民法
親子・親権(嫡出推定・養子縁組)
令和4年改正で嫡出否認権が父だけでなく子・母・前夫にも広がり、出訴期間も原則3年になりました。200日と300日の入替え、普通養子と特別養子で実方との親族関係が切れるかどうかの違いが定番の失点源です。
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行政書士試験での出題
出題ランク C対応する一問一答 8問
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離婚後の親権者
令和6年法律第33号により2026年4月1日から離婚後の共同親権が導入された。改正後の819条は、協議離婚では父母の協議で双方または一方を親権者と定め(1項)、裁判離婚では裁判所が双方または一方を定める(2項)。裁判所は子の利益のため一切の事情を考慮し、父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき、暴力等により父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときは、一方を親権者と定めなければならない(7項)。子の利益のため必要があるときは親権者の変更もできる(6項)。
覚え方離婚後も双方を親権者にできる。危険があれば単独に決める
最重要・比較表
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
最初に見るのは実方の父母との関係が切れるかどうかです。切れるのは特別養子だけで、そのぶん成立の手続も年齢の要件も厳しく定められています。
| 事由 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 成立の方法 | 縁組意思の合致と養子縁組の届出によって成立する | 養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立する(817条の2第1項) | 届出で成立するか審判で成立するかが、そのまま他の要件の厳しさに直結します。 |
| 家庭裁判所の許可 | 未成年者を養子とする場合など、必要となるときがある | 不要。審判によって成立するため、別に許可を得る必要はない | 特別養子で「許可が必要」と書かれていたら誤りです。審判そのものが成立要件だからです。 |
| 養親の要件 | 20歳以上であること。配偶者のある者が未成年者を養子とするときは夫婦共同縁組による | 原則25歳以上で、夫婦であり共同で縁組をすること。片方が25歳以上なら他方は20歳以上でよい | 普通養子は独身でもなれますが、特別養子は夫婦であることが要件です。 |
| 養子の要件 | 年齢の上限はないが、尊属または年長者を養子とすることはできない(793条) | 原則15歳未満であること。実方の父母の同意と6か月以上の試験養育期間も必要 | 特別養子は実親子関係を切るため、実方の父母の同意と試験養育という手続が加わります。 |
| 実方の父母との関係最重要 | 終了しない | 終了する | 効果の最大の違いはここで、届出でした縁組なら実親子関係は切れません。 |
成立の方法
- 普通養子縁組
- 縁組意思の合致と養子縁組の届出によって成立する
- 特別養子縁組
- 養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立する(817条の2第1項)
判断ポイント
届出で成立するか審判で成立するかが、そのまま他の要件の厳しさに直結します。
家庭裁判所の許可
- 普通養子縁組
- 未成年者を養子とする場合など、必要となるときがある
- 特別養子縁組
- 不要。審判によって成立するため、別に許可を得る必要はない
判断ポイント
特別養子で「許可が必要」と書かれていたら誤りです。審判そのものが成立要件だからです。
養親の要件
- 普通養子縁組
- 20歳以上であること。配偶者のある者が未成年者を養子とするときは夫婦共同縁組による
- 特別養子縁組
- 原則25歳以上で、夫婦であり共同で縁組をすること。片方が25歳以上なら他方は20歳以上でよい
判断ポイント
普通養子は独身でもなれますが、特別養子は夫婦であることが要件です。
養子の要件
- 普通養子縁組
- 年齢の上限はないが、尊属または年長者を養子とすることはできない(793条)
- 特別養子縁組
- 原則15歳未満であること。実方の父母の同意と6か月以上の試験養育期間も必要
判断ポイント
特別養子は実親子関係を切るため、実方の父母の同意と試験養育という手続が加わります。
実方の父母との関係
最重要- 普通養子縁組
- 終了しない
- 特別養子縁組
- 終了する
判断ポイント
効果の最大の違いはここで、届出でした縁組なら実親子関係は切れません。
01親子・親権(嫡出推定・養子縁組)の重要暗記項目
離婚後の親権者
令和6年法律第33号により2026年4月1日から離婚後の共同親権が導入された。改正後の819条は、協議離婚では父母の協議で双方または一方を親権者と定め(1項)、裁判離婚では裁判所が双方または一方を定める(2項)。裁判所は子の利益のため一切の事情を考慮し、父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき、暴力等により父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときは、一方を親権者と定めなければならない(7項)。子の利益のため必要があるときは親権者の変更もできる(6項)。
