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実務・開業2026年版

家賃滞納から強制退去までの流れ|督促・解除・訴訟・強制執行【2026年版】

2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

家賃の滞納が続くと、貸す人は契約を解除して部屋を明け渡してもらいたいと考えます。ただ、強制退去は貸す人や管理会社が自分の手で行えるものではなく、裁判所の手続を順に踏む必要があります。この記事では、部屋を貸す人・管理会社・借りる人のそれぞれの立場から、督促から強制執行までの流れ、してはいけないこと、家賃の時効、保証会社をめぐる最高裁判決を、法令と裁判所の案内で確かめます。

公開日
2026年11月8日
更新日
2026年11月8日
読了目安
約22分
法令基準日
2026年4月1日
情報確認日
2026年11月8日
家賃滞納と強制退去の記事カバー

先に結論

家賃滞納から強制退去までは、督促、期間を決めた催告と契約の解除、明渡し請求訴訟、判決や和解にもとづく強制執行の順に進みます。強制執行では、執行官が明渡しの期限(原則として催告の日から1か月)を示したうえで、期限後に部屋の占有を貸す人へ移します。何か月の滞納で退去になるという決まりはなく、当事者の信頼関係が壊れたといえるかで解除の効力が判断されます。貸す人や管理会社が鍵を替える、荷物を運び出すといった自力の追い出しはできません。

この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 強制退去は、催告と解除、明渡し請求訴訟、強制執行という裁判所の手続を経て行う
  • 鍵の交換や荷物の搬出など、手続によらない追い出し(自力救済)はできない
  • 保証会社の無催告解除・明渡しみなし条項は、令和4年12月12日の最高裁判決で消費者契約法10条に当たるとされた
  • 家賃の請求権は支払日から5年で時効にかかり得るが、援用されなければ消えず、請求や承認で止まる

01結論:強制退去は裁判所の手続を通してしか行えない

家賃を滞納されても、貸す人や管理会社が自分の判断で借りる人を部屋から出すことはできません。強制退去は、裁判所の判決や和解などを得たうえで、執行官が行う強制執行の手続です。貸す人に必要なのは、督促、契約の解除、明渡し請求訴訟、強制執行を順に進めることです。

民事執行法168条は、建物の明渡しの強制執行は、執行官が借りる人の占有を解いて貸す人に占有を取得させる方法で行うと定めています。部屋の鍵を開ける、中の荷物を運び出すといったことも、この手続の中で執行官が行います。

借りる人の側から見ると、滞納が続いても、ある日突然鍵を替えられて締め出されることは法律上認められていません。一方で、裁判所からの書類を放っておくと、手続は借りる人の言い分を聞かないまま進みます。どちらの立場でも、流れを先に知っておくことが重要です。

02何か月の滞納で退去になる?法律に決まった月数はない

「家賃を何か月滞納すると強制退去になるか」という決まりは、法律にはありません。民法541条は、相手が債務を果たさないとき、相当の期間を定めて催告し、その期間内に果たされなければ契約を解除できると定めています。ただし、期間が過ぎた時点の不履行が軽微なときは解除できません。

建物の賃貸借は、当事者の信頼関係を土台にした長く続く契約です。そのため最高裁は、家賃の不払があっても、信頼関係を壊すとまではいえない特段の事情があれば、解除の効力を認めないという考え方をとってきました。昭和44年5月30日の判決では、11年以上きちんと払ってきた借りる人に対し、2か月目の不払の翌日に催告なしで出した解除を、信義に反し効力がないとしています(土地の賃貸借の事例です)。

逆に、長く払わない、連絡を絶つ、支払の約束を何度も破るといった事情が重なれば、信頼関係は壊れたと判断されやすくなります。何か月で必ず解除できるという線はないので、滞納の期間と金額、催告への対応、これまでの支払の経過を記録しておく必要があります。

03督促から強制執行までの流れ

全体の流れは、話し合いの段階と裁判所の段階に分かれます。督促と、期間を決めた催告・解除までは、貸す人と借りる人のやり取りです。借りる人が明け渡さなければ、明渡し請求訴訟を起こし、判決や和解を得て、強制執行を申し立てます。

