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実務・開業2026年版

賃貸住宅標準管理受託契約書の読み方|管理委託契約書の条項と法14条の書面【2026年版】

2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

アパートやマンションのオーナーが管理会社に管理を任せるとき、国土交通省が示すひな形が「賃貸住宅標準管理受託契約書」です。賃貸住宅管理業法の義務が契約の条項に組み込まれているので、管理会社の担当者は契約書づくりの土台に、オーナーは契約内容を確かめる物差しに、受験生は法律の条文を具体的な場面で思い出す材料に使えます。この記事では、2026年11月8日時点で国土交通省のポータルサイトに載っている版をもとに、条項の並びと読み方、法14条の書面との関係、特約を付けるときの注意点を整理します。

公開日
2026年11月8日
更新日
2026年11月8日
読了目安
約22分
法令基準日
2026年4月1日
情報確認日
2026年11月8日
標準管理受託契約書の記事カバー

先に結論

賃貸住宅標準管理受託契約書は、オーナー(委託者)と賃貸住宅管理業者が1棟全体の管理を委託・受託するときの国土交通省のひな形です。頭書の空欄と26の条で、委託業務の範囲、管理報酬、家賃・敷金の引渡しと分別管理、再委託、定期報告、更新と解除などを決めます。使う義務はなく、実情に応じて加除・修正して使うものとされています。法14条1項と施行規則35条の記載事項を備えた契約書なら、それを締結時の書面として交付できます。

この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 国土交通省が示す、オーナーと管理業者の管理受託契約のひな形
  • 頭書の空欄に業務・報酬・報告の中身を書き、本文26条で権利義務を定める
  • 記載事項がそろえば、法14条の締結時の書面として交付できる
  • 特約で法律の義務(全部の再委託の禁止・定期報告など)を外すことはできない

01結論:管理委託契約書の「国のひな形」

賃貸住宅標準管理受託契約書は、賃貸住宅のオーナーが、維持保全や家賃の管理を賃貸住宅管理業者に任せるときに使う契約書のひな形です。国土交通省が賃貸住宅管理業法のポータルサイトで、PDFとWordの形で公開しています。

このひな形は、法律で使うよう決められた書式ではありません。国土交通省のコメントは、賃貸住宅に共通する標準的な契約内容を定めたもので、実際には個々の状況に応じて内容を加えたり削ったりして使うものだとしています。地域の慣行や建物の構造によって契約内容が違うことも前提にしています。

一方で、ひな形には管理業者が法律上守る義務が契約上の義務として書き込まれています。条項を読み進めると、管理業法の13条から20条までがどの場面で働くのかを確認できます。

02位置づけ:似た名前のひな形と区別する

国土交通省は平成30年3月30日、賃貸住宅管理業者の任意の登録制度にあわせて「賃貸住宅標準管理委託契約書」を策定しました。それまで使われていた平成6年作成の「住宅の標準賃貸借代理及び管理委託契約書」から、代理の業務を外して作り直したものです。

賃貸住宅管理業法の登録制度が令和3年6月に始まった後、ポータルサイトに載っているのが「受託」の名前を持つ現在のひな形です。管理業者が受託する側として法律の義務を負うことが、条項の前提になっています。検索で「標準管理委託契約書」と出てくる資料には、古い版や別の種類のものも混ざるので注意してください。

とくに「マンション標準管理委託契約書」は、分譲マンションの管理組合がマンション管理業者に管理を委託するためのもので、賃貸住宅のオーナー向けではありません。サブリース(借り上げ)の場合は、管理の委託ではなく賃貸借になるので、別のひな形を使います。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

国土交通省が示す、名前の似たひな形
ひな形契約の当事者主な根拠の法律
賃貸住宅標準管理受託契約書オーナーと賃貸住宅管理業者賃貸住宅管理業法(管理受託)
特定賃貸借標準契約書オーナーとサブリース業者賃貸住宅管理業法(特定賃貸借)
賃貸住宅標準契約書貸主と入居者民法・借地借家法
マンション標準管理委託契約書管理組合とマンション管理業者マンション管理適正化法

この節・表の確認資料: 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(作成にあたっての注意点・コメント付き)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「よくある質問」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』を策定しました」(平成30年3月30日)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)

