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資格・キャリア2027年版

社労士の就職先と転職|事務所・企業内・未経験の求人と勤務登録【2027年版】

2027年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

社労士の主な就職先は、社労士事務所・社労士法人と、企業の人事労務部門です。全国社会保険労務士会連合会の2024年度の実態調査では、勤務社労士の勤務先は「社労士事務所または社労士法人」が25.7%で最も多く、残りは製造業や金融業などの一般企業に広がっていました。未経験からの入り方、年齢の要件、合格後の登録と勤務登録の手続を、調査と社会保険労務士法の条文で整理します。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
情報確認日
2026年11月6日
社労士の就職先と転職の記事カバー
この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 社労士の就職先はどこ?結論は事務所・法人と企業の人事労務
  • 勤務社労士はどんな業種で働いている?
  • 社労士事務所の仕事は手続と給与計算が中心

01社労士の就職先はどこ?結論は事務所・法人と企業の人事労務

社労士試験に合格した人の就職先は、大きく分けて社労士事務所・社労士法人と、一般企業の人事・労務・総務の部門です。このほか、公務や健康保険組合・年金事務所、社労士以外の士業の事務所に勤める人もいます。社労士として登録するときの区分は、自分で事務所を持つ「開業」、事業所に勤める「勤務」、どちらでもない「その他」と、社労士法人の社員に分かれます。

全国社会保険労務士会連合会が2024年4月24日から6月9日にすべての社労士45,401人を対象に行った実態調査(有効回答25,408人、有効回収率56.0%)では、回答者の種別は開業51.4%、法人の社員8.6%、勤務等40.0%でした。開業と法人の社員を合わせた開業社労士と、勤務等の比はおよそ3対2です。この記事では勤めて働く道を中心に扱い、独立の手順は開業の記事にまとめています。

就職先を選ぶ:事務所・法人か企業の人事労務か。実務に入る:未経験は補助の事務から始める。登録の要件:実務2年か事務指定講習の修了。勤務登録:勤務先の都道府県の会に入会
図解要点の流れ。詳細と条件は本文で確認してください。拡大して見る ↗

02勤務社労士はどんな業種で働いている?

同じ調査で勤務社労士8,516人の勤務先の業種を見ると、「社労士事務所または社労士法人」が25.7%で最も多く、製造業10.7%、金融・保険業・不動産業9.6%、サービス業9.4%、公務6.9%、医療・介護・福祉6.2%が続きます。社労士事務所に勤める人は4人に1人で、残りの4分の3は一般企業や公務などの職場に分かれていました。社労士の求人というと事務所を思い浮かべがちですが、実際の勤務先は企業のほうが広いということです。

勤務先の規模は、従業員100人以上が約53%、1,000人以上が約25%で、9人以下も18.7%ありました。勤務先での役職は「役職なし」が42.9%で、課長クラス19.3%、係長・主任クラス16.2%、部長クラス12.8%、役員クラス7.2%です。調査は、勤務社労士が大企業を中心に活躍し、管理職・経営層にも有資格者が多いと整理しています。

03社労士事務所の仕事は手続と給与計算が中心

開業社労士の事務所は小さな組織が中心です。実態調査では、開業社労士本人を含む事務所の人数は「1人」が56.4%と半数を超え、2人が11.1%、3人が6.3%、4〜6人が8.8%で、平均は2.7人でした。21人以上の事務所は0.9%です。職員を雇う事務所の多くは数人の体制なので、求人一つひとつの採用枠も少人数になりやすいと考えられます。応募先は複数を並べて比べるつもりで探すと進めやすくなります。

受託している業務の内訳(平均)は、手続業務41.5%、労働・社会保険の相談14.3%、給与計算14.2%、規程の作成・改定10.4%、コンサル7.3%、助成金4.8%でした。顧問契約社数の総数のうち、従業員29人以下の企業が63.9%を占め、中小企業・小規模事業者の手続を継続して受ける形が主流です。業務の比重から見ると、入所して最初に関わるのは入退社などの手続と給与計算になりやすいと考えられます。

04社労士法人と個人の事務所、勤め先としての違いは?