家賃滞納から明渡しまでを5段階で並べた流れ図。督促は電話や書面で連絡、催告・解除は内容証明で通知、明渡し訴訟で判決や和解を得る、明渡しの催告で執行官が公示する、断行で期限後に占有を移す
図解明渡しは、判決や和解を得たうえで、執行官が催告と断行の2回に分けて行うのが基本です。拡大して見る ↗

途中で滞納分が払われたり、分割払の約束ができたりすれば、手続はその段階で止まることもあります。どの段階でも、借りる人と合意した内容は書面に残しておく必要があります。

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家賃滞納から明渡しまでの段階
段階すること主な根拠
督促電話や書面で支払を求め、連帯保証人や保証会社にも連絡する賃貸借契約
催告と解除期間を決めて支払を求め、払われなければ契約を解除する民法541条
明渡し請求訴訟裁判所に建物の明渡しと滞納家賃の支払を求める民事訴訟法
強制執行の申立て地方裁判所の執行官に書面で申し立てる民事執行法168条
明渡しの催告執行官が引渡しの期限(原則1か月後)を部屋に公示する民事執行法168条の2
断行期限の後、執行官が占有を解いて貸す人に移す民事執行法168条

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「民法」(第97条・第145条・第147条・第150条・第152条・第166条・第541条・第614条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民事執行法」(第22条・第168条・第168条の2)(確認日 2026年11月8日)/裁判所「不動産引渡(明渡)執行」(確認日 2026年11月8日)

04最初の督促:支払日と連絡先を確かめる

最初にすることは、契約書で支払日と支払方法を確かめ、入金がないことを借りる人に知らせることです。民法614条は、建物の家賃は特約がなければ毎月末に払うと定めていますが、実際の支払日は契約で決めているのが普通です。

連帯保証人がいれば保証人にも連絡し、家賃債務保証会社と契約していれば、その会社の決まった手順で滞納を知らせます。保証会社が立て替えて払っても、借りる人の債務がなくなるわけではありません。立て替えた分は、保証会社が借りる人に請求します。

督促の連絡は、深夜や早朝を避け、勤務先への連絡や、玄関への貼り紙で滞納を周りに知らせることはしません。国土交通省の家賃債務保証業者の登録制度でも、こうした行為を禁じる社内のルールを持つことが登録の審査で確かめられます。いつ、誰に、どの方法で連絡したかは、後の手続の証拠になるので必ず記録します。

05内容証明で催告し、契約を解除する

督促しても払われないときは、期間を決めて支払を求める催告をし、期間内に払われなければ契約を解除します。催告と解除を1通にまとめ、「期間内に支払がなければ、改めて通知することなく契約を解除する」と書く方法もあります。

この通知には、内容証明郵便がよく使われます。日本郵便の説明では、内容証明は、いつ、どんな内容の文書を、誰から誰あてに出したかを証明するものです。文書の中身が正しいことまで証明するものではありません。配達の記録を残すために配達証明を付けることもあります。

ただし、解除の通知は内容証明でなければ効力がないわけではありません。民法97条により、意思表示は相手に届いた時に効力を生じます。内容証明を使うのは、届いたことと内容を後で証明するためです。

06お金を払ってもらう手続と、出ていってもらう手続は別

裁判所の手続には、滞納した家賃を払ってもらうためのものと、部屋を明け渡してもらうためのものがあり、使える手続が違います。支払督促と少額訴訟は、お金の請求のための手続で、明渡しを求めることはできません。

支払督促は、簡易裁判所の書記官が書類だけで審査する手続です。借りる人が受け取ってから2週間以内に異議を出せば、通常の訴訟に移ります。少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求めるときに使え、原則として1回の審理で判決が出ます。

部屋を明け渡してもらうには、明渡し請求訴訟を起こします。滞納家賃の支払も同じ訴訟で求めることができます。

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家賃滞納で使う裁判所の手続
手続求められるものポイント
支払督促金銭など書類審査だけ。受け取ってから2週間以内の異議で通常の訴訟へ
少額訴訟60万円以下の金銭原則1回の審理。同じ簡易裁判所で年に使える回数に上限がある
明渡し請求訴訟建物の明渡し(滞納家賃も併せて請求できる)判決や和解が強制執行の前提になる

