2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

執行停止とは?積極的・消極的要件と仮の救済の違い【行政書士】【2026年度試験対応】

行政書士試験の執行停止を、意味、積極的・消極的要件、申立ての必要性から整理。行政不服審査法や仮の義務付け・仮の差止めとの違いを比較表と○×4問で確認できます。

要点 7件・基本問題 8・解説の確認問題 4問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

行政処分通知書を一時停止する図と、執行停止の要件を示す行政書士の解説カバー

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

執行停止とは、行政処分の効力・執行・手続の続行を一時的に止める制度です。行政書士試験では、裁判所が判断する行政事件訴訟法の制度と、審査庁が判断する行政不服審査法の制度を区別します。行政事件訴訟法では、取消訴訟を提起しただけでは処分は止まらず、執行停止の申立てが必要です。重大な損害を避けるため緊急の必要があることなどが積極的要件で、公共の福祉への重大な影響のおそれ、または本案について理由がないとみえることが消極的要件です。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-08

執行停止とは?行政処分を一時的に止める制度

執行停止は、行政処分の効力、執行、手続の続行を全部または一部止めるための救済です。処分そのものを取り消す判断とは区別します。本案で処分の適否を判断することと、判決・裁決を待つ間の損害を防ぐことは、別の問題だからです。

取消訴訟を提起しても、審査請求をしても、それだけで処分が止まるわけではありません。行政事件訴訟法25条1項と行政不服審査法25条1項が定める「執行不停止の原則」です。停止の要件や、申立て・職権の扱いは二つの法律で異なります。

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)e-Gov 行政不服審査法(2026年4月1日時点の施行版)

執行停止の要件は?積極的要件・消極的要件・停止の範囲

行政事件訴訟法25条の執行停止について、申立ての前提、積極的要件、二つの消極的要件、効力停止の制限を上下のパネルで整理した図

行政事件訴訟法25条。取消訴訟の提起と執行停止の申立てが前提です。重大な損害を避けるため緊急の必要があっても、公共の福祉への重大な影響のおそれ、または本案について理由がないとみえる場合は認められません。効力の停止は、執行・手続続行の停止で目的を達せられるときはできません。

図を大きく見る

「積極的」「消極的」は、申立人の態度や裁判所の意欲を表す言葉ではありません。執行停止を認める方向の条件と、認めることを妨げる事情を分けるための学習上の呼び方です。条文に照らし、条件があるのか、禁止する事情があるのかを順に判断します。

行政事件訴訟法25条3項は、重大な損害かどうかを判断する際に、損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度や処分の内容・性質も勘案すると定めます。「重大な損害」と「回復の困難の程度」は役割が違い、後者を無視してよいという意味ではありません。

行政事件訴訟法25条の確認順
見る点確認すること条文
前提・申立て取消訴訟を提起し、裁判所に執行停止を申し立てる1・2項
積極的要件重大な損害を避けるため緊急の必要がある2・3項
消極的要件公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある、または本案について理由がないとみえる場合は不可4項
停止の範囲効力の停止は、執行・手続続行の停止で目的を達せられるときは不可2項ただし書

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)

行政事件訴訟法と行政不服審査法の違い|申立て・職権・判断する機関

行政事件訴訟法の執行停止を決めるのは裁判所、行政不服審査法の執行停止を決めるのは審査庁です。どちらの法律にも25条がありますが、同じ内容ではありません。設問の冒頭にある法律名と、行為の主体に先に印を付けます。

行政不服審査法では、処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁は、申立てがなくても職権で執行停止をとれます。どちらでもない審査庁では、審査請求人の申立てと処分庁の意見聴取が必要で、停止以外の措置はとれません。

同法25条4項の義務的な執行停止は、審査請求人の申立てがあり、重大な損害を避けるため緊急の必要がある場合のルールです。ただし公共の福祉への重大な影響のおそれ、または本案について理由がないとみえる場合は、この義務から除かれます。

誰が、申立てと職権のどちらで判断するか
判断する機関申立て・職権根拠
裁判所申立てが必要。職権だけではできない行政事件訴訟法25条2項
処分庁の上級行政庁・処分庁である審査庁申立てまたは職権行政不服審査法25条2項
上記のいずれでもない審査庁申立てを受け、処分庁の意見を聴取行政不服審査法25条3項

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)e-Gov 行政不服審査法(2026年4月1日時点の施行版)

