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民法

行政書士の債権者代位権|要件・直接請求・債務者の処分権を図解【2026年度試験対応】

債権者代位権をA・B・Cの具体例で解説。被保全債権と被代位権利、期限到来、直接の支払請求、債務者の取立て、登記請求権への転用を整理します。

要点 8件・基本問題 7・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

行政書士の債権者代位権|要件・直接請求・債務者の処分権を図解を説明する記事カバー

記事内容を表す生成イメージ。

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

債権者代位権は、自分の債権を守るため、債務者が行使しない権利を債権者が行使する制度です。AがBへ貸し、BがCへの債権を放置しているなら、一定の要件の下でAがBの権利を行使します。Aの権利とBの権利を別の矢印にすると、期限と範囲を混同しにくくなります。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12

被保全債権と被代位権利を二本の矢印に分ける

AからBへの被保全債権と、BからCへの被代位権利を分ける。AがBの権利を代位行使する。

AからBへの被保全債権と、BからCへの被代位権利を分ける。AがBの権利を代位行使する。

図を大きく見る

AのBに対する貸金債権が被保全債権、BのCに対する権利が被代位権利です。423条1項は、自己の債権を保全する必要があるときに代位を認めます。金銭債権を責任財産によって保全する通常の場面では、債務者の無資力が問題になります。

代位は債務者の何でも代わりに行える制度ではありません。一身専属の権利や差押禁止の権利は除かれ、強制執行で実現できない債権を守るためにも使えません(423条1・3項)。

AがBのCに対する権利を行使する例
関係名称
A → B被保全債権:Aが守りたい権利
B → C被代位権利:Aが代わりに行使する権利

根拠:民法

自分の債権の期限が来ているかを確認する

原則としてAのBに対する債権の期限が到来するまでは代位できません。ただし保存行為は例外です(423条2項)。BのCへの債権が弁済期にあることだけを確認しても足りません。

被代位権利の目的が可分なら、行使できるのは自己の債権額の範囲です(423条の2)。AがBへ100万円、BがCへ300万円の金銭債権を持つ例では、Aが当然に300万円全額を代位請求するわけではありません。

根拠:民法

直接受領できる場合でも、Bの取立権は失われない

被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とする場合、Aは自己への支払・引渡しを求められます(423条の3)。一方、CはBに主張できる抗弁をAにも主張できます(423条の4)。Aが出てくればCの防御が全て消えるわけではありません。

Aが代位した後も、Bは自ら取り立てたり処分したりでき、CもBへ履行できます(423条の5)。Aが訴えた場合はBへの訴訟告知が必要ですが、告知によってBの権限を奪う仕組みではありません。令和3年度問32で比較された点です。

根拠:民法行政書士試験研究センター:公式問題原本

登記請求権を守る場面は、金銭回収と分ける

423条の7は、登記・登録が第三者対抗に必要な財産を譲り受けた者が、譲渡人の第三者に対する登記・登録手続請求権を代位する場面を規定します。

例えば土地がCからB、BからAへ譲渡されたのにCからBへの登記がされていない場合、Aの登記実現を守るための代位を検討します。Bの一般財産を確保して貸金を回収する場面と違い、Bが無資力かだけで判断しません。誰がどの登記を請求していないかを具体的に追います。

根拠:民法

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 BのCへの債権が期限到来済みなら、A自身のBへの債権の期限が未到来でも、保存行為以外の代位を常に行える。

    根拠:資料1

  2. 2 被代位権利が金銭の支払を目的とする場合、債権者は自己へ支払うよう求めることができる。

    根拠:資料1

  3. 3 代位の訴えを提起して債務者に訴訟告知をすると、債務者はその権利を自ら取り立てられなくなる。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

詐害行為取消権の要件

詐害行為取消権の要件は、被保全債権が原則として金銭債権で詐害行為の前の原因に基づいて生じたこと(424条3項)、債務者が債権者を害することを知って行為をしたこと、受益者が行為の時に債権者を害すべき事実を知っていたこと(同1項ただし書)、財産権を目的とする行為であること(同2項)、被保全債権が強制執行により実現できること(同4項)である。転得者への取消請求には、受益者に対する要件に加え、転得者およびその前のすべての転得者が悪意であることを要する(424条の5)。

覚え方詐害の前の原因・債務者の悪意・受益者の悪意・財産権が目的

01債権者代位権と詐害行為取消権の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 5回

詐害行為取消権の要件

詐害行為取消権の要件は、被保全債権が原則として金銭債権で詐害行為の前の原因に基づいて生じたこと(424条3項)、債務者が債権者を害することを知って行為をしたこと、受益者が行為の時に債権者を害すべき事実を知っていたこと(同1項ただし書)、財産権を目的とする行為であること(同2項)、被保全債権が強制執行により実現できること(同4項)である。転得者への取消請求には、受益者に対する要件に加え、転得者およびその前のすべての転得者が悪意であることを要する(424条の5)。

