2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

取得時効と消滅時効

消滅時効は知った時から5年・行使できる時から10年の二本立てで、早い方の満了で完成します。取得時効では善意無過失を占有開始時だけで判断すること、186条が無過失までは推定しないことが定番の落とし穴です。

要点 4件・確認問題 4読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

所有権の取得時効について善意無過失の10年とそれ以外の20年を比較した暗記画像
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所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することが土台です。占有開始時に善意・無過失なら10年、それ以外は20年で整理します。

最重要ポイント

所有権の取得時効

162条1項は20年の長期取得時効を、2項は占有開始時に善意無過失であった場合の10年の短期取得時効を定める。善意無過失は占有開始時に判断すれば足り、途中で悪意になっても10年で足りる。186条1項により所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるが、無過失は推定されないため占有者が立証する。占有の承継人は自己の占有のみを主張することも前の占有者の占有を併せて主張することもでき、併せる場合は瑕疵も承継する(187条)。

覚え方二十年は無条件、十年は始めに善意無過失。無過失だけ推定されない

最重要・比較表

取得時効10年・20年と占有承継

「善意無過失/有過失・悪意、判定時、占有・属性の承継」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

取得時効の善意悪意の判定時期

最重要
基本
「善意・悪意」「有過失・無過失」は占有の開始時で判定する。
注意
善意悪意は「占有開始時」で判定。途中変化は無関係

覚え方:善意悪意は始めの一歩(占有開始時)で判定、あとで悪意でも十(10年)で完成、他人に占有させてもOK

所有権の取得時効の要件と期間

基本
所有の意思をもって平穏かつ公然に他人のものを占有すれば所有権を取得できる。
注意
善意無過失10年/善意有過失・悪意20年の年数すり替え

覚え方:自主占有で他人の物、善意無過失は十(10年)、悪意・有過失は二十(20年)で我が物に

占有の承継

基本
売買や相続で占有は承継される。
注意
承継すると前占有者の善意悪意も引き継ぐ点

覚え方:占有バトンタッチ、前の善意悪意も受け継ぐ、善意六(6年)+悪意四(4年)で合計十(10年)完成

判断軸:善意無過失/有過失・悪意、判定時、占有・属性の承継

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

最重要・比較表

消滅時効3・5・10・20年

「通常債権、生命身体侵害、不法行為、確定判決、起算点」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

消滅時効の期間・起算点

最重要
基本
通常の債権:主観的起算点(権利行使できると知った時)から5年、客観的起算点(権利行使できる時)から10年。
注意
債権は主観5年・客観10年。所有権は時効消滅しない点

覚え方:消滅時効、知って五(5年)・行使できて十(10年)、他の財産権は二十(20年)、所有権は消えぬ

不法行為による損害賠償請求権の時効

基本
不法行為による損害賠償請求権は、主観的起算点(被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時)から3年(人の生命・身体を害する不法行為の場合は5年)、客観的起算点(不法行為の時)から20年で時効消滅する。
注意
不法行為は主観3年(生命身体5年)・客観20年の数字

覚え方:不法行為の賠償、知って三(3年)(生命身体は5年)、行為から二十(20年)で消える

客観的起算点(権利を行使できる時)

基本
①確定期限のある債権→期限が到来した時②不確定期限付債権→期限が到来した時(到来は確実だが時期は不確定)③期限の定めのない債権→債権が成立した時。
注意
期限の定めのない債権は「成立時」が客観的起算点

覚え方:確定期限は到来時、不確定も到来時、期限なしは成立時が客観スタート

判断軸:通常債権、生命身体侵害、不法行為、確定判決、起算点

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

最重要・比較表

時効の完成猶予・更新

「裁判、強制執行、仮差押え、催告、承認、協議、6か月」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

強制執行等・仮差押え等(完成猶予・更新)

最重要
基本
強制執行・財産開示手続等は、事由終了まで時効は完成せず、申立ての取下げ・取消しで終了した場合は終了時から6カ月経過まで完成しない(完成猶予)。
注意
仮差押え・仮処分は「更新なし・完成猶予のみ」の罠

覚え方:強制執行は更新、取下げなら六(6カ月)月猶予、仮差押えは六(6カ月)月猶予のみ更新なし

時効の完成猶予・更新の意味

基本
完成猶予=一定期間経過するまで時効の完成が猶予される(進行自体は止まらない)。
注意
完成猶予(進行は止まらない)と更新(ゼロから)の逆転

覚え方:猶予は進行止まらず完成だけ待つ、更新はゼロリセット、性格まるで別もの

裁判上の請求等(完成猶予・更新)