仮の義務付け・仮の差止めとの違い|損害と本案の見込み

執行停止は、すでにされた処分の効力や執行などを一時的に止める制度です。仮の義務付けは処分等をすべき旨を、仮の差止めは処分等をしてはならない旨を仮に命じる制度で、それぞれ本案の義務付け訴訟・差止訴訟が提起されていることを前提とします。

37条の5では、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえることが必要です。執行停止の「本案について理由がないとみえるときは不可」を、肯定形の要件にそのまま置き換えないようにします。

仮の義務付け・仮の差止めも、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは認められません。試験では制度名、損害の言葉、本案の見込みの書き方を一組にして読みます。

行政事件訴訟法の仮の救済を比較する
制度損害と緊急性本案の見込み
執行停止(25条)重大な損害を避けるため緊急の必要理由がないとみえるときは不可
仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)償うことのできない損害を避けるため緊急の必要理由があるとみえることが必要

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)

執行停止で間違えやすい3点|訴訟提起・損害・本案の見込み

一つ目は「訴えたので処分も止まる」という取り違えです。裁判所に処分の取消しを求めることと、執行停止を申し立てることを分けて確認します。

二つ目は損害の要件の入替えです。執行停止は「重大な損害」、仮の義務付け・仮の差止めは「償うことのできない損害」です。どちらにも緊急の必要が求められますが、損害を表す言葉を同じにしないようにします。

三つ目は本案の見込みの読み違えです。執行停止の「理由がないとみえるときは不可」は、仮の義務付け・仮の差止めの「理由があるとみえることが必要」と同じ書き方ではありません。前者を積極的要件として丸暗記せず、認められない事情があるかという順序で読みます。

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)

執行停止の出題例|法律名と判断する機関を過去問で確認する

ここまでの要件と比較を理解したら、実際の出題例で判断の順序を確かめます。令和3年度問14は行政不服審査法の執行停止、令和6年度問16は行政不服審査法と行政事件訴訟法の違いを扱っています。問題文と選択肢は年度別ページや試験研究センターの原本で確認してください。ここでは各問の答えを覚えるより、別の条件でも法律名・主体・要件を区別できることを目指します。

令和3年度問14を復習するときは、審理員の意見書と審査庁の決定を分けます。審理員が執行停止の決定をするわけではありません。また、執行停止後の事情変更による取消しは、行政不服審査法26条で認められています。

令和6年度問16では、内閣総理大臣の異議が行政事件訴訟法27条の制度であることを確かめます。行政不服審査法の審査庁に対しても同じ異議制度がある、と広げて覚えないことが要点です。二つの出題例だけから、出題頻度や次回の出題を予測することはできません。

  1. 設問が指定する法律を先に確定する
  2. 裁判所・審査庁・審理員のどれが行為をするかを見る
  3. 申立て・職権、損害、本案の見込みの順に条文と照合する
  4. 間違えた肢の法律名・主体・要件のどこが違ったかを一文で言う

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)e-Gov 行政不服審査法(2026年4月1日時点の施行版)行政書士試験研究センター 令和3年度試験問題・問14行政書士試験研究センター 令和6年度試験問題・問16

2026年度試験は4月1日施行の法令で確認する

令和8年度試験の法令基準日は2026年4月1日です。この解説は、その日に施行されていた行政事件訴訟法25条・27条・37条の5と行政不服審査法25条・26条を基準にしています。

2026年9月8日に、e-Govの基準日時点の版と、その後の現行版を照合しました。ここで扱った各条の本文に変更はありませんでした。法律全体の改正がないという意味ではありません。別の条文や次年度の試験を学ぶ場合は、施行日と試験案内を改めて確認してください。

根拠:e-Gov 行政事件訴訟法(2026年4月1日時点の施行版)e-Gov 行政不服審査法(2026年4月1日時点の施行版)e-Gov 行政事件訴訟法(2026年5月21日施行版・対象条文比較)e-Gov 行政不服審査法(2026年6月24日施行版・対象条文比較)行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 取消訴訟が提起されていれば、裁判所は申立てがなくても職権で執行停止を決定できる。

    根拠:資料1

  2. 2 重大な損害を避けるため緊急の必要があっても、本案について理由がないとみえる場合、裁判所は執行停止をすることができない。

    根拠:資料1

  3. 3 仮の義務付けでは、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえることが必要となる。

    根拠:資料1

  4. 4 処分庁の上級行政庁でも処分庁でもない審査庁は、必要と認めれば審査請求人の申立てがなくても職権で執行停止できる。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

