない(同2項)。
覚え方官公署・権利義務・事実証明の三本柱。他人・報酬・業としての三要件
最重要・比較表
行政書士(個人)と行政書士法人の違い
最初に見るのは事務所の数です。複数の事務所を禁じられているのは個人だけで、そこから懲戒処分の3つ目の内容まで枝分かれしていきます。
| 事由 | 行政書士(個人) | 行政書士法人 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 事務所 | 業務を行うための事務所を設けなければならず、2以上設けてはならない(8条1項・2項)。使用人である行政書士等は事務所を設けられない(同3項) | 定款に主たる事務所および従たる事務所の所在地を記載する(13条の8第3項) | 複数事務所の禁止は個人に対する規制です。法人にも及ぶとする記述が誤りになります。 |
| 成立の仕方 | 行政書士となる資格を有する者が行政書士名簿に登録を受けて行政書士となる(6条1項) | 社員となる行政書士が定款を定め(13条の8第1項)、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによって成立する(13条の9) | 法人は主たる事務所の所在地での設立登記によって成立し(13条の9)、社員となれるのは行政書士だけです(13条の5第1項)。 |
| 懲戒処分の種類最重要 | 戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3つ(14条) | 戒告、2年以内の業務の全部または一部の停止、解散の3つ(14条の2第1項) | 個人に解散はなく、法人に業務の禁止はありません。3つ目だけが入れ替わります。 |
| 懲戒を行う者 | 都道府県知事が、当該行政書士に対して懲戒処分をする(14条) | 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事が処分をする(14条の2第1項) | 懲戒権者は連合会でも総務大臣でもなく都道府県知事です。 |
| 立入検査 | 都道府県知事は日没から日出までの時間を除き、事務所に立ち入り帳簿と関係書類を検査させることができる(13条の22第1項) | 法人の事務所も同じ規定の対象で、日没から日出までの時間を除いて検査させることができる(13条の22第1項) | 夜間に立入検査ができるとする記述は誤りです。個人と法人で扱いは変わりません。 |
事務所
- 行政書士(個人)
- 業務を行うための事務所を設けなければならず、2以上設けてはならない(8条1項・2項)。使用人である行政書士等は事務所を設けられない(同3項)
- 行政書士法人
- 定款に主たる事務所および従たる事務所の所在地を記載する(13条の8第3項)
判断ポイント
複数事務所の禁止は個人に対する規制です。法人にも及ぶとする記述が誤りになります。
成立の仕方
- 行政書士(個人)
- 行政書士となる資格を有する者が行政書士名簿に登録を受けて行政書士となる(6条1項)
- 行政書士法人
- 社員となる行政書士が定款を定め(13条の8第1項)、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによって成立する(13条の9)
判断ポイント
法人は主たる事務所の所在地での設立登記によって成立し(13条の9)、社員となれるのは行政書士だけです(13条の5第1項)。
懲戒処分の種類
最重要- 行政書士(個人)
- 戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3つ(14条)
- 行政書士法人
- 戒告、2年以内の業務の全部または一部の停止、解散の3つ(14条の2第1項)
判断ポイント
個人に解散はなく、法人に業務の禁止はありません。3つ目だけが入れ替わります。
懲戒を行う者
- 行政書士(個人)
- 都道府県知事が、当該行政書士に対して懲戒処分をする(14条)
- 行政書士法人
- 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事が処分をする(14条の2第1項)
判断ポイント
懲戒権者は連合会でも総務大臣でもなく都道府県知事です。
立入検査
- 行政書士(個人)
- 都道府県知事は日没から日出までの時間を除き、事務所に立ち入り帳簿と関係書類を検査させることができる(13条の22第1項)
- 行政書士法人
- 法人の事務所も同じ規定の対象で、日没から日出までの時間を除いて検査させることができる(13条の22第1項)
判断ポイント
夜間に立入検査ができるとする記述は誤りです。個人と法人で扱いは変わりません。
混同注意・比較表
登録の拒否・取消し・抹消の使い分け
最初に確認するのは「誰が行うか」です。3つとも日本行政書士会連合会が行い都道府県知事は出てきません。次に義務か裁量かを見ます。
| 事由 | 登録の拒否 | 登録の取消し | 登録の抹消 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 処分を行う者 | 日本行政書士会連合会が登録を拒否する(6条の2第2項) | 日本行政書士会連合会が登録を取り消す(6条の5第1項) | 日本行政書士会連合会が登録を抹消する(7条1項・2項) | 行政書士名簿は連合会に備えられ、登録に関する処分もすべて連合会が行います。 |