基本
裁判上の請求・支払督促等は、その事由が終了するまで時効は完成しない。
注意
確定判決で権利未確定終了→6カ月完成猶予の期間

覚え方:裁判で請求、終わるまで完成せず、確定なしで終われば六(6カ月)月猶予、確定すりゃ更新ゼロから

催告(完成猶予)

基本
催告の場合、催告をした時から6カ月を経過するまでの間、時効は完成しない(完成猶予のみ)。
注意
催告は6カ月の完成猶予のみ。催告の再度反復は無効

覚え方:サイコク(催告)一発、六(6カ月)月だけ猶予、もう一回催告してもムダ、内容証明も催告

承認(更新)

基本
債務者が債務の一部を弁済したなど承認があった時から、時効は新たに進行を始める(更新)。
注意
承認は更新事由。完成猶予とのすり替えに注意

覚え方:一部弁済で承認、時効ゼロから更新、完成知らずに承認しても、もう援用できぬ

協議を行う旨の合意(完成猶予)

基本
権利についての協議を行う旨の合意は、①合意から1年経過②当事者が定めた協議期間(1年未満に限る)経過③協議続行拒絶の書面通知から6カ月経過、のうち最も早い時まで時効は完成しない。
注意
協議合意は書面必要・通算5年限度・催告との併用不可

覚え方:協議しよ(合意)、一(1年)年・協議期間・拒絶通知六(6カ月)月の最速まで猶予、通算五(5年)年が限度

判断軸:裁判、強制執行、仮差押え、催告、承認、協議、6か月

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

混同注意・比較表

時効の援用・利益放棄・遡及効

「誰が、いつ、完成前後、意思表示、効力発生日」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

時効の援用

基本
援用=時効の利益を受ける人が、時効の利益を受ける旨の意思表示をすること。
注意
援用しなければ時効の効力は生じない点。援用権者の範囲

覚え方:エンヨウ(援用)しなきゃ効かぬ、主張する人は債務者・保証人・物上保証人・第三取得者

時効の効力(遡及効)

基本
時効の効力は、その起算日(時効期間がスタートする日)にさかのぼって発生する。
注意
時効の効力は「起算日にさかのぼる」遡及効の向き

覚え方:時効の効力、起算日にさかのぼる、二十(20年)年前から所有者やったことに

時効の利益の放棄

基本
時効の利益は、あらかじめ(時効完成前に)放棄することはできない。
注意
時効利益は完成「前」の放棄不可・完成「後」は可の向き

覚え方:時効の利益、完成前は放棄できぬ、完成後なら『いらん』と放棄OK

判断軸:誰が、いつ、完成前後、意思表示、効力発生日

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

最重要・比較表

取得時効と第三者が現れた時期

「完成前/完成後、登記要否、当事者類似関係」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

取得時効と登記(完成時・完成前)

最重要
基本
時効取得者は時効完成時に登記がなくても、もとの所有者に対して所有権を主張できる。
注意
完成前/完成後の第三者の区別。完成前の第三者には登記不要

覚え方:時効カンセイ時に登記なくても元所有者に勝ち、完成前の第三者も当事者類似で登記なく勝てる

時効完成後の第三者と時効取得者

基本
時効完成後に所有権を取得した第三者と時効取得者は対抗関係にあるので、先に登記をしたほうが所有権を主張できる。
注意
完成後の第三者は対抗関係。先に登記した方が勝つ

覚え方:時効カンセイ後の第三者とは対抗関係、先に登記した者が所有権をゲット

時効取得と登記(時効完成前の第三者)

基本
時効取得者(B)は、時効完成前の第三者(C)に対しては登記がなくても所有権を主張できる。
注意
完成前の第三者に登記を要求する罠。完成前は登記不要

覚え方:時効取得のBは、完成マエの第三者Cには登記なくても堂々と所有権を主張できる

判断軸:完成前/完成後、登記要否、当事者類似関係

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

最重要・比較表

取消し・解除・取得時効と第三者

「前後、登記、第三者の善意無過失、誰が勝つか」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

取得時効・取消し・解除と登記のまとめ

最重要
基本
「前」に第三者登場: 時効=時効取得者の勝ち、取消し=取消権者の勝ち(ただし錯誤・詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できない)、解除=先に登記した人が勝ち。
注意
前/後・時効取消解除の結論の入替。詐欺錯誤の例外に注意

