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民法

行政書士の賃貸借|賃貸人の地位・敷金・転貸借を具体例で整理【2026年度試験対応】

建物売却時の賃貸人の地位移転、登記、敷金返還債務、適法な転貸借を解説。修繕、賃料減額、原状回復とのつながりも民法の条件で整理します。

要点 8件・基本問題 8・解説の確認問題 3問読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

行政書士の賃貸借|賃貸人の地位・敷金・転貸借を具体例で整理を説明する記事カバー

記事内容を表す生成イメージ。

2026年度試験対応。法令基準日:2026-04-01

まず押さえるポイント

賃貸借では、誰が貸主か、誰に賃料を払い、誰から敷金を返してもらうかを追うと理解が進みます。対抗要件を備えた不動産賃貸借では、売却に伴い原則として賃貸人の地位も買主へ移ります。ただし、地位移転を借主に対抗する登記や、地位留保の例外を別に確認します。

法令基準日:2026-04-01 / 解説更新日:2026-09-12

建物を売ると、貸主の地位は原則買主へ移る

対抗要件を備えた賃貸借では、建物の売却に伴い原則として貸主の地位と敷金返還債務が移転。借主への対抗には登記が必要。

対抗要件を備えた賃貸借では、建物の売却に伴い原則として貸主の地位と敷金返還債務が移転。借主への対抗には登記が必要。

図を大きく見る

民法605条の2第1項は、賃貸借が登記や借地借家法の引渡し等の対抗要件を備えている場合、不動産の譲受人へ賃貸人の地位が移るとします。借主の承諾が常に必要なのではありません。

AがBに貸している建物をCへ売却した例では、原則としてCが貸主になります。ただし、地位移転をBへ対抗するにはCへの所有権移転登記が必要です(同条3項)。「貸主になった」と「借主へその立場を主張できる」を分けます。

AからCへ賃貸建物を売る例
確認すること原則の扱い
対抗要件のある賃貸借貸主の地位はCへ移転
借主への地位移転の対抗所有権移転登記が必要
敷金返還債務Cが承継

根拠:民法

売主に地位を残すには、二つの合意を確認する

売主Aと買主Cが、貸主の地位をAに留保する合意と、CがAへその不動産を賃貸する合意をしたときは、直ちに地位は移りません(605条の2第2項)。「売主を貸主のままにする」とだけ書いた条件では足りません。

このA・C間の賃貸借が終了すると、留保されていた地位はC等へ移ります。令和4年度問32では、地位移転の登記、二つの留保合意、敷金返還債務の承継が同じ事例で問われました。

根拠:民法行政書士試験研究センター:公式問題原本

敷金は契約終了に加え、返還を受けた時点を確認する

622条の2は、賃貸借が終了し、かつ物の返還を受けたときに、未払債務等を控除した残額を返すと定めます。適法に賃借権を譲り渡したときも返還の場面となります。地位が新貸主へ移った場合は、605条の2第4項等により敷金返還債務も承継されます。

借主が家賃を払わずに「敷金から引いておいて」と当然に請求することはできません。賃貸人が弁済に充てられることと、借主から充当を求める権利は別です(622条の2第2項)。

根拠:民法

適法な転貸借では、二つの契約の範囲を比べる

賃借権の譲渡も転貸も、原則として貸主の承諾が必要です(612条)。適法な転貸では、転借人は元の賃貸借の債務の範囲を限度として、転貸借に基づく債務を貸主へ直接履行します(613条1項)。

元の賃料が月10万円、転貸料が月12万円なら、直接履行する賃料は原則10万円の範囲です。貸主と借主が合意解除しても原則として転借人へ対抗できませんが、その時点で債務不履行解除権があった場合は例外になります(同条3項)。

根拠:民法

修繕・賃料減額・原状回復は原因を分ける

貸主は使用収益に必要な修繕義務を負いますが、借主の帰責事由で必要になった場合は例外です(606条)。借主による修繕は、通知等の後も相当期間修繕されない場合や急迫の事情がある場合に認められます(607条の2)。

借主に帰責事由なく一部が使えなくなった場合は、使えない部分の割合に応じ賃料が減額されます(611条)。退去時の原状回復では、通常損耗・経年変化は621条の原則上の対象から外れます。どの費用も全て借主負担、全て貸主負担とまとめないでください。

