2027年度(第59回)試験対応2026年11月6日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

資格・キャリア2027年版

社労士と行政書士の違い|業務・試験・難易度・ダブルライセンス【2027年版】

2027年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

社労士は労働・社会保険の手続と労務管理の専門家、行政書士は官公署に出す許認可の書類や契約書などの専門家です。労働・社会保険の申請書や帳簿の作成は社労士の独占業務で、行政書士は原則として扱えません。試験は行政書士に受験資格の制限がなく、合格率は令和7年度の行政書士が14.54%、第58回の社労士が9.3%でした。業務・試験・ダブルライセンスの順に条文と公表資料で比べます。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
情報確認日
2026年11月6日
社労士と行政書士の違いの記事カバー
この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 社労士と行政書士の違いを一言でいうと
  • 会社が人を雇い始めるとき、どちらに何を頼むか
  • 独占業務の条文はどう違うか

01社労士と行政書士の違いを一言でいうと

違いは、根拠になる法律と扱う書類の分野です。社労士は社会保険労務士法に基づき、労働基準法や健康保険法などの労働社会保険諸法令に関する書類作成・手続・相談を行います。行政書士は行政書士法に基づき、官公署に提出する書類と、権利義務・事実証明に関する書類の作成を業とします。会社の中の「人と雇用」を扱うのが社労士、役所の許認可や契約など「事業と手続」を広く扱うのが行政書士と整理すると分かりやすくなります。

試験の実施者も違います。社労士試験は社会保険労務士法第10条により厚生労働大臣が行います。行政書士試験は行政書士法第3条により総務大臣が定めるところで行われ、施行の事務は都道府県知事が行います。実際の試験は、平成12年度から行政書士試験研究センターが総務大臣の指定試験機関として、各都道府県知事の委任を受けて実施しています。

業務の違い:社労士は労働社会保険、行政書士は許認可。受験資格:行政書士は誰でも、合格で社労士の受験資格。試験と合格率:社労士9.3%(第58回)、行政書士14.54%。ダブル取得:許認可と雇用の手続を一つの窓口で受ける
図解要点の流れ。詳細と条件は本文で確認してください。拡大して見る ↗

02会社が人を雇い始めるとき、どちらに何を頼むか

事業を始めて人を雇うと、労働・社会保険の届出が期限付きで続きます。労働保険の保険関係が成立したら10日以内に成立の届出をし(徴収法第4条の2)、年度の途中で成立した場合の概算保険料は成立した日から50日以内に納めます(第15条)。雇用保険の適用事業所の設置届は設置の翌日から10日以内(雇用保険法施行規則第141条)、健康保険と厚生年金保険の新規適用の届出は適用事業所となった日から5日以内です(健康保険法施行規則第19条、厚生年金保険法施行規則第13条)。

これらの届書を事業主の依頼で作り、提出するのは社労士の仕事です。一方、事業そのものに必要な許可などを官公署に申請する書類の作成は、行政書士の仕事になります。同じ会社の手続でも、事業の許認可は行政書士、従業員の労働・社会保険は社労士と、扱う法律によって窓口が分かれます。

03独占業務の条文はどう違うか

社会保険労務士法第27条は、社労士や社労士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までの事務(申請書等の作成・提出代行・事務代理・紛争解決手続の代理と帳簿書類の作成)を業として行うことを禁じています。第3号の相談・指導は対象外です。1号から3号の中身は「社労士とは」の記事で条文ごとに説明しています。

行政書士法第19条は、行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類などの作成を行うことを禁じています。どちらも「報酬を得て」「業として」行う場合が対象で、他の法律に別段の定めがある場合などを除くただし書が付いている点は共通しています。

04行政書士の業務はどこまでか

行政書士法第1条の3第1項は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類と、その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを行政書士の業務としています。第1条は、業務を通じて行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資し、国民の権利利益の実現に資することを使命に掲げています。

第1条の4は、作成できる書類の官公署への提出手続の代理、契約その他に関する書類を代理人として作成すること、書類作成の相談などを、行政書士が業とすることができる事務として挙げています。研究センターの試験概要は、具体的な業務として官公庁への許認可に関する書類の提出、契約書や交通事故調査報告書などの作成、行政不服申立て手続の代理を例に挙げています。

