分野別対策2026年度試験対応
管理組合の個人情報保護|名簿の配付・委託・第三者提供を整理【2026年度試験対応】
2026年度試験対応の解説です。法令の適用時点と試験情報の確認日は、本文・出典の記載をご確認ください。
緊急連絡先の名簿を集める、管理会社に預ける、住民に配る。同じ名簿でも、誰が何のために使うかで確認事項が変わります。マンション管理士の学習では「管理のためだから何でも共有できる」とまとめず、利用目的と提供先を分けて考えます。 2026年度試験対応として、法令は2026年4月1日の施行内容を基準にしています。
- 公開日
- 2026年9月11日
- 更新日
- 2026年9月11日
- 読了目安
- 約9分
- 法令基準日
- 2026年4月1日
- 情報確認日
- 2026年9月11日

先に結論
名簿などの個人情報データベースを事業に用いる管理組合は、非営利でも個人情報取扱事業者に該当し得ます。利用目的の特定と通知等、安全管理、第三者提供の原則的な本人同意が必要で、業務委託なら委託先の監督も必要です。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 非営利・小規模という理由だけでは対象外にならない
- 取得、目的内利用、委託、第三者提供を区別する
- 住民への名簿配付も目的と提供の根拠を確認する
01管理組合は非営利でも法律の対象になる
個人情報取扱事業者かどうかは、営利企業かどうかだけでは決まりません。氏名や連絡先を検索できるよう整理した名簿などを、継続的な管理業務に利用している管理組合は対象になり得ます。国土交通省のマンション管理に関するFAQも、この点を案内しています。
住戸番号しか書いていなくても、ほかの情報と容易に照合して個人を識別できる場合は個人情報になり得ます。一方、個人情報、個人データ、保有個人データは条文上の範囲が異なるため、名簿のどの状態について問われているかを確認します。

02名簿を集める前に利用目的を具体化する
利用目的はできる限り特定します。「管理組合活動のため」だけで住民が利用場面を理解できないなら、緊急連絡、総会の連絡、防災時の安否確認など、実際の目的が分かる形に整理します。ここで挙げた項目は説明の例で、全てを一律に収集すべきという意味ではありません。
本人から申込用紙などの書面で直接取得する場合は、原則として事前に利用目的を明示します。それ以外の取得では通知または公表のルールや例外を確認します。目的の範囲を超えて利用する場合も、原則として本人同意などの根拠が必要です。
03内部利用・委託・第三者提供を比較する
「相手が管理会社なら自由」「相手が住民なら内部」という肩書だけの判定は避けます。名簿を扱う者の立場、指示の範囲、利用目的を見ます。委託先が自社の営業に使うなら、単に管理業務の委託と呼ぶだけでは説明できません。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 場面 | 主な確認 | 取り違えやすい点 |
|---|---|---|
| 担当役員が組合業務で利用 | 権限・利用目的・安全管理 | 役員なら私用に持ち出せるわけではない |
| 管理会社に必要な名簿管理を委託 | 委託の範囲・安全管理・委託先監督 | 必要な委託の範囲なら第三者に該当しない扱いがある |
| 住民や外部業者へ名簿を提供 | 原則として事前の本人同意、または法定例外 | 提供先や用途を確認せず一括配付しない |
この節・表の確認資料: 個人情報保護法2・16〜18・21・23・25〜27条(確認日 2026年9月11日)
04住民への名簿配付は、本人同意の対象を具体的にする
名簿を各戸へ配る場合は、載せる情報、配付する範囲、利用目的を明確にします。例えば緊急連絡先を役員だけが保管する設計と、全住民に電話番号まで配る設計では、必要性も提供の範囲も違います。集めるときの説明と配付時の取扱いが一致しているかを確認します。
総会で決めたという事実だけを、全ての本人の第三者提供への同意と同一視することはできません。名簿の配付について本人同意を得る方法や、同意のない人を載せない運用などを検討します。緊急時の法定例外は、通常時の恒常的な配付を無条件で認める規定ではありません。
05委託後も、閲覧権限と引継ぎを確認する
管理組合には必要かつ適切な安全管理措置が求められます。具体的な運用では、閲覧できる担当者の限定、紙名簿の保管、退任時の返却・消去、メールの誤送信防止などを、扱う情報に応じて決めます。ここでの方法は運用例であり、特定のソフトを導入すれば義務が全て満たされるというものではありません。
管理会社へ個人データの取扱いを委託する場合も、必要かつ適切な監督をします。契約で扱う情報と業務範囲を明確にし、再委託や事故時の連絡を確認しておくと、理事交代後も責任の所在を追えます。委託したことで管理組合の義務がなくなるわけではありません。
06生命・身体の保護に必要な例外も条件付き
個人データの第三者提供は原則として事前の本人同意が必要ですが、法令に基づく場合や、生命・身体・財産の保護に必要で同意取得が困難な場合など、法定の例外があります。防災という言葉があるだけで例外になるのではなく、その場面で必要性と同意取得の困難さを判断します。
漏えいが起きたときも、全ての事故が同じ報告手続になるわけではありません。本人の権利利益を害するおそれが大きいものとして定められた事態では委員会への報告や本人通知が必要です。まず事実と対象情報を確認し、法令・委員会の手順に沿って対応します。
