民法
売買(手付・契約不適合責任・危険負担)
契約不適合の通知は「知った時から1年以内」で、対象は種類・品質の不適合だけです。数量不足や権利の不適合には1年の制限がない点、手付解除は相手方が履行に着手していなければできる点が典型の落とし穴です。
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行政書士試験での出題
出題ランク B対応する一問一答 4問
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手付による解除
557条1項は、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して契約を解除できるが、相手方が契約の履行に着手した後はできないとする。改正により売主側に現実の提供が必要であることが明文化された。最大判昭和40年11月24日は履行の着手を「客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」と定義し、自ら着手していても相手方が着手していなければ解除できるとした。
覚え方止めるのは相手の着手。自分が着手していても解除できる
最重要・比較表
契約内容不適合のときに買主ができる3つの請求
最初に確かめるのは催告が要るかどうかです。追完請求だけは催告なしででき、代金減額と解除は相当の期間を定めた催告が原則になります。
| 事由 | 履行の追完請求 | 代金減額請求 | 契約の解除 | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 請求できる内容 | 目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求できる(562条1項本文) | 不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる(563条1項) | 債務不履行として415条の損害賠償を請求でき、541条・542条により契約を解除できる(564条) | 564条があるため、損害賠償と解除は追完請求や代金減額請求ができる場合でも重ねて使えます。 |
| 催告が必要か最重要 | 催告は不要。修補・代替物・不足分のうち買主が方法を選んで請求する(562条1項本文) | 相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときにできる(563条1項) | 相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときにできる(541条本文) | 催告なしでよいのは追完請求だけです。減額と解除は「まず催告」が出発点になります。 |
| 催告なしでできる場合 | 催告の規定なし | 追完が不能なとき、売主が追完を拒絶する意思を明確に表示したとき、定期行為で時期を経過したときなど(563条2項) | 債務の全部の履行が不能なとき、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときなど(542条1項) | 催告しても意味がない場面という発想は、563条2項と542条1項でほぼ共通しています。 |
| 買主に帰責事由があるとき | 請求できない | 請求できない | 解除できない | 不適合や不履行が買主(債権者)の責めに帰すべき事由によるときは、いずれの手段も使えません(562条2項・563条3項・543条)。 |
請求できる内容
- 履行の追完請求
- 目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求できる(562条1項本文)
- 代金減額請求
- 不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる(563条1項)
- 契約の解除
- 債務不履行として415条の損害賠償を請求でき、541条・542条により契約を解除できる(564条)
判断ポイント
564条があるため、損害賠償と解除は追完請求や代金減額請求ができる場合でも重ねて使えます。
催告が必要か
最重要- 履行の追完請求
- 催告は不要。修補・代替物・不足分のうち買主が方法を選んで請求する(562条1項本文)
- 代金減額請求
- 相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときにできる(563条1項)
- 契約の解除
- 相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときにできる(541条本文)
判断ポイント
催告なしでよいのは追完請求だけです。減額と解除は「まず催告」が出発点になります。
催告なしでできる場合
- 履行の追完請求
- 催告の規定なし
- 代金減額請求
- 追完が不能なとき、売主が追完を拒絶する意思を明確に表示したとき、定期行為で時期を経過したときなど(563条2項)
- 契約の解除
- 債務の全部の履行が不能なとき、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときなど(542条1項)
判断ポイント
催告しても意味がない場面という発想は、563条2項と542条1項でほぼ共通しています。
買主に帰責事由があるとき
- 履行の追完請求
- 請求できない
- 代金減額請求
- 請求できない
- 契約の解除
- 解除できない
判断ポイント
不適合や不履行が買主(債権者)の責めに帰すべき事由によるときは、いずれの手段も使えません(562条2項・563条3項・543条)。
01売買(手付・契約不適合責任・危険負担)の重要暗記項目
手付による解除
557条1項は、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して契約を解除できるが、相手方が契約の履行に着手した後はできないとする。改正により売主側に現実の提供が必要であることが明文化された。最大判昭和40年11月24日は履行の着手を「客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」と定義し、自ら着手していても相手方が着手していなければ解除できるとした。
覚え方止めるのは相手の着手。自分が着手していても解除できる
ひっかけ注意自ら履行に着手した者は手付解除できないとする誤りが定番。判例は相手方の着手を基準とする。
契約不適合責任の期間制限
