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管理実務

賃貸住宅の残置物は勝手に処分できる?死亡時の契約と相続を解説【賃貸管理士】【2026年度試験対応】

入居者が死亡しても、賃貸借契約や家財が当然になくなるわけではありません。残置物処理のモデル契約条項、解除と処分の委任、受任者の選び方を、賃貸不動産経営管理士の2026年度試験向けに整理します。

要点 4件・基本問題 4・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

法令基準日
2026-04-01
最終確認日
2026-08-15
確認
chintaikanrishi-critical-review-2026-08-15
単身高齢者等の死亡と残置物を学ぶためのイメージ画像

生成画像(イメージ)

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

通常の建物賃貸借では、借主が死亡しても契約が当然に終了するわけではなく、賃借権や家財は原則として相続の対象になります。貸主や管理会社が残置物を自由に捨てることはできません。事前に備えるモデル契約では、賃貸借を終わらせる事務と、残置物を処理する事務を分けて委任します。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-09

借主の死亡と賃貸借契約の終了は別

室内に家財が残っているからといって、所有者がいなくなったとは限りません。民法896条では、一身に専属するものを除いて権利義務を相続人が承継します。通常の建物賃貸借の借主の地位や家財も、この原則を前提に考えます。

緊急連絡先に登録されている人が、当然に相続人や処分権限を持つ代理人になるわけではありません。誰が契約終了について意思表示でき、誰が家財の引取りや処分を決められるかを確認する必要があります。終身建物賃貸借など、特別な制度とは区別します。

根拠:民法(債権・賃貸借・相続)国土交通省:残置物モデル契約条項の活用ガイドブック

モデル契約は解除と残置物処理を分ける

モデル契約は契約終了と残置物処理の事務を分けます。処分は権限・対象物・契約条件を確認して行います。

モデル契約は契約終了と残置物処理の事務を分けます。処分は権限・対象物・契約条件を確認して行います。

図を大きく見る

法務省・国土交通省のモデル契約条項は、単身高齢者などが安心して入居できるよう、死亡後の事務について生前に準備するためのものです。賃借人と受任者との間で、解除関係事務と残置物関係事務について委任契約を結ぶ形が示されています。

受任者が同じ場合に二つの内容を一通の契約書へまとめることはできますが、事務の役割は分けて理解します。契約を終了させる権限があることと、室内のすべての物を自由に廃棄する権限があることは同じではありません。

モデル契約は解除と残置物処理を分ける
事務中心となる内容確認する相手・対象
解除関係事務死亡後の賃貸借の終了に関する手続貸主、相続人、契約内容
残置物関係事務家財の引渡し・換価・廃棄等指定された物、引取り先、処理条件

根拠:国土交通省:残置物モデル契約条項の活用ガイドブック

受任者は利益相反と本人の希望を確認

モデル条項では、推定相続人、居住支援法人、社会福祉法人などが受任者の候補になります。管理業者も一律に排除されているわけではありません。ただし、貸主側との関係や利益相反のおそれを含め、本人の利益を守れる体制が必要です。

貸主自身を受任者にすることは、早期の明渡しを求める立場と借主・相続人の利益が衝突するおそれがあるため避けるべきとされています。連絡がつきやすいという理由だけで決めず、本人の意思を確認して必要な説明を行います。

根拠:国土交通省:残置物モデル契約条項の活用ガイドブック

指定残置物とその他の物を整理する

形見など特定の人へ渡したい物は、生前に指定し、引取り先を明らかにしておくことが考えられます。その他の物も、換価できる物、保管する物、廃棄する物で処理が異なり、契約の定めと必要な通知などに従います。

ガイドブックでは、保管に適した非指定残置物の廃棄までの期間として、死亡後3か月をモデル条項で示しています。これは「全国すべての残置物を3か月たてば処分できる」という法律上の一律ルールではありません。契約上の権限や物の種類を無視して数字だけ使わないことが重要です。

根拠:国土交通省:残置物モデル契約条項の活用ガイドブック

相続・代理権・残置物を一つずつ確認

令和7年度問45では、残置物に関する契約上の備えや受任者の候補が問われました。死亡を理由に権限確認を省けるとする説明や、管理業者は一切受任できないとする説明に注意します。

2026年度試験対応として、まず普通の賃貸借か、事前の委任契約があるか、何の事務を委任したかを確認します。人の死に関する告知の判断は別の論点であり、残置物を適切に処理したことだけで次の契約時の説明事項が決まるわけではありません。

