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合格後・資格手続2027年版

特定社労士とは|社労士との違い・できること・研修と試験の合格率【2027年版】

2027年版の解説です。手続・費用・統計の対象時点は、本文と各出典に記載しています。

特定社労士(特定社会保険労務士)は、社労士のうち、厚生労働大臣が定める特別研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格して、社労士名簿に付記を受けた人です。ほかの社労士との違いは、解雇や賃金、ハラスメントなど個別の労働トラブルのあっせん・調停で当事者の代理人になれる点です。代理できる手続とできないこと、研修と試験の中身、合格率、人数を社会保険労務士法と厚生労働省・連合会の公表資料で確かめます。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
情報確認日
2026年11月6日
特定社労士とはの記事カバー
この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 特定社労士とは何ですか?
  • 特定社労士と社労士の違いは何ですか?
  • 特定社労士は何ができますか?

01特定社労士とは何ですか?

特定社会保険労務士(特定社労士)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社労士の登録にその旨の付記を受けた社労士です(社会保険労務士法第2条第2項)。個々の労働者と事業主の間のトラブル(個別労働関係紛争)について、労働局のあっせんや法律に基づく調停などの手続で、当事者の代理人になれます。これが、付記を受けていない社労士との違いです。

社労士とは別の資格ではなく、社労士の資格に上乗せする「付記」の制度です。試験は厚生労働大臣が毎年1回以上行い(第13条の3)、全国社会保険労務士会連合会の白書は、特定社労士を国家試験に合格して付記を受けた「ADRの専門家」と位置づけています。社労士の業務全体や独占業務の範囲は「社労士とは」の記事で整理しているので、この記事では特定社労士に固有の部分を扱います。

社労士として登録:試験合格と実務経験2年等を経て、社労士名簿に登録する。特別研修を修了:講義・グループ研修・ゼミナール、の計63.5時間。代理業務試験に合格:第21回は55点以上かつ、第2問10点以上で合格率50.5%。名簿に付記を受ける:特定社労士証票を受け取り、あっせん・調停を代理できる
図解要点の流れ。詳細と条件は本文で確認してください。拡大して見る ↗

02特定社労士と社労士の違いは何ですか?

違いは、紛争解決手続代理業務を行えるかどうかです。書類の作成・提出代行・事務代理、帳簿書類の作成、労務管理や社会保険の相談・指導は、付記の有無にかかわらず社労士が行えます。第2条第1項第1号の4から第1号の6までの代理業務だけが、特定社労士に限られています(同条第2項)。日常の手続や顧問業務の範囲は変わりません。

付記を受けると、連合会から「特定社会保険労務士証票」が交付され、それまでの社労士証票は連合会に返還します(第14条の11の3)。付記は社労士名簿への記載なので、開業でも勤務でも受けられます。社労士法人がこの業務を行えるのは、社員に特定社労士がいる場合に限られます(第25条の9)。法人の仕組みは「社労士とは」の記事で扱っています。

03特定社労士は何ができますか?

厚生労働省は、代理できる手続を3つに整理しています。1つ目は都道府県労働局と都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせん、2つ目は労働局が行う障害者雇用促進法・労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・労働者派遣法・育児介護休業法・パートタイム有期雇用労働法の調停、3つ目は厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続です(第2条第1項第1号の4〜第1号の6)。

代理業務には、手続について相談に応じること、手続の開始から終了までの間に和解の交渉を行うこと、成立した和解の合意を内容とする契約を締結することが含まれます(第2条第3項)。連合会は、解雇や賃金の問題、パワハラ・セクハラ等の調停を例に挙げ、当事者の言い分を聴きながら、あっせんにより簡易・迅速・低廉に解決する役割を説明しています。

04あっせんとはどんな手続ですか?

労働局のあっせんは、個別労働関係紛争解決促進法に基づく手続です。紛争当事者の双方又は一方から申請があり、都道府県労働局長が必要と認めると、紛争調整委員会にあっせんを行わせます(第5条)。会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員が担当し、双方の主張の要点を確かめて、実情に即した解決に努めます(第12条)。募集・採用に関する紛争は、このあっせんの対象外です。

あっせん委員は当事者から意見を聴き、必要に応じてあっせん案を作って示すことができます(第13条)。解決の見込みがないと認めるときは打ち切ることができ(第15条)、打ち切りの通知を受けた日から30日以内に訴えを起こせば、時効の完成猶予についてはあっせんの申請の時に訴えがあったものとみなされます(第16条)。特定社労士は、こうした手続の相談から和解の交渉までを代理人として担います。

05特定社労士にできないことは何ですか?

