民法・登記
不法行為・工作物責任|原則・例外と判断の手順【2026年度試験対応】
漏水や外壁落下では、原因、占有者の注意、所有者の責任、消滅時効を順番に判断します。故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 5問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
漏水や外壁落下では、原因、占有者の注意、所有者の責任、消滅時効を順番に判断します。故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-09
設例を解く判断手順
条件をこの順に確認してから、各記述の正誤を判断します。
- 損害の原因と工作物の瑕疵を特定する
- 占有者の免責と所有者の責任を分ける
- 共用部分の推定と時効の特則を確認する
一般不法行為
故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
確認例:709条の不法行為責任には、故意又は過失等の要件がある。
正しい。損害があるという事実だけで全員が賠償責任を負うわけではない。原因と責任主体を特定する。
根拠:民法
工作物の占有者
工作物の設置・保存の瑕疵で損害が生じた場合、まず占有者の責任が問題となる。
確認例:外壁落下など工作物の瑕疵による損害では、717条の工作物責任を検討する。
正しい。717条1項が占有者と所有者の責任の関係を定める。709条の一般過失責任だけで終わらせない。
根拠:民法
所有者責任
占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償する。
確認例:工作物の占有者が必要な注意を尽くしていれば、所有者も必ず免責される。
誤り。717条1項ただし書では、その場合に所有者が責任を負う。両者が同時に免責される構造ではない。
根拠:民法
共用部分の推定
建物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する。
確認例:区分所有法9条は、建物の瑕疵の所在を共用部分と推定する規定である。
正しい。推定であって反証を許さないみなしではない。漏水が必ず共用管の原因と確定するわけではない。
一般不法行為の時効
原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。
確認例:財物損害の不法行為債権は、原則として損害と加害者を知った時から10年間は時効にならない。
誤り。724条の主観的期間は3年である。契約債権の期間と混同しない。
根拠:民法
生命身体の時効
生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。
確認例:外壁落下で身体を害された場合の不法行為債権は、724条の2の5年の特則を確認する。
正しい。財物損害の3年に対し、人身損害は5年である。不法行為時から20年の規定も併せて確認する。
根拠:民法
工作物所有者の責任
占有者が損害防止に必要な注意をした場合、工作物所有者が賠償責任を負う。
確認例:外壁の設置保存の瑕疵で損害が生じ占有者が必要な注意をしたとき、所有者も注意を尽くしたと証明すれば717条の責任を当然に免れる。
誤り。717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。
根拠:民法
漏水原因の推定
建物の設置保存の瑕疵による他人の損害では共用部分の瑕疵が推定される。
確認例:区分所有法9条の推定が働いても、漏水原因を調査し反証する余地まで失われるわけではない。
正しい。推定は反証を許さない「みなし」と異なる。共用部分の瑕疵の推定をあらゆる漏水の無条件な確定責任としない。
設例の結論と判断を分けた条件
同じ論点でも、判断に使う条件を取り違えると結論が変わります。問題の数字や前提はこの教材の独自設例です。
| 設例 | 記述の判定 | 判断を決めた条件 |
|---|---|---|
| 工作物所有者の責任 | 誤り | 717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。 |
| 漏水原因の推定 | 正しい | 推定は反証を許さない「みなし」と異なる。共用部分の瑕疵の推定をあらゆる漏水の無条件な確定責任としない。 |
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- 民法確認日:2026-09-09
- 建物の区分所有等に関する法律確認日:2026-09-09

対象と起算点を先に特定し、その後に期間を当てはめます。
不法行為・工作物責任|一般不法行為
故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。 確認例:709条の不法行為責任には、故意又は過失等の要件がある。 正しい。損害があるという事実だけで全員が賠償責任を負うわけではない。原因と責任主体を特定する。
覚え方一般不法行為:故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
比較して覚える
不法行為と新築住宅の期間
対象と起算点を先に特定し、その後に期間を当てはめます。
| 事由 | 期間の基本 | 起算点・限定 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 一般の不法行為 | 主観的3年・客観的20年 | 損害及び加害者を知った時/不法行為時 | 原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。 |
| 生命身体を害する不法行為 | 主観的5年の特則 | 損害及び加害者を知った時 | 生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。 |
| 新築住宅の重要部分の責任 | 原則10年 | 引渡しから。全設備の全故障ではない | 新築住宅の請負人は構造耐力上主要な部分等の瑕疵について引渡しから10年間の責任を負う。 10年責任の特則は、住宅のあらゆる箇所の全ての不具合を同じ条件で対象にする制度ではない。 |
