2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

行政書士の制限行為能力者と意思表示|取消し・同意・第三者保護の違い【2026年度試験対応】

制限行為能力者4類型の同意と取消し、心裡留保・虚偽表示・錯誤・詐欺の違いを比較表で整理。保佐の追加審判、催告への無回答、第三者の善意・無過失を具体例と独自○×3問で確認します。

要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

制限行為能力と意思表示:無効・取消しを区別する

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。

まず押さえるポイント

制限行為能力は「誰が行為をしたか」、意思表示の問題は「表示にどんな問題があるか」で判断します。未成年者と成年被後見人は取消しが認められる範囲が広い一方、被保佐人・被補助人は同意が必要な行為の範囲を特定します。無効と取消し、相手方と第三者も分けて考えると、似た制度を取り違えません。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-25

4類型は「同意が必要な行為」と例外で比べる

無効と取消しを区別する。意思能力を欠くは法律行為は無効。制限行為能力は類型と行為から取消しの可否を判断

行為能力による取消しには、日常生活の行為などの例外。要件と例外は本文でも確認できます。

図を大きく見る

2026年度行政書士試験の基準日である2026年4月1日施行の民法を基に整理します。意思表示をした時に意思能力がなかった者の法律行為は、3条の2により無効です。意思能力の有無と、未成年などを理由とする行為能力の制限による取消しは区別します。

未成年者の法律行為は原則として法定代理人の同意が必要です。ただし、単に権利を得る・義務を免れる行為や、処分を許された財産の範囲内の行為は例外です。これに対し成年被後見人は、後見人の同意を得ても、日用品の購入などを除いて行為を取り消すことができます。

被保佐人は民法13条1項の重要な財産行為に加え、同条2項により家庭裁判所が同意を必要とする行為を追加できます。『条文の列挙外は必ず単独で有効』とはいえません。被補助人の同意権付与の審判は13条1項の行為の一部に限られ、本人以外の者の請求によるときは本人の同意も必要です。

行為能力の制限による取消しの基本
類型同意・取消しの範囲主な例外・注意
未成年者同意なしの法律行為は原則として取消し可能単に権利を得る行為、許された財産の処分などは例外
成年被後見人法律行為は原則として取消し可能日用品購入などは取消し不可。後見人の同意だけでは確定しない
被保佐人13条1項の行為と2項の追加審判の対象日常生活に関する行為は対象外。同意に代わる裁判所の許可もある
被補助人審判で指定した13条1項の行為の一部同意に代わる裁判所の許可もある

根拠:e-Gov 民法3条の2・5条・9条・13条・17条・20条・21条・93~96条(2026年4月1日施行版)行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内・法令基準日

取消しと追認、相手方からの催告を分ける

保佐人の同意が必要な遺産分割を、被保佐人が同意もこれに代わる許可も得ずに行った場合は取り消すことができます。相続の承認・放棄だけでなく遺産分割も13条1項6号の対象です。一方、日用品の購入は被保佐人についても制限行為能力を理由に取り消せません。

相手方の催告は1か月以上の期間を定めます。行為能力者となった本人や権限を有する法定代理人・保佐人・補助人が期間内に確答を発しないときは、原則として追認とみなされます。被保佐人・同意権付与の審判を受けた被補助人本人に保佐人等の追認を得るよう求め、本人が期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは取消しとみなされます。特別の方式を要する行為について、期間内に方式を備えた旨の通知を発しない場合も取消しです。20条は期間内に確答・通知を発したかを基準としており、期間内に相手方へ届いたかと混同しないようにします。

根拠:e-Gov 民法3条の2・5条・9条・13条・17条・20条・21条・93~96条(2026年4月1日施行版)

意思表示は無効・取消しと第三者保護を別々に判定する

売る意思がないのに売ると言った心裡留保は原則有効ですが、相手方が真意でないと知り、又は知ることができた場合は無効です。相手方と示し合わせて売ったように装う通謀虚偽表示は無効となります。錯誤、詐欺、強迫は、条文の要件を満たすと取り消すことができます。

本人と相手方の間で無効・取消しとなることと、その後に利害関係を得た第三者へ主張できることは別です。93条2項・94条2項は善意の第三者を保護し、95条4項・96条3項は善意かつ無過失を求めます。96条3項は詐欺の規定であり、強迫の取消しには同じ第三者保護規定がありません。