根拠:民法

出題例の原本・年度別問題

過去の出題を手がかりに、判断する条件を整理します。このページの説明と確認問題は合トレのオリジナルです。

オリジナル確認問題で判断する

○か×かを選び、理由を確認してください。実際の過去問を転載したものではありません。

  1. 1 605条の2による不動産の賃貸人の地位移転を借主に対抗するには、原則として所有権移転登記が必要である。

    根拠:資料1

  2. 2 借主は未払賃料について、貸主に敷金を充当するよう当然に請求できる。

    根拠:資料1

  3. 3 貸主の地位を売主に留保する605条の2第2項の例外では、地位留保と買主から売主への賃貸という二つの合意を確認する。

    根拠:資料1

この解説の一次資料

最重要ポイント

無断譲渡・転貸と解除

612条は賃貸人の承諾のない賃借権の譲渡・転貸を禁じ、違反して第三者に使用収益させたときの解除を認める。最判昭和28年9月25日は、無断譲渡・転貸があっても賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できないとする信頼関係破壊の法理を示した。特段の事情の主張立証責任は賃借人が負う。小規模な同族会社への法人成りに伴う賃借権の移転や、賃借人の同居家族への使用許諾では背信性が否定されやすい。無断転貸の原則では、賃貸人は賃貸借を解除せずに所有権に基づく明渡しを請求できる。ただし、背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は、転借人は転借権を賃貸人に対抗でき、明渡しも請求できない(最判昭和39年6月30日等)。

覚え方無断でも背信性がなければ解除できない。立証するのは賃借人

混同注意・比較表

賃貸借と使用貸借の違い

最初に見るのは対価があるかどうかです。無償の使用貸借は借主の死亡で終わり、通常の必要費も借主が負担するなど、費用と終了の扱いが変わります。

対価

賃貸借契約
相手方に物の使用・収益をさせ、賃料の支払を受ける有償の契約(601条
使用貸借契約
受け取った物を無償で使用・収益させ、終了時に返還を受ける契約(593条

判断ポイント

賃料があるかどうかが出発点で、ここから費用負担や終了のルールが枝分かれします。

存続期間と終わり方

賃貸借契約
存続期間は最長50年で、これより長い期間を定めても50年になる(604条1項)
使用貸借契約
期間を定めればその満了で終了し、期間も使用収益の目的も定めなければ貸主はいつでも解除できる(598条2項)

判断ポイント

使用貸借には上限期間の規定がなく、目的も期間も決めていなければ貸主の一存で終わらせられます。

通常の必要費

賃貸借契約
賃貸人の負担。賃借人が支出したときは直ちに償還を請求できる(608条1項)
使用貸借契約
借主が自分で負担する。貸主に償還を請求できない(595条1項)

判断ポイント

「直ちに償還請求できる」のは賃貸借の必要費だけで、使用貸借では借主の持ち出しになります。

有益費

賃貸借契約
賃貸借の終了の時に、価格の増加が現存する限り償還される(608条2項本文)
使用貸借契約
通常の必要費以外の費用として、貸主に償還を請求できる(595条2項)

判断ポイント

有益費はどちらも終了時の精算で、必要費のように直ちに請求できるわけではありません。

借主が死亡したとき

最重要
賃貸借契約
賃借人が死亡しても賃貸借契約の効力は失われない
使用貸借契約
借主の死亡によって使用貸借は終了する(597条3項)

判断ポイント

無償で借りている以上、借主個人への信頼が前提なので死亡で終わると考えると覚えやすいです。

最重要・比較表

原賃貸借が終わったとき転借人はどうなるか

最初に確かめるのは原賃貸借の終わり方です。債務不履行による解除は転借人に対抗でき、合意解除は対抗できないという分かれ方をします。

解除を転借人に対抗できるか

最重要
賃借人の債務不履行による解除
対抗できる
賃貸人と賃借人の合意解除
対抗できない
解除権があるときの合意解除
対抗できる

判断ポイント

承諾を得た転貸でも、賃借人の債務不履行が原因なら転借人は保護されません。

転借人の立場

賃借人の債務不履行による解除
賃貸人から明渡しを請求され、転貸借はその請求の時に終了する
賃貸人と賃借人の合意解除
転貸借の期間中は建物を明け渡す必要がなく、出ていかなくてよい
解除権があるときの合意解除
合意解除であっても賃貸人が解除を対抗でき、転借人は明け渡すことになる

