2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

実務・開業2026年版

行政書士に告訴状・時効の援用・交通事故は頼める?書類作成の範囲と非弁の線引き【2026年版】

2026年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

告訴状を出したい、古い借金の時効を主張したい、交通事故の保険金を請求したい。どれも書類が要る場面で、行政書士に頼めるかどうかがよく問われます。答えは、書類を作るところまでは頼めて、相手との交渉や代理は頼めない、です。この記事では、行政書士法・弁護士法・刑事訴訟法・民法・自動車損害賠償保障法の条文と最高裁の判例で、その線を確かめます。

公開日
2026年11月8日
更新日
2026年11月8日
読了目安
約14分
法令基準日
2026年4月1日
情報確認日
2026年11月8日
告訴状・時効の援用・交通事故と行政書士の記事カバー

先に結論

行政書士は、官公署に出す書類と、権利義務・事実証明に関する書類を作れます(行政書士法1条の3)。日本行政書士会連合会は、告訴状・告発状を権利義務に関する書類の例に挙げ、交通事故では自賠責の被害者請求や示談成立後の示談書の作成を業務として案内しています。時効の援用の通知も、本人の意思表示を書面にする書類です。ただし、相手が争っていて交渉で解決しなければならない案件の代理や交渉は、弁護士法72条により弁護士の領域です。検察庁や裁判所に出す書類は、司法書士法3条1項4号の業務にあたります。

この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 告訴状:警察(司法警察員)に出す告訴状の作成は頼める。検察庁に出す書類は司法書士法の業務
  • 時効の援用:援用の通知書は作れる。債権者が争う・裁判になった場合は弁護士や司法書士へ
  • 交通事故:自賠責の被害者請求(自賠法16条)の書類は作れる。示談交渉や保険会社との交渉はできない
  • 線引きの基準は、交渉で解決しなければならない法的紛議がほぼ避けられないか(最決平成22年7月20日)

01結論:3つとも書類の作成は頼める。交渉と代理は頼めない

告訴状、時効の援用の通知、交通事故の自賠責の請求書類は、どれも行政書士に作成を頼めます。行政書士法1条の3が、官公署に提出する書類と、権利義務・事実証明に関する書類の作成を行政書士の業務としているからです。

ただし、書類を作れることと、相手と交渉できることは区別します。相手が請求を争っていて、交渉で解決しなければならない段階に入った案件の代理や交渉は、弁護士法72条により弁護士の業務です。検察庁や裁判所に出す書類の作成は、司法書士法の業務にあたります。

行政書士に頼めることと弁護士に頼む場面を4項目で並べた比較図。行政書士に頼めるのは、告訴は告訴状の作成、時効は援用通知の作成、交通事故は被害者請求の書類、示談は成立後の示談書。弁護士に頼む場面は、告訴は加害者との示談交渉、時効は債権者との交渉、交通事故は保険会社との交渉、示談は条件の交渉
図解行政書士が担うのは本人の意思を書類にする部分で、相手との交渉が要る場面は弁護士に頼みます。拡大して見る ↗

3つの依頼を、行政書士に頼める部分と、ほかの専門家に頼む部分に分けると次の表になります。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

告訴状・時効の援用・交通事故で行政書士に頼める部分
依頼行政書士に頼めるほかの専門家の領域根拠
告訴状・告発状警察(司法警察員)に出す告訴状・告発状の作成検察庁に出す書類の作成(司法書士)、争いの交渉(弁護士)行政書士法1条の3、司法書士法3条1項4号・73条
時効の援用援用の意思を伝える通知書の作成債権者が争う場合の交渉、訴訟・支払督促への対応民法145条、弁護士法72条
交通事故自賠責の被害者請求の書類、事実調査報告書、示談成立後の示談書示談交渉、保険会社との交渉、訴訟自賠法16条、弁護士法72条

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「行政書士法」1条の3・1条の4(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「弁護士法」72条・77条(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「司法書士法」3条・73条(確認日 2026年11月8日)/日本行政書士会連合会「行政書士の業務」(確認日 2026年11月8日)/日本行政書士会連合会「契約書」(交通事故・内容証明・債権債務)(確認日 2026年11月8日)

03弁護士法72条:線を引くのは「交渉で解決しなければならない争い」があるか

弁護士法72条は、弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訟事件、行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して、鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を扱うことを業とすることを禁じています。違反すると、77条により2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。