意思表示の効果と条文上の第三者保護
制度当事者間の効果保護される第三者
心裡留保原則有効。相手方が悪意・有過失なら無効善意
通謀虚偽表示無効善意
錯誤重要性などの要件を満たせば取消し可能善意かつ無過失
詐欺取消し可能。第三者詐欺には相手方の認識要件あり善意かつ無過失
強迫取消し可能96条3項の保護規定は適用されない

根拠:e-Gov 民法3条の2・5条・9条・13条・17条・20条・21条・93~96条(2026年4月1日施行版)

錯誤の重過失と第三者による詐欺の例外

錯誤なら何でも取り消せるわけではありません。取引上重要な錯誤であることが必要で、取引の基礎とした事情に関する錯誤では、その事情を基礎とすることが表示されていなければなりません。表意者に重大な過失があっても、相手方が錯誤を知っていた・重大な過失で知らなかった場合や、同じ錯誤に陥っていた場合は取消しが認められます。

例えば第三者CがAをだましてAとBの契約を結ばせた場合、AがBに対して詐欺取消しをするには、Bが詐欺の事実を知り、又は知ることができたことが必要です。この『契約相手Bの悪意・有過失』と、取消しから保護される別の第三者の『善意・無過失』を逆にしないよう、登場人物の立場を先に確定します。

根拠:e-Gov 民法3条の2・5条・9条・13条・17条・20条・21条・93~96条(2026年4月1日施行版)

令和7年問27は保佐の同意対象と催告を確認する

令和7年度問27は行為能力を問う問題で、公式正解は3です。遺産分割と相続の承認・放棄を異なる扱いにする点を、13条1項6号と照合します。補助人の同意に代わる許可、詐術、相手方の催告も出題されています。

確認問題では『日常生活の行為か』『同意が必要とされた行為か』『誰に対する催告か』を順に確かめます。意思表示の表まで理解できたら、同じ民法の代理・表見代理に進み、本人の意思表示の問題と代理人の権限の問題を分けて整理できます。

根拠:e-Gov 民法3条の2・5条・9条・13条・17条・20条・21条・93~96条(2026年4月1日施行版)行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題・問27行政書士試験研究センター 令和7年度公式正解・問27=3

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 問1 家庭裁判所は、日用品の購入などを除き、民法13条1項に列挙されていない行為についても、被保佐人が保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。

    根拠:資料1

  2. 問2 被保佐人本人に1か月以上の期間を定めて保佐人の追認を得るよう催告し、本人が期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を追認したものとみなされる。

    根拠:資料1

  3. 問3 通謀虚偽表示の無効から保護される第三者にも、民法94条2項により善意かつ無過失であることが必要である。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

通謀虚偽表示と第三者

94条1項は相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効とし、2項でその無効を善意の第三者に対抗できないとする。最判昭和44年5月27日は、94条2項の第三者として保護されるのに登記を具備することを要しないとした。最判昭和45年7月24日は、第三者を「虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者」と定義した判例である。虚偽表示の当事者と第三者は対抗関係に立たず、権利保護資格要件としての登記も不要と解されている。善意は虚偽表示の事実について要求され、その判断時期は第三者が法律上の利害関係を有するに至った時である。過失の有無は問わない。

覚え方虚偽表示の第三者は善意だけでよく、登記はいらない

最重要・比較表

制限行為能力者の保護者がもつ4つの権限

最初に保護者に同意権があるかを見ます。成年後見人だけ同意権がないため、同意を得てした行為でもなお取り消せます。保佐人と補助人は審判で権限が足される点も押さえます。

保護される本人

親権者・未成年後見人
18歳未満の未成年者(4条)。親権者がいないときは未成年後見人が保護者になる
成年後見人
事理を弁識する能力を欠く常況で後見開始の審判を受けた者(7条)
保佐人
事理を弁識する能力が著しく不十分で保佐開始の審判を受けた者(11条)
補助人
事理を弁識する能力が不十分で補助開始の審判を受けた者(15条1項)

判断ポイント

判断能力がどれだけ残っているかで類型が決まり、残っているほど本人が単独でできる範囲が広がります。

同意権

最重要
親権者・未成年後見人
あり
成年後見人
なし
保佐人
あり
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

成年後見人に同意権はないので、後見人の同意を得てした行為でもなお取り消すことができます。

代理権

親権者・未成年後見人
あり
成年後見人
あり
保佐人
原則なし。代理権付与の審判で付与される(876条の4)
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