社労士法が特定社労士に認める代理は、前の節の3種類の手続に限られます。裁判所での訴訟や労働審判の代理は、第2条の業務に含まれていません。裁判所では、社労士は補佐人として、弁護士である代理人とともに出頭して陳述できます(第2条の2)。この補佐人の制度は特定社労士に限らず社労士に認められたもので、代理人になれるわけではありません。

民間紛争解決手続の代理には金額の条件があります。紛争の目的の価額が120万円を超える場合は、弁護士が同じ依頼者から受任している事件に限られます(第2条第1項第1号の6)。連合会も、単独で代理できる紛争目的価額の上限を120万円と案内しています。労働局や労働委員会のあっせん、各法に基づく調停の代理には、条文上この金額の条件は付いていません。

受けてはいけない事件もあります。相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件や、相手方の協議を受けた事件で協議の程度と方法が信頼関係に基づくと認められるものなどは、紛争解決手続代理業務を行えません(第22条第2項)。なお開業社労士が依頼を拒めない義務(第20条)からは、紛争解決手続代理業務の依頼が除かれています。

06特定社労士と弁護士の違いは何ですか?

弁護士は訴訟の代理人になれますが、特定社労士の代理は個別労働関係紛争の裁判外の手続に限られます。弁護士となる資格を持つ人は、社労士となる資格も持ちます(第3条第2項)。特定社労士は、労務管理や労働社会保険諸法令の知識を生かして、話合いで解決を目指す段階の当事者を支える専門家と整理すると分かりやすいでしょう。

連合会は、裁判はお金も時間もかかり、内容が一般に公開されることから、話合いに基づくADR(裁判外紛争解決手続)の役割を説明しています。裁判所の手続に進む段階では弁護士への依頼が必要になり、指定団体の民間紛争解決手続で120万円を超える事件も、弁護士が同じ依頼者から受任していることが条件です。どちらに相談するかは、望む解決の手段と争う金額によって変わります。

07特定社労士になるにはどうすればいいですか?

手順は3段階です。社労士として名簿に登録したうえで、特別研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格し、付記を申請します。付記申請書は、試験に合格したことを証する書類を添えて、社労士会を経由して連合会に出します(第14条の11の2)。連合会は申請を受けたら遅滞なく名簿に付記し、特定社会保険労務士証票を交付します(第14条の11の3)。

連合会の白書は、試験の受験資格を、社労士であり、かつ特別研修の修了者(修了見込者を含む)と説明しています。社労士試験に合格しただけで登録していない人は、まず登録を済ませます。社労士となる資格には、試験合格に加えて労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事したか、厚生労働大臣がこれと同等以上の経験があると認めることが必要です(第3条第1項)。合格から登録までの流れは関連記事で説明しています。

08特別研修はどんな内容で、何時間ですか?

特別研修は、紛争解決手続代理業務に必要な学識と実務能力に関する研修で、連合会の白書によると2006年度から47都道府県会で行われています。中央発信講義、グループ研修、ゼミナールの3つの方式で構成され、総時間数は63.5時間です。中央発信講義には2020年度からeラーニング方式が導入され、受講者がいつでもどこでも何度でも講義を視聴できるようになりました。

中央発信講義(30.5時間)では、特定社労士の役割と職責、専門家の責任と倫理、憲法(基本的人権)、民法(契約法・不法行為法の基本法則)、労使関係法、労働契約・労働条件、個別労働関係法制、個別労働関係紛争解決制度を学びます。社労士試験の科目にない憲法や民法を扱う点が特徴で、紛争を法律の枠組みで捉える土台になります。

グループ研修(18時間)は、申請書と答弁書の作成に関する研修で、特定社労士がリーダーとなって受講者10人程度のグループを作ります。ゼミナール(15時間)は、代理業務を行う上での実践的な能力を養う研修です。どちらもケース・スタディーを中心に、申請書と答弁書の検討、争点整理、和解交渉の技術、代理人の権限と倫理などを、ロールプレイ等の手法で学びます。

09特別研修は全員が修了できますか?

