民法
行政書士の保証・債権譲渡|連帯保証と対抗要件を比較【2026年度試験対応】
保証と連帯保証、個人根保証、債権譲渡の対抗要件を整理。書面、催告・検索の抗弁、極度額、譲渡通知を誰がするかを具体例と確認問題で解説します。
要点 8件・基本問題 8問・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

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2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01。
まず押さえるポイント
保証は主たる債務の履行を補う責任を負う制度、債権譲渡は債権者の立場を別の人へ移す制度です。保証人が増えても債権者が替わるわけではありません。誰が誰へ請求するかを固定してから、保証の成立・範囲と、譲渡の対抗要件を別々に確かめます。
法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12
保証契約は口約束だけでは効力を生じない
民法446条は保証契約に書面を必要とし、内容を記録した電磁的記録も書面とみなします。借りた本人との口約束があるだけで、債権者に対する保証責任が当然に成立するわけではありません。
保証債務には原則として主債務の利息・違約金・損害賠償等も含まれます(447条)。ただし保証人の負担が主債務より重ければ主債務の限度へ減り、保証締結後に主債務を加重しても保証人の負担は加重されません(448条)。令和6年度問31では保証人の資格と保証の範囲等が比較されました。
連帯保証人には催告・検索の抗弁がない
普通保証の催告の抗弁は、まず主債務者へ催告するよう求めるものです。ただし破産手続開始決定や行方不明などの例外があります(452条)。検索の抗弁は、主債務者に弁済資力があり執行が容易であることを保証人が証明する場合の規律です(453条)。
連帯保証では、この二つの抗弁がありません(454条)。連帯債務では各自が主たる債務を負うのに対し、連帯保証は保証としての関係を持ちます。二つの抗弁がないというだけで、主債務との関係まで全てなくなるわけではありません。
| 事項 | 普通保証 | 連帯保証 |
|---|---|---|
| 催告の抗弁 | 原則あり | なし |
| 検索の抗弁 | 要件を満たせばあり | なし |
| 主債務に従う保証としての関係 | ある | ある |
根拠:民法
個人根保証の極度額と、事業用貸金の公正証書を区別する
一定範囲の不特定債務を保証する個人根保証は、極度額を定めなければ効力を生じません(465条の2)。上限がないまま将来の債務を全て個人へ負わせる理解は誤りです。
事業のための貸金等債務の個人保証には、原則として契約締結日前1か月以内の公正証書による保証意思表示が必要です(465条の6)。法人保証や、主債務者の取締役等、共同事業者、事業に現に従事する配偶者等には適用除外があります(465条の6第3項・465条の9)。全ての保証に公正証書が必要という制度ではありません。
根拠:民法
債務者への通知は原則として譲渡人から行う

AからCへ債権を譲渡した場合、債務者Bへの対抗には原則Aからの通知又はBの承諾。第三者対抗には確定日付のある証書が必要。
図を大きく見るAがBに持つ債権をCへ譲渡した場合、467条の対抗要件は、AからBへの通知又はBの承諾です。Cが新債権者になったと自分の名だけで通知すれば、常に同じ効果が出るわけではありません。
B以外の第三者にも対抗するには、通知・承諾を確定日付のある証書でする必要があります。債務者対抗と第三者対抗を分けてください。また466条では譲渡制限の意思表示があっても譲渡の効力は原則妨げられませんが、悪意・重過失の譲受人への履行拒絶等が問題になります。預貯金債権の特則等は別途確認します。
| 相手 | 原則の方法 |
|---|---|
| 債務者 | 譲渡人の通知又は債務者の承諾 |
| 債務者以外の第三者 | 確定日付のある証書による通知又は承諾 |
根拠:民法
出題例の原本・年度別問題
過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。
- 令和6年度 問31
保証債務の範囲、保証人の資格と時効の効力
公式の公表資料を確認する
オリジナル確認問題で判断する
○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。
この解説の一次資料
- 民法確認日:2026-09-12
- 行政書士試験研究センター:公式問題原本確認日:2026-09-12
- 行政書士試験研究センター:令和8年度試験案内確認日:2026-09-12
債権譲渡の対抗要件と優劣
467条1項は譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾を債務者対抗要件とし、2項は確定日付のある証書によることを債務者以外の第三者に対する対抗要件とする。最判昭和49年3月7日は到達時説を採り、優劣は確定日付の先後ではなく通知が債務者に到達した先後で決するとした。最判昭和55年1月11日は、確定日付ある通知が同時に到達した場合、各譲受人は債務者に対し全額の弁済を請求でき、債務者は同順位者が存在することを理由に弁済を拒めないとする。