| 主な事由 | 行政書士となる資格がないとき、心身の故障で業務を行えないとき、信用や品位を害するおそれがあるなど適格性を欠くとき(6条の2第2項) | 偽りその他不正の手段により登録を受けたことが判明したとき(6条の5第1項) | 欠格事由への該当、廃業の届出、死亡、登録取消処分(7条1項)。2年以上業務を行わないとき等は7条2項による | 不正な手段で登録を受けた場合は取消し、資格や業務の実態が失われた場合は抹消と整理します。 |
| 義務か裁量か最重要 | 事由に当たると認めたときは登録を拒否しなければならない(6条の2第2項) | 判明したときは登録を取り消さなければならない(6条の5第1項) | 7条1項の事由は抹消しなければならず、7条2項の事由は抹消することができる | 抹消だけが義務と裁量に分かれます。この2つを入れ替えて誤りとする問題が定番です。 |
| 不服があるとき | 総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の3第1項) | 同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の5第3項) | 7条2項の裁量的な抹消であれば、同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(7条3項)。7条1項の必要的な抹消は準用の対象外 | 相手方を都道府県知事とする記述は誤りです。登録まわりの不服申立ては総務大臣です。 |
処分を行う者
- 登録の拒否
- 日本行政書士会連合会が登録を拒否する(6条の2第2項)
- 登録の取消し
- 日本行政書士会連合会が登録を取り消す(6条の5第1項)
- 登録の抹消
- 日本行政書士会連合会が登録を抹消する(7条1項・2項)
判断ポイント
行政書士名簿は連合会に備えられ、登録に関する処分もすべて連合会が行います。
主な事由
- 登録の拒否
- 行政書士となる資格がないとき、心身の故障で業務を行えないとき、信用や品位を害するおそれがあるなど適格性を欠くとき(6条の2第2項)
- 登録の取消し
- 偽りその他不正の手段により登録を受けたことが判明したとき(6条の5第1項)
- 登録の抹消
- 欠格事由への該当、廃業の届出、死亡、登録取消処分(7条1項)。2年以上業務を行わないとき等は7条2項による
判断ポイント
不正な手段で登録を受けた場合は取消し、資格や業務の実態が失われた場合は抹消と整理します。
義務か裁量か
最重要- 登録の拒否
- 事由に当たると認めたときは登録を拒否しなければならない(6条の2第2項)
- 登録の取消し
- 判明したときは登録を取り消さなければならない(6条の5第1項)
- 登録の抹消
- 7条1項の事由は抹消しなければならず、7条2項の事由は抹消することができる
判断ポイント
抹消だけが義務と裁量に分かれます。この2つを入れ替えて誤りとする問題が定番です。
不服があるとき
- 登録の拒否
- 総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の3第1項)
- 登録の取消し
- 同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(6条の5第3項)
- 登録の抹消
- 7条2項の裁量的な抹消であれば、同じく総務大臣に対して審査請求をすることができる(7条3項)。7条1項の必要的な抹消は準用の対象外
判断ポイント
相手方を都道府県知事とする記述は誤りです。登録まわりの不服申立ては総務大臣です。
混同注意・比較表
行政書士と特定行政書士でできる業務の違い
特定行政書士に限られるのは、行政書士法1条の4第1項2号の対象許認可等に関する不服申立て代理と、その手続で官公署に提出する書類の作成です。通常の書類作成・提出手続の代理等とは、対象と業務の根拠を分けて確認します。
| 事由 | 一般の行政書士 | 特定行政書士 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 作成できる書類 | 官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の3類型を作成できる(1条の3第1項) | 1条の3の書類作成の基本範囲は共通する。加えて、1条の4第1項2号の対象許認可等の不服申立て手続書類の作成は特定行政書士に限られる | 一般的な書類作成業務と、1条の4第1項2号が定める不服申立ての手続書類作成を区別します。後者は同条2項の特定行政書士要件がかかります。 |
| 提出手続の代理と相談 | 官公署に提出する手続を代理でき(1条の4第1項1号)、書類の作成について相談に応ずることもできる(同項4号) | 同じく提出手続の代理も相談もできる。これらは特定行政書士に限定された業務ではない | 1条の4の業務がすべて特定行政書士に限られる、という言い回しが誤りの定番です。 |
| 対象許認可等の不服申立て代理・手続書類作成最重要 | 1条の4第1項2号の業務は行えない(代理・当該手続書類の作成とも) | 行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等に関する不服申立てを代理し、当該手続で官公署に提出する書類を作成できる(1条の4第1項2号・2項) | 特定行政書士に限定されるのは2号の業務全体です。対象は行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等であり、あらゆる不服申立てを扱えるわけではありません。 |