保佐人と補助人は当然には代理権をもたず、代理権付与の審判があってはじめて代理できます。

取消権・追認権

親権者・未成年後見人
どちらもあり
成年後見人
どちらもあり
保佐人
どちらもあり
補助人
原則なし。家庭裁判所の審判で設定できる

判断ポイント

取り消せるのは本人と保護者の双方であり、契約の相手方には取消権が認められていません。

本人が単独でできる行為

親権者・未成年後見人
単に権利を得または義務を免れる行為、処分を許された財産の処分、許された営業に関する行為(5条1項・3項、6条1項)
成年後見人
日用品の購入その他日常生活に関する行為。これは勝手に行っても取り消せない(9条)
保佐人
13条1項に挙げられた重要な財産上の行為以外は単独でできる
補助人
13条1項の行為のうち審判で定められた特定の行為以外は単独でできる

判断ポイント

後見は原則単独では不可で例外的に可、保佐と補助は原則単独で可で例外的に不可と、発想が逆になります。

混同注意・比較表

催告に返事がないときの効果

最初に「誰に催告したか」を確かめます。単独で追認できる人に催告して返事がなければ追認、そうでない本人に催告したときは類型ごとに取消しか効果なしに分かれます。

行為能力者となった後に本人へ催告した

未成年者
追認とみなす
成年被後見人
追認とみなす
被保佐人
追認とみなす
被補助人
追認とみなす

判断ポイント

行為能力者になった本人は単独で追認できる立場なので、無言なら追認したものとして扱われます。

制限行為能力者のまま保護者へ催告した

未成年者
追認とみなす
成年被後見人
追認とみなす
被保佐人
追認とみなす
被補助人
追認とみなす

判断ポイント

保護者は単独で追認できるため、返事がなければ契約は確定的に有効になります。

制限行為能力者のまま本人へ催告した

最重要
未成年者
効果が生じない
成年被後見人
効果が生じない
被保佐人
取り消したものとみなす。保佐人の追認を得よという催告に期間内の通知がないとき
被補助人
取り消したものとみなす。補助人の追認を得よという催告に期間内の通知がないとき

判断ポイント

未成年者と成年被後見人は催告を受け取る力がなく、被保佐人と被補助人は取消し扱いになります。

定めるべき期間

未成年者
1か月以上の期間を定めて催告する(20条)
成年被後見人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条)
被保佐人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条)
被補助人
1か月以上の期間を定めて催告する(20条)

判断ポイント

期間は類型を問わず1か月以上で、無権代理の催告が「相当の期間」であるのと書き分けられています。

覚え方:単独で追認できる人に催告すれば追認、単独で追認できない本人に催告すれば取消しか効果なし

法令確認:民法20条(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

意思表示の無効・取消しと第三者の保護

最初に効果が無効か取消しかを確認し、次に保護される第三者の主観を見ます。善意で足りるのか無過失まで要るのか、強迫だけ保護規定がないことが結論を分けます。

意思表示の効果

虚偽表示(94条)
無効となる
錯誤(95条)
取り消せる
詐欺(96条)
取り消せる
強迫(96条)
取り消せる

判断ポイント

取消しは瑕疵ある意思表示をした本人や代理人・承継人しかできず、無効にはその制限がありません。

第三者を保護する規定

虚偽表示(94条)
94条2項が、無効を善意の第三者に対抗できないと定める
錯誤(95条)
95条4項が、取消しを善意でかつ過失がない第三者に対抗できないと定める
詐欺(96条)
96条3項が、取消しを善意でかつ過失がない第三者に対抗できないと定める
強迫(96条)
規定なし

判断ポイント

96条3項は詐欺だけを対象にしており、強迫には第三者を保護する規定が置かれていません。

保護される第三者の主観

虚偽表示(94条)
善意であればよく、過失の有無も登記を備えているかも問わない
錯誤(95条)
善意でかつ過失がないことが必要
詐欺(96条)
善意でかつ過失がないことが必要。登記名義を移してあるかは関係ない
強迫(96条)
保護規定がないため、善意か悪意か、過失があるかを問わない

