2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

抵当権と担保物権

法定地上権は土地共有と建物共有で結論が反転するのが最大の勾配です。物上代位では払渡し前の差押えが必要な点、留置権に優先弁済権も物上代位もない点、根抵当の元本確定請求の要件が当事者で異なる点が続きます。

要点 8件・確認問題 8読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

抵当権を設定しても住み続けられることと、効力の及ぶ範囲・順位を整理した暗記画像
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抵当権は占有が移らない担保です。効力は付加一体物・従たる権利に及び、果実には原則及びません。順位は登記の先後、変更は全員の合意+登記です。

最重要ポイント

地役権の時効取得と対抗

地役権は継続的に行使され、かつ外形上認識することができるものに限り時効取得できる(283条)。要役地の所有権に従たるものとして移転し、要役地から分離して譲渡できない(281条)。最判平成10年2月13日は、通行地役権の承役地が譲渡された場合、譲渡時に通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかで、譲受人がそれを認識可能であったときは、特段の事情がない限り、譲受人は地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとした。

覚え方見て分かる通路なら、登記がなくても新所有者に対抗できる

混同注意・比較表

抵当権の4性質

「付従性、随伴性、物上代位性、不可分性」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

抵当権の性質(4つ)

基本
抵当権には付従性・随伴性・不可分性・物上代位性がある(担保物権に共通、ただし留置権には物上代位性がない)。
注意
物上代位性の例外の見落とし。留置権に物上代位性なし

覚え方:抵当の体質は『フ・ズイ・フ・ブツ』付従・随伴・不可分・物上代位、ただし留置権に物上代位はない

物上代位性

基本
抵当不動産が売却・滅失等した場合、所有者(設定者)が受け取るべき金銭等(売却代金・保険金・賃料等)に対して抵当権を行使できる。
注意
差押えの要否・タイミング。受領前に差押えが必要

覚え方:物上代位(ぶつじょうだいい)、売却代金・保険金・賃料に化けても追える、ただし受領前に差押えマスト

付従性

基本
抵当権は被担保債権が存在してはじめて成立し、被担保債権が消滅(弁済・時効等)すれば抵当権も消滅する。
注意
付従性の意味のすり替え。被担保債権消滅で抵当権も消滅

覚え方:付従(ふじゅう)性、被担保債権が生まれて初めて成立し、債権が消えれば抵当もフッと消える

不可分性

基本
抵当権は被担保債権の全部が消滅するまで、抵当不動産の全部について効力を及ぼす。
注意
一部弁済で抵当権が割合的に消えるとする罠。不可分性で全部存続

覚え方:不可分(ふかぶん)性、全部返すまで抵当は物件まるごと居座る、一部返済でも割合分は消えない

随伴性

基本
抵当権は被担保債権が移転すると、それに伴って移転する(債権譲渡で新債権者に抵当権も移る)。
注意
随伴性の方向のすり替え。債権移転に伴い抵当権も移転

覚え方:随伴(ずいはん)性、債権がお引っ越しすれば抵当も随(ずい)っとお供、新債権者に移る

判断軸:付従性、随伴性、物上代位性、不可分性

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

混同注意・比較表

抵当権の効力範囲・物上代位

「土地・建物・従物、賃料・保険金、設定時、差押え」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

抵当権の効力が及ぶ範囲

基本
土地に設定した抵当権は建物に及ばず、建物に設定した抵当権は土地に及ばない。
注意
従物が設定前後どちらかで結論が変わる。設定後の従物には及ばない

覚え方:抵当の効力、土地建物は互いに及ばず、付加一体物と設定時の従物(畳クーラー借地権)は及び、後の従物はダメ、不履行後の果実(賃料)は及ぶ

物上代位性

基本
抵当不動産が売却・滅失等した場合、所有者(設定者)が受け取るべき金銭等(売却代金・保険金・賃料等)に対して抵当権を行使できる。
注意
差押えの要否・タイミング。受領前に差押えが必要