| 必要な手続 | 行政書士名簿への登録を受ければ足り、それ以上の研修は求められない | 日本行政書士会連合会が実施する所定の研修課程を修了した行政書士が特定行政書士となる(1条の4第2項) | 特定行政書士は試験ではなく研修の修了で得られる立場である点が問われます。 |
作成できる書類
- 一般の行政書士
- 官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の3類型を作成できる(1条の3第1項)
- 特定行政書士
- 1条の3の書類作成の基本範囲は共通する。加えて、1条の4第1項2号の対象許認可等の不服申立て手続書類の作成は特定行政書士に限られる
判断ポイント
一般的な書類作成業務と、1条の4第1項2号が定める不服申立ての手続書類作成を区別します。後者は同条2項の特定行政書士要件がかかります。
提出手続の代理と相談
- 一般の行政書士
- 官公署に提出する手続を代理でき(1条の4第1項1号)、書類の作成について相談に応ずることもできる(同項4号)
- 特定行政書士
- 同じく提出手続の代理も相談もできる。これらは特定行政書士に限定された業務ではない
判断ポイント
1条の4の業務がすべて特定行政書士に限られる、という言い回しが誤りの定番です。
対象許認可等の不服申立て代理・手続書類作成
最重要- 一般の行政書士
- 1条の4第1項2号の業務は行えない(代理・当該手続書類の作成とも)
- 特定行政書士
- 行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等に関する不服申立てを代理し、当該手続で官公署に提出する書類を作成できる(1条の4第1項2号・2項)
判断ポイント
特定行政書士に限定されるのは2号の業務全体です。対象は行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等であり、あらゆる不服申立てを扱えるわけではありません。
必要な手続
- 一般の行政書士
- 行政書士名簿への登録を受ければ足り、それ以上の研修は求められない
- 特定行政書士
- 日本行政書士会連合会が実施する所定の研修課程を修了した行政書士が特定行政書士となる(1条の4第2項)
判断ポイント
特定行政書士は試験ではなく研修の修了で得られる立場である点が問われます。
01行政書士法(業務・登録・懲戒)の重要暗記項目
行政書士の業務の範囲
1条の3第1項の書類作成業務の柱は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の3つである。作成に代えて電磁的記録を作成する場合の当該電磁的記録も含まれる。「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」という3要件を欠く行為は同条の業務にあたらない。自己の書類を作成することや、無報酬で1回限り作成することは業務にあたらない。他の法律で制限されている書類は作成できない(同2項)。
覚え方官公署・権利義務・事実証明の三本柱。他人・報酬・業としての三要件
ひっかけ注意無報酬で行う書類作成も業務にあたるとする誤りが狙われる。報酬を得ることが要件である。
行政書士の登録の手続
行政書士となるには行政書士名簿に住所・氏名・生年月日・事務所の名称および所在地等の登録を受けなければならず、名簿は日本行政書士会連合会に備えられ、登録も連合会が行う(6条)。申請は事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会を経由して連合会に対して行う(6条の2第1項)。連合会は資格と適格性を審査し、登録を拒否しようとするときは資格審査会の議決に基づき、あらかじめ申請者に弁明の機会を与えなければならない。登録したときは行政書士証票を交付する。
覚え方登録するのは連合会、経由するのは都道府県の行政書士会
ひっかけ注意登録の主体を都道府県知事や都道府県行政書士会とする誤りが定番。登録するのは日本行政書士会連合会である。
行政書士に対する懲戒
行政書士が行政書士法もしくはこれに基づく命令・規則その他都道府県知事の処分に違反したとき、または行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、都道府県知事が懲戒処分をする(14条)。処分の種類は戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3つである。懲戒権者は日本行政書士会連合会でも総務大臣でもなく都道府県知事である点が要点となる。都道府県知事は処分をしたときは遅滞なくその旨を当該都道府県の公報をもって公告しなければならない(14条の5)。
覚え方戒告・二年以内の業務停止・業務禁止の三つ。処分するのは知事
ひっかけ注意懲戒権者を日本行政書士会連合会や総務大臣とする誤りが定番。都道府県知事が処分する。
他の法律による業務制限
訴訟に関する書類は弁護士法72条、登記・供託の申請書類は司法書士法3条、特許出願書類は弁理士法4条、税務書類は税理士法2条、労働社会保険諸法令に基づく申請書等は社会保険労務士法2条により、それぞれ独占業務とされており、行政書士は取り扱えない(行政書士法1条の3第2項)。この制限は公益上の規制であるため、依頼者の同意や当事者間の合意によって外すことはできない。違反すれば各法の罰則と行政書士法上の懲戒の双方が問題となる。
覚え方訴訟は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士、労社保は社労士