勤め先として見ると、個人の社労士事務所も社労士法人も、職員として雇われて社労士の事務に就くなら登録の区分は同じ「勤務」です。社会保険労務士法第14条の2第3項は、勤務社労士の勤務先となる「事業所」に、社労士や社労士法人の事務所を含むと定めています。実態調査も両者を「社労士事務所または社労士法人」とひとまとめにして集計しています。

違いが出るのは、法人の「社員」(法人の業務を執行する構成員)になる場合です。社員は社労士でなければならず(第25条の8)、法人の事務所を自分の事務所として登録します(第14条の2第2項)。連合会の案内では、社員の区分は登録の新規申請の対象外とされており、合格後の最初の登録では開業・勤務・その他のいずれかを選びます。法人の仕組みそのものは「社労士とは」の記事で扱っています。

05企業の人事労務で働く(企業内社労士)

企業に勤める社労士は、勤務先の社会保険・労働保険の手続、給与計算、就業規則の管理、労務相談などを社内の立場で担います。社会保険労務士法第16条の2は、勤務社労士に、勤務する事業所で従事する第2条の事務を適正かつ円滑に処理するよう努めることを求めています。顧問先ごとに対応する事務所と違い、一つの会社の制度と人を深く見る働き方です。

ただし、資格があれば必ず人事労務に配属されるわけではありません。実態調査では、勤務社労士のうち勤務先で社労士関連の業務に「従事している」人は65.7%、「従事していない」人は34.1%でした。従事している人の経験年数は平均11.3年で、5〜9年が24.1%と最も多くなっています。転職で企業の人事労務を目指すなら、求人の職務内容に手続や労務管理がどこまで含まれるかを確かめます。

06企業内社労士を置くメリットは?

企業が社労士資格を持つ人を社内に置く利点として一般に言われるのは、労働・社会保険の法令の改正を社内で読み解ける、届出の誤りや遅れを防ぎやすい、労務トラブルの初期対応を社内で判断できる、といった点です。実態調査でも、開業社労士の71.5%が、5年前と比べて労働・社会保険の相談業務の需要が増えた(やや増えたを含む)と答えており、労務管理が複雑になっている様子がうかがえます。

一方で、社内の社労士が担うのは勤務先の事務です。社労士法第14条の2第2項により、他人の求めに応じ報酬を得て第2条の事務を業として行おうとする社労士は、事務所を定めて開業の登録を受けます。勤務の登録だけで、勤務先以外の会社の手続を報酬を得て引き受けることはできません。副業として他社の手続を受けたい場合は、開業の登録と勤務先の就業規則の両方を確かめます。

07社労士は転職に有利?登録者の回答から

実態調査では、勤務社労士に社労士登録のメリットを尋ねています(回答10,157人、複数回答)。「就職・転職でのメリットがあった」27.4%、「職場でのキャリア形成にメリットがあった」27.3%、「賃金面(昇給・手当支給など)でメリットがあった」22.0%で、「メリットは特にない」は32.7%でした。資格だけで転職が決まるわけではないものの、4人に1人を超える人が就職・転職で効果を感じています。

年齢別では若い層ほど効果を感じる割合が高く、30〜39歳(944人)は就職・転職のメリット31.6%・賃金面34.2%、40〜49歳(2,925人)は30.0%・26.4%でした。20〜29歳は33.3%・41.7%ですが回答者が72人と少ない点に注意が要ります。役職別では、役職なしの人は就職・転職のメリットが36.3%と高く、役員・部長・課長クラスはキャリア形成のメリットが4割近くでした。

08未経験から社労士事務所に入れる?試験前の入り方

社労士事務所には、合格前や受験前の人が補助の職員として入る道もあります。社労士試験の受験資格には実務経験の区分があり、社会保険労務士・社労士法人・弁護士・弁護士法人などの業務の補助の事務に通算3年以上従事した人は受験できます。法人等や事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に通算3年以上従事した場合も、別の区分で受験できます。

第58回の受験案内は、実務経験の注意点として、区分(受験資格コード)をまたいだ従事期間の通算はできないこと、休職・休業の期間は実務経験の期間から差し引くこと、週の労働時間が一定の基準に満たない短時間労働者は受験資格に該当しないことを挙げています。事務所の補助の期間と企業の労務の期間は足し合わせられないため、どの区分で3年を満たすかを先に決めておきます。