03構成:頭書の空欄と本文26条

ひな形は、当事者の欄、頭書、本文の26の条、住戸明細表でできています。当事者の欄には、委託者(甲)、管理業者(乙)の登録年月日と登録番号、業務管理者の氏名と連絡先を書きます。

頭書は(1)から(11)までの空欄で、契約ごとに変わる中身をここに書き込みます。本文の条は「頭書の記載に従い」と頭書を参照する形になっているので、本文だけ読んでも契約の中身は分かりません。頭書と条を対にして読む必要があります。

注意点の資料によると、ひな形は管理業法2条1項の賃貸住宅の1棟全体を対象にしています。PDFには、頭書の書き方を説明した「作成にあたっての注意点」と、条ごとの考え方を書いた「コメント」が付いています。

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頭書の欄と、それを使う本文の条
頭書の欄書く内容対応する主な条
(1)管理業務の対象となる賃貸住宅1条(契約の締結)
(2)契約期間2条(契約期間)・3条(更新)
(3)管理業務の内容・実施方法・再委託項目9条(業務の内容)・13条(再委託)
(4)(5)管理報酬・管理業務に要する費用4条・5条
(6)(7)家賃・敷金等の引渡し、分別管理の方法7条・10条
(8)定期報告の内容と頻度15条(報告等)
(9)入居者への周知の内容と方法23条(入居者への対応)
(10)(11)管轄裁判所・特約25条・26条

この節・表の確認資料: 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(作成にあたっての注意点・コメント付き)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「よくある質問」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』を策定しました」(平成30年3月30日)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)

04委託業務の範囲:頭書(3)を具体的に書く

委託する業務は、頭書(3)の表に「点検・清掃等」「修繕等」「家賃等の徴収等」「その他」の区分で書きます。区分ごとに、実施する箇所、内容と頻度、管理業者が自分で行うか他に委託するか、委託するなら委託先を記入します。注意点の資料は、甲と乙が協議して、できるだけ具体的に書くよう求めています。

管理業法の「管理業務」は、維持保全(点検・清掃・必要な修繕)と、それと併せて行う家賃・敷金などの金銭の管理です(2条2項)。家賃の集金だけを受ける場合は、法律上の管理業務には当たりません。ひな形は維持保全を含む委託を前提にしています。

代理の範囲は14条で決まります。家賃・敷金などの徴収、未収金の督促、入居者からの通知の受領に加え、賃貸借の更新、修繕費用の負担や原状回復についての入居者との協議があり、後の3つは事前に甲と協議して承諾を得る必要があります。ただし、入居者との間で紛争になった場合は、弁護士法72条の非弁行為に当たるので、管理業者はその業務を続けられないとコメントは注意しています。

鍵の管理は甲が行うのが原則で(12条)、管理業者が鍵を保管するなら特約に書きます。災害などで甲の承認を待てない緊急の業務は、管理業者が先に実施し、内容と費用を書面で知らせます(11条)。

05管理報酬と費用:報酬以外に何を払うか

管理報酬は頭書(4)に書きます。ひな形は「家賃及び共益費の○%」の形を想定していますが、コメントは、家賃が低い地方の物件では1棟あたりの定額も考えられるとし、清掃や修繕の報酬を別に設けることも妨げないとしています。報酬の額と支払時期・方法は、締結時の書面に必ず書く事項です。

4条2項は、甲の責任ではない理由で業務ができなくなったときや、業務が途中で終わったときに、それまでに行った割合に応じて報酬を払うと定めています。民法648条3項と同じ考え方です。

報酬のほかに甲が負担する費用は頭書(5)に書きます。注意点の資料は、空室のときの水道光熱費や更新の手数料を例に挙げています。管理業者が立て替えた費用は甲が償還しますが、1件あたり頭書で決めた額を超えるものは、あらかじめ甲と協議する必要があります(6条)。報酬に含まれる業務と別料金の業務の線引きは、契約前に確認してください。

06敷金・家賃の管理:引渡しと分別管理

管理業者が入居者から受け取った敷金などは、頭書(6)の口座へ速やかに振り込んで甲に引き渡し、家賃は毎月、頭書の期日までに引き渡します(7条)。管理報酬を家賃から差し引くのは、あらかじめ甲の承諾を得ている場合に限られます。