ひっかけ注意依頼者が同意すれば他士業の独占業務も行えるとする誤りが狙われる。公益規制であり合意では外せない。
帳簿の備付けと保存
行政書士は業務に関する帳簿を備え、事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない(9条1項)。帳簿は関係書類とともに帳簿閉鎖の時から2年間保存し、行政書士でなくなったときも同様である(同2項)。都道府県知事は必要があると認めるときは、日没から日出までの時間を除き、当該職員に事務所へ立ち入り帳簿および関係書類を検査させることができる(13条の22)。この立入検査の権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
覚え方帳簿は閉鎖から二年保存。立入検査は日出から日没まで
ひっかけ注意保存期間を5年や3年とする誤り、および夜間の立入検査ができるとする誤りが狙われる。
秘密を守る義務
行政書士は正当な理由がなく、業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならず、行政書士でなくなった後も同様である(12条)。この義務は行政書士または行政書士法人の使用人その他の従業者にも及び、従業者でなくなった後も存続する(19条の3)。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則があり(22条1項)、この罪は告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪とされている(同2項)。
覚え方辞めた後も一生続く。罰則は一年以下・百万円以下で親告罪
ひっかけ注意守秘義務が行政書士でなくなった時点で消滅するとする誤り、および親告罪でないとする誤りが狙われる。
戸籍謄本等の職務上請求
戸籍法10条の2第3項により職務上請求ができるのは、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士のいわゆる八士業である。もっとも、紛争処理手続の代理業務等を理由として依頼者の氏名を明らかにせずに請求できる同条4項の特則は弁護士等に限られ、行政書士と海事代理士には適用されない。請求の際は業務の種類と依頼者について明らかにする必要があり、不正取得には罰則がある。
覚え方八士業は職務上請求できるが、依頼者を伏せられるのは一部だけ
ひっかけ注意行政書士も依頼者名を明らかにせずに請求できるとする誤りが狙われる。10条の2第4項の特則は適用されない。
特定行政書士の不服申立て代理
1条の4第1項は、行政書士が作成できる書類を前提に、1号の提出手続・意見陳述手続の代理、2号の対象許認可等に関する不服申立て代理と当該手続書類の作成、3号の契約その他の書類の代理人としての作成、4号の書類作成相談を定める。特定行政書士に限定されるのは2号の業務全体であり、代理だけでなく当該手続の書類作成も含む(同条2項)。特定行政書士は、日本行政書士会連合会が会則に基づいて実施する研修課程を修了した行政書士である。2026年1月1日施行改正後の2号は、当該行政書士が自ら作成した書類に限らず、行政書士が作成することができる官公署提出書類に係る許認可等を対象とする。他の法律による業務制限は別に確認する。
覚え方2号の不服申立て代理とその手続書類作成は特定行政書士限定
ひっかけ注意1条の4の業務すべてが特定行政書士に限られるとする誤りが定番。限定されるのは2号のみである。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 帳簿の保存 帳簿閉鎖の時から2年
- 業務の停止 2年以内
- 欠格事由・登録取消し後 3年
- 登録申請から3か月間無処分なら審査請求可。審査請求があった日に登録拒否とみなす
- ひっかけ特定行政書士に裁判外紛争解決手続の代理権があるとする肢。ADRの代理権は認められていない
- ひっかけ行政書士法人も事務所は1か所に限られるとする肢。法人は従たる事務所を設けられる
- ひっかけ守秘義務は廃業により消滅するとする肢。従業者でなくなった後も存続する
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1主体を仕分ける。登録は日本行政書士会連合会、懲戒は都道府県知事、試験事務は都道府県知事(指定試験機関に委任可)
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2業務なら他士業の独占業務に触れないかを確認する。裁判所・検察庁に提出する書類の作成と登記・供託の申請代理は司法書士(司法書士法3条1項)、訴訟代理その他の法律事務は弁護士(弁護士法72条)、税務書類は税理士の独占
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3不服申立ての代理かを見る。行政書士が作成することができる書類に係る許認可等の審査請求等の代理は、特定行政書士に限られる。2026年1月1日施行改正後は当該行政書士が自ら作成した書類に限定されない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 行政書士法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
行政書士法(業務・登録・懲戒)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
基礎知識重要度 S頻出度 12/24(編集部の目安)