566条は、種類または品質に関する契約不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができなくなるとする。売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失により知らなかったときはこの制限は適用されない。数量の不適合と権利の不適合には566条の適用がなく、一般の消滅時効(166条1項)で規律される。通知さえすれば、その後の権利行使は消滅時効の期間内であればよい。
覚え方種類・品質は知って一年以内に通知。数量と権利は時効だけ
ひっかけ注意1年以内に権利行使まで必要とする誤り、および数量不足にも1年の通知期間が及ぶとする誤りが狙われる。
同時履行の抗弁権
533条は双務契約の当事者の一方が相手方の債務の履行を受けるまで自己の債務の履行を拒めるとし、ただし書で相手方の債務が弁済期にないときを除く。抗弁権が存在するだけで履行遅滞の違法性が阻却されるため、相手方が履行の提供をしない限り遅滞責任は生じない。解除による原状回復義務相互(546条)、負担付贈与、弁済と受取証書の交付(486条)にも同時履行の関係が認められる。他方、賃貸借終了時の敷金返還と目的物の明渡しは同時履行の関係に立たない(最判昭和49年9月2日)。
覚え方抗弁権があるだけで遅滞にならない。敷金返還と明渡しは同時履行でない
ひっかけ注意敷金返還債務と明渡義務が同時履行の関係に立つとする誤りが定番。明渡しが先履行である。
目的物の危険の移転
567条1項は目的物の引渡しを危険移転の基準時とし、引渡し後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失・損傷したときは、買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除をすることができず、代金の支払を拒むこともできないとする。同条2項は、売主が契約に適合する目的物の引渡しを提供したのに買主が受領を拒み、または受領することができない場合について同様に扱う。引渡し前であれば536条1項により買主は代金の支払を拒める。
覚え方引渡しか受領遅滞で危険は買主へ移る
ひっかけ注意危険の移転時期を所有権移転時や契約成立時とする誤りが狙われる。基準は引渡しである。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 契約不適合の通知 知った時から1年以内
- 危険の移転 目的物の引渡しの時
- ひっかけ566条の起算点を引渡しの時とする肢、必要な行為を権利行使や訴えの提起とする肢。知った時から1年以内の「通知」で足りる
- ひっかけ手付解除の着手の判断対象を「自ら」とする肢。相手方が履行に着手していなければ、自ら着手していても解除できる
- ひっかけ売主の手付解除に口頭の提供で足りるとする肢。倍額の現実の提供が必要である
押さえる判例
履行の着手とは客観的に外部から認識しうる形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合をいう
他人の権利の売主を相続した権利者は、信義則に反する特別の事情がない限り履行を拒絶できるが、売主の地位を承継するため損害賠償責任は免れない
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1不適合の種類を分ける。種類・品質なら566条の1年の通知が必要、数量や権利の不適合なら一般の消滅時効による
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2救済手段を選ぶ。追完請求が原則で、催告しても追完されないときや追完不能のときに代金減額請求へ進む
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3危険の移転時期を確認する。引渡し後の双方無帰責の滅失・損傷なら、買主は代金の支払を拒めない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 民法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
売買(手付・契約不適合責任・危険負担)の○×一問一答
1/4問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 12/24(編集部の目安)
手付による解除
買主が売主に解約手付を交付した場合において、売主が既に履行に着手しているときであっても、買主自身がまだ履行に着手していない限り、買主は手付を放棄して契約を解除することができる。
売買(手付・契約不適合責任・危険負担)の○×一問一答4問|問題と解説
この論点で収録している4問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
手付による解除重要度S買主が売主に解約手付を交付した場合において、売主が既に履行に着手しているときであっても、買主自身がまだ履行に着手していない限り、買主は手付を放棄して契約を解除することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最大判昭和40年11月24日は、557条1項ただし書の履行の着手を解除の相手方について判断するとしており、売主が着手していれば買主は解除できない。
問2
契約不適合責任の期間制限重要度S売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その引渡しを受けた時から1年以内に不適合を理由とする損害賠償を請求しなければ、その権利を失う。
答え:×(誤り)
解説
誤り。566条の起算点は買主が不適合を知った時であり、1年以内に必要なのは権利行使ではなく不適合の旨の通知である。
問3
同時履行の抗弁権重要度A双務契約の当事者の一方は、相手方の債務が本来の給付ではなく履行に代わる損害賠償の債務に変わった場合であっても、その損害賠償の債務の履行が提供されるまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。533条の括弧書は、履行に代わる損害賠償の債務の履行についても同時履行の関係を認めている。
問4
目的物の危険の移転重要度A売主が特定した目的物を買主に引き渡した後、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失した場合、買主は、代金の支払を拒むことができない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。567条1項は、引渡し後の双方無帰責の滅失・損傷について買主の追完請求等を否定し、代金支払の拒絶も認めていない。
売買(手付・契約不適合責任・危険負担)の問題を続けて解く
この論点に対応する4問を絞り込んで出題します。