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民法

取得時効と消滅時効

消滅時効は知った時から5年・行使できる時から10年の二本立てで、早い方の満了で完成します。取得時効では善意無過失を占有開始時だけで判断すること、186条が無過失までは推定しないことが定番の落とし穴です。

要点 4件・基本問題 4読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

行政書士試験での出題

出題ランク A対応する一問一答 4

収録している過去問には、この論点に直接あたる問題はありません。 下の確認問題で押さえてください。

最重要ポイント

債権の消滅時効

166条1項は、債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年、権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年の二本立てとし、いずれか早い方の満了で時効が完成する。人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、167条により客観的起算点からの期間が20年に伸長される。債権または所有権以外の財産権は行使できる時から20年である(166条2項)。所有権そのものは消滅時効にかからない。

覚え方知って五年・行使できて十年、生命身体は十年が二十年に

最重要・比較表

消滅時効の期間と起算点

最初に何の権利かを確認します。債権は主観的起算点と客観的起算点の二本立てで早い方の満了により完成し、不法行為では3年と20年に数字が変わります。

知った時からの期間

一般の債権(166条1項)
権利を行使できることを知った時から5年
不法行為による損害賠償請求権(724条)
損害および加害者を知った時から3年
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
規定なし

判断ポイント

主観的起算点は「知った時」であり、権利が発生した時ではない点に注意します。

行使できる時からの期間

一般の債権(166条1項)
権利を行使することができる時から10年
不法行為による損害賠償請求権(724条)
不法行為の時から20年
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
権利を行使することができる時から20年

判断ポイント

所有権そのものは消滅時効にかからず、所有権に基づく物権的請求権も同様です。

人の生命または身体の侵害の場合

最重要
一般の債権(166条1項)
行使できる時からの期間が10年ではなく20年になる(167条
不法行為による損害賠償請求権(724条)
知った時からの期間が3年ではなく5年になる(724条の2
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
規定なし

判断ポイント

どちらの構成でも「知った時から5年・起算点から20年」にそろうよう調整されています。

二つの期間の関係

一般の債権(166条1項)
両方を併用し、いずれかが満了した時に時効が完成する
不法行為による損害賠償請求権(724条)
いずれかが満了した時に時効が完成する
債権・所有権以外の財産権(166条2項)
行使できる時からの20年という一本だけ

判断ポイント

後から知っても客観的期間の満了で完成するため、遅い方まで待てるわけではありません。

覚え方:主観的起算点と客観的起算点をセットで確認し、早く満了する方で完成すると考える

法令確認:民法166条民法167条民法724条(確認日 2026-08-05)

01取得時効と消滅時効の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 6回

債権の消滅時効

166条1項は、債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年、権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年の二本立てとし、いずれか早い方の満了で時効が完成する。人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、167条により客観的起算点からの期間が20年に伸長される。債権または所有権以外の財産権は行使できる時から20年である(166条2項)。所有権そのものは消滅時効にかからない。

覚え方知って五年・行使できて十年、生命身体は十年が二十年に

ひっかけ注意「所有権も20年で時効消滅する」とする誤りが狙われる。所有権は消滅時効にかからず、取得時効による反射的消滅があるにすぎない。

02
重要度 S / 収録過去問 6回

時効の完成猶予と更新

催告は6箇月の完成猶予を生じるが、猶予中に再度催告しても効力はない(150条)。協議を行う旨の書面または電磁的記録による合意は、合意から1年、当事者が定めた1年未満の協議期間、協議続行拒絶の通知から6箇月のいずれか早い時まで完成猶予を生じ、再度の合意で延長できるが本来の完成時から通算5年が上限である(151条)。裁判上の請求は事件終了まで完成猶予し、確定判決等で権利が確定すれば更新される(147条)。承認は更新事由で、処分の能力や権限を要しない(152条)。