覚え方:『前』は時効=取得者勝ち・取消し=取消権者勝ち(錯誤詐欺は善意無過失に負け)・解除=登記先、『後』は全部登記先勝ち

取消し前の第三者と取消権者

基本
取消権者は登記がなくても取消し前に所有権を取得した第三者に所有権を主張できる。
注意
取消原因による結論の違い。詐欺・錯誤は善意無過失の第三者に負ける

覚え方:取消し前の第三者、制限・強迫なら善意悪意問わず取消権者の勝ち、錯誤・詐欺は善意無過失の第三者に負ける

取消し後の第三者と取消権者

基本
取消し後に所有権を取得した第三者と取消権者は対抗関係にあるので、先に登記をしたほうが所有権を主張できる。
注意
取消し後は対抗関係。先に登記した方が勝つ

覚え方:取消し後の第三者は対抗関係、登記を先に取った者が所有権をつかむ

解除前の第三者と解除権者

基本
契約解除前に所有権を取得した第三者(C)と解除権者(A)は、先に登記をしたほうが所有権を主張できる。
注意
解除前の第三者処理の混同。先に登記した方が勝つ

覚え方:解除前の第三者Cと解除権者A、対抗関係じゃないけど扱いは同じ、先に登記した者が勝ち

解除後の第三者と解除権者

基本
契約解除後に所有権を取得した第三者と解除権者は対抗関係にあり、先に登記をしたほうが所有権を主張できる。
注意
解除後も対抗関係。先に登記した方が勝つ

覚え方:解除後の第三者は対抗関係、これも先に登記した者が所有権を主張できる

判断軸:前後、登記、第三者の善意無過失、誰が勝つか

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

01取得時効と消滅時効の重要暗記項目

01
重要度 S / 過去6年 5

所有権の取得時効

162条1項は20年の長期取得時効を、2項は占有開始時に善意無過失であった場合の10年の短期取得時効を定める。善意無過失は占有開始時に判断すれば足り、途中で悪意になっても10年で足りる。186条1項により所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるが、無過失は推定されないため占有者が立証する。占有の承継人は自己の占有のみを主張することも前の占有者の占有を併せて主張することもでき、併せる場合は瑕疵も承継する(187条)。

覚え方二十年は無条件、十年は始めに善意無過失。無過失だけ推定されない

ひっかけ注意善意無過失を時効期間中ずっと必要とする誤りが狙われる。占有開始時に備わっていればよい。

02
重要度 S / 過去6年 6

債権の消滅時効

166条1項は、債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年、権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年の二本立てとし、いずれか早い方の満了で時効が完成する。人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、167条により客観的起算点からの期間が20年に伸長される。債権または所有権以外の財産権は行使できる時から20年である(166条2項)。所有権そのものは消滅時効にかからない。

覚え方知って五年・行使できて十年、生命身体は十年が二十年に

ひっかけ注意「所有権も20年で時効消滅する」とする誤りが狙われる。所有権は消滅時効にかからず、取得時効による反射的消滅があるにすぎない。

03
重要度 S / 過去6年 6

時効の完成猶予と更新

催告は6箇月の完成猶予を生じるが、猶予中に再度催告しても効力はない(150条)。協議を行う旨の書面または電磁的記録による合意は、合意から1年、当事者が定めた1年未満の協議期間、協議続行拒絶の通知から6箇月のいずれか早い時まで完成猶予を生じ、再度の合意で延長できるが本来の完成時から通算5年が上限である(151条)。裁判上の請求は事件終了まで完成猶予し、確定判決等で権利が確定すれば更新される(147条)。承認は更新事由で、処分の能力や権限を要しない(152条)。

覚え方催告は六箇月、協議合意は通算五年、承認は一発更新

ひっかけ注意催告を繰り返せば猶予が延びるとする誤りが定番。再度の催告に完成猶予の効力はない。

04
重要度 A / 過去6年 4

時効の援用

145条は、時効は当事者が援用しなければ裁判所がこれによって裁判をすることができないとし、消滅時効については保証人・物上保証人・第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を当事者に含める。判例は、後順位抵当権者は先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないとする。時効の利益はあらかじめ放棄できない(146条)が完成後の放棄は可能であり、時効完成を知らずに債務を承認した者は信義則上その時効を援用できない(最判昭和41年4月20日)。

覚え方援用できるのは正当な利益がある者だけ。完成後の承認で援用は封じられる

ひっかけ注意後順位抵当権者が先順位抵当権の被担保債権の時効を援用できるとする誤りが狙われる。判例は否定する。

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02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    取得時効なら占有開始時の善意無過失の有無で20年か10年かを決める。途中で悪意になっても短期時効は妨げられない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    消滅時効なら主観的起算点から5年と客観的起算点から10年を並べ、早く満了する方を採る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    完成猶予と更新を仕分ける。催告は6か月の猶予にとどまり、承認は更新事由で処分の権限も行為能力も要らない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
内容の基準日
2026年4月1日
復習方法
要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

取得時効と消滅時効の○×一問一答

1/4解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 15/24(編集部の目安)

債権の消滅時効

債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。

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