判断ポイント

対抗できるかどうかは、転借人が住み続けられるかという結論に直結します。

解除に必要なもの

賃借人の債務不履行による解除
賃借人の債務不履行があれば足り、転借人に催告をする必要はない
賃貸人と賃借人の合意解除
賃貸人と賃借人の合意だけで解除できるが、その効果を転借人には主張できない(613条3項本文)
解除権があるときの合意解除
解除の当時に賃貸人が債務不履行による解除権を有していたこと(613条3項ただし書)

判断ポイント

合意解除でも解除権を持っていたなら実質は債務不履行解除と同じなので、対抗を認めてよいという発想です。

まず解除の原因を見る → 合意解除なら、その時点で賃貸人が債務不履行による解除権を持っていたかを確認する

法令確認:民法613条3項(確認日 2026-08-05)

01賃貸借(対抗要件・敷金・転貸借)の重要暗記項目

01
重要度 S / 収録過去問 6回

無断譲渡・転貸と解除

612条は賃貸人の承諾のない賃借権の譲渡・転貸を禁じ、違反して第三者に使用収益させたときの解除を認める。最判昭和28年9月25日は、無断譲渡・転貸があっても賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できないとする信頼関係破壊の法理を示した。特段の事情の主張立証責任は賃借人が負う。小規模な同族会社への法人成りに伴う賃借権の移転や、賃借人の同居家族への使用許諾では背信性が否定されやすい。無断転貸の原則では、賃貸人は賃貸借を解除せずに所有権に基づく明渡しを請求できる。ただし、背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は、転借人は転借権を賃貸人に対抗でき、明渡しも請求できない(最判昭和39年6月30日等)。

覚え方無断でも背信性がなければ解除できない。立証するのは賃借人

ひっかけ注意無断転貸があれば常に解除できるとする誤りが定番。信頼関係が破壊されていなければ解除は認められない。

02
重要度 S / 収録過去問 5回

賃借権の対抗要件

605条は不動産の賃貸借を登記したときに以後その不動産について物権を取得した者に対抗できるとするが、賃借人に登記請求権はないため実効性が乏しい。借地借家法10条1項は借地上の建物の登記を、同法31条は建物の引渡しを対抗要件とする特則を置く。対抗要件を備えた賃借人は、占有を妨害する第三者に妨害の停止を、占有している第三者に返還を請求できる(605条の4)。対抗要件を備えた不動産が譲渡されると賃貸人たる地位が譲受人に移転する(605条の2第1項)。

覚え方民法は登記、借地は建物登記、借家は引渡しで対抗できる

ひっかけ注意賃借人が賃貸人に対して賃借権の登記を請求できるとする誤りが狙われる。特約がない限り登記請求権はない。

03
重要度 S / 収録過去問 5回

敷金の返還時期

622条の2第1項は、賃貸借が終了しかつ賃貸物の返還を受けたとき(1号)と、賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき(2号)に敷金返還義務が生じるとする。最判昭和49年9月2日は明渡しが先履行であり、敷金返還と明渡しは同時履行の関係に立たないとした。賃貸人は賃借人が債務を履行しないときに敷金を充当できるが、賃借人の側から充当を請求することはできない(同2項)。賃貸人たる地位が移転すると敷金返還債務も譲受人に承継される(605条の2第4項)。

覚え方明渡しが先、返還が後。充当を求められるのは賃貸人だけ

ひっかけ注意賃借人が未払賃料への敷金充当を請求できるとする誤りが狙われる。充当は賃貸人の側からのみできる。

04
重要度 A / 収録過去問 5回

賃貸人たる地位の移転

605条の2第1項は、対抗要件を備えた賃貸借の目的不動産が譲渡されたとき、賃貸人たる地位は譲受人に当然に移転するとし、賃借人の承諾を要しない。ただし譲受人が賃借人に賃料を請求するには所有権移転登記が必要である(同3項)。譲渡人と譲受人が賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨およびその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨を合意すれば地位は移転しない(同2項)。費用償還債務と敷金返還債務は譲受人に承継される(同4項)。対抗要件を備えていない場合でも譲渡人と譲受人の合意で移転できる(605条の3)。

