2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

行政書士の共有と相隣関係|保存・管理・変更の違いと枝の切除【2026年度試験対応】

共有物の保存・管理・変更を持分の割合で整理し、軽微な変更、短期の使用収益権、分割請求を解説。越境した枝と根の扱い、通常共有と組合財産の違いを比較表と独自○×3問で確認します。

要点 4件・基本問題 5問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

共有と相隣関係:変更・管理・保存を区別する

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。

まず押さえるポイント

共有物の保存は各共有者が単独ででき、管理は原則として持分の価格の過半数、形状・効用の著しい変更は原則として共有者全員の同意で決めます。著しい変更を伴わない軽微な変更は管理として扱います。相隣関係では、越境した枝は原則として所有者に切除を求め、根とは異なる条件で自ら切り取れます。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-25

保存・管理・変更は、行為の性質と持分で決める

共有物の変更・管理・保存。著しい変更は原則 全員の同意。管理は持分価格の過半数。保存は各共有者が単独で可能

軽微な変更は管理。特則は本文で確認。要件と例外は本文でも確認できます。

図を大きく見る

2026年度試験は2026年4月1日施行の法令を基準とします。共有物を維持する保存行為は252条5項により各共有者が単独でできます。管理に関する事項は持分の価格の過半数で決め、形状又は効用の著しい変更を伴う変更は原則として他の共有者全員の同意が必要です。著しい変更を伴わないものは251条1項の全員同意の対象から除かれます。

例えばAの持分が5分の3、B・Cが各5分の1なら、通常の管理事項はAだけで持分の価格の過半数を満たします。反対にB・Cの2人が賛成しても合計は5分の2なので足りません。多数決の基準は人数ではなく持分の価格です。実際の工事を保存・管理・変更のどれに当てはめるかは、その規模と形状・効用への影響から判断します。

共有物について必要となる意思決定
行為原則の決め方確認する点
保存各共有者が単独でできる現状を維持するための行為か
管理・軽微な変更持分の価格の過半数人数の多数決ではない
形状・効用の著しい変更共有者全員の同意所在等不明共有者がいる場合の裁判による特則は別途確認

根拠:e-Gov 民法233条・249条・251条・252条・256条・258条・668条・676条(2026年4月1日施行版)行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内・法令基準日

管理の過半数だけでは足りない場合と短期の権利設定

共有者間の決定に基づいて共有物を使っている共有者に、管理の決定が特別の影響を及ぼす場合、その共有者の承諾が必要です。『持分の過半数があれば使用中の共有者への影響は一切考えなくてよい』とはいえません。所在等不明の共有者や、催告しても賛否を明らかにしない共有者がいる場合にも、252条2項は裁判所の関与する仕組みを設けています。

252条4項は、所定の期間を超えない賃借権などの使用収益権を管理のルールで設定できると定めます。10年の枠はすべての山林の利用ではなく、樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の権利です。この目的の限定と、同条3項の特別の影響を受ける共有者の承諾を落とさないようにします。

民法252条4項の使用収益権の期間枠
対象期間を超えないもの
樹木の栽植・伐採を目的とする山林10年
それ以外の土地5年
建物3年
動産6か月

根拠:e-Gov 民法233条・249条・251条・252条・256条・258条・668条・676条(2026年4月1日施行版)

通常共有の分割と、組合財産の分割を区別する

通常の共有では、各共有者は原則としていつでも分割を請求できます。ただし5年を超えない期間の不分割契約ができ、更新も更新時から5年以内です。協議が整わない・協議ができない場合は裁判所に分割を求めることができ、258条は現物分割と、金銭債務を負担させて他の共有者の持分を取得させる方法を定めています。

これを組合財産にそのまま当てはめてはいけません。668条では組合財産が総組合員の共有に属するとされますが、676条3項は清算前の分割請求を禁じています。同じ『共有』という語でも、通常共有と共同事業のための組合財産では分割のルールが異なります。

根拠:e-Gov 民法233条・249条・251条・252条・256条・258条・668条・676条(2026年4月1日施行版)

越境した枝は3条件、根は自ら切り取れる

隣地の竹木の枝が境界を越えた場合、土地所有者は原則として竹木の所有者に枝の切除を求めます。自ら切り取れるのは、切除を催告しても相当の期間内に切除しないとき、竹木の所有者又はその所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときです。単に越境したという事実だけで常に自力切除できるわけではありません。

これに対し、境界を越えた根は233条4項により自ら切り取れます。例えば所有者と連絡が取れる通常の枝の越境では、まず切除の催告と相当期間の経過を確認します。枝と根、催告前と催告後、平常時と急迫時を区別すると、改正後の条文を正確に使えます。

根拠:e-Gov 民法233条・249条・251条・252条・256条・258条・668条・676条(2026年4月1日施行版)

令和6年問33は通常共有と組合の違いを考える関連出題

令和6年度問33の直接の主題は組合で、公式正解は5です。選択肢3には、組合財産が共有に属することを理由に、各組合員がいつでも分割を求められるかという比較点があります。676条3項の清算前の分割制限と、256条の通常共有を照合する関連出題として扱います。