判断ポイント

虚偽表示だけが善意で足り、錯誤と詐欺は無過失まで要求される点が答えを分けます。

善意無過失の第三者に無効・取消しを対抗できるか

最重要
虚偽表示(94条)
できない
錯誤(95条)
できない
詐欺(96条)
できない
強迫(96条)
できる

判断ポイント

強迫された表意者には落ち度がないため、善意無過失の第三者よりも厚く保護されます。

01制限行為能力者と意思表示の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 6回

通謀虚偽表示と第三者

94条1項は相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効とし、2項でその無効を善意の第三者に対抗できないとする。最判昭和44年5月27日は、94条2項の第三者として保護されるのに登記を具備することを要しないとした。最判昭和45年7月24日は、第三者を「虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者」と定義した判例である。虚偽表示の当事者と第三者は対抗関係に立たず、権利保護資格要件としての登記も不要と解されている。善意は虚偽表示の事実について要求され、その判断時期は第三者が法律上の利害関係を有するに至った時である。過失の有無は問わない。

覚え方虚偽表示の第三者は善意だけでよく、登記はいらない

ひっかけ注意「94条2項の第三者として保護されるには登記が必要」とする誤りが定番。判例は登記不要とする。

02
重要度 S / 収録過去問 6回

錯誤による取消し

95条1項により、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤に基づく意思表示は取り消すことができる。改正前の「無効」ではない。表意者に重大な過失があるときは原則として取消しができないが、相手方が悪意または重過失で知らなかったとき、および相手方が同一の錯誤に陥っていたときは例外的に取り消せる(3項)。動機の錯誤(1項2号)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた場合に限られる(2項)。

覚え方錯誤は取消し。重過失で封じられ、相手の悪意・共通錯誤で復活

ひっかけ注意「錯誤による意思表示は無効である」とする改正前の記述が誤りとして出る。動機の錯誤に表示が不要とする記述も誤り。

03
重要度 S / 収録過去問 6回

使用者責任

715条1項は、被用者が事業の執行について第三者に損害を加えたときの使用者の責任を定める。最判昭和40年11月30日は外形標準説を採り、行為の外形から観察して職務の範囲内と認められれば「事業の執行について」にあたるとした。ただし相手方が職務権限外であることを知りまたは重過失により知らなかったときは保護されない。使用者から被用者への求償は信義則上相当な限度に制限され(最判昭和51年7月8日)、逆求償も認められる(最判令和2年2月28日)。

覚え方外形で判断。求償は相当な限度まで、逆求償もできる

ひっかけ注意使用者は賠償額の全額を被用者に求償できるとする誤りが狙われる。求償は信義則上相当な限度に制限される。

04
重要度 S / 収録過去問 5回

成年被後見人の法律行為

後見開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、本人・配偶者・四親等内の親族・検察官等の請求で行う(7条)。本人自身も請求できる。成年被後見人の法律行為は取り消せるが、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せない(9条)。成年後見人が持つのは代理権・取消権・追認権であり同意権はない。したがって後見人の同意を得てした行為も取り消せる点で、未成年者・被保佐人・被補助人と決定的に異なる。

覚え方後見人に同意権なし。同意を得ても取り消せる

ひっかけ注意「成年後見人の同意を得て行えば確定的に有効になる」とする誤りが狙われる。日用品購入が取消しの対象外である点も落としやすい。

05
重要度 S / 収録過去問 5回

94条2項の類推適用

通謀がなくても、真の権利者が不実の登記を自ら作出し、または存続を明示・黙示に承認したときは94条2項が類推適用される(最判昭和45年9月22日)。さらに最判平成18年2月23日は、本人の関与が意思外形非対応型であっても帰責性が重大な場合には94条2項と110条の法意により、善意でかつ過失がない第三者を保護できるとした。すなわち類推の型によって、第三者に要求される主観が善意か善意無過失かで分かれる。

覚え方外形を自ら作れば善意で足り、110条の法意を借りるなら善意無過失

ひっかけ注意類推適用の場面をすべて「善意で足りる」と処理する誤りが狙われる。110条の法意を併用する類型では無過失まで必要である。

06
重要度 S / 収録過去問 5回

詐欺・強迫と第三者保護

96条1項は詐欺または強迫による意思表示を取り消すことができるとする。3項の第三者保護は「詐欺による意思表示の取消し」に限られ、強迫には及ばない。したがって強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる。また第三者が詐欺を行った場合は、相手方がその事実を知り、または知ることができたときに限り取り消せる(96条2項)が、第三者が強迫した場合はこの制限がなく常に取り消せる。強迫は詐欺より表意者が厚く保護される。