行政書士の業務の範囲
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類のほか、権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とし、その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録の作成も業とする。
行政書士法(業務・登録・懲戒)の○×一問一答19問|問題と解説
この論点で収録している19問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
行政書士の業務の範囲重要度S行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類のほか、権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とし、その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録の作成も業とする。
答え:○(正しい)
解説
正しい。1条の3第1項が定める中核業務であり、権利義務又は事実証明に関する書類には実地調査に基づく図面類も含まれる。
問2
行政書士の登録の手続重要度S行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事に備える行政書士名簿に、住所、氏名その他の事項の登録を受けなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。行政書士名簿は日本行政書士会連合会に備えられ、登録も同連合会が行う(6条2項・3項)。都道府県知事は登録機関ではない。
問3
行政書士に対する懲戒重要度S行政書士がこの法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したときは、総務大臣は、当該行政書士に対し、戒告、二年以内の業務の停止又は業務の禁止の処分をすることができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。14条の懲戒権者は都道府県知事である。総務大臣が監督するのは日本行政書士会連合会と指定試験機関であって、個々の行政書士ではない。
問4
他の法律による業務制限重要度S行政書士は、官公署に提出する書類の作成であれば、その業務を行うことが他の法律において制限されているものであっても、依頼者の書面による同意があるときは作成することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。1条の3第2項は、他の法律において制限されている書類の作成については業務を行うことができないと定める。依頼者の同意で解除できる制限ではない。
問5
秘密を守る義務重要度S行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならず、この義務は、廃業その他の事由により行政書士でなくなった後も存続する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。12条は守秘義務を定め、その後段で行政書士でなくなった後も同様である旨を明記している。
問6
戸籍謄本等の職務上請求重要度S行政書士は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、依頼者の氏名や業務の種類等を明らかにして、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。戸籍法10条の2第3項が、弁護士や司法書士等とともに行政書士に職務上請求を認めている。
問7
帳簿の備付けと保存重要度S行政書士は、その業務に関する帳簿を備えて事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名等を記載し、これを関係書類とともに帳簿閉鎖の時から五年間保存しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。9条2項の保存期間は帳簿閉鎖の時から2年間である。行政書士でなくなったときも同様に保存義務を負う。
問8
特定行政書士の不服申立て代理重要度A行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求の手続について代理することができるのは、日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した特定行政書士に限られる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。1条の4第1項2号の不服申立て代理業務は、同条2項により研修修了者である特定行政書士のみが行うことができる。
問9
行政書士でない者の業務制限重要度A行政書士又は行政書士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合等を除き、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成を業として行うことができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。19条1項本文の業務制限である。他の法律に別段の定めがある場合等がただし書で除外されている。