一般の不法行為
- 期間の基本
- 主観的3年・客観的20年
- 起算点・限定
- 損害及び加害者を知った時/不法行為時
判断ポイント
原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。
生命身体を害する不法行為
- 期間の基本
- 主観的5年の特則
- 起算点・限定
- 損害及び加害者を知った時
判断ポイント
生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。
新築住宅の重要部分の責任
- 期間の基本
- 原則10年
- 起算点・限定
- 引渡しから。全設備の全故障ではない
判断ポイント
新築住宅の請負人は構造耐力上主要な部分等の瑕疵について引渡しから10年間の責任を負う。 10年責任の特則は、住宅のあらゆる箇所の全ての不具合を同じ条件で対象にする制度ではない。
01不法行為・工作物責任の重要暗記項目
不法行為・工作物責任|一般不法行為
故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。 確認例:709条の不法行為責任には、故意又は過失等の要件がある。 正しい。損害があるという事実だけで全員が賠償責任を負うわけではない。原因と責任主体を特定する。
覚え方一般不法行為:故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
ひっかけ注意損害があるという事実だけで全員が賠償責任を負うわけではない。原因と責任主体を特定する。
不法行為・工作物責任|工作物の占有者
工作物の設置・保存の瑕疵で損害が生じた場合、まず占有者の責任が問題となる。 確認例:外壁落下など工作物の瑕疵による損害では、717条の工作物責任を検討する。 正しい。717条1項が占有者と所有者の責任の関係を定める。709条の一般過失責任だけで終わらせない。
覚え方工作物の占有者:工作物の設置・保存の瑕疵で損害が生じた場合、まず占有者の責任が問題となる。
ひっかけ注意717条1項が占有者と所有者の責任の関係を定める。709条の一般過失責任だけで終わらせない。
不法行為・工作物責任|所有者責任
占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償する。 確認例:工作物の占有者が必要な注意を尽くしていれば、所有者も必ず免責される。 誤り。717条1項ただし書では、その場合に所有者が責任を負う。両者が同時に免責される構造ではない。
覚え方所有者責任:占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償する。
ひっかけ注意717条1項ただし書では、その場合に所有者が責任を負う。両者が同時に免責される構造ではない。
不法行為・工作物責任|共用部分の推定
建物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する。 確認例:区分所有法9条は、建物の瑕疵の所在を共用部分と推定する規定である。 正しい。推定であって反証を許さないみなしではない。漏水が必ず共用管の原因と確定するわけではない。
覚え方共用部分の推定:建物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する。
ひっかけ注意推定であって反証を許さないみなしではない。漏水が必ず共用管の原因と確定するわけではない。
不法行為・工作物責任|一般不法行為の時効
原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。 確認例:財物損害の不法行為債権は、原則として損害と加害者を知った時から10年間は時効にならない。 誤り。724条の主観的期間は3年である。契約債権の期間と混同しない。
覚え方一般不法行為の時効:原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。
ひっかけ注意724条の主観的期間は3年である。契約債権の期間と混同しない。
不法行為・工作物責任|生命身体の時効
生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。 確認例:外壁落下で身体を害された場合の不法行為債権は、724条の2の5年の特則を確認する。 正しい。財物損害の3年に対し、人身損害は5年である。不法行為時から20年の規定も併せて確認する。
覚え方生命身体の時効:生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。
ひっかけ注意財物損害の3年に対し、人身損害は5年である。不法行為時から20年の規定も併せて確認する。
不法行為・工作物責任|工作物所有者の責任
占有者が損害防止に必要な注意をした場合、工作物所有者が賠償責任を負う。 確認例:外壁の設置保存の瑕疵で損害が生じ占有者が必要な注意をしたとき、所有者も注意を尽くしたと証明すれば717条の責任を当然に免れる。 誤り。717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。
覚え方工作物所有者の責任:占有者が損害防止に必要な注意をした場合、工作物所有者が賠償責任を負う。
ひっかけ注意717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。
不法行為・工作物責任|漏水原因の推定
建物の設置保存の瑕疵による他人の損害では共用部分の瑕疵が推定される。 確認例:区分所有法9条の推定が働いても、漏水原因を調査し反証する余地まで失われるわけではない。 正しい。推定は反証を許さない「みなし」と異なる。共用部分の瑕疵の推定をあらゆる漏水の無条件な確定責任としない。
覚え方漏水原因の推定:建物の設置保存の瑕疵による他人の損害では共用部分の瑕疵が推定される。
ひっかけ注意推定は反証を許さない「みなし」と異なる。共用部分の瑕疵の推定をあらゆる漏水の無条件な確定責任としない。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- ひっかけ717条1項ただし書では、その場合に所有者が責任を負う。両者が同時に免責される構造ではない。