この問題は、共有物の管理・変更や枝の切除を直接出題したものではありません。独自問題で持分の多数決、枝の自力切除、組合財産の分割を別々に確認し、登記の論点と組み合わせて、共有持分をめぐる権利関係へ学習を進めます。

根拠:e-Gov 民法233条・249条・251条・252条・256条・258条・668条・676条(2026年4月1日施行版)行政書士試験研究センター 令和6年度試験問題・問33(組合の関連出題)行政書士試験研究センター 令和6年度公式正解・問33=5

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 問1 A・B・Cの共有物について、Aの持分が5分の3である場合、特別の影響を受ける共有者の承諾が必要となる事情がなければ、通常の管理事項はAの賛成だけで持分の価格の過半数を満たす。

    根拠:資料1

  2. 問2 越境した枝の所有者と連絡が取れ、急迫の事情もない場合でも、土地所有者は切除を求める催告をせず、越境だけを理由に常に自ら枝を切り取れる。

    根拠:資料1

  3. 問3 組合財産は総組合員の共有に属するので、組合員は清算前でも通常共有と同じようにいつでも組合財産の分割を求められる。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

共有物の管理と変更

251条1項は共有物の変更に共有者全員の同意を要求するが、括弧書で「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」(軽微変更)を除く。軽微変更と管理行為は各共有者の持分の価格の過半数で決し(252条1項)、保存行為は各共有者が単独でできる(252条5項)。共有者の所在等が不明なときは、裁判所の裁判により、その者以外の共有者全員の同意で変更を加えることができる(251条2項。賛否不明の場合は含まれない)。管理に関する事項については、所在等不明の場合に加えて催告しても賛否を明らかにしないときも、裁判所の裁判によりその者以外の共有者の持分の価格の過半数で決することができる(252条2項1号・2号)。

覚え方著しい変更は全員、軽微変更と管理は過半数、保存は単独

最重要・比較表

共有物について1人でできること・できないこと

最初にその行為が使用・保存・管理・変更のどれにあたるかを見分けます。ここが決まれば、単独でできるのか、持分の過半数が要るのか、全員の同意が要るのかが決まります。

あてはまる行為の例

使用行為
共有者の1人が共有物を自ら使用する
保存行為
共有物の妨害排除請求、保存登記
管理行為
民法252条4項の期間内で共有物を第三者に賃貸する
変更行為
共有物そのものを第三者に売却する

判断ポイント

自分の持分だけを譲渡するのは各共有者が自由にできますが、共有物全体の売却は変更行為です。賃貸は期間によって管理行為か変更行為かが分かれます。

行使の要件

最重要
使用行為
各共有者が単独でできる(249条1項)。持分に応じた使用に限られる
保存行為
各共有者が単独でできる(252条5項)
管理行為
252条4項の期間内の賃貸は持分価格の過半数。山林10年・その他の土地5年・建物3年・動産6か月を超える賃貸等は原則として変更行為
変更行為
共有者全員の同意が必要(251条1項)

判断ポイント

保存は単独、管理は持分価格の過半数、変更は原則全員同意です。賃貸を一律に管理行為とせず、252条4項の期間を確認します。

3人が持分平等で共有し、そのうち1人が動くとき

使用行為
単独で可
保存行為
単独で可
管理行為
他の2人のどちらか一方の賛成が必要
変更行為
他の2人の両方の賛成が必要

判断ポイント

頭数の多数決ではなく持分の価格の過半数で決めるため、持分が不均等なら結論も変わります。

間違えやすい点

使用行為
共有物の使用には善良な管理者の注意が必要(249条3項)
保存行為
妨害排除は単独でできるが、損害賠償は自己の持分の割合に相当する額に限られる
管理行為
人数ではなく持分価格で数え、賃貸は252条4項の期間内かも確認する
変更行為
形状または効用の著しい変更を伴わないものは251条1項の変更から除かれる

判断ポイント

保存行為でも損害賠償だけは自分の持分の割合分しか請求できない点が落とし穴です。

判断の順序:どの行為にあたるか → 単独でよいか、持分の過半数か、全員の同意か

法令確認:民法249条、民法251条1項、民法252条(確認日 2026-08-05)

01共有と相隣関係の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 6回

共有物の管理と変更

251条1項は共有物の変更に共有者全員の同意を要求するが、括弧書で「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」(軽微変更)を除く。軽微変更と管理行為は各共有者の持分の価格の過半数で決し(252条1項)、保存行為は各共有者が単独でできる(252条5項)。共有者の所在等が不明なときは、裁判所の裁判により、その者以外の共有者全員の同意で変更を加えることができる(251条2項。賛否不明の場合は含まれない)。管理に関する事項については、所在等不明の場合に加えて催告しても賛否を明らかにしないときも、裁判所の裁判によりその者以外の共有者の持分の価格の過半数で決することができる(252条2項1号・2号)。

