2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

不法行為(使用者責任・工作物責任)

工作物責任は占有者が中間責任、所有者が無過失責任という段差が核です。使用者責任は外形標準説で判断し、被用者から使用者への逆求償も認められました。失火責任法が債務不履行には及ばない点も頻出です。

要点 7件・確認問題 7読む → 覚える → 解くまでこのページで完結

最重要ポイント

不法行為の消滅時効

724条は、被害者または法定代理人が損害および加害者を知った時から3年(1号)、不法行為の時から20年(2号)で損害賠償請求権が時効消滅するとする。20年は改正により除斥期間ではなく消滅時効期間と整理され、完成猶予・更新の規定が適用される。724条の2は人の生命または身体を害する不法行為について1号の3年を5年に読み替える。債務不履行構成なら166条1項・167条により5年と20年になるため、生命身体侵害では両構成の期間が一致する。

覚え方不法行為は三年と二十年、生命身体は五年と二十年

最重要・比較表

債務不履行・不法行為の過失相殺

「必要的考慮/任意的減額、対象者、裁判所の扱い」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

過失相殺

最重要
基本
不法行為で被害者にも過失があった場合、裁判所は被害者の過失を考慮して損害賠償額を減額することが「できる」(任意的減額)。
注意
不法行為の過失相殺は任意的(減額できる)。債務不履行の必要的と逆にする誤りに注意

覚え方:過失相殺、不法行為は減らせるダケ(任意的)、債務不履行は必ず減らす、そこが違う

過失相殺

基本
債務不履行またはこれによる損害の発生・拡大に関して債権者にも過失があった場合、裁判所はそれを考慮して損害賠償の責任および額を定める(過失相殺)。
注意
債務不履行の過失相殺は裁判所が「必ず」考慮する点

覚え方:債権者にも過失(かしつ)あれば、裁判所が斟酌(しんしゃく)して責任と額を相殺(そうさい)

判断軸:必要的考慮/任意的減額、対象者、裁判所の扱い

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

混同注意・比較表

不法行為の責任類型

「一般、使用者、共同、工作物、注文者、免責・求償」を同じ順番で比較し、正誤判断の条件を整理します。

使用者責任の成立と免責

基本
被用者が使用者の事業執行につき他人に損害を与えた場合、使用者は被用者とともに損害賠償責任を負う。
注意
外見上事業執行に見えれば成立。選任監督に相当の注意をすれば免責。免責の有無に注意

覚え方:使用者シヨウさん、事業でやらかせば連帯責任、休日マイカーは無罪、注意しても防げぬなら免責

使用者責任の請求と求償・逆求償

基本
被害者は使用者・被用者のいずれにも損害賠償を請求できる。
注意
使用者の求償は信義則上相当な範囲に限定。被用者から使用者への逆求償も可。求償の可否・範囲に注意

覚え方:使用者も被用者もどっちでも請求OK、払った使用者は信義則で求償、逆求償も認める

工作物責任

基本
土地の工作物(壁・塀など)の設置・保存に瑕疵があり他人に損害を与えたとき、第一次的に占有者が損害賠償責任を負う。
注意
第一次は占有者、占有者が必要な注意をすれば所有者が無過失責任。責任主体の順序に注意

覚え方:工作物コウサク、瑕疵の塀で怪我、まず占有者、注意してたら所有者が無過失で負う

共同不法行為

基本
数人が共同で不法行為を行い他人に損害を与えたときは、各自が連帯して損害賠償責任を負う。
注意
共同不法行為者は各自連帯責任。被害者はいずれにも全額請求可。分割責任とする誤りに注意

覚え方:共同キョウドウでやった不法行為、各自レンタイ(連帯)、被害者はどいつにも全額請求

注文者の責任

基本
請負人が仕事につき他人に損害を与えた場合、原則として請負人のみが損害賠償責任を負う。
注意
原則は請負人のみ責任。注文者の指図・注文に過失があれば注文者も責任。例外の存在に注意

覚え方:注文者チュウモン、原則は請負だけが責任、指図や注文にミスあれば注文者も一緒に責任

判断軸:一般、使用者、共同、工作物、注文者、免責・求償

法令確認:民法(確認日 2026-08-03)

01不法行為(使用者責任・工作物責任)の重要暗記項目

01
重要度 A / 過去6年 5

不法行為の消滅時効

724条は、被害者または法定代理人が損害および加害者を知った時から3年(1号)、不法行為の時から20年(2号)で損害賠償請求権が時効消滅するとする。20年は改正により除斥期間ではなく消滅時効期間と整理され、完成猶予・更新の規定が適用される。724条の2は人の生命または身体を害する不法行為について1号の3年を5年に読み替える。債務不履行構成なら166条1項・167条により5年と20年になるため、生命身体侵害では両構成の期間が一致する。

覚え方不法行為は三年と二十年、生命身体は五年と二十年

ひっかけ注意724条2号の20年を除斥期間として完成猶予が働かないとする改正前の記述が誤りとして出題される。

02
重要度 A / 過去6年 4

不法行為の要件と責任能力

709条の要件は、故意または過失、他人の権利または法律上保護される利益の侵害、損害の発生、行為と損害との因果関係である。責任を弁識する能力を欠く未成年者(おおむね12歳程度が目安)や精神上の障害により弁識能力を欠く者は責任を負わず(712条・713条)、監督義務者が714条の中間責任を負う。責任能力のある未成年者の行為でも、監督義務者自身の義務違反と結果との間に相当因果関係があれば709条の責任を問える(最判昭和49年3月22日)。

