権利関係
宅建の弁済・相殺|自働債権と受働債権の見分け方【2026年度試験対応】
弁済と相殺の違い、自働債権・受働債権、意思表示、禁止される相殺を解説。不法行為の被害者側と加害者側を入れ替えた具体例で確認します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
弁済は債務の内容に従って履行すること、相殺は互いの債務を対当額で消滅させることです。相殺をする人が相手に持つ債権を自働債権、その人に対して相手が持つ債権を受働債権として整理します。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-08
相殺をする人から矢印を描く

弁済:債務の内容に従う履行:第三者弁済には条件もある。自働債権:相殺する側が持つ債権:相手へ向く請求権。受働債権:相手が相殺する側に持つ債権:自分が支払うべき債務の裏側。相殺の効果:対当額で消滅:双方の条件・禁止規定を確認
図を大きく見るAがBへ100万円を請求でき、BがAへ60万円を請求できる例を考えます。Aが相殺するなら、Aの100万円の債権が自働債権、Bの60万円の債権が受働債権です。双方が相殺に適するなら、対当額60万円について消滅を検討します。
債権の名前は固定ではなく、誰が相殺の意思表示をするかで入れ替わります。最初に行為者を丸で囲み、その人の請求権から読むと、相殺禁止の方向を取り違えにくくなります。
| 項目 | 基本ルール | 注意点 |
|---|---|---|
| 弁済 | 債務の内容に従う履行 | 第三者弁済には条件もある |
| 自働債権 | 相殺する側が持つ債権 | 相手へ向く請求権 |
| 受働債権 | 相手が相殺する側に持つ債権 | 自分が支払うべき債務の裏側 |
| 相殺の効果 | 対当額で消滅 | 双方の条件・禁止規定を確認 |
同種の債務・弁済期・意思表示を確認
相殺は、互いに同種の目的の債務を負い、双方が弁済期にあることが基本です。自分の期限の利益を放棄できる場合などもありますが、相手の利益を害する期限まで自由に消せると考えてはいけません。
相殺は一方から相手方への意思表示で行い、条件や期限を付けることはできません。効果は、互いに相殺に適するようになった時へさかのぼります。今、合意書へ署名した時だけを基準にするものではありません。
加害者からの相殺と被害者からの相殺は違う
悪意による不法行為や生命・身体の侵害による損害賠償の債務について、加害者側は相殺をもって被害者に対抗できません。被害者が現実の賠償を受ける利益を、加害者が一方的に相殺で失わせる場面に注意します。
反対に、被害者が自分の損害賠償請求権を自働債権として相殺することまで一律に禁止するものではありません。譲り受けた債権についての例外もあるため、禁止条文の主体とただし書を確認します。
ここでいう「悪意」は、単に事情を知っているという意味ではなく、積極的に相手を害する意思を指します。民法の別の論点で使う「悪意」と同じ意味に置き換えないようにしましょう。
第三者が払う場面は、正当な利益などを確認する
弁済は第三者でもできるのが原則ですが、正当な利益のない第三者については、債務者・債権者の意思と例外を検討します。また、債務の性質や当事者の禁止・制限によって扱いが異なります。「誰でもいつでも自由に払える」とは限りません。
令和7年度問4では、被害者が悪意の不法行為による損害賠償請求権を使って相殺する事例が扱われています。被害者と加害者を入れ替えて同じ結論にしないことが、この論点の要点です。
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和7年度 問4
被害者側の損害賠償請求権を用いた相殺を確認する
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- e-Gov:民法474・505・506・509条確認日:2026-09-08
- 不動産適正取引推進機構:過去の試験問題と正解番号確認日:2026-09-08
相殺できる場合(相殺適状の4要件)
①当事者双方が互いに債権を有する、②双方の債権が有効に成立(時効消滅していても時効完成以前に相殺適状にあれば相殺できる)、③双方の債権の目的が同種(金銭債権同士は可、金銭債権と土地引渡請求権は不可)、④双方の債権が弁済期にある(ただし自働債権が弁済期到来なら受働債権の期限の利益を放棄して相殺できる)。
覚え方相殺できる適状4つ、互いに債権・有効成立・同種の目的・弁済期(自働到来なら受働の期限利益は放棄)
混同注意・比較表
相殺できる・できない
「相殺適状、弁済期、不法行為債権、差押禁止、第三者差押え」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。
| 事由 | 基本ルール | 例外・ひっかけ | 理由・判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 相殺できる場合(相殺適状の4要件) | ①当事者双方が互いに債権を有する、②双方の債権が有効に成立(時効消滅していても時効完成以前に相殺適状にあれば相殺できる)、③双方の債権の目的が同種(金銭債権同士は可、金銭債権と土地引渡請求権は不可)、④双方の債権が弁済期にある(ただし自働債権が弁済期到来なら受働債権の期限の利益を放棄して相殺できる)。 | 同種性・弁済期の要件すり替え。金銭債権と引渡請求権は相殺不可 | 覚え方:相殺できる適状4つ、互いに債権・有効成立・同種の目的・弁済期(自働到来なら受働の期限利益は放棄) |