どこからが「その他一般の法律事件」かについて、最高裁は平成22年7月20日の決定で、ビルの所有者から頼まれて賃借人と立ち退きを交渉した事案を、交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件にあたるとしました。日行連も内容証明の案内で、この種の案件を除くと書いています。

最高裁は昭和38年6月13日の判決で、72条に抵触する委任契約は民法90条に照らして無効としています。依頼する側にとっても、頼む相手と頼む行為を合わせることが必要です。72条の要件の詳しい読み方は、非弁行為の記事で扱います。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

3つの依頼で弁護士法72条が問題になる場面
依頼書類作成にとどまる例72条が問題になる例
告訴状被害の事実と処罰を求める意思を書面にする加害者と示談金の額を交渉する、告訴の取下げを条件に交渉する
時効の援用時効を援用する意思を通知書にする債権者が時効を争い、承認の有無などを交渉する
交通事故保険会社に出す請求書類をそろえる過失割合や賠償額を相手方・保険会社と交渉する

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「弁護士法」72条・77条(確認日 2026年11月8日)/日本行政書士会連合会「契約書」(交通事故・内容証明・債権債務)(確認日 2026年11月8日)/最高裁判所第一小法廷 平成22年7月20日決定(平成21(あ)1946)(確認日 2026年11月8日)/最高裁判所第一小法廷 昭和38年6月13日判決(昭和37(オ)1460)(確認日 2026年11月8日)

04告訴・告発・被害届の違い:出せる人と法律上の効果が違う

刑事訴訟法230条は、犯罪により害を被った者は告訴をすることができるとしています。被害者の法定代理人も独立して告訴でき、被害者が亡くなったときは配偶者や直系の親族、兄弟姉妹も告訴できます(231条)。告発は、被害者でなくても、犯罪があると思う人は誰でもできます(239条)。

被害届は、犯罪の被害を警察に届け出るものです。犯罪捜査規範61条は、警察官は被害の届出を受理しなければならないとしています。一方、告訴・告発には、検察官が起訴したかどうかを告訴人・告発人に通知する義務(刑事訴訟法260条)など、被害届にはない決まりがあります。

親告罪は、告訴がなければ起訴できない罪です。どの罪が親告罪かは刑法などの各条で決まるので、事件ごとに確かめる必要があります。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

告訴・告発・被害届の比較
項目告訴告発被害届
出せる人被害者、法定代理人など(刑事訴訟法230条〜233条)誰でも(239条)被害を受けた人
出す先検察官又は司法警察員(241条)検察官又は司法警察員(241条)警察
警察の扱い受理しなければならない(犯罪捜査規範63条)受理しなければならない(同63条)受理しなければならない(同61条)
結果の通知起訴・不起訴を通知(260条)起訴・不起訴を通知(260条)法律上の通知義務の定めはない

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「刑事訴訟法」230条〜242条・260条・261条(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「犯罪捜査規範」61条・63条〜66条(確認日 2026年11月8日)

05告訴状を行政書士に頼むとき:警察に出すか検察庁に出すかで変わる

告訴は、書面又は口頭で、検察官又は司法警察員にします(刑事訴訟法241条)。警察(司法警察員)に出す告訴状は、官公署に出す書類として行政書士が作れます。

一方、検察庁に出す場合は注意が必要です。司法書士法3条1項4号は「裁判所若しくは検察庁に提出する書類」の作成を司法書士の業務とし、73条は司法書士でない者がこの業務を行うことを禁じています。行政書士法1条の3第2項は他の法律で制限された書類を除くので、検察庁あての告訴状は司法書士か弁護士に頼みます。

書類を作ることと、告訴の代理人になることも区別します。刑事訴訟法240条は代理人による告訴を認め、犯罪捜査規範66条は代理人から告訴を受けるときに委任状を出させるとしています。ただし、行政書士法1条の4の提出代理は、法律事件に関する法律事務にあたるものを除いています。代理まで頼むときは、その範囲を依頼先に確認してください。

06告訴状に書くことと、出す前に確かめる期限

告訴状の中心は、誰が、いつ、どこで、何をして、どんな被害が出たかという犯罪事実と、処罰を求める意思です。犯罪捜査規範65条は、書面の告訴でも趣旨が不明なときは補充の書面を出させるとしているので、事実を時系列で特定し、証拠と結びつけて書くことが重要です。