執行停止の要件

執行停止の積極的要件は、本案訴訟が係属していること、および処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があることである(行政事件訴訟法25条2項)。重大な損害を生ずるか否かの判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質をも勘案する(同3項)。消極的要件は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときである(同4項)。行政不服審査法25条4項も同じ枠組みである。

覚え方積極は重大な損害と緊急の必要、消極は公共の福祉と本案の理由なし

最重要・比較表

非申請型義務付け訴訟と申請型義務付け訴訟の違い

最初に確かめるのは、法令に基づく申請をしているかどうかです。申請していれば申請型になり、重大な損害も補充性も不要になる代わりに併合提起が必要です。

使う場面

非申請型(直接型)義務付け訴訟
申請を前提とせず、出すべき処分が出されないとき。違反建築物への是正命令を周辺住民が求める場合など
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請をしたのに何も返答がない場合や、申請を拒否する処分がされた場合

判断ポイント

自分が申請したかどうかで、そもそもどちらの類型かが決まります。

提起できる人

非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られる(37条の2第3項)
申請型義務付け訴訟
法令に基づく申請または審査請求をした者に限られる(37条の3第2項)

判断ポイント

非申請型は処分の名宛人ではない第三者が原告になることが多い類型です。

重大な損害の要件

最重要
非申請型(直接型)義務付け訴訟
処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあることが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
重大な損害は不要

判断ポイント

非申請型の要件をそのまま申請型に当てはめる混同が最頻出です。

補充性の要件

非申請型(直接型)義務付け訴訟
その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要(37条の2第1項)
申請型義務付け訴訟
補充性の要件はない

判断ポイント

重大な損害だけ挙げて補充性を落とす肢が典型の誤りです。

他の訴えとの併合

非申請型(直接型)義務付け訴訟
義務付け訴訟だけを単独で提起できる。併合提起の要求は非申請型には及ばない
申請型義務付け訴訟
不作為型なら不作為の違法確認の訴え、拒否処分型なら取消訴訟等を併合提起しなければならない

判断ポイント

併合が必要なのは申請型だけ。条文は「しなければならない」です。

判断の順序:申請をしたか → 申請型なら何を併合するか、非申請型なら重大な損害と補充性を示せるか

法令確認:行政事件訴訟法37条の2・37条の3(確認日 2026-08-05)

最重要・比較表

執行停止・仮の義務付け・仮の差止めの違い

最初に確かめるのは、本案としてどの訴訟を起こしているかです。本案が決まると、求められる損害の重さも、本案の見込みを積極要件とするかどうかも決まります。

前提となる本案訴訟

執行停止
取消訴訟の提起が前提。取消訴訟を提起せずに執行停止だけを申し立てることはできない
仮の義務付け
義務付け訴訟の提起が前提。申請型と非申請型のいずれでも申し立てられる
仮の差止め
差止め訴訟の提起が前提。差止め訴訟なしに仮の差止めだけを申し立てることはできない

判断ポイント

どれも仮の救済だけを単独で申し立てることはできません。

損害の要件

最重要
執行停止
処分等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(25条2項)
仮の義務付け
処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
仮の差止め
処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること

判断ポイント

仮の義務付け・仮の差止めのほうが、要求される損害が重い点が急所です。

本案の見込み

執行停止
本案について理由がないとみえるときはできない、という消極的要件になっている
仮の義務付け
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている
仮の差止め
本案について理由があるとみえることが必要という積極的要件になっている

判断ポイント

要件の向きが逆です。執行停止は見込みがなさそうなら不可、仮の救済は見込みが要ります。

認められたときの状態

執行停止
裁判所が処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部を選んで停止する。執行・手続の停止だけでは処分の効力自体は残る
仮の義務付け
判決が出るまでの間、行政庁がとりあえず処分を出した状態が作られる
仮の差止め
判決が出るまでの間、行政庁が処分を出さない状態が保たれる

判断ポイント

執行停止には三つの態様があり、効力停止は他の停止で目的を達せられない場合に限られます。仮の義務付け・差止めとは救済の向きも異なります。

覚え方:執行停止は重大な損害と本案に理由がないとみえないこと、仮の義務付け・仮の差止めは償うことのできない損害と本案に理由があるとみえること

法令確認:行政事件訴訟法25条・37条の5(確認日 2026-08-05)