| 相殺できない場合 | ①当事者間で相殺禁止・制限の意思表示がある場合(第三者に対抗するには第三者が悪意または重過失であることが必要)、②悪意による不法行為・人の生命身体の侵害で生じた損害賠償請求権が受働債権である場合(加害者からは相殺不可、被害者からは可。 | 加害者/被害者いずれから相殺可かの逆転。加害者からは不可 | 覚え方:相殺ダメ三つ、禁止特約(悪意重過失に対抗)、悪意不法行為や生命身体の損害は加害者から不可、差押え後取得の自働もアウト |
| 差押え後取得の自働債権の例外 | 受働債権の差押え後に取得(他人の債権取得を除く)した自働債権でも、それが差押え前の原因にもとづいて生じたものであるときは相殺できる。 | 差押え前の原因という例外の見落とし。原因が差押え前なら相殺可 | 覚え方:差押え後に取った自働でも、差押え前の原因から生まれた子なら相殺セーフ |
| 債権譲渡における相殺権 | 債務者は原則として対抗要件を具備される時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できる(通知・承諾より前に反対債権を有していれば譲受人に相殺を主張できる)。 | 相殺権を主張できる時点のずらし。対抗要件具備前取得の債権で相殺可 | 覚え方:対抗要件つく前に持ってた債権なら、債務者は相殺(そうさい)を譲受人へぶつけて対抗OK |
相殺できる場合(相殺適状の4要件)
- 基本ルール
- ①当事者双方が互いに債権を有する、②双方の債権が有効に成立(時効消滅していても時効完成以前に相殺適状にあれば相殺できる)、③双方の債権の目的が同種(金銭債権同士は可、金銭債権と土地引渡請求権は不可)、④双方の債権が弁済期にある(ただし自働債権が弁済期到来なら受働債権の期限の利益を放棄して相殺できる)。
- 例外・ひっかけ
- 同種性・弁済期の要件すり替え。金銭債権と引渡請求権は相殺不可
判断ポイント
覚え方:相殺できる適状4つ、互いに債権・有効成立・同種の目的・弁済期(自働到来なら受働の期限利益は放棄)
相殺できない場合
- 基本ルール
- ①当事者間で相殺禁止・制限の意思表示がある場合(第三者に対抗するには第三者が悪意または重過失であることが必要)、②悪意による不法行為・人の生命身体の侵害で生じた損害賠償請求権が受働債権である場合(加害者からは相殺不可、被害者からは可。
- 例外・ひっかけ
- 加害者/被害者いずれから相殺可かの逆転。加害者からは不可
判断ポイント
覚え方:相殺ダメ三つ、禁止特約(悪意重過失に対抗)、悪意不法行為や生命身体の損害は加害者から不可、差押え後取得の自働もアウト
差押え後取得の自働債権の例外
- 基本ルール
- 受働債権の差押え後に取得(他人の債権取得を除く)した自働債権でも、それが差押え前の原因にもとづいて生じたものであるときは相殺できる。
- 例外・ひっかけ
- 差押え前の原因という例外の見落とし。原因が差押え前なら相殺可
判断ポイント
覚え方:差押え後に取った自働でも、差押え前の原因から生まれた子なら相殺セーフ
債権譲渡における相殺権
- 基本ルール
- 債務者は原則として対抗要件を具備される時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できる(通知・承諾より前に反対債権を有していれば譲受人に相殺を主張できる)。
- 例外・ひっかけ
- 相殺権を主張できる時点のずらし。対抗要件具備前取得の債権で相殺可
判断ポイント
覚え方:対抗要件つく前に持ってた債権なら、債務者は相殺(そうさい)を譲受人へぶつけて対抗OK
01弁済・相殺の重要暗記項目
相殺できる場合(相殺適状の4要件)
①当事者双方が互いに債権を有する、②双方の債権が有効に成立(時効消滅していても時効完成以前に相殺適状にあれば相殺できる)、③双方の債権の目的が同種(金銭債権同士は可、金銭債権と土地引渡請求権は不可)、④双方の債権が弁済期にある(ただし自働債権が弁済期到来なら受働債権の期限の利益を放棄して相殺できる)。
覚え方相殺できる適状4つ、互いに債権・有効成立・同種の目的・弁済期(自働到来なら受働の期限利益は放棄)
ひっかけ注意同種性・弁済期の要件すり替え。金銭債権と引渡請求権は相殺不可
弁済できる第三者
正当な利益のある第三者(物上保証人など)は債務者・債権者の意思に反しても弁済できる。正当な利益のない第三者(兄弟・友人など)は原則債務者・債権者の意思に反すると弁済できないが、意思に反することを債権者が知らなかったとき等の例外では弁済できる。
覚え方弁済のベンさん、正当利益ある物上保証は反対押し切りOK、兄弟友人は原則ダメでも例外あり
ひっかけ注意正当な利益の有無で結論を逆転させる罠。物上保証人は意思に反しても可
第三者弁済ができない場合
①債務の性質が第三者弁済を許さないとき(著名人の講演会など)や、②当事者が第三者の弁済を禁止・制限する旨の意思表示をしたときは、第三者弁済はできない。
覚え方第三者ベンザイできぬ二つ、性質ムリな著名人の講演と、当事者が『禁止!』と意思表示したとき
ひっかけ注意第三者弁済ができる/できない場合の逆転。性質上不可・禁止特約に注意
受領権者以外の者に行われた弁済
受領権者に行われた弁済は有効。受領権者以外の者への弁済は原則無効。ただし弁済者が受領権者としての外観を有する者に善意無過失で弁済したときは有効となる。受領権者とは債権者および法令の規定・当事者の意思表示により受領権限を付された第三者(代理人・破産管財人など)。
覚え方受領権者じゃない奴への弁済は原則ムコー、でも外観バッチリを善意無過失で信じたら有効セーフ
ひっかけ注意善意無過失の要件抜け。外観者への弁済は善意無過失で有効