覚え方強迫はどこまでも取り消せる。詐欺は第三者と相手方の主観で止まる

ひっかけ注意第三者による強迫にも96条2項の制限が及ぶとする誤りが狙われる。強迫では相手方の善意悪意を問わず取り消せる。

07
重要度 A / 収録過去問 4回

未成年者の行為能力

未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を要し、同意なくした行為は取り消せる(5条1項・2項)。ただし単に権利を得または義務を免れる法律行為は同意不要で、負担のない贈与の受諾や債務免除の受領がこれにあたる。負担付贈与の受諾や弁済の受領は債務・不利益を伴うため同意が必要。目的を定めて処分を許された財産はその目的の範囲内で、目的を定めずに許された財産は自由に処分できる(5条3項)。営業を許された未成年者は、その営業に関し成年者と同一の行為能力を有する(6条1項)。

覚え方「もらうだけ・免れるだけ」は同意不要。負担が付いたら同意が要る

ひっかけ注意「弁済の受領は利益を得る行為だから同意不要」とする誤りが定番。債権を失う行為なので同意が必要である。

08
重要度 A / 収録過去問 4回

解除の効果と原状回復

545条1項本文は各当事者に原状回復義務を負わせ、ただし書で第三者の権利を害することができないとする。ここでの第三者は解除前に利害関係を持った者を指し、判例は権利保護資格要件として登記を要求する(最判昭和33年6月14日)。金銭を返還するときは受領の時からの利息を、金銭以外の物を返還するときは受領の時以後の果実を付す(2項・3項)。原状回復義務相互は533条の準用により同時履行の関係に立ち(546条)、解除は損害賠償の請求を妨げない(4項)。解除の意思表示は撤回できない(540条2項)。

覚え方解除前の第三者は登記が要る。返す金には利息、物には果実

ひっかけ注意解除により損害賠償を請求できなくなるとする誤りが狙われる。545条4項は損害賠償請求を妨げないとする。

民法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 相手方の催告 1か月以上の期間を定める
  • 取消権 追認できる時から5年・行為の時から20年
  • ひっかけ制限行為能力者への催告で追認擬制と取消擬制を入れ替える肢。単独で追認できる者への催告は追認擬制、被保佐人・被補助人本人への催告は取消擬制
  • ひっかけ第三者保護要件に登記を付け加える肢。94条2項の第三者に登記の具備は要らない
  • ひっかけ重過失があれば錯誤取消しが一切できないとする肢。相手方が悪意・重過失のときや同一の錯誤に陥っていたときは取り消せる

押さえる判例

制限行為能力者の詐術最判昭和44年2月13日

詐術は積極的な術策に限られず、黙秘していた場合でも他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたときは詐術に当たる

94条2項・110条の法意による類推適用最判平成18年2月23日

意思外形非対応型でも本人の帰責性が重大なときは、94条2項と110条の法意により善意でかつ過失がない第三者が保護される

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    どの類型かを確定する。成年被後見人は日常生活に関する行為を除き同意を得ても取り消せる。被保佐人は13条1項の列挙行為に加え、2項の追加審判の対象も確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    意思表示の瑕疵なら効果を分ける。通謀虚偽表示は無効、錯誤・詐欺・強迫は取消し、心裡留保は原則有効で相手方が悪意・有過失のときだけ無効

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    第三者が登場したら保護要件を当てはめる。心裡留保と虚偽表示は善意で足り、錯誤と詐欺は善意無過失、強迫には保護規定がない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

制限行為能力者と意思表示の○×一問一答

1/8問解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)

通謀虚偽表示と第三者

通謀虚偽表示の目的とされた不動産を譲り受けた善意の第三者は、所有権の移転の登記を備えていなくても、虚偽表示の当事者に対して所有権の取得を対抗することができる。

制限行為能力者と意思表示の○×一問一答15問|問題と解説

この論点で収録している15問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 問1

    通謀虚偽表示と第三者重要度S

    通謀虚偽表示の目的とされた不動産を譲り受けた善意の第三者は、所有権の移転の登記を備えていなくても、虚偽表示の当事者に対して所有権の取得を対抗することができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。最判昭和45年7月24日は、94条2項の第三者は登記を備えている必要がないとした。