期限と取消しにも決まりがあります。親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を過ぎるとできません(刑事訴訟法235条)。告訴は公訴の提起があるまで取り消せますが、取り消した人は同じ事件で再び告訴できません(237条)。

事実と違う内容で告訴すると、刑法172条の虚偽告訴罪になりえます。人に刑事の処分を受けさせる目的で虚偽の告訴をした者は、3月以上10年以下の拘禁刑です。行政書士は聞き取った事実を書面にしますが、事実そのものは本人が確かめる必要があります。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

告訴の期限・取消し・注意点
決まり内容条文
親告罪の告訴期間犯人を知った日から6か月を過ぎるとできない刑事訴訟法235条
告訴の取消し公訴の提起まで取り消せる。取り消すと再び告訴できない刑事訴訟法237条
代理人による告訴代理人による告訴ができる。警察は委任状を出させる刑事訴訟法240条、犯罪捜査規範66条
虚偽の告訴3月以上10年以下の拘禁刑刑法172条

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「刑事訴訟法」230条〜242条・260条・261条(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「刑法」172条(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「犯罪捜査規範」61条・63条〜66条(確認日 2026年11月8日)

07告訴状を出した後:警察から検察へ送られ、処分が通知される

犯罪捜査規範63条は、司法警察員たる警察官は、告訴・告発をする者があったときは、管轄区域内の事件かどうかを問わず受理しなければならないとしています。告訴状を出す先は、事件の起きた場所の警察署に限られるわけではありません。

司法警察員は、告訴・告発を受けたときは、速やかに関係する書類と証拠物を検察官に送付しなければなりません(刑事訴訟法242条)。検察官は、起訴したか、起訴しない処分をしたかを、速やかに告訴人に通知します(260条)。

起訴しない処分のときは、告訴人が請求すれば、検察官は速やかにその理由を告げなければなりません(261条)。結果を知る手段が法律で決まっている点は、被害届との大きな違いです。

告訴の流れを左から右へ5段階で示した図。事実を整理(日時・場所、被害・証拠)、告訴状作成(犯罪事実を特定する)、警察へ提出(司法警察員が受理)、検察へ送付(書類と証拠を送る)、処分の通知(起訴の有無を知らせる)。警察へ提出が強調されている
図解告訴状は警察で受理され、書類と証拠物が検察官に送られ、起訴したかどうかが告訴人に通知されます。拡大して見る ↗

08消滅時効の援用:期間が過ぎても、援用しなければ債務は消えない

民法166条1項は、債権は、権利を行使できることを知った時から5年間、又は権利を行使できる時から10年間行使しないと、時効によって消滅するとしています。ただし、期間が過ぎただけで債務が消えるわけではありません。民法145条により、時効は当事者が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判をすることができません。

援用は、時効の利益を受けるという意思を相手に示すことです。いつ、どんな内容を伝えたかを後で示せるよう、内容証明郵便で送る方法があります。この通知は、本人の意思表示を内容とする権利義務に関する書類として、行政書士が作れます。

期間には経過措置があります。民法の改正は2020年4月1日に施行され、それより前に生じた債権の消滅時効の期間と援用は、改正前の例によります(改正法附則10条)。古い借金ほど、いつ生じた債権かを確かめてください。

09援用の前に確かめる3つ:裁判・承認・最後の支払い

時効の援用で失敗しやすいのは、すでに時効が止まっていたり、数え直しになっていたりする場合です。民法147条により、裁判上の請求や支払督促があると、その手続が終わるまで時効は完成せず、判決などで権利が確定すると時効は新たに進行を始めます。確定判決で確定した権利の時効期間は10年です(169条)。

債務を承認すると、時効はその時から新たに進行します(民法152条)。一部の支払いや、支払いの猶予の申入れが承認にあたるかは、事実関係で決まります。催告があると6か月は時効が完成しませんが、その間の再度の催告には効力がありません(150条)。

時効期間が過ぎた後に承認した場合について、最高裁は昭和41年4月20日の大法廷判決で、時効の完成を知らなかったときでも、その後に援用することは許されないとしました。ただし、昭和45年5月21日の判決は、その承認の後に再び時効が進行し、再度完成した時効は援用できるとしています。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