覚え方:物上代位(ぶつじょうだいい)、売却代金・保険金・賃料に化けても追える、ただし受領前に差押えマスト

判断軸:土地・建物・従物、賃料・保険金、設定時、差押え

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

混同注意・比較表

抵当権の順位変更・譲渡・放棄

「登記、合意、承諾、優先弁済、按分、利息2年」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

抵当権の処分(転抵当・譲渡放棄)

基本
転抵当=抵当権を他の債権の担保として提供すること。
注意
譲渡と放棄の効果の入替。譲渡は優先、放棄は按分

覚え方:処分いろいろ、転抵当は抵当を担保に又貸し、譲渡は優先権まるごと譲り(受けた者勝ち)、放棄は同順位で按分

抵当権の順位の変更

基本
各抵当権者の合意で順位変更でき、利害関係者がいるときはその承諾が必要(設定者・債務者の同意・承諾は不要)。
注意
承諾を要する者のすり替え。利害関係者の承諾要・設定者不要

覚え方:順位変更は抵当権者の合意でOK、利害関係者は承諾要るが設定者は不要、登記しなきゃ効力なし

抵当権の順位

基本
一つの不動産に複数の抵当権を設定でき、順位は登記の前後で決まる。
注意
順位の基準のすり替え。登記の前後で決まる

覚え方:抵当のジュンイは登記の前後で決まる、一つの不動産に何個も乗せられる早い者順

優先弁済を受けられる額(利息)

基本
抵当権者は元本のほか利息も優先弁済を受けられるが、原則として利息は最後の2年分だけ(後順位抵当権者がいない場合は2年分に制限されない)。
注意
利息の年数の数字すり替え。原則最後の2年分

覚え方:利息の優先はサイゴのニ(最後の2年)分だけ、後順位がいなけりゃ2年に縛られない大盤振る舞い

判断軸:登記、合意、承諾、優先弁済、按分、利息2年

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

最重要・比較表

第三取得者が抵当権を消す方法

「全額弁済、代価弁済、消滅請求、主体、支払額、期限」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

第三取得者が抵当権を消滅させる方法

最重要
基本
①弁済: 第三取得者が債務者の借金を全額弁済すれば抵当権消滅(債務者の意思に関係なく弁済できる)。
注意
消滅方法の混同。弁済・代価弁済・抵当権消滅請求の3つ

覚え方:第三取得者が抵当を消す三手『ベン・ダイ・ショウ』弁済・代価弁済・抵当権消滅請求

抵当権消滅請求

基本
第三取得者が抵当権者に一定金額の支払いと引換えに抵当権消滅を請求。
注意
期間の数字・請求権者のすり替え。2カ月以内の競売申立て、債務者保証人不可

覚え方:消滅請求、金払い引換えで請求、差押え効力前に、承諾なきゃニ(2)カ月以内に競売申立て、放置は承諾扱い、債務者保証人は不可

抵当不動産の第三取得者とは

基本
抵当不動産の第三取得者とは、抵当権のついた不動産を取得した人のこと。
注意
基本知識。抵当付き不動産の取得者

覚え方:第三取得者とは、抵当つきの物件をそれと承知で取得しちゃった人のこと

判断軸:全額弁済、代価弁済、消滅請求、主体、支払額、期限

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

混同注意・比較表

法定地上権・一括競売・賃借人保護

「設定時の建物、同一所有、賃借権の先後、6か月猶予」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

法定地上権とは

基本
土地・建物を所有する者が土地に抵当権を設定し、抵当権実行により土地と建物の所有者が別々になった場合、自動的に建物所有者に地上権を与えて土地を使えるようにする制度。
注意
法定地上権の趣旨のすり替え。所有者が別々になる場面が前提

覚え方:法定地上権、土地に抵当かけ実行で所有者バラバラ、じゃあ建物さんに地上権あげて土地を使わせる救済

法定地上権の成立要件(4つ)

基本
①抵当権設定当時、土地上に建物が存在すること(登記の有無は問わない)。
注意
設定当時の建物存在・所有者同一の要件抜け。登記の有無は問わない

覚え方:法定地上権のヨン要件、設定時に建物あり(登記不問)・所有者が同一・一方か双方に抵当・実行で別々になる

一括競売

基本
抵当権設定当時は更地で、設定後にその土地に建物を築造した場合、抵当権者は土地と建物を一括競売にかけられる(建物はBのものでなくてもよい)。
注意
一括競売でも優先弁済の範囲。優先弁済は土地の代価のみ