全員とは限りません。白書の推移表では、2022年度の受講者数は628人、修了者数は583人で、修了率は92.83%でした。2013年度から2019年度までは96〜98%台で推移し、2020年度は87.83%、2021年度は89.86%です。研修の修了が試験の受験資格なので、グループ研修やゼミナールに出られる日程を先に確保しておくことが大切です。

研修の日程、会場、受講料は、その年度の連合会と都道府県社労士会の受講案内で示されます。この記事で確認した一次情報には個人の受講料の額が載っていなかったため、金額は書いていません。申し込む前に、受講料に加えて、グループ研修とゼミナールの日程が勤務や顧問先の繁忙期と重ならないかを、受講案内で確かめてください。

10特定社労士試験はいつ、どんな形式ですか?

第22回(2026年度)の試験は、2026年11月21日(土)に北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県で行われます。申込受付は9月14日から10月2日まで(簡易書留で10月2日消印有効)で、すでに締め切られています。受験手数料は15,000円です(2026年9月11日付の厚生労働大臣の公示)。2027年度の第23回の日程と手数料は未公表なので、その年度の公示で確認してください。

試験科目は、個別労働関係紛争の具体的な事例について専門的解決能力と実践的知識を問うもので、設問の一部に社会保険労務士の権限と倫理に関する問題を含みます。第21回の配点は第1問が70点、第2問が30点の100点満点でした。合格者の受験番号は官報で公告され、第22回は2027年3月12日(金)に公告されるほか、合格者には合格証書が送られます。

前回の第21回は2025年11月22日(土)に全国7都道府県で行われ、合格者は2026年3月13日(金)の官報に公告されました。試験問題と出題の趣旨は、連合会のウェブサイトに掲載されていると厚生労働省が案内しています。過去問を探すときは、まずこの公式の掲載を確かめると、出題の形と求められる答え方が分かります。

11特定社労士試験の合格率と難易度は?

第21回(2025年度)は、受験者1,041人のうち526人が合格し、合格率は50.5%でした。合格基準は100点満点中55点以上、かつ第2問で10点以上です。総得点が足りていても、配点の小さい第2問が10点に届かなければ不合格になります。第1問だけに時間を使い切らず、両方の問いに答えを書き切ることが前提になる基準です。

白書の推移表では、合格率は2013年度が65.91%で、2017年度から2022年度は49.79%(2021年度)から62.24%(2018年度)の間で推移しています。2022年度までの総受験者数は28,023人、総合格者数は18,119人、平均合格率は64.66%です。受験者は特別研修を修了した社労士に限られるので、一般の資格試験の合格率と単純に比べることはできません。

「特定社労士の偏差値」のような公式の難易度の指標はありません。研修を終えた人の半数前後が不合格になる年もあるので、研修を受けただけで合格できる試験ではないと考えておくのが安全です。事例を読んで争点を整理し、申請書や答弁書の立場で主張を組み立てる力が問われる点で、社労士試験の選択式・択一式とは別の準備が要ります。

12どんな人が特定社労士試験を受けていますか?

第21回の合格者は、40歳代が37.7%、50歳代が28.7%、30歳代が20.5%、60歳代以上が11.4%、20歳代が1.7%でした。男女別では男性が54.9%、女性が45.1%です。30歳代から50歳代で全体の約87%を占めます。年齢の構成は年度によって変わるので、目安として見てください。

白書によると、受験申込者数は2017年度以降おおむね900人台で推移してきました。2022年度は申込者934人、受験者901人です。試験地は2016年度から北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の7か所に統合されています。住んでいる地域に試験地がない場合は、移動の時間も含めて予定を組みます。

13特定社労士は何人いますか?

連合会の白書によると、2023年3月31日現在の特定社労士の登録者数は14,101人で、社労士の登録者44,870人のおよそ3割にあたります。内訳は開業9,148人、法人の社員1,827人、勤務等3,126人です。開業社労士の4割弱、法人の社員の約半数が付記を受けているのに対し、勤務等では2割に届きません。2013年度末の10,753人から毎年増えています。

人数は年度ごとに更新されます。この記事の数字は2023年3月末時点のもので、最新の人数が必要な場合は連合会が公表する白書や登録状況を確認してください。勤務等の登録者でも付記を受けている人が3,000人以上いることから、開業していなくても特定社労士になれることが分かります。

14特定社労士のメリットは?「意味ない」と言われるのはなぜ?