05行政書士は社労士の仕事ができるか

原則としてできません。行政書士法第1条の3第2項は、書類の作成であっても、他の法律で業務が制限されているものは行えないと定めています。労働社会保険諸法令に基づく申請書等や帳簿書類の作成は社会保険労務士法第27条で制限されているため、行政書士の資格だけでは報酬を得て業として扱えません。

例外として、行政書士法の一部を改正する法律(昭和55年法律第29号)の附則に経過措置があります。昭和55年9月1日の施行の際に現に行政書士会に入会していた行政書士は、当分の間、社会保険労務士法第2条第1項第1号と第2号の事務を業とすることができます。これから行政書士になる人には当てはまらないため、両方の業務を行うには社労士の資格も必要です。

06特定社労士と特定行政書士はどう違うか

どちらも上乗せの資格ですが、代理できる手続が違います。特定社会保険労務士は、紛争解決手続代理業務試験に合格し登録に付記を受けた社労士で、労働局のあっせんや男女雇用機会均等法などに基づく調停、都道府県労働委員会のあっせんなど、個別労働関係紛争の手続で当事者を代理します(社会保険労務士法第2条第1項第1号の4から第1号の6、第2項)。

特定行政書士は、日本行政書士会連合会が会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士です。行政書士が作成できる書類に係る許認可等について、審査請求や再調査の請求、再審査請求など行政庁に対する不服申立ての手続を代理し、その手続の書類を作成します(行政書士法第1条の4第1項第2号・第2項)。社労士側は労使の紛争、行政書士側は行政庁への不服申立てが対象です。

07資格の取り方と登録はどう違うか

社労士となる資格は、試験に合格し、労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事したか、厚生労働大臣がこれと同等以上の経験があると認めた人に与えられます(社会保険労務士法第3条)。厚生労働省の第58回の合格発表は、2年以上の実務経験がない合格者も大臣が指定した講習を修了すれば、全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録して社労士になれると案内しています。

行政書士は、試験に合格すれば行政書士となる資格を持ち、実務経験の要件はありません(行政書士法第2条)。弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を持つ人や、公務員として行政事務を通算20年以上(高校卒業者などは17年以上)担当した人も資格を持ちます。社労士はこの一覧にないため、社労士になっても行政書士の資格は得られません。登録先は日本行政書士会連合会の行政書士名簿です(第6条)。

08受験資格はどう違うか

行政書士試験は、研究センターの試験概要のとおり、年齢・学歴・国籍等に関係なく誰でも受験できます。令和7年度は申込者63,845人のうち最年少が9歳で、合格者の最年少は13歳でした。学歴や職歴を証明する書類をそろえずに申し込める点が、社労士試験との大きな違いです。

社労士試験は、学歴・実務経験・試験合格などの区分のどれかに当てはまる必要があります。社会保険労務士法第8条第6号は「行政書士となる資格を有する者」を挙げ、試験センターの受験資格の一覧でも「行政書士試験に合格した者」(受験資格コード10)が該当し、合格証明書や合格証書の写しなどで証明します。最終学歴が高校卒業で実務経験もない人は、行政書士試験の合格で社労士の受験資格を得られます。受験資格の全体は関連記事で扱います。

09試験科目はどう違うか

社労士試験は、労働基準法及び労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労働と社会保険の一般常識、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法を、選択式8科目と択一式7科目で出題します。徴収法は択一式の労災保険法と雇用保険法の中で出ます。範囲は労働と社会保険の法令と、労務管理などの一般常識が中心です。

行政書士試験は「行政書士の業務に関し必要な法令等」46題(憲法、行政法、民法、商法、基礎法学)と「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」14題で構成されます。法令等は択一式と記述式、基礎知識は択一式で、基礎知識の区分は令和6年度試験から適用されています。科目の一覧を比べると重なる法律はほとんどなく、一方の勉強がもう一方の得点に直結する部分は小さいと考えておくのが安全です。

10試験日・時間・受験手数料・試験地の違い

社労士試験の第58回は2026年8月23日(日)で、午前の選択式80分と午後の択一式210分を1日で受けました。受験手数料は15,000円、試験地は19都道府県です。第59回(2027年度)の日程と手数料は未公表で、2027年4月ごろの受験案内で確認します。

