2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

行政書士の義務付け訴訟・差止め訴訟|要件と仮の救済を比較【2026年度試験対応】

申請型・非申請型の義務付け、差止めの要件を比較。併合提起、重大な損害、償うことのできない損害、仮の義務付け・仮の差止めの違いを整理します。

要点 5件・基本問題 6・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

行政書士の義務付け訴訟・差止め訴訟|要件と仮の救済を比較を説明する記事カバー

記事内容を表す生成イメージ。

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

義務付けの訴えは行政庁に一定の処分等をさせるため、差止めの訴えはこれからされる処分等をさせないための訴訟です。義務付けは法令に基づく申請の有無で要件が分かれます。本案の訴訟と、判決まで待てない場合の仮の救済を同じ要件で覚えないことが要点です。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12

申請型・非申請型・差止めを目的で選ぶ

処分をさせたい場合は義務付け、させたくない場合は差止め。仮の救済は本案の提起に加え申立てと各要件が必要。

処分をさせたい場合は義務付け、させたくない場合は差止め。仮の救済は本案の提起に加え申立てと各要件が必要。

図を大きく見る

法令に基づく申請があるのに処分されない、又は拒否された場合は、申請型の義務付けを検討します(3条6項2号・37条の3)。申請型以外で、行政庁がするべき処分をしない場合は非申請型です(3条6項1号・37条の2)。

将来の不利益処分を予防したい場合は差止めです(3条7項)。既にされた処分の取消しと、まだされていない処分の差止めを、処分前後の時間軸で分けてください。

求める結果と制度
状況制度
申請への不作為・拒否から処分を求める申請型義務付け
申請型以外で処分を求める非申請型義務付け
これからの処分を止めたい差止め

根拠:行政事件訴訟法

申請型は対応する訴えを併合して提起する

申請型は法令に基づく申請等をした者が提起します。相当期間内に何もされない場合は不作為の違法確認の訴えを、拒否処分等の場合は取消訴訟又は無効等確認の訴えを、義務付けと併合して提起しなければなりません(37条の3第1〜3項)。

申請型に、非申請型の「重大な損害」「他に適当な方法がない」という要件をそのまま追加してはいけません。また訴えを提起できることと、処分を義務付ける判決を得ることも別です。本案では根拠法令から処分をすべきことが明らか、又は不処分が裁量の逸脱・濫用となること等を確認します。

根拠:行政事件訴訟法

非申請型と差止めは、重大な損害と補充性を確認する

非申請型は処分されないこと、差止めは処分されることにより、重大な損害を生ずるおそれがある場合を対象とします。他に適当な方法がないという補充性と、法律上の利益も必要です(37条の2・37条の4)。

重大な損害の判断では、回復の困難の程度、損害の性質・程度、処分の内容・性質等を考慮します。令和7年度問19では、差止めの本案に仮の救済の厳しい損害要件を当てはめたり、申請型・非申請型に区分したりする説明が比較されました。

根拠:行政事件訴訟法行政書士試験研究センター:公式問題原本

仮の義務付け・仮の差止めは、償うことのできない損害

37条の5の仮の救済は、対応する本案の訴えを提起した上で申し立てます。償うことのできない損害を避ける緊急の必要があり、本案について理由があるとみえることが必要です。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあれば認められません。

執行停止の「本案について理由がないとみえるときは不可」と、仮の義務付け等の「理由があるとみえることが必要」は、同じ書き方ではありません。処分済みなら執行停止、これからさせる・止めるなら対応する仮の救済という目的も併せて区別します。

本案と仮の救済の損害要件
制度損害に関する要件
非申請型義務付け・差止めの本案重大な損害のおそれ
仮の義務付け・仮の差止め償うことのできない損害を避ける緊急の必要

根拠:行政事件訴訟法

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 申請型義務付けの訴えには、非申請型と同じ重大な損害のおそれが一律の訴訟要件として課されている。

    根拠:資料1

  2. 2 申請に相当期間何の処分もない場合、申請型義務付けは不作為の違法確認の訴えと併合して提起する。

    根拠:資料1

  3. 3 仮の差止めは、差止めの本案を提起する前でも単独で申し立てられる。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

非申請型義務付け訴訟の要件

非申請型(直接型)義務付け訴訟の訴訟要件は、①一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること②その損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性)③当該処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者であること(37条の2第1項・3項)である。重大な損害の判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質をも勘案する(同2項)。原告適格の判断には9条2項が準用される(同4項)。

覚え方重大な損害・補充性・法律上の利益の三点セット

最重要・比較表

非申請型義務付け訴訟と申請型義務付け訴訟の違い

最初に確かめるのは、法令に基づく申請をしているかどうかです。申請していれば申請型になり、重大な損害も補充性も不要になる代わりに併合提起が必要です。

使う場面

非申請型(直接型)義務付け訴訟
申請を前提とせず、出すべき処分が出されないとき。違反建築物への是正命令を周辺住民が求める場合など
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請をしたのに何も返答がない場合や、申請を拒否する処分がされた場合

