分野別対策2026年度試験対応
定期借家とは|普通借家との違い・途中解約・再契約を条文で整理【2026年度試験対応】
2026年度試験対応の解説です。法令の適用時点と試験情報の確認日は、本文・出典の記載をご確認ください。
部屋探しで「定期借家」と書かれた物件を見つけ、普通の賃貸と何が違うのか迷う人は多いはずです。貸す側でも、転勤中の自宅や建て替え前の建物を期間を決めて貸したいときに候補になります。この記事では、借地借家法38条と国土交通省の資料をもとに、定期借家の仕組みと普通借家との違い、借りる人と貸す人それぞれの得失を整理し、最後に賃貸不動産経営管理士の試験での問われ方を確かめます。
- 公開日
- 2026年11月8日
- 更新日
- 2026年11月8日
- 読了目安
- 約22分
- 法令基準日
- 2026年4月1日
- 情報確認日
- 2026年11月8日

先に結論
定期借家(定期建物賃貸借)は、契約で決めた期間が満了すると更新されずに終わる建物の賃貸借です。書面か電子の契約で結び、契約の前に貸主が「更新がなく期間満了で終わる」ことを別の書面で説明する必要があります。1年未満の期間でも有効で、期間が1年以上なら貸主は満了の1年前から6か月前までに終了を通知します。住まいで床面積200㎡未満なら、転勤や療養などやむを得ない事情があるとき借主から途中解約でき、申入れから1か月で終わります。続けて住むには、双方の合意で新しく再契約します。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 定期借家は期間満了で更新なく終わり、続けるには双方の合意による再契約が必要
- 書面か電子の契約と、契約前の別書面による事前説明がそろわないと「更新なし」は効かない
- 期間1年以上なら、貸主は満了の1年前から6か月前までに終了を通知する
- 床面積200㎡未満の住まいは、やむを得ない事情があれば借主から1か月で途中解約できる
01結論:定期借家は「期間が来たら更新なく終わる」借家契約
定期借家は、契約で決めた期間が満了したときに、更新されることなく確定的に終わる建物の賃貸借です。国土交通省の定期建物賃貸借のページも、制度をこの言葉で説明しています。期間が来れば借主は部屋を明け渡すのが前提で、普通の賃貸のように自動で続くわけではありません。
普通の賃貸(普通借家)では、貸主が更新を断るには正当の事由が必要で、借主が住み続けたいと考えれば契約は続くのが通常です。定期借家はこの仕組みを外し、終わりの時期を最初から決めておく契約です。
ただし、期間が来たら必ず退去しなければならないわけではありません。貸主と借主が合意すれば、改めて再契約をして住み続けられます。「更新がない」と「二度と住めない」は別の話として区別します。
02読み方は「ていきしゃっか」、正式には定期建物賃貸借
定期借家は「ていきしゃっか」と読みます。法律上の名前は定期建物賃貸借で、借地借家法38条に定めがあります。契約書には「定期建物賃貸借契約」と書かれることが多く、「定期借家契約」「定期賃貸住宅」も同じものを指します。
制度は平成12年3月1日に始まりました。それより前は、建物の賃貸借には更新の仕組みが必ず付いていたため、期間を区切って貸すことは難しい状態でした。
定期借家の物件は、募集の図面や物件情報の「契約形態」の欄に「定期借家」「定期借家○年」と書かれています。普通借家の物件は「普通借家」と書かれるか、何も書かれないことがあります。表示だけで判断せず、契約書の表題と期間の条項で確認してください。
似た言葉に定期借地権があります。こちらは土地を借りて建物を建てる契約で、存続期間を50年以上とするなど別の条文(借地借家法22条以下)で決まっています。部屋や家を借りる話は定期借家、土地を借りる話は定期借地と区別します。
03普通借家との違いは更新・期間・途中解約・家賃の4点
定期借家と普通借家の違いを、借地借家法と国土交通省のパンフレットで並べると次の表のとおりです。一番大きな違いは更新の有無です。
普通借家は、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知がなければ、同じ条件で更新したものとみなされます(借地借家法26条)。貸主が更新を断るには正当の事由が必要です(28条)。定期借家ではこの更新の仕組みが働きません。
期間の扱いも違います。普通借家で1年未満の期間を決めると、期間の定めがない賃貸借とみなされます(29条)。一方、定期借家なら6か月や3か月といった短い期間もそのまま有効です。