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「民事訴訟法」(第368条)(確認日 2026年11月8日)/裁判所「支払督促」(確認日 2026年11月8日)

07明渡し請求訴訟と和解

明渡し請求訴訟では、契約の解除が有効かどうかが主な争点になります。滞納の期間や金額、催告の内容、これまでの支払の経過を、契約書・入金記録・督促の記録・内容証明の控えで示します。

訴訟の途中で、分割で払いながら住み続ける、または期限を決めて退去する、といった和解がまとまることもあります。和解の内容は和解調書に記録され、確定した判決と同じように強制執行の根拠(債務名義)になります。民事執行法22条は、確定判決、仮執行の宣言を付した判決、和解調書などを債務名義として挙げています。

判決や和解調書で強制執行をするには、執行文を付けてもらう必要があります。裁判所の案内では、判決などの正本と送達証明書も、債務名義を作った裁判所で取り寄せます。

08強制執行:明渡しの催告から1か月後に断行

強制執行は、部屋のある場所を受け持つ地方裁判所の執行官に、書面で申し立てます。申立ての際は予納金を納めます。金額は裁判所や事件によって違うので、執行官室に確認してください。余った分は事件が終わった後に返されます。

申立てから原則として2週間以内に、執行官と申し立てた人が、手続を始める日を打ち合わせます。その日に執行官が部屋を訪ね、借りる人が住んでいることを確かめると、明渡しの催告をします。引渡しの期限は、原則として催告の日から1か月を経過する日で、その旨が部屋に公示されます。催告の後、借りる人は部屋の占有をほかの人に移すことができません。

期限が来ても退去しなければ、断行の日に執行官が占有を解きます。断行は、申し立てた人かその代理人が現場に来たときに限って行えます。執行官は、閉まった扉を開けるために必要な処分ができ、部屋に残った家財は借りる人などに引き渡し、引き渡せないときは売却や保管をします。

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明渡しの強制執行の進み方
段階期間・条件根拠
申立て地方裁判所の執行官に書面で。予納金は裁判所ごとに異なる裁判所の案内
執行日の打合せ申立てから原則2週間以内裁判所の案内
明渡しの催告引渡し期限は催告の日から1か月を経過する日(延長あり)民事執行法168条の2
断行申し立てた人か代理人の立会いが必要民事執行法168条3項
残った家財借りる人などに引き渡し、できなければ売却・保管民事執行法168条5項・6項

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「民事執行法」(第22条・第168条・第168条の2)(確認日 2026年11月8日)/裁判所「不動産引渡(明渡)執行」(確認日 2026年11月8日)

09鍵の交換・荷物の搬出はできない(自力救済の禁止)

裁判所の手続によらず、貸す人が自分の力で権利を実現することを自力救済といい、原則として許されません。滞納している借りる人の部屋の鍵を替える、留守中に入って荷物を運び出す、玄関に別の錠を付けて入れなくするといった行為がこれに当たります。

こうした行為は、借りる人から損害賠償を求められるおそれがあります。部屋に無断で入れば刑法130条の住居侵入、荷物を壊したり捨てたりすれば261条の器物損壊などの罪に問われることもあります。契約書に「滞納したら鍵を替えられる」と書いてあっても、手続を飛ばすことはできません。

自力で追い出す場合と強制執行を並べた比較図。自力で追い出す場合は、貸主・管理会社が行い、裁判所を通さず、鍵の交換や荷物の搬出を無断で行い、損害賠償や刑事責任を問われるおそれがある。強制執行は、執行官が行い、裁判所の手続を経て、鍵の解錠や家財の搬出も執行官が行い、適法に明け渡しが実現する
図解鍵を開けることも家財を運び出すことも、強制執行の中で執行官が行います。拡大して見る ↗