覚え方詐害の前の原因・債務者の悪意・受益者の悪意・財産権が目的

ひっかけ注意受益者が善意でも取り消せるとする誤りが狙われる。受益者の悪意は要件であり、その立証責任は受益者側が善意を主張立証する構造になっている。

02
重要度 S / 収録過去問 4回

自筆証書遺言の方式

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならない(968条1項)。平成30年改正により、添付する相続財産の目録については自書を要しないこととされたが、目録の毎葉(自書によらない記載が両面にあるときは両面)に署名し押印しなければならない(2項)。加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ変更の場所に押印しなければ効力を生じない(3項)。日付は「吉日」では特定できず無効となる。

覚え方本文は全部手書き、目録だけパソコン可。ただし各ページに署名押印

ひっかけ注意財産目録にも自書が必要とする改正前の記述、および目録への署名押印を不要とする誤りが狙われる。

03
重要度 A / 収録過去問 5回

代位行使の範囲と効果

被代位権利の目的が可分であるときは、代位行使の範囲は自己の債権額の限度に限られる(423条の2)。金銭の支払または動産の引渡しについては債権者への直接の引渡しを請求でき、相手方が債権者に支払えば被代位権利は消滅する(423条の3)。相手方は債務者に対して主張できる抗弁を債権者にも対抗でき(423条の4)、債務者は代位行使後も自ら取立てその他の処分をする権限を失わない(423条の5)。訴えを提起した債権者は遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない(423条の6)。

覚え方自分の債権額まで、直接受領でき、債務者の処分権は残る

ひっかけ注意代位行使により債務者が処分権を失うとする改正前の判例法理が誤りとして出る。423条の5は処分権を失わないと明記する。

04
重要度 A / 収録過去問 4回

相続放棄と詐害行為

最判昭和49年9月20日は、相続の放棄が身分行為であること、および既得財産を積極的に減少させるものではなく消極的にその増加を妨げるにすぎないことを理由に、詐害行為取消権の対象とならないとした。これに対し最判平成11年6月11日は、遺産分割協議が相続の開始によって共同相続人の共有となった財産の帰属を確定させる行為であり、その性質上財産権を目的とする法律行為であるとして、詐害行為取消しの対象となるとする。

覚え方放棄は取り消せない、遺産分割協議は取り消せる

ひっかけ注意相続放棄も財産を減らす行為だから取り消せるとする誤りが狙われる。判例は放棄と遺産分割協議で結論を分ける。

05
重要度 A / 収録過去問 4回

不法行為債権を受働債権とする相殺

509条が相殺を禁じる受働債権は、悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務(1号)と、人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務(2号)である。2号は債務不履行に基づく場合も含むため、安全配慮義務違反による賠償債務も受働債権にできない。ただし債権者がその債権を他人から譲り受けたときは禁止が解ける(同条ただし書)。改正前は不法行為債権一般が対象だったため、双方に過失のある物損事故でも相殺が禁じられていたが、改正後は相殺が可能になった。

覚え方悪意の不法行為と生命身体侵害だけが受働債権にできない

ひっかけ注意不法行為に基づく損害賠償債権であれば一律に相殺が禁じられるとする改正前の記述が誤りとして出る。

06
重要度 A / 収録過去問 3回

詐害行為取消権の期間制限

426条は、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年、行為の時から10年を経過したときに訴えを提起できないとする。いずれも出訴期間であり、詐害行為取消権は必ず訴えによって行使しなければならない(424条1項)。これに対し債権者代位権は裁判外でも行使でき、期間制限の規定もない。改正前の「行為の時から20年」は10年に短縮された。認容判決は債務者およびそのすべての債権者に対しても効力を有する(425条)。

覚え方知って二年・行為から十年、必ず訴えで行使

ひっかけ注意詐害行為取消権を裁判外で行使できるとする誤りが定番。行使は訴えによらなければならない。

07
重要度 A / 収録過去問 3回

特別寄与料

1050条は平成30年改正で新設された。請求できるのは被相続人の親族に限られ、相続人、相続の放棄をした者、欠格・廃除により相続権を失った者は除かれる。寄与の態様は無償で療養看護その他の労務を提供したことに限られ、財産上の給付は含まれない。協議が調わないときの家庭裁判所への処分請求は、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6箇月、または相続開始の時から1年を経過したときはできない(同2項)。