覚え方責任能力なしなら714条、ありなら親自身の709条責任

ひっかけ注意責任能力のある未成年者の行為について親が一切責任を負わないとする誤りが狙われる。709条による責任追及の余地がある。

03
重要度 A / 過去6年 4

工作物責任

717条1項本文は土地の工作物の設置または保存の瑕疵について占有者の中間責任を定め、ただし書は占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに所有者が責任を負うとする。所有者には免責事由がなく、無過失であっても責任を免れない無過失責任である。竹木の栽植または支持に瑕疵がある場合にも準用される(同2項)。損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者または所有者はその者に求償できる(同3項)。国家賠償法2条の営造物責任は717条と異なり占有者の免責を認めていない。

覚え方占有者は注意すれば免れる、所有者は逃げられない

ひっかけ注意所有者も必要な注意をしたことを証明すれば免責されるとする誤りが定番。所有者の責任は無過失責任である。

04
重要度 A / 過去6年 4

共同不法行為

719条1項前段は数人が共同の不法行為により損害を加えたときの連帯責任を、後段は共同行為者のうち誰が損害を加えたか知ることができないときの因果関係の推定を定め、2項は教唆者・幇助者を共同行為者とみなす。最判平成13年3月13日は、交通事故と医療事故が順次競合した事案で、各不法行為と結果との間に相当因果関係がある以上、各自が損害の全額について連帯して責任を負い、寄与度に応じた減額はできないとした。共同不法行為者の一人に対する債務の免除は他の者に効力を及ぼさない。

覚え方寄与度で減らせない。全員が全額を連帯して負う

ひっかけ注意各加害者が寄与度に応じた分割責任を負うとする誤りが狙われる。判例は全額連帯責任とする。

05
重要度 A / 過去6年 5

不法行為による損害賠償請求権の期間制限

最判昭和48年11月16日は、724条1号の「加害者を知った時」とは、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に加害者を知った時をいうとした。単に加害行為者の氏名を知っただけでは足りない。人の生命または身体を害する不法行為では1号の3年が5年に読み替えられる(724条の2)。724条2号の20年は改正により消滅時効と整理されたため、完成猶予・更新の規定が適用され、援用も必要となる。継続的不法行為では損害が発生するごとに別個に時効が進行する。

覚え方「知った時」は請求が事実上可能になった時。二十年も時効なので援用が要る

ひっかけ注意被害者が加害者の住所氏名を知った時点で直ちに起算するとする誤りが狙われる。判例は請求可能性まで求める。

06
重要度 B / 過去6年 3

失火責任法の適用範囲

失火の責任に関する法律は、失火者に重大な過失があるときを除き709条の適用を排除する。最判昭和30年3月25日は、賃借人の失火により賃借建物が焼失した場合の返還義務の履行不能について債務不履行責任を認め、同法の適用を否定した。同法は不法行為責任にのみ適用されるからである。使用者責任(715条)では被用者に重過失があれば使用者は自らに重過失がなくても責任を負い、責任無能力者の失火については監督義務者自身の重過失の有無で判断される(最判平成7年1月24日)。

覚え方失火は重過失だけ。ただし契約責任には効かない

ひっかけ注意賃借人の失火による賃借物の焼失にも失火責任法が適用されるとする誤りが定番。債務不履行責任には適用されない。

07
重要度 S / 過去6年 4

日常家事債務の連帯責任

761条は夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときの連帯責任を定め、判例はここに夫婦相互の代理権が含まれると解する。日常家事の範囲を超える行為について、最判昭和44年12月18日は、110条を直接適用すると762条1項の夫婦別産制が損なわれるとして直接適用を否定し、第三者において当該行為が当該夫婦の日常家事に属すると信ずるにつき正当の理由があるときに限り110条の趣旨を類推適用するとした。範囲は夫婦の社会的地位・資産・収入等から客観的に判断される。

覚え方日常家事なら連帯責任、はみ出せば110条の趣旨を類推

ひっかけ注意範囲外の行為について110条を直接適用するとする誤りが定番。判例は趣旨の類推適用にとどめている。

民法の暗記表をすべて見る →

02試験で正誤を分けるチェック順

  1. 1
    責任主体を決める。被用者の行為なら715条、工作物の瑕疵なら717条で、まず占有者、免責されたら所有者

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  2. 2
    「事業の執行について」は外形標準説で判断する。ただし相手方が職務権限外を知り、または重過失により知らなかったときは保護されない

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

  3. 3
    期間制限を当てはめる。損害および加害者を知った時から3年(生命身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年

    問題文の限定語を先に拾い、上の暗記項目と照合してから結論を出します。

03この論点の根拠

関連法令
民法
内容の基準日
2026年4月1日
復習方法
要点を確認した後、下の○×問題で条件の違いを見分ける

法改正により扱いが変わる場合があります。試験日程や申込みに関する情報は、 必ず公式案内も確認してください。

問題演習

不法行為(使用者責任・工作物責任)の○×一問一答

1/7解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 9/24(編集部の目安)

日常家事債務の連帯責任

夫婦の一方が日常家事の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合、その第三者は民法百十条の表見代理の規定の直接適用によって保護されるとするのが判例である。

次の学習

全784問から、分野・重要度で解く

行政法240問、民法180問、憲法60問、商法・会社法40問、基礎法学20問、基礎知識80問を収録。

784問ドリルへ