根拠:民法(債権・賃貸借・相続)国土交通省:残置物モデル契約条項の活用ガイドブック

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 普通建物賃貸借の借主が死亡したら、残された家財はすべて無主物になる。

    根拠:資料1資料2

  2. 2 死亡後の賃貸借終了に関する事務と残置物処理の事務は、委任の内容を区別して確認する。

    根拠:資料1

  3. 3 事前の委任契約がなくても、借主の死亡後3か月が経過すれば、貸主は家財を自由に捨てられる。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

賃貸住宅での自然死の告知と残置物処理を整理した暗記画像
図で覚える

自然死は原則として告知不要です。特殊清掃等が行われた場合は賃貸で概ね3年間が告知の目安となり、質問された場合は適切に説明します。

最重要ポイント

残置物モデル契約条項の受任者

モデル契約条項は、賃借人の死亡時に契約を終了させる解除関係事務委任契約と、残置物を廃棄または指定先へ送付する残置物関係事務委託契約の二本から成る。受任者は賃借人の推定相続人のいずれかとすることが望ましく、困難な場合は居住支援法人や管理業者等の第三者とする。賃貸人を受任者とすると契約終了の判断について利益相反が生じ、条項が無効と判断されるおそれがある。賃借人は廃棄しない残置物を指定できる。

覚え方受任者は推定相続人が第一、貸主本人は利益相反で不可

混同注意・比較表

人の死を告げる必要があるか(売買と賃貸借)

最初に見るのは、どこで起きた、どのような死かです。そのうえで取引が売買か賃貸借かを確認すると、告げる必要があるか、いつまで告げるかが決まります。

対象不動産での自然死・不慮の死

売買契約
老衰や病死などの自然死、日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよい
賃貸借契約
賃貸借でも同じく原則として告げなくてよい。特殊清掃が行われた場合だけ扱いが変わる

判断ポイント

自然死は売買でも賃貸借でも告知不要というのが出発点です。

自然死等で特殊清掃が行われた場合

最重要
売買契約
年数による一律の区切りはなく、取引判断に重要な影響を及ぼす場合は告げる必要がある
賃貸借契約
死の発覚から概ね3年間は告げるのが原則。3年後も質問・特段の事情等があれば告げる

判断ポイント

特殊清掃等が行われることとなった自然死等は「死の発覚」から数えます。3年は一律の免責期間ではありません。

対象不動産での他殺・自殺・事故死等

売買契約
年数による一律の区切りはなく、取引判断に重要な影響を及ぼす場合は告げる必要がある
賃貸借契約
事案の発生から概ね3年間は告げるのが原則。3年後も質問・特段の事情等があれば告げる

判断ポイント

他殺・自殺や日常生活の中の不慮の死に当たらない事故死等は「事案の発生」から数えます。

日常生活で使用する共用部分での事案

売買契約
対象不動産で起きた場合と同じく、告げる必要がある
賃貸借契約
対象不動産と同様、その他の死は発生から、特殊清掃等を伴う自然死等は発覚から概ね3年間が原則。例外あり

判断ポイント

エントランスや共用廊下など、日常的に通る場所は室内と同じ扱いです。

隣接住戸・通常使用しない共用部分での事案

売買契約
原則として告げなくてよいが、事件性等が高い場合は告知が必要となる
賃貸借契約
原則として告げなくてよいが、事件性等が高い場合は告知が必要となる

判断ポイント

普段使わない場所は原則不要ですが、事件性が高ければ例外です。

01単身高齢者等の死亡と残置物の重要暗記項目

01
重要度 S

残置物モデル契約条項の受任者

モデル契約条項は、賃借人の死亡時に契約を終了させる解除関係事務委任契約と、残置物を廃棄または指定先へ送付する残置物関係事務委託契約の二本から成る。受任者は賃借人の推定相続人のいずれかとすることが望ましく、困難な場合は居住支援法人や管理業者等の第三者とする。賃貸人を受任者とすると契約終了の判断について利益相反が生じ、条項が無効と判断されるおそれがある。賃借人は廃棄しない残置物を指定できる。

