民法
請負・委任などの典型契約
請負は仕事を完成できなくても、可分な部分で注文者が利益を受ける限度で割合的報酬を請求できます。委任は無償でも善管注意義務を負うのに、無報酬の受寄者は自己の財産と同一の注意で足りるという注意義務の段差も要注意です。
要点 8件・確認問題 8問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結
無効行為の追認
119条本文は無効な行為が追認によって効力を生じないとし、ただし書で当事者が無効であることを知って追認したときは新たな行為をしたものとみなす。したがって効力は追認の時から将来に向かって生じ、遡及しない。これに対し取り消すことができる行為の追認は取消権を確定的に消滅させる(122条)。取り消された行為は初めから無効であったとみなされ(121条)、給付を受けた者は原状回復義務を負うが、意思無能力者と制限行為能力者は現に利益を受けている限度で返還すれば足りる(121条の2第3項)。
覚え方無効の追認は新たな行為として将来効、取消しの追認は取消権の放棄
01請負・委任などの典型契約の重要暗記項目
無効行為の追認
119条本文は無効な行為が追認によって効力を生じないとし、ただし書で当事者が無効であることを知って追認したときは新たな行為をしたものとみなす。したがって効力は追認の時から将来に向かって生じ、遡及しない。これに対し取り消すことができる行為の追認は取消権を確定的に消滅させる(122条)。取り消された行為は初めから無効であったとみなされ(121条)、給付を受けた者は原状回復義務を負うが、意思無能力者と制限行為能力者は現に利益を受けている限度で返還すれば足りる(121条の2第3項)。
覚え方無効の追認は新たな行為として将来効、取消しの追認は取消権の放棄
ひっかけ注意無効行為の追認に遡及効があるとする誤りが狙われる。遡及するのは取り消すことができる行為の追認であり、無効行為は将来効である。
共有物の使用と対価
249条1項は各共有者が持分に応じて共有物の全部を使用できるとし、2項は別段の合意がある場合を除き、自己の持分を超える使用について他の共有者に対価を償還する義務を定め、3項は共有物の使用にあたり善良な管理者の注意を課す。判例は従来、共有者の一人が単独で占有していても他の共有者は当然には明渡しを請求できないとしており(最判昭和41年5月19日)、対価償還の明文化はこれを補完するものである。
覚え方単独占有は追い出せないが、持分超過分の対価は取れる
ひっかけ注意過半数の持分を持つ共有者なら少数持分者に直ちに明渡しを請求できるとする誤りが狙われる。判例は当然の明渡請求を認めない。
特定物の保存義務
400条は、特定物の引渡しが債権の目的であるとき、債務者は引渡しをするまで契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって保存しなければならないとする。注意の水準は債務者個人の能力ではなく契約の性質・目的から客観的に決まる。「自己の財産に対するのと同一の注意」で足りるのは、受領遅滞中の保存(413条1項)、無報酬の受寄者(659条)、相続財産の管理(918条)などの例外に限られる。違反して滅失させれば415条の責任を負う。
覚え方原則は善管注意、自己の財産と同一の注意は例外規定があるときだけ
ひっかけ注意無報酬なら常に注意義務が軽減されるとする誤りが狙われる。無償委任の受任者は644条により善管注意義務を負う。
危険負担
改正により債権者主義を定めていた旧534条は削除された。当事者双方の責めに帰することができない事由により履行が不能となったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができる(536条1項)が、反対給付債務そのものが消滅するわけではなく、消滅させるには解除を要する(542条1項1号)。債権者に帰責事由があるときは履行を拒めず、債務者は自己の債務を免れたことによって得た利益を償還する(536条2項)。
覚え方拒めるだけで消えない。消すには解除
ひっかけ注意特定物売買では引渡し前の滅失の危険を買主が負うとする旧534条の記述が誤りとして出る。同条は削除された。
請負の報酬支払時期
報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払うのが原則で、引渡しを要しないときは仕事を終了した後に請求できる(633条・624条1項)。634条は、注文者の責めに帰することができない事由により仕事を完成することができなくなったとき、および仕事の完成前に請負が解除されたときについて、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなして割合的報酬を認める。注文者の責めに帰すべき事由で完成できなくなったときは536条2項により全額を請求できる。
覚え方引渡しと同時に報酬。途中でも注文者に利益があれば割合報酬
ひっかけ注意仕事が完成しなければ一切報酬を請求できないとする誤りが狙われる。634条の割合的報酬がある。
請負人の契約不適合責任
請負の契約不適合には売買の規定が準用され(559条)、注文者は追完(修補)請求・報酬減額請求・損害賠償請求・解除ができる。注文者の供した材料の性質または注文者の与えた指図によって生じた不適合については責任を追及できないが、請負人がその材料または指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは別である(636条)。期間制限は不適合を知った時から1年以内の通知である(637条1項)。最判平成9年2月14日は、瑕疵の修補に代わる損害賠償債権と報酬債権が同時履行の関係に立つとした。
覚え方注文者の材料・指図が原因なら請負人は免責、ただし知って黙れば責任
ひっかけ注意建物その他土地の工作物は瑕疵があっても解除できないとする改正前の旧635条ただし書の記述が誤りとして出る。同条は削除された。
注文者の解除権
641条の解除は請負人の債務不履行を要件としない任意解除であり、注文者は請負人に生じた損害(既に支出した費用や得べかりし利益)を賠償しなければならない。仕事が完成した後は行使できない。注文者が破産手続開始の決定を受けたときは請負人または破産管財人が解除でき、請負人による解除は仕事の完成前に限られる(642条1項)。この場合の損害賠償の請求は、破産管財人が解除をしたときの請負人に限って認められる(同3項)。
覚え方完成前なら理由なく解除できるが、損害は賠償する
ひっかけ注意641条の解除に請負人の債務不履行が必要とする誤り、および仕事完成後も解除できるとする誤りが狙われる。
受任者の義務
644条の善管注意義務は無報酬の委任でも軽減されない。受任者は委任者の請求があればいつでも事務処理の状況を報告し、委任終了後は遅滞なく経過および結果を報告しなければならない(645条)。受け取った金銭その他の物および収取した果実を引き渡し、委任者のために自己の名で取得した権利を移転する義務を負う(646条)。無報酬の受寄者が自己の財産に対するのと同一の注意で足りる(659条)のと対比される。
覚え方タダでも善管注意。無償で軽くなるのは寄託だけ
ひっかけ注意無償委任の受任者の注意義務が自己の財産に対するのと同一の注意に軽減されるとする誤りが定番。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1契約類型を確定する。仕事の完成が目的なら請負、事務の処理なら委任、物の保管なら寄託
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2請負なら報酬の発生時期を見る。引渡しと同時が原則で、完成しなくても634条の割合的報酬がありうる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3解除の可否を確認する。注文者は完成前ならいつでも損害を賠償して解除でき、委任は各当事者がいつでも解除できる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 民法
- 内容の基準日
- 2026年4月1日
- 復習方法
- 要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
請負・委任などの典型契約の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 13/24(編集部の目安)
危険負担
建物の売買契約の締結後、買主の責めに帰すべき事由によって引渡し前にその建物が滅失した場合、買主は、建物の引渡しを受けられない以上、売主からの代金の支払請求を拒むことができる。
全784問から、分野・重要度で解く
行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。