相殺できない場合
①当事者間で相殺禁止・制限の意思表示がある場合(第三者に対抗するには第三者が悪意または重過失であることが必要)、②悪意による不法行為・人の生命身体の侵害で生じた損害賠償請求権が受働債権である場合(加害者からは相殺不可、被害者からは可。ただし他人から譲り受けたものは相殺可)、③自働債権が受働債権の差押え後に取得したものである場合は相殺できない。
覚え方相殺ダメ三つ、禁止特約(悪意重過失に対抗)、悪意不法行為や生命身体の損害は加害者から不可、差押え後取得の自働もアウト
ひっかけ注意加害者/被害者いずれから相殺可かの逆転。加害者からは不可
弁済とは
弁済とは債務者が約束どおりの給付をして債権を消滅させること。お金を借りているならお金を返すこと、不動産を売ったなら不動産を引き渡すことが弁済。
覚え方弁済とはベンリに約束どおり給付し、借金返し・不動産渡して債権チャラにすること
ひっかけ注意基本知識。素直に判断
弁済による代位(代位弁済)
保証人など債務者以外の人が債務者に代わって弁済すると、債権者の保有していた「債務者に対する債権」が弁済した人に移る。弁済による代位にあたり債権者の承諾は不要。
覚え方代位のダイちゃん、保証人が代わりに払えば債権も横滑り移動、債権者の承諾は要らんのよ
ひっかけ注意債権者の承諾要否のすり替え。代位に承諾は不要
代物弁済
弁済者と債権者との間で契約がある場合、弁済者は本来の給付の代わりに別のもので弁済できる。これを代物弁済という。
覚え方代物(だいぶつ)弁済、合意があれば本来の代わりに別のブツで返してよし
ひっかけ注意代物弁済に契約が必要な点の抜け。当事者間の契約が前提
誤答が集中する引っかけ
8件ひっかけ相殺できる場合(相殺適状の4要件)
同種性・弁済期の要件すり替え。金銭債権と引渡請求権は相殺不可
残り7件は論点整理プレミアムでご覧いただけます。61論点分の引っかけを、出題ランク順にまとめています。
論点整理プレミアムを見る03この論点の根拠
- 関連法令
- 民法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
弁済・相殺の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
権利関係重要度 A頻出度 3/24(編集部の目安)
弁済できる第三者
物上保証人など正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても弁済することができる。
弁済・相殺の○×一問一答9問|問題と解説
この論点で収録している9問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
弁済できる第三者重要度A物上保証人など正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても弁済することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。正当な利益ある第三者は債務者の意思に反しても弁済可。
問2
弁済とは重要度B弁済とは、債務者が約束どおりの給付をして債権を消滅させることをいう。
答え:○(正しい)
解説
正しい。約束どおりの給付で債権を消滅させることが弁済。
問3
第三者弁済ができない場合重要度A当事者が第三者の弁済を禁止する旨の意思表示をしていても、正当な利益のある第三者は弁済することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。禁止・制限の意思表示があれば第三者弁済はできない。
問4
受領権者以外の者に行われた弁済重要度A受領権者としての外観を有する者に対する弁済は、弁済者が善意無過失であれば有効となる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。外観を有する者への善意無過失の弁済は有効。
問5
弁済による代位(代位弁済)重要度B保証人が債務者に代わって弁済したことにより債権者に代位するには、債権者の承諾が必要である。
答え:×(誤り)
解説
誤り。弁済による代位に債権者の承諾は不要。
問6
代物弁済重要度B代物弁済は、弁済者と債権者との間の契約に基づき、本来の給付に代えて別の給付をすることで債権を消滅させる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。当事者間の契約により別の給付で弁済するのが代物弁済。
問7
相殺できる場合(相殺適状の4要件)重要度A金銭債権と土地の引渡請求権のように目的が異なる債権同士でも、相殺適状にあれば相殺することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。双方の債権の目的が同種でなければ相殺できない。
問8
相殺できない場合重要度A悪意による不法行為で生じた損害賠償請求権を受働債権として、加害者の側から相殺することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。加害者からは相殺不可。被害者からは相殺できる。
問9
債権譲渡における相殺権重要度B債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺を、譲受人に対抗できる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。対抗要件具備前取得の反対債権で譲受人に相殺できる。
弁済・相殺の問題を続けて解く
この論点に対応する9問を絞り込んで出題します。