覚え方催告は六箇月、協議合意は通算五年、承認は一発更新

ひっかけ注意催告を繰り返せば猶予が延びるとする誤りが定番。再度の催告に完成猶予の効力はない。

03
重要度 S / 収録過去問 5回

所有権の取得時効

162条1項は20年の長期取得時効を、2項は占有開始時に善意無過失であった場合の10年の短期取得時効を定める。善意無過失は占有開始時に判断すれば足り、途中で悪意になっても10年で足りる。186条1項により所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるが、無過失は推定されないため占有者が立証する。占有の承継人は自己の占有のみを主張することも前の占有者の占有を併せて主張することもでき、併せる場合は瑕疵も承継する(187条)。

覚え方二十年は無条件、十年は始めに善意無過失。無過失だけ推定されない

ひっかけ注意善意無過失を時効期間中ずっと必要とする誤りが狙われる。占有開始時に備わっていればよい。

04
重要度 A / 収録過去問 4回

時効の援用

145条は、時効は当事者が援用しなければ裁判所がこれによって裁判をすることができないとし、消滅時効については保証人・物上保証人・第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を当事者に含める。判例は、後順位抵当権者は先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないとする。時効の利益はあらかじめ放棄できない(146条)が完成後の放棄は可能であり、時効完成を知らずに債務を承認した者は信義則上その時効を援用できない(最判昭和41年4月20日)。

覚え方援用できるのは正当な利益がある者だけ。完成後の承認で援用は封じられる

ひっかけ注意後順位抵当権者が先順位抵当権の被担保債権の時効を援用できるとする誤りが狙われる。判例は否定する。

民法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 取得時効 20年・占有開始時に善意無過失なら10年
  • 消滅時効 知った時から5年・行使できる時から10年
  • 生命身体の侵害 客観的起算点から20年
  • 協議を行う旨の合意 通算5年が上限
  • ひっかけ善意無過失が時効期間を通じて必要とする肢。判断するのは占有開始時だけである
  • ひっかけ催告を繰り返せば時効を無限に延ばせるとする肢。猶予中の再度の催告は効力を生じない
  • ひっかけ後順位抵当権者が先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できるとする肢。判例は援用権を否定する

押さえる判例

占有者の無過失の推定最判昭和41年6月9日

動産取引では188条により前主の権利が推定される結果、譲受人は無過失であると推定され、無過失の立証責任を負わない

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    取得時効なら占有開始時の善意無過失の有無で20年か10年かを決める。途中で悪意になっても短期時効は妨げられない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    消滅時効なら主観的起算点から5年と客観的起算点から10年を並べ、早く満了する方を採る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    完成猶予と更新を仕分ける。催告は6か月の猶予にとどまり、承認は更新事由で処分の権限も行為能力も要らない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

取得時効と消滅時効の○×一問一答

1/4解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 15/24(編集部の目安)

債権の消滅時効

債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。

取得時効と消滅時効○×一問一答4問|問題と解説

この論点で収録している4問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    債権の消滅時効重要度S

    債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。166条1項は主観的起算点から5年、客観的起算点から10年の二重の時効期間を定める。

  2. 2

    時効の完成猶予と更新重要度S

    催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をしたときは、その再度の催告によってさらに6箇月の完成猶予の効力が生じる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。150条2項により、完成猶予中の再度の催告には完成猶予の効力がない。

  3. 3

    所有権の取得時効重要度S

    他人の物を所有の意思をもって平穏かつ公然に占有した者は、占有の開始時に善意無過失であれば、10年の経過によりその所有権を取得する。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。162条2項は、占有開始時に善意無過失であれば10年で所有権を取得すると定める。

  4. 4

    時効の援用重要度A

    消滅時効の援用をすることができる当事者には、保証人および物上保証人のほか、抵当不動産の第三取得者も含まれる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。145条括弧書は、権利の消滅について正当な利益を有する者としてこれらを明示している。

次の学習

取得時効と消滅時効の問題を続けて解く

この論点に対応する4問を絞り込んで出題します。

○×一問一答