行政書士試験は毎年1回、11月の第2日曜日の午後1時から午後4時までの3時間です。受験手数料は10,400円で、令和7年度は11月9日に47都道府県62試験場で行われました。住所に関係なく全国の試験場で受験できます。社労士は8月、行政書士は11月なので、同じ年に両方を受けることも日程の上では可能です。

11合格基準の仕組みはどう違うか

社労士試験は、選択式と択一式のそれぞれで総得点と科目ごとの基準点を満たす必要があり、基準は前年度の基準を補正して決まります。第58回は選択式が総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)、択一式が総得点47点以上かつ各科目4点以上でした。1科目でも基準点に届かないと不合格です。

行政書士試験の令和7年度の合否判定基準は、300点満点のうち、法令等科目(244点満点)で122点以上、基礎知識科目(56点満点)で24点以上、試験全体で180点以上の3つをすべて満たすことでした。記述式は1問20点で3問あります。社労士は選択式8科目・択一式7科目のすべてで基準点が要るのに対し、行政書士は2つの科目区分と全体の3つの基準で判定されます。

12合格率でみるとどちらが難しいか

社労士試験の第58回(令和8年度)は、受験者42,510人、合格者3,961人で合格率9.3%、前年の第57回は5.5%でした。第53回から第58回までの6回は5.3%から9.3%の間で、いずれも1桁台です。行政書士試験の令和7年度は、受験者50,163人、合格者7,292人で合格率14.54%、最近10年は9.95%から15.72%の間で推移しています。

数字の上では社労士の合格率が低めですが、受験資格の有無や受験者層が違うため、合格率だけで難しさを決めることはできません。社労士は科目ごとの基準点、行政書士は記述式を含む法令等の得点が合否を分けやすい点を見て、自分の得意不得意と合わせて判断します。社労士の合格率の推移の読み方は「社労士試験の難易度と合格率」の記事で詳しく扱います。

13行政書士と社労士はどちらから取るべきか

社労士の受験資格がない人は、行政書士試験に合格すれば社労士の受験資格を得られるので、行政書士から始める順番に意味があります。すでに大学卒業などで受験資格がある人は、仕事で使う分野から選ぶのが自然です。人事・総務で労働・社会保険の手続に関わっているなら社労士、許認可や契約書の作成に関わるなら行政書士が実務とつながります。

どちらを先に合格しても、もう一方の試験の科目は免除されません。社労士試験の科目免除を定める社会保険労務士法別表第2は、公務員としての施行事務の経験や社労士事務所などでの実務と講習の修了などを挙げており、行政書士の資格は含まれていません。行政書士試験の概要にも、資格による科目免除の案内はありません。2つの試験は科目の重なりが小さいので、1つずつ別の試験として準備します。

14ダブルライセンスで何ができるか

両方の資格を持つと、事業に必要な許認可の書類(行政書士)と、人を雇ったときの労働保険・社会保険の届出や帳簿書類の作成(社労士)を、一つの窓口で引き受けられます。片方の資格だけでは、もう一方の独占業務の部分を他の専門家に回す必要があり、依頼する側も窓口が2つになります。

一方で、登録はそれぞれの名簿に別々に受け、法人も社労士法人(社会保険労務士法第25条の6)と行政書士法人は別の制度です。懲戒も影響し合い、行政書士の業務停止の懲戒処分を受けている間は社労士の登録を受けられず(第14条の7)、行政書士の業務を禁止された人は処分から3年を経過するまで社労士となる資格を持ちません(第5条)。「最強の組み合わせ」と一般に言われることがありますが、相性の良さは扱う顧客と業務の組み立て次第です。

15どっちが稼げるか・将来性はあるか

社労士と行政書士の収入を同じ条件で比べた公的な統計は、この記事の確認の範囲では見当たらなかったため、金額は書きません。収入は開業か勤務か、顧客の数、扱う業務によって大きく変わり、同じ資格でも人による差が大きいと考えられます。社労士の収入の考え方と働き方の違いは関連記事に回します。

一般に言われる違いとして、社労士は入退社の届出や年度更新、毎年の算定基礎届のように繰り返し発生する手続が多く、顧問契約のような継続型になりやすいとされます。行政書士は許認可の申請ごとの依頼が多いとされます。手続の電子化はどちらにも関わり、社労士法の申請書等には電磁的記録が含まれ、行政書士法第1条の2第2項は情報通信技術の活用などで業務の改善進歩を図る努力を求めています。