覚え方地位は当然に移転、賃料請求には登記が必要

ひっかけ注意賃貸人たる地位の移転に賃借人の承諾が必要とする誤りが狙われる。承諾は不要である。

05
重要度 A / 収録過去問 5回

転貸借と賃貸借の終了

最判平成9年2月25日は、原賃貸借が賃借人(転貸人)の債務不履行により解除された場合、転貸借は賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の債務の履行不能により終了するとした。賃貸人が賃借人の債務不履行を理由に解除するにあたり、転借人に賃料支払の機会を与える必要はない(最判平成6年7月18日)。613条3項本文は原賃貸借の合意解除を転借人に対抗できないとするが、解除の当時に賃貸人が債務不履行による解除権を有していたときは対抗できる(同ただし書)。

覚え方債務不履行解除は転借人に対抗できる、合意解除は対抗できない

ひっかけ注意解除前に転借人へ賃料支払の機会を与えなければ解除できないとする誤りが狙われる。判例は不要とする。

06
重要度 A / 収録過去問 3回

賃貸借の存続期間

604条の存続期間の上限は50年で、これより長い期間を定めても50年に短縮され、更新も更新の時から50年を超えられない。下限の定めはない。処分の権限を有しない者がする短期賃貸借の期間は、樹木の栽植・伐採を目的とする山林10年、その他の土地5年、建物3年、動産6箇月である(602条)。期間の定めがない場合、解約申入れから終了までの期間は土地1年、建物3箇月、動産・貸席1日である(617条1項)。借地借家法の適用がある場合は同法が優先する。

覚え方上限五十年、短期賃貸借は山林十・土地五・建物三・動産六箇月

ひっかけ注意存続期間の上限を改正前の20年とする誤りが狙われる。現行法は50年である。

07
重要度 A / 収録過去問 3回

配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は原則として配偶者の終身の間であり、遺産分割の協議もしくは遺言に別段の定めがあるとき、または家庭裁判所が遺産分割の審判において別段の定めをしたときはそれによる(1030条)。配偶者は従前の用法に従い善良な管理者の注意をもって使用収益しなければならず、増改築や第三者に使用収益をさせるには居住建物の所有者の承諾を要する(1032条1項・3項)。義務違反があるときは所有者は是正の催告をしたうえで消滅させることができる(同4項)。

覚え方原則は終身、別段の定めがあればその期間

ひっかけ注意存続期間の上限を20年などとする誤りが狙われる。原則は終身であり、上限を定める規定はない。

08
重要度 B / 収録過去問 3回

賃貸人の修繕義務

606条1項は賃貸人に使用収益に必要な修繕義務を課すが、賃借人の責めに帰すべき事由により修繕が必要となったときは義務を負わない。賃借人が自ら修繕できるのは、通知しまたは賃貸人が知ったのに相当の期間内に修繕をしないときと、急迫の事情があるときである(607条の2)。必要費は直ちに償還を請求でき、有益費は賃貸借の終了時に償還される(608条)。一部が使用収益できなくなったときは、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであれば、賃料はその割合に応じて当然に減額される(611条1項)。

覚え方必要費は直ちに、有益費は終了時。賃借人に責任がない一部使用不能なら賃料は当然減額

ひっかけ注意一部使用不能の場合に賃借人の減額請求が必要とする改正前の記述が誤りとして出る。現行法では当然に減額される。

民法の暗記表をすべて見る →

覚える数字と、狙われる引っかけ

  • 賃貸借の存続期間 上限50年
  • 期間の定めのない解約申入れ 土地1年・建物3か月・動産1日
  • 使用貸借 借主の死亡により終了(貸主の死亡では終了しない)
  • ひっかけ敷金返還と明渡しを同時履行とする肢。明渡しが先履行である
  • ひっかけ無断譲渡・転貸なら当然に解除できるとする肢。背信性がなければ解除できない
  • ひっかけ賃貸人たる地位の移転に賃借人の承諾が必要とする肢、または登記なしに賃料を請求できるとする肢

押さえる判例

無断転貸と信頼関係破壊の法理最判昭和28年9月25日

背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、612条2項による解除ができない

原賃貸借の解除と転貸借の終了最判平成9年2月25日

賃借人の債務不履行で原賃貸借が解除された場合、転貸借は賃貸人が転借人に返還を請求した時に履行不能となって終了する

敷金返還と明渡しの先後最判昭和49年9月2日

敷金返還請求権は明渡し完了時に発生するのであって、明渡義務と同時履行の関係に立たない

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    対抗要件を確認する。建物所有目的の借地なら借地上の建物の登記、借家なら建物の引渡しで足りる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    賃貸人たる地位の移転では、賃借人の承諾は要らないが、賃料を請求するには所有権移転登記が要る点を押さえる