借主からの途中解約は、普通借家では契約書の特約で決まります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書(普通借家用)は、借主が30日前に申し入れれば解約できる条項を置いています。定期借家では、法律が一定の住まいに限って途中解約を認めている点が違います。
表が画面幅より広い場合は、左右にスクロールして確認できます。
| 項目 | 定期借家 | 普通借家 |
|---|---|---|
| 契約の方式 | 書面または電子の契約に限る | 口頭でも成立する |
| 事前の説明 | 貸主が別の書面で更新がないことを説明 | 定期借家の事前説明はない |
| 更新 | なし(合意で再契約は可) | 正当の事由がない限り更新される |
| 1年未満の期間 | 有効 | 期間の定めがない契約とみなす |
| 借主の途中解約 | 200㎡未満の住まいはやむを得ない事情で可 | 中途解約の特約があれば従う |
| 家賃の増減請求 | 改定の特約で増額も減額も外せる | 増額しない特約だけ有効 |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(第618条)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)
04定期借家になる条件:期間・書面・事前説明
定期借家として有効にするには、期間を決めたうえで、公正証書による等書面で契約する必要があります(38条1項)。公正証書でなくても書面であればよく、令和4年5月18日からは電子の契約(電磁的記録)でも書面と同じ扱いになりました(38条2項)。
さらに貸主は、契約の前に、更新がなく期間満了で終わることを書いた書面を借主に交付して説明しなければなりません(38条3項)。この説明がないと更新がないという定めは無効になり(38条5項)、普通借家と同じ扱いになります。説明の書面の中身や電子での提供は、別の記事で詳しく扱います。
口頭だけで「うちは定期です」と言われた契約は、条件を満たしていません。契約書の表題と、事前説明の書面を契約書とは別に受け取ったかを確認してください。
05期間は自由に決められる:1年未満も有効、「定期借家2年」の意味
定期借家の期間に上限や下限の決まりは置かれていません。普通借家では1年未満の期間が期間の定めなしとみなされますが、38条1項はこの規定(29条1項)を定期借家には適用しないとしています。そのため、数か月だけ貸す契約も定期借家として結べます。
物件情報の「定期借家2年」は、契約期間が2年で、2年が来たら更新なく終わるという意味です。普通借家の「契約期間2年」は2年ごとに更新するのが前提なので、同じ2年でも意味が違うことに注意が必要です。
期間の長さで変わるのは、終わりの通知が要るかどうかです。期間が1年以上なら貸主に終了通知の義務があり、1年未満なら通知は要りません。
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| 期間 | 定期借家 | 普通借家 |
|---|---|---|
| 1年未満 | そのまま有効。終了通知は不要 | 期間の定めがない契約とみなす |
| 1年以上 | 有効。満了の1年前から6か月前までに終了通知 | 期間満了で原則更新される |
| 期間を決めない | 定期借家にできない | 期間の定めがない契約になる |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(第618条)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)
06終了の通知は満了の1年前から6か月前まで
期間が1年以上の定期借家では、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間(通知期間)に、期間満了で契約が終わることを借主に通知しなければなりません(38条6項)。国土交通省のパンフレットは、借主に終了を知らせ、次の住まいを探す期間を確保するためと説明しています。

通知を忘れても、契約が普通借家に変わるわけではありません。通知期間を過ぎてから通知した場合は、その通知の日から6か月が経てば終了を主張できます。それまでの間、借主は住み続けられ、賃料はこれまでどおり払います。
借りる人は、満了の6か月前になっても通知が来ないときは、貸主か管理会社に終了の予定と再契約の考えを確認してください。貸す人は、契約ごとに満了日と通知期間を台帳で管理し、通知は書面で残します。