覚え方日付ではなく到達の先後で決まる。同時到達なら双方が全額請求できる
01連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺の重要暗記項目
債権譲渡の対抗要件と優劣
467条1項は譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾を債務者対抗要件とし、2項は確定日付のある証書によることを債務者以外の第三者に対する対抗要件とする。最判昭和49年3月7日は到達時説を採り、優劣は確定日付の先後ではなく通知が債務者に到達した先後で決するとした。最判昭和55年1月11日は、確定日付ある通知が同時に到達した場合、各譲受人は債務者に対し全額の弁済を請求でき、債務者は同順位者が存在することを理由に弁済を拒めないとする。
覚え方日付ではなく到達の先後で決まる。同時到達なら双方が全額請求できる
ひっかけ注意優劣を確定日付の先後で決するとする誤りが定番。判例は到達時説である。
連帯債務の絶対的効力
連帯債務における絶対的効力事由は更改(438条)、相殺(439条1項)、混同(440条)の3つに限られ、それ以外の事由は相対的効力が原則である(441条本文)。改正前に絶対的効力とされていた履行の請求・免除・時効の完成は相対的効力に改められた。ただし債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときはその意思に従う(441条ただし書)。免除や時効の完成があっても、他の債務者はその者に対して負担部分に応じた求償ができる(445条)。
覚え方絶対効は更改・相殺・混同の三つだけ
ひっかけ注意連帯債務者の一人に対する履行の請求が他の債務者にも効力を及ぼすとする改正前の記述が誤りとして出る。
連帯保証の効力
連帯保証は補充性を欠くため、催告の抗弁(452条)・検索の抗弁(453条)がなく、保証人が複数いても分別の利益がない。ただし付従性は維持され、主たる債務が消滅すれば連帯保証債務も消滅し、主たる債務者の抗弁を援用できる(457条2項)。保証契約は書面または電磁的記録でしなければ効力を生じない(446条2項・3項)。契約締結後に主たる債務が加重されても保証人の負担は加重されない(448条2項)。主たる債務者に対する履行の請求による時効の完成猶予・更新は保証人にも効力を生じる(457条1項)。
覚え方連帯保証に催告・検索・分別なし。付従性と書面性は残る
ひっかけ注意連帯保証には付従性もないとする誤りが狙われる。失われるのは補充性と分別の利益だけである。
個人根保証の極度額
個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じず、極度額の定めは書面または電磁的記録によらなければならない(465条の2)。主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる個人貸金等根保証契約では、元本確定期日は契約締結日から5年以内でなければ効力を生ぜず、定めがないときは締結日から3年を経過する日となる(465条の3)。事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする個人保証は、契約締結日前1箇月以内に作成された公正証書で保証意思を表示していなければ効力を生じない(465条の6)。
覚え方極度額なければ無効、確定期日は五年以内、なければ三年
ひっかけ注意極度額の定めがなくても保証は有効で上限がないだけとする誤りが狙われる。定めがなければ契約自体が無効である。
譲渡制限の意思表示
改正により譲渡制限の意思表示に反する譲渡も原則として有効となり(466条2項)、悪意または重過失の譲受人に対しては債務者が履行を拒み、譲渡人への弁済等をもって対抗できるにとどまる(同3項)。譲受人が相当の期間を定めて譲渡人への履行を催告し期間内に履行がないときは、債務者は履行を拒めない(同4項)。差押債権者には同3項が適用されない。預貯金債権については例外的に悪意・重過失の譲受人に対抗でき、譲渡は無効となる(466条の5)。
覚え方譲渡は有効、預貯金だけは無効。悪意重過失なら債務者は払わなくてよい
ひっかけ注意譲渡制限特約に反する債権譲渡が無効になるとする改正前の記述が誤りとして出る。無効となるのは預貯金債権の場合だけ。
保証人への情報提供義務
458条の3は、主たる債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2箇月以内の通知を債権者に義務づけ、怠ったときは喪失時から通知時までに生じた遅延損害金について保証債務の履行を請求できないとする。この規定は法人である保証人には適用されない(同3項)。委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は主たる債務の履行状況に関する情報を提供しなければならない(458条の2)。