覚え方親族の無償の労務だけ。知って六箇月・開始から一年

ひっかけ注意内縁の配偶者や事実上の養子など親族でない者も請求できるとする誤りが狙われる。請求主体は親族に限られる。

08
重要度 A / 収録過去問 2回

離婚後の子の監護

766条1項は、父母が協議上の離婚をするときに、子の監護をすべき者、監護の分掌、父または母と子との交流、監護に要する費用の分担その他監護について必要な事項を協議で定めるとし、その際は子の利益を最も優先して考慮しなければならないとする。協議が調わないときは家庭裁判所が定め(2項)、必要があれば定めを変更することもできる(3項)。監護についての定めは、監護の範囲外では父母の権利義務に変更を生じない(4項)。令和6年改正では法定養育費の制度も新設された。

覚え方監護の取決めは子の利益が最優先。親権とは別枠

ひっかけ注意監護者の指定によって親権の帰属まで変わるとする誤りが狙われる。766条4項は監護の範囲外では権利義務に変更を生じないとする。

民法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 詐害行為取消し 知った時から2年・行為の時から10年
  • 代位行使の範囲 自己の債権額が限度
  • ひっかけ詐害行為取消権を裁判外でも行使できるとする肢。訴えによらなければならない
  • ひっかけ相続放棄も詐害行為取消しの対象とする肢。放棄は身分行為で対象外、遺産分割協議は対象になる
  • ひっかけ代位行使後は債務者が処分権を失うとする肢。改正法では債務者は取立てその他の処分の権限を失わない

押さえる判例

相続放棄と詐害行為取消権最判昭和49年9月20日

相続放棄は身分行為であり、責任財産を積極的に減少させるものではないから詐害行為取消権の対象とならない

遺産分割協議と詐害行為取消権最判平成11年6月11日

遺産分割協議は共同相続人の財産権を目的とする法律行為であり、詐害行為取消しの対象となる

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    被保全債権の性質を確認する。代位権は原則として弁済期の到来と債務者の無資力が要り、取消権は金銭債権で詐害行為前の原因に基づくことが要る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    行使方法を分ける。代位権は裁判外でもでき、取消権は必ず訴えによる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    相手方の主観を見る。取消しには受益者の行為時の悪意が要り、転得者に及ぼすには前のすべての転得者の悪意も要る

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

債権者代位権と詐害行為取消権の○×一問一答

1/7解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 11/24(編集部の目安)

詐害行為取消権の要件

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為について、その債権が当該行為の後に生じた原因に基づくものであるときでも、詐害行為取消請求をすることができる。

債権者代位権と詐害行為取消権○×一問一答7問|問題と解説

この論点で収録している7問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    詐害行為取消権の要件重要度S

    債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為について、その債権が当該行為の後に生じた原因に基づくものであるときでも、詐害行為取消請求をすることができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。424条3項は、被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限って取消請求を認めている。

  2. 2

    代位行使の範囲と効果重要度A

    債権者が被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは自己の債権の額の限度でのみ行使することができ、その権利が金銭の支払を目的とするときは相手方に対し自己への支払を求めることができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。423条の2が代位行使の範囲を、423条の3が債権者への直接の支払・引渡しをそれぞれ定めている。

  3. 3

    不法行為債権を受働債権とする相殺重要度A

    悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負う者はその債務を受働債権として相殺することができないが、被害者の側からその損害賠償債権を自働債権として相殺することは妨げられない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。509条は加害者側からの相殺を禁じるにとどまり、被害者が自ら相殺を選ぶことまでは禁じていない。

  4. 4

    相続放棄と詐害行為重要度A

    債務超過にある相続人がした相続の放棄は、その相続人の責任財産を積極的に減少させる行為であるから、その債権者は、これを詐害行為として取り消すことができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。最判昭和49年9月20日は、相続放棄が身分行為であり消極的に財産の増加を妨げるにすぎないとして取消しの対象から除いた。

  5. 5

    詐害行為取消権の期間制限重要度A

    詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したとき、または行為の時から10年を経過したときは、提起することができない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。426条は主観的起算点から2年、行為の時から10年という二重の期間制限を定めている。

  6. 6

    特別寄与料重要度A

    被相続人に対して無償で療養看護をした被相続人の親族で相続人でないものは、相続人に対して特別寄与料の支払を請求することができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。1050条1項は、無償の労務提供により被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした親族に金銭請求権を認める。

  7. 7

    離婚後の子の監護重要度A

    協議上の離婚をする父母が子の監護に要する費用の分担について定めなかったときは、その後に家庭裁判所がこれを定めることはできない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が766条1項の事項を定める(同条2項)。

次の学習

債権者代位権と詐害行為取消権の問題を続けて解く

この論点に対応する7問を絞り込んで出題します。

○×一問一答