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| 通知した時期 | 契約が終わる時期 |
|---|---|
| 満了の1年前から6か月前まで | 期間満了の日 |
| 満了の6か月前を過ぎてから | 通知の日から6か月を経過した後 |
| 通知をしていない | 終了を借主に主張できない |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(第618条)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)
07借主からの途中解約:200㎡未満の住まいでやむを得ない事情があるとき
定期借家は期間を決めた契約なので、特約がなければ途中でやめることは原則できません。ただし、38条7項は例外を置いています。居住用の建物で床面積が200㎡未満のものは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情で住み続けるのが難しくなったとき、借主から解約を申し入れられます。
この場合、契約は申入れの日から1か月で終わります。床面積は、建物の一部を借りるならその部分の面積で見ます。国土交通省のQ&Aは、店舗併用住宅でも生活の本拠にしていれば対象になるとしています。
この決まりより借主に不利な特約は無効です(38条8項)。たとえば申入れから3か月かかるとする特約は効きません。一方、理由を問わず借主が解約できるという特約は借主に有利なので有効です。国土交通省の定期賃貸住宅標準契約書も、理由を問わず1か月前の申入れで借主が解約できる条項を置いています。
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| 場面 | 途中解約 | 根拠 |
|---|---|---|
| 200㎡未満の住まいで、転勤・療養・介護などやむを得ない事情 | できる。申入れから1か月で終了 | 借地借家法38条7項 |
| 理由を問わず解約できる特約がある | 特約に従ってできる | 借主に不利でないため有効(38条8項) |
| 事業用の建物や200㎡以上で、特約がない | 原則できない | 期間の定めがある契約のため |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(第618条)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)
08家賃の改定特約:定期借家は増額も減額も特約で決められる
普通借家では、税金や物価、周りの家賃との比較で家賃が不相当になったとき、貸主も借主も増額や減額を請求できます(借地借家法32条)。特約で外せるのは「一定期間増額しない」という借主に有利な取り決めだけです。
定期借家では、借賃の改定に係る特約があれば32条は適用されません(38条9項)。「期間中は家賃を改定しない」「決まった時期に決まった額へ改める」といった特約を置けば、増額請求も減額請求も外せます。貸主は収入の見通しを、借主は支出の見通しを立てやすくなります。
注意したいのは、「協議の上、賃料を改定することができる」という条項だけでは、この特約に当たらないことです。国土交通省の標準契約書の解説も、協議による改定の条項は32条の適用を外すものではないとしています。期間中の値上げを避けたい借主は、改定の方法が具体的に書かれているかを読んでください。
09再契約は更新ではなく新しい契約
期間満了の後も住み続けるには、貸主と借主が合意して再契約をします。再契約は元の契約の更新ではなく、新しい賃貸借の契約です。そのため、改めて書面で契約し、事前説明もやり直す必要があります。
再契約をするかどうかは、双方の合意で決まります。貸主は普通借家の更新拒絶のような正当の事由がなくても、再契約に応じないことができます。家賃などの条件が変わることもあるため、再契約を前提に長く住むつもりなら、契約前に再契約の方針を聞いておくことが重要です。
再契約をめぐって起こりやすいのは、借主は再契約できると思っていたのに、満了の前に再契約しないと告げられる場面です。募集の段階で「再契約可」と書かれていても、それだけで再契約が約束されたことにはなりません。条件を書面で残しておくことが重要です。