01執行停止と仮の救済の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 6回

執行停止の要件

執行停止の積極的要件は、本案訴訟が係属していること、および処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があることである(行政事件訴訟法25条2項)。重大な損害を生ずるか否かの判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質をも勘案する(同3項)。消極的要件は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときである(同4項)。行政不服審査法25条4項も同じ枠組みである。

覚え方積極は重大な損害と緊急の必要、消極は公共の福祉と本案の理由なし

ひっかけ注意改正前の「回復の困難な損害」への差替えが最頻出。仮の義務付け・仮の差止めの「償うことのできない損害」との取り違えも狙われる。

02
重要度 S / 収録過去問 5回

義務的執行停止

審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は執行停止をしなければならない(25条4項本文)。ただし公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときはこの限りでない(同項ただし書)。重大な損害を生ずるか否かの判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質も勘案する(同5項)。

覚え方重大な損害+緊急の必要=しなければならない(義務)

ひっかけ注意「償うことのできない損害」「回復の困難な損害」という旧法や仮の義務付けの文言に差し替える肢が典型。条文は「重大な損害」である。

03
重要度 S / 収録過去問 5回

執行不停止の原則と執行停止

処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(25条1項)。停止を求めるには申立てによる執行停止決定が必要であり、裁判所が職権で執行停止をすることはできない。執行停止の内容は処分の効力の停止・処分の執行の停止・手続の続行の停止の3種で、このうち処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合にはできない(25条2項ただし書)という補充性がある。

覚え方裁判所は申立てがなければ動けない。効力の停止は最後の手段

ひっかけ注意行政不服審査法の執行停止と混同し「審査庁は職権でできるから裁判所も職権でできる」と誤らせる肢。裁判所は申立てが必要である。

04
重要度 S / 収録過去問 5回

仮の義務付けと仮の差止め

仮の義務付け・仮の差止めの要件は、①その処分がされないこと(又はされること)により生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること②本案について理由があるとみえること、である(37条の5第1項2項)。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときはできない(同3項)。執行停止の「重大な損害」より厳格な「償うことのできない損害」が要求され、本案の見込みも積極的要件として要求される点が特徴である。

覚え方償うことのできない損害+本案に理由があるとみえる、の二段構え

ひっかけ注意執行停止の要件(重大な損害・本案について理由がないとみえるときは不可)とすり替える改変が最頻出。損害要件の重さと本案要件の向きを対比して覚える。

05
重要度 A / 収録過去問 4回

内閣総理大臣の異議

内閣総理大臣は、執行停止の申立てがあった場合および執行停止の決定があった後に、裁判所に対し異議を述べることができる(27条1項)。異議には理由を付さなければならず(同2項)、理由においては処分の効力を存続する等の必要がある旨を示す(同3項)。異議があったときは裁判所は執行停止をすることができず、既にした執行停止の決定を取り消さなければならない(同4項)。異議はやむを得ない場合でなければ述べられず、述べたときは次の常会において国会に報告しなければならない(同6項)。

覚え方異議が出たら裁判所は従うほかない。報告先は次の常会

ひっかけ注意「裁判所は異議の理由の当否を審査できる」とする肢。裁判所に審査権はない。報告先を「直近の国会」とする改変も狙われる。

06
重要度 A / 収録過去問 3回

執行停止の手続

執行停止の決定は疎明に基づいてされ(25条5項)、口頭弁論を経ないですることができるが、あらかじめ当事者の意見を聴かなければならない(同6項)。申立てに対する決定には即時抗告ができるが(同7項)、その即時抗告には決定の執行を停止する効力がない(同8項)。管轄は本案の係属する裁判所である(28条)。執行停止の決定が確定した後にその理由が消滅し事情が変更したときは、裁判所は相手方の申立てにより決定をもって執行停止の決定を取り消すことができる(26条1項)。

覚え方疎明で足りる。即時抗告しても停止決定は止まらない

ひっかけ注意「即時抗告があれば執行停止決定の効力は止まる」とする肢。25条8項が明確に否定している。事情変更による取消しを職権でできるとする肢も誤りである。

07
重要度 B / 収録過去問 3回

仮処分の排除

44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定める。行政作用に対する暫定的救済は、執行停止(25条)と仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)という行政事件訴訟法固有の制度に一元化されている。他方、公法上の当事者訴訟を本案とする場合には仮処分の余地があると解されており、44条が排除するのは公権力の行使に当たる行為に関する仮処分である。