1640代・社会人はどちらを選ぶとよいか

年齢による受験の制限はどちらにもありません。第58回の社労士試験の合格者は30歳代が31.4%、40歳代が28.2%、50歳代が21.2%で、会社員が61.9%を占めました。働きながら合格を目指す人が多い試験です。行政書士試験の令和7年度は合格者の最年長が77歳でした。

40代以降で選ぶなら、これまでの職歴とつながる方が実務に入りやすくなります。人事・給与・総務の経験は社労士の手続や労務相談に生き、一般に許認可の多い業界での経験は行政書士の業務に生きると言われます。社労士は登録に2年以上の実務経験か指定講習の修了が必要なので、その分の期間も計画に入れておきます。

17社労士を目指すなら社労士法の論点も押さえる

社労士試験では、社会保険労務士法そのものが「社会保険に関する一般常識」の範囲に入ります。独占業務の範囲、登録の要件、欠格事由、特定社労士の業務などが学習の対象で、行政書士など他の士業との違いを意識して条文を読むと、要件の取り違えを防ぎやすくなります。

合トレの社労士コースでは、社労士法を一般常識の論点として扱い、一問一答と論点解説で条文の言い回しを確かめられます。業務の範囲や登録要件のように要件が並ぶ項目は、比較表と暗記カードで他の論点と並べて覚えると取り違えを減らせます。直前期には数字シートで、登録に必要な実務経験2年や欠格事由の3年などの期間をまとめて見直せます。

よくある質問

社労士と行政書士はどちらが難しいですか?

合格率では社労士が低めです。社労士は第53回から第58回で5.3%から9.3%、行政書士は令和7年度が14.54%(最近10年は9.95%から15.72%)でした。ただし受験資格や受験者層が違うため、合格率だけで難易度は決められません。

行政書士と社労士はどちらから取得したほうがいいですか?

社労士の受験資格がない人は、行政書士試験の合格で社労士の受験資格を得られるため行政書士からが合理的です。受験資格がある人は、仕事で使う分野(労務なら社労士、許認可なら行政書士)から選ぶのが自然です。

行政書士の資格があれば社労士の仕事もできますか?

原則としてできません。労働社会保険諸法令に基づく申請書等と帳簿書類の作成は社労士の独占業務で、行政書士法第1条の3第2項により行政書士は扱えません。昭和55年9月1日の時点で行政書士会に入会していた行政書士には経過措置があります。

社労士の資格を取った後に行政書士も取る意味はありますか?

社労士になっても行政書士となる資格は得られないため(行政書士法第2条)、許認可などの書類も報酬を得て扱いたいなら行政書士試験の合格が必要です。行政書士試験には受験資格の制限がないので、社労士の人もそのまま受験できます。

行政書士に合格すると社労士試験の科目は免除されますか?

免除されません。社労士試験の科目免除を定める社会保険労務士法別表第2に、行政書士の資格は含まれていません。行政書士試験の合格で得られるのは、社労士試験の受験資格です。

社労士と行政書士のダブルライセンスを取るとどうなりますか?

許認可の書類と労働・社会保険の手続を一つの窓口で引き受けられます。登録は両方の名簿に別々に受け、法人も別の制度です。行政書士の業務停止の処分中は社労士の登録を受けられないなど、懲戒も影響し合います。

社労士と行政書士はどちらが稼げますか?ダブルライセンスの年収は?

両者やダブルライセンスの収入を同じ条件で比べた公的な統計は確認できませんでした。収入は開業か勤務か、顧客数や業務の組み立てで大きく変わります。一般に、社労士は継続的な手続が多く顧問型になりやすいと言われます。

40代から社労士と行政書士のどちらを目指すべきですか?

年齢制限はどちらにもありません。第58回の社労士試験の合格者は40歳代が28.2%でした。人事・総務の経験があれば社労士、許認可に関わる仕事の経験があれば行政書士と、職歴とつながる方を選ぶと実務に入りやすくなります。

行政書士試験と社労士試験は同じ年に受けられますか?

日程の上では可能です。社労士試験は第58回が2026年8月23日、行政書士試験は毎年11月の第2日曜日です。ただし科目の重なりが小さいため、2つ分の学習量が必要です。第59回の社労士試験の日程は2027年4月ごろの受験案内で確認してください。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。