令和4年12月12日の最高裁判決も、借りる人が明渡しの義務を負っていないのに、法律に定める手続によらずに明渡しが実現したのと同じ状態に置かれるのは著しく不当だと述べています。家賃債務保証業者の登録の審査でも、無断で部屋に入ること、入居を完全に排除する物理的な措置、明渡しが終わる前の家財の搬出・処分を禁じるルールがあるかを確かめています。

10保証会社の「追い出し条項」と令和4年12月12日の最高裁判決

家賃債務保証会社の契約書には、滞納が続いたときに保証会社が賃貸借契約を解除したり、明渡しがあったとみなしたりできる条項が置かれていたことがあります。消費者団体がこうした条項の使用の差止めを求めた訴訟で、最高裁は令和4年12月12日に判決を出しました。

問題になったのは2つの条項です。1つは、滞納が家賃3か月分以上になったとき、保証会社が催告なしで賃貸借契約を解除できるという条項。もう1つは、2か月以上の滞納があり、連絡が取れず、電気・ガス・水道の使用状況などから長く使われていないと認められ、再び住む意思がないと客観的に見て取れるときに、借りる人が明示的に異議を述べない限り、明渡しがあったとみなせるという条項です。

最高裁は、どちらの条項も消費者契約法10条の、消費者の利益を一方的に害する条項に当たると判断し、保証会社にこれらの条項を含む契約をしないことなどを命じました。国土交通省も、登録している保証会社と業界団体に、同じような条項を使わないよう周知しています。

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最高裁判決で問題になった2つの条項
条項内容最高裁の判断
無催告解除の条項滞納が家賃3か月分以上で、保証会社が催告なしに賃貸借契約を解除できる消費者契約法10条に当たる
明渡しみなしの条項2か月以上の滞納などの4つの事情があれば、明渡しがあったとみなせる消費者契約法10条に当たる

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「消費者契約法」(第10条)(確認日 2026年11月8日)/裁判所 裁判例検索「最高裁判所第一小法廷 令和4年12月12日判決(令和3(受)987)」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」(確認日 2026年11月8日)

11家賃債務保証業者の登録制度

国土交通省は、平成29年10月に告示で家賃債務保証業者の登録制度をつくりました。一定の条件を満たした保証会社を国に登録し、その情報を公表して、保証会社を選ぶときの判断材料にしてもらう仕組みです。登録は任意で、登録していなくても家賃債務保証業は営めます。

登録は5年ごとの更新が必要です。登録規程は、保証会社は借りる人などの私生活や業務の平穏を害する言動をしてはならないと定め、審査では立て替えた家賃の請求の方法が適切かどうかも確かめます。規程は令和7年10月1日施行の改正で見直されています。

貸す人や管理会社が保証会社を選ぶときは、国土交通省の登録業者の一覧で登録の有無を確かめることができます。借りる人も、契約前に保証委託契約書の解除や明渡しに関する条項を読んでおくことが大切です。

12滞納家賃の時効は5年。ただし援用が必要

家賃の請求権も、長く請求しなければ時効で消えることがあります。民法166条は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で、債権が時効にかかると定めています。支払日が決まっている家賃は、貸す人がその日を知っているので、通常は各月の支払日から5年です。

ただし、期間が過ぎただけで自動的に消えるわけではありません。民法145条により、借りる人が時効を援用しなければ、裁判所は時効を理由に判断できません。また、期間の途中で裁判を起こしたり、借りる人が滞納を認めたりすると、時効の完成が止まったり、最初から数え直しになったりします。

貸す人は、滞納を放置せず、記録を残しながら請求することが必要です。借りる人も、古い滞納だから払わなくてよいと決めつけず、いつの分がいくら残っているかを確かめてください。

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滞納家賃の時効のしくみ
項目内容条文
時効の期間知った時から5年、行使できる時から10年民法166条1項
援用借りる人が援用しなければ、裁判所は時効で判断できない民法145条
催告催告の時から6か月は時効が完成しない(再度の催告では延びない)民法150条
裁判上の請求・支払督促手続の間は完成せず、判決などで権利が確定すると数え直し民法147条
承認借りる人が滞納を認めると、その時から数え直し民法152条