引き渡すまでの家賃・敷金などは、管理業者の固有財産や他のオーナーの財産と分けて管理しなければなりません(10条、管理業法16条)。国土交通省の解釈・運用の考え方は、家賃等を管理する口座を固有財産の口座と別にしたうえで、管理受託契約ごとに金銭の出入りを区別した帳簿を作る必要があるとしています。

ただし、家賃等の口座に入った家賃から管理報酬分を自社の口座に移すときのように、一時的に両方が同じ口座にある状態は差し支えないとされています。その場合も、速やかに移し替えることが条件です。頭書(7)には、こうした実際の方法を書きます。

07再委託:一部はできるが、全部はできない

13条は、頭書(3)で委託先を決めた業務の一部なら、管理業者が他の者に再委託できるとしています。一方、業務を一括して他の者に委託することはできません。管理業法15条が、委託を受けた管理業務の全部の再委託を禁じているためです。

コメントと解釈・運用の考え方は、時期を分けて結果的に全部を再委託することや、複数の業者に分けて全部を委託することも禁止に当たるとしています。自分では管理業務を一切行わない形になれば、違反です。

再委託先は賃貸住宅管理業者である必要はありませんが、再委託した業務について、管理業者は自分で行ったのと同じ責任を甲に負います(13条3項)。再委託先の指導監督も管理業者の仕事です。

08定期報告:法律の下限と契約の取り決め

15条1項は、頭書(8)で合意した期日と頻度で、管理業者が甲に管理業務を報告すると定めています。法律側の下限は施行規則40条で、管理受託契約を結んだ日から1年を超えない期間ごと、および契約期間の満了後遅滞なく、管理業務報告書を交付して説明する必要があります。

報告書には、対象の期間、管理業務の実施状況、入居者からの苦情の発生状況と対応状況を書きます。コメントは、毎月の家賃の受領は毎月、建物・設備の維持管理の状況は四半期ごとに報告するといった例を挙げています。頭書(8)は、この下限を下回らないように書きます。

法律が決めていることと契約で決めることを同じ項目で並べた比較図。再委託は、法律が全部の再委託を禁止し、契約で一部の範囲と委託先を決める。定期報告は、法律が1年を超えない期間ごとと決め、契約で内容と頻度を合意する。分別管理は、法律が固有財産と分けることを求め、契約で口座と帳簿の方法を書く。契約の終了は、法律に定めはなく、契約で何か月前に申し入れるかを決める
図解法律が下限を決め、ひな形の空欄でその上に具体的な中身を書き込む関係です。拡大して見る ↗

定期の報告とは別に、甲は必要があれば随時、実施状況の報告や関係書類の提示を求めることができます(15条2項・3項)。報告の方法も、内容に合ったものを管理業者が決めておくことが望ましいとされています。

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定期報告の決まり(法令とひな形)
項目法令(法20条・規則40条)ひな形(15条・頭書(8))
頻度契約日から1年を超えない期間ごと、満了後遅滞なく甲と合意した期日・頻度
方法管理業務報告書を交付して説明(承諾があれば電磁的方法)報告内容に合った方法
書く事項期間・実施状況・苦情の発生と対応家賃の収受、維持保全、法定点検、苦情対応など
随時の報告定めなし甲が必要と認めるとき求められる

この節・表の確認資料: 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(作成にあたっての注意点・コメント付き)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「よくある質問」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』を策定しました」(平成30年3月30日)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)

09契約期間・更新・解除:終わり方を先に決める

契約期間は頭書(2)に書き、更新は甲と乙の合意で行います(2条・3条)。更新したいときは満了日までに文書で申し出て、内容について別に合意しなければ、同じ内容で更新したことになります。管理受託契約は委任の性質を持つ契約で、借地借家法の更新の規定はかかりません。

解除は2つの形です。相手が義務を果たさないときは、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ解除できます。反社会的勢力の排除の確約に反したときや、信頼関係を壊す特段の事情があるときは、催告なしで解除できます(20条)。