07設例:緊急連絡先を全戸へ配ってよいか
漏水時の連絡に使うため、管理組合が所有者の携帯電話番号を集めたとします。役員が必要な連絡をする運用と、全住戸に名簿の写しを配る運用は、情報を受け取る相手も利用の範囲も違います。取得時の説明が役員からの連絡だけだったなら、その説明で全戸配付まで理解できるかを確認します。
個人データの第三者提供として本人同意を得る場合は、どの情報を誰に渡すかを明確にします。名簿への記入そのものや、配付についての総会の多数決を、当然に全員の同意と扱うことはできません。緊急連絡という目的を実現する方法と、不必要に配付先を広げない方法を合わせて検討します。
08設例:管理会社が名簿を営業にも使いたいと言ったら
管理費の請求連絡を管理会社に委託し、その業務に必要な名簿を渡す設例です。利用目的の達成に必要な範囲内の委託に伴う提供には、第三者に該当しない扱いがあります。しかし、名簿を受け取った会社が自社の商品を住民に売るために利用する話まで、当然に同じ委託の範囲に含まれるわけではありません。
学習では、管理組合からの指示、委託契約の業務、実際の利用目的の三つを並べて判断します。委託先が有名な会社であることや、長年の取引関係があることは、目的外の利用を正当化する条件ではありません。提供の法的な整理に加え、必要かつ適切な監督が行われているかも確認します。
09理事交代時は、引継ぎと私物端末の残存を点検する
管理組合の役員が交代する場面では、次の担当者に名簿を渡すだけでなく、前任者の手元に何が残っているかを確認します。紙の控え、私物端末へ保存したファイル、送受信したメールなどは保存先が違います。担当を外れた人が引き続き必要なく閲覧できる状態になっていないか、権限の見直しが必要です。
ここで挙げた保存先の点検は、安全管理措置を具体化する運用例です。法律がすべての管理組合に同一のソフトや保管方式を指定しているという説明ではありません。取り扱う情報の内容と利用場面に応じて方法を決め、委託している部分については管理会社との役割分担も引継ぎ資料に残すと確認しやすくなります。
10誤送信を見つけたら、事故の事実と法定報告を分ける
名簿を別の宛先へ送ったという情報だけでは、誰のどの情報が、何人分、どの相手に届いたかが分かりません。事故の事実を整理する作業と、個人情報保護委員会への報告や本人通知が法律上必要かを判定する作業を分けます。「外部に出たら必ず同じ手続」という丸暗記では、設問の条件を読み落とします。
法26条は、本人の権利利益を害するおそれが大きいものとして定められた事態を対象とします。対象情報や事故の態様を確認し、具体的な報告対象・手続は委員会規則等に照合する必要があります。委託先で起きた事故でも組合側が何も確認しなくてよいとせず、発生状況と対応の連絡を受ける仕組みを確認します。
11独自確認問題で判断する
合トレ作成の独自問題3問です。判断を分ける条件を説明してください。
11.1確認問題1
問題:非営利の管理組合は、住民名簿を継続的に業務で利用していても個人情報取扱事業者にはならない。
答え:誤り。非営利であることだけでは除外されません。個人情報データベース等を事業に用いるかなど、16条の定義で判断します。
11.2確認問題2
問題:利用目的の達成に必要な範囲で個人データの取扱いを管理会社へ委託する場合でも、委託先への必要かつ適切な監督は求められる。
答え:正しい。27条の第三者に該当しない委託の扱いと、25条の監督義務は両立します。
11.3確認問題3
問題:災害対策に役立つ名簿なら、通常時に全住民へ配付する際も本人同意の要否を確認しなくてよい。
答え:誤り。第三者提供の原則と例外を確認します。防災目的だけで、生命等保護の必要性・同意取得困難という例外条件が当然に満たされるわけではありません。
12関連する論点で理解を確かめる
名簿の配付と、議事録・規約の閲覧請求は別の条件で判断します。閲覧の根拠を確認してから、個人情報の取扱いを重ねて考えましょう。
よくある質問
小規模な管理組合でも対象になりますか?
人数が少ないことや非営利であることだけで対象外にはなりません。名簿などの個人情報データベースを事業に用いるかを確認します。
管理会社に名簿を渡すときは必ず第三者提供ですか?
利用目的の達成に必要な範囲での取扱いの委託なら、法律上第三者に該当しない扱いがあります。委託の範囲と監督は別途必要です。
住民の電話番号を全戸に配ってよいですか?
収集時の利用目的、配付範囲、本人同意または法定例外を確認します。管理目的という説明だけで無条件に配付できるわけではありません。
役員交代のときに注意する点は?
担当者の権限を切り替え、名簿の所在、返却や消去、委託先との連絡窓口を確認します。前任者が私物端末に情報を残し続ける運用を避けます。
個人情報と個人データは同じですか?
同じではありません。個人データは個人情報データベース等を構成する個人情報です。どの義務がどの情報にかかるかを条文で確認します。
理事を退任しても名簿のコピーを持ち続けてよいですか?
役員だったという理由だけで私的な保管・利用が認められるわけではありません。組合の利用目的、権限、安全管理のルールに従い、返却・消去やアクセス権を確認します。
この記事の参照元
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