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「民法」(第97条・第145条・第147条・第150条・第152条・第166条・第541条・第614条)(確認日 2026年11月8日)

13管理会社ができること・できないこと

管理会社は、オーナーから任された範囲で、入金の確認、借りる人への支払の案内や督促の連絡、オーナーへの報告と記録の整理を行います。滞納の早い段階での連絡は、管理会社の役割の中心です。

一方、弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律上の争いについて代理や和解などの法律事務を扱うことを業とすることを禁じています。借りる人が支払を争っている、解除や明渡しの交渉が必要になった、という段階で、管理会社がオーナーの代理人として交渉や和解をまとめることは、この規定に触れるおそれがあります。

訴訟や強制執行の申立ては、オーナー本人が行うか、弁護士に依頼します。鍵の交換や家財の搬出は、管理会社であってもオーナーであってもできません。

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家賃滞納での管理会社の対応
できることできないこと・避けること
入金の確認と、未入金の連絡報酬を得てオーナーの代理人として争いの交渉・和解をまとめること
委託の範囲での支払の案内・督促オーナーに代わって訴訟を起こすこと
督促の記録とオーナーへの報告深夜・早朝の訪問や、貼り紙で滞納を周りに知らせること
弁護士への相談をオーナーに勧めること鍵の交換や家財の搬出

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「弁護士法」(第72条)(確認日 2026年11月8日)

14賃管の試験ではこう問われる

家賃の滞納と明渡しは、賃貸不動産経営管理士(賃管)の試験でもよく出る分野です。賃管は賃貸住宅の管理の専門家の資格で、管理会社で滞納の対応を受け持つ人に求められる知識でもあります。最後に、借りる人の側で滞納してしまったときの考え方と、試験での問われ方を確かめます。

払えなくなった借りる人は、支払日の前に貸す人や管理会社に連絡し、いつまでにいくら払えるかを伝えて相談します。裁判所から支払督促や訴状が届いたら、放置せず必ず中身を確認してください。支払督促は、受け取ってから2週間以内に異議を出さないと、貸す人が仮執行の宣言を申し立てられるようになり、強制執行へ進むことができます。

試験では、令和4年度の問20で、支払日を知っている通常の場合の家賃の請求権は5年の時効にかかるという記述が正しいとされました。令和5年度の問7では、滞納が3か月分以上になったら無催告で解除し、残った荷物を任意に処分できるという約定が不適切とされています。令和6年度の問18では、解除の通知は内容証明でなければ効力がないという記述が誤りでした。一問一答で、自力救済や手続の順序を自分で判断できるか確かめてください。

よくある質問

家賃を何か月滞納すると強制退去になりますか。

法律に決まった月数はありません。催告しても払われず、当事者の信頼関係が壊れたといえる場合に解除が認められ、そのうえで明渡し請求訴訟と強制執行を経て退去になります。

滞納している借主の部屋の鍵を替えてもよいですか。

できません。裁判所の手続によらない自力救済に当たり、損害賠償を求められたり、住居侵入などの罪に問われたりするおそれがあります。明渡しは強制執行の手続で執行官が行います。

強制執行で実際に退去になるまで、どのくらいかかりますか。

裁判所の案内では、申立てから原則2週間以内に執行日を打ち合わせ、明渡しの催告から原則1か月を経過する日が引渡しの期限です。訴訟にかかる期間は事件ごとに違います。

滞納した家賃に時効はありますか。

支払日が決まっている家賃は、通常は各月の支払日から5年で時効にかかり得ます。ただし借りる人が援用しなければ消えず、裁判上の請求や滞納の承認があると時効は止まったり数え直しになったりします。

保証会社が家賃を払ってくれたら、滞納はなくなりますか。

なくなりません。保証会社が立て替えた分は、保証会社から借りる人に請求されます。また、保証会社が催告なしで契約を解除したり明渡しがあったとみなしたりする条項は、令和4年12月12日の最高裁判決で消費者契約法10条に当たるとされました。

確認した公的情報

この記事の参照元

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