09合格後に実務経験が2年ないときは事務指定講習

試験に合格しただけでは社労士として登録できません。社労士法第3条により、社労士となる資格を持つには、労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事したか、厚生労働大臣がこれと同等以上の経験があると認めることが必要です。厚生労働省の第58回の合格発表も、2年以上の実務経験か、厚生労働大臣が指定した講習の修了で、名簿に登録して社労士になれると案内しています。

その講習が連合会の事務指定講習で、修了者は2年以上の実務経験と同等以上と認められます。通信指導課程(4月間、教材での自己学習と郵便による添削指導)と、労働基準法から年金裁定請求等の手続まで8科目のeラーニング(1科目3時間の動画と効果測定)で構成され、受講料は77,000円(税込)です。第46回(令和8年度)の申込み期間は2026年11月4日10時から11月25日23時59分までで、修了証に有効期限はありません。

10社労士は何歳まで?35歳・40代未経験の場合

社労士試験の受験資格は学歴・実務経験・試験合格の区分で決まり、試験センターの受験資格のページに年齢の要件は書かれていません。登録の面でも、社労士法第5条の欠格事由で年齢に関わるのは未成年者だけで、上限はありません。第58回の合格者は最年少20歳、最高齢77歳で、年代別では30歳代31.4%、40歳代28.2%、50歳代21.2%、20歳代以下11.3%、60歳代以上7.9%でした。

職業別では会社員が61.9%を占め、無職11.1%、公務員8.0%と続きます。社労士全体の平均年齢は、2024年度の実態調査で55.5歳でした。30代・40代で合格して事務所や企業へ移る人は珍しくありません。ただ、採用の年齢や条件を決めるのは個々の事務所や企業です。未経験の場合は、人事・総務・経理などこれまでの経験のうち、手続や給与計算に近いものを職務経歴として示せるよう整理しておきます。

11勤務登録の手続と費用

連合会の案内では、登録の区分ごとに入会する都道府県の社労士会が決まります。開業は事務所の所在地、勤務は事業所の所在地(社労士事務所・社労士法人の事業所を含む)、その他は自宅の住所地です。登録の申請は入会予定の社労士会に出し、連合会で直接は手続できません。申請には従事期間証明書(様式第8号)か事務指定講習の修了の情報が要り、オンライン申請では合格証書の添付は不要で、合格年月日と合格番号を入力します。

費用は登録免許税30,000円と手数料30,000円です。オンライン申請では社労士会への入会手続はできないため、別に入会の手続を行います。入会金と年会費は会ごとに手続や金額が異なるので、入会予定の会に問い合わせるよう案内されています。登録されると社会保険労務士証票が登録日(休日なら翌営業日)に簡易書留で自宅あてに発送され、官報には1日付の登録は当月末、15日付の登録は翌月末に公告される予定です。

12登録前の履歴書の書き方と「その他」の区分

社労士でない者は「社会保険労務士」「社労士」やこれに類似する名称を使えないため(社労士法第26条)、試験に合格していても、登録するまでは社労士と名乗れません。転職活動で履歴書に書くときは、登録前なら「社会保険労務士試験 合格」とし、登録後に「社会保険労務士 登録」と書き分けます。名刺や社内の肩書も、登録の前後で扱いが変わります。

勤務社労士は、事業所に勤務して第2条の事務に従事する社労士と定義されています(第14条の2第3項)。このため、勤務先で社労士の事務に就いていない人は、開業でも勤務でもない「その他」の区分で登録することになると考えられます。どの区分になるか迷うときは、登録前に入会予定の社労士会へ確かめます。区分によって所属する社労士会が変わる点にも注意が必要です。

13転職・独立したときは変更登録が必要

社労士は、名簿に登録を受けた事項に変更が生じたときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません(社労士法第14条の4)。勤務社労士は勤務先の事業所の名称や所在地も登録しているので、転職して勤務先が変われば変更登録の対象です。勤務先の都道府県が変わり所属する社労士会が変わる場合は、変更登録を受けた時に元の会を退会し、新しい会の会員になります(第25条の29第2項)。

勤めていた事務所から独立する場合は、事務所を定めて開業の登録を受けます(第14条の2第2項)。開業社労士には事務所の数や帳簿の保存など勤務社労士にない義務があります。実態調査の開業社労士は、不安やストレスとして「顧客獲得の難しさ」63.7%、「経営面での責任の重さ」61.1%を挙げています(やや当てはまるを含む)。独立の準備と売上の実態は開業の記事で扱います。