21条は、少なくとも何か月前に文書で解約を申し入れれば契約を終えられるとし、甲は何か月分かの管理報酬に当たる額を払えば随時終えられるとしています。月数は空欄なので、契約ごとに決める必要があります。民法651条は委任をいつでも解除できると定め、不利な時期の解除などには損害賠償が要るとしています。契約が終わったら、管理業者は書類と預かっている金銭を引き渡し、家賃の滞納状況を報告します(22条)。

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契約を終わらせる方法(ひな形の条項)
方法要件条項
期間満了満了日までに更新の申出がなく、合意もない2条・3条
催告による解除義務を果たさず、催告の期間内にも履行がない20条1項
催告なしの解除反社会的勢力の確約違反、信頼関係を壊す事情など20条2項
解約の申入れ空欄の月数前までに文書で申し入れる21条1項
甲からの随時の解約空欄の月数分の管理報酬相当額を払う21条2項

この節・表の確認資料: 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(作成にあたっての注意点・コメント付き)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「よくある質問」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』を策定しました」(平成30年3月30日)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)

10賃貸住宅管理業法14条の書面との関係

管理業法14条1項は、管理受託契約を結んだら、遅滞なく、対象の賃貸住宅、管理業務の実施方法、契約期間、報酬、更新・解除の定め、その他省令の事項を書いた書面を委託者に交付するよう定めています。省令の事項(施行規則35条)は、管理業者の商号と登録番号、管理業務の内容、一部の再委託の定め、責任と免責の定め、定期報告、入居者への周知です。

コメントは、ひな形にはこれらの事項が書かれているので、ひな形を委託者に交付すれば14条の書面を交付したことになると考えられる、としています。解釈・運用の考え方も、記載事項がそろった契約書をこの書面とすることができるとしています。ただし、空欄を埋めずに交付すれば記載事項が欠けます。

締結前の重要事項説明の書面(13条)と締結時の書面は、交付する時期が違うので、1つの書面にまとめることはできません。重要事項説明の進め方は、管理受託契約の重要事項説明の記事で扱っています。14条の書面を交付しない、記載事項を欠く、虚偽を書くといった違反は、30万円以下の罰金の対象です(44条4号)。

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締結時の書面の記載事項と、ひな形で書く場所
記載事項(法14条1項・規則35条)ひな形の場所
管理業務の対象となる賃貸住宅頭書(1)・住戸明細表
管理業務の内容・実施方法頭書(3)・9条
契約期間頭書(2)・2条
報酬の額・支払時期・方法頭書(4)・4条
更新・解除の定め3条・20条・21条
商号・登録年月日・登録番号当事者の欄
一部の再委託の定め頭書(3)・13条
責任と免責の定め18条(善管注意義務)
定期報告頭書(8)・15条
入居者への周知頭書(9)・23条

この節・表の確認資料: 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(作成にあたっての注意点・コメント付き)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「よくある質問」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』を策定しました」(平成30年3月30日)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)

11契約を変えるとき・古い契約を引き継ぐとき

契約期間中や更新のときに説明事項の中身を変える場合は、変更した事項について、重要事項説明と締結時の書面の交付をやり直す必要があります。契約の同じ内容のまま期間だけ延ばす場合や、組織に変更のない商号の変更などの形式的な変更なら、どちらも行わなくて差し支えないとされています。

法施行前に結んだ契約で、施行後に全部の事項の説明や書面の交付をしていないものは、内容を変えるときに全部の事項について行う必要があります。施行前の契約を内容を変えずに続けるだけなら、改めて行う必要はありません。施行前の契約には、14条の書面と20条の定期報告の規定は適用されず、15条の再委託の禁止や16条の分別管理は適用されます(法附則3条)。

相続やオーナーチェンジで委託者が変わったときは、同じ内容で契約が引き継がれても、新しい委託者に契約内容が分かる書類を遅滞なく交付することが望ましいとされています。新しい委託者との間で内容を変えるなら、変更した事項の説明と書面の交付が必要になる点も確認してください。

12特約を付けるときの注意

ひな形は26条と頭書(11)に特約の欄を置き、標準の条項で足りない部分を特約で補うことを想定しています。コメントは、事故や大規模災害のときの不定期の清掃・補修のように、通常の業務以外を頼む場合は、業務の内容と対価、支払方法を特約に書くことが望ましいとしています。