覚え方離婚後も双方を親権者にできる。危険があれば単独に決める
ひっかけ注意「離婚するときは必ず父母の一方を親権者と定める」とする改正前の記述が誤りとして出る。現行法は双方も選択できる。
嫡出否認の訴え
改正前は夫だけが否認権者であったが、774条は父・子・母・前夫に否認権を認める。子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親または未成年後見人が子のために行使できる(同2項)。母および前夫の否認権は、その行使が子の利益を害することが明らかなときは行使できない(3項・4項)。嫡出の推定を受けない子との父子関係は嫡出否認の訴えではなく親子関係不存在確認の訴えで争い、こちらには出訴期間の制限がない。
覚え方否認権者は父・子・母・前夫の四者に拡大
ひっかけ注意否認権者を夫のみとする改正前の記述が誤りとして出る。推定を受けない子の争い方との区別も狙われる。
特別養子縁組
特別養子縁組は家庭裁判所の審判により成立し、養子と実方の父母およびその血族との親族関係が終了する(817条の9)。養子となる者は請求時に15歳未満であることが原則で、15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されていた等やむを得ない事由があれば例外がある(817条の5)。養親は配偶者のある者で夫婦がともに縁組をしなければならず(817条の3)、原則25歳以上である(817条の4)。離縁は養子の利益のため特に必要な場合に限られる。
覚え方実方と縁が切れる。十五歳未満・夫婦共同・二十五歳以上
ひっかけ注意養子の年齢上限を改正前の6歳とする記述が誤りとして出る。平成31年改正で原則15歳未満に引き上げられた。
嫡出否認の出訴期間
777条の出訴期間は原則として3年であり、起算点は父については子の出生を知った時、子および母については子の出生の時、前夫については子の出生を知った時である。改正前は夫が子の出生を知った時から1年であった。前の父が否認された結果として新たに父と定められた者らの否認権については、その裁判が確定したことを知った時から1年以内という特則が置かれている(778条)。子については出訴期間の特例(778条の2)もある。
覚え方改正で一年から三年へ。子と母は出生の時から起算
ひっかけ注意出訴期間を改正前の1年とする記述が誤りとして出る。起算点が否認権者ごとに異なる点も狙われる。
普通養子縁組の要件
成年年齢が18歳に引き下げられた際、養親の年齢要件は「成年に達した者」から「20歳に達した者」に改められた(792条)。尊属または年長者を養子とすることはできない(793条)。未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要だが、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合は不要である(798条)。養子となる者が15歳未満のときは法定代理人が本人に代わって縁組の承諾をする(797条1項)。配偶者のある者が未成年者を養子とするには配偶者とともにしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合と配偶者が意思を表示することができない場合は単独でできる(795条ただし書)。
覚え方養親は二十歳から。孫や連れ子なら家裁の許可は不要
ひっかけ注意養親の年齢要件を18歳とする誤りが狙われる。成年年齢が下がっても養親は20歳以上である。
親族の範囲と親等
725条の親族は、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族の3類型に限られる。配偶者は血族でも姻族でもない独立の類型で、親等はない。姻族とは血族の配偶者と配偶者の血族をいい、配偶者の血族の配偶者は姻族に含まれない。姻族関係は離婚によって当然に終了するが、夫婦の一方が死亡した場合は生存配偶者が終了の意思表示をしてはじめて終了する(728条2項)。養子と養親の血族との間には縁組の日から血族間と同一の親族関係が生じる(727条)。
覚え方血族は六親等、姻族は三親等、配偶者に親等なし
ひっかけ注意配偶者を一親等の姻族として扱う誤りが狙われる。配偶者には親等がなく、独立の類型である。
子の人格の尊重
旧822条は親権を行う者が監護教育に必要な範囲で子を懲戒できると定めていたが、児童虐待を正当化する口実になるとして令和4年改正で削除され、821条が新設された。同条は、親権を行う者が子の監護および教育をするにあたっては子の人格を尊重するとともにその年齢および発達の程度に配慮しなければならず、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないと定める。820条の監護教育の権利義務も子の利益のために行使される。
覚え方懲戒権は消え、人格尊重と体罰禁止が入った
ひっかけ注意親権者に懲戒権があるとする記述が誤りとして出る。822条は削除されている。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 嫡出推定 婚姻から200日・解消から300日