時効の援用の前に確かめる事由
事由効果条文・判例
裁判上の請求・支払督促手続が終わるまで完成しない。権利が確定すると新たに進行民法147条
確定判決時効期間は10年になる民法169条
債務の承認その時から新たに進行する民法152条
催告6か月は完成しない。再度の催告に効力はない民法150条
期間経過後の承認その時効は援用できない。再び完成した時効は援用できる最大判昭和41年4月20日、最判昭和45年5月21日

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「民法」145条〜152条・166条・169条、附則(平成29年法律第44号)10条(確認日 2026年11月8日)/最高裁判所大法廷 昭和41年4月20日判決(昭和37(オ)1316)(確認日 2026年11月8日)/最高裁判所第一小法廷 昭和45年5月21日判決(昭和44(オ)1131)(確認日 2026年11月8日)

10援用の通知を行政書士に頼む範囲:争いになったら弁護士・司法書士へ

行政書士に頼めるのは、債権者・債権の特定、最後に支払った日、時効を援用する意思を書いた通知書の作成と、その内容証明郵便の準備です。内容証明の料金や出し方は内容証明の記事に書いたので、ここでは繰り返しません。

一方、債権者が「承認があった」「裁判をした」と反論し、交渉で解決しなければならなくなった場合は、弁護士法72条の領域に入ります。裁判所から訴状や支払督促が届いた場合の答弁書・督促異議などは、裁判所に提出する書類です。司法書士法3条1項4号の業務か、弁護士の業務になるので、届いた時点で依頼先を切り替える必要があります。

時効が完成しているかの見立てを本人が持たないまま通知を出すと、かえって債務の存在を前提にした書き方になるおそれがあります。最後の支払日、判決や支払督促の有無を、通知の前に必ず確かめてください。

11交通事故で行政書士にできること:日行連が挙げる4つの業務

日行連は、交通事故について、当事者(加害者又は被害者)の依頼に基づく事実調査報告書の作成、被害者に代わる自賠責の被害者請求、後遺障害等級認定のための事実調査や再請求の手続を、行政書士の業務として案内しています。

示談については、加害者と被害者の間で示談が成立している場合に、示談書を代理人として作るとしています。示談の条件を決める交渉そのものは含まれていません。

保険会社に出す書類は官公署に出す書類ではありませんが、損害賠償額の支払を求める権利義務に関する書類や、事故の状況を示す事実証明に関する書類にあたります。行政書士法1条の3の範囲で作れるのはこのためです。

12自賠責の被害者請求(自賠法16条):請求の種類と期限

自動車損害賠償保障法16条1項は、加害車両の保有者に損害賠償の責任が生じたとき、被害者は保険会社に対し、保険金額の限度で損害賠償額の支払を直接請求できるとしています。これが被害者請求です。加害者が被害者に賠償した後で保険会社に請求するのは加害者請求で、15条が定めています。

国土交通省によると、請求の期限は、傷害は事故発生の翌日から3年以内、後遺障害は症状固定日の翌日から3年以内、死亡は死亡日の翌日から3年以内です。自賠法19条も、16条と17条の請求権は、損害及び保有者を知った時から3年で時効によって消滅するとしています。ただし、平成22年3月31日以前の事故は2年以内です。

支払限度額は被害者1人につき、傷害が120万円、死亡が3,000万円、後遺障害が等級に応じて75万円から3,000万円、介護を要する後遺障害は第1級4,000万円・第2級3,000万円です。治療費などが早く要るときは、17条の仮渡金として、死亡は290万円、傷害は程度に応じて5万円・20万円・40万円を請求できます。

表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。

自賠責保険の請求の種類・期限・限度額(国土交通省の案内)
項目内容
被害者請求被害者が加害者側の保険会社に直接請求する(自賠法16条)
加害者請求加害者が賠償した後に保険会社に請求する(自賠法15条)
期限傷害は事故発生の翌日、後遺障害は症状固定日の翌日、死亡は死亡日の翌日から3年以内
限度額傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害75万円〜3,000万円(介護を要する場合は4,000万円・3,000万円)
仮渡金死亡290万円、傷害5万円・20万円・40万円(自賠法17条)

この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」15条〜17条・19条(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「支払までの流れと請求方法」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「限度額と補償内容」(確認日 2026年11月8日)