判断ポイント

自分が申請したかどうかで、そもそもどちらの類型かが決まります。

提起できる人

非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られる(37条の2第3項)
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請または審査請求をした者に限られる(37条の3第2項)

判断ポイント

非申請型は処分の名宛人ではない第三者が原告になることが多い類型です。

重大な損害の要件

最重要
非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあることが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
重大な損害は不要

判断ポイント

非申請型の要件をそのまま申請型に当てはめる混同が最頻出です。

補充性の要件

非申請型(直接型)義務付け訴訟
その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
補充性の要件はない

判断ポイント

重大な損害だけ挙げて補充性を落とす肢が典型の誤りです。

他の訴えとの併合

非申請型(直接型)義務付け訴訟
義務付け訴訟だけを単独で提起できる。併合提起の要求は非申請型には及ばない
申請型義務付け訴訟
不作為型なら不作為の違法確認の訴え、拒否処分型なら取消訴訟等を併合提起しなければならない

判断ポイント

併合が必要なのは申請型だけ。条文は「しなければならない」です。

判断の順序:申請をしたか → 申請型なら何を併合するか、非申請型なら重大な損害と補充性を示せるか

法令確認:行政事件訴訟法37条の2・37条の3(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

執行停止・仮の義務付け・仮の差止めの違い

最初に確かめるのは、本案としてどの訴訟を起こしているかです。本案が決まると、求められる損害の重さも、本案の見込みを積極要件とするかどうかも決まります。

前提となる本案訴訟

執行停止
取消訴訟の提起が前提。取消訴訟を提起せずに執行停止だけを申し立てることはできない
仮の義務付け
義務付け訴訟の提起が前提。申請型と非申請型のいずれでも申し立てられる
仮の差止め
差止め訴訟の提起が前提。差止め訴訟なしに仮の差止めだけを申し立てることはできない

判断ポイント

どれも仮の救済だけを単独で申し立てることはできません。

損害の要件

最重要
執行停止
処分等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(25条2項)
仮の義務付け
処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
仮の差止め
処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること

判断ポイント

仮の義務付け・仮の差止めのほうが、要求される損害が重い点が急所です。

本案の見込み

執行停止
本案について理由がないとみえるときはできない、という消極的要件になっている
仮の義務付け
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている
仮の差止め
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている

判断ポイント

要件の向きが逆です。執行停止は見込みがなさそうなら不可、仮の救済は見込みが要ります。

認められたときの状態

執行停止
裁判所が処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部を選んで停止する。執行・手続の停止だけでは処分の効力自体は残る
仮の義務付け
判決が出るまでの間、行政庁がとりあえず処分を出した状態が作られる
仮の差止め
判決が出るまでの間、行政庁が処分を出さない状態が保たれる

判断ポイント

執行停止には三つの態様があり、効力停止は他の停止で目的を達せられない場合に限られます。仮の義務付け・差止めとは救済の向きも異なります。

覚え方:執行停止は重大な損害と本案に理由がないとみえないこと、仮の義務付け・仮の差止めは償うことのできない損害と本案に理由があるとみえること

法令確認:行政事件訴訟法25条・37条の5(確認日 2026-08-05)

01義務付け訴訟・差止訴訟と無効等確認訴訟の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 5回

非申請型義務付け訴訟の要件

非申請型(直接型)義務付け訴訟の訴訟要件は、①一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること②その損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性)③当該処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者であること(37条の2第1項・3項)である。重大な損害の判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質をも勘案する(同2項)。原告適格の判断には9条2項が準用される(同4項)。

覚え方重大な損害・補充性・法律上の利益の三点セット

ひっかけ注意重大な損害だけで足りるとして補充性を落とす肢が典型。違反建築物への是正命令など規制権限の発動を求める近隣住民の訴えがこの類型の代表例である。

02
重要度 S / 収録過去問 5回

申請型義務付け訴訟の要件

申請型義務付け訴訟の要件は、①当該申請に対し相当の期間内に何らの処分もされないこと(不作為型)、又は②当該申請を却下しもしくは棄却する処分がされた場合においてそれが取り消されるべきものであり、もしくは無効・不存在であること(拒否型)のいずれかに該当することである(37条の3第1項)。重大な損害も補充性も要求されない。原告適格は法令に基づく申請又は審査請求をした者に限られる(同2項)。

覚え方申請型は「申請したこと」が入場券。重大な損害は要らない

ひっかけ注意非申請型の要件(重大な損害・補充性)をそのまま申請型に当てはめる混同が最頻出。申請型では申請さえしていれば損害の立証を要しない。

03
重要度 S / 収録過去問 5回

差止訴訟の要件

差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができるが、その損害を避けるため他に適当な方法があるときはこの限りでない(37条の4第1項)。すなわち補充性はただし書の除外事由として規定されている。重大な損害の判断枠組みは執行停止・非申請型義務付けと同じである(同2項)。原告適格は法律上の利益を有する者に限られ、判断には9条2項が準用される(同3項4項)。