覚え方:更地に抵当その後に建てたら、土地建物イッカツ競売OK(建物は他人でも可)、でも優先弁済は土地代だけ

建物賃借人の引渡し猶予

基本
抵当権設定登記後の賃借人(対抗できない場合)は、抵当権実行により買受人に明け渡す必要があるが、一定の場合、買受人が買い受けたときから6カ月を経過するまで建物を引き渡さなくてよい。
注意
猶予は建物のみ。土地賃借人には猶予なし。期間は買受け時から6カ月。

覚え方:抵当後の店子は買受人にサヨナラ、でも猶予は無(6)ロっとムー(6カ月)、土地の借主にゃ猶予なし

抵当権と賃借権の関係

基本
抵当権設定登記前の賃借権は対抗要件を備えていれば抵当権者等に対抗できる。
注意
設定登記の前後で対抗の可否が逆。後の賃借権は「全抵当権者の同意+同意登記」が例外要件。

覚え方:抵当より先に住みゃ勝てる、後からじゃダメ、でも全抵当が『同意登記』でひっくり返る

判断軸:設定時の建物、同一所有、賃借権の先後、6か月猶予

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

01抵当権と担保物権の重要暗記項目

01
重要度 B / 過去6年 3

地役権の時効取得と対抗

地役権は継続的に行使され、かつ外形上認識することができるものに限り時効取得できる(283条)。要役地の所有権に従たるものとして移転し、要役地から分離して譲渡できない(281条)。最判平成10年2月13日は、通行地役権の承役地が譲渡された場合、譲渡時に通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかで、譲受人がそれを認識可能であったときは、特段の事情がない限り、譲受人は地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとした。

覚え方見て分かる通路なら、登記がなくても新所有者に対抗できる

ひっかけ注意地役権はすべて時効取得できるとする誤りが狙われる。継続性と表現性(外形上の認識可能性)の両方が必要である。

02
重要度 A / 過去6年 4

留置権の成立要件

留置権の成立要件は、他人の物を占有していること、その物に関して生じた債権を有すること(牽連性)、債権が弁済期にあること、占有が不法行為によって始まったものでないこと(295条2項)である。留置権は不可分性を有し(296条)、留置権者は果実を収取して他の債権者に先立ち弁済に充当でき(297条)、善管注意義務を負う(298条1項)。債務者は相当の担保を供して消滅を請求でき(301条)、占有を失えば留置権は消滅する(302条)。

覚え方他人の物・牽連性・弁済期・適法占有の四条件

ひっかけ注意留置権に物上代位を認める誤りが狙われる。304条を準用するのは先取特権・質権・抵当権であり、留置権には優先弁済権がない。

03
重要度 A / 過去6年 4

留置権と牽連性の判例

最判昭和43年11月21日は、造作買取代金債権について建物との牽連性を否定し、建物の留置を認めなかった。同判決は不動産の二重譲渡で第一買主が売主に対して有する損害賠償請求権も物に関して生じた債権とはいえず、第二買主に対する留置権を認めないとする。これに対し借地人が建物買取請求権を行使した場合の代金債権については、建物のみならずその敷地の留置も認められる(最判昭和47年11月16日)。

覚え方造作代金では建物を留置できない、建物買取代金なら敷地まで留置できる

ひっかけ注意造作買取代金債権で建物を留置できるとする誤りが定番。造作は建物とは別個の物であり牽連性が否定される。

04
重要度 B / 過去6年 3

先取特権と物上代位

304条は先取特権の物上代位を定め、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に効力を及ぼす。行使には払渡しまたは引渡しの前に差押えをすることが必要で、この規定は質権(350条)および抵当権(372条)に準用される。一般の先取特権は共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給の5種(306条)、動産の先取特権は不動産賃貸借・旅館宿泊・運輸など8種(311条)、不動産の先取特権は保存・工事・売買の3種(325条)である。