覚え方期限の利益喪失は二箇月以内に通知。遅れた分の遅延損害金は請求できない
ひっかけ注意通知を怠ると元本まで請求できなくなるとする誤りが狙われる。請求できなくなるのは遅延損害金部分に限られる。
法定追認
125条の法定追認事由は、全部または一部の履行、履行の請求、更改、担保の供与、取得した権利の全部または一部の譲渡、強制執行の6つである。異議をとどめたときは擬制されない。前提として124条の追認の要件、すなわち取消原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後であることが必要である。判例は、取消権者が相手方から履行を請求されたにとどまる場合は法定追認にあたらないとする。
覚え方履行・請求・更改・担保・譲渡・執行の六事由。請求は「する側」だけ
ひっかけ注意取消権者が相手方から履行を請求された場合も法定追認になるとする誤りが定番。自ら請求した場合に限られる。
弁済の充当
充当の順序は、まず当事者の合意(490条)、次に費用・利息・元本の順(489条)、そして488条の指定充当(弁済者の指定が優先し、受領者が指定した場合は弁済者が直ちに異議を述べられる)、最後に488条4項の法定充当となる。法定充当では弁済期にあるものが先、弁済の利益が多いものが先、弁済期が先に到来したものまたは先に到来すべきものが先、それでも同じなら各債務の額に応じて按分される。代物弁済は債権者との契約により(482条)、供託は受領拒絶・受領不能・債権者不確知の場合に認められる(494条)。
覚え方合意→費用利息元本→指定→法定の順
ひっかけ注意弁済者の指定により利息より先に元本へ充当できるとする誤りが狙われる。489条の費用・利息・元本の順序が優先する。
覚える数字と、狙われる引っかけ
- 個人貸金等根保証 元本確定期日は5年以内・定めなければ3年
- 期限の利益喪失の通知 知った時から2か月以内
- 保証契約 書面または電磁的記録が必要
- ひっかけ履行の請求や免除を絶対的効力事由とする肢。改正により相対的効力に改められた
- ひっかけ譲渡制限特約に反する譲渡を無効とする肢。原則有効で、悪意重過失の譲受人には履行を拒めるにとどまる
- ひっかけ弁済の充当順序を「元本・利息・費用」とする肢。正しくは費用・利息・元本の順である
押さえる判例
確定日付ある通知が競合する場合の優劣は、確定日付の先後ではなく債務者への到達の先後で決する
差押え前に取得した債権であれば、弁済期の先後を問わず差押債権者に相殺を対抗できる
02試験で正誤を分けるチェック順
- 1連帯債務では絶対的効力事由(更改・相殺・混同)に当たるかを見る。当たらなければ他の債務者に影響しない
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 2保証なら書面性と付従性を確認する。個人根保証は極度額を書面等で定めなければ無効になる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
- 3債権譲渡・相殺では対抗要件と時点を押さえる。第三者対抗要件の優劣は確定日付ある通知の到達の先後で決まる
問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。
03この論点の根拠
- 関連法令
- 民法
- 情報確認日
- 2026年4月1日施行法令基準
- 復習方法
- 要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける
法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。
問題演習
連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 13/24(編集部の目安)
債権譲渡の対抗要件と優劣
同一の債権が二重に譲渡され、いずれの譲渡についても確定日付のある証書による通知がされた場合、譲受人相互の優劣は、その証書に付された確定日付の先後によって決せられる。
連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺の○×一問一答11問|問題と解説
この論点で収録している11問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。
問1
債権譲渡の対抗要件と優劣重要度S同一の債権が二重に譲渡され、いずれの譲渡についても確定日付のある証書による通知がされた場合、譲受人相互の優劣は、その証書に付された確定日付の先後によって決せられる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。最判昭和49年3月7日は、優劣が確定日付のある通知の債務者への到達の日時の先後によって決まるとした。
問2