- ひっかけ724条の主観的期間は3年である。契約債権の期間と混同しない。
- ひっかけ717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2工作物の設置・保存の瑕疵で損害が生じた場合、まず占有者の責任が問題となる。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償する。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 4建物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 5原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 6生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 7占有者が損害防止に必要な注意をした場合、工作物所有者が賠償責任を負う。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 8建物の設置保存の瑕疵による他人の損害では共用部分の瑕疵が推定される。
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 内容の基準日
- 2026-04-01
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
不法行為・工作物責任の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法・登記重要度 B
不法行為・工作物責任|一般不法行為
709条の不法行為責任には、故意又は過失等の要件がある。
不法行為・工作物責任の○×一問一答8問|問題と解説
この論点で収録している8問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
不法行為・工作物責任|一般不法行為重要度B709条の不法行為責任には、故意又は過失等の要件がある。
答え:○(正しい)
解説
正しい。損害があるという事実だけで全員が賠償責任を負うわけではない。原因と責任主体を特定する。 要点:故意又は過失で他人の権利等を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。 根拠:民法 第709条。
問2
不法行為・工作物責任|工作物の占有者重要度B外壁落下など工作物の瑕疵による損害では、717条の工作物責任を検討する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。717条1項が占有者と所有者の責任の関係を定める。709条の一般過失責任だけで終わらせない。 要点:工作物の設置・保存の瑕疵で損害が生じた場合、まず占有者の責任が問題となる。 根拠:民法 第717条。
問3
不法行為・工作物責任|所有者責任重要度B工作物の占有者が必要な注意を尽くしていれば、所有者も必ず免責される。
答え:×(誤り)
解説
誤り。717条1項ただし書では、その場合に所有者が責任を負う。両者が同時に免責される構造ではない。 要点:占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償する。 根拠:民法 第717条。
問4
不法行為・工作物責任|共用部分の推定重要度B区分所有法9条は、建物の瑕疵の所在を共用部分と推定する規定である。
答え:○(正しい)
解説
正しい。推定であって反証を許さないみなしではない。漏水が必ず共用管の原因と確定するわけではない。 要点:建物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する。 根拠:建物の区分所有等に関する法律 第9条。
問5
不法行為・工作物責任|一般不法行為の時効重要度B財物損害の不法行為債権は、原則として損害と加害者を知った時から10年間は時効にならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。724条の主観的期間は3年である。契約債権の期間と混同しない。 要点:原則として損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為時から20年で時効消滅する。 根拠:民法 第724条。
問6
不法行為・工作物責任|生命身体の時効重要度B外壁落下で身体を害された場合の不法行為債権は、724条の2の5年の特則を確認する。
答え:○(正しい)
解説
正しい。財物損害の3年に対し、人身損害は5年である。不法行為時から20年の規定も併せて確認する。 要点:生命又は身体を害する不法行為の主観的期間は5年となる。 根拠:民法 第724条の2。
問7
不法行為・工作物責任|工作物所有者の責任重要度B外壁の設置保存の瑕疵で損害が生じ占有者が必要な注意をしたとき、所有者も注意を尽くしたと証明すれば717条の責任を当然に免れる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。717条1項ただし書は占有者の注意がある場合に所有者責任へ移す。所有者に同じ注意による免責を定めてはいない。 要点:占有者が損害防止に必要な注意をした場合、工作物所有者が賠償責任を負う。 根拠:民法 第717条。
問8
不法行為・工作物責任|漏水原因の推定重要度B区分所有法9条の推定が働いても、漏水原因を調査し反証する余地まで失われるわけではない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。推定は反証を許さない「みなし」と異なる。共用部分の瑕疵の推定をあらゆる漏水の無条件な確定責任としない。 要点:建物の設置保存の瑕疵による他人の損害では共用部分の瑕疵が推定される。 根拠:建物の区分所有等に関する法律 第9条。
収録している全問から、分野・重要度で解く
区分所有法・再生158問、民法・登記88問、規約・管理実務80問、建物・設備118問、管理適正化法58問を収録。