14求人を比べるときに確かめること

社労士の求人を比べるときは、まず担当する業務の範囲を確かめます。手続と給与計算が中心か、相談・就業規則・助成金まで任されるかで、身に付く経験が変わります。次に、顧問先の数と職員の人数です。実態調査では開業事務所の顧問契約社数は平均33.2社、中央値10社で、事務所ごとの差が大きくなっています。職員1人が受け持つ顧問先の数は、繁忙期の働き方に直結します。

登録の扱いも確かめどころです。勤務登録をするか、登録費用や社労士会の会費を誰が負担するかは、事務所や企業ごとに違うと考えておき、面接で確かめます。地域ごとの規模を知るには、連合会の調査にある所属会の区分が手がかりです。開業・法人の社員の会員数が5,000以上の東京都が最大で、埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪・兵庫・福岡の1府6県が1,000〜4,999、北海道・静岡・京都・広島が500〜999でした。

15就職・転職の前に試験範囲で固めておくこと

社労士事務所の受託業務の約4割は手続業務なので、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の資格の取得と喪失や、労働保険の年度更新の仕組みは、入所前に試験の知識として整理しておくと実務に入りやすくなります。社会保険労務士法も試験範囲で、業務の範囲、資格と登録、開業社労士の義務、懲戒は社会保険に関する一般常識の論点です。この記事で触れた条文は、そのまま試験の論点になります。

この学習サイトでは、社会保険労務士法の論点解説と一問一答で、資格と登録、事務所や帳簿の保存などの論点を確かめられます。届出の期限や保険料率などの数字は数字シートと暗記カードで、似た制度は比較表で並べて覚えられます。合格後の実務を見据えて、手続の根拠条文まで読める状態を目指してください。

よくある質問

社労士試験に合格したら就職先はどこになりますか?

主な就職先は社労士事務所・社労士法人と、一般企業の人事労務部門です。連合会の2024年度の実態調査では、勤務社労士の勤務先は「社労士事務所または社労士法人」が25.7%で最も多く、製造業10.7%、金融・保険業・不動産業9.6%が続きました。

社労士事務所は未経験でもきついですか?

感じ方は人によりますが、仕事の中心は手続業務と給与計算で、届出には法令で期限があります。開業事務所は1人体制が56.4%、平均2.7人と小規模なため、職員一人ひとりに任される範囲が広くなりやすい点は知っておくとよいでしょう。

社労士は35歳や40代の未経験でもなれますか?

なれます。受験資格に年齢の要件はなく、登録の欠格事由で年齢に関わるのは未成年者だけです。第58回の合格者は30歳代31.4%、40歳代28.2%で、最高齢は77歳でした。採用の年齢は事務所や企業ごとに決まります。

合格しただけで勤務社労士として働けますか?

勤務社労士として登録するには、労働社会保険諸法令の事務に通算2年以上従事したか、事務指定講習を修了していることが必要です。登録前は社労士と名乗れないため、「社会保険労務士試験 合格」として就職活動をします。

企業内社労士の年収はいくらですか?

この記事で確かめた一次情報には、企業内の社労士に限った年収の統計はありません。給与は勤務先の賃金制度で決まります。連合会の調査では、勤務社労士の22.0%が登録で賃金面のメリットがあったと答えています。年収の目安は年収の記事で扱います。

社労士の資格は転職に使えますか?

使えます。連合会の調査で、勤務社労士の27.4%が就職・転職でのメリットがあったと答え、役職なしの人では36.3%でした。一方で「メリットは特にない」も32.7%あり、実務の経験と合わせて示すことが大切です。

社労士事務所で働きながら受験資格を得られますか?

得られます。社会保険労務士や社労士法人の業務の補助の事務に通算3年以上従事すると、実務経験の区分で受験できます。休職・休業の期間は差し引かれ、週の労働時間が一定の基準に満たない短時間労働者の期間は該当しません。企業で労務の事務に就いた期間とは通算できません。

勤務先が変わったら登録はどうなりますか?

登録事項に変更が生じたときは、遅滞なく変更の登録を申請します(社労士法第14条の4)。勤務先の都道府県が変わると、所属する社労士会も変更登録の時に新しい会へ移ります。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。