覚え方一般は四つ、動産は八つ、不動産は三つ。物上代位は差押えが先

ひっかけ注意払渡し後でも物上代位できるとする誤りが狙われる。差押えは払渡しまたは引渡しの前でなければならない。

05
重要度 B / 過去6年 3

質権の設定と流質契約

質権の設定は目的物の引渡しによって効力を生じる要物契約であり(344条)、占有改定は認められず、質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることもできない(345条)。349条は設定行為または弁済期前の契約による流質を禁じるが、弁済期後の合意による流質は有効であり、商法515条により商行為によって生じた債権を担保する質権には流質禁止が適用されない。不動産質権者は用法に従い使用収益でき(356条)、存続期間は10年を超えられない(360条)。

覚え方質は引渡しで成立、占有改定は不可。流質は弁済期前だけ禁止

ひっかけ注意流質契約が常に無効とする誤りが狙われる。弁済期後の合意や商行為による質権設定では有効である。

06
重要度 S / 過去6年 6

抵当権と物上代位

抵当権に基づく物上代位は賃料債権にも及ぶ(最判平成元年10月27日)。最判平成10年1月30日は、目的債権が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後であっても、抵当権者は自ら差押えをして物上代位権を行使できるとした。一般債権者の差押えとの優劣は、抵当権設定登記の時と差押命令の第三債務者への送達の時の先後で決まる(最判平成10年3月26日)。抵当不動産の賃借人が第三者に転貸した場合の転貸賃料には、原則として物上代位できない(最判平成17年2月22日)。

覚え方賃料には及ぶが転貸賃料には及ばない。譲渡されても差押えで追える

ひっかけ注意債権譲渡の対抗要件が先に備わると物上代位できなくなるとする誤りが狙われる。判例は物上代位を認める。

07
重要度 S / 過去6年 6

抵当権と法定地上権(更地)

388条の法定地上権の要件は、抵当権設定当時に土地の上に建物が存在すること、土地と建物が同一の所有者に属すること、土地または建物に抵当権が設定されたこと、競売により所有者を異にするに至ったことである。最判平成2年1月22日は、更地に抵当権を設定した後に建物が築造された場合、抵当権者が建物の築造をあらかじめ承認していたとしても法定地上権は成立しないとした。この場合、抵当権者は土地とともに建物を一括競売できるが、優先弁済を受けられるのは土地の代価に限られる(389条)。

覚え方更地に付けたら地上権なし。承認があっても成立しない

ひっかけ注意抵当権者が建物築造を承認していれば法定地上権が成立するとする誤りが定番。判例はこれを明確に否定する。

08
重要度 S / 過去6年 5

抵当権と法定地上権(共有)

最判昭和44年2月14日は、土地が共有の場合、他の共有者が法定地上権の発生をあらかじめ容認していたなどの特段の事情がない限り、成立を否定する。他の共有者の持分まで負担を課すことになるからである。これに対し建物が共有の場合は土地共有者の利益を害しないため成立する(最判昭和46年12月21日)。また1番抵当権設定時に土地と建物の所有者が異なれば、2番抵当権設定時に同一所有者となっても土地抵当では成立しない(最判昭和48年9月18日)が、建物抵当では成立する(最判昭和53年9月29日)。

覚え方土地共有は原則不成立、建物共有は成立

ひっかけ注意土地共有と建物共有を同じ結論で処理する誤りが狙われる。土地共有では原則不成立、建物共有では成立と結論が逆になる。

民法の暗記表をすべて見る →

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    法定地上権は、抵当権設定当時に土地上に建物が存在し、土地と建物が同一所有者に属していたかを設定時を基準に確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    共有が絡むなら向きを見る。土地が共有なら原則として成立せず、建物が共有なら成立する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    物上代位を主張するなら、目的債権の払渡しまたは引渡し前に自ら差押えをしているかを確認する

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
内容の基準日
2026年4月1日
復習方法
要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

抵当権と担保物権の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 15/24(編集部の目安)

抵当権と法定地上権(更地)

更地に抵当権が設定された後にその土地上に建物が築造された場合、抵当権者があらかじめ建物の築造を承認していたときは、その建物のために法定地上権の成立が認められる。

次の学習

全784問から、分野・重要度で解く

行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。

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