- 嫡出否認の出訴期間 原則3年
- 普通養子の養親 20歳に達した者
- 特別養子 原則15歳未満・養親は原則25歳以上
- ひっかけ嫡出否認権者を夫のみとする肢。改正により子・母・前夫にも認められた
- ひっかけ特別養子でも実方との親族関係が存続するとする肢。特別養子では終了する
- ひっかけ親権者は必要な範囲で子を懲戒できるとする肢。懲戒権の規定は削除され、体罰等の禁止が明記された
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1嫡出推定が及ぶかを772条で確認する。婚姻成立から200日以内なら婚姻前の懐胎、200日経過後または解消から300日以内なら婚姻中の懐胎と推定される
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2推定が及ぶなら嫡出否認の訴えで争う。否認権者は父・子・母・前夫で、出訴期間は原則3年である
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3養子縁組は普通か特別かを分ける。特別養子は家庭裁判所の審判により成立し、実方との親族関係が終了する
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 民法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
親子・親権(嫡出推定・養子縁組)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 8/24(編集部の目安)
利益相反行為と特別代理人
親権を行う父が自己の債務のために子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、父に子を害する意図がなければ利益相反行為に当たらない。
親子・親権(嫡出推定・養子縁組)の○×一問一答8問|問題と解説
この論点で収録している8問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
利益相反行為と特別代理人重要度S親権を行う父が自己の債務のために子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、父に子を害する意図がなければ利益相反行為に当たらない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。判例は行為の外形から客観的に判断する立場をとり、親権者の動機や意図は考慮しない(最高裁昭和42年4月18日判決)。
問2
離婚後の親権者重要度S父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、父母の一方のみを親権者と定めなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。令和八年四月一日施行の改正により、819条1項は協議で父母の双方又は一方を親権者と定めるとしている。
問3
嫡出否認の訴え重要度A嫡出否認の訴えは、父のほか、子及び母も提起することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。令和四年改正により否認権者が拡大され、父・子・母のほか前夫にも否認権が認められた(774条)。
問4
特別養子縁組重要度A特別養子縁組の請求の時に十五歳に達している者は、原則として特別養子となることができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。817条の5第1項は請求時に十五歳に達している者を除外し、成立までに十八歳に達した者も同様とする。
問5
嫡出否認の出訴期間重要度B父の否認権に係る嫡出否認の訴えは、父が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。777条は父の否認権について、父が子の出生を知った時から三年以内に提起すべきものとしている。
問6
普通養子縁組の要件重要度B養親となることができるのは十八歳に達した者であり、成年に達していない者は養子をすることができない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。792条は二十歳に達した者が養子をすることができるとしており、養親の年齢要件は成年年齢と切り離されている。
問7
子の人格の尊重重要度C親権を行う者は、監護及び教育をするに当たり、子の人格を尊重するとともに、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。令和四年改正で懲戒権を定めていた822条が削除され、821条に子の人格尊重義務と体罰の禁止が置かれた。
問8
親族の範囲と親等重要度B自己の配偶者の兄弟姉妹は二親等の姻族に当たるから、民法上の親族に含まれる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。725条は三親等内の姻族を親族とし、配偶者の兄弟姉妹は二親等の姻族に当たる。
親子・親権(嫡出推定・養子縁組)の問題を続けて解く
この論点に対応する8問を絞り込んで出題します。