国土交通省の標準契約書では、貸主に再契約の意向があるときは、終了通知の書面にその旨を書き添えるとしています。再契約した場合は明渡しを求めず、元の契約の敷金は明渡しがあったものとして精算し、原状回復は再契約の終了時にまとめて行う形です。再契約の手数料や契約書の作成費用がかかるかどうかも、物件ごとに確認してください。
10借りる人から見た定期借家のメリットとデメリット
借りる人にとっての利点は、選べる物件が増えることです。転勤中の持ち家や建て替えが決まった建物など、期間を区切れないと貸しに出されにくい物件が、定期借家なら市場に出てきます。短期間だけ住みたい人には、期間が合えば使いやすい契約です。
一方で、期間が来れば明け渡すのが原則で、住み続けられるかは再契約の合意次第です。「やめたほうがいい」と言われるのは、この点を知らずに長く住むつもりで契約し、満了で退去を求められる例があるためと考えられます。
途中解約にも制限があります。200㎡未満の住まいでやむを得ない事情がある場合は1か月で解約できますが、単に引っ越したくなったという理由は、特約がなければ当たりません。解約の条項は必ず読んでおきます。
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| 観点 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 物件の選択肢 | 留守宅や建て替え前の物件など、普通借家では出にくい物件を借りられる | 長く住みたい人には期間が足りないことがある |
| 期間満了 | 終わりの時期が分かり、住み替えの計画を立てやすい | 再契約は貸主の合意が要り、断られることもある |
| 途中解約 | やむを得ない事情があれば1か月で解約できる(200㎡未満の住まい) | それ以外の理由は特約がなければ解約しにくい |
| 家賃 | 改定しない特約があれば期間中の値上げを避けられる | 再契約のときに条件が変わることがある |
この節・表の確認資料: e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)(確認日 2026年11月8日)/e-Gov法令検索「民法」(第618条)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(確認日 2026年11月8日)/国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」(確認日 2026年11月8日)/賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」(確認日 2026年11月8日)
11貸す人から見た定期借家:使いどころと手続きの落とし穴
貸す人にとっての利点は、期間満了で確実に契約を終えられることです。普通借家のように更新を断るための正当の事由や立退きの交渉を前提にしなくてよく、収入の見通しも立てやすくなります。国土交通省のパンフレットは、建て替えや大規模修繕の予定に合わせて貸す、転勤中の留守宅を貸す、マンスリーのような短期で貸す、といった使い方を紹介しています。
ただし、手続きを一つでも欠くと定期借家として扱われません。書面の契約がなければ38条1項の要件を満たさず、事前説明がなければ更新なしの定めは無効です。期間1年以上の契約で終了通知を忘れると、通知から6か月は終了を主張できません。
借主の途中解約にも備えておく必要があります。床面積200㎡未満の住まいでは、やむを得ない事情があれば借主は1か月で解約でき、これを妨げる特約は無効です。期間中の収入を確実に見込めるわけではない点は、普通借家と変わりません。
また、平成12年3月1日より前に結んだ居住用の普通借家は、当分の間、合意して解約しても定期借家に切り替えることはできません。国土交通省のQ&Aは、切り替えた契約も従来の普通借家として扱われるとしています。居住用以外の建物は、合意のうえで切り替えられます。
12定期借家はやめたほうがいい?契約前に確かめる5つのこと
定期借家が向いているかどうかは、住む期間の見通しで決まります。住む期間がはっきりしている人には使いやすく、何年住むか決まっていない人は再契約の方針まで確かめてから決める必要があります。
契約の前には、次の5点を確認してください。どれも契約書か事前説明の書面に書かれているはずの事項です。分からない点は、署名の前に貸主か仲介の担当者に聞いて、答えを書面に残してもらいます。
- 契約期間と終了の日付(「定期借家2年」なら何年何月何日に終わるか)
- 再契約の可否と条件(再契約の意向の有無、家賃や費用が変わるか)
- 途中解約の条項(法律上の1か月の解約に加え、理由を問わない解約特約があるか)