覚え方非申請型は「ないとき」が要件、差止めは「あるとき」が除外

ひっかけ注意補充性が本文の積極的要件か、ただし書の除外事由かという条文構造の違いが問われる。差止めではただし書に置かれている。

04
重要度 S / 収録過去問 4回

申請型義務付け訴訟の併合提起

申請型義務付け訴訟では、不作為型なら不作為の違法確認の訴え、拒否型なら当該処分の取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない(37条の3第3項)。併合された訴えに係る弁論および裁判は分離しないでしなければならない(同4項)。認容には、併合された訴えに係る請求に理由があることに加え、処分をすべきことが根拠法令から明らかであるか、しないことが裁量権の逸脱濫用となることが必要である(同5項)。

覚え方申請型は必ず二本立てで出す。併合を欠けば却下

ひっかけ注意併合提起を任意と読ませる肢が典型。条文は「しなければならない」であり、併合を欠く義務付けの訴えは不適法却下となる。

05
重要度 A / 収録過去問 4回

無効等確認訴訟と出訴期間

38条は取消訴訟以外の抗告訴訟に11条から13条、16条から19条、21条から23条、24条、33条、35条などを準用するが、出訴期間(14条)と原告適格(9条)は準用しない。無効な処分は当初から効力を生じないため、出訴期間の制限なくいつでも争える。無効等確認の訴えには執行停止(25条から29条)や第三者効(32条2項)の規定が準用される(38条3項)。出訴期間を徒過した後の救済手段として機能する。

覚え方無効確認に出訴期間はない。だから6か月を過ぎた後の受け皿になる

ひっかけ注意無効確認にも出訴期間があるとする肢と、取消訴訟にも出訴期間がないとする肢の両方向が出る。無効な処分は当初から効力を生じない。

行政法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 非申請型義務付け 重大な損害+補充性
  • 申請型義務付け 取消訴訟等の併合提起が必須
  • 無効等確認訴訟 出訴期間の制限なし
  • ひっかけ申請型義務付け訴訟にも重大な損害の立証が要るとする肢。申請さえしていれば不要である
  • ひっかけ併合提起を任意と読ませる肢。条文は「しなければならない」であり、欠けば不適法却下となる
  • ひっかけ無効等確認訴訟に出訴期間があるとする肢。38条は14条を準用せず、いつでも争える

押さえる判例

もんじゅ訴訟最判平成4年9月22日

原子炉設置許可の基準は周辺住民の生命・身体の安全を個別的利益としても保護する趣旨を含むとし、無効確認の補充性の要件も柔軟に解した

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    申請をした者かどうかで義務付け訴訟の類型を分ける。申請型は併合提起が必須、非申請型は重大な損害と補充性が必要

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    差止訴訟は重大な損害を積極要件とし、他に適当な方法があるときは提起できないという除外事由が付く点を確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    無効等確認訴訟では、現在の法律関係に関する訴えでは目的を達せられないという補充性まで満たすかを見る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

義務付け訴訟・差止訴訟と無効等確認訴訟の○×一問一答

1/6解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 21/24(編集部の目安)

非申請型義務付け訴訟の要件

法令に基づく申請を前提としない義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつその損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り提起することができる。

義務付け訴訟・差止訴訟と無効等確認訴訟○×一問一答6問|問題と解説

この論点で収録している6問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    非申請型義務付け訴訟の要件重要度S

    法令に基づく申請を前提としない義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつその損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り提起することができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。37条の2第1項が、非申請型義務付け訴訟の要件として重大な損害と補充性の双方を定めている。

  2. 2

    申請型義務付け訴訟の要件重要度S

    法令に基づく申請をした者が提起する義務付けの訴えは、処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつその損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り提起することができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。重大な損害と補充性は非申請型の要件であり、申請型の要件は37条の3第1項各号の不作為または拒否である。

  3. 3

    差止訴訟の要件重要度S

    差止めの訴えは、一定の処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができ、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは提起することができない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。37条の4第1項本文が重大な損害を、ただし書が補充性の要件を定めている。

  4. 4

    申請型義務付け訴訟の併合提起重要度S

    申請型の義務付けの訴えを提起するときは、不作為型では不作為の違法確認の訴えを、拒否型では取消訴訟または無効等確認の訴えを、これに併合して提起しなければならない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。37条の3第3項が義務付けの訴えに併合すべき訴えを類型ごとに定めている。

  5. 5

    無効等確認訴訟と出訴期間重要度A

    無効等確認の訴えについては取消訴訟の出訴期間に関する規定が準用され、処分があったことを知った日から6か月以内に提起しなければならない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。38条は14条を準用しておらず、無効等確認の訴えに出訴期間の制限はない。

  6. 6

    民衆訴訟・機関訴訟の提起重要度B

    民衆訴訟または機関訴訟で処分の取消しを求めるものについては、取消訴訟に関する規定のうち原告適格および取消しの理由の制限に関する規定を除いて準用される。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。行政事件訴訟法43条1項が、同法9条および10条1項を除いて取消訴訟に関する規定を準用すると定めている。

次の学習

義務付け訴訟・差止訴訟と無効等確認訴訟の問題を続けて解く

この論点に対応する6問を絞り込んで出題します。

○×一問一答