ただし、特約で法律の義務を外すことはできません。全部の再委託を認める特約、定期報告をしないとする特約、家賃等を固有財産と分けずに管理するとする特約を書いても、管理業者の法律上の義務はなくなりません。特約は、法律の下限の上に中身を足すものとして使います。

特約の内容は、締結前の重要事項説明で説明した内容と食い違わないようにする必要があります。管理業者の責任を軽くする免責の特約を置くなら、締結時の書面の記載事項になります。コメントは、損害賠償の争いを避けるために、事前に協議して賠償責任保険に入ることなども望ましいとしています。

管理受託契約の流れを左から右へ並べた図。重要事項説明(契約前に書面で説明)、契約締結(ひな形に記入して合意)、締結時書面(遅滞なく交付)、定期報告(1年を超えない期間ごと)、契約終了(書類・金銭を引渡し)。締結時書面を強調
図解標準管理受託契約書は、契約の締結から終了までの各段階で、管理業法の義務を契約の条項に置き換えています。拡大して見る ↗

13試験での出方:条文とひな形を結びつける

賃貸不動産経営管理士試験の実施要領は、出題範囲の6項目の最初に「管理受託契約に関する事項」を置いています。ひな形そのものの細かい文言よりも、ひな形に組み込まれた管理業法の義務が問われやすい形です。たとえば、締結時の書面の記載事項、全部の再委託の禁止、分別管理の方法、定期報告の頻度、重要事項説明書と締結時の書面を一体にできないことが典型です。

ひな形の条項が問われるときも、法律との関係で読み解けます。報酬の履行割合の考え方は民法648条3項、立替費用の償還は民法の委任の費用償還、鍵の管理は甲の責任といった具合です。代理の業務でも入居者と紛争になれば非弁行為に当たる点は、条文の知識だけでは出てこないので注意してください。

選択肢では、「定期報告は契約で決めれば2年ごとでもよい」「一部の再委託も禁止される」「重要事項説明書と締結時の書面は1通にまとめられる」のように、数字や範囲をずらして誤りが作られます。

  • 締結時の書面:法14条1項の5項目+規則35条の事項。記載がそろえば契約書で代えられる
  • 再委託:一部は可、全部(分割して全部も)は不可
  • 定期報告:契約日から1年を超えない期間ごと+満了後遅滞なく
  • 分別管理:口座を分け、契約ごとに帳簿で区別する

14管理受託契約の論点を問題で確かめる

ひな形を読んだら、条文の知識として取り出せるかを問題で確かめます。合トレの一問一答では、管理受託契約の重要事項説明、締結時書面、財産の分別管理、委託者への定期報告を論点ごとに解けます。間違えた問題は復習の一覧に残ります。

解くときは、問われているのが法律の義務か、契約で決める中身かを区別します。法律の義務なら特約でも外せない、契約の中身なら当事者の合意で決まる、という線引きが、多くの選択肢を見分ける手がかりになります。

よくある質問

賃貸住宅標準管理受託契約書とは何ですか。

オーナーが賃貸住宅1棟の管理を賃貸住宅管理業者に委託するときの、国土交通省のひな形です。賃貸住宅管理業法のポータルサイトでPDFとWordが公開されています。

標準管理受託契約書を使わなければいけませんか。

使う義務はありません。国土交通省は、個々の状況に応じて内容を加除・修正して使うものとしています。ただし、法律の義務は契約書の形にかかわらず守る必要があります。

管理委託契約書を締結時の書面として交付できますか。

法14条1項と施行規則35条の記載事項がそろっていれば、その契約書を締結時の書面とすることができます。重要事項説明書とは1つにまとめられません。

マンション標準管理委託契約書とは違いますか。

違います。マンション標準管理委託契約書は、分譲マンションの管理組合がマンション管理業者に委託するためのひな形で、賃貸住宅のオーナー向けではありません。

定期報告の頻度は契約で自由に決められますか。

法令の下限があります。契約日から1年を超えない期間ごと、および契約期間の満了後遅滞なく報告する必要があり、それより多い頻度を契約で決めるのは自由です。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。