  2. 問2

    錯誤による取消し重要度S

    表意者に重大な過失があった場合、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときであっても、表意者は錯誤を理由に意思表示を取り消すことができない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。相手方が同一の錯誤に陥っていたときは、重過失があっても取消しができる(95条3項2号)。

  3. 問3

    成年被後見人の法律行為重要度S

    成年被後見人が成年後見人の同意を得たうえで高価な絵画を購入した場合であっても、成年被後見人はその契約を取り消すことができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。成年後見人に同意権はなく、日用品の購入等を除き、同意を得てされた行為もなお取り消せる(9条)。

  4. 問4

    詐欺・強迫と第三者保護重要度S

    強迫による意思表示の取消しは、強迫の事実について善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。96条3項は詐欺の場合だけを対象としており、強迫には第三者保護規定がない。

  5. 問5

    94条2項の類推適用重要度S

    不動産について不実の登記がされたことにつき真の所有者に外形を自ら作り出したのと同視できる重い帰責性がある場合、その登記を信頼して取引に入った第三者は、善意であれば過失があるときでも保護される。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。最判平成18年2月23日は、94条2項と110条の法意に照らし、善意無過失の第三者だけを保護するとした。

  6. 問6

    解除の効果と原状回復重要度A

    契約が解除された場合、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負い、金銭を返還するときはその受領の時からの利息を付さなければならず、金銭以外の物を返還するときは受領の時以後に生じた果実も返還しなければならない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。545条1項本文が原状回復義務を、2項が利息の付加を、3項が果実の返還をそれぞれ定めている。

  7. 問7

    未成年者の行為能力重要度A

    未成年者が法定代理人の同意を得ないで、負担の付いていない贈与を受ける契約をしたときは、法定代理人はこれを取り消すことができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。単に権利を得る行為は法定代理人の同意を要しないため(5条1項ただし書)、取消しの対象にならない。

  8. 問8

    被保佐人の同意を要する行為重要度A

    被保佐人が保佐人の同意を得ないで日用品を購入したときは、その行為を取り消すことができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。13条1項ただし書が9条ただし書の行為を除いており、日用品の購入は同意なしでも確定的に有効である。

  9. 問9

    代理権授与表示・代理権消滅後の表見代理重要度A

    代理権の消滅後に、かつて与えられていた代理権の範囲を超える行為がされた場合において、相手方にその行為につき代理権があると信ずべき正当な理由があるときは、本人はその行為について責任を負う。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。112条2項が、代理権消滅後の権限外行為(従来の重畳適用)を明文化している。

  10. 問10

    取消権の期間の制限重要度A

    取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは時効によって消滅し、行為の時から10年を経過したときも同様である。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。126条後段の期間は10年ではなく20年である。前段の5年は正しい。

  11. 問11

    制限行為能力者の相手方の催告権重要度A

    制限行為能力者の相手方が、その者が行為能力者となった後に1箇月以上の期間を定めて追認するかどうかを催告し、その期間内に確答が発せられなかったときは、その行為を追認したものとみなされる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。20条1項後段により、行為能力者となった本人への催告に確答がないときは追認とみなされる。

  12. 問12

    被補助人と同意権付与の審判重要度B

    家庭裁判所は、補助人の同意を得なければならない旨の審判により、被補助人がするすべての法律行為について補助人の同意を必要とすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。同意を要するものとできる行為は、13条1項に規定する行為の一部に限られる(17条1項ただし書)。

  13. 問13

    心裡留保重要度B

    表意者が真意ではないことを知ってした意思表示は、相手方がその真意でないことを過失によって知らなかったときは、有効である。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。相手方が悪意または有過失であれば無効となる(93条1項ただし書)。過失で知らなかった場合も無効。

  14. 問14

    心裡留保と第三者保護重要度C

    心裡留保による意思表示の無効は、その意思表示を前提として権利を取得した善意の第三者に対しては、その第三者に過失があるときでも対抗することができない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。93条2項の第三者保護要件は善意のみであり、無過失までは要求されていない。

  15. 問15

    条件・期限重要度C

    期限は、債権者の利益のために定めたものと推定される。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。136条1項は、期限は債務者の利益のために定めたものと推定するとしている。

次の学習

制限行為能力者と意思表示の問題を続けて解く

この論点に対応する15問を絞り込んで出題します。

○×一問一答へ