- 家賃の改定の特約(期間中に改定しない旨や改定の方法が具体的に書かれているか)
- 事前説明の書面を、契約書とは別に受け取ったか
13賃管の試験ではこう問われる
賃貸不動産経営管理士の試験の出題範囲には「賃貸住宅の賃貸借に関する事項」があり、定期建物賃貸借はこの中の論点です。問題文は短い記述の正誤を問う形が中心で、数字と「誰が・いつ・どの書面で」を正確に覚えているかが問われます。
よく出る形は次のとおりです。誤りの記述は、期間の扱いや通知の時期、途中解約の条件を少しずらして作られることが多いので、数字を条文のとおりに覚える必要があります。
特に、普通借家の更新拒絶の通知(26条)と定期借家の終了通知(38条6項)は、どちらも「1年前から6か月前まで」です。数字が同じでも、効果が違う制度として区別します。
- 期間を1年未満とする定期借家は有効か → 有効(普通借家なら期間の定めなしとみなす)
- 契約書に更新なしと書けば事前説明は不要か → 誤り。契約書とは別の書面で説明する
- 期間1年以上の終了通知の時期 → 満了の1年前から6か月前まで
- 借主の途中解約の条件 → 居住用・床面積200㎡未満・やむを得ない事情。申入れから1か月で終了
- 借賃の改定に係る特約がある場合 → 借地借家法32条は適用されない
14次にやること:一問一答で数字と条件を確かめる
定期借家の決まりは、期間、通知の時期、途中解約の条件と、数字で区切られた部分がほとんどです。読んで分かったつもりでも、選択肢で少し言い換えられると迷いやすい論点です。
特に間違えやすいのは、普通借家の決まりを定期借家に当てはめてしまう問題です。1年未満の期間、更新、家賃の増減請求の3つは、普通借家と結論が逆になるので必ず対にして覚えます。
賃管の試験を受ける人は、一問一答で定期建物賃貸借と更新・更新拒絶の問題を続けて解き、普通借家との違いを答えられるか確かめてください。部屋を借りる人や貸す人も、契約の前に数問解いておくと、契約書のどこを読むべきかが分かります。
よくある質問
定期借家は更新できますか
更新はできません。期間が満了すると契約は終わります。続けて住むには、貸主と借主が合意して新しく再契約をします。再契約は新しい契約なので、条件が変わることもあります。
定期借家は途中解約できますか
居住用で床面積200㎡未満の建物なら、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情があるとき、借主から解約を申し入れられ、1か月で終わります。それ以外は、途中解約の特約があればその定めに従います。
1年未満の定期借家は有効ですか
有効です。普通借家で1年未満の期間を決めると期間の定めがない契約とみなされますが、定期借家にはこの規定が適用されません。期間1年未満なら、貸主の終了通知も要りません。
終了の通知が来なかったらどうなりますか
期間1年以上の定期借家で通知がないと、貸主は期間満了での終了を借主に主張できません。通知期間の後に通知が来た場合は、その日から6か月が経つまで住み続けられます。普通借家に変わるわけではありません。
定期借家と普通借家は契約書で見分けられますか
契約書の表題や期間の条項に「定期建物賃貸借」「更新がない」と書かれているかで見分けます。あわせて、契約の前に契約書とは別の事前説明の書面を受け取っているかも確かめます。どちらかが欠けると、更新なしの定めは効きません。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。
- e-Gov法令検索「借地借家法」(第26条〜第30条、第32条、第38条)確認日 2026年11月8日別画面で開く
- e-Gov法令検索「民法」(第618条)確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 国土交通省「定期建物賃貸借」確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 国土交通省「《大家さんのための》定期建物賃貸借契約」パンフレット(A4版)確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 国土交通省「定期賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」確認日 2026年11月8日別画面で開く
- 賃貸不動産経営管理士協議会「試験実施要領」確認日 2026年11月8日別画面で開く