覚え方公権力の行使には仮処分を使えない。使えるのは執行停止と仮の救済

ひっかけ注意平成16年改正で仮の義務付け・仮の差止めが創設されたことから、仮処分の排除規定が削除されたと誤らせる肢。44条は現在も存置されている。

行政法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 執行停止 重大な損害を避けるため緊急の必要
  • 仮の義務付け・仮の差止め 償うことのできない損害
  • 内閣総理大臣の異議 次の常会で国会に報告
  • ひっかけ「重大な損害」を旧法の「回復の困難な損害」に差し替える肢、仮の義務付けの「償うことのできない損害」と入れ替える肢
  • ひっかけ執行停止の要件を「本案について理由があるとみえるとき」とする肢。これは仮の救済の積極要件で、執行停止では裏側から消極要件として規定される
  • ひっかけ内閣総理大臣の異議の理由の当否を裁判所が審査できるとする肢。審査権はなく、異議があれば執行停止はできない

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    行政不服審査法と行政事件訴訟法のどちらの話かを分ける。裁判所は申立てが必要、審査庁は立場によって職権でもできる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    積極要件(本案の係属・重大な損害を避けるため緊急の必要)と消極要件(公共の福祉への重大な影響・本案について理由がないとみえる)を当てはめる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    求める措置を選ぶ。効力の停止は、執行の停止や手続の続行の停止で目的を達せられる場合にはできないという補充性がある

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

執行停止と仮の救済の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 23/24(編集部の目安)

執行停止の要件

執行停止をするためには、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があることを要する。

執行停止と仮の救済○×一問一答10問|問題と解説

この論点で収録している10問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    執行停止の要件重要度S

    執行停止をするためには、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があることを要する。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。平成16年改正により要件は「重大な損害」に緩和されており、回復の困難な損害は要求されない。

  2. 2

    執行不停止の原則と執行停止重要度S

    処分の取消しの訴えを提起すると、これにより処分の効力、処分の執行および手続の続行は当然に停止する。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。25条1項は執行不停止の原則を採り、出訴だけでは処分の効力等は妨げられない。

  3. 3

    第三者機関型の審査庁と執行停止重要度S

    処分庁の上級行政庁でも処分庁でもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てがなくても職権で執行停止をすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。25条3項により、この審査庁は審査請求人の申立てがある場合に、処分庁の意見を聴取したうえでのみ執行停止ができる。

  4. 4

    執行停止の要件重要度S

    処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てがなくても職権で執行停止をすることができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。25条2項は、上級行政庁又は処分庁である審査庁に、申立てによるほか職権による執行停止を認めている。

  5. 5

    義務的執行停止重要度S

    審査請求人の申立てがあった場合において、審査庁が執行停止をしなければならないのは、処分により償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があると認めるときである。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。25条4項の要件は「重大な損害を避けるために緊急の必要がある」ことである。「償うことのできない損害」は行政事件訴訟法37条の5が仮の義務付け・仮の差止めの要件として定める文言である。

  6. 6

    執行停止の要件重要度S

    本案について理由がないとみえるときであっても、重大な損害を避けるため緊急の必要があると認められる場合には、裁判所は執行停止をすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。25条4項により、本案について理由がないとみえるときは執行停止をすることができない。

  7. 7

    仮の義務付けと仮の差止め重要度S

    仮の義務付けおよび仮の差止めは、重大な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由がないとみえないときに、裁判所が申立てにより決定をもってすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。37条の5は「償うことのできない損害」を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえるときと定める。

  8. 8

    内閣総理大臣の異議重要度A

    内閣総理大臣が執行停止に対し異議を述べたときは、裁判所は執行停止をすることができず、すでに執行停止の決定をしているときはこれを取り消さなければならない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。27条4項が、異議があった場合の裁判所の対応を義務として定めている。

  9. 9

    執行停止の手続重要度A

    執行停止の申立てについての決定は疎明に基づいてすることができ、口頭弁論を経ないですることもできるが、あらかじめ当事者の意見を聴かなければならない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。25条5項・6項が疎明で足りること、口頭弁論を経ずにできることと意見聴取の義務を定める。

  10. 10

    仮処分の排除重要度B

    行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。44条により公権力の行使に当たる行為に対する民事保全法上の仮処分は排除されている。

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執行停止と仮の救済の問題を続けて解く

この論点に対応する10問を絞り込んで出題します。

○×一問一答