覚え方著しい変更は全員、軽微変更と管理は過半数、保存は単独

ひっかけ注意「変更行為は例外なく全員の同意が必要」とする改正前の記述が誤りとして出る。軽微変更は持分の過半数で足りる。

02
重要度 A / 収録過去問 5回

共有物の分割

各共有者はいつでも分割を請求できるが、5年を超えない期間で不分割特約を結ぶことができ、更新も5年が上限である(256条)。258条2項は裁判上の分割方法として現物分割(1号)と賠償分割(2号)を並列で定め、これらの方法によることができないとき、または分割によって価格を著しく減少させるおそれがあるときに競売分割を命じる(3項)。共有物の全部または持分が相続財産に属し遺産分割をすべき場合は258条によれないが、相続開始から10年を経過すれば可能となる(258条の2)。

覚え方不分割は五年まで。現物か賠償が先で、競売は最後の手段

ひっかけ注意賠償分割を競売分割の後順位に置く誤りが狙われる。改正後は現物分割と賠償分割が並列で、競売は補充的である。

03
重要度 A / 収録過去問 4回

共有物への短期賃借権の設定

252条4項は、管理として設定できる賃借権等の期間を、樹木の栽植または伐採を目的とする山林の賃借権は10年、その他の土地の賃借権は5年、建物の賃借権は3年、動産の賃借権は6箇月と定める。これを超える期間の賃借権の設定は変更にあたり全員の同意が必要となる。もっとも借地借家法の適用がある建物賃貸借は法定更新により長期化するため、実務上は全員の同意によることになる。期間を定めない賃貸借も同様に扱われる。

覚え方山林十年・土地五年・建物三年・動産六箇月

ひっかけ注意建物賃貸借を3年以内にすれば常に持分の過半数で設定できるとする誤りが狙われる。借地借家法の適用があれば実質は長期化する。

04
重要度 A / 収録過去問 3回

竹木の枝の切除

233条1項は、越境した枝について竹木の所有者に切除させることができるとする。令和3年改正で新設された3項により、竹木の所有者に催告したのに相当の期間内に切除しないとき、竹木の所有者を知ることができずまたはその所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときは、土地の所有者が自ら切り取れる。竹木が共有の場合は各共有者が単独で切り取れる(2項)。これに対し越境した根は、催告を要せず自ら切り取れる(4項)。

覚え方枝は原則お願い、根はいきなり切れる

ひっかけ注意枝も根と同様に常に自ら切り取れるとする誤り、逆に枝は改正後も一切自力で切れないとする誤りの双方が狙われる。

民法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 共有物への短期賃借権 山林10年・土地5年・建物3年・動産6か月
  • 不分割特約 5年以内(更新も5年以内)
  • 遺産分割 相続開始から10年を過ぎても請求できるが、原則として特別受益・寄与分を考慮できなくなる
  • ひっかけ持分の「過半数」を人数の過半数とする肢。基準は持分の価格である
  • ひっかけ枝と根の切除の扱いを入れ替える肢。催告なしに自ら切り取れるのは根のほう
  • ひっかけ賠償分割は判例上認められるだけで条文にないとする肢。258条2項が現物分割と並べて明記している

押さえる判例

通行地役権と承役地の譲受人最判平成10年2月13日

譲渡時に継続的な通路としての使用が客観的に明らかで譲受人が認識可能なら、譲受人は地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    行為を保存・管理・軽微変更・変更に仕分ける。保存は単独、管理と軽微変更は持分価格の過半数、著しい形状効用の変更は全員同意

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    賃借権の設定なら252条4項の期間で判定する。山林10年・土地5年・建物3年・動産6か月を超えれば変更として全員同意が要る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    相隣関係では枝と根を分ける。根は自ら切り取れるが、枝は催告・所在不明・急迫の事情の3つの場合に限って自ら切り取れる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

共有と相隣関係の○×一問一答

1/5問解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)

共有物の管理と変更

共有物にその形状または効用の著しい変更を伴わない変更を加えるには、共有者全員の同意を得なければならない。

共有と相隣関係の○×一問一答5問|問題と解説

この論点で収録している5問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 問1

    共有物の管理と変更重要度S

    共有物にその形状または効用の著しい変更を伴わない変更を加えるには、共有者全員の同意を得なければならない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。軽微変更は251条1項の変更から除かれ、252条1項により持分価格の過半数で決することができる。

  2. 問2

    共有物の分割重要度A

    裁判所は、共有物の分割の請求を受けた場合、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法により分割を命ずることができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。2021年改正の258条2項2号が、賠償分割を現物分割と並ぶ方法として明文化した。

  3. 問3

    共有物の使用と対価重要度A

    共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。2021年改正で新設された249条2項が、持分超過使用の対価償還義務を明文化した。

  4. 問4

    共有物への短期賃借権の設定重要度A

    共有者は、持分の価格の過半数で決することにより、共有建物について存続期間5年の賃借権を設定することができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。252条4項3号により、過半数で設定できる建物の賃借権等の期間は3年を超えないものに限られる。

  5. 問5

    竹木の枝の切除重要度A

    隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、土地の所有者は、竹木の所有者に催告することなく直ちにその枝を切り取ることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。233条3項1号により、原則として竹木の所有者に切除を催告し、相当の期間内に切除しないことが必要である。

次の学習

共有と相隣関係の問題を続けて解く

この論点に対応する5問を絞り込んで出題します。

○×一問一答へ