問10
住民票の写しの特定事務受任者による申出重要度A行政書士は、受任している事件又は事務の依頼者が自己の権利を行使するために住民票の記載事項を確認する必要がある者に該当することを理由として、市町村長に住民票の写しの交付を申し出ることができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。住民基本台帳法12条の3第2項の特定事務受任者による申出であり、同条3項の特定事務受任者に行政書士が含まれている。
問11
事務所の設置義務重要度A行政書士(行政書士の使用人である行政書士又は行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士を除く。)は、その業務を行うための事務所を設けなければならず、かつ、都道府県の区域を異にする場合であっても、当該事務所を二以上設けることはできない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。8条1項は、行政書士(他の行政書士の使用人である行政書士と、行政書士法人の社員・使用人である行政書士を除く)に事務所の設置を義務づけ、同条2項は事務所を二以上設けることを禁じている。2項に都道府県をまたぐ場合の例外はない。除かれた「使用人である行政書士等」は、同条3項により自ら事務所を設けること自体が禁じられている。
問12
依頼に応ずる義務重要度A行政書士は、依頼を受けた事件について、依頼者との間に業務の遂行に必要な信頼関係を形成することが困難であると自ら判断したときは、正当な事由の有無にかかわらず、その依頼を拒むことができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。11条は、正当な事由がある場合でなければ依頼を拒むことができないと定める。主観的な判断のみで拒絶することは許されない。
問13
行政書士となる資格と欠格事由重要度A行政書士試験に合格した者のほか、弁護士となる資格を有する者、弁理士となる資格を有する者、公認会計士となる資格を有する者、税理士となる資格を有する者及び司法書士となる資格を有する者は、いずれも行政書士となる資格を有する。
答え:×(誤り)
解説
誤り。2条が掲げるのは弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の4資格と一定の公務員経験者であり、司法書士は含まれない。
問14
懲戒の手続と聴聞重要度A都道府県知事が行政書士に対し二年以内の業務の停止の処分をしようとするときは、行政手続法の意見陳述のための手続の区分にかかわらず聴聞を行わなければならず、その聴聞の期日における審理は公開により行われる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。14条の3第3項が聴聞を義務づけ、同条5項が聴聞の期日における審理を公開により行うべきものとしている。
問15
報酬の額の掲示重要度B行政書士は、依頼者がその選択に当たって報酬の額をあらかじめ知ることができるようにするため、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。10条の2第1項の義務である。報酬額は行政書士が自ら定めるものであり、法定額の定めはない。
問16
行政書士法の使命と職責重要度B行政書士は、その業務を通じて行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とする。
答え:○(正しい)
解説
正しい。1条は行政書士の使命として、手続の円滑な実施への寄与、国民の利便、国民の権利利益の実現の三つを掲げている。
問17
登録の拒否と審査請求重要度B日本行政書士会連合会により行政書士名簿への登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対して審査請求をすることができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。登録拒否処分に対する審査請求の相手方は総務大臣であり(6条の3第1項)、総務大臣が連合会の上級行政庁とみなされる。
問18
行政書士法人の設立と社員重要度B行政書士法人の社員は行政書士でなければならず、社員のうちに行政書士でない者が加わったとき又は社員が一人となったときは、当該行政書士法人は直ちに解散しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。社員が行政書士に限られる点は正しいが、解散事由は「社員の欠亡」であり(13条の19第1項7号)、社員が一人でも法人は存続する。
問19
行政書士となる資格と欠格事由重要度B破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者及び未成年者は、行政書士試験に合格していても、また国又は地方公共団体の公務員として行政事務を長期にわたり担当した者であっても、行政書士となる資格を有しない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。2条の2は欠格事由を列挙し、その1号に未成年者、2号に破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者を掲げている。
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