憲法
経済的自由・人身の自由と社会権
消極目的規制は厳格な合理性の基準、積極目的規制は明白の原則という規制目的二分論の当てはめが軸です。薬事法事件と小売市場事件で目的の性質を入れ替えると結論が逆転するので、対で覚えていないと落とします。
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国歌斉唱の職務命令
最判平成23年5月30日は、卒業式等における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作であり、特定の思想の表明として外部から認識されるものではないから、思想良心の自由を直ちに制約するものではないとした。もっとも一般的客観的に見て国旗国歌に対する敬意の表明の要素を含むから間接的な制約となる面はあるとしたうえ、職務命令の目的・内容と制約の態様を総合較量して必要性・合理性を認め合憲とした。
覚え方直接の制約ではないが間接的制約はある。総合較量して合憲
01経済的自由・人身の自由と社会権の重要暗記項目
国歌斉唱の職務命令
最判平成23年5月30日は、卒業式等における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作であり、特定の思想の表明として外部から認識されるものではないから、思想良心の自由を直ちに制約するものではないとした。もっとも一般的客観的に見て国旗国歌に対する敬意の表明の要素を含むから間接的な制約となる面はあるとしたうえ、職務命令の目的・内容と制約の態様を総合較量して必要性・合理性を認め合憲とした。
覚え方直接の制約ではないが間接的制約はある。総合較量して合憲
ひっかけ注意「間接的な制約となる面はまったくない」と言い切る肢と、「直接的制約だから違憲」とする肢の両方向がある。判例は間接的制約を認めたうえで合憲としている。
明確性の原則
表現の自由を規制する法令には特に明確性が要求され、不明確な規制は表現行為に萎縮効果を生む。最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)は、通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかで判断すべきとした。同判決は条例と法令の関係についても、対象事項と規定文言の対比だけでなく趣旨・目的・内容・効果を比較して矛盾抵触の有無を判断すべきという枠組みを示した。
覚え方基準は「通常の判断能力を有する一般人の理解」
ひっかけ注意基準を「立法者や法律専門家の理解」にすり替える肢。基準はあくまで通常の判断能力を有する一般人である。
規制目的二分論
最大判昭和50年4月30日(薬事法距離制限事件)は、職業の許可制は職業選択の自由そのものに対する強力な制限であるから、原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、消極目的(国民の生命・健康に対する危険の防止)の規制ではさらに、より緩やかな規制手段では目的を十分に達成できないことが必要であるとした(厳格な合理性の基準)。そのうえで競争激化による不良医薬品供給の危険を観念上の想定にすぎないとして距離制限を違憲とした。
覚え方消極目的は厳格な合理性、積極目的は明白の原則
ひっかけ注意薬局の距離制限を積極目的規制と誤らせる肢。積極目的と判断されれば明白の原則が適用され結論が逆になる。
職業選択の自由と積極目的規制
最大判昭和47年11月22日(小売市場事件)は、憲法が個人の経済活動の自由に対し社会経済政策の実施の一手段として一定の合理的規制措置を予定していることを根拠に、社会経済分野における法的規制措置については立法府の政策的技術的裁量を尊重し、当該措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とするという明白の原則を採用した。そのうえで小売商業調整特別措置法の距離制限を中小企業保護のための積極目的規制として合憲とした。
覚え方小売市場は積極目的で合憲、薬事法は消極目的で違憲
ひっかけ注意薬事法事件と規制目的の性質を入れ替えて審査基準を誤らせる肢が定番である。適用される基準が逆になれば結論も逆になる。
正当な補償
29条3項は補償請求の直接の根拠となりうるから、法令に補償規定を欠いてもその一事で違憲無効とはならない(最大判昭和43年11月27日、河川附近地制限令事件)。もっとも財産権に内在する社会的制約として当然に受忍すべき制限であれば補償は不要であり、最大判昭和38年6月26日(奈良県ため池条例事件)は、堤とうの使用禁止が財産権行使のほとんど全面的な禁止であっても、災害防止のため当然に受忍しなければならない責務であるとして補償を要しないとした。
覚え方補償規定がなくても29条3項を根拠に直接請求できる
ひっかけ注意「補償規定がない以上、補償を請求する法的手段はない」とする肢と「補償規定を欠く法令は当然に違憲無効」とする肢の双方が出る。
31条と行政手続
最大判平成4年7月1日(成田新法事件)は、31条による適正手続の保障は直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については刑事手続でないとの理由のみで当然にその保障の枠外にあると判断すべきではないとした。もっとも行政処分の相手方に事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかどうかは、制限される権利利益の内容・性質・制限の程度、達成しようとする公益の内容・程度・緊急性等を総合較量して決すべきであり、常に必ずその機会を与えることを必要とするものではないとした。
覚え方枠外ではないが、常に事前手続が必要というわけでもない
ひっかけ注意「行政手続にも常に事前の告知・弁解・防御の機会が必要」と強める肢と、「31条は行政手続に一切及ばない」とする肢の両方向が出る。
令状主義と黙秘権
最大判昭和47年11月22日(川崎民商事件)は、35条・38条の保障は純然たる刑事手続以外の手続にも及び得るとしたうえで、旧所得税法の質問検査について①実質上刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有せず②強制の態様が間接的心理的なものにとどまり③公益上の必要性と合理性が認められることを理由に、令状なしで行われても35条に違反せず、供述拒否権の告知がなくとも38条1項に違反しないとした。
覚え方保障は及び得る。それでも質問検査は合憲
ひっかけ注意結論だけを見て「35条・38条の保障は行政手続に及ばない」と読ませる肢。判決は枠外ではないと述べたうえで合憲としている。
生存権の法的性格
最大判昭和42年5月24日(朝日訴訟)は、25条1項はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではなく、具体的権利は生活保護法によって初めて与えられるとした。最大判昭和57年7月7日(堀木訴訟)はこれを承け、社会保障立法における給付の在り方は国の財政事情や高度の専門技術的・政策的判断を要するとして広い立法裁量を認めた。
覚え方25条は国の責務の宣言。具体的な権利は生活保護法から生まれる
ひっかけ注意「25条から直接に具体的な給付請求権が生じる」とする肢が典型。具体的権利は生活保護法等の法律によって与えられる。
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1規制の目的が国民の生命健康への危険防止(消極目的)か、社会経済政策(積極目的)かを見分ける
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2消極目的なら、より緩やかな規制手段では目的を十分に達成できないことまで要求する厳格な合理性の基準を当てはめる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3積極目的なら、著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲とする明白の原則を当てはめる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 日本国憲法
- 内容の基準日
- 2026年4月1日
- 復習方法
- 要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
経済的自由・人身の自由と社会権の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
憲法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)
規制目的二分論
最高裁判所は、薬局の開設について適正配置を要求する距離制限は主として国民の生命および健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための規制であるとしたうえで、その必要性と合理性を認めることができないから憲法22条1項に違反するとしている。
全784問から、分野・重要度で解く
行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。