13被害者請求で集める書類と、行政書士に任せられる作業

請求書類は保険会社に出し、保険会社は損害保険料率算出機構の調査事務所に送ります。調査事務所が事故の状況や事故と傷害の因果関係、損害額を調べ、その結果をもとに保険会社が支払額を決めます。

国土交通省が示す主な書類は次のとおりです。事故の内容によって要る書類が変わり、ほかの書類を求められることもあるので、請求先の保険会社に確認してください。

行政書士に任せられるのは、請求書や事故発生状況報告書の作成、必要な証明書の取り寄せの段取り、書類の不足の確認です。総損害額が決まる前でも、限度額の範囲内なら何度でも請求できるので、治療の途中で一部を請求するかどうかも整理します。

  • 支払請求書、交通事故証明書(人身事故)、事故発生状況報告書
  • 医師の診断書(死亡は死体検案書又は死亡診断書)、診療報酬明細書、通院交通費明細書
  • 休業損害証明書と納税証明書・課税証明書(休業損害を請求する場合)
  • 印鑑証明書、委任状と委任者の印鑑証明、戸籍謄本(死亡事故など)
  • 後遺障害診断書、レントゲン・CT・MRIの画像(後遺障害を請求する場合)

14交通事故で行政書士ができないこと:示談交渉と保険会社との交渉

行政書士は、被害者の代わりに加害者や保険会社と賠償額を交渉することはできません。過失割合や慰謝料の額をめぐって相手と意見が分かれている状態は、交渉で解決しなければならない法的紛議そのものだからです。

加害者が任意保険に入っている場合、任意保険会社が自賠責の分も含めてまとめて支払う一括払制度があり、国土交通省も案内しています。この場合、被害者は保険会社とのやりとりが中心になり、提示額に納得できないときは弁護士への相談が必要になります。

自賠責の限度額を超える損害は、加害者や任意保険に請求します。後遺障害の等級に不服があって再請求する場合も、事実調査の書類は行政書士が作れますが、賠償額の交渉や訴訟に進むなら弁護士に頼みます。

15依頼先の決め方:3つの質問で行政書士か弁護士・司法書士かを分ける

迷ったときは、次の3つを順に確かめます。1つ目は、相手が自分の主張を争っているか。2つ目は、書類を出した後に相手との交渉が予定されているか。3つ目は、提出先が裁判所や検察庁か。どれかに当てはまれば、行政書士だけでは完結しません。

どれにも当てはまらず、本人の意思や事実を書類にまとめる段階なら、行政書士に頼めます。ただし、出した後に相手から反論が来て状況が変わることがあります。依頼するときは、書類作成のどこまでを頼むのか、争いになった場合にどうするのかを契約前に確かめてください。

依頼先が書類作成の範囲を超える交渉を引き受けると言った場合は、注意が必要です。72条に抵触する委任契約は無効とした最高裁の判例があり、依頼した側の不利益にもなります。

よくある質問

行政書士に告訴状の作成を頼めますか。

警察(司法警察員)に出す告訴状は頼めます。日行連は告訴状・告発状を行政書士が作る権利義務に関する書類の例に挙げています。検察庁に出す書類は司法書士法3条1項4号の業務なので、司法書士か弁護士に頼みます。

時効の援用は行政書士に頼めますか。

援用の意思を伝える通知書の作成と内容証明郵便の準備は頼めます。債権者が時効を争って交渉が必要になった場合や、訴状・支払督促が届いた場合は、弁護士か司法書士に頼みます。

交通事故で行政書士にできることは何ですか。

日行連は、事実調査報告書の作成、自賠責の被害者請求、後遺障害等級認定のための事実調査や再請求の手続、示談成立後の示談書の作成を挙げています。被害者請求の期限は、国土交通省の案内で原則3年以内です。

行政書士は示談交渉をしてくれますか。

できません。相手や保険会社と賠償額・過失割合を交渉することは、弁護士法72条により弁護士の業務です。示談が成立した後の示談書の作成は、行政書士に頼めます。

時効期間が過ぎた後に少し払ってしまいました。もう援用できませんか。

最高裁は昭和41年4月20日の大法廷判決で、時効完成後に債務を承認した場合は、完成を知らなかったときでもその時効を援用できないとしました。ただし、昭和45年5月21日の判決により、承認の後に再び完成した時効は援用できます。支払いが承認にあたるかは事実関係で決まるので、弁護士に相談してください。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。