メリットは、労使の話合いがこじれた段階でも、あっせん・調停の代理人として関わり続けられることです。付記がない社労士は、紛争解決手続の代理を業として行えません。就業規則や労務管理で関わってきた顧問先の紛争にも、自分で対応できる範囲が広がります。研修で民法の契約・不法行為の基本や申請書・答弁書の検討を学ぶことも、付記に至る過程で得られるものです。

一方で「意味ない」と検索される背景には、代理できる手続が裁判外のあっせん等に限られ、訴訟や労働審判を扱えないこと、民間紛争解決手続では120万円を超えると弁護士の受任が条件になることがあると考えられます。代理業務の依頼件数や報酬についての公的な統計はこの記事では確認できておらず、付記を受けたから収入が増えるとは言えません。手続業務が中心の働き方では、使う場面が少ないこともあります。

15特定社労士の年収はどのくらいですか?

特定社労士に限った年収の公的な統計は、この記事で確認した一次情報の中にはありません。付記は代理できる業務の範囲を広げる制度で、報酬の額を決めるものではないからです。収入は、開業か勤務か、顧問契約の数、扱う業務の組み合わせによって大きく変わります。インターネット上の年収の数字は、根拠となる調査の対象と時期を確かめて読んでください。

開業社労士にとっては、紛争の相談を受けられることが顧問先との関係を深める材料になる場合があります。ただし前に見たとおり、相手方の協議を受けて賛助した事件などは受けられません。顧問先の会社と、そこで働く労働者の双方から相談を受けるような場面では、受任できるかどうかを事件ごとに慎重に判断する必要があります。

16勉強時間の目安と準備の進め方は?

必要な勉強時間の公式の目安はありません。63.5時間の特別研修が土台で、そのうえで事例から争点を整理し、申請書・答弁書の立場で主張を組み立てる練習を重ねるのが一般的な準備です。厚生労働省は、試験問題と出題の趣旨が連合会のウェブサイトに掲載されていると案内しているので、まず実物の問題で求められる答え方を確かめます。

労働契約法や労働基準法の解雇・賃金・労働時間のルールは社労士試験の知識と重なりますが、民法の契約・不法行為は新しく学ぶ人が多い分野です。合トレの社労士の論点解説と一問一答で、労働契約法、個別労働関係紛争解決促進法、社労士法の条文を確かめ直しておくと、研修の講義に入りやすくなります。社労士試験の受験中の人は、まず本試験の合格と登録を優先してください。

よくある質問

特定社労士は国家資格ですか?

紛争解決手続代理業務試験は、社会保険労務士法第13条の3に基づき厚生労働大臣が行う国家試験です。合格後に社労士名簿へ付記を受けて特定社労士になります。社労士とは別の資格というより、社労士の資格に付く付記です。

特定社労士試験の受験資格は何ですか?

第22回の公示では、社会保険労務士法第13条の3第1項の研修(特別研修)の修了者とされ、申込書には研修修了証か、修了する見込みであることを証する書面を添えます。連合会の白書は、社労士であり、かつ特別研修の修了者(修了見込者を含む)と説明しています。

特定社労士試験の日程はいつですか?

第22回(2026年度)は2026年11月21日(土)に7都道府県で行われ、合格者の受験番号は2027年3月12日(金)の官報で公告されます。2027年度の日程は未公表なので、その年度の厚生労働大臣の公示で確認してください。

特定社労士になるのにかかる費用は?

第22回の受験手数料は15,000円です。特別研修の受講料は年度ごとの受講案内で示されるので、連合会や都道府県社労士会の案内で確認してください。

特定社労士試験の合格率は?

第21回(2025年度)は受験者1,041人、合格者526人で、合格率は50.5%でした。合格基準は100点満点中55点以上、かつ第2問10点以上です。

試験に合格すれば自動的に特定社労士になりますか?

なりません。付記申請書に合格を証する書類を添え、社労士会を経由して連合会に提出し、名簿に付記を受けて初めて特定社労士になります(第14条の11の2・第14条の11の3)。

勤務社労士でも特定社労士になれますか?

なれます。連合会の白書では、2023年3月31日現在の特定社労士14,101人のうち、勤務等の登録者が3,126人います。開業していることは要件ではありません。

社労士試験に合格したばかりでも特別研修を受けられますか?

受験資格は社労士であることが前提なので、まず社労士名簿への登録が必要です。社労士となる資格には、実務経験通算2年以上か、厚生労働大臣がこれと同等以上と認める経験が求められます(第3条第1項)。

特定社労士は何人いますか?

連合会の白書によると、2023年3月31日現在で14,101人です。同じ時点の社労士の登録者44,870人のおよそ3割にあたります。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。