連帯債務の絶対的効力重要度S連帯債務者の一人に対してした履行の請求は他の連帯債務者に対してもその効力を生じ、他の連帯債務者についても履行遅滞や時効の完成猶予の効果が生じる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。改正民法は履行の請求を相対的効力事由とし、441条本文により他の連帯債務者には効力が及ばない。
問3
差押えを受けた債権と相殺重要度S差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権を自働債権とする相殺をもって差押債権者に対抗することができ、この場合において両債権の弁済期の先後は問題とならない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最大判昭和45年6月24日の無制限説が511条1項として明文化され、差押え前に取得した債権であれば相殺を対抗できる。
問4
連帯保証の効力重要度S連帯保証人は、債権者から履行を請求されたときはまず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができ、また主たる債務者に弁済の資力があることを証明して先に主たる債務者の財産に執行すべき旨を主張することができる。
答え:×(誤り)
解説
誤り。454条により、連帯保証人は催告の抗弁権も検索の抗弁権も有しない。
問5
譲渡制限の意思表示重要度A当事者が債権の譲渡を禁止する旨の意思表示をした場合であってもその債権の譲渡は効力を妨げられないが、譲渡制限の意思表示につき悪意または重大な過失のある譲受人に対しては、債務者はその債務の履行を拒絶することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。466条2項が譲渡自体は有効とし、同3項が悪意・重過失の譲受人に対する履行拒絶を認めている。
問6
受領権者としての外観への弁済重要度A銀行が定期預金証書と届出印を持参した者を預金者本人と誤信して預金を担保に貸付けを行い、後に貸付金債権と預金債権とを相殺した場合、銀行が貸付けの時に善意無過失であれば、この相殺は受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推により預金者に対抗することができる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。最判昭和48年3月27日は、預金担保貸付における相殺について478条の類推適用を認め、判断の基準時を貸付けの時とした。
問7
個人根保証の極度額重要度A一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないものは、主たる債務の元本や利息等の全部に係る極度額を定めなければ、その効力を生じない。
答え:○(正しい)
解説
正しい。465条の2第2項は、個人根保証契約について極度額の定めを効力要件としている。
問8
第三者弁済重要度A弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済をすることができないが、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、その弁済は有効となる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。474条2項本文が債務者の意思に反する弁済を禁じ、同ただし書が債権者の善意による例外を定めている。
問9
保証人への情報提供義務重要度A主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人が法人であるかどうかを問わず、その利益の喪失を知った時から1か月以内にその旨を保証人に通知しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。458条の3の通知期間は2か月以内であり、また保証人が法人である場合には適用されない。
問10
弁済の充当重要度B債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済をする者が債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、その給付は、順次に元本、利息および費用に充当しなければならない。
答え:×(誤り)
解説
誤り。489条1項は費用、利息、元本の順に充当すべきものとしており、元本を先にするものではない。
問11
法定追認重要度B取り消すことができる行為について、追認をすることができる時以後に取消権者が相手方に履行を請求したときは、異議をとどめない限り追認をしたものとみなされる。
答え:○(正しい)
解説
正しい。125条2号の履行の請求は法定追認事由であり、異議をとどめない限り追認が擬制される。
連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺の問題を続けて解く
この論点に対応する11問を絞り込んで出題します。