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    無断譲渡・転貸なら信頼関係破壊の有無を見る。背信的行為と認めるに足りない特段の事情は賃借人が主張立証する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
情報確認日
2026年4月1日施行法令基準
復習方法
要点を確認した後、○×一問一答で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

賃貸借(対抗要件・敷金・転貸借)の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 13/24(編集部の目安)

無断譲渡・転貸と解除

賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を第三者に使用または収益をさせた場合、賃貸人は、その行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときでも、契約を解除することができる。

賃貸借(対抗要件・敷金・転貸借)○×一問一答9問|問題と解説

この論点で収録している9問を、正誤と解説つきで通して読めます。 上の演習で迷った問題を見直すときに使ってください。

  1. 1

    無断譲渡・転貸と解除重要度S

    賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を第三者に使用または収益をさせた場合、賃貸人は、その行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときでも、契約を解除することができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。最判昭和28年9月25日は、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは612条2項による解除権が発生しないとした。

  2. 2

    賃借権の対抗要件重要度S

    建物の賃借人は、賃貸借の登記がなくても建物の引渡しを受けていればその後に建物の所有権を取得した者に賃借権を対抗することができ、その建物の占有を妨害する第三者に対して妨害の停止を請求することができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。借地借家法31条により建物の引渡しが対抗要件となり、対抗要件を備えた賃借人は605条の4により妨害の停止を請求できる。

  3. 3

    敷金の返還時期重要度S

    賃貸借が終了した場合において賃貸人が敷金を返還すべき時期は賃貸物の返還を受けた時であり、賃借人は、敷金の返還と賃貸物の明渡しとが同時履行の関係に立つと主張することはできない。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。622条の2第1項1号は明渡し後の返還とし、最判昭和49年9月2日も両者が同時履行の関係に立たないとした。

  4. 4

    賃貸人たる地位の移転重要度A

    対抗要件を備えた賃貸不動産が譲渡され賃貸人たる地位が譲受人に移転した場合、譲受人は、所有権の移転の登記を備えていなくても、賃借人に対して賃料の支払を請求することができる。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。605条の2第3項により、賃貸人たる地位の移転は所有権の移転の登記をしなければ賃借人に対抗できない。

  5. 5

    転貸借と賃貸借の終了重要度A

    適法に転貸借がされている場合において、賃貸人が賃借人の債務不履行を理由に原賃貸借を解除したときは、転貸借は、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に履行不能により終了する。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。最判平成9年2月25日は、債務不履行解除の場合の転貸借の終了時期を賃貸人による明渡請求の時と解している。

  6. 6

    賃貸借の存続期間重要度A

    賃貸借の存続期間は20年を超えることができず、契約でこれより長い期間を定めたときであってもその期間は20年となり、更新する場合も更新の時から20年を超えることができない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。604条の上限は改正により50年に伸長されており、20年ではない。

  7. 7

    賃貸人の修繕義務重要度B

    賃借物の修繕が必要である場合において、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人は、自らその修繕をすることができる。

    答え:○(正しい)

    解説

    正しい。607条の2第1号は、通知後に賃貸人が相当の期間内に修繕をしない場合の賃借人による修繕を認めている。

  8. 8

    配偶者居住権の存続期間重要度A

    配偶者居住権の存続期間は、遺産分割の協議や遺言に別段の定めがないときは、相続開始の時から二十年である。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。1030条本文は、配偶者居住権の存続期間を配偶者の終身の間とするのが原則であるとしている。

  9. 9

    使用貸借の終了重要度B

    使用貸借は、借主が死亡したことによって終了するほか、貸主が死亡した場合にも当然に終了し、貸主の相続人が使用貸借における貸主としての地位を承継することはない。

    答え:×(誤り)

    解説

    誤り。597条3項が終了事由とするのは借主の死亡のみであり、貸主が死亡しても使用貸借は終了しない。

次の学習

賃貸借(対抗要件・敷金・転貸借)の問題を続けて解く

この論点に対応する9問を絞り込んで出題します。

○×一問一答