覚え方受任者は推定相続人が第一、貸主本人は利益相反で不可

ひっかけ注意「貸主が受任者なら手続が早い」は誤り。利益相反により委任条項自体が無効となるリスクを生む。

02
重要度 S

人の死の告知に関するガイドライン

国土交通省のガイドライン(令和3年10月)は、老衰や病死などの自然死、転倒事故や誤嚥など日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてよいとする。ただし特殊清掃等が行われることとなった場合は、その死の発覚から概ね3年間、賃貸借取引で告げるのが原則である。他殺・自殺や日常生活の中の不慮の死に当たらない事故死等は、その事案の発生から概ね3年間が賃貸借における原則的な目安となる。3年は一律の免責期間ではなく、事件性・周知性・社会的影響が特に高い事案や、借主から事案の有無を問われた場合、借主が把握しておくべき特段の事情を認識した場合等は、経過期間にかかわらず告げる必要がある。

覚え方自然死は原則不要、特殊清掃は発覚から、その他の死は発生から三年が原則の目安

ひっかけ注意売買取引には3年という区切りがない点、借主から問われれば期間経過後も告げる必要がある点が狙われる。

03
重要度 B

残置物の処理等に関するモデル契約条項

単身高齢者の賃貸借は、死亡により賃借権が相続人に承継され、契約の解除や残置物の処理が困難となることが入居拒否の一因となっている。国土交通省と法務省は令和3年に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表し、賃借人が生前に受任者へ①賃貸借契約の解除、②残置物の廃棄や指定先への送付を委任する枠組みを示した。受任者は推定相続人のいずれかとすることが望ましく、賃貸人は利益相反のおそれから避けるべきとされる。

覚え方単身高齢者は、解除と残置物処理を生前に委任しておく

ひっかけ注意受任者を賃貸人や管理業者とするのは利益相反のおそれがあり望ましくない点が狙われる。

04
重要度 B

孤独死と原状回復費用の請求

賃借人の原状回復義務は金銭債務として相続人に承継されるが、相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされ、責任を負わない。全員が放棄した場合は相続財産の清算人の選任を経て相続財産から回収するほかない。孤独死のリスクに備え、実務では家賃債務保証会社の原状回復費用補償や、残置物処理費用・原状回復費用・空室期間の損害を対象とする保険の付保が用いられている。

覚え方放棄されれば請求先は相続財産だけ、備えは保証と保険

ひっかけ注意「相続人がいる以上必ず回収できる」は誤り。放棄の可能性を前提に、保証・保険で備えておく必要がある。

管理実務の暗記表をすべて見る →

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    モデル条項の想定対象と、賃借人本人の任意の意思に基づく契約かを確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    解除関係事務と残置物関係事務の受任者・委任契約を分けて確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    廃棄しない物の指定、換価・引渡し、処分時期と相続人への配慮を確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

内容の基準日
2026-04-01
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

単身高齢者等の死亡と残置物の○×一問一答

1/4解答 0・正解 0

管理実務重要度 S

人の死の告知に関するガイドライン

賃貸借の媒介において、賃貸住宅内で自然死が生じ特殊清掃等が行われた場合、その死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として借主に告げなくてよいとされる。

単身高齢者等の死亡と残置物○×一問一答4問|問題と解説

この論点で収録している4問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    人の死の告知に関するガイドライン重要度S

    賃貸借の媒介において、賃貸住宅内で自然死が生じ特殊清掃等が行われた場合、その死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として借主に告げなくてよいとされる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。特殊清掃等が行われることとなった自然死等は、その死の発覚から概ね3年を経過した後、特段の事情がない限り告げなくてもよいのが原則である。ただし質問を受けた場合や社会的影響が特に高い事案等は例外となる。

  2. 2

    残置物モデル契約条項の受任者重要度S

    残置物の処理等に関するモデル契約条項に基づく解除関係事務委任契約では、賃貸人自身を受任者とすることが、手続を迅速に進められるため最も望ましいとされている。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。賃貸人が受任者となることは利益相反のおそれがあり、避けるべきものとされている。

  3. 3

    残置物の処理等に関するモデル契約条項重要度B

    単身高齢者の入居に際し、死亡後の契約関係の処理や残置物の処理に備えるため、国土交通省と法務省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表している。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。賃借人の死亡後の解除事務と残置物処理を生前に委任する枠組みが示されている。

  4. 4

    孤独死と原状回復費用の請求重要度B

    賃借人が室内で死亡し特殊清掃が必要となった場合の原状回復費用は賃借人の相続人に請求することになるが、相続人全員が相続放棄をしたときは相続人に請求することができない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。相続放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされ、債務を承継しない。

次の学習

単身高齢者等の死亡と残置物の問題を続けて解く

この論点